(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385014
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】改質磁性流体及びこの改質磁性流体を用いた把持機構並びに把持装置
(51)【国際特許分類】
H01F 1/44 20060101AFI20180827BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
H01F1/44 150
B25J15/06 S
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-511626(P2016-511626)
(86)(22)【出願日】2015年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2015059671
(87)【国際公開番号】WO2015152062
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年11月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-72632(P2014-72632)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】514082310
【氏名又は名称】前田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】西田 健
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 勇希
(72)【発明者】
【氏名】國本 研一
【審査官】
池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−120728(JP,A)
【文献】
米国特許第4294424(US,A)
【文献】
特開昭56−114688(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0054903(US,A1)
【文献】
特開平02−218580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/44
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の磁極部、その周囲にある有底円筒状のヨーク部、及び前記磁極部に巻回されたコイルとを有する電磁石と、前記ヨーク部の開放端に密封状態で取付られた袋体と、該袋体内に充填された改質磁性流体とを有する把持機構において、
前記改質磁性流体は、ベース液と強磁性体微粒子とを有する磁性流体に、前記強磁性体微粒子のサイズより大きく粒径が2mm以下で前記強磁性体微粒子の比重より小さい非磁性粉体を混入してなり、しかも、前記改質磁性流体中の前記磁性流体の割合は、40〜80%の範囲にあり、かつ前記袋体への前記改質磁性流体の充填率は40〜70%の範囲にあることを特徴とする改質磁性流体を用いる把持機構。
【請求項2】
請求項1記載の改質磁性流体を用いる把持機構において、
前記磁極部の開放端には前記磁極部の直径より大きい磁極板部が設けられていることを特徴とする改質磁性流体を用いる把持機構。
【請求項3】
請求項1記載の改質磁性流体を用いる把持機構において、
前記磁性流体は前記強磁性体微粒子の直径が100〜200μmの範囲にあるMR流体であることを特徴とする改質磁性流体を用いる把持機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質磁性流体を用いる把持機構を、ロボットアームの先側に取付けたことを特徴とする把持装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質磁性流体を用いる把持機構を、間隔を制御できるロボットの挟持部にそれぞれ設けて、対向させたことを特徴とする把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性体の微粒子を液体中に分散させた磁性流体を更に改良した改質磁性流体及びこれを用いた把持機構並びに把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示すように、液体中に10nm、数μmサイズの強磁性超微粒子を界面活性剤等を用いて、極めて安定に分散させたコロイド溶液からなる磁性流体(MR流体)が知られている。そして、この磁性流体を、ダンパ、アクチュエータ、シール、クラッチに使用することが開示されている。また、特許文献1には、磁性流体に使用される平均粒径が0.1〜25μm、最大粒径が50μm以下のFe基合金で形成される金属粉末が開示され、特許文献2には、アニオン、カチオンを含むイオン性流体に、平均粒径が0.1〜500μmの分散した磁性粒子を含む磁性流体組成物が開示されている。
特許文献3には、このような磁性流体の構成及びその製造方法が開示され、特許文献4には、この磁性流体を用いた物品の把持装置も提案されている。
【0003】
また、産業用ロボットのエンドエフェクタ(把持機構)は、多様な作業工程に合わせて様々なものが存在する。物体把持に使用するエンドエフェクタを特にグリッパと呼び、対象の形状や姿勢に応じた適切なグリッパへの自動交換は、産業用ロボットの作業工程では一般的である。しかし、適切なグリッパの選定や交換作業、選定されたグリッパによる対象の把持計画、把持開始から完了までの対象の姿勢推定などのために複雑な計算が必要であり、これら一連の作業は、ロボットによる効率的な作業のボトルネックになっている。現在までに、エンドエフェクタの形状や機構、把持計画に関する数多くの研究が行われており、近年、把持物体の姿勢認識とグリッパの交換の手順を省略し、作業効率を向上させるために非特許文献2に示すような、真空を利用して多様な形状物を自在に把持するエンドエフェクタ(ユニバーサルジャミンググリッパ、以下単に「グリッパ」と称する)の発明が報告されている。
【0004】
このグリッパ70の概要を
図8に示すが、グリッパ70はロボットアームの先部に取付けられる支持部材71と、支持部材71の下部に装着されるゴム球体72と、ゴム球体72を支持部材71の下部に取外し可能に取付ける締結リング73と、ゴム球体72内に収納されるコーヒー豆の粉74と、支持部材71の排気口75、76に接続される図示しない真空ポンプとを有している。このグリッパ70の使用にあっては、1)対象物にゴム球体72を押し当てゴム球体72を対象物の形状に倣わせる、2)真空ポンプを動作させてゴム球体72内の空気を抜き、ジャミング現象によりゴム球体72を固化させる、3)ロボットアームを動作させ対象物を持ち上げるという動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5660099号公報(請求項5〜9)
【特許文献2】特許第5222296号公報(請求項1)
【特許文献3】特表2006−505957号公報
【特許文献4】特開2004−154909号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】藤田豊久、島田邦雄、「MR流体の特性とその応用」、日本応用磁気学会誌、Vol.27,.No3,2003、p91−100
【非特許文献2】アメンド、ブラウン、ローデンベルグ、ジェイガー、リプソン、「粉体ジャミングを基にした正圧ユニバーサルグリッパ」、トランザクションオンロボティクス2012年4月(Amend, J.R., Jr., Brown, E., Rodenberg, N., Jaeger, H., Lipson, H., "A Positive Pressure Universal Gripper Based on the Jamming of Granular Material," IEEE Transactions on Robotics, vol. 28, pp.341-350, Apr. 2012.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1、特許文献1、特許文献2に記載された磁性流体は、強磁性体の微粒子として、鉄粉等の金属磁性体を使用しているので、磁性流体の相対比重が大きくなるという問題があった。また、従来の磁性流体のみでは、磁化した場合の磁性流体の粘性及び剪断強度が比較的小さいという問題があった。
非特許文献2に記載されているグリッパ70は、比較的重量も軽く、対象物を簡単に把持できるという利点はあるが、把持力は比較的小さく、更に把持力を発生させるジャミング現象は真空発生器によって発生する低気圧を利用するため、周囲の気圧が変動する場合や、水中などの圧力の高い場所、気温が変化しやすい環境などでは、利用が困難であるという問題が存在する。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来の磁性流体より相対比重が小さく、グリッパ等に用いた場合は、把持力(剪断強度)が大きい改質磁性流体を提供すること、及びこの改質磁性流体を用いた把持機構並びに把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う第1の発明に係る改質磁性流体は、ベース液と、該ベース液中に分散状態で存在する強磁性体微粒子とを有する磁性流体に、前記強磁性体微粒子のサイズより大きく該強磁性体微粒子の比重より小さい非磁性粉体を混入し、磁化時の保持強度を向上している。
【0010】
第1の発明に係る改質磁性流体において、前記非磁性粉体は、ガラス、プラスチック又はセラミックのパウダーからなるのが好ましい。更に、第1の発明に係る改質磁性流体において、前記非磁性粉体は発泡プラスチックからなるのが好ましい。なお、前記非磁性粉体は磁性流体のベース液に溶けないこと及び反応もしないことは当然である。また、非磁性粉体は、ベース液の比重より小さく(例えば、γ=0.3〜0.8)、球状であることが好ましい。
【0011】
そして、第1の発明に係る改質磁性流体において、前記非磁性粉体の粒径は2mm以下であるのが好ましい。
また、第1の発明に係る改質磁性流体において、該改質磁性流体中の前記磁性流体の割合は、40〜80%の範囲にあるのが好ましい。更に前記磁性流体として、MR流体を使用することもできる。
【0012】
第2の発明に係る把持機構は、以上に記載した第1の発明に係る改質磁性流体を用い、前記改質磁性流体が収納された柔軟性を有する袋体と、該袋体の一側に配置され前記袋体に磁場をかけることが可能な電磁石とを有する。
【0013】
第2の発明に係る把持機構において、前記電磁石は中央の磁極部とその周囲にある有底円筒状のヨーク部と前記磁極部に巻回されたコイルとを有し、前記ヨーク部の開放端に前記改質磁性流体が充填された前記袋体が密封状態で取付けられているのが好ましい。
【0014】
第2の発明に係る把持機構において、前記袋体への前記改質磁性流体の充填率は40〜70%であるのが好ましい。
また、第2の発明に係る把持機構において、前記袋体はフランジ付きの半球状となっているのが好ましい。
【0015】
第3の発明に係る把持装置は、以上に説明した第2の発明に係る把持機構をロボットアームの先側に取付けている。また、第4の発明に係る把持装置は、以上に説明した第2の発明に係る把持機構を間隔を制御できるロボットの挟持部にそれぞれ設けて、対向させている。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る改質磁性流体は、従来の磁性流体に強磁性体微粒子のサイズより大きく強磁性体微粒子の比重より小さい非磁性粉体を混入しているので、全体の比重が従来の磁性流体より小さくなる。そして、この改質磁性流体に磁場をかけると、サイズの大きい非磁性粉体が骨材として作用し、改質磁性流体の磁化時の保持力、剪断強度が大きくなる。
【0017】
第1の発明に係る改質磁性流体において、非磁性粉体を、ガラス、プラスチック又はセラミックのパウダーから構成した場合は、非磁性粉体が軽くなると共に、粒の揃った非磁性粉体を容易に得ることができ、改質磁性流体の物理的性質がより均一化する。
また、非磁性粉体を球状とした場合、非磁性粉体を発泡プラスチックから構成した場合は、より改質磁性流体の比重が軽減し、物理的性質も均一化する。
【0018】
第2の発明に係る把持機構は、以上に記載した第1の発明に係る改質磁性流体を用い、改質磁性流体が収納された柔軟性を有する袋体と、袋体の一側に配置され袋体に磁場をかけることが可能な電磁石とを有するので、袋体に対象物の一部又は全部を、その形状を保って把持することができる。
【0019】
特に、第2の発明に係る把持機構において、袋体への改質磁性流体の充填率を40〜70%とした場合は、袋体の表面に凹凸ができるので、対象物を嵌め込み易く、大きさが一定の範囲内であれば、任意の対象物を把持できる。
【0020】
更に、第3の発明に係る把持装置は、以上に説明した第2の発明に係る把持機構をロボットアームの先側に取付けているので、把持機構を自由に動かせると共にその姿勢を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)は本発明の一実施例に係る把持機構の斜視図、(B)は同把持機構の主要断面図である。
【
図2】(A)は同把持機構の電磁石の斜視図、(B)は同把持機構の電磁石の断面図である。
【
図3】同把持機構を多関節ロボットのロボットアームに取付けた把持装置の斜視図である。
【
図4】(A)は改質磁性流体中の磁性流体(MR流体)の割合と把持力の関係を示すグラフ、(B)は非磁性粉体の粒子サイズと保持力との関係を示すグラフである。
【
図5】(A)は改質磁性流体の動作説明図、(B)は従来例に係る磁性流体の動作説明図である。
【
図6】非磁性粉体の種類及びサイズと保持力との関係を示すグラフである。
【
図7】同把持機構を対向して配置した別の把持装置の斜視図である。
【
図8】従来例に係る把持機構(グリッパ)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施例に係る把持機構10は、改質磁性流体11が収納された柔軟性を有する袋体12と、袋体12の一側(この実施例では上側)に配置され袋体12に磁場をかける電磁石13とを有する。
【0023】
電磁石13は、
図2(A)、(B)に示すように、中央に配置された磁性材料からなる磁極部15と磁極部15の周囲にある有底円筒状の磁性材料からなるヨーク部16と、磁極部15に巻回されたコイル17と、磁極部15の開放端に設けられた磁極部15より大径の磁極板部15aとを有している。
袋体12は、シリコンゴム等の耐油性、非磁性、かつ柔軟性を有するゴムシート又はプラスチックシートからなって、半球部18と半球部18の端部に一体的に設けられたフランジ部19を有して、フランジ付きの半球状シートとなっている。半球部18の直径Dは30〜80mm程度が好ましいが、把持する対象物によって異なるので、本発明はこの数字には限定されない。なお、袋体12の厚みは例えば0.3〜2mm程度である。
【0024】
そして、袋体12はフランジ部19を挟持する第1、第2の取付け部材22、23によって、電磁石13の下部に設けられている。即ち、第1の取付け部材22が、ヨーク部16の下端にねじ止めされ、第1の取付け部材22と第2の取付け部材23がフランジ部19を介して複数のボルト24で連結されている。これによってヨーク部16の開放端に袋体12が密封状態で取付けられることになる。
【0025】
袋体12には、本発明の一実施例に係る改質磁性流体11が収納されている。改質磁性流体11の収納量(充填率)は、袋体12の半径Rの半球部18を一杯に膨らませた状態(体積V=2πR
3/3)の40〜70%の範囲となっている。改質磁性流体11の量がこの範囲より少ない場合は、改質磁性流体11の全体量が不足し、改質磁性流体11の量がこの範囲より多い場合は、袋体12の把持空間が少なくなるが、改質磁性流体11の量は用途に応じてこの範囲を超えることもできる。
【0026】
改質磁性流体11は、ベース液に強磁性体微粒子が分散状態で存在する通常の磁性流体に非磁性粉体を混合して造る。通常の磁性流体は前述の通り、マグネタイト、マンガン亜鉛フエライト等の強磁性体微粒子と、その表面を覆う界面活性剤、ベース液(例えば、水、イソパラフィン、アルキルナフタレン又はその他の油)で構成された磁性コロイド液である。強磁性体微粒子の直径は10nm程度、10nm〜200μm、より好ましくは、100〜200μm程度である。
非磁性粉体は、強磁性体微粒子よりサイズが大きくて比重の小さい、この実施例では、発泡プラスチックの一例である発泡ポリスチレンの粒子を用いた。
【0027】
図4(A)に、磁性流体(MR流体を使用した)と非磁性粉体との容積割合を変えた場合の袋体12の保持力を、
図4(B)には磁性流体と非磁性粉体との割合を1対1にした場合で、非磁性粉体のサイズと袋体12の把持力との関係を示す。ここで、非磁性粉体の容積は見かけ容積である。
図4(A)より改質磁性流体中の磁性流体の割合が40〜80%の範囲にあるときに、改質磁気流体の保持力が大きいのが判る。また、
図4(B)により、非磁性粉体の粒径が2mm以下で大きな保持力を有することが判る。
図4(B)から非磁性粉体の粒子径が0.5mmのとき保持力が最大値を示すが、強磁性体微粒子の径より大きければ(例えば、5倍以上、即ち50nm以上)、十分な把持力を発揮するものと考えられる。
【0028】
図5(A)には改質磁性流体11を用いた非磁場状態と磁場状態を示す。磁場をかけない状態では、磁性流体27(ベース液と強磁性体微粒子25の混合液)と非磁性粉体26とが自由に混ざり合っているが、磁場をかけると、強磁性体微粒子25が接合され、非磁性粉体26が骨材として働き、その保持強度及び剪断強度が大きくなると考えられる。
【0029】
図5(B)に比較のため、従来の磁性流体27を用いた場合の、非磁場状態と磁場状態の挙動を示す。非磁場状態では強磁性体微粒子25が自由に動き、磁場状態では強磁性体微粒子25が繋がるが、骨材として働くものがないので、磁性流体27の把持強度や剪断力は大きくないと推定される。
なお、
図5(A)、(B)は説明のための模式図であって、実際は強磁性体微粒子25、非磁性粉体26の密度はより密である。
【0030】
図6には、磁性流体(MR流体)を用いた改質磁性流体の非磁性粉体の種類とサイズを変えた場合の、把持力を示す。ニカビーズ(商標名、カーボンマイクロビーズ)0.0221mmが強い保持力を有するが、発泡ポリスチレン0.5mmであっても十分な把持力を示す。
【0031】
図3は、以上に説明した把持機構10を用いた把持装置30を示すが、多関節ロボット31のロボットアーム32の先側に把持機構10が取付けられている。これによって、把持機構10を自由に特定の位置、角度を変えて移動させて対象物を把持する。即ち、把持機構10の袋体12を対象物の上に被せ、対象物の一部又は全部を袋体12の窪みに入れて、電磁石13に通電し、改質磁性流体11を磁化する。なお、電磁石13は、強磁性体微粒子が磁気飽和をしない程度の強い磁石(例えば、0.05〜0.3T)であることが好ましいが、用途によって弱い磁場から強い磁場まで適用可能である。
【0032】
これによって、改質磁性流体11は把持状態を保持するので、ロボットアーム32で対象物を移動させることができる。所定の場所に対象物を移動させた後、電磁石13の通電を解き、袋体12の形状を自由にして、対象物を所定の位置に置くことができる。
【0033】
図7には、間隔をモータ又は油圧シリンダ等で変えることができるロボットの挟持部34、35にそれぞれ把持機構10を取付けて、把持機構10を対向させた把持装置36を示す。対象物を把持機構10の袋体12で両側から挟み、電磁石13に通電することによって、対象物を対となる把持機構10の間に保持できる。
図7において、37はロボットのアーム等に把持装置36を取付ける取付けフランジを、38はケーシングを、39は操作ハンドルを示す。
【0034】
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、前記実施例では、非磁性粉体として発泡ポリスチレンを使用したが、他の発泡プラスチック、非発泡のプラスチック、ガラス、セラミックのパウダー(正確には集合粒子)、カーボン粒子等を使用できる。
また、電磁石の形状、袋体の形状も用途に応じて自由に変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る改質磁性流体は、前述のような把持機構の他、磁性流体シール(回転軸のシール)、ダンパ、スピーカ、センサ、比重差分離等に利用できる。また、把持機構及び把持装置は、工場のような特殊な場所で搬送機、アクチュエータ等に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
10:把持機構、11:改質磁性流体、12:袋体、13:電磁石、15:磁極部、15a:磁極板部、16:ヨーク部、17:コイル、18:半球部、19:フランジ部、22:第1の取付け部材、23:第2の取付け部材、24:ボルト、25:強磁性体微粒子、26:非磁性粉体、27:磁性流体、30:把持装置、31:多関節ロボット、32:ロボットアーム、34、35:挟持部、36:把持装置、37:取付けフランジ、38:ケーシング、39:操作ハンドル