(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記復調部が前記複数の変調周波数または変調周波数帯のうちの少なくとも1つの変調周波数または変調周波数帯で復調することによって得られた画素情報を周波数解析することにより、前記被写体の時間的な変化の周波数を特定する変化周波数特定部
をさらに備え、
前記復調部はさらに、前記複数の画像の画素値を、前記複数の変調周波数または変調周波数帯のうち少なくとも1つの変調周波数と前記被写体の時間的な変化の周波数との和及び差の少なくとも一方の周波数を用いて、前記被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する
請求項1または2に記載の画像処理装置。
前記複数の変調周波数または変調周波数帯で強度変調された光のうちの少なくとも1つの光の強度変化の位相と、前記複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差を示す情報を取得する位相差情報取得部
をさらに備える
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記復調部は、各画素について前記複数の画像の画素値を前記複数の復調周波数または復調周波数帯で復調することによって、前記複数の画素情報を各画素について生成し、
前記画像処理装置は、
前記復調部によって生成された各画素の前記複数の画素情報に基づいて、前記複数の変調周波数で強度変調された光のそれぞれによる前記被写体からの光による画像を生成する画像生成部
をさらに備える請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記出力部はさらに、前記複数の変調周波数または変調周波数帯で強度変調された光のうちの少なくとも1つの光の強度変化の位相と、前記複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差を示す情報を、前記複数の画像に対応づけて出力する
請求項22に記載の撮像装置。
前記複数の画像のそれぞれを、前記複数の変調周波数または変調周波数帯のうちの少なくとも1つの変調周波数または変調周波数帯で変調された光の強度変化に同期して前記撮像部に撮像させる撮像制御部
をさらに備える請求項17、18、22、23のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る撮像システム5を、被写体とともに概略的に示す。撮像システム5は、腹腔鏡撮像システムとして利用される。被写体は、一例として人体等の生体である。
【0012】
撮像システム5は、スコープ部20と、制御ユニット30と、画像処理ユニット40と、出力装置70とを備える。出力装置70は、表示装置50と、記憶装置60とを有する。表示装置50は、腹腔鏡手術中の体内のモニタ画像等を表示するためのディスプレイ等である。記憶装置60は、例えば、ハードディスク等の不揮発性の記憶媒体であり、腹腔鏡手術中の体内の画像等を記憶する。出力装置70は、腹腔鏡手術中の体内のモニタ画像等を、外部ネットワークを通じて他の装置に送信する通信装置等を有してよい。
【0013】
スコープ部20は、撮像素子10と、対物レンズ14と、ライトガイド22とを有する。撮像素子10は、スコープ部20の先端部の近傍に設けられる。スコープ部20は、光出射口24及び光入射口26をスコープ部20の先端部に有する。ライトガイド22は光出射口24に光学的に接続される。光入射口26は、撮像素子10が有する撮像部12に対して設けられた対物レンズ14に対向して設けられる。
【0014】
発光部130は、互いに特性が異なる光を発する。光の特性には、その光が属する波長域や、光を強度変調する変調周波数などが含まれる。発光部130は、光源131、光源132、光源133、光源134を有する。光源131、光源132、光源133、光源134は、LED光源であってよい。本実施形態では、光源131、光源132、光源133及び光源134は、互いに特性が異なる光を発する。具体的には、光源131は、赤の波長域に属する光を発する。光源132は、緑の波長域に属する光を発する。光源133は、青の波長域に属する光を発する。光源134は、赤外の波長域に属する光を発する。なお、赤、緑及び青は、それぞれ可視光の波長域における1つの色成分の一例である。また、赤の波長域に属する光を、R光と呼ぶ場合がある。同様に、緑の波長域に属する光をG光と呼び、青の波長域に属する光をB光と呼び、赤外の波長域に属する光をIR光と呼ぶ場合がある。
【0015】
発光制御部140は、光源131の駆動を制御することにより、変調周波数f1で強度変調されたR光を光源131に発光させる。また、発光制御部140は、光源132の駆動を制御することにより、変調周波数f2で強度変調されたG光を光源132に発光させる。また、発光制御部140は、光源133の駆動を制御することにより、変調周波数f3で強度変調されたB光を光源133に発光させる。また、発光制御部140は、光源134の駆動を制御することにより、変調周波数f4で強度変調されたIR光を光源134に発光させる。発光制御部140は、光源133の駆動を制御することにより、これらのR光、G光、B光、IR光を重ね合わせて(重畳して)発光させる。一例として、f1=100Hz、f2=200Hz、f3=400Hz、f4=50Hzである。このように、発光制御部140、発光部130及びライトガイド22は、互いに異なる変調周波数で強度変調された複数の波長域の光を出射する光出射部として機能する。なお、発光制御部140、発光部130及びライトガイド22は、互いに異なる複数の変調周波数で強度変調された光を出射する光出射部の一例である。変調周波数であるf1、f2、f3及びf4の値を示す情報は、発光制御部140から撮像情報出力部150に供給される。
【0016】
変調周波数f1で変調された光源131からのR光、変調周波数f2で変調された光源132からのG光、変調周波数f3で変調された光源133からのB光、及び、変調周波数f4で変調された光源134からのIR光は、重ね合わせられてライトガイド22に供給される。ライトガイド22は、例えば光ファイバで形成される。ライトガイド22は、発光部130から供給されたR光、G光、B光及びIR光を光出射口24に導く。ライトガイド22を通じて光出射口24に到達した光は、R光、G光、B光及びIR光を成分光として含む出射光として光出射口24から出射する。このように、発光部130からのR光、G光、B光及びIR光は、多重化されて光出射口24から出射される。
【0017】
撮像素子10は、MOSイメージセンサを含んで形成される。撮像部12は、撮像素子において、例えば複数のフォトダイオード等の複数の画素素子が2次元的に配列された撮像領域により形成される。撮像素子10は、被写体からの光を複数の波長成分の光に分離する波長フィルタを有しない。例えば、撮像素子10は、例えばベイヤ配列等配列で互いに異なる波長域の光を選択的に透過するフィルタが複数の画素素子に一対一に対応して2次元的に配列されたカラーフィルタを有しない。したがって、撮像部12が有する複数の画素素子は、各々が、複数の波長域の光によって被写体から生じる被写体光をそれぞれ同時に受光する。このように、撮像部12の各画素素子に入射し得る光の波長域は、画素素子毎に実質的に同じである。
【0018】
撮像部12は、被写体からの光である被写体光を受光して被写体を撮像する。具体的には、撮像部12は、R光、G光、B光及びIR光が照射されている被写体からの戻り光を含む被写体光を受光する。被写体光には、光出射口24から出射して被写体で反射又は散乱したR光、光出射口24から出射して被写体で反射又は散乱したG光、光出射口24から出射して被写体で反射又は散乱したB光、及び、光出射口24から出射して被写体で反射又は散乱したIR光が含まれる。
【0019】
撮像制御部120は、撮像素子10を制御して、変調周波数f1、変調周波数f2、変調周波数f3及び変調周波数f4のいずれより高い周波数で、撮像部12に撮像させることにより、撮像部12に複数の画像を撮像させる。例えば、撮像制御部120は、800Hzで撮像部12に撮像させる。このように、撮像制御部120は、互いに異なる変調周波数f1、f2、f3及びf4で強度変調された複数の波長域の光が照射された被写体を、変調周波数のいずれの周波数よりも高い周波数で撮像部12に撮像させる。なお、後述するように、撮像制御部120は、変調周波数f1、変調周波数f2、変調周波数f3及び変調周波数f4周波数の少なくともいずれか1つより低い周波数で、位相を異ならせて撮像部12に複数回撮像させてよい。
【0020】
撮像情報出力部150は、撮像素子10が時間的に異なって撮像した複数の画像の画像信号を取得して、撮像素子10から取得した画像信号を、画像処理ユニット40に画像データとして出力する。撮像情報出力部150は、撮像素子10から取得した画像信号を、発光制御部140から供給された変調周波数情報に対応づけて画像処理ユニット40に出力する。このように、撮像情報出力部150は、撮像部12によって撮像された、複数の波長域の光が照射された被写体の複数の画像を、変調周波数f1、f2、f3及びf4を示す情報に対応づけて出力する。これにより、撮像部12によって撮像された複数の画像は、変調周波数f1、f2、f3及びf4を示す情報に対応づけて画像処理ユニット40に向けて出力される。
【0021】
画像処理ユニット40は、撮像情報出力部150から取得した画像信号を、変調周波数情報に基づいて復調することにより、種々の画像を生成する。例えば、画像処理ユニット40は、表示用の画像データを生成して、生成した画像データに基づいて表示装置50に画像を表示させる。また、画像処理ユニット40は、記録用の画像データを生成して、生成した画像データを記憶装置60に記憶させる。
【0022】
図2は、画像処理ユニット40の機能的構成を示すブロック図である。画像処理ユニット40は、撮像情報取得部280と、復調部200と、画像生成部220と、変化周波数特定部240と、選択部250とを有する。
【0023】
撮像情報取得部280は、撮像情報出力部150から取得した撮像情報データを取得する。撮像情報データには、変調周波数f1で強度変調されたR光、変調周波数f2で強度変調されたG光、変調周波数f3で強度変調されたB光、変調周波数f4で強度変調されたIR光が照射された被写体の複数の画像が含まれる。これらの複数の画像は、互いに異なる変調周波数f1、f2、f3及びf4で強度変調された複数の波長域の光が照射された被写体が、変調周波数f1、f2、f3及びf4のいずれの周波数よりも高い周波数で撮像された画像である。
【0024】
ここで、赤は、可視領域に属する第1の色成分の一例である。緑は、可視領域に属する第2の色成分の一例である。青の波長域は、可視領域に属する第3の色成分の一例である。また、赤外の波長域は、可視領域外の波長域の一例である。すなわち、撮像情報取得部280は、変調周波数f1で強度変調されたR光、変調周波数f2で強度変調されたG光、及び、変調周波数f3で強度変調されたB光が照射された被写体の複数の画像を取得する。
【0025】
復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数に基づく複数の復調周波数で画素毎に復調することによって、複数の変調周波数で強度変調された光のそれぞれによる被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。復調部200が生成する画素情報とは、画素毎の被写体光量の値そのものだけでなく、画素毎の被写体光量に等価な値も含む概念である。本実施形態では、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数に基づく複数の復調周波数で画素毎に復調することによって、複数の波長域の光のそれぞれによる被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。具体的には、復調部200は、複数の画像の画素値を、変調周波数f1に基づく復調周波数で画素毎に復調することによって、R光による被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。また、復調部200は、複数の画像の画素値を、変調周波数f2に基づく復調周波数で画素毎に復調することによって、G光による被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。また、復調部200は、複数の画像の画素値を、変調周波数f3に基づく復調周波数で画素毎に復調することによって、B光による被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。また、復調部200は、複数の画像の画素値を、変調周波数f4に基づく復調周波数で画素毎に復調することによって、IR光による被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。具体的には、復調部200は、複数の画像の画素値を、変調周波数f1、変調周波数f2、変調周波数f3及び変調周波数f4で画素毎に復調する。すなわち、復調周波数は、変調周波数に一致する。このように、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数で画素毎に復調する。
【0026】
より具体的には、復調部200は、各画素について、複数の画像の画素値を変調周波数f1で復調することによって、赤の画素情報を各画素について生成する。また、復調部200は、各画素について複数の画像の画素値を変調周波数f2で復調することによって緑の画素情報を各画素について生成する。また、復調部200は、各画素について複数の画像の画素値を変調周波数f3で復調することによって、青の画素情報を各画素について生成する。また、復調部200は、各画素について複数の画像の画素値を変調周波数f4で復調することによって、赤外の画素情報を各画素について生成する。このように、復調部200は、各画素について複数の画像の画素値を複数の変調周波数で復調することによって、複数の画素情報を各画素について生成する。なお、復調部200は、上述の復調をおこなう前に、各画素について、周辺画素と比較してノイズを除去するノイズ除去等の前処理(補正処理)を行ってもよい。また、撮像情報取得部280と復調部200の間に補正部を設けて、この補正部が前処理を行ってもよい。
【0027】
画像生成部220は、復調部200によって生成された各画素の複数の画素情報に基づいて、複数の変調周波数で強度変調された光のそれぞれによる被写体からの光による画像を生成する。本実施形態では、画像生成部220は、復調部200によって生成された各画素の複数の画素情報に基づいて、複数の波長域の光のそれぞれによる被写体からの光による画像を生成する。具体的には、画像生成部220は、赤の画素情報、緑の画素情報及び青の画素情報に基づいて、可視光画像を生成してよい。また、画像生成部220は、赤外の画素情報に基づいて、赤外光画像を生成してよい。なお、画像生成部220は、可視光画像に赤外光画像を重畳した画像を生成してよい。画像生成部220が生成した画像は、出力装置70に出力される。また、画像生成部220は、撮像部12が撮像した際の各画素素子の画素情報から、赤の画素情報、緑の画素情報、青の画素情報及び赤外の画素情報を分離することで、光源133からの光以外の背景光による画像を生成してよい。例えば、画像生成部220は、撮像部12の各画素素子の画素情報をそれぞれ変調周波数に基づく時間で時間積分して得られた値から、画素素子に対応する赤の画素情報、緑の画素情報、青の画素情報及び赤外の画素情報の合計値を減算することによって、背景光による画像の画素情報を生成してよい。ここで、時間積分する時間として、変調周波数f1、f2、f3及びf4のうちの最も低い周波数に対応する周期を適用してよい。
【0028】
変化周波数特定部240は、復調部200が複数の変調周波数のうちの少なくとも1つの変調周波数で復調することによって得られた画素情報を周波数解析することにより、被写体の時間的な変化の周波数fvを特定する。被写体の時間的な変化とは、被写体の動きである。被写体の動きとは、被写体全体又は被写体の一部の部位の位置の時間的な変化である。復調部200はさらに、複数の画像の画素値を、変調周波数f1と周波数fvとの和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。また、復調部200はさらに、複数の画像の画素値を、変調周波数f2と周波数fvとの和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。また、復調部200はさらに、複数の画像の画素値を、変調周波数f3と周波数fvとの和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。また、復調部200はさらに、複数の画像の画素値を、変調周波数f4と周波数fvとの和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。このように、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と、変化周波数特定部240が特定した被写体の時間的な変化の周波数との和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。なお、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と、変化周波数特定部240が特定した被写体の時間的な変化の周波数との差の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成してもよい。このように、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と、変化周波数特定部240が特定した被写体の時間的な変化の周波数との和及び差の少なくとも一方の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成してもよい。
【0029】
なお、復調部200は、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と、それぞれ複数の画素からなる複数のグループごとの時間的な変化の周波数との和及び差の少なくとも一方の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を複数生成してもよい。例えば、変化周波数特定部240は、復調部200が複数の変調周波数のうちの少なくとも1つの変調周波数で復調することによって得られた画素情報を、複数の画素からなる複数のグループごとに周波数解析することにより、被写体の時間的な変化の周波数fvを特定してよい。そして、復調部200は、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と、変化周波数特定部240が画素の複数のグループごとに特定した周波数fvとの和及び差の少なくとも一方の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素情報を、画素の複数のグループごとに生成してもよい。なお、複数の画素からなるグループとは、例えば、画像内の被写体やその一部を示す領域を示しており、複数のグループとは、そのような領域が画像内に複数存在することを示している。
【0030】
画像生成部220は、被写体の時間的な変化を表す画素情報に基づいて、被写体の変化を表す変化画像を生成してよい。画像生成部220は、上述した可視光画像に変化画像を重畳した画像を生成してよい。画像生成部220が生成した変化画像の情報を含む画像は、出力装置70に出力される。
【0031】
なお、被写体の変化周波数が特定されている場合、復調部200は、変調周波数で復調した画像を周波数解析することなく、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と特定の変化周波数との和の周波数で復調してよい。このように、復調部200は、複数の画像の画素信号を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と被写体の時間的な変化の周波数を表す予め定められた変化周波数との和の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素信号を生成する。なお、復調部200は、複数の画像の画素信号を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と被写体の時間的な変化の周波数を表す予め定められた変化周波数との差の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素信号を生成してもよい。このように、復調部200は、複数の画像の画素信号を、複数の変調周波数のうち少なくとも1つの変調周波数と被写体の時間的な変化の周波数を表す予め定められた変化周波数との和及び差の少なくとも一方の周波数で復調することによって、被写体の時間的な変化を表す画素信号を生成してもよい。なお、周波数解析することなく変化周波数を特定できるような変化としては、心臓の拍動の影響による被写体の変化、臓器の蠕動運動による影響による被写体の変化等を例示できる。被写体の変化周波数は、被写体としての生体に装着した心拍センサ等のセンサの出力に基づいて検出してよい。なお、被写体の変化周波数は、画像から抽出するべき周波数である関心周波数の一例である。
【0032】
上述したように、復調部200が復調に用いる複数の復調周波数は、複数の変調周波数に一致してよい。一方で、複数の復調周波数は、複数の変調周波数と、被写体の変化の周波数等の関心周波数との和及び差の少なくとも一方であってよい。このように、復調部200が復調に用いる複数の復調周波数は、少なくとも変調周波数に基づく周波数である。すなわち、復調部200は、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数に基づく複数の復調周波数で画素毎に復調することによって、複数の波長域の光のそれぞれによる被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。
【0033】
なお、撮像情報取得部280は、複数の波長域の光のうちの少なくとも1つの光の強度変化の位相と、複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差を示す情報を取得してよい。そして、復調部200は、撮像情報取得部280が取得した情報が示す位相差に基づいて、複数の画像が撮像された位相と復調に用いる参照信号の位相とを予め定められた位相差に調整して複数の変調周波数で画素毎に復調してよい。例えば、復調部200は、複数の画像が撮像された位相と復調に用いる参照信号の位相との間の位相差を、光の強度変化の位相と複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差に実質的に一致させて、複数の変調周波数で画素毎に復調してよい。
【0034】
選択部250は、複数の復調周波数のうち、復調部200が復調に用いるいずれかの復調周波数を選択してよい。例えば、復調部200は、選択部250が選択した復調周波数で復調してよい。選択部250は、複数の復調周波数のうち、背景光の時間変化の周波数に対してn倍(nは整数)の復調周波数を選択してよい。また、選択部250は、複数の復調周波数のうち、背景光の時間変化の周波数に対して2
n倍(nは整数)の復調周波数を選択してもよい。変調周波数が矩形波である場合は、信号に高調波が含まれている為、各々の変調信号の基本周波数が2
n倍の関係にした場合に分離性能が良くなる。一方で、変調周波数が単一の周波数信号(例えば、sin波)の場合には、2
n倍ではなく、n倍で十分に分離可能である。これらは離散フーリエ変換の性質によるものである。なお、選択部250は、背景光の時間変化の周波数が既知の場合に、背景光の時間変化の周波数に対してn倍又は2
n倍(nは整数)の復調周波数を選択してよい。背景光の時間変化の周波数は、外部から入力されてよい。また、選択部250は、複数の復調周波数のうち、背景光の時間変化の周波数との差が最も大きい復調周波数を選択してよい。選択部250は、背景光の時間変化の周波数が時間的に変化している場合や、背景光の時間変化の周波数が場所によって異なる場合等に、背景光の時間変化の周波数との差が最も大きい復調周波数を選択してよい。なお、例えば、選択部250は、ユーザからの指示に基づいて、特定の変調周波数を選択してもよい。例えば、IR光による画像を表示する旨の指示をユーザから受け付けた場合、選択部250は、ユーザからの指示に基づいて、変調周波数f4を選択する。
【0035】
図3は、出射光の制御シーケンス及び撮像シーケンスの一例を示す。シーケンス381は、光源131の発光状態を表す。シーケンス382は、光源132の発光状態を示す。シーケンス383は、光源133の発光状態を示す。シーケンス384は、光源134の発光状態を示す。ONは発光している状態を示し、OFFは発光していない状態を示す。
【0036】
シーケンス390は、撮像部12の撮像シーケンスを示す。シーケンス390が示す各タイミング392は、それぞれ1つの画像を撮像するタイミングを示す。例えば、タイミング392は、垂直同期信号のタイミングを示す。撮像部12は、撮像制御部120の制御に基づいて、撮像間隔Tで画像を撮像する。撮像間隔Tは、時間的に隣接するタイミング392の間の時間で表される。
【0037】
変調周波数f1、変調周波数f2、変調周波数f3及び変調周波数f4のうち、最も高い周波数は変調周波数f3である。撮像部12の撮像間隔Tは、変調周波数f3に対応する変調周期1/f3より短い。撮像間隔Tは、変調周期1/f3の半周期より短い。なお、撮像間隔Tは、変調周期1/f3の1/3周期より短くてよい。撮像間隔Tは、変調周期1/f3の1/4周期より短くてよい。
【0038】
上述したように、撮像部12と被写体との間には、色分離用のカラーフィルタが設けられていない。時刻t1のタイミングで得られる画像310の複数の画素のうちの1つの画素301の画素値は、被写体に入射したR光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるR光と、被写体に入射したG光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるG光と、被写体に入射したB光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるB光と、被写体に入射したIR光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるIR光との合計光量に応じた値を持つことができる。時刻t2のタイミングで得られる画像320及び時刻t4のタイミングで得られる画像340も、画像310と同様である。
【0039】
時刻t3のタイミングでは、B光は照射されていない。そのため、時刻t3のタイミングで得られる画像330の複数の画素のうちの1つの画素301の画素値は、被写体に入射したR光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるR光と、被写体に入射したG光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるG光と、被写体に入射したIR光が被写体で反射又は散乱等することによって被写体から戻ってくるIR光との合計光量に応じた値を持つことができる。このように、各画像の各画素値は、照射される光の複数の波長域の光のそれぞれによる被写体からの光の合計量に応じた値を持ち得る。なお、光源133からの光以外に背景光が存在する場合、各画像の各画素値は、背景光による被写体からの光量に応じた値を持ち得る。すなわち、各画像の各画素値は、光源133からの複数の波長域の光のそれぞれによる被写体からの光の合計量と背景光による被写体からの光量の和に応じた値を持ち得る。
【0040】
なお、撮像制御部120は、複数の画像のそれぞれを、複数の波長域の光の強度変化に対して予め定められた位相に合わせて撮像部12に撮像させてよい。例えば、B光の発光強度が立ち上がるタイミングを基準タイミングとした場合、撮像制御部120は、基準タイミングに同期して撮像させてよい。この場合、撮像制御部120は、撮像周期Tを1/f3の整数分の1としてよい。このように、出射光の強度変化に対して位相を合わせて撮像部12を撮像させることで、復調部200が復調する場合に、撮像の位相差を考慮して参照波形を調整しなくて済む場合がある。
【0041】
なお、撮像制御部120は、各画像の撮像順序、撮像タイミングを示す情報を、撮像情報出力部150に出力する。また、発光制御部140は、発光部130が有する各光源の発光タイミングを示す情報を、撮像情報出力部150に出力する。また、発光制御部140は、発光部130が有する各光源の発光強度の変調を開始したタイミングを示す情報を、撮像情報出力部150に出力する。また、発光制御部140は、発光部130が有する各光源の発光強度を示す情報を、撮像情報出力部150に出力する。撮像情報出力部150は、発光制御部140及び撮像制御部120から取得したこれらの情報を、画像に対応づけて画像処理ユニット40に出力する。これにより、画像処理ユニット40において、復調部200は、画像に対応づけられた情報を用いて正確に復調することができる。また、画像生成部220は、各光源の発光強度等に基づいて、適切な輝度の画像を生成することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、B光、G光、R光、IR光の順で変調周波数が高い。しかし、変調周波数は、観察対象に応じて適切に決定してよい。例えば、赤の画像をより高い時間分解能で取得したい場合は、R光の変調周波数を他の光より高くしてよい。
【0043】
図4Aは、画像処理ユニット40における画像処理を概略的に示す。
【0044】
復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f1で画素毎に復調することにより複数の画像410R、画像420R、画像430R、画像440R・・・を生成する。例えば、復調部200は、画像310における画素301の画素値P1、画像320における画素301の画素値P2、画像330における画素301の画素値P3、画像340における画素301の画素値P4・・・の離散的な時系列データを、変調周波数f1で復調することにより、画像410Rの画素301の画素値QR1、画像420Rの画素301の画素値QR2、画像430Rの画素301の画素値QR3、画像440Rの画素301の画素値QR4・・・の離散的な時系列データを生成する。なお、復調処理の詳細については、
図5に関連して後述する。復調部200は、同様の処理を他の画素について適用することにより、画像410R、画像420R、画像430R、画像440R・・・のそれぞれの各画素の画素値を生成する。
【0045】
また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f2で画素毎に復調することにより、複数の画像410G、画像420G、画像430G、画像440G・・・を生成する。また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f3で画素毎に復調することにより、複数の画像410B、画像420B、画像430B、画像440B・・・を生成する。また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f4で画素毎に復調することにより、複数の画像410IR、画像420IR、画像430IR、画像440IR・・・を生成する。これらの画像を生成するための復調部200の処理は、復調周波数に基づく処理が異なる点を除いて、画像410R、画像420R、画像430R、画像440Rを生成する処理と同様である。そのため、これらの画像を生成するための処理の詳細については説明を省略する。
【0046】
画像生成部220は、画像群400R、画像群400G、画像群400Bから、可視光のカラーの動画を構成する画像群である可視光画像群400Cを生成する。具体的には、画像生成部220は、画像410R、画像410G及び画像410Bから、各色成分を持つ画像410Cを生成する。同様に、画像生成部220は、画像420R、画像420G及び画像420Bから、各色成分を持つ画像420Cを生成する。また、同様に、画像生成部220は、画像430R、画像430G及び画像430Bから、各色成分を持つ画像430Cを生成する。また、同様に、画像生成部220は、画像440R、画像440G及び画像440Bから、各色成分を持つ画像440Cを生成する。画像410C、画像420C、画像430C及び画像440Cは、可視光のカラー動画を構成する画像であってよい。画像生成部220は、後段の処理のために輝度信号及び色差信号で表される可視光画像群400Cの画像データを生成してよい。例えば、画像生成部220は、表示用の映像信号情報を生成する場合、YUVのコンポーネント信号情報を生成する。画像生成部220は、記録用の画像データを生成する場合、可視光の画像群400のからYCrCbの画像データを生成して、動画圧縮処理を行う。また、画像生成部220は、画像群400IRに含まれる画像を、赤外光による動画を構成する画像として生成する。
【0047】
図4Bは、変化周波数特定部240に関する画像処理を概略的に示す。
【0048】
変化周波数特定部240は、例えば画像410R、画像420R、画像430R、画像440R・・・の画素値を周波数解析することによって、被写体の動き等を表す変化周波数fvを特定する。例えば、変化周波数特定部240は、画像410R、画像420R、画像430R、画像440R・・・における特定の画素の画素値で形成される時系列信号を周波数成分に分解して、予め定められた閾値より大きい周波数成分が得られた周波数を、変化周波数fvとして決定する。
【0049】
復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f1+fvで画素毎に復調することにより、複数の画像410Rv、画像420Rv、画像430Rv、画像440Rv・・・を生成する。また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f2+fvで画素毎に復調することにより、複数の画像410Gv、画像420Gv、画像430Gv、画像440Gv・・・を生成する。また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f3+fvで画素毎に復調することにより、複数の画像410Bv、画像420Bv、画像430Bv、画像430Bv・・・を生成する。また、復調部200は、複数の画像310、画像320、画像330、画像340・・・を、変調周波数f4+fvで画素毎に復調することにより、複数の画像410IRv、画像420IRv、画像430IRv、画像440IRv・・・を生成する。これらの画像を生成するための復調部200の処理は、復調周波数に基づく処理が異なる点を除いて、画像410R、画像420R、画像430R、画像440Rを生成する処理と同様である。そのため、これらの画像を生成するための処理の詳細については説明を省略する。
【0050】
画像生成部220は、画像群400Rv、画像群400Gv、画像群400Bvから、被写体の動きを表す可視光のカラー動画を構成する画像群である可視光画像群400Cvを生成する。具体的には、画像生成部220は、画像410Rv、画像410Gv及び画像410Bvから、各色成分を持つ画像410Cvを生成する。同様に、画像生成部220は、画像420Rv、画像420Gv及び画像420Bvから、各色成分を持つ画像420Cvを生成する。また、同様に、画像生成部220は、画像430Rv、画像430Gv及び画像430Bvから、各色成分を持つ画像430Cvを生成する。また、同様に、画像生成部220は、画像440Rv、画像440Gv及び画像440Bvから、各色成分を持つ画像440Cvを生成する。画像410Cv、画像420Cv、画像430Cv及び画像440Cvは、被写体の変化を表す可視光のカラー動画を構成するフレーム画像であってよい。また、画像生成部220は、画像群400IRvに含まれる画像を、赤外光による動画を構成する画像として生成する。
【0051】
なお、変化周波数特定部240は、画像410R、画像420R、画像430R、画像440R・・・の複数の画素のそれぞれについて、画素値を周波数解析することによって、変化周波数fvを特定してよい。また、変化周波数特定部240は、画素値の周波数解析を画素毎に行ってよい。他にも、変化周波数特定部240は、予め定められた複数の画素の平均値で形成される時系列信号を周波数解析することによって、変化周波数fvを特定してよい。
【0052】
なお、ここでは、画像群400Rvを生成する復調処理に用いる復調周波数として、f1+fvを用いる場合を説明した。しかし、画像群400Rvを生成する復調処理に用いる復調周波数として、f1−fvを用いてもよい。同様に、画像群400Gvを生成する復調処理に用いる復調周波数として、f2−fvを用いてもよい。また、画像群400Bvを生成する復調処理に用いる復調周波数として、f3−fvを用いてもよい。また、画像群400IRvを生成する復調処理に用いる復調周波数として、f4−fvを用いてもよい。また、
図4Bでは、1つの変化周波数fvが特定された場合の処理を示す。複数の変化周波数が特定された場合は、複数の変化周波数毎に、変調周波数及び変化周波数に基づく復調周波数で復調することによって、変化の周波数毎に、画像を生成してよい。
【0053】
図5は、復調部200における画素単位の処理を概略的に示す。ここでは、1つの画素301の画素値の時系列データPk(k=1,2,3,4,・・・)に対する処理を説明する。
【0054】
復調部200は、P1、P2、P3、P4・・・で形成される時系列データPkと、変調周波数f1の参照波形の時系列データとの乗算510を行う。そして、復調部200は、乗算510によって得られた時系列データに、周波数フィルタ512を適用して、赤の画素値の時系列データQR1、QR2、QR3、QR4・・・を生成する。周波数フィルタ512は、変調周波数f1と他の変調周波数との差の周波数の周波数成分及び変調周波数f1と他の変調周波数との和の周波数の周波数成分を実質的にカットする周波数特性を有することが望ましい。周波数フィルタ512は、ローパスフィルタであってよい。
【0055】
同様に、復調部200は、時系列データPkと、変調周波数f2の参照波形の時系列データとの乗算520を行う。そして、復調部200は、乗算520によって得られた時系列データに、周波数フィルタ522を適用して、緑の画素値の時系列データQG1、QG2、QG3、QG4・・・を生成する。周波数フィルタ522は、変調周波数f2と他の変調周波数との差の周波数の周波数成分及び変調周波数f2と他の変調周波数との和の周波数の周波数成分を実質的にカットする周波数特性を有することが望ましい。周波数フィルタ522は、ローパスフィルタであってよい。
【0056】
また、復調部200は、時系列データPkと、変調周波数f3の参照波形の時系列データとの乗算530を行う。そして、復調部200は、乗算530によって得られた時系列データに、周波数フィルタ532を適用して、緑の画素値の時系列データQB1、QB2、QB3、QB4・・・を生成する。周波数フィルタ532は、変調周波数f3と他の変調周波数との差の周波数の周波数成分及び変調周波数f3と他の変調周波数との和の周波数の周波数成分を実質的にカットする周波数特性を有することが望ましい。周波数フィルタ532は、ローパスフィルタであってよい。
【0057】
また、復調部200は、時系列データPkと、変調周波数f4の参照波形の時系列データとの乗算540を行う。そして、復調部200は、乗算540によって得られた時系列データに、周波数フィルタ542を適用して、緑の画素値の時系列データQIR1、QIR2、QIR3、QIR4・・・を生成する。周波数フィルタ542は、変調周波数f4と他の変調周波数との差の周波数の周波数成分及び変調周波数f4と他の変調周波数との和の周波数の周波数成分を実質的にカットする周波数特性を有することが望ましい。周波数フィルタ542は、ローパスフィルタであってよい。
【0058】
なお、復調部200は、乗算510で適用する変調周波数f1の時系列データとして、R光の強度変化の位相と略同位相の時系列データを適用することが望ましい。例えば、R光の強度変化の立ち上がりタイミングと撮像時刻t1との差を、乗算510で適用する時系列データが示す参照波形の立ち上がりタイミングと当該参照波形中における画像410が撮像されたタイミングとの差に略一致させることが望ましい。すなわち、復調処理における参照信号の位相を変調信号の位相に一致させることが望ましい。同様に、復調部200は、乗算520で適用する変調周波数f2の時系列データとして、G光の強度変化の位相と略同位相の時系列データを適用することが望ましい。また、復調部200は、乗算530で適用する変調周波数f3の時系列データとして、B光の強度変化の位相と略同位相の時系列データを適用することが望ましい。また、復調部200は、乗算530で適用する変調周波数f4の時系列データとして、IR光の強度変化の位相と略同位相の時系列データを適用することが望ましい。
【0059】
図5に関連して、画像内の特定の位置の画素301に画素値の時系列データPkに対する復調部200の処理を説明した。復調部200は、画像内の任意の位置(i,j)の画素について、画素値に対して同様の処理を適用することにより、任意の位置(i,j)の各波長域に対応する画素値の時系列データを得ることができる。
【0060】
また、
図5に関連して、復調部200が変調周波数を復調周波数として適用する場合を説明した。被写体の変化を表す赤の画素値の画像を生成する場合、復調部200は、時系列データPkに対して、f1+fvを復調周波数として適用して、同様の乗算及び周波数フィルタを適用すればよい。また、被写体の変化を表す緑の画素値の画像を生成する場合、復調部200は、時系列データPkに対して、f2+fvを復調周波数として適用して、同様の乗算及び周波数フィルタを適用すればよい。被写体の変化を表す青の画素値の画像を生成する場合、復調部200は、時系列データPkに対して、f3+fvを復調周波数として適用して、同様の乗算及び周波数フィルタを適用すればよい。また、被写体の変化を表す赤外の画素値の画像を生成する場合、復調部200は、時系列データPkに対して、f4+fvを復調周波数として適用して、乗算及び周波数フィルタを適用すればよい。
【0061】
以上に説明した撮像システム5によれば、波長毎に異なる変調周波数で強度変調した光を多重化して被写体に照射することによって、複数の波長域の光による画像を取得できる。そのため、波長域毎に時分割で照明光を照射して、各波長域の光を時分割で撮像することなく、複数の波長域の光に基づく画像を取得できる。また、撮像素子においてカラーフィルタ等で画素毎に波長分離をする必要がない。そのため、被写体を高解像度で撮像することができる。これにより、撮像装置を小型化することができる。
【0062】
図6は、撮像素子10の変形例としての撮像素子100の断面図である。撮像素子100は、裏面照射型の撮像素子である。撮像素子100は、入射光に対応した画素信号を出力する撮像チップ113と、画素信号を処理する信号処理チップ111と、画素信号を記憶するメモリチップ112とを備える。これら撮像チップ113、信号処理チップ111及びメモリチップ112は積層されており、Cu等の導電性を有するバンプ109により互いに電気的に接続される。
【0063】
なお、図示するように、入射光は主に白抜き矢印へ向かって入射する。本実施形態においては、撮像チップ113において、入射光が入射する側の面を裏面と称する。
【0064】
撮像チップ113は、一例として裏面照射型のMOSイメージセンサである。フォトダイオード層106は、配線層108の裏面側に配されている。フォトダイオード層106は、二次元的に配された複数のフォトダイオード104、及び、フォトダイオード104に対応して設けられたトランジスタ105を有する。フォトダイオード104及びトランジスタ105の組が一つの画素素子を形成する。
【0065】
フォトダイオード層106における入射光の入射側にはパッシベーション膜103を介してマイクロレンズ101が設けられる。マイクロレンズ101は、それぞれの画素に対応して設けられる。マイクロレンズ101は、対応するフォトダイオード104へ向けて入射光を集光する。
【0066】
配線層108は、フォトダイオード層106からの画素信号を信号処理チップ111に伝送する配線107を有する。なお、配線107は多層であってもよく、また、受動素子及び能動素子が設けられてもよい。
【0067】
配線層108の表面には複数のバンプ109が配される。当該複数のバンプ109が信号処理チップ111の対向する面に設けられた複数のバンプ109と位置合わせされて、撮像チップ113と信号処理チップ111とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
【0068】
同様に、信号処理チップ111及びメモリチップ112の互いに対向する面には、複数のバンプ109が配される。これらのバンプ109が互いに位置合わせされて、信号処理チップ111とメモリチップ112とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。なお、バンプ109間の接合には、固相拡散によるCuバンプ接合に限らず、はんだ溶融によるマイクロバンプ結合を採用しても良い。このように、撮像チップ113と、処理回路を含む信号処理チップ111とが、積層構造により電気的に接続されている。
【0069】
信号処理チップ111は、表裏面にそれぞれ設けられた回路を互いに接続するシリコン貫通電極110を有する。シリコン貫通電極110は、周辺領域に設けられることが好ましい。また、シリコン貫通電極110は、撮像チップ113の周辺領域、メモリチップ112にも設けられて良い。
【0070】
信号処理チップ111は、フォトダイオード層106からの画素信号を処理する信号処理回路を含む。例えば、信号処理チップ111は、カラムアンプ、相関二重サンプリング(CDS)、アナログ/デジタル(A/D)変換を行う信号処理回路を有する。フォトダイオード104からの画素信号は、信号処理チップ111が有する信号処理回路により、増幅、CDS及びA/D変換される。このように、撮像素子100によれば、信号処理チップ111にカラムアンプ、CDS回路及びAD変換回路を設けることができる。そのため、カラムアンプ、CDS回路及びAD変換器を多数設けることができる。そのため、フォトダイオード104が出力するアナログの画素信号を高速に処理することができる。したがって、画像の撮像周期を短くすることができる。
【0071】
メモリチップ112は、それぞれの画素に対応する画素メモリを有する。信号処理チップ111によってA/D変換された画素信号は、メモリチップ112が有する画素メモリに格納される。
【0072】
信号処理チップ111は、画素メモリに格納された画素信号を処理する演算回路を有する。信号処理チップ111が有する演算回路は、画像処理ユニット40による処理の少なくとも一部を行う機能を有してよい。例えば、信号処理チップ111が有する演算回路は、撮像情報取得部280、復調部200、変化周波数特定部240、選択部250及び画像生成部220による処理の少なくとも一部を行う機能を有してよい。このように、信号処理チップ111が有する演算回路は、出射光を多重化するための変調周波数に基づく周波数分離を行う処理の少なくとも一部を行う機能を有してよい。また、信号処理チップ111が有する演算回路は、画素信号をデータ圧縮して出力してよい。これにより、画素信号の入出力インタフェースの負荷を減らすことができる。なお、演算回路は、メモリチップ112に設けられてもよい。
【0073】
このように、撮像素子100によれば、撮像チップ113、処理回路を含む信号処理チップ111、及びメモリチップ112が、積層構造により3次元的に積層されている。そのため、撮像チップ113の近傍の信号処理チップ111及びメモリチップ112において、画素信号を保持し画素信号に対して信号処理をすることができる。これにより、画素の読み出しを高速化でき、撮像素子100から出力するデータ量を削減できる。また、撮像素子100の後段の負荷を減らすことができる。したがって、画像の撮像周期を短くすることができる。
【0074】
上述した撮像システム5では、R光、G光、B光及びIR光を用いて被写体を撮像する。しかし、撮像に用いる光は、R光、G光、B光及びIR光の組み合わせに限定されない。様々な波長域の組み合わせの光を、撮像に用いる光として適用できる。なお、撮像に用いるある光の波長域は、波長域の一部が他の光の波長域に重なっていてもよい。また、撮像に用いるある光の波長域は、他の光の波長域の部分波長域であってよい。このように、複数の変調周波数で強度変調され、一部の波長域が重複する光を、被写体に照射してよい。
【0075】
また、撮像に用いるある光の波長域は、他の光の波長域と全範囲が重なっていてもよい。例えば、同一の波長域のIR光を互いに異なる変調周波数で変調して被写体に照射してもよい。例えば、撮像システム5において、変調周波数f4で強度変調した第1のIR光に加えて、第1のIR光と波長域が同一であり、変調周波数f4とは異なる変調周波数f5で強度変調された第2のIR光を、被写体に照射してよい。また、白色光を互いに異なる変調周波数で変調して、被写体に照射してもよい。このように、複数の変調周波数で強度変調され、全ての波長域が重なる光を、被写体に照射してもよい。なお、波長域が同一であり、異なる変調周波数で強度変調された光は、特性が互いに異なる光の一例である。このように、被写体に照射する光の波長について冗長性を持たせて、互いに異なる変調周波数で強度変調された同一波長域の光を、被写体に照射してもよい。
【0076】
このように、複数の変調周波数で強度変調され、波長域が一致する光を被写体に照射してよい。ここで、「波長域が一致する」とは、波長域の上限値及び下限値が一致するのみならず、実質的に一致することを含む。なお、実質的に一致するとは、装置間のばらつきなどによる誤差を含む概念である。また、「波長域が一致する」とは、白色光等の波長域の範囲制限のない光が波長領域で重なることを含む概念である。さらに、「波長域が一致する」光は、波長域内における光のスペクトルがすべて一致してもよく、異なっていてもよい。また、波長域内において、照射強度のピーク波長が一致してもよく異なっていてもよい。波長域が一致する光を被写体に照射する場合、単一の光源からの光を複数の変調周波数の変調信号の足し合わせで強度変調してよいし、波長域が一致する光を発する複数の光源をからの光を異なる変調周波数で強度変調してもよい。
【0077】
ここで、波長域が同一の光を多重化して被写体に照射する場合の撮像システム5の動作の一例を、変調周波数f4で強度変調されたIR光及び変調周波数f5で強度変調されたIR光を被写体に照射する場合を取り上げて、具体的に説明する。発光制御部140は、変調周波数f4及び変調周波数f5を合わせた変調強度に従って単一の光源134を駆動することにより、光源134から変調周波数f4で強度変調されたIR光及び変調周波数f5で強度変調されたIR光が多重化されたIR光を光源134から発生させる。なお、単一の光源134から多重化されたIR光を発生させることに代えて、変調周波数f5で強度変調されたIR光を発生させるための別の光源を追加してもよい。
【0078】
画像処理ユニット40において、選択部250は、変調周波数f4及び変調周波数f5のうち、いずれの変調周波数で強度変調された光による被写体からの被写体光量を示す画素情報を生成するかを選択する。例えば、選択部250は、変調周波数f4及び変調周波数f5のうち、光学的な外乱周波数との差が予め定められた値より大きい変調周波数を、復調周波数として選択する。具体的には、選択部250は、変調周波数f4及び変調周波数f5のうち、背景光の時間変化の周波数との差が大きい方の変調周波数を、復調周波数として選択する。例えば、選択部250は、変調周波数f4が背景光の時間変化の周波数に一致する又は近傍の周波数である場合に、復調周波数としてf5を選択する。この場合、復調部200はf5で復調する。そして、画像生成部220は、f5で復調部200が復調することによって生成された各画素の画素情報に基づいて、変調周波数f5で強度変調されたIR光による被写体からの光による画像を生成する。なお、背景光の時間変化の周波数は、画像生成部220が生成した背景光の画像の画素情報に基づいて特定されてよい。また、背景光の時間変化の周波数は、撮像システム5の外部から入力されてよいし、ユーザから指示されてもよい。
【0079】
変調周波数が背景光の時間変化の周波数に一致する又は近傍である場合、当該変調周波数に一致する復調周波数で復調して得られた画素情報には、背景光の影響が含まれる。そのため、IR光による画素情報のS/Nが低くなってしまう場合がある。しかし、上述したように、選択部250が背景光の時間変化の周波数から離れた周波数を選択することで、S/Nがより高い画素情報を用いて画像を生成させることができる。被写体に照射する光の波長について冗長性を持たせることで、光学的な外乱に対する耐性を高めることができる。なお、ここでは冗長性として2つの変調周波数で強度変調した光を照射する場合を説明したが、3つ以上の変調周波数で強度変調した光を照射してもよい。この場合、選択部250は、3つ以上の変調周波数のうち、背景光の時間変化の周波数との差が最も大きい変調周波数を、復調周波数として選択してよい。
【0080】
図7は、撮像シーケンスの変形例を出射光の制御シーケンスとともに示す。
図7は、変調周波数f3に対応する周期1/f3より撮像間隔を長くしつつ、復調部200が変調周波数f3で復調することで実効的に画素情報を生成するための撮像シーケンスを示す。具体的には、
図7は、撮像間隔T7を1/f3+1/(4×f3)とした場合の撮像シーケンスを示す。
【0081】
周期1/f3の1周期において時刻t71が位相0に対応するものとすると、時刻t72は位相2π/4に対応し、時刻t73は位相πに対応し、時刻t74は位相6π/4に対応する。そのため、本撮像シーケンスによれば、周期1/f3の1周期において、実効的に異なる位相で4回撮像したことになる。そこで、復調部200は、時刻t71、時刻t72、時刻t73及び時刻t74で撮像された画像710、画像720、画像730及び画像740がそれぞれ1周期内の位相0、位相2π/4、位相π、位相6π/4で撮像した画像とみなしてf3の復調周波数で復調する。これにより、周期1/f3より撮像間隔を長くしつつ、変調周波数f3で復調することでB画像の画素情報を実効的に生成することができる。
【0082】
撮像間隔T7としては、1/f3の整数倍とは異なる様々な値を採用できる。なお、Nを正数として、撮像間隔T7を(N+1/2)/f3に一致させる場合は、撮像タイミングが照射光の立ち上がりタイミングに実質的に一致しないように、照射光の立ち上がりから撮像タイミングの位相をずらすことが望ましい。
【0083】
図7では、撮像制御部120がf3より低い周波数で撮像する場合を取り上げて説明した。しかし、撮像制御部120は、変調周波数f1、変調周波数f2及び変調周波数f4のいずれか1つより低い周波数で撮像させてよい。また、撮像制御部120は、変調周波数f1、変調周波数f2、変調周波数f3及び変調周波数f4のいずれより低い周波数で撮像させてもよい。
【0084】
上述した撮像システム5は、変調周波数f1、f2、f3及びf4等の複数の単一の変調周波数で強度変調された光を照射光として用い、復調部200が、複数の単一の復調周波数で画素値を復調する。しかし、撮像システム5において、複数の特定の変調周波数で変調された光に代えて、複数の変調周波数帯で強度変調された光を用いてもよい。この場合、上述した撮像システム5において、変調周波数の記載を変調周波数帯に読み替えて適用することが可能である。変調周波数帯で強度変調された光とは、幅を持つ変調周波数帯(例えば、90Hzから110Hzなど)に属する任意の周波数で強度変調された光であってよい。複数の変調周波数帯で強度変調された光を照射光として用いる場合、復調部200は、変調周波数帯に基づく特定の複数の復調周波数で画素値を復調してよい。また、単一の変調周波数で強度変調された光と、変調周波数帯で強度変調された光とが混在してよい。すなわち、複数の変調周波数または変調周波数帯とは、単一の変調周波数と幅を持つ変調周波数のいずれかまたは両方からなることを示す。
【0085】
また、復調部200は、特定の複数の復調周波数に代えて、複数の復調周波数帯で画素値を復調してもよい。複数の復調周波数帯で画素値を復調する場合、照射光が複数の特定の変調周波数で強度変調されているときは、復調部200は、複数の特定の変調周波数に基づく複数の復調周波数帯で復調してよい。一方、照射光が複数の特定の変調周波数帯で強度変調されているときは、復調部200は、複数の特定の変調周波数帯に基づく周波数帯で復調してよい。
【0086】
一例として、複数の変調周波数帯で強度変調された光を照射光として用いる場合の動作の概要を説明する。発光制御部140が発光部130からの光を複数の変調周波数帯で強度変調させることによって、発光制御部140、発光部130及びライトガイド22から、複数の変調周波数帯で強度変調された光が出射される。撮像情報出力部150は、撮像部12によって撮像された被写体の複数の画像を、複数の変調周波数帯を示す情報に対応づけて、画像処理ユニット40へ向けて出力する。この場合、複数の変調周波数帯で強度変調された光のうちの少なくとも1つの光の強度変化の位相と、複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差を示す情報が、画像処理ユニット40へ向けて出力されてよい。
【0087】
画像処理ユニット40において、撮像情報取得部280は、複数の変調周波数帯で強度変調された光が照射された被写体が時間的に異なって撮像された複数の画像を取得する。撮像情報取得部280はまた、複数の変調周波数帯で強度変調された光のうちの少なくとも1つの光の強度変化の位相と、複数の画像がそれぞれ撮像された位相との間の位相差を示す情報を取得する。復調部200は、撮像情報取得部280が取得した複数の画像の画素値を、複数の変調周波数帯に基づく複数の復調周波数または複数の復調周波数帯で画素毎に復調することによって、複数の変調周波数帯で強度変調された光のそれぞれによる前記被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。例えば、復調部200は、撮像情報取得部280が取得した複数の画像の画素値に対して、複数の変調周波数帯を復調周波数帯として画素毎に復調する。
【0088】
変化周波数特定部240においては、復調部200が複数の変調周波数帯のうちの少なくとも1つの変調周波数帯で復調することによって得られた画素情報を周波数解析することにより、被写体の時間的な変化の周波数を特定する。復調部200はさらに、複数の画像の画素値を、複数の変調周波数帯のうち少なくとも1つの変調周波数帯と被写体の時間的な変化の周波数との和及び差の少なくとも一方の周波数を用いて、被写体の時間的な変化を表す画素情報を生成する。
【0089】
上述した撮像システム5は、被写体で反射又は散乱された光により、被写体を撮像する。しかし、撮像に用いる光は、反射又は散乱された光に限定されない。例えば、撮像システム5は、被写体が含むルミネッセンス物質を励起することによって被写体から生じるルミネッセンス光により、被写体を撮像してよい。この場合に、発光部130からの光には、当該ルミネッセンス物質を励起する励起光が成分光として含まれてよい。例えば、光源134が発光するIR光がルミネッセンス物質を励起する励起光であってよく、撮像部12は、ルミネッセンス物質がIR光で励起されて生じるルミネッセンス光を含む被写体光により、被写体を撮像してよい。この場合、撮像部12の被写体側の面には、光源134が発光するIR光の波長域の光を実質的に遮断し、ルミネッセンス光の波長域の光を透過する波長フィルタが設けられてよい。なお、ルミネッセンス物質は、被写体内に注入又は被写体の表面に塗布されてよい。また、ルミネッセンス物質は、被写体が含む自家ルミネッセンス物質であってよい。ルミネッセンス光とは、蛍光、燐光等を含む概念である。
【0090】
また、撮像システム5と同様の構成の撮像システムは、上述した腹腔鏡撮像システムの他に、内視鏡撮像システムに適用できる。また、撮像システム5と同様の構成の撮像システムは、他の様々な撮像システムに適用できる。撮像システム5は、狭所用及び暗所用の撮像システムに適用できる。撮像システム5と同様の構成の撮像システムは、例えば配管内の撮像システムや、被写体の比較的に微細な構造を撮像する撮像システムに適用できる。被写体は、生体に限定されず、工業製品等の様々な物体であってよい。
【0091】
なお、上述した撮像システム5は、異なる変調周波数で強度変調した複数の光を多重化して被写体に照射していたが、これに代えて、異なる位相で強度変調された複数の光を多重化して被写体に照射することも可能である。この場合、発光部130は、同一の変調周波数で強度変調され、同一の波長域を有し、かつ位相が異なる複数の光を多重化して照射する。一例として、複数の光は、互いの位相が90°異なっており、単一の周波数信号であればsin波とcos波の関係を有する。そして、撮像部12が照射された光の被写体光を受光し、撮像情報出力部150を介して撮像情報取得部280が撮像情報データを取得する。復調部200は、複数の画像の画素値を、照射された複数の光のそれぞれの位相情報を用いて画素毎に復調する。具体的には、復調部200は、複数の画像の画素値を、それぞれsin波とcos波で乗算することで、強度変調の位相がsin波の光による被写体からの被写体光量と、強度変調の位相がcos波の光による被写体からの被写体光量を分離する。すなわち、復調部200は、複数の光のそれぞれによる被写体からの被写体光量を示す複数の画素情報を画素毎に生成する。
【0092】
上記の説明において、画像処理ユニット40の動作として説明した処理の少なくとも一部は、プロセッサがプログラムに従ってコンピュータが有する、ハードディスク、メモリ等の各ハードウェアを制御することにより実現できる。このように、画像処理ユニット40の処理の少なくとも一部は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、ハードディスク、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現できる。すなわち、画像処理ユニット40の各部の処理、例えば撮像情報取得部280の処理、復調部200の処理、変化周波数特定部240の処理、及び画像生成部220の処理を、いわゆるコンピュータに実行させることができる。コンピュータは、上述した処理の実行を制御するプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータは、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムを読み込むことができる。また、当該プログラムは通信回線を通じてコンピュータに供給され、コンピュータは、通信回線を通じて供給されたプログラムを読み込んでよい。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。