特許第6384983号(P6384983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384983
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】送信装置、送信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20180827BHJP
   H04L 29/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H04W28/06
   H04L13/00 305C
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-39808(P2014-39808)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-164277(P2015-164277A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2017年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 史貴
(72)【発明者】
【氏名】平栗 健史
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−122226(JP,A)
【文献】 特開2004−349884(JP,A)
【文献】 特開2007−116411(JP,A)
【文献】 特開2004−023311(JP,A)
【文献】 特開2009−239481(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0140634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットを生成するパケット生成部と、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部と、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部と
を具備し、
前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続しているときは、前記時間長が長くなるように、前記値を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続していないときは、前記時間長が短くなるように、前記値を決定することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
パケットを生成するパケット生成部と、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部と、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部と
を具備し、
前記パケット長決定部は、前記パケット生成部が生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長のパケットについて、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続している数を参照して、前記値を決定することを特徴とする送信装置。
【請求項4】
パケットを生成するパケット生成部と、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部と、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部と
を具備し、
前記パケット長決定部は、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補を決定し、前記複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
受信側におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケットの時間長を決める値を決定する第1の過程と、
前記第1の過程にて決定した値に従い、パケットを生成する第2の過程と、
前記第2の過程にて生成したパケットを送信する第3の過程と
を有し、
前記第1の過程において、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続しているときは、前記時間長が長くなるように、前記値を決定することを特徴とする送信方法。
【請求項6】
受信側におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケットの時間長を決める値を決定する第1の過程と、
前記第1の過程にて決定した値に従い、パケットを生成する第2の過程と、
前記第2の過程にて生成したパケットを送信する第3の過程と
を有し、
前記第1の過程において、前記第2の過程において生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長のパケットについて、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続している数を参照して、前記値を決定することすることを特徴とする送信方法。
【請求項7】
受信側におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケットの時間長を決める値を決定する第1の過程と、
前記第1の過程にて決定した値に従い、パケットを生成する第2の過程と、
前記第2の過程にて生成したパケットを送信する第3の過程と
を有し、
前記第1の過程において、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記第2の過程にて生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補を決定し、前記複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択することを特徴とする送信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
パケットを生成するパケット生成部、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部
として機能させるためのプログラムであって、
前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続しているときは、前記時間長が長くなるように、前記値を決定することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
パケットを生成するパケット生成部、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部
として機能させるためのプログラムであって、
前記パケット長決定部は、前記パケット生成部が生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長のパケットについて、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続している数を参照して、前記値を決定することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
パケットを生成するパケット生成部、
前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部、
受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部
として機能させるためのプログラムであって、
前記パケット長決定部は、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補を決定し、前記複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、送信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信するデータを分割し、分割したデータ各々にヘッダを付加して送信する送信装置がある。例えば、特許文献1に記載のデータ送信装置は、パケットを分割した分割データに、その分割データのパケットにおける構成順序を示すブロック番号、同一のパケットに属する全ての分割データの数を示す個数情報、その分割データが属するパケットを識別するパケット識別情報などを付加して、送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4374015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信においては、良好な実効スループットを得られないことがあるという問題がある。例えば、分割データの長さに比べて、非常に短い時間、干渉波やフェージングの影響を受けて伝搬誤りが発生すると、影響を受けたのは一部でも、その分割データ全体が誤りとなる。このため、その分割データのうち、干渉波やフェージングの影響を受けていない部分の伝送が無駄となり、実効スループットが低くなる。また、この無駄を発生させないために、分割データの長さを短くすると、ヘッダなどによるオーバーヘッドが大きくなり、実効スループットが低くなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、良好な実効スループットが得られる送信装置、送信方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、パケットを生成するパケット生成部と、前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部と、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部とを具備することを特徴とする送信装置である。
【0007】
(2)また、本発明の他の態様は、(1)に記載の送信装置であって、前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続しているときは、前記時間長が長くなるように、前記値を決定することを特徴とする。
【0008】
(3)また、本発明の他の態様は、(1)または(2)に記載の送信装置であって、前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続していないときは、前記時間長が短くなるように、前記値を決定することを特徴とする。
【0009】
(4)また、本発明の他の態様は、(1)に記載の送信装置であって、前記パケット長決定部は、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続している数を参照して、前記値を決定することを特徴とする。
【0010】
(5)また、本発明の他の態様は、(4)に記載の送信装置であって、前記パケット長決定部は、前記パケット生成部が生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長のパケットであって、前記受信側において前記パケットの受信失敗が連続している数を参照して、前記値を決定することを特徴とする。
【0011】
(6)また、本発明の他の態様は、(1)に記載の送信装置であって、前記パケット長決定部は、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補を決定し、前記複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択することを特徴とする。
【0012】
(7)また、本発明の他の態様は、(1)に記載の送信装置であって、前記パケットを再送する際に、再送回数が増える度に、パケットを分割して小さくする再送パケット生成部を具備することを特徴とする。
【0013】
(8)また、本発明の他の態様は、パケットを生成するパケット生成部と、前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部と、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択するパケット長決定部とを具備することを特徴とする送信装置である。
【0014】
(9)また、本発明の他の態様は、受信側におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケットの時間長を決める値を決定する第1の過程と、前記第1の過程にて決定した値に従い、パケットを生成する第2の過程と、前記第2の過程にて生成したパケットを送信する第3の過程とを有することを特徴とする送信方法である。
【0015】
(10)また、本発明の他の態様は、パケットを生成する第1の過程と、前記第1の過程にて生成したパケットを送信する第2の過程と、前記第1の過程にて生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択する第3の過程とを有することを特徴とする送信方法である。
【0016】
(11)また、本発明の他の態様は、コンピュータを、パケットを生成するパケット生成部、前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部、受信側における前記パケットの受信失敗の連続性を参照して、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値を決定するパケット長決定部として機能させるためのプログラムである。
【0017】
(12)また、本発明の他の態様は、コンピュータを、パケットを生成するパケット生成部、前記パケット生成部が生成したパケットを送信する送信部、前記パケット生成部が生成するパケットの時間長を決める値の複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、前記候補の中から前記値を選択するパケット長決定部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、良好な実効スループットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態における送信装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図3】同実施形態におけるパケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。
図4】同実施形態における送信装置10の動作例1を説明するタイミングチャートである。
図5】同実施形態における送信装置10の動作例2を説明するタイミングチャートである。
図6】この発明の第2の実施形態におけるパケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。
図7】この発明の第3の実施形態におけるパケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。
図8】この発明の第4の実施形態における再送パケット生成部106の動作を説明するフローチャートである。
図9】この発明の第1から第3の実施形態の変形例における送信装置10の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、この発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示す概略ブロック図である。送信装置10は、パケットを無線送信する。送信装置10は、このパケットに対する応答から、受信装置20が受信に失敗したパケットの連続性を判定し、その判定結果からパケットの時間長を決定する。受信装置20において受信装置20は、そのパケットを受信する。受信装置20は、受信したパケットに対して、誤り検出を行う。受信装置20は、この誤り検出で、誤りが検出されなければ受信成功とみなし、肯定応答(ACKともいう)を送信装置10に送信する。また、受信装置20は、この誤り検出で、誤りが検出されると受信失敗とみなし、否定応答(NACKともいう)を送信装置10に送信する。
【0021】
図2は、送信装置10の構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように、送信装置10は、バッファ部101、パケット生成部102、無線送信部103、送信アンテナ104、パケット記憶部105、再送パケット生成部106、受信アンテナ107、無線受信部108、応答復号部109、パケット長決定部110を含む。なお、無線送信部103と、送信アンテナ104とで、送信部111として機能する。無線受信部108と、受信アンテナ107とで、受信部112として機能する。
【0022】
バッファ部101は、上位層から入力された送信データを記憶する。パケット生成部102は、バッファ部101が記憶する送信データから、パケット長決定部が決定したバイト数のデータを切り出す。パケット生成部102は、切り出したデータを伝送路符号化する。伝送路符号化には、例えば、LDPC(低密度パリティ検査符号)、リード・ソロモン符号などを用いる。パケット生成部102は、伝送路符号化したデータにヘッダと、誤り検出符号とを付加して、パケットを生成する。パケット生成部102は、生成したパケットを変調する。変調には、BPSK(Binary Phase Shift Keying;二相位相偏移変調)、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四位相偏移変調)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation;直角位相振幅変調)などを用いる。
【0023】
無線送信部103は、パケット生成部102が変調したパケットおよび再送パケット生成部106が変調した再送パケットを、無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナ104を用いて無線送信する。送信アンテナ104は、無線送信用のアンテナである。パケット記憶部105は、パケット生成部102が生成したパケットを記憶する。再送パケット生成部106は、応答復号部109から応答として否定応答が入力されると、対応するパケットを、パケット記憶部105から読み出す。再送パケット生成部106は、読み出したパケットから再送パケットを生成して、変調する。
【0024】
受信アンテナ107は、受信用のアンテナである。無線受信部108は、受信アンテナ107を介して、受信装置20が送信した応答を受信する。無線受信部108は、受信した応答をベースバンド周波数にダウンコンバートする。応答復号部109は、無線受信部108によりダウンコンバートされた応答を復号する。応答復号部109は、復号結果の応答を、再送パケット生成部106とパケット長決定部110に入力する。
【0025】
パケット長決定部110は、受信装置20におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケットのバイト数を決定することで、パケットの時間長を決定する。パケット長決定部110は、受信装置20におけるパケットの受信失敗の連続性を、応答復号部109から入力された応答に基づき判定する。より具体的には、パケット長決定部110は、応答復号部109から入力された応答が連続して否定応答となったときは、受信失敗が連続していると判定し、パケットのバイト数を増加させる。増加のさせ方は、例えば、予め決められた増加率を、そのときのバイト数に乗じてもよいし、予め決められたバイト数を、そのときのバイト数に加えてもよい。
【0026】
また、パケット長決定部110は、応答復号部109から入力された応答が否定応答となったが、連続しなかったときは、受信失敗が連続していないと判定し、パケットのバイト数を減少させる。減少のさせ方は、例えば、予め決められた減少率を、そのときのバイト数に乗じてもよいし、予め決められたバイト数を、そのときのバイト数から引いてもよい。
【0027】
図3は、パケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。パケット長決定部110は、まず、否定受信済フラグをOFFにして初期化する(Sa1)。次に、パケット長決定部110は、応答復号部109から応答を取得する(Sa2)。パケット長決定部110は、取得した応答が肯定応答であるか否かを判定する(Sa3)。肯定応答であると判定したときは(Sa3−Yes)、パケット長決定部110は、否定受信済フラグがONであるか否かを判定する(Sa4)。
【0028】
ステップSa4にて、否定受信済フラグがONであると判定したときは(Sa4−Yes)、一回、否定応答を受信した後、肯定応答を受信しているので、パケット長決定部110は、バイト数を減らすことで、パケット長を減少させる(Sa5)。その後、処理は、ステップSa6に進む。一方、ステップSa4にて、否定受信済フラグがONでないと判定したときは(Sa4−No)、処理は、そのままステップSa6に進む。ステップSa6では、パケット長決定部110は、否定受信済フラグをOFFにする。その後、処理は、ステップSa2に戻る。
【0029】
ステップSa3にて、肯定応答でないと判定したときは(Sa3−No)、パケット長決定部110は、否定受信済フラグがONであるか否かを判定する(Sa7)。否定受信済フラグがONであると判定したときは(Sa7−Yes)、一回、否定応答を受信した後、さらに否定応答を受信しているので、パケット長決定部110は、バイト数を加えることで、パケット長を増加させる(Sa8)。次に、処理は、ステップSa6に進む。また、ステップSa7にて、否定受信済フラグがONでないと判定したときは(Sa7−No)、肯定応答を受信した後の最初の否定応答の受信であるので、パケット長決定部110は、否定受信済フラグをONにする(Sa9)。その後、処理は、ステップSa2に戻る。
【0030】
図4図5は、送信装置10の動作例を説明するタイミングチャートである。図4において、横軸は、時間である。符号P1、P2、P3、・・・が付された矩形は、送信装置10が送信するパケットの信号である。符号R0、R1、R2、・・・・が付された矩形は、受信装置20が送信する応答の信号である。応答の信号R1は、パケットの信号P1に対する応答であり、応答の信号R2は、パケットの信号P2に対する応答である。網掛けが付された応答の信号は、否定応答の信号であり、その他の応答の信号は、肯定応答の信号である。
【0031】
図4では、応答の信号R1、R2が否定応答の信号であり、応答の信号R3が肯定応答の信号である。このため、パケット長決定部110は、受信装置20における受信失敗が連続していると判定し、バイト数を大きくする。その結果、パケットP5の時間長が、それまでのパケットP1、P2、P3、P4に比べて長くなっている。一方、図5では、応答の信号R1が否定応答の信号であり、応答の信号R2が肯定応答の信号である。このため、パケット長決定部110は、受信装置20における受信失敗が連続していないと判定し、バイト数を小さくする。その結果、パケットP4、P5の時間長が、それまでのパケットP1、P2、P3に比べて短くなっている。
【0032】
このように、パケット長決定部110は、受信装置20におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、パケット生成部102が生成するパケットの時間長を決める値(バイト数)を決定する。
これにより、パケットの時間長を、干渉波、フェージングなどの伝搬誤りが発生する原因が生じている時間長さに応じたものとすることができる。すなわち、伝搬誤りにより、受信失敗となるデータの量を抑えつつ、パケットのヘッダなどによるオーバーヘッドを抑えることができる。したがって、良好な実効スループットを得ることができる。
【0033】
さらに、パケット長決定部110は、受信装置20においてパケットの受信失敗が連続しているときは、時間長が長くなるように、バイト数を決定する。
これにより、受信装置20において干渉を起こしている干渉波の時間長さが長いときは、パケットの時間長を長くして、パケットのヘッダなどによるオーバーヘッドを抑えることができる。
【0034】
また、パケット長決定部110は、受信装置20においてパケットの受信失敗が連続していないときは、時間長が短くなるように、バイト数を決定する。
これにより、受信装置20において干渉を起こしている干渉波の時間長さが短いときは、パケットの時間長を短くして、受信失敗となるデータの量を抑えることができる。
【0035】
なお、図3のステップSa5、Sa8にてパケット長を変更した後は、所定の時間やパケット数の間、パケット長を変更しないようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、パケットの受信失敗が連続したときに、連続した数が多いほど、バイト数を増やす幅、または倍率を大きくするようにしてもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における送信装置10も、第1の実施形態の送信装置10と同様の構成であるが、パケット長決定部110の動作が異なる。本実施形態におけるパケット長決定部110は、否定応答を受信すると、所定の数だけパケットを送信する間、パケットのバイト数を最小にする。そのときに、受信装置20において受信失敗がどれだけ連続したかによって、バイト数を決定する。
【0037】
図6は、本実施形態におけるパケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。まず、パケット長決定部110は、応答復号部109から復号した応答を取得する(Sb1)。次に、パケット長決定部110は、取得した応答が否定応答であるか否かを判定する(Sb2)。否定応答でないと判定したときは(Sb2−No)、処理はステップSb1に戻る。
【0038】
一方、ステップSb2にて、否定応答であると判定したときは(Sb2−Yes)、パケット長決定部110は、パケット生成部102に指定可能なバイト数のうち、最も小さいバイト数を、パケット生成部102に入力する。これにより、パケットの時間長を、パケット生成部102が生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長にする(Sb3)。次に、パケット長決定部110は、応答を取得して記憶することを、所定回数繰り返す(Sb4、Sb5)。次に、パケット長決定部110は、ステップSb4にて記憶した応答の中から、連続した否定応答を検出する(Sb6)。
【0039】
次に、パケット長決定部110は、連続した否定応答の、連続の回数の平均を算出する(Sb7)。パケット長決定部110は、パケット生成部102に指定可能なバイト数のうち、ステップSb7にて算出した平均を、ステップSb3にて指定したバイト数に乗じた値に最も近いものを、パケット生成部102に指定する(Sb8)。その後、処理は、ステップSb1に戻る。
なお、ステップSb8にてパケット長(バイト数)を決定した後は、所定の時間やパケット数の間、バイト数を変更しないようにしてもよい。
【0040】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、良好な実効スループットを得ることができる。
また、このように、パケット長決定部110は、受信装置20においてパケットの受信失敗が連続している数を参照して、バイト数を決定する。
これにより、パケットの時間長を、干渉波、フェージングなどの伝搬誤りが発生する原因が生じている時間長さに応じたものとすることができる。したがって、伝搬誤りにより、受信失敗となるデータの量を抑えつつ、パケットのヘッダなどによるオーバーヘッドを抑えることができる。
【0041】
さらに、パケット長決定部110は、パケット生成部102が生成可能なパケットの時間長のうち、最短の時間長のパケットのときに、パケットの受信失敗が連続している数をカウントする。
これにより、干渉波、フェージングなどの伝搬誤りが発生する原因が生じている時間長さを、より細かい単位で計測していることなる。すなわち、パケットの時間長を決める際に参照する、干渉波、フェージングなどの伝搬誤りが発生する原因が生じている時間長さを、高い精度で計測することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態における送信装置10も、第1の実施形態の送信装置10と同様の構成であるが、パケット長決定部110の動作が異なる。本実施形態におけるパケット長決定部110は、否定応答を受信すると、第1の実施形態と同様にして決定したバイト数と、その周辺の値を候補する。そして、パケット長決定部110は、これらの候補各々を用いたときの実効スループットを測定し、最も実効スループットの大きかった候補を、選択する。
【0043】
図7は、本実施形態におけるパケット長決定部110の動作を説明するフローチャートである。まず、パケット長決定部110は、応答復号部109から復号した応答を取得する(Sc1)。次に、パケット長決定部110は、取得した応答が否定応答であるか否かを判定する(Sc2)。否定応答でないと判定したときは(Sc2−No)、処理はステップSc1に戻る。
【0044】
一方、ステップSc2にて、否定応答であると判定したときは(Sc2−Yes)、パケット長決定部110は、第1の実施形態におけるパケット長決定部110と同様にして決定したバイト数を、基準の候補とする。すなわち、パケット長決定部110は、この否定応答の次が肯定応答となったときは、そのときのバイト数よりも小さいバイト数を、基準の候補とし、この否定応答の次も否定応答となったときは、そのときのバイト数よりも大きいバイト数を、基準の候補とする。
【0045】
パケット長決定部110は、基準の候補と、基準の候補よりも所定の数だけ大きい値と、基準の候補よりも所定の数だけ小さい値とを、パケット長候補とする(Sc3)。次に、パケット長決定部110は、パケット長候補(バイト数)各々を、パケット生成部102に指定したときの実効スループットを測定する(Sc4)。実効スループットの測定は、例えば、所定の時間Tで取得された肯定応答の数に、パケット生成部102に指定したバイト数を乗じた後、所定の時間Tで除することで得られる。次に、パケット長決定部110は、測定した実効スループットが最大となった候補を選択し、パケット生成部102に指定する(Sc5)。その後、処理は、ステップSc1に戻る。
【0046】
なお、ステップSc3にて、第2の実施形態におけるパケット長決定部110と同様にして基準の候補を決定してもよい。
また、ステップSc5にてパケット長(バイト数)を決定した後は、所定の時間やパケット数の間、バイト数を変更しないようにしてもよい。
【0047】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、良好な実効スループットを得ることができる。
また、このように、パケット長決定部110は、受信装置20におけるパケットの受信失敗の連続性を参照して、バイト数の複数の候補を決定する。そして、パケット長決定部110は、これら複数の候補各々を用いたときに測定した実効スループットを参照して、候補の中からバイト数を選択する。
これにより、測定した実効スループットにより、バイト数が決められるので、良好な実効スループットを得ることができる。
【0048】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態における送信装置10も、第1の実施形態の送信装置10と同様の構成であるが、再送パケット生成部106の動作が異なる。本実施形態における再送パケット生成部106は、再送回数が増える度に、パケットを分割する。
【0049】
図8は、本実施形態における再送パケット生成部106の動作を説明するフローチャートである。まず、再送パケット生成部106は、応答復号部109から応答を取得する(Sd1)。次に、再送パケット生成部106は、取得した応答が否定応答であるか否かを判定する(Sd2)。否定応答でないと判定したときは(Sd2−No)、処理はステップSd1に戻る。
【0050】
一方、ステップSd2にて、否定応答であると判定したときは(Sd2−Yes)、再送パケット生成部106は、否定応答の対象となったパケットを、パケット記憶部105から取得する(Sd3)。再送パケット生成部106は、取得したパケットのデータ(ペイロード)を2つに分割して、それぞれをペイロードとする再送パケットを生成する(Sd4)。このように、再送の度に、ペイロードを2つに分割しているので、再送回数が多くなるほど、パケットのバイト数は小さくなる。そして、これらの再送パケットは、無線送信部103に入力される。ステップSd4の後、処理は、ステップSd1に戻る。なお、ステップSd4では、2つに分割しているが、この分割は等分割でなくてもよいし、3つ以上に分割してもよい。
【0051】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、良好な実効スループットを得ることができる。
また、このように、再送パケット生成部106は、パケットを再送する際に、再送回数が増える度に、パケットを分割する。
これにより、再送を受信した受信側で、分割したパケットのうちの一部を受信成功したときに、全てを再送しなくても良いようにすることができる。
【0052】
なお、本実施形態において、パケット長決定部110は、第1の実施形態におけるパケット長決定部110と同様であるとして説明したが、第2または第3の実施形態におけるパケット長決定部110と同様であってもよい。
【0053】
また、上述の各実施形態では、パケットのバイト数を決定することで、パケットの時間長を決定しているが、変調多値数、符号化率など、その他の値を決定することでパケットの時間長を決定してもよい。さらに、パケット長決定部110は、パケットの時間長を決定するパケットのバイト数、変調多値数、符号化率などのうち、いくつかは、他の要因により値が決められるときには、残りの値を決定することで、パケットの時間長を決定する。
【0054】
また、第1から第3の実施形態では、送信装置10は否定応答を受信すると、再送を行っているが、再送は行わなくてもよい。その場合、送信装置10は、図9に示すように、再送パケット生成部106、パケット記憶部105を有しない。
【0055】
また、図1図9における送信装置10の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより送信装置10を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0056】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0057】
また、上述した図1図9における送信装置10の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。ハイブリッド、モノリシックのいずれでも良い。一部は、ハードウェアにより、一部はソフトウェアにより機能を実現させても良い。
また、半導体技術の進歩により、LSIに代替する集積回路化等の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0058】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10…送信装置
20…受信装置
101…バッファ部
102…パケット生成部
103…無線送信部
104…送信アンテナ
105…パケット記憶部
106…再送パケット生成部
107…受信アンテナ
108…無線受信部
109…応答復号部
110…パケット決定部
111…送信部
112…受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9