特許第6384770号(P6384770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000002
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000003
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000004
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000005
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000006
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000007
  • 特許6384770-金属ナノ粒子の製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384770
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】金属ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20180827BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20180827BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20180827BHJP
【FI】
   B22F9/24 Z
   B82Y30/00
   B82Y40/00
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-506660(P2017-506660)
(86)(22)【出願日】2015年8月13日
(65)【公表番号】特表2017-532437(P2017-532437A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】KR2015008497
(87)【国際公開番号】WO2016024830
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0106082
(32)【優先日】2014年8月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ラン
(72)【発明者】
【氏名】キム、クアンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】バン、ジュンウプ
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ギョ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョー、ジュンイエオン
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/169078(WO,A1)
【文献】 特開2008−300046(JP,A)
【文献】 特開2006−045582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒、前記溶媒中で金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンを提供する金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する1種以上の界面活性剤、アミノ酸、およびハロゲン化物を含む溶液を形成するステップ、および
前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含み、
前記金属ナノ粒子は1種以上の金属を含むボウル状粒子を1以上含
前記金属塩は、各々、周期律表上の3から15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群より選択されたものを含む塩であり、
前記ハロゲン化物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物であり、
前記アミノ酸は、グリシンである、
金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンが前記ミセルの外表面の一部と結合し、前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンが還元されて前記ボウル状粒子を形成する、
請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化物は前記溶媒中でハロゲンイオンを提供し、前記ハロゲンイオンは前記ミセルの外表面の一部に結合して、前記ミセルの外表面の一部と前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンの結合を阻止する、
請求項1または2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記界面活性剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、
前記第1界面活性剤が形成するミセルの外側面の形状としてボウル状粒子が形成され、
前記第2界面活性剤が形成するミセル領域は空洞(cavity)が形成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒に対する前記第2界面活性剤のモル濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさ、または電荷の種類を調節して前記空洞(cavity)を形成する、
請求項4に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒に対する前記第1界面活性剤のモル濃度は、前記溶媒に対する臨界ミセルモル濃度の1倍以上5倍以下である、
請求項4または5に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記溶媒に対する前記第2界面活性剤のモル濃度は、前記溶媒に対する前記第1界面活性剤のモル濃度の0.01倍以上1倍以下である、
請求項4から6のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性イオン性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記金属塩は、互いに異なる金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンを提供する2種以上の金属塩である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記金属塩は、各々金属の硝酸化物(Nitrate)、ハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide)または硫酸化物(Sulfate)である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記溶媒に対する前記金属塩のモル濃度は、前記溶媒に対して0.1mM以上0.5mM以下である、
請求項1から10のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記溶媒に対する前記アミノ酸のモル濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩のモル濃度に対して2.5倍以下である、
請求項1から11のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
前記溶媒に対する前記ハロゲン化物のモル濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩のモル濃度に対して20倍以下である、
請求項1から12のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
前記溶媒は水を含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項15】
前記製造方法は常温で行われる、
請求項1から14のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項16】
前記金属ナノ粒子は1個または2個の前記ボウル状粒子からなる、
請求項1から15のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項17】
前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上20nm以下である、
請求項1から16のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項18】
前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過5nm以下である、
請求項1から17のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項19】
前記金属ナノ粒子は互いに異なる2以上の金属を含む、
請求項1から18のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2014年8月14日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2014−0106082号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本明細書は金属ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子はナノスケールの粒子大きさを有する粒子であり、電子遷移に必要なエネルギーが物質の大きさに応じて変化する量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)および広い比表面積によってバルク状態の物質とは全く異なる光学的、電気的、磁気的特性を示す。よって、このような性質のため、触媒分野、電気・磁気分野、光学分野、医学分野などにおける利用可能性に関する大いなる関心が集中してきた。
【0004】
ナノ粒子はバルクと分子の中間体であると言えるし、2つの方向における接近方法、すなわち、「Top−down」接近方法と「Bottom−up」接近方法の側面でナノ粒子の合成が可能である。
【0005】
金属ナノ粒子の合成方法には、溶液上で還元剤により金属イオンを還元させる方法、ガンマ線を用いた方法、電気化学的方法などがあるが、従来の方法は、均一な大きさと形状を有するナノ粒子の合成が困難であるか、有機溶媒を用いることによって環境汚染、高費用(high cost)などが問題になるなど、色々な理由で高品質のナノ粒子の経済的な大量生産が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0097801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は金属ナノ粒子の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様は、溶媒、前記溶媒中で金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンを提供する金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する1種以上の界面活性剤、アミノ酸、およびハロゲン化物を含む溶液を形成するステップ、および前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含み、前記金属ナノ粒子は1種以上の金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書の一実施態様による金属ナノ粒子の製造方法は、数ナノメートルで均一な大きさの金属ナノ粒子の大量生産が可能であり、費用の節減効果があり、製造工程で環境汚染がないという長所がある。さらに、本明細書の金属ナノ粒子の製造方法によれば、比表面積が広くて活性が向上した金属ナノ粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書のボウル状粒子断面の例を示すものである。
図2】本明細書の2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子の断面の例を示すものである。
図3】本明細書の製造方法によって形成される前記金属ナノ粒子の断面の例を示すものである。
図4】本明細書の製造方法によって形成される前記金属ナノ粒子の断面の例を示すものである。
図5】実施例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図6】比較例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図7】比較例2により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0012】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書の一実施態様は、溶媒、前記溶媒中で金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンを提供する金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する1種以上の界面活性剤、アミノ酸、およびハロゲン化物を含む溶液を形成するステップ、および前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含み、前記金属ナノ粒子は1種以上の金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0014】
本明細書における前記ボウル状とは、断面上で曲線の領域を少なくとも1つ含むものを意味することができる。または、前記ボウル状とは、断面上に曲線の領域と直線の領域が混合しているものを意味することができる。または、前記ボウル状とは半球状であってもよく、前記半球状は必ずしも球の中心を通り過ぎるように分けた形態である必要はなく球の一領域が除去された形態であってもよい。さらに、前記球は完全な球状のみを意味するのでなく、大まかな球状のものを含むことができる。例えば、球の外表面が平坦でなくてもよく、球の曲率半径が一定でなくてもよい。
【0015】
または、本明細書の前記ボウル状粒子は、中空ナノ粒子の30%〜80%の領域が連続して形成されていないものを意味することができる。または、本明細書の前記ボウル状粒子は、中空ナノ粒子の全体シェル部の30%以上80%以下の領域が連続して形成されていないものを意味することができる。
【0016】
図1には本明細書によるボウル状粒子の断面の例を示す。
【0017】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は1個または2個の前記ボウル状粒子からなることができる。
【0018】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は1個の前記ボウル状粒子で構成されることができる。この場合、前記金属ナノ粒子の断面は図1に示された断面のうちの1つであってもよい。
【0019】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は2個の前記ボウル状粒子が一部接した形態であってもよい。
【0020】
本明細書の前記2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子は中空ナノ粒子の一部が割れた形態であってもよい。
【0021】
図2には本明細書の前記2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子の断面の例を示す。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、前記ボウル状粒子が一部接した領域は接線の傾きが反転する領域を含むことができる。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記製造方法は前記金属ナノ粒子の内部に中空コアが形成されることを含むことができる。
【0024】
本明細書の前記中空とは金属ナノ粒子のコア部分が空いていることを意味する。また、前記中空は中空コアと同一の意味として用いられることができる。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空は内部物質が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上存在しない空間を含むことができる。または、内部の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上が空いている空間を含むこともできる。または、内部の孔隙率が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上の空間を含むことができる。
【0026】
本明細書の一実施態様による金属ナノ粒子の製造方法によれば、前記1種以上の界面活性剤によって形成されたミセルの内部領域が中空で形成されることを含むことができる。
【0027】
本明細書におけるシェルまたはシェル部は、前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を構成する金属層を意味することができる。具体的には、下記のシェルまたはシェル部は前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を意味することができる。
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は、中空コアおよび金属シェル部からなる金属ナノ粒子のシェル部の一部が除去された形状であってもよい。
【0028】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、1種以上の界面活性剤が溶液中でミセルを形成するステップを含むことができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、第1界面活性剤および第2界面活性剤が溶液中でミセルを形成するステップを含むことができる。
【0029】
本明細書の一実施態様によれば、1種以上の金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンが前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオン、および第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
【0030】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンが前記ミセル外表面の一部と結合し、前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンが還元されて前記ボウル状粒子を形成することであってもよい。
【0031】
本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物は前記溶媒中でハロゲンイオンを提供し、前記ハロゲンイオンは前記ミセル外表面の一部に結合して、前記ミセル外表面の一部と前記金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンの結合を阻止するものであってもよい。
【0032】
具体的には、前記ハロゲンイオンは、ミセル外表面の一部に結合して金属層が一部形成されないようにしてボウル状粒子が形成されるようにする役割をすることができる。
【0033】
本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物は金属ハロゲン化物を意味することができる。より具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物はアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を意味することができる。
【0034】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物はLiF、LiCl、LiBr、LiI、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、MgCl、MgBr、MgI、CaCl、CaBrおよびCaIからなる群より選択される1以上を含むことができる。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物の濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩の濃度に対して2.5倍以下であってもよい。具体的には、前記ハロゲン化物の濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩の濃度に対して0倍超過2.5倍以下であってもよい。
【0036】
前記ハロゲン化物の濃度が前記範囲である場合に、ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が円滑に形成されることができる。
【0037】
本明細書の一実施態様によれば、前記アミノ酸は金属ナノ粒子が互いに固まらないようにする役割をすることができる。また、前記アミノ酸は、前記金属ナノ粒子の粒径が小さく均一に形成されるようにする役割をすることができる。
【0038】
本明細書の一実施態様によれば、前記アミノ酸の濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩の濃度に対して2.5倍以下であってもよい。具体的には、前記アミノ酸の濃度は、前記溶媒に対する前記金属塩の濃度に対して0倍超過2.5倍以下であってもよい。
【0039】
前記アミノ酸の濃度が前記範囲である場合に、金属ナノ粒子が固まらないようにし、前記金属ナノ粒子の粒径を小さくする役割をすることができる。具体的には、前記アミノ酸の濃度が前記範囲である場合に、粒子が2以上固まって合成される比率が顕著に減り、金属ナノ粒子の粒径が10nm以下に合成される。
【0040】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は1種または2種の界面活性剤であってもよい。
【0041】
具体的には、前記界面活性剤が1種の場合、前記界面活性剤は溶液中でミセルを形成し、前記ミセルの外側面の一部にハロゲン化物によるハロゲンイオンが結合することができる。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、前記第1界面活性剤が形成するミセルの外側面の形状としてボウル状粒子が形成され、前記第2界面活性剤が形成するミセル領域は空洞(cavity)が形成されるものである。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記ハロゲン化物は溶液中でハロゲンイオンを提供し、前記ハロゲンイオンは前記第2界面活性剤のように前記ミセル領域を空洞に形成されるようにすることができる。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤が形成するミセルの内部領域は中空で形成され、前記ハロゲンイオンが結合されていない第1界面活性剤が形成するミセルの外側面は金属層が形成されてボウル状ナノ粒子を形成することができる。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤が形成するミセル領域は、金属層が形成されずにボウル状粒子の空いた空間となることができる。
【0046】
本明細書の前記空洞(cavity)はシェル部を形成しない空いた空間を意味することができる。具体的には、前記金属ナノ粒子が中空を含む場合、前記空洞は前記シェル部の外面から中空に達する空いた空間であってもよい。
【0047】
本明細書の前記ボウル状粒子または2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞の大きさが前記全体シェル部の30%以上を占めるものを意味することができる。
【0048】
また、前記2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞が連続して形成され、前記金属ナノ粒子の一部が割れた形態であるものを意味することができる。
【0049】
また、前記ボウル状粒子は、前記空洞が連続して形成され、ナノ粒子表面の30%以上がシェル部を形成していないものを意味することができる。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤の濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさ、または電荷の種類を調節して前記空洞(cavity)を形成することができる。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤は溶液でミセルを形成して前記金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンがシェル部を形成するようにする役割をし、前記第2界面活性剤は前記金属ナノ粒子の空洞を形成するようにする役割をすることができる。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、前記製造方法は、前記第1界面活性剤が形成するミセル領域に前記金属ナノ粒子のシェル部が形成され、前記第2界面活性剤が形成するミセル領域に前記金属ナノ粒子の空洞が形成されることを含むことができる。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第1および第2界面活性剤の濃度を異にして前記空洞の大きさまたは個数を調節するステップを含むことができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤モル濃度の0.01〜1倍であってもよい。具体的には、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤モル濃度の1/30〜1倍であってもよい。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップにおいて、前記第1界面活性剤と前記第2界面活性剤は前記濃度比に応じてミセルを形成することができる。前記第1および第2界面活性剤のモル濃度比を調節して前記金属ナノ粒子の空洞大きさまたは空洞の個数を調節することができる。さらに、前記空洞が連続して形成されるようにしてボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を製造することもできる。
【0055】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の外側端部の大きさを調節して前記空洞の大きさを調節するステップを含むことができる。
【0056】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さとは互いに異なるように調節して前記第2界面活性剤領域に空洞を形成するステップを含むことができる。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤のチェーン長さは前記第1界面活性剤のチェーン長さの0.5〜2倍であってもよい。具体的には、前記チェーン長さは炭素の個数によって決定されることができる。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤のチェーンの長さを第1界面活性剤のチェーン長さとは互いに異なるようにすることで、前記第2界面活性剤の外側端部に結合される金属塩が前記金属ナノ粒子のシェル部を形成しないようにすることができる。
【0059】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の電荷を前記第1界面活性剤の電荷とは互いに異なるように調節して空洞を形成するステップを含むことができる。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、溶媒中でミセルを形成する前記第1および第2界面活性剤の外側端部に前記第1および第2界面活性剤とは逆の電荷の第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンが位置することができる。また、前記第1金属イオンの外面には、前記第1金属イオンの電荷とは逆の前記第2金属イオンが位置することができる。
【0061】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤の外側端部に形成された前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記金属ナノ粒子のシェル部を形成し、前記第2界面活性剤の外側端部に位置する第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記シェルを形成せず空洞を形成することができる。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップにおいて、前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンのカチオンで囲まれることができる。さらに、アニオンの第2金属イオンを含む原子団イオンが前記カチオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲むカチオンが第1シェルを形成し、前記カチオンを囲むアニオンが第2シェルを形成することができる。
【0063】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップにおいて、前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンを含む原子団イオンのアニオンで囲まれることができる。さらに、カチオンである第2金属イオンまたは第2金属イオンを含む原子団イオンが前記アニオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲むアニオンが第1シェルを形成し、前記アニオンを囲むカチオンが第2シェルを形成することができる。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセルを形成する第1および第2界面活性剤領域を中空に形成するステップを含むことができる。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもカチオン性界面活性剤であってもよい。
【0066】
または、本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもアニオン性界面活性剤であってもよい。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1および第2界面活性剤が同じ電荷を有する場合、第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さとは互いに異なるようにしてミセルを形成することができる。
【0068】
具体的には、第2界面活性剤のチェーン長さの差により、第2界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンは前記第1界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンと隣接しなくなってシェル部を形成しなくなる。
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤の濃度は、溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下であってもよい。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷とは逆の電荷を有し、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と同じ電荷を有することができる。
【0070】
したがって、溶液でミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部に前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンが位置して前記ミセルの外面を囲む形態となることができる。さらに、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンの外面を囲む形態となることができる。前記第1金属塩および前記第2金属塩は還元剤によって各々第1金属および第2金属を含むシェル部を形成することができる。
【0071】
本明細書において、前記界面活性剤の外側端部はミセルを形成する前記第1または第2界面活性剤のミセル外側部を意味することができる。本明細書の前記界面活性剤の外側端部は界面活性剤の頭部を意味することができる。また、本明細書の前記外側端部は前記界面活性剤の電荷を決定することができる。
【0072】
また、本明細書の界面活性剤は外側端部の種類に応じてイオン性または非イオン性に分類され、前記イオン性は陽性、陰性、両性イオン性(zwitterionic)または両性(amphoteric)であってもよい。前記両性イオン性界面活性剤は陽性および陰性の電荷をいずれも含有する。本明細書の界面活性剤の陽性および陰性の電荷がpHに依存的であれば、両性界面活性剤であってもよく、これは一定pHの範囲で両性イオン性であってもよい。具体的には、本明細書におけるアニオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陰電荷を帯びることを意味し、カチオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陽電荷を帯びることを意味することができる。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0074】
図3および図4には本明細書の製造方法によって形成される前記金属ナノ粒子の断面の例を示す。図3および図4において、第1界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤を用い、第2界面活性剤としては非イオン性界面活性剤を用いて、前記金属ナノ粒子を製造したものを例示した。
【0075】
具体的には、図3は2個のボウル状粒子が接している金属ナノ粒子に関するものである。すなわち、第2界面活性剤が連続して分布する領域にはシェル部が形成されず、ボウル状粒子が接する部分は第2界面活性剤が非常に少ない量で分布して、シェル部が完全に形成されないようにしてボウル状粒子が接する形態となるようにする。
【0076】
また、図4は1個のボウル状粒子からなる金属ナノ粒子に関するものである。すなわち、第2界面活性剤が連続して分布する領域にシェル部が形成されずボウル状の金属ナノ粒子が形成されるようにする。
【0077】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0078】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないため、前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が非イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
【0079】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は両性イオン性界面活性剤であってもよい。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2界面活性剤が両性イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないため、前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が両性イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
【0081】
本明細書の前記アニオン性界面活性剤は、アンモニウムラウリルスルフェート、ナトリウム1−ヘプタンスルホネート、ナトリウムヘキサンスルホネート、ナトリウムドデシルスルフェート、トリエタノールアンモニウムドデシルベンゼンスルフェート、カリウムラウレート、トリエタノールアミンステアレート、リチウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、アルキルポリオキシエチレンスルフェート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびその塩、グリセリルエステル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、胆汁酸およびその塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ステアリン酸およびその塩、カルシウムステアレート、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホサクシネート、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、リン脂質およびカルシウムカルボキシメチルセルロースからなる群より選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0082】
本明細書の前記カチオン性界面活性剤は、4級(quaternary)アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、カチオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、(C12−C15)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、(C12−C15)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、四級化(quaternized)ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MIRAPOL(ポリクオタニウム−2)、Alkaquat(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、Rhodiaによって製造)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、カチオン性グアーガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンからなる群より選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0083】
本明細書の前記非イオン性界面活性剤は、SPAN 60、ポリオキシエチレン脂肪(fatty)アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、トリエタノールアミンステアレート、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択されたものであってもよい。
【0084】
本明細書の前記両性イオン性界面活性剤は、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドプロピルベタイン、ココアンホカルボキシグリシネート、サルコシネートアミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、両性イミダゾリン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−コールアミド−1−プロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、ドデシルホスフォコリンおよびスルホ−ベタインからなる群より選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下であってもよい。具体的には、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の2倍であってもよい。
【0086】
本明細書において、前記臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)は、界面活性剤が溶液中で分子またはイオンの集団(ミセル)を形成する濃度の下限を意味する。
【0087】
界面活性剤の最も重要な特性は、界面活性剤が界面、例えば、空気−液体界面、空気−固体界面および液体−固体界面上で吸着する傾向を有することである。界面活性剤が凝集した形態で存在しないという意味で遊離(free)している場合、それらはモノマーまたはユニマー(unimer)と呼ばれ、ユニマー濃度を増加させれば、それらは凝集して小さい凝集体の実体(entity)、すなわち、ミセル(micelle)を形成する。このような濃度を臨界ミセル濃度(Critical Micell Concentration)とすることができる。
【0088】
前記第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の1倍未満であれば、第1金属塩に吸着される第1界面活性剤の濃度が相対的に少なくなる。それにより、形成されるコア粒子の量も全体的に少なくなる。一方、第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5倍を超過すれば、第1界面活性剤の濃度が相対的に多くなって、中空コアを形成する金属ナノ粒子と中空コアを形成しない金属粒子が混ざって凝集しうる。よって、前記第1界面活性剤の濃度が溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下である場合に、前記金属ナノ粒子の形成が円滑になされる。
【0089】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤および/またはミセルを囲む第1および第2金属塩を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤のチェーン長さによって金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤のチェーン長さが短ければ、ミセルの大きさが小さくなり、それによって金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤のチェーンの炭素数は15個以下であってもよい。具体的には、前記チェーンの炭素数は8個以上15個以下であってもよい。または、前記チェーンの炭素数は10個以上12個以下であってもよい。
【0092】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する第1界面活性剤の対イオン(counter ion)の種類を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤の対イオンの大きさが大きいほど、第1界面活性剤の外側端部の頭部との結合力が弱くなってミセルの大きさが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
【0093】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオン(counter ion)としてNH、K、NaまたはLiを含むものであってもよい。
【0094】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがNHである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがKである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがNaである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがLiである場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオンとしてI、BrまたはClを含むものであってもよい。
【0096】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがIである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがBrである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがClである場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0097】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部の頭部の大きさを調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。さらに、ミセルの外面に形成された第1界面活性剤の頭部の大きさを大きくする場合、第1界面活性剤の頭部間の反発力が大きくなって、ミセルが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子の大きさは前記で記述された要素が複合的に作用して決定されることができる。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は溶液上でイオン化して金属イオンを提供できるものであれば特に限定されない。前記金属塩は、溶液状態でイオン化して金属イオンを含むカチオンまたは金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。
【0100】
本明細書の一実施態様による金属ナノ粒子の製造方法によれば、還元電位差を利用しないため、シェルを形成する1種または2種以上の金属イオン間の還元電位を考慮しないという長所がある。
【0101】
本明細書の前記製造方法は、金属イオン間の電荷(charge)を利用するため、従来の還元電位差を利用した金属ナノ粒子の製造方法に比べて単純である。よって、本明細書の前記金属ナノ粒子の製造方法は、大量生産が容易であり、安価で金属ナノ粒子を製造することができる。さらに、還元電位差を利用しないため、従来の金属ナノ粒子の製造方法に比べて用いる金属塩の制約が減って様々な金属塩を使用できるという長所がある。
【0102】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩の濃度は、前記溶媒に対して0.1mM以上0.5mM以下であってもよい。
【0103】
前記金属塩の濃度が前記範囲である場合に、ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が円滑に形成されることができる。前記範囲を外れる場合には、ボウル状粒子を1以上含む均一な大きさの金属ナノ粒子の合成が円滑に行われず、粒子が互いに固まって不定形の大きい粒子が形成されるという問題がある。
【0104】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は互いに異なる金属イオンまたは前記金属イオンを含む原子団イオンを提供する2種以上の金属塩であってもよい。具体的には、前記溶液は2種の金属塩を含むことができ、前記溶液に含まれる第1金属塩と第2金属塩は互いに異なってもよい。より具体的には、前記第1金属塩は金属イオンを含むカチオンを提供し、前記第2金属塩は金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。具体的には、前記第1金属塩はNi2+のカチオンを提供し、前記第2金属塩はPtCl2−のアニオンを提供することができる。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は、各々、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群より選択されたものを含む塩であってもよい。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は、各々、金属の硝酸化物(Nitrate)、ハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide)または硫酸化物(Sulfate)であってもよい。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、具体的には、前記1種または2種以上の金属塩は互いに異なり、各々独立して、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群より選択された金属の塩であってもよい。
【0108】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は少なくとも白金(Pt)の塩を含むことができる。また、本明細書の一実施態様によれば、前記金属塩は、白金(Pt)の塩、ニッケル(Ni)の塩およびコバルト(Co)の塩からなる群より選択される1以上を含むことができる。
【0109】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップにおける前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は1:5〜10:1であってもよい。具体的には、前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は2:1〜5:1であってもよい。
【0110】
前記第1金属塩のモル数が前記第2金属塩のモル数より少なければ、第1金属イオンが中空を含む第1シェルを形成し難い。また、第1金属塩のモル数が第2金属塩のモル数より10倍を超過すれば、第2金属イオンが第1シェルを囲む第2シェルを形成し難い。よって、前記範囲内で第1および第2金属イオンが円滑に前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、安定化剤をさらに添加するステップをさらに含むことができる。
【0112】
安定化剤としては、例えば、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムからなる群より選択された1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記還元剤と共に非イオン性界面活性剤をさらに添加することを含むことができる。
【0114】
前記非イオン性界面活性剤はシェルの表面に吸着され、溶液内で形成された金属ナノ粒子が均一に分散されるようにする役割をする。よって、金属粒子が固まったり凝集して沈殿するのを防止し、金属ナノ粒子が均一な大きさに形成されるようにする。前記非イオン性界面活性剤の具体的な例示は前述した非イオン性界面活性剤の例示と同様である。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒は水を含む溶媒であってもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒は第1金属塩および第2金属塩を溶解させるものであり、水または水と炭素数1〜6のアルコールの混合物であってもよく、より具体的には水であってもよい。本明細書による前記製造方法は、溶媒として有機溶媒を用いないため、製造工程中で有機溶媒を処理する後処理工程が必要でなく、よって、費用の節減効果および環境汚染の防止効果がある。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記製造方法は常温で行われることができる。具体的には、4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。
【0117】
本明細書の一実現例において、前記溶液を形成するステップは常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。溶媒として有機溶媒を用いれば、100℃を超過する高温で製造しなければならないという問題がある。本出願は常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液に還元剤および/または非イオン性界面活性剤を添加する空洞を含む金属ナノ粒子を形成するステップも常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。本明細書の前記製造方法は常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0119】
本明細書の一実施態様によれば、前記還元剤の標準還元電位は−0.23V以下であってもよい。
【0120】
前記還元剤は標準還元電位が−0.23V以下、具体的には−4V以上−0.23V以下の強い還元剤であり、且つ、溶解された金属イオンを還元させて金属粒子として析出できる還元力を有するものであれば特に限定されない。具体的には、前記還元剤はNaBH、NHNH、LiAlHおよびLiBEtHからなる群より選択された少なくともいずれか1つであってもよい。
【0121】
弱い還元剤を用いる場合、反応速度が遅く、溶液の後続的な加熱が必要であるなど、連続工程化し難いので大量生産に問題があり、特に、弱い還元剤の一種であるエチレングリコールを用いる場合、高い粘度による流れ速度の低下により連続工程での生産性が低いという問題点がある。よって、本明細書の前記還元剤を用いる場合には前記問題点を克服することができる。
【0122】
本明細書の一実施態様によれば、前記製造方法は、前記金属ナノ粒子を形成するステップ後、または中空内部の界面活性剤を除去するステップ後に前記金属ナノ粒子に酸を加えてカチオン性金属を除去するステップをさらに含むことができる。このステップにおいて金属ナノ粒子に酸を加えれば、3dバンド(band)金属が溶出される。前記カチオン性金属は、具体的にはルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群より選択されたものであってもよい。
【0123】
本明細書の一実施態様によれば、前記酸は特に限定されず、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸および臭化水素酸からなる群より選択されたものを用いることができる。
【0124】
本明細書の一実施態様によれば、前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上20nm以下であってもよく、具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上15nm以下であってもよい。より具体的には、前記ボウル状粒子の粒径は3nm以上10nm以下であってもよい。
【0125】
金属ナノ粒子の粒径が20nm以下の場合に、ナノ粒子を色々な分野で利用できるという長所がある。また、金属ナノ粒子の粒径が10nm以下の場合に、粒子の表面積がより広くなるため、色々な分野で利用できる応用可能性がより大きくなるという長所がある。例えば、前記粒径範囲で形成された中空金属ナノ粒子が触媒として用いられれば、その効率が顕著に上昇する。
【0126】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子の粒径は、金属ナノ粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲内であってもよい。具体的には、前記金属ナノ粒子の粒径は、金属ナノ粒子の平均粒径の90%〜110%の範囲内であってもよい。前記範囲を外れる場合には、金属ナノ粒子の大きさが全体的に不均一になるため、金属ナノ粒子によって要求される特有の物性値を確保し難い。例えば、金属ナノ粒子の平均粒径の80%〜120%範囲を外れる金属ナノ粒子が触媒として用いられる場合には、触媒の活性が多少不十分になる。
【0127】
本明細書の前記ボウル状粒子の粒径とは、前記ボウル状粒子の一末端領域から他の一領域までの直線上の最長距離を意味することができる。または、前記ボウル状粒子の粒径とは、前記ボウル状粒子を含む仮想の球の粒径を意味することができる。
【0128】
本明細書の一実施態様による金属ナノ粒子の製造方法によれば、前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を1以上製造することができる。
【0129】
また、本明細書の一実施態様による金属ナノ粒子の製造方法によれば、高収率で前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を製造することができる。
【0130】
具体的には、本明細書の一実施態様による製造方法によれば、前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子は70%以上の収率で製造されることができる。より具体的には、本明細書の一実施態様による製造方法によれば、前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子は80%以上の収率で製造されることができる。
【0131】
本明細書の一実施態様によれば、前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過5nm以下であってもよい。具体的には、前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過3nm以下であってもよい。
【0132】
本明細書において、前記ボウル状粒子の厚さとは、ボウル状粒子をなす金属層の厚さを意味することができる。
【0133】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は互いに異なる2以上の金属を含むことができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記金属ナノ粒子は互いに異なる2種または3種の金属を含むことができる。具体的には、前記金属ナノ粒子は前記金属塩に含まれた金属イオンが還元された金属を含むことができる。
【0134】
本明細書の前記ナノ粒子は一般的にナノ粒子が用いられる分野で従来のナノ粒子の代わりに用いられることができる。本明細書の前記金属ナノ粒子は、従来のナノ粒子に比べて、大きさが非常に小さく、比表面積がより広いため、従来のナノ粒子に比べて優れた活性を示すことができる。具体的には、本明細書の前記金属ナノ粒子は触媒、ドラッグ・デリバリー(drug delivery)、ガスセンサなどの様々な分野に用いられることができる。前記ナノ粒子は、触媒として化粧品、殺虫剤、動物栄養剤または食品補充剤において活性物質製剤として用いられることもでき、電子製品、光学用品または重合体において顔料として用いられることもできる。
【実施例】
【0135】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本明細書による実施例は色々な他の形態に変形されてもよく、本明細書の範囲が下記で記述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0136】
[実施例1]
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムヘキサンスルホネート(sodium hexanesulfonate)、第2界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)、アミノ酸としてグリシン(glycine)およびNaBrを蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSのモル濃度はナトリウムヘキサンスルホネートのモル濃度の2/3倍であった。また、グリシンの濃度はKPtCl濃度の約2.5倍であり、NaBrの濃度はKPtCl濃度の約20倍であった。
【0137】
次に、還元剤としてNaBHを添加して一日間反応させた。
【0138】
その後、14,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
【0139】
前記実施例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図5に示す。
【0140】
前記実施例1による金属ナノ粒子の平均粒径は10nmであった。また、ボウル状粒子を含む金属ナノ粒子の比率は約80%以上であった。
【0141】
[比較例1]
グリシンおよびNaBrを含まない溶液を形成したことを除いては、実施例1と同様の方法によって金属ナノ粒子を製造した。
【0142】
前記比較例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図6に示す。図6によれば、円内に表示されたように粒子同士が互いに固まって巨大化された粒子が多く形成されたことが分かる。
【0143】
前記比較例1による金属ナノ粒子の平均粒径は12nmであり、ボウル状粒子を含む金属ナノ粒子の比率は約30%であった。
【0144】
[比較例2]
NaBrを含まない溶液を形成したことを除いては、実施例1と同様の方法によって金属ナノ粒子を製造した。
【0145】
前記比較例2により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図7に示す。
【0146】
前記比較例2による金属ナノ粒子の平均粒径は10nmであった。但し、ボウル状粒子を含む金属ナノ粒子の比率は約55%であった。
【0147】
前記実施例および比較例による金属ナノ粒子によれば、アミノ酸のグリシンを含む溶液を用いて金属ナノ粒子を形成する場合、金属ナノ粒子の粒径が小さくなって表面積のより大きい金属ナノ粒子が形成されることが分かる。また、ハロゲン化物のNaBrを含む溶液を用いて金属ナノ粒子を形成する場合、ボウル状ナノ粒子の収率が大幅に増加することが分かる。よって、アミノ酸およびハロゲン化物を同時に含む溶液を用いた実施例による金属ナノ粒子は、粒径が小さいボウル状粒子を含む金属ナノ粒子を高収率で製造できるという長所がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7