(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384997
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】へリングボーンコイル製氷装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/08 20060101AFI20180827BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
F25C1/08 Z
F25B1/00 396D
F25B1/00 396R
F25B1/00 399Y
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-211929(P2014-211929)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-80254(P2016-80254A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】根本 貴司
(72)【発明者】
【氏名】赤星 信次郎
(72)【発明者】
【氏名】山岡 弘明
(72)【発明者】
【氏名】前西 秀幸
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−172416(JP,A)
【文献】
特開2004−177041(JP,A)
【文献】
特開2001−304775(JP,A)
【文献】
特開2011−043269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00−5/20
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NH3を一次冷媒として、CO2を二次冷媒として用い、NH3循環流路とCO2循環流路とをカスケードコンデンサで接続してなるCO2二次冷媒方式の冷凍装置を備え、被冷却媒体内に管路を介して前記二次冷媒としてのCO2冷媒を通流させるヘリングボーンコイル製氷装置であって、
前記管路は、
直線状に延びて前記CO2二次冷媒が流れるCO2冷媒液供給管と、
前記CO2冷媒液供給管に沿って延びて、該CO2冷媒液供給管の下流側端部に連通して前記CO2冷媒液供給管の上流側へ延びるヘリングボーンコイル液ヘッダー管と、
前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の上方に該ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に沿って延設されたヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管と、
一端部が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され他端部が前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されたヘリングボーンコイル冷却管と、を含み、
前記ヘリングボーンコイル冷却管は、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間を前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管が延びる方向に所定間隔を有して複数設けられ、
前記複数のヘリングボーンコイル冷却管は、前記CO2冷媒が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の流入端から流入して前記複数のヘリングボーンコイル冷却管の夫々を通って前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の排出端から排出されるまでの夫々の流路長が揃えられるように、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間に連設され、
前記ヘリングボーンコイル冷却管は、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の下流側から上流側方向へ延びて上方へ屈曲して前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の上流側から下流側方向へ延びるように構成されている
ことを特徴とするヘリングボーンコイル製氷装置。
【請求項2】
NH3を一次冷媒として、CO2を二次冷媒として用い、NH3循環流路とCO2循環流路とをカスケードコンデンサで接続してなるCO2二次冷媒方式の冷凍装置を備え、被冷却媒体内に管路を介して前記二次冷媒としてのCO2冷媒を通流させるヘリングボーンコイル製氷装置であって、
前記管路は、
直線状に延びて前記CO2二次冷媒が流れるCO2冷媒液供給管と、
前記CO2冷媒液供給管に沿って延びて、該CO2冷媒液供給管の下流側端部に連通して前記CO2冷媒液供給管の上流側へ延びるヘリングボーンコイル液ヘッダー管と、
前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の上方に該ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に沿って延設されたヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管と、
一端部が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され他端部が前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されたヘリングボーンコイル冷却管と、を含み、
前記ヘリングボーンコイル冷却管は、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間を前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管が延びる方向に所定間隔を有して複数設けられ、
前記複数のヘリングボーンコイル冷却管は、前記CO2冷媒が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の流入端から流入して前記複数のヘリングボーンコイル冷却管の夫々を通って前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の排出端から排出されるまでの夫々の流路長が揃えられるように、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間に連設され、
前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管が一対設けられ、
前記一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管の一端部及び前記CO2冷媒液供給管の一端部間を連通するCO2冷媒液分流ヘッダー管が設けられ、
前記一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管の他端部間を連通するCO2冷媒液ヘッダーバイパス管が設けられている
ことを特徴とするヘリングボーンコイル製氷装置。
【請求項3】
前記ヘリングボーンコイル冷却管の下端部は、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され、前記ヘリングボーンコイル冷却管の上端部は、前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘリングボーンコイル製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角氷を製氷するヘリングボーンコイル製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製氷装置は、塩化カルシウム水溶液等のブラインを満たした製氷槽を備えている。この製氷槽には製氷域と熱交換域とが設けられ、ブラインをアジテータで所定の流速(例えば1m/秒)の流速で循環させている。熱交換域にはヘリングボーンコイルが設置されており、ブラインを−10℃程度に冷却する。製氷域では清水を満たした製氷缶をブライン中に浸漬し、製氷缶内の清水を24時間程度の時間をかけて結氷させて角氷を製造する。
【0003】
非特許文献1の「第2章製氷装置」にヘリングボーンコイルが示されている。この非特許文献1に記載のヘリングボーンコイルのヘリングボーンコイル冷却管60は、
図5に示すように、一端部がサージドラム61に接続されて他端側が製氷槽内の底面に沿って延びる冷媒液管62と、冷媒液管62の上方に配設されて冷媒液管62に沿って延びて一端部がサージドラム61に接続されて他端側が製氷槽内を延びる冷媒液ガス管63との間に「く」の字鏡像に接続されている。ヘリングボーンコイル冷却管60は、冷媒液管62と冷媒液ガス管63との間を、所定間隔を有して複数配設されている。サージドラム61から供給される冷媒液は、冷媒液管62→ヘリングボーンコイル冷却管60→冷媒液ガス管63を流れながら蒸発して製氷槽内を流れるブラインを冷却してサージドラム61に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「冷凍空調便覧 冷凍応用装置編」、社団法人日本冷凍協会、平成5年6月25日、第5版、第4巻、P.53−59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来のヘリングボーンコイルには、冷凍サイクルを構成する高圧受液器からサージドラム供給された冷媒液が自然循環で流動する。そのために冷媒液の供給とヘリングボーンコイル内で発生する冷媒ガスの回収を考慮して「く」の字鏡像の態様となっている。
【0006】
サージドラム側に近いヘリングボーンコイル冷却管とサージドラムから離反したヘリングボーンコイル冷却管では、サージドラムから出てヘリングボーンコイル冷却管を流れてサージドラムに戻るまでの流路長が相違する。このため、流路長が長いヘリングボーンコイル冷却管では、ブラインとの間で熱交換をして蒸発した冷媒ガスがサージドラムに戻る場合に、流路長が短いヘリングボーンコイル冷却管から戻る冷媒ガスによりに阻害されてサージドラムへの戻りを阻害されブラインを十分に冷却することができない虞がある。ヘリングボーンコイル冷却管は、出来るだけ横長の「く」の字鏡像の態様が必要となる。
【0007】
前記へリングボーンコイルは、サージドラムから製氷槽内に延びる冷媒液管と冷媒液ガス管に対して斜めに差し込んで溶接される。そのため冷媒液管と冷媒液ガス管に穿設される孔は、楕円形状で加工及び溶接作業に熟練の技術が要求される。溶接品質が低下するとピンホール等により溶接箇所から冷媒漏れが発生する場合がある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、へリングボーンコイル製氷装置において、面倒な加工を排除し、冷媒漏れの虞をなくすとともにブラインの冷却効率をより高めることができるヘリングボーン製氷装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のへリングボーン製氷装置は、
NH3を一次冷媒として、CO2を二次冷媒として用い、NH3循環流路とCO2循環流路とをカスケードコンデンサで接続してなるCO2二次冷媒方式の冷凍装置を備え、被冷却媒体内に管路を介してCO2二次冷媒を通流させるヘリングボーンコイル製氷装置であって、
前記管路は、
直線状に延びて前記CO2二次冷媒が流れるCO2冷媒液供給管と、
前記CO2冷媒液供給管に沿って延びて、該CO2冷媒液供給管の下流側端部に連通して前記CO2冷媒液供給管の上流側へ延びるヘリングボーンコイル液ヘッダー管と、
前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の上方に該ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に沿って延設されたヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管と、
一端部が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され他端部が前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されたヘリングボーンコイル冷却管と、を含み、
前記ヘリングボーンコイル冷却は、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間を前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管が延びる方向に所定間隔を有して複数設けられ、
前記複数のヘリングボーンコイル冷却管は、前記CO2冷媒が前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管の流入端から流入して前記複数のヘリングボーンコイル冷却管の夫々を通って前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の排出端から排出されるまでの夫々の流路長が揃えられるように、前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管と前記ヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間に連設されているように構成されている。
【0010】
上記へリングボーン製氷装置によれば、複数のヘリングボーンコイル冷却管は、CO2冷媒がヘリングボーンコイル液ヘッダー管の流入端から流入して複数のヘリングボーンコイル冷却管の夫々を通ってヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の排出端から排出されるまでの夫々の流路長が揃えられるように、へリングボーンコイル液ヘッダー管とへリングボーンコイル液ガスヘッダー管との間に連設されている。このため、へリングボーンコイル液ヘッダー管に接続された複数のヘリングボーンコイル冷却管のうちへリングボーンコイル液ヘッダー管の上流側に設けられたヘリングボーンコイル冷却管は、へリングボーンコイル液ヘッダー管の上流側端からヘリングボーンコイル冷却管までの流路長は短いが、ヘリングボーンコイル冷却管から流出してヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の下流側端までの流路長は長くなる。また、へリングボーンコイル液ヘッダー管に接続された複数のヘリングボーンコイル冷却管のうちへリングボーンコイル液ヘッダー管の下流側に設けられたヘリングボーンコイル冷却管は、へリングボーンコイル液ヘッダー管の上流側端からヘリングボーンコイル冷却管までの流路は長いが、ヘリングボーンコイル冷却管から流出してヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の下流側端までの流路長は短くなる。つまり、複数のヘリングボーンコイル冷却管のいずれも、へリングボーンコイル液ヘッダー管の流入側端からヘリングボーンコイル冷却管を通ってヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の排出側端部までの流路長を揃えることができる。したがって、この流路長を、CO2冷媒と被冷却媒体との間の熱交換によってCO2冷媒が蒸発して被冷却媒体を冷却可能な長さとした場合、全てのヘリングボーンコイル冷却管を流れるCO2冷媒によって、被冷却媒体を冷却することができる。よって、複数のヘリングボーンコイル冷却管の夫々を流通するCO2冷媒の流路長が相違する場合と比較して、被冷却媒体の冷却効率を高くすることができる。
【0011】
また、幾つかの実施形態では、
前記ヘリングボーンコイル冷却管は、前記へリングボーンコイル液ヘッダー管の下流側から上流側方向へ延びて上方へ屈曲して前記へリングボーンコイル液ガスヘッダー管の上流側から下流側方向へ延びるように構成されている。
【0012】
この場合、ヘリングボーンコイル冷却管は、へリングボーンコイル液ヘッダー管の下流側から上流側方向へ延びて上方へ屈曲してヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管の上流側から下流側方向へ延びるように構成されているので、ヘリングボーンコイル冷却管がブラインと接触する面積を増大することができる。このため、被冷却媒体の冷却効率をより高めることができる。また、ヘリングボーンコイル冷却管の下流側は、へリングボーンコイル液ガスヘッダー管の上流側から下流側方向へ向いて延びているので、へリングボーンコイル液ガスヘッダー管を流れるCO2冷媒の流れ方向と同一方向成分を有する。このため、ヘリングボーンコイル冷却管からへリングボーンコイル液ガスヘッダー管へのCO2冷媒の流入をよりスムーズにすることができ、CO2冷媒の冷却効率をさらに高めることができる。
【0013】
また、幾つかの実施形態では、
前記ヘリングボーンコイル冷却管の下端部は、前記へリングボーンコイル液ヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で前記へリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され、前記ヘリングボーンコイル冷却管の上端部は、前記へリングボーンコイル液ガスヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で前記へリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されている。
【0014】
この場合、ヘリングボーンコイル冷却管の下端部は、へリングボーンコイル液ヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態で前記へリングボーンコイル液ヘッダー管に接続され、ヘリングボーンコイル冷却管の上端部は、へリングボーンコイル液ガスヘッダー管の延びる方向に対して直交する方向を向いた状態でヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続されるので、ヘリングボーンコイル冷却管をヘリングボーンコイル液ヘッダー管やヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に接続させるために設ける開口部をヘリングボーンコイル冷却管の端部形状と同一形状にすることができる。このため、例えばヘリングボーンコイル冷却管の端部形状が円形である場合には、へリングボーンコイル液ヘッダー管やヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管に設ける開口部の形状を円形にすることができ、開口部を形成するための加工を容易にすることができる。また、ヘリングボーンコイル冷却管の端部を開口部に溶接する際に、溶接線をヘリングボーンコイル冷却管の端部の外周形状の円形状にすることができるので、溶接作業を容易にすることができる。
【0015】
また、幾つかの実施形態では、
前記ヘリングボーンコイル液ヘッダー管が一対設けられ、
前記一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管の一端部及び前記CO2冷媒液供給管の一端部間を連通するCO2冷媒液分流ヘッダー管が設けられ、
前記一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管の他端部間を連通するCO2冷媒液ヘッダーバイパス管が設けられているように構成される。
【0016】
この場合、一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管の他端部間がCO2冷媒液ヘッダーバイパス管を介して連通しているので、一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管へのCO2冷媒液を均等に分流することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、へリングボーンコイル冷却管を有した製氷装置において、ブラインの冷却効率をより高めることができるへリングボーンコイル製氷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘリングボーンコイル製氷装置の概略構成図である。
【
図2】へリングボーンコイル製氷装置の製氷槽の平面視における概略構成図である。
【
図3】同図(a)はヘリングボーンコイルの概略斜視図であり、同図(b)は背面視におけるヘリングボーンコイルの概略構成図である。
【
図4】同図(a)はヘリングボーンコイルの一部省略の平面図であり、同図(b)はヘリングボーンコイルの側面図であり、同図(c)はヘリングボーンコイルの一部省略の底面図である。
【
図5】従来のへリングボーンコイルの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明のへリングボーンコイル製氷装置の実施形態について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態であるヘリングボーンコイル製氷装置の略構成図であり、
図2はヘリングボーンコイル製氷装置の製氷槽の平面視における概略構成図である。
【0021】
図1に、製氷槽10と冷凍装置20とへリングボーンコイル40a、40bとを備えてなる製氷装置1を示す。
図2に、製氷槽10を示す。
【0022】
製氷槽10は、有底容器状に形成され、平面視において矩形状に形成されている。製氷槽10の内部の中央部には、製氷槽10の長手方向に延びて製氷槽10の短手方向に所定の間隔を有して配設された一対の仕切り壁11a、11bが設けられている。この一対の仕切り壁11a、11bによって、製氷域12a、12bと熱交換域13が区画形成されている。製氷槽10には、例えば塩化カルシウム水溶液からなるブライン2が満たされ、製氷槽10の長手方向一端部に配設されたアジテータ14によって、製氷域12a、12bと熱交換域13間を矢印a方向に、例えば1m/s程度の流速で循環する循環流が形成されている。
【0023】
ブライン2は熱交換域13でCO2冷媒によって−10℃程度に冷却される。製氷域12a、12bでは、ブライン2中に清水で満たされた多数の製氷缶3が浸漬され、ブライン2によって清水が冷却されて、24時間程度の時間をかけて透明な角氷が製造される。
【0024】
冷凍装置20は、NH3循環流路21と、CO2を二次冷媒として用いるCO2循環流路23とがカスケードコンデンサ25で接続されたNH3冷凍サイクルを構成している。NH3循環流路21には、圧縮機27、凝縮器29、膨張弁31及びカスケードコンデンサ25が介設されている。一次冷媒として使用されるNH3冷媒は、カスケードコンデンサ25で二次冷媒として使用されるCO2冷媒を凝縮させて気化する。CO2冷媒は冷却されて液化し、CO2液溜器33に滴下する。
【0025】
CO2冷媒は、CO2液溜器33からCO2ガスがカスケードコンデンサ25に送られ、カスケードコンデンサ25で液化したCO2液はCO2液溜器33に戻る。CO2液溜器33に貯留されたCO2冷媒液は、CO2液ポンプ34によってCO2循環流路35aを通って熱交換域13のへリングボーンコイル40a、40bに供給され、ブライン2と熱交換して、CO2循環流路35bを通ってCO2液溜器33に戻る。
【0026】
次に、へリングボーンコイル40a、40bについて説明する。
図4(a)はヘリングボーンコイルの一部省略の平面図であり、
図4(b)はヘリングボーンコイルの側面図であり、
図4(c)はへリングボーンコイルの一部省略の底面図である。へリングボーンコイル40a、40bは、一対の仕切り壁11a、11b間の熱交換域13内に配設されている。熱交換域13は、細長いブライン流路が形成され、ブラインの流れ方向aに沿って上流側から下流側に2つのへリングボーンコイル40a、40bが配置されている。2つのへリングボーンコイル40a、40bは、同様の構成であるので、へリングボーンコイル40aについて説明する。
【0027】
へリングボーンコイル40aは、熱交換域13の長手方向に沿って延びるとともに、ブライン2の液面レベルLの下方に配設されている。へリングボーンコイル40aは、
図1、
図3(a)、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、冷凍装置20のCO2循環流路35aに連通してCO2液冷媒が流れて製氷槽10の底面に沿って延びるCO2冷媒液供給管41と、CO2冷媒液供給管41の短手方向両側に所定間隔を有して配置されてCO2冷媒液供給管41に沿って延びてCO2冷媒液供給管41の下流側端部に連通する一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bと、一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの夫々の上方にヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに沿って配設された一対のへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bと、一端部がへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに接続され他端部がへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bに接続された複数のヘリングボーンコイル冷却管49と、を備える。
【0028】
一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの下流側端部同士はCO2冷媒液分流ヘッダー管44aに連通し、一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの上流側端部同士はCO2冷媒液ヘッダーバイパス管44bに連通している。このため、CO2冷媒液供給管41を流れるCO2液冷媒はCO2冷媒液分流ヘッダー管44aを通って一対のへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに流入してヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの下流側方向に流れる。
【0029】
一方、一対のへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの下流側端部は閉塞され、また一対のへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの上流側端部同士は液ガス集合ヘッダー管45に連通している。このため、複数のヘリングボーンコイル冷却管49からへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bに流入したCO2ガス冷媒はヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの上流側(液ガス集合ヘッダー管45側)へ流れてCO2循環流路35bに戻される。
【0030】
ヘリングボーンコイル冷却管49は、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bとへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bとの間をヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの延びる方向に所定間隔を有して複数設けられている。ヘリングボーンコイル冷却管49はヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの上流側から下流側方向へ延びて上方へ屈曲しへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの下流側から上流側方向へ延びるように構成されている。
【0031】
へリングボーンコイル40a、40bは、サージドラムから自然循環で冷媒が供給される従来のへリングボーンコイルとは異なり二次冷媒のCO2冷媒液がCO2液ポンプ34により強制循環で供給される。このため、へリングボーンコイル40a、40bを構成するヘリングボーンコイル冷却管49は、従来のへリングボーンコイルのように冷媒供給の流動性を考慮してヘッダー管に「く」の字鏡像に接続する必要はない。
【0032】
従って、ヘリングボーンコイル冷却管49の下端部は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの延びる方向に対して直交する方向(鉛直上方向)を向いた状態でヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに接続され、ヘリングボーンコイル冷却管49の上端部は、へリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの延びる方向に対して直交する方向(鉛直下方向)を向いた状態でへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bに接続されている。
【0033】
このため、ヘリングボーンコイル冷却管49の端部形状が例えば円形である場合には、ヘリングボーンコイル冷却管49をヘリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43b及びへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bに接続するために設けられる開口部の形状を円形にすることができる。従って、開口部を形成するための加工を容易にすることができる。また、ヘリングボーンコイル冷却管49の端部を開口部に溶接する際に、溶接線をヘリングボーンコイル冷却管49の端部の外周形状(例えば、円形)と同一形状にすることができるので、ヘリングボーンコイル冷却管49の端部の外周形状が円形等の容易な形状である場合には、溶接作業を容易にすることができる。
【0034】
このように構成されたヘリングボーンコイル40aのCO2冷媒液供給管41にCO2冷媒液が供給されると、CO2冷媒液は、CO2冷媒液供給管41の上流側から下流側へ流れてCO2冷媒液分流ヘッダー管44aを通り、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43b内を下流側から上流側方向へ流れるとともに、復数のヘリングボーンコイル冷却管49を流れてへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bに流入して、へリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの下流側から上流側方向へ流れて、液ガス集合ヘッダー管45に流れる。
【0035】
このため、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに接続された複数のヘリングボーンコイル冷却管49のうちへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの上流側に設けられたヘリングボーンコイル冷却管49aは、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bから供給されてヘリングボーンコイル冷却管49aまでの流路長Laは短いが、ヘリングボーンコイル冷却管49aから流出してヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管47bの下流側端部までの流路長Lbは長くなる。また、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bに接続された複数のヘリングボーンコイル冷却管49のうちへリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの下流側に設けられたヘリングボーンコイル冷却管49bは、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bから供給されてヘリングボーンコイル冷却管49bまでの流路長Lcは長くなるが、ヘリングボーンコイル冷却管49bから流出してヘリングボーンコイル液ガスヘッダー管47aの下流側端部までの流路長Ldは長くなる。
【0036】
つまり、複数のヘリングボーンコイル冷却管49のいずれも、へリングボーンコイル液ヘッダー管43a、43bの流入側端から冷媒液が流入されてへリングボーンコイル液ガスヘッダー管47a、47bの排出側端部までの流路長を略同一長さにすることができる。したがって、この流路長を、CO2冷媒液とブラインとの間の熱交換によってCO2冷媒液が蒸発してブライン2を冷却可能な長さとした場合、全てのヘリングボーンコイル冷却管49を流れるCO2冷媒によって、ブライン2を冷却することができる。よって、複数のヘリングボーンコイル冷却管49の夫々を流通するCO2冷媒の流路長が相違する場合と比較して、ブライン2の冷却効率を高くすることができる.
【符号の説明】
【0037】
1 へリングボーンコイル製氷装置
2 ブライン(被冷却冷媒)
3 製氷缶
10 製氷槽
11a、11b 仕切り壁
12a、12b 製氷域
13a、13b 熱交換域
14 アジテータ
20 冷凍装置
21 NH
3循環流路
23、35a、35b CO2循環流路
25 カスケードコンデンサ
27 圧縮機
29 凝縮器
31 膨張弁
33 CO2液溜器(冷凍サイクル構成機器)
34 CO2液ポンプ(冷凍サイクル構成機器)
40a、40b へリングボーンコイル
41 CO2冷媒液供給管
43a、43b へリングボーンコイル液ヘッダー管
44a CO2冷媒液分流ヘッダー管
44b CO2冷媒液ヘッダーバイパス管
45 液ガス集合ヘッダー管
47a、47b へリングボーンコイル液ガスヘッダー管
49、60 へリングボーンコイル冷却管
61 サージドラム
62 冷媒液管
63 冷媒液ガス管
L 液面レベル