(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の割断起点部を形成する工程において、前記発光素子の上面視形状である六角形における各頂点を前記一点として、隣接する2つの前記頂点間に前記第1割断起点部、前記第2割断起点部及び前記第3割断起点部のいずれか一つを形成する請求項1に記載の発光素子の製造方法。
前記第1割断起点部を形成する工程において、前記発光素子の上面視形状である六角形における6つの頂点のうち一つ置きに位置する3つの頂点それぞれに向かって前記レーザ光を走査することにより、前記第1割断起点部を形成する請求項1又は2に記載の発光素子の製造方法。
前記第1割断起点部を形成する工程において、1つの第1割断起点部の走査終了側となる終端と、前記3つの頂点のうち前記終端の近傍に位置する1つの頂点と、の距離が、前記1つの第1割断起点部の走査開始側となる始端と、前記3つの頂点と異なる他の3つの頂点のうち前記始端の近傍に位置する1つの頂点と、の距離よりも大きくなるよう、前記第1割断起点部を形成する請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る発光素子100の製造方法に用いるウエハ10の上面視を示す図である。
図2は、基板102の内部に割断起点部20を形成する様子を説明するための断面図である。
図3は、ウエハ10と、その一部を拡大したものであり、ウエハ10上に複数の発光素子領域14が形成されている様子を説明するためのものである。
図4は、本実施形態に係る製造方法で形成する第1〜第3割断起点部21〜23を説明するための上面図である。
図5Aは、基板102の第1割断起点部21が形成される部分を説明するためのウエハの上面図である。
図5Bは、基板102の内部に第2割断起点部22が形成される部分を説明するためのウエハの上面図である。
図5Cは、基板102の内部において第3割断起点部23が形成される領域を説明するためのウエハの上面図である。
図7は、発光素子100の斜視図を示す図である。
図8は、
図7のA−A線における断面図である。
【0010】
発光素子100の製造方法は、サファイアからなる基板102と、基板102の上面に設けられた半導体構造104と、を有するウエハ10を準備する工程と、レーザ光を走査することにより、上面視でそれぞれが直線状である複数の割断起点部20(第1割断起点部21、第2割断起点部22及び第3割断起点部)を基板102の内部に形成する工程と、ウエハ10を割断起点部20に沿って割断し、それぞれの上面視形状が六角形である複数の発光素子100を得る工程と、を備える。そして、複数の割断起点部20を形成する工程は、上面視において、3つの発光素子100の一頂点が重なる一点Dから第1間隔P1をあけて第1割断起点部21を形成する工程であって、第1割断起点部21を延長させた直線が一点Dを通るように第1割断起点部21を形成する工程と、一点Dから第1間隔P1よりも短い第2間隔P2をあけて第2割断起点部22を形成する工程であって、第2割断起点部22を延長させた直線が、一点Dを通り且つ第1割断起点部21を延長させた直線と120度をなす第2割断起点部22を形成する工程と、一点Dから第1間隔P1よりも短い第3間隔P3をあけて第3割断起点部23を形成する工程であって、第3割断起点部23を延長させた直線が、一点Dを通り且つ第1割断起点部21を延長させた直線及び第2割断起点部22を延長させた直線のそれぞれと120度をなす第3割断起点部23を形成する工程と、を順に有する。
【0011】
これにより、上方からみたときに割断起点部20の端部から割断起点部20の延伸方向に伸展する亀裂が発光素子領域14にまで伸展することを抑制できるため、上面視形状が六角形である発光素子を歩留りよく製造することができる。以下、この点について説明する。
【0012】
上面視形状が六角形である複数の発光素子領域14が平面充填されたウエハ10を割断し、複数の発光素子100に個片化する場合、
図2に示すように、レーザ光を基板102の内部に集光することで、直線状の割断起点部20を形成する。この際、1つの発光素子領域14の外形(六角形)の一辺に対応する1つの割断起点部20の延長線上に他の発光素子領域14が位置することになる。また、割断起点部20の形成後に一定の時間を置くと、割断起点部20の両端から割断起点部20の延伸方向に亀裂が進展する。したがって、割断起点部20から進展した亀裂が発光素子領域14の内側に達する可能性がある。
【0013】
そこで、本実施形態では、
図4に示すように、第1割断起点部を形成する工程で第1割断起点部21を一点Dと第1間隔P1をあけて形成する。次に、第2割断起点部を形成する工程で第2割断起点部22を一点Dから第1間隔P1よりも短い第2間隔P2をあけて形成する。さらに、第3割断起点部を形成する工程で第3割断起点部23を一点から第1間隔P1よりも短い第3間隔あけて形成する。これにより、最初に形成する第1割断起点部21から伸展する亀裂(以下「第1亀裂」という。)が発光素子領域14の内側に達することを抑制しつつ、一点Dにおいて第1亀裂と第2割断起点部22から伸展する亀裂(以下「第2亀裂」という。)とを繋げる又は近づけることができる。このような理由により、ウエハの割断時において欠けが発生することを抑制しつつ、ウエハの割断を比較的容易に行うことができるので、発光素子100を歩留りよく製造することができる。
【0014】
以下、発光素子100の製造方法についてより詳細に説明する。
【0015】
(ウエハ準備工程)
まず、サファイアからなる基板102と、基板102の上面に設けられた半導体構造104と、を有するウエハ10を準備する。ウエハ10は、
図1の上面図に示すように、上面視が略円形状で、円弧の一部を平坦としたオリエンテーションフラット面OLを有する。ウエハ10のサイズは、例えばその直径を50〜150mm程度とすることができる。基板102の厚さは、例えば、50〜500μm程度とすることができる。
【0016】
(割断起点部形成工程)
次に、
図2に示すように、基板102の内部にレーザ光LBを集光することで、ウエハ10の割断を行う際に割断の起点となる複数の割断起点部20を形成する。割断起点部20は、上面視においてそれぞれが直線状であり、それぞれがウエハ10を割断する際の割断予定線12と重なるように形成される。本実施形態では、ウエハ10に対してレーザ光を走査して基板102の内部にレーザ光を近接させて複数回集光することで、1つの割断起点部20を形成している。割断起点部20は、基板102の内部において、レーザ光が集光された位置及びその周辺が改質された領域が集合した部分であり、ウエハ10の割断面において、基板102の側面のうち他の領域と比較して細かな凹凸が形成されている領域として確認できる。
【0017】
図2に示すように、本実施形態では、基板102の厚み方向において1つの割断起点部20を形成しているが、例えば、基板102が厚くなり割断が難しい場合には、基板102の厚み方向に複数の割断起点部20を形成してもよい。
【0018】
図2に示すように、レーザ光LBは、半導体構造104が設けられた上面とは反対側の面、すなわち下面側から照射し基板102の内部に集光させることが好ましい。このようにすれば、レーザ光が直接半導体構造104に照射され損傷を受けることを抑制しつつ、基板102の内部に割断起点部20を形成することができる。
【0019】
基板102の下面側からレーザ光を照射する場合、基板102の内部におけるレーザ光の集光位置は、例えば、基板102の厚み方向において、半導体構造104から70μm以上離れた位置とすることが好ましい。このような集光位置とすることで、半導体構造104のレーザ光による損傷を低減できる。
【0020】
割断起点部20を形成する工程で、ウエハ10の上面視において、互いに角度が異なる第1〜第3の割断起点部をそれぞれ複数形成する。後述する第1〜3の割断起点部形成工程において、レーザ光を走査して第1〜3の割断起点部20を形成する際、
図5A〜
図5Cに示すように、直線状の複数の第1〜3の割断起点部21、22、23を断続的に形成する。これにより、
図3に示すように、上面視形状が六角形である発光素子100に個片化するための割断予定線12を形成し、複数の発光素子領域14に区画することができる。割断予定線12は、割断起点部20とその割断起点部20から伸展する亀裂とで形成され、後述する個片化工程において、ウエハ10を割断予定線12に沿って割断することで複数の発光素子100に個片化できる。
【0021】
図3に示すように、複数の発光素子100の上面視形状が六角形となるよう、割断起点部20を形成し発光素子領域14のパターンをウエハ10に形成する。この場合、割断起点部20は、ウエハ10の上面視において屈曲した折れ線と重なるように形成される。また、ウエハ10上の無駄な領域を可能な限り低減するために、発光素子領域14が平面充填されるように配置されている。本実施形態では、発光素子領域14の上面視形状を1辺の長さが等しい正六角形とし、それらをハニカム状に配置している。発光素子領域14を構成する正六角形の1辺は、例えば、1000〜3000μm程度とすることができる。
【0022】
複数の割断起点部20を形成する際、上面視形状が六角形である発光素子領域14における六角形の各頂点を一点Dとして、各頂点間に第1割断起点部21、第2割断起点部22、及び第3割断起点部23のいずれか一つを形成することが好ましい。具体的には、第1〜第3の割断起点部形成工程において、六角形の辺のうち互いに平行である2辺に沿って割断起点部20をそれぞれ形成する。これにより、より少ない割断起点部形成工程で上面視形状が六角形である発光素子100に個片化するための割断予定線12を形成することができる。
【0023】
複数の割断起点部20は、サファイアからなる基板102のa面に沿って形成することが好ましい。つまり、六角形の発光素子領域14の少なくとも1辺に対応するように、基板102のa面に沿った割断起点部20が形成されていることが好ましい。六方晶系の結晶構造を有するサファイアからなる基板102のa面に沿って割断起点部20を形成すると、サファイアの結晶構造の関係上、サファイアからなる基板102のm面に沿って割断起点部20を形成する場合に比較して、割断起点部20からの亀裂が伸展しにくい傾向にある。そのため、発光素子領域14に向かって伸展する亀裂の伸展を抑制することができる。
【0024】
レーザ光は、パルス駆動でウエハ10に照射する。この場合、レーザ光の出力は、例えば、0.5〜5W程度とすることができる。レーザ光の周波数は、例えば、50〜200kHzとすることができる。レーザ光のパルス幅は、例えば、300〜50000fs(フェムト秒)とすることができる。本実施形態では、中心波長を800nmとするフェムト秒レーザを用いている。レーザ光の波長は、500〜1100nmとすることができる。レーザ光の照射走査速度は20〜2000mm/secとすることができる。
【0025】
以下、第1〜第3の割断起点部形成工程における割断起点部20の形成方法について説明する。
【0026】
(第1割断起点部形成工程)
まず、第1割断起点部形成工程で、
図4及び
図5Aに示すように、上面視において、3つの発光素子の一頂点が重なる一点Dから第1間隔P1をあけて第1割断起点部21を形成する。このとき、直線状の第1割断起点部21を延長させた第1直線L1が一点Dを通るように第1割断起点部21を形成する。3つの発光素子の一頂点が重なる一点Dとは、言い換えると、ウエハ10上に上面視形状が六角形である発光素子領域14を平面充填した場合に、隣接する3つの発光素子領域14が共有する頂点である。ここで、第1割断起点部21を、第1間隔P1をあけずに一点Dに至るまで形成した場合、第1亀裂が発光素子領域14にまで達してしまう。しかしながら、本実施形態では、第1割断起点部21を一点Dから第1間隔P1をあけて形成しているため、第1亀裂が発光素子領域14の内側に達することを抑制することができる。
【0027】
第1間隔P1は、例えば、12μm以上20μm以下、好ましくは14μm以上18μm以下とすることができる。第1間隔P1を12μm以上とすることで、第1亀裂が発光素子領域14の内側に達することを抑制できる。さらに、第1間隔P1を16μm以下とすることで、第1亀裂と他の割断起点部20からの亀裂とを精度よく繋げる又は近づけることができる。
【0028】
ウエハ10上に上面視形状が正六角形である発光素子領域14を平面充填して形成するために、第1〜第3の割断起点部形成工程のそれぞれにおいてレーザ光を同じ方向に走査する場合、一点Dとすることができる頂点は、1つの発光素子領域14の6つの頂点のうち一つ置きに位置する3つの頂点となる。すなわち、一点Dとすることができる頂点の数は最大で3つである。そのため、第1割断起点部形成工程において、第1割断起点部21を、発光素子の上面視形状である六角形における6つの頂点のうち一つ置きに位置する3つの頂点それぞれに向かってレーザ光を走査し形成することが好ましい。これにより、本実施形態における効果が得られる箇所が増えるため、割断起点部20から伸展する亀裂が発光素子領域14の内側に伸展することを効果的に抑制できる。
【0029】
複数の第1割断起点部21を形成する場合、1つの第1割断起点部21は、レーザ光の走査が開始された走査開始側である始端から、レーザ光の走査が終了した走査終了側である終端までの間に形成される。このとき、1つの第1割断起点部21の終端と一点Dとの間に第1間隔P1をあけて第1割断起点部21を形成することが好ましい。割断起点部20から伸展する亀裂は、レーザ光の進行方向によって伸展の具合が異なる傾向があり、走査開始側の始端に比較して走査終了側の終端の方が伸展しやすい傾向にある。そのため、終端の近傍に位置する1点Dとの距離を大きくとることで、割断起点部20からの亀裂が発光素子領域14の内側に達することを効果的に抑制できる。
【0030】
さらに、1つの第1割断起点部21を発光素子100の上面形状である六角形の頂点間に形成する場合、
図6A〜
図6Cに示すように、終端と一つの頂点との間に第1間隔P1をあけるとともに、始端の近傍に位置する他の一つの頂点との間に第1間隔P1よりも距離が短い間隔P4をあけて形成することが好ましい。ここで、一点Dと割断起点部20との間隔は短くしすぎると、割断起点部20からの亀裂が一点Dにまで達しない、また1つの割断起点部20からの亀裂と、他の割断起点部20からの亀裂とが離れすぎるといったことが生じる可能性がある。本実施形態によれば、上述した構成とすることにより、終端における第1亀裂の意図しない伸展を抑制しつつ、始端では第1亀裂と他の割断起点部20からの亀裂とをより精度よく繋げることができる。
【0031】
なお、基板102の厚み方向に複数の割断起点部20を形成する場合には、主として基板102の最も下面側に形成される第1割断起点部21の形成条件が第1割断起点部21から伸展する亀裂の伸展具合に影響する。したがって、基板102の厚み方向に複数の第1割断起点部21を形成する場合は、基板102の最も下面側に形成される第1割断起点部21について、レーザ光の進行方向や第1間隔P1などの条件が満たされていればよい。後述する第2割断起点部22及び第3割断起点部23についても同様である。
【0032】
(第2割断起点部形成工程)
次に、第2割断起点部形成工程で、
図4及び
図5Bに示すように、一点Dから第1間隔P1よりも短い第2間隔P2をあけて第2割断起点部22を形成する。このとき、直線状の第2割断起点部22を延長させた第2直線L2が、一点Dを通るように第2割断起点部22を形成する。第2直線L2と第1直線L1とがなす角度は120度である。
【0033】
第1割断起点部形成工程と第2割断起点部形成工程とでは、ウエハ10の上面視における割断起点部20の角度が異なる(延伸方向が異なる)ため、第1割断起点部形成工程の後に行う第2割断起点部形成工程までには、製造工程上どうしても一定以上の時間がかかってしまう。そのため、一点Dから同じ間隔をあけて第1割断起点部21、第2割断起点部22を順に形成すると、個片化する時点では、第1亀裂が発光素子領域14に達しているにもかかわらず、第2亀裂が一点Dから離れすぎるという可能性が高くなる。そこで、本実施形態では、第2割断起点部22を、第1間隔P1をよりも短い第2間隔P2をあけて形成している。これにより、第1亀裂が第1直線L1上に配置される発光素子領域14に達するまでの時間に余裕を持たせつつ、第1亀裂と第2亀裂が繋がりやすいようにしている。
【0034】
第2間隔P2は、例えば、6μm以上12μm以下、好ましくは7μm以上9μm以下とすることができる。6μm以上とすることで第2亀裂が発光素子領域14に達することを抑制できる。さらに、10μm以下とすることで第2亀裂と他の割断起点部20からの亀裂とを精度よく繋げることができる。
【0035】
(第3割断起点部形成工程)
次に、第3割断起点部形成工程で、
図4及び
図5Cに示すように、一点Dから第1間隔P1よりも短い第3間隔P3をあけて第3割断起点部23を形成する。このとき、第3割断起点部23を、直線状の第3割断起点部23を延長させた第3直線L3が一点Dを通るように形成する。第3直線L3と第1直線L1及び第2直線L2のそれぞれとがなす角度は120度である。
【0036】
第3割断起点部23を形成するときに、第3間隔P3を第1間隔P1よりも短くすることで、発光素子領域14に第3割断起点部23からの亀裂(以下「第3亀裂」という。)が達することを抑制しつつ、第1亀裂及び第2亀裂と精度よく繋げることができる。
【0037】
第3間隔P3は、上述した第2間隔P2と同様の値とすることができるが、第2間隔P2よりも短い間隔としてもよい。第3割断起点部23を形成するときには、基板102に第1亀裂及び第2亀裂が形成されており、第3亀裂が第1亀裂及び第2亀裂と繋がりやすいため、発光素子領域14にまで達しにくい。そのため、第3間隔を第2間隔よりも短くすることで、第3亀裂が発光素子領域14内に達することを抑制しつつ、第3亀裂を第1亀裂及び第2亀裂とより精度よく繋げることができる。
【0038】
(個片化工程)
ウエハ10を割断起点部20に沿って割断し、それぞれの上面視形状が六角形である複数の発光素子100を得る。割断起点部形成工程で形成した複数の割断起点部20及びそれらの割断起点部20から伸展した亀裂により形成された割断予定線12に沿ってウエハ10を割断し、複数の発光素子100に個片化する。
【0039】
割断起点部20からの亀裂が基板102の下面に達する前に個片化工程を行うと、割断の際、割断予定線12に沿って割断されにくい傾向がある。そのため、ウエハ10を個片化する工程は、割断起点部形成工程で形成した割断起点部20からの亀裂が基板102の下面に達してから行うことが好ましい。これにより、ウエハ10をさらに精度よく割断し複数の発光素子100に個片化することができる。
【0040】
本実施形態に係る製造方法により、ウエハ10を個片化することで得られる発光素子100の上面視形状は略正六角形である。
図7に示すように、基板102の側面には、上述した割断起点部形成工程で基板102内に形成された割断起点部20の痕が残っている。また、基板102の内部には、第1〜第3間隔P1、P2、P3のいずれかの間隔をあけて割断起点部20が形成されているため、隣接する側面の周辺領域には割断起点部20が形成されていない領域が存在する。
【0041】
発光素子100は、
図8に示すように、基板102の上面に半導体構造104が設けられている。具体的には、半導体構造104は、基板102の上面側から順に、n側半導体層104nと、活性層104aと、p側半導体層104pと、が積層されてなる。n側半導体層104n、活性層104a及びp側半導体層104pには、例えば、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)などの窒化物半導体を用いることができる。n側半導体層104nにはn電極103Aが電気的に接続され、p側半導体層104pにはp電極103Bが電気的に接続されている。
【0042】
<実施例>
サファイアからなる基板102の上面に、複数の窒化物半導体層が積層された半導体構造104が設けられた直径約100mm(4インチ)のウエハ10を準備した。基板102の厚さは、200μmであり、基板102の上面はC面とした。
【0043】
次に、基板102の下面側からレーザ光を照射し基板102の内部に複数の割断起点部20を形成した。このとき、レーザ光の中心波長を800nm、出力を0.15W〜0.2Wとし、基板102の厚み方向において、基板102下面から100μm、60μm、30μmの部分を集光点として複数の割断起点部20を形成した。個片化されたときに複数の発光素子100の上面視形状が六角形となるように割断起点部20を形成して、半導体構造104を複数の発光素子領域14に区画した。発光素子領域14は、1辺の長さが実質的に等しい正六角形に形成した。1辺の長さは約1940μmとした。
【0044】
割断起点部形成工程は、第1割断起点部形成工程、第2割断起点部形成工程、及び第3割断起点部形成工程の3つの工程に分けて行った。それぞれの工程で形成される第1〜第3の割断起点部は、発光素子の上面形状である六角形の隣接する2つの頂点間に形成した。また、第1〜第3の割断起点部を、それぞれの工程で2つずつ形成することで、1つの発光素子領域14を形成した。それぞれの工程において、レーザ光を基板102のa面に沿ってパルス駆動で走査し、複数の第1〜第3の割断起点部を基板102のa面に沿って形成した。
【0045】
まず、第1割断起点部形成工程において、直線状の第1割断起点部21を、その終端と一点Dとの距離(第1間隔P1)を16μmとして形成した。このとき、直線状の第1割断起点部21を延長させた第1直線L1が一点Dを通るように形成した。また、第1割断起点部21の始端も、六角形の頂点のうち一点Dに隣接する他の頂点から16μmの間隔をあけて形成した。
【0046】
次に、第2割断起点部形成工程において、直線状の第2割断起点部22を、その終端と一点Dとの距離(第2間隔P2)を8μmとして形成した。このとき、直線状の第2割断起点部22を延長させた第2直線L2が、一点Dを通り、その第2直線L2と第1直線L1とがなす角度が120度となるように形成した。また、第2割断起点部22の始端も、六角形の頂点のうち一点Dに隣接する他の頂点から8μmの間隔をあけて形成した。
【0047】
次に、第3割断起点部形成工程において、直線状の第3割断起点部23を、その終端と一点Dとの距離(第3間隔P3)を8μmとして形成した。このとき、直線状の第3割断起点部23を延長させた第3直線L3が、一点Dを通り、その第3直線L3と、第1直線L1及び第2直線L2とがなす角度が120度となるように形成した。また、第3割断起点部23の始端も、六角形の頂点のうち一点Dに隣接する他の頂点から8μmの間隔をあけて形成した。
【0048】
本実施例と比較するため、第1〜第3割断起点部形成工程において、それぞれの工程で割断起点部20を一点Dから同じ間隔(8μm)をあけて形成したこと以外は本実施例の製造方法と同様にして発光素子を製造した。
【0049】
この場合、割断起点部20からの亀裂が発光素子領域14に達する割合が高く、ウエハ10を複数の発光素子に個片化した際に多くの発光素子に欠け等が生じており、歩留りが良くない傾向だった。これに対して、本実施例の製造方法では、発光素子領域14内に達する割断起点部20からの亀裂が軽減されており、個片化工程において個片化された発光素子100の欠けが抑制され歩留りが向上した。
【0050】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は本発明を何ら限定するものではない。