特許第6385115号(P6385115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385115共役ジエン系重合体、及び該重合体を含有する重合体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385115
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】共役ジエン系重合体、及び該重合体を含有する重合体組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 236/04 20060101AFI20180827BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20180827BHJP
   C08F 4/08 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C08F236/04
   C08L9/00
   C08F4/08
【請求項の数】6
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2014-80030(P2014-80030)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-193774(P2015-193774A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2013-81017(P2013-81017)
(32)【優先日】2013年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-57619(P2014-57619)
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 まな
【審査官】 長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−185307(JP,A)
【文献】 米国特許第03299017(US,A)
【文献】 特開平03−182504(JP,A)
【文献】 特開2008−280384(JP,A)
【文献】 特開2002−249527(JP,A)
【文献】 特開2001−272501(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/018424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 236/00−236/22
C08F 4/00−4/82
C08L 9/00−9/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位と、下記式(1)で表される化合物に由来する単量体単位と、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位と、を有する共役ジエン系重合体。
【化1】

(式中、nは0〜5の整数を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【請求項2】
共役ジエン系重合体に含まれる単量体単位の総量を100重量%として、式(1)で表される化合物に由来する単量体単位の含有量が0.01重量%以上30重量%以下である請求項1に記載の共役ジエン系重合体。
【請求項3】
式(1)で表される化合物が1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンである請求項1または2に記載の共役ジエン系重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体と補強剤とを含有し、補強剤の含有量が、共役ジエン系重合体100重量部に対して、10重量部以上150重量部以下である重合体組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体の製造方法であって、
炭化水素溶媒中、アルカリ金属触媒を用いて、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンと、式(1)で表される化合物と、芳香族ビニル化合物とを含む単量体成分を重合させる共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項6】
式(1)で表される化合物の供給量が、単量体成分の総供給量を100重量%として、0.01重量%以上30重量%以下である請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省燃費性に優れる重合体組成物、及び該重合体組成物を製造するための共役ジエン系重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用タイヤ用のゴム組成物として、ポリブタジエンやスチレン−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体と、補強剤とを含有するゴム組成物が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多くのビニル結合を含むスチレン−ブタジエン共重合体、及び、該共重合体を用いた重合体組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−29802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の共役ジエン系重合体を用いた重合体組成物は、省燃費性において必ずしも十分満足のいくものではなかった。
【0006】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、省燃費性に優れる重合体組成物を与えることができる共役ジエン系重合体、及び該重合体を含有する重合体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位と、下記式(1)で表される化合物に由来する単量体単位とを有する共役ジエン系重合体に係るものである。
(式中、nは0〜5の整数を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0008】
本発明の第2は、前記共役ジエン系重合体と補強剤とを含有し、補強剤の含有量が、共役ジエン系重合体の含有量100重量部に対して、10重量部以上150重量部以下である重合体組成物に係るものである。
【0009】
本発明の第3は、炭化水素溶媒中、アルカリ金属触媒を用いて、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンと、式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合させる共役ジエン系重合体の製造方法に係るものである。
(式中、nは0〜5の整数を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明により、省燃費性に優れる重合体組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素から1個の水素原子を除いた1価の基を表す。ヒドロカルビレン基は、炭化水素から2個の水素原子を除いた2価の基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシ基の水素原子がヒドロカルビル基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。置換基を有するアミノ基(以下、置換アミノ基と記すこともある。)は、アミノ基の少なくとも1個の水素原子が、水素原子以外の1価の原子又は1価基に置き換えられた構造を有する基、又はアミノ基の2個の水素原子が2価基で置き換えられた構造を有する基を表す。置換基を有するヒドロカルビル基(以下、置換ヒドロカルビル基と記すこともある。)は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。ヘテロ原子を有するヒドロカルビレン基(以下、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基と記すこともある。)とは、ヒドロカルビレン基の水素原子が除かれている炭素原子以外の炭素原子及び/又は水素原子が、ヘテロ原子(炭素原子、水素原子以外の原子)を有する基で置き換えられた構造を有する2価の基を表す。
【0012】
本発明の共役ジエン系重合体は、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位と、式(1)で表される化合物に由来する単量体単位とを有する共役ジエン系重合体である。

(式中、nは0〜5の整数を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0013】
式(1)中のR11、R12及びR13の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などをあげることができる。
【0014】
式(1)中のR11、R12及びR13の炭素原子数1〜10のアルキル基として好ましくはメチル基、エチル基であり、より好ましくはメチル基である。
式(1)中のnは0〜5の整数を表し、好ましくは0又は1である。より好ましくは、1である。
【0015】
式(1)で表される化合物であって、nが0であり、R11、R12がメチル基である化合物は、4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンである。
式(1)で表される化合物であって、nが1であり、R11、R12及びR13がメチル基である化合物として、
1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン、
2−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン、
3−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン、
5−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン、
6−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン
などをあげることができる。
式(1)で表される化合物であって、nが2であり、R11、R12及びR13がメチル基である化合物として、
1,5−ジメチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン、
1,6−ジメチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン
などをあげることができる。
式(1)で表される化合物であって、nが3であり、R11、R12及びR13がメチル基である化合物として、1,5,6−トリメチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンなどをあげることができる。
【0016】
式(1)で表される化合物は、好ましくは1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンである。
【0017】
本発明の共役ジエン系重合体に含まれる単量体単位のうち、式(1)で表される化合物に由来する単量体単位の含有量は、共役ジエン系重合体に含まれる単量体単位の総量を100重量%として、省燃費性を高めるために、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.02重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上である。
経済性を高めるために、また、グリップ性を高めるために、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0018】
共役ジエン系重合体は窒素原子を含有する基で変性されていてもよい。
共役ジエン系重合体が含有する窒素原子を含有する基としては、下記式(2)で表される基をあげることができる。
(式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R21とR22とが結合しており、R21がR22に結合した基が窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。)
【0019】
窒素原子を含有する基は、重合体鎖の末端又は側鎖のいずれに結合していてもよい。
【0020】
窒素原子を含有する基で変性された共役ジエン系重合体の製造方法としては、下記の(a)の方法、(b)の方法、(c)の方法、(d)の方法をあげることができる。
(a)溶媒中で、共役ジエンと、式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合して共役ジエン系重合体を製造し、次いで、その溶媒に、窒素原子を含有する基を有する化合物(変性剤)を添加し、共役ジエン系重合体の活性末端に当該変性剤を反応させる方法。
(b)窒素原子を含有する基を有する有機アルカリ金属化合物を用いて、共役ジエンと、式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合して共役ジエン系重合体を製造する方法。
(c)窒素原子を含有する基を有する2級アミン化合物及び有機アルカリ金属化合物を用いて、共役ジエンと、式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合して共役ジエン系重合体を製造する方法。
(d)共役ジエンと、式(1)で表される化合物と、窒素原子を含有する基を有するビニル系単量体とを含む単量体成分を重合して共役ジエン系重合体を製造する方法。
【0021】
上記(a)の方法において、窒素原子を含有する基を有する化合物として好適な化合物としては、窒素原子及びカルボニル基を含有する化合物、窒素原子及びケイ素原子を含有する化合物をあげることができる。
【0022】
窒素原子及びカルボニル基を含有する化合物としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
(式(3)中、R31とR32とは結合していてもよいか、あるいは、R31とR34とは結合してしてもよく、R31は置換基を有してもよいヒドロカルビル基、R32と結合して窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、あるいは、R34と結合して2価基を表し、R32は置換基を有してもよいヒドロカルビル基、あるいは、R31と結合して窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R34は置換基を有してもよいヒドロカルビル基、水素原子、あるいは、R31と結合して2価基を表す。また、R33は2価基を表し、kは0又は1を表す。)
【0023】
式(3)において、R31、R32、R34の置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基、置換基が置換アミノ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基をあげることができる。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。置換基が置換アミノ基である置換ヒドロカルビル基としては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基などの(N,N−ジアルキルアミノ)アルキル基;4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、3−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基などの(N,N−ジアルキルアミノ)アリール基;4−(N,N−ジメチルアミノ)メチルフェニル基、4−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]フェニル基などの(N,N−ジアルキルアミノ)アルキルアリール基;3−(1−ピロリジニル)プロピル基、3−(1−ピペリジニル)プロピル基、3−(1−イミダゾリル)プロピル基などの環状アミノ基含有アルキル基;4−(1−ピロリジニル)フェニル基、4−(1−ピペリジニル)フェニル基、4−(1−イミダゾリル)フェニル基などの環状アミノ基含有アリール基;4−[2−(1−ピロリジニル)エチル]フェニル基、4−[2−(1−ピペリジニル)エチル]フェニル基、4−[2−(1−イミダゾリル)エチル]フェニル基などの環状アミノ基含有アルキルアリール基をあげることができる。
【0024】
式(3)において、R31とR32とが結合した窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;1,4−フェニレン基などのアリーレン基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−(CH2s−O−(CH2t−で表される基(s、tは1以上の整数)をあげることができる。
【0025】
式(3)において、R31とR34とが結合した2価基、及びR33の2価基としては、ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合した基、ヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表す)とが結合した基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;1,4−フェニレン基などのアリーレン基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−(CH2s−O−(CH2t−で表される基(s、tは1以上の整数)をあげることができる。ヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合した基としては、−(CH2u−O−で表される基(uは1以上の整数を表す)をあげることができる。ヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表す)とが結合した基としては、−(CH2v−NR35−で表される基(R35は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基、又は水素原子を表し、vは1以上の整数を表す)をあげることができる。
【0026】
式(3)で表される好ましい化合物として、kが0であり、R34が置換基を有してもよいヒドロカルビル基又は水素原子である(3−A)で表される化合物をあげることができる。
(式(3−A)中、R31とR32とが結合していてもよく、R31は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、R32と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R32は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、R31と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R34は置換基を有してもよいヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)
【0027】
式(3−A)において、R31、R32、R34の置換基を有してもよいヒドロカルビル基、R31とR32とが結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基の説明及び例示は、式(3)の説明において述べた基と同じである。
【0028】
式(3−A)において、R31は、好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。より好ましくは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基又は−CH=N−CH2−CH2−で表される基である。さらに好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基である。特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0029】
式(3−A)において、R32は、好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。より好ましくは、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基又は−CH=N−CH2−CH2−で表される基である。さらに好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキル基である。特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0030】
式(3−A)において、R34は好ましくはヒドロカルビル基又は水素原子であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基又は水素原子であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基又は水素原子であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基である。
【0031】
式(3−A)により表される化合物のうち、R34がヒドロカルビル基である化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−エチルアセトアミドなどのN,N−ジヒドロカルビルアセトアミド;
N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミドなどのN,N−ジヒドロカルビルアクリルアミド;
N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミドなどのN,N−ジヒドロカルビルメタクリルアミドをあげることができる。
【0032】
式(3−A)により表される化合物のうち、R34が水素原子である化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−N−エチルホルムアミドなどのN,N−ジヒドロカルビルホルムアミドをあげることができる。
【0033】
式(3)で表される好ましい化合物として、kが0であり、R34がR31と結合して2価基となっている(3−B)で表される化合物をあげることができる。
(式(3−B)中、R32は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表し、R36はヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基とが結合した基又はヒドロカルビレン基を表し、R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。R35が結合した窒素原子は、C=Oの炭素原子と結合する。)
【0034】
式(3−B)において、R32の置換基を有してもよいヒドロカルビル基の説明及び例示は、式(3)の説明において述べた基と同じである。
【0035】
式(3−B)において、R36のヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;1,4−フェニレン基などのアリーレン基をあげることができる。R36の、ヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合した基としては、−(CH2w−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表し、wは1以上の整数を表す。)をあげることができる。
【0036】
式(3−B)において、R32は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基である。
【0037】
式(3−B)において、R36は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基、又は、炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35は炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基又は水素原子を表す。)とが結合した基であり、より好ましくは炭素原子数3〜6のアルキレン基又は−(CH2w−NR35−で表される基(R35は炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、wは2〜5の整数を表す。)であり、さらに好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又は−(CH22−N(CH3)−で表される基である。
【0038】
式(3−B)で表される化合物のうち、R36がヒドロカルビレン基である化合物としては、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタムなどのN−ヒドロカルビル−β−プロピオラクタム;
N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−tert−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドンなどのN−ヒドロカルビル−2−ピロリドン;
N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドンなどのN−ヒドロカルビル−2−ピペリドン;
N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタムなどのN−ヒドロカルビル−ε−カプロラクタム;
N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどのN−ヒドロカルビル−ω−ラウリロラクタムをあげることができる。
好ましくはR36が炭素原子数3〜6のアルキレン基であり、R32が炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基である化合物であり、より好ましくはR36がトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基であり、R32がメチル基、エチル基、フェニル基である化合物であり、更に好ましくはN−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムである。
【0039】
式(3−B)で表される化合物のうち、R36がヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子)とが結合した基である化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジビニル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノンなどの1,3−ジヒドロカルビル−2−イミダゾリジノンをあげることができる。好ましくは、R36が−(CH2w−NR35−で表される基(R35は炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、wは2〜5の整数を表す。)であり、R32が炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基である化合物であり、より好ましくは、R36が−(CH22−N(CH3)−で表される基であり、R32がメチル基、エチル基である化合物であり、更に好ましくは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
【0040】
式(3)で表される好ましい化合物として、kが1であり、R33がヒドロカルビレン基である下記式(3−C)で表される化合物をあげることができる。
(式(3−C)中、R31とR32が結合していてもよく、R31は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、あるいはR32と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R32は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、あるいはR31と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R33はヒドロカルビレン基を表し、R34は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表す。)
【0041】
式(3−C)において、R31、R32、R34の置換基を有してもよいヒドロカルビル基、R31とR32とが結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基、R33のヒドロカルビレン基の説明及び例示は、式(3)の説明において述べた基と同じである。
【0042】
式(3−C)において、R33は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキレン基又は炭素原子数6〜10のアリーレン基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基であり、特に好ましくはエチレン基、トリメチレン基、1,4−フェニレン基である。
【0043】
式(3−C)において、R34は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基、又は置換基がジアルキルアミノ基である炭素原子数3〜10の置換ヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数3〜6のジアルキルアミノアルキル基又は炭素原子数8〜10のジアルキルアミノアリール基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、炭素原子数3〜6のジアルキルアミノメチル基、炭素原子数4〜6のジアルキルアミノエチル基、フェニル基、炭素原子数8〜10のジアルキルアミノフェニル基である。
【0044】
式(3−C)において、R31は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基、−(CH22−O−(CH22−で表される基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜6のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基であるか、R32と結合してテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基である。
【0045】
式(3−C)において、R32は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基、−(CH22−O−(CH22−で表される基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜6のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基であるか、R31と結合してテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基である。
【0046】
式(3−C)で表される化合物のうち、R33がアリーレン基であり、R34がアルキル基である化合物としては、4−(N,N−ジメチルアミノ)アセトフェノン、4−(N−メチル−N−エチルアミノ)アセトフェノン、4−(N,N−ジエチルアミノ)アセトフェノンなどの4−(N,N−ジヒドロカルビルアミノ)アセトフェノン;4’−(イミダゾール−1−イル)アセトフェノン等の4−環状アミノアセトフェノン化合物をあげることができる。これらの中では、4−環状アミノアセトフェノン化合物が好ましく、4’−(イミダゾール−1−イル)アセトフェノンがより好ましい。
【0047】
式(3−C)で表される化合物のうち、R33がアリーレン基であり、R34がアリール基又は置換アリール基である化合物としては、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノンなどのビス(ジヒドロカルビルアミノアルキル)ケトン;
4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノンなどの4−(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノン;
4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどの4,4’−ビス(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノンをあげることができる。
これらの中では、R31及びR32が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R33がフェニレン基であり、R34がフェニル基又は炭素原子数8〜10のジアルキルアミノフェニル基である化合物が好ましく、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンがより好ましい。
【0048】
式(3)で表される好ましい化合物として、kが1であり、R33がヒドロカルビレン基と酸素原子とが結合した基、又はヒドロカルビレン基と−NR35−で表される基(R35はヒドロカルビル基又は水素原子を表す)とが結合した基である下記式(3−D)で表される化合物をあげることができる。
(式(3−D)中、R31とR32が結合していてもよく、R31は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、あるいはR32と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R32は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表すか、あるいはR31と結合して窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、R37はヒドロカルビレン基を表し、Aは酸素原子又は−NR35−を表し、R35はヒドロカルビレン基又は水素原子を表し、R34は置換基を有してもよいヒドロカルビル基を表す。)
【0049】
式(3−D)において、R31、R32、R34の置換基を有してもよいヒドロカルビル基、R31とR32とが結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基の説明及び例示は、式(3)の説明において述べた基と同じである。
【0050】
式(3−D)において、Aは好ましくは酸素原子又は−NR35−(R35は炭素原子数1〜5のヒドロカルビレン基又は水素原子である。)で表される基であり、より好ましくは酸素原子又は−NH−で表される基であり、さらに好ましくは−NH−で表される基である。
【0051】
式(3−D)において、R37のヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;1,4−フェニレン基などのアリーレン基をあげることができる。
【0052】
式(3−D)において、R34は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、さらに好ましくはビニル基又はイソプロペニル基であり、特に好ましくはビニル基である。
【0053】
式(3−D)において、R37は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、さらに好ましくはエチレン基又はトリメチレン基であり、特に好ましくはトリメチレン基である。
【0054】
式(3−D)において、R31は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基、−(CH22−O−(CH22−で表される基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であるか、R32と結合して炭素原子数3〜6のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基であるか、R32と結合してテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基である。
【0055】
式(3−D)において、R32は好ましくは炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜10のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜10のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基、−(CH22−O−(CH22−で表される基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であるか、R31と結合して炭素原子数3〜6のアルキレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基であるか、R31と結合してテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、−CH=N−CH=CH−で表される基である。
【0056】
式(3−D)で表される化合物のうち、Aが酸素原子である化合物としては、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレートなどの2−(ジヒドロカルビルアミノ)エチルアクリレート;
3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレートなどの3−(ジヒドロカルビルアミノ)プロピルアクリレート;
2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートなどの2−(ジヒドロカルビルアミノ)エチルメタクリレート;
3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレートなどの3−(ジヒドロカルビルアミノ)プロピルメタクリレートをあげることができる。
Aが酸素原子であり、R31及びR32が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R34がビニル基又はイソプロペニル基であり、R37がエチレン基又はトリメチレン基である化合物が好ましく、Aが酸素原子であり、R31及びR32がメチル基又はエチル基であり、R34がビニル基であり、R37がトリメチレン基である化合物がより好ましい。
【0057】
式(3−D)で表される化合物のうち、Aが−NR35−(R35はヒドロカルビレン基又は水素原子)で表される基である化合物としては、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミドなどのN−(2−ジヒドロカルビルアミノエチル)アクリルアミド;
N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドなどのN−(3−ジヒドロカルビルアミノプロピル)アクリルアミド;
N−(4−ジメチルアミノブチル)アクリルアミド、N−(4−ジエチルアミノブチル)アクリルアミドなどのN−(4−ジヒドロカルビルアミノブチル)アクリルアミド;
N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミドなどのN−(2−ジヒドロカルビルアミノエチル)メタクリルアミド;
N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドなどのN−(3−ジヒドロカルビルアミノプロピル)メタクリルアミド;
N−(4−ジメチルアミノブチル)メタクリルアミド、N−(4−ジエチルアミノブチル)メタクリルアミドなどのN−(4−ジヒドロカルビルアミノブチル)メタクリルアミドをあげることができる。
これらの中では、Aが−NH−で表される基であり、R31及びR32が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R34がビニル基又はイソプロペニル基であり、R37がエチレン基又はトリメチレン基である化合物が好ましく、Aが−NH−で表される基であり、R31及びR32がメチル基又はエチル基であり、R34がビニル基であり、R37がトリメチレン基である化合物がより好ましい。
【0058】
窒素原子及びケイ素原子を含有する化合物としては、下記式(4)で表される化合物が好ましい。
(式(4)中、R44、R45は結合していてもよく、R41はヒドロカルビル基を表し、R42、R43はヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R44は置換基を有してもよいヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいはR45と結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子をヘテロ原子として有してもよいヒドロカルビレン基を表し、R45は置換基を有してもよいヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいはR44と結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子をヘテロ原子として有してもよいヒドロカルビレン基を表し、jは1〜5の整数を表す。)
【0059】
上記式(4)において、置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。
【0060】
上記式(4)において、ヒドロカルビル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基をあげることができ、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。置換ヒドロカルビル基としては、オキシラニル基、テトラヒドロフラニル基等のオキサシクロアルキル基をあげることができ、好ましくはテトラヒドロフラニル基である。
【0061】
本明細書において、オキサシクロアルキル基は、シクロアルキル基の脂環上のCH2が酸素原子に置き換わった基を表す。
【0062】
ヒドロカルビルオキシ基としては、ヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基をあげることができ、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
【0063】
トリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基をあげることができ、好ましくはトリメチルシリル基である。
【0064】
ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子がケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子がケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子がケイ素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基をあげることができ、中でも炭素原子数4〜7のアルキレン基が好ましく、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基が特に好ましい。ヘテロ原子がケイ素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−Si(CH32−CH2−CH2−Si(CH32−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、又は−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
【0065】
上記式(4)において、R41は好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。R42、R43は好ましくはヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。R44、R45は好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。また、jは好ましくは2〜4の整数である。
【0066】
上記式(4)で表される化合物としては、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[2−(ジメチルアミノ)エチル]トリエトキシシラン、[2−(ジメチルアミノ)エチル]トリメトキシシラン等の[(ジアルキルアミノ)アルキル]アルコキシシラン化合物;
(1−ヘキサメチレンイミノメチル)トリメトキシシラン、[3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル]トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾ−ル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾ−ル等の環状アミノアルキルアルコキシシラン化合物;
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン等の{[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]アルキル}アルコキシシラン化合物;
{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、{3−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン等の[N,N−ビス(トリアルキルシリル)アミノアルキル]アルキルアルコキシシラン化合物をあげることができる。
41が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R42、R43が炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、R44、R45が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、jが2〜4の整数である化合物がより好ましく、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシランがより好ましい。
【0067】
アルコキシシリル基を含有する化合物として、上記の窒素原子及びアルコキシシリル基を含有する化合物以外には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシランなどのテトラアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどのトリアルコキシヒドロカルビルシラン;
トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリ−n−プロポキシクロロシランなどのトリアルコキシハロシラン;
ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシランなどのジアルコキシジヒドロカルビルシラン;
ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジ−n−プロポキシジクロロシランなどのジアルコキシジハロシラン;
メトキシトリメチルシランなどのモノアルコキシトリヒドロカルビルシラン;
メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシランなどのモノアルコキシトリハロシラン;
2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシランなどの(グリシドキシアルキル)アルキルアルコキシシラン化合物;
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどの(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキルアルコキシシラン化合物;
[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]メチルジメトキシシランなどの[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルアルコキシシラン化合物;
3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などのアルコキシシリルアルキルコハク酸無水物;
3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタクリロイロキシアルキル)アルコキシシラン化合物をあげることができる。
【0068】
また、アルコキシシリル基を含有する化合物は、窒素原子及び>C=Oで表される基を含有していてもよい。アルコキシシリル基を含有し、かつ窒素原子及び>C=Oで表される基を含有する化合物として、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート等のトリス[(アルコキシシリル)アルキル]イソシアヌレート化合物をあげることができる。中でもトリス[3−(トリアルコキシシリル)プロピル]イソシアヌレートが好ましく、アルコキシ基が炭素原子数1〜4のアルコキシ基であるトリス[3−(トリアルコキシシリル)プロピル]イソシアヌレートがより好ましく、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレートが更に好ましい。
【0069】
上記(A)の方法において、式(2)で表される基を有する化合物として好適な化合物としては、下記式(5)で表される化合物をあげることができる。
(式(5)中、R51は水素原子、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R52及びR53はヒドロカルビル基を表す。hは0〜10の整数を表し、R54及びR55はそれぞれ水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R54が複数ある場合、複数のR54は互いに同じであっても異なっていてもよく、R55が複数ある場合、複数のR55は互いに同じであっても異なっていてもよい。R56及びR57は、それぞれ置換基を有していてもよいヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基、あるいは、R56及びR57は結合し、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。)
【0070】
51は水素原子、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表す。ヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基である。ヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、更に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。これらの中で好ましくは水素原子である。
【0071】
52及びR53はヒドロカルビル基を表す。ヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基である。R52及びR53は同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
hは0〜10の整数を表す。好ましくは3以下であり、より好ましくは0である。
【0072】
54及びR55はそれぞれ水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R54が複数ある場合、複数のR54は互いに同じであっても異なっていてもよく、R55が複数ある場合、複数のR55は互いに同じであっても異なっていてもよい。ヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基である。
【0073】
56及びR57は、それぞれ置換基を有していてもよいヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基を表す。置換基を有していてもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。ヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、N,N−ジメチルアミノメチル基、2−N,N−ジメチルアミノエチル基、3−N,N−ジメチルアミノプロピル基などの置換基が置換アミノ基である置換ヒドロカルビル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基などの置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。トリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基をあげることができ、好ましくはトリメチルシリル基である。これらの中では、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4のヒドロカルビル基であり、更に好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
【0074】
56及びR57は結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基であってもよい。ヒドロカルビレン基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基などのアルケンジイル基をあげることができ、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜7のアルキレン基である。ヘテロ原子がケイ素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−Si(CH32−CH2−CH2−Si(CH32−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。これらの中では、好ましくはヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜7のアルキレン基であり、更に好ましくはテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基である。
【0075】
式(5)で表される化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールなどのN,N−ジアルキルホルムアミド ジアルキル アセタール;N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジエチルアセタールなどのN,N−ジアルキルアセトアミド ジアルキル アセタールがあげられる。
【0076】
式(5)で表される化合物として、好ましくは、hが3以下であり、R51が水素原子であり、R52、R53、R54、R55、R56及びR57が炭素原子数1〜4のアルキル基である化合物である。より好ましくは、hが0であり、R51が水素原子であり、R52、R53、R56及びR57が炭素原子数1〜4のアルキル基である化合物である。特に好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールである。
【0077】
上記(b)の方法において、式(2)で表される基を有する有機アルカリ金属化合物として好適な化合物としては、下記式(6)で表される化合物を挙げることができる。

(式(6)において、R61は炭素原子数6〜100のヒドロカルビレン基を表し、R62及びR63は、それぞれ置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R62はR63と結合しており、R62がR63に結合した基が、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基、−Si(R642−(CH2x−Si(R642−で表される炭素原子数5〜20の基(R64はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)、−Si(R652−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R65はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)を表し、Mはアルカリ金属原子を表す。)
【0078】
式(6)において、R61は、炭素原子数6〜100のヒドロカルビレン基であり、好ましくは炭素原子数7〜90のヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数8〜80のヒドロカルビレン基である。R61のヒドロカルビレン基の炭素原子数が5以下であると、式(6)で表される化合物の炭化水素溶媒に対する溶解性が低下することがある。
61のヒドロカルビレン基の炭素原子数が100以上であると、式(6)で表される化合物の分子量が大きくなり、経済性及び重合時の操作性が低下することがある。
【0079】
式(6)において、R61のヒドロカルビレン基は、好ましくは下記式(6−A)で表される基である。
(式(6−A)中、R66は共役ジエン化合物に由来する単量体単位及び/又は芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位からなるヒドロカルビレン基を表し、iは1〜10の整数を表す。(CH2lが式(6)の窒素原子に結合している。)
【0080】
式(6−A)において、R66は共役ジエン化合物に由来する単量体単位及び/又は芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位からなるヒドロカルビレン基を表し、好ましくはイソプレンに由来する単量体単位からなるヒドロカルビレン基である。
【0081】
66における共役ジエン化合物に由来する単量体単位及び/又は芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の数は、好ましくは1単位〜10単位であり、より好ましくは1単位〜5単位である。
【0082】
式(6−A)中、iは1〜10の整数であり、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは3である。
【0083】
式(6−A)で表される基としては、イソプレンに由来する単量体単位1単位〜10単位とメチレン基とを結合させた基、イソプレンに由来する単量体単位1単位〜10単位とエチレン基とを結合させた基及びイソプレンに由来する単量体単位1単位〜10単位とトリメチレン基とを結合させた基を挙げることができる。
【0084】
式(6)中のR62及びR63は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R62はR63と結合しており、R62がR63に結合した基が、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基、−Si(R642−(CH2x−Si(R642−で表される炭素原子数5〜20の基(R64はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)、−Si(R652−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R65はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)を表す。
【0085】
62及びR63の置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基における置換基としては、置換アミノ基又はヒドロカルビルオキシ基を挙げることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基などの鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;フェニル基、ベンジル基などのアリール基を挙げることができ、好ましくは鎖状アルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基である。置換基が置換アミノ基である置換ヒドロカルビル基としては、N,N−ジメチルアミノメチル基、2−N,N−ジメチルアミノエチル基、3−N,N−ジメチルアミノプロピル基を挙げることができる。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基を挙げることができる。これらの中では、ヒドロカルビル基が好ましく、炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
【0086】
62及びR63のトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基を挙げることができ、トリメチルシリル基が好ましい。
【0087】
62がR63に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基、又は、ヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基を挙げることができる。ヒドロカルビレン基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基などのアルケンジイル基を挙げることができ、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜7のアルキレン基である。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基を挙げることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表される基を挙げることができる。これらの中では、ヒドロカルビレン基が好ましく、炭素原子数4〜7のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基がさらに好ましい。
【0088】
62がR63に結合した基において、−Si(R642−(CH2x−Si(R642−で表される炭素原子数5〜20の基(R64はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)としては、−Si(CH32−CH2−CH2−Si(CH32−で表される基をあげることができる。−Si(R652−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R65はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)としては、−Si(CH32−CH2−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
【0089】
62及びR63は、好ましくはヒドロカルビル基であるか、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基がヒドロカルビレン基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基であるか、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基が炭素原子数4〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0090】
式(6)中、Mはアルカリ金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、Li、Na、K、Csを挙げることができ、好ましくはLiである。
【0091】
式(6)で表される化合物のうち、R61が式(6−A)で表される基であり、R62及びR63がヒドロカルビル基であり、MがLiである化合物としては、(ジアルキルアミノ)アルキルリチウム化合物にイソプレン1モル〜5モル((ジアルキルアミノ)アルキルリチウム化合物1モルあたり)を反応させた化合物を挙げることができる。
前記(ジアルキルアミノ)アルキルリチウム化合物としては、3−(ジメチルアミノ)プロピルリチウム、3−(ジエチルアミノ)プロピルリチウム、3−(ジブチルアミノ)プロピルリチウム、4−(ジメチルアミノ)ブチルリチウム、4−(ジエチルアミノ)ブチルリチウム、4−(ジプロピルアミノ)ブチルリチウム及び3−(ジブチルアミノ)ブチルリチウムを挙げることができる。
【0092】
式(6)で表される化合物のうち、R61が式(6−A)で表される基であり、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基がヒドロカルビレン基であり、MがLiである化合物としては、(ヘテロ原子非含有環状アミノ)アルキルリチウム化合物にイソプレン1モル〜5モル((ヘテロ原子非含有環状アミノ)アルキルリチウム化合物1モルあたり)を反応させた化合物を挙げることができる。
前記(ヘテロ原子非含有環状アミノ)アルキルリチウム化合物としては、3−(1−ピロリジニル)プロピルリチウム、3−(1−ピペリジニル)プロピルリチウム、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルリチウム及び3−[1−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)]プロピルリチウムなどを挙げることができる。
【0093】
式(6)で表される化合物のうち、R61が式(6−A)で表される基であり、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基がヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、MがLiである化合物としては、(ヘテロ原子含有環状アミノ)アルキルリチウム化合物にイソプレン1モル〜5モル((ヘテロ原子含有環状アミノ)アルキルリチウム化合物1モルあたり)を反応させた化合物を挙げることができる。
前記(ヘテロ原子含有環状アミノ)アルキルリチウムとしては、3−(1−モルホリノ)プロピルリチウム、3−(1−イミダゾリル)プロピルリチウム及び3−(4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル)プロピルリチウムを挙げることができる。
【0094】
式(6)で表される化合物のうち、R61が式(6−A)で表される基であり、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基が−Si(R642−(CH2x−Si(R642−で表される炭素原子数5〜20の基(R64はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)であり、MがLiである化合物としては、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)プロピルリチウムにイソプレン1モル〜5モル(3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)プロピルリチウム1モルあたり)を反応させた化合物を挙げることができる。
式(6)で表される化合物のうち、R61が式(6−A)で表される基であり、R62がR63と結合しており、R62がR63に結合した基が−Si(R652−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R65はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)であり、MがLiである化合物としては、3−(2,2,−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)プロピルリチウムにイソプレン1モル〜5モル(3−(2,2,−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)プロピルリチウム1モルあたり)を反応させた化合物を挙げることができる。
【0095】
式(6)で表される化合物としては、好ましくは、R61が式(6−A)で表される基であり、R62及びR63がヒドロカルビル基であり、MがLiである化合物であり、より好ましくは、R62及びR63がそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基であり、MがLiであり、R61が式(6−A)で表され、R66がイソプレンに由来する単量体単位1〜5単位からなる基であり、gが2〜4である化合物であり、さらに好ましくは、3−(ジメチルアミノ)プロピルリチウム又は3−(ジエチルアミノ)プロピルリチウムにイソプレン1モル〜5モル(3−(ジメチルアミノ)プロピルリチウム又は3−(ジエチルアミノ)プロピルリチウム1モルあたり)を反応させた化合物である。
式(6)で表される化合物は、R61が異なる複数の化合物からなる混合物であってもよい。
【0096】
上記(c)の方法において、有機アルカリ金属化合物として好適な化合物としては、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物及び有機セシウム化合物をあげることができる。有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物;
ビニルリチウム、プロペニルリチウムなどのアルケニルリチウム化合物;
フェニルリチウム、ベンジルリチウム、トリルリチウム、リチウムナフチリドなどのアリールリチウム化合物;
テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、デカメチレンジリチウムなどのアルキレンジリチウム化合物;
及びリチウムナフタレニド、リチウムビフェニリドなどをあげることができる。
有機ナトリウム化合物としてはナトリウムナフタレニド及びナトリウムビフェニリドをあげることができる。有機カリウム化合物としては、カリウムナフタレニドをあげることができる。有機アルカリ金属化合物として好ましくは、有機リチウム化合物であり、より好ましくは炭素原子数が1〜20のアルキルリチウム化合物であり、さらに好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムである。
【0097】
上記(c)の方法において、式(2)で表される基を有する2級アミン化合物として好適な化合物としては、下記式(7)で表される化合物をあげることができる。
(式中、R72及びR73は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表すか、あるいは、R72はR73と結合しており、R72がR73に結合した基が窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよい炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基、−Si(R742−(CH2x−Si(R742−で表される炭素原子数5〜20の基(R74はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)、−Si(R752−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R75はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)を表す。)
【0098】
72及びR73の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基は、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基である。炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基としては、ヒドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基、置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基、トリアルキルシリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基、及び、トリアルコキシシリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基をあげることができる。
【0099】
炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシルなどの鎖状アルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、ナフチル基などのアリール基をあげることができる。
ヒドロカルビルオキシ基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。置換アミノ基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができる。トリアルキルシリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基としては、トリメチルシリルメチル基、2−トリメチルシリルエチル基、3−トリメチルシリルプロピル基などのトリアルキルシリルアルキル基をあげることができる。トリアルコキシシリル基を置換基として有する炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基としては、トリメトキシシリルメチル基、2−トリメトキシシリルエチル基、3−トリメトキシシリルプロピル基などのトリアルコキシシリルアルキル基をあげることができる。
【0100】
72及びR73の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基としては、好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基である。
【0101】
式(7)で表される化合物のうち、R72及びR73が炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基である化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどのジアルキルアミン;N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−メチル−N−ベンジルアミンなどのアルキルアリールアミン;ジフェニルアミンなどのジアリールアミンをあげることができる。
【0102】
式(7)で表される化合物のうち、R72及びR73の少なくとも1つが炭素原子数1〜20の置換ヒドロカルビル基である化合物としては、ジ(メトキシメチル)アミン、ジ(エトキシメチル)アミン、ジ(2−メトキシエチル)アミン、ジ(2−エトキシエチル)アミンなどのジ(アルコキシアルキル)アミン;ビス(ジメチルアミノメチル)アミンなどのビス(ジアルキルアミノアルキル)アミン;トリメチルシリルプロピルメチルアミンなどのトリアルキルシリルアルキル基含有アミン化合物;トリメトキシシリルプロピルメチルアミンなどのトリアルコキシシリルアルキル基含有アミン化合物をあげることができる。
【0103】
72がR73に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよい炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基は、炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基、又はヘテロ原子として窒素原子及び/又は酸素原子を有する炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子として窒素原子及び/又は酸素原子を有する炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、及び、ヘテロ原子が酸素原子である炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。
【0104】
炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサン−1,5−ジイル基、2−メチルペンタン−1,5−ジイル基、3−メチルペンタン−1,5−ジイル基、2,4−メチルペンタン−1,5−ジイル基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子である炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基及び−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子である炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
【0105】
72がR73に結合した基において、−Si(R742−(CH2x−Si(R742−で表される炭素原子数5〜20の基(R34はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)としては、−Si(CH32−CH2−CH2−Si(CH32−で表される基をあげることができる。−Si(R752−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R75はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)としては、−Si(CH32−CH2−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
【0106】
式(7)で表される化合物のうち、R72がR73と結合しており、R72がR73に結合した基が炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基である化合物としては、トリメチレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、オクタメチレンイミン、デカメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、3,5,5−トリメチルヘキサヒドロアゼピン及び1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3,2,2]オクタンをあげることができる。
【0107】
式(7)で表される化合物のうち、R72がR73と結合しており、R72がR73に結合した基がヘテロ原子として窒素原子及び/又は酸素原子を有する炭素原子数3〜20のヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である化合物としては、イミダゾール、4,5−ジヒドロイミダゾール及びモルホリンをあげることができる。
【0108】
式(7)で表される化合物のうち、R72がR73と結合しており、R72がR73に結合した基が−Si(R742−(CH2x−Si(R742−で表される炭素原子数5〜20の基(R74はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)である化合物としては、2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンをあげることができ、R72がR73に結合した基が−Si(R752−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R75はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)である化合物としては、2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンをあげることができる。
【0109】
第2級アミン化合物としては、好ましくは、式(7)においてR72がR73に結合している化合物(下記式(7−A)で表される化合物)である。
(式中、R71は窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよい炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基、−Si(R742−(CH2x−Si(R742−で表される炭素原子数5〜20の基(R74はヒドロカルビル基を表し、xは1〜10の整数を表す。)、又は、−Si(R752−(CH2y−で表される炭素原子数4〜20の基(R75はヒドロカルビル基を表し、yは2〜11の整数を表す。)を表す。)
【0110】
71は、好ましくは炭素原子数3〜20のヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくはテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基である。
【0111】
式(7−A)で表される化合物として特に好ましい化合物は、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミンである。
【0112】
上記(d)の方法において、式(2)で表される基を有するビニル系単量体として好適な化合物としては、下記式(8)で表される化合物をあげることができる。
(式(8)中、E8は重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基を表し、A8は置換アミノ基又は含窒素複素環基を表す。)
【0113】
式(8)中のE8は、重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基を表し、A8は置換アミノ基又は含窒素複素環基を表す。
【0114】
8は、好ましくは下記式(8−E)で表される基である。
(式(8−E)中、mは0又は1の整数を表し、R81、R83及びR84はそれぞれ水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R82はヒドロカルビレン基を表す。)
式(8−E)において、mは0又は1の整数を表す。
【0115】
81、R83及びR84のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などを挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基などを挙げることができ、好ましくはビニル基である。アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基などを挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
【0116】
81として、好ましくは、水素原子、メチル基、ビニル基又はフェニル基であり、より好ましくは水素原子である。
83及びR84として、好ましくは水素原子である。
82のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン基がアルキレン基に結合した基などを挙げることができる。
【0117】
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基などを挙げることができる。好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などを挙げることができる。好ましくはフェニレン基である。より好ましくは、パラ−フェニレン基又はメタ−フェニレン基である。
【0118】
アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、フェニレン基がアルキレン基に結合した基、ナフチレン基がアルキレン基に結合した基、ビフェニレン基がアルキレン基に結合した基を挙げることができる。好ましくはフェニレン基がアルキレン基に結合した基である。
また、アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、式(8−E)のR81が結合している炭素原子に、当該基のアリーレン基の炭素原子が結合していることが好ましい。
【0119】
フェニレン基がアルキレン基に結合した基(以下、フェニレン−アルキレン基と称することがある。)としては、例えば、下式(8−R)で表される基を挙げることができる。
(式中、hは1〜10の整数を表し、(CH2hはベンゼン環上の置換基である。)
【0120】
フェニレン−アルキレン基としては、アルキレン基が結合するベンゼン環上の炭素原子の位置によって、パラ−フェニレン−アルキレン基、メタ−フェニレン−アルキレン基、オルト−フェニレン−アルキレン基を挙げることができる。式(8−R)で表される基の場合、パラ−フェニレン−アルキレン基は下式(8−Ra)で表される基であり、メタ−フェニレン−アルキレン基は下式(8−Rb)で表される基であり、オルト−フェニレン−アルキレン基は下式(8−Rc)で表される基である。


(式中、p、q、rは、夫々、1〜10の整数を表す。)
【0121】
式(8−R)のh、式(8−Ra)のp、式(8−Rb)のq及び式(8−Rc)のrは、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2であり、さらに好ましくは2である。
【0122】
アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、好ましくは、フェニレン基がアルキレン基に結合した基であり、より好ましくは、上式(8−Ra)で表される基又は上式(8−Rb)で表される基であり、更に好ましくは、パラ−フェニレン−メチレン基(p=1である式(8−Ra)で表される基)、メタ−フェニレン−メチレン基(q=1である式(8−Rb)で表される基)、パラ−フェニレン−エチレン基(p=2である式(8−Ra)で表される基)又はメタ−フェニレン−エチレン基(q=2である式(8−Rb)で表される基)であり、特に好ましくは、パラ−フェニレン−エチレン基(p=2である式(8−Ra)で表される基)又はメタ−フェニレン−エチレン基(q=2である式(8−Rb)で表される基)である。
【0123】
式(8−E)で表される基としては、次に示す基を挙げることができる。
81、R83及びR84が水素原子である基として、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基及び2−(3−ビニルフェニル)エチル基を挙げることができる。
【0124】
81がメチル基であり、R83及びR84が水素原子である基として、イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニルフェニル基、(4−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル基、(3−イソプロペニルフェニル)メチル基及び2−(3−イソプロペニルフェニル)エチル基を挙げることができる。
【0125】
81がビニル基であり、R83及びR84が水素原子である基として、1−メチレン−2−プロペニル基及び2−メチレン−3−ブテニル基を挙げることができる。
【0126】
81がフェニル基であり、R83及びR84が水素原子である基として、1−フェニルエテニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、4−(1−フェニルエテニル)フェニル基、3−(1−フェニルエテニル)フェニル基及び2−(1−フェニルエテニル)フェニル基を挙げることができる。
【0127】
81が水素原子であり、R83がメチル基であり、R84が水素原子である基として、1−プロペニル基、2−ブテニル基、4−(1−プロペニル)フェニル基、[4−(1−プロペニル)フェニル]メチル基、2−[4−(1−プロペニル)フェニル]エチル基、3−(1−プロペニル)フェニル基、[3−(1−プロペニル)フェニル]メチル基及び2−[3−(1−プロペニル)フェニル]エチル基などが挙げることができる。
【0128】
式(8−E)で表される基としては、好ましくは下記式(8−E1)で表される基である。
(式中、R81は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、sは0又は1の整数を表し、R82はヒドロカルビレン基を表す。)
【0129】
式(8−E1)で表される好ましい基のうち、R81が水素原子である基としては、ビニル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基が挙げられる。R81がメチル基である基としては、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニルフェニル基、(4−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル基、(3−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(3−イソプロペニルフェニル)エチル基が挙げられる。R81がビニル基である基としては、1−メチレン−2−プロペニル基、2−メチレン−3−ブテニル基が挙げられる。R81がフェニル基である基としては、4−(1−フェニルエテニル)フェニル基が挙げられる。
【0130】
式(8−E1)で表される基としてより好ましくは、R81が水素原子である基であり、更に好ましくは、s=1でありR82が式(8−R)で表される基である基、ビニルフェニル基、又はビニル基である。
【0131】
式(8)中、A8は、置換アミノ基、又は、含窒素複素環基を表す。
8の置換アミノ基としては、好ましくは下記式(8−A)で表される基である。
(式中、R85及びR86は、それぞれ、ヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R85はR86と結合しており、R85がR86に結合した基が窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表すか、又は、R85とR86とは1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【0132】
85及びR86のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、エチニル基、2−プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。
【0133】
85及びR86のヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1〜2である。
85及びR86のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、直鎖アルキル基である。
【0134】
85及びR86のトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基を挙げることができる。
85及びR86のトリヒドロカルビルシリル基としては、好ましくは、炭素原子数が3〜9のトリアルキルシリル基であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合したアルキル基が炭素原子数1〜4のアルキル基であるトリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基である。
【0135】
85がR86に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子として窒素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子として酸素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基などを挙げることができる。ヒドロカルビレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基、及び1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基を挙げることができる。ヘテロ原子として窒素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基、−CH=CH−N=CH−で表される基及び−CH2CH2−NH−CH2CH2−で表される基を挙げることができる。ヘテロ原子として酸素原子を有するヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−O−CH2CH2−で表される基を挙げることができる。
【0136】
85がR86に結合した基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは3〜8であり、更に好ましくは4〜6である。
【0137】
85がR86に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、好ましくはヒドロカルビレン基であり、より好ましくはアルキレン基であり、更に好ましくはポリメチレン基である。
【0138】
85及びR86が窒素原子に二重結合で結合する1つの基としては、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基などのヒドロカルビリデン基を挙げることができる。
【0139】
85及びR86が窒素原子に二重結合で結合する1つの基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜6である。
【0140】
85及びR86としては、好ましくは、ヒドロカルビル基又はトリヒドロカルビルシリル基であるか、R85がR86と結合しており、R85がR86に結合した基がヒドロカルビレン基である。
【0141】
式(8−A)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基を挙げることができる。
非環状アミノ基のうち、式(8−A)においてR85及びR86がヒドロカルビル基である基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基を挙げることができる。非環状アミノ基のうち、式(2−A)においてR25及びR26がトリヒドロカルビルシリル基である基としては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ基などのビス(トリアルキルシリル)アミノ基を挙げることができる。
【0142】
非環状アミノ基のうち、式(8−A)において、R85とR86とが一つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基である基としては、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基を挙げることができる。
【0143】
環状アミノ基のうち、式(8−A)において、R85がR86と結合しており、R85がR86に結合した基がヒドロカルビレン基である基としては、1−アジリジニル基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ピロリル基を挙げることができる。
環状アミノ基のうち、式(8−A)において、R85がR86と結合しており、R85がR86に結合した基が、ヘテロ原子として窒素原子を有するヒドロカルビレン基である基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基を挙げることができる。
環状アミノ基のうち、式(8−A)において、R85がR86と結合しており、R85がR86に結合した基が、ヘテロ原子として酸素原子を有するヒドロカルビレン基である基としては、モルホリノ基を挙げることができる。
【0144】
式(8−A)で表される基としては、好ましくは、R85及びR86がヒドロカルビル基である基、R85及びR86がトリヒドロカルビルシリル基である基、又は、R85がR86と結合しており、R85がR86に結合した基がヒドロカルビレン基である基である。より好ましくは、R85及びR86が直鎖アルキル基である基、R85及びR86がトリアルキルシリル基である基、又は、R85がR86に結合した基がポリメチレン基である基である。
【0145】
式(8−A)で表される基として、R85及びR86が直鎖アルキル基である更に好ましい基は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基又はジ(n−ブチル)アミノ基であり、R85及びR86がトリアルキルシリルである更に好ましい基は、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ基であり、R25がR26に結合した基がポリメチレン基である更に好ましい基は、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、1−ヘキサメチレンイミノ基である。
【0146】
8の含窒素複素環基としては、含窒素脂環族複素環基、含窒素芳香族複素環基を挙げることができる。本明細書では、含窒素脂環族複素環基は、含窒素脂環族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子に結合している水素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素脂環族複素環は、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子を有する脂環族複素環を表す。また、含窒素芳香族複素環基は、含窒素芳香族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子に結合している水素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素芳香族複素環は、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子を有する芳香族複素環を表す。
【0147】
8の含窒素脂環族複素環基としては、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などを挙げることができる。
【0148】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素脂環族複素環基としては、アジリジン環を有する基、アゼチジン環を有する基、ピロリジン環を有する基、ピペリジン環を有する基、ヘキサメチレンイミン環を有する基、イミダゾリジン環を有する基、ピペラジン環を有する基、ピラゾリジン環を有する基などを挙げることができる。
【0149】
アジリジン環を有する基としては、1−アルキル−2−アジリジニル基を挙げることができる。アゼチジン環を有する基としては、1−アルキル−2−アゼチジニル基及び1−アルキル−3−アゼチジニル基を挙げることができる。ピロリジン環を有する基としては、1−アルキル−2−ピロリジニル基及び1−アルキル−3−ピロリジニル基を挙げることができる。ピペリジン環を有する基としては、1−アルキル−2−ピペリジニル基、1−アルキル−3−ピペリジニル基及び1−アルキル−4−ピペリジニル基を挙げることができる。ヘキサメチレンイミン環を有する基としては、1−アルキル−2−ヘキサメチレンイミノ基、1−アルキル−3−ヘキサメチレンイミノ基及び1−アルキル−4−ヘキサメチレンイミノ基を挙げることができる。イミダゾリジン環を有する基としては、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジル基及び1,3−ジアルキル−4−イミダゾリジル基を挙げることができる。ピペラジン環を有する基としては、1,4−ジアルキル−2−ピペラジニル基を挙げることができる。ピラゾリジン環を有する基としては、1,2−ジアルキル−3−ピラゾリジル基及び1,2−ジアルキル−4−ピラゾリジル基を挙げることができる。
【0150】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素脂環族複素環基としては、モルホリン環を有する基、イソオキサゾリジン環を有する基などを挙げることができる。
【0151】
モルホリン環を有する基としては、4−アルキル−2−モルホリノ基及び4−アルキル−3−モルホリノ基を挙げることができる。イソオキサゾリジン環を有する基としては、2−アルキル−3−イソオキサゾリジニル基、2−アルキル−4−イソオキサゾリジニル基及び2−アルキル−5−イソオキサゾリジニル基を挙げることができる。
【0152】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素脂環族複素環基としては、チオモルホリン環を有する基及びイソチアゾリジン環を有する基を挙げることができる。
【0153】
チオモルホリン環を有する基としては、4−アルキル−2−チオモルホリノ基及び4−アルキル−3−チオモルホリノ基を挙げることができる。イソチアゾリジン環を有する基としては、2−アルキル−3−イソチアゾリジニル基、2−アルキル−4−イソチアゾリジニル基及び2−アルキル−5−イソチアゾリジニル基を挙げることができる。
【0154】
8の含窒素脂環族複素環基としては、好ましくは、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基である。また、含窒素脂環族複素環基の炭素原子数は、好ましくは4〜10である。
【0155】
8の含窒素芳香族複素環基としては、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などを挙げることができる。
【0156】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、ピロール環を有する基、イミダゾール環を有する基、ピラゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、ピリダジン環を有する基、ピリミジン環を有する基、ピラジン環を有する基、キノリン環を有する基、イソキノリン環を有する基、シンノリン環を有する基、キナゾリン環を有する基、フタラジン環を有する基などを挙げることができる。
【0157】
ピロール環を有する基としては、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−アルキル−2−ピロリル基及び1−アルキル−3−ピロリル基を挙げることができる。
イミダゾール環を有する基としては、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、1−アルキル−2−イミダゾリル基、1−アルキル−4−イミダゾリル基及び1−アルキル−5−イミダゾリル基を挙げることができる。
ピラゾール環を有する基としては、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、1−アルキル−3−ピラゾリル基、1−アルキル−4−ピラゾリル基及び1−アルキル−5−ピラゾリル基を挙げることができる。
ピリジン環を有する基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基及び4−ピリジル基を挙げることができる。
ピリダジン環を有する基としては、3−ピリダジル基及び4−ピリダジル基を挙げることができる。
ピリミジン環を有する基としては、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基及び5−ピリミジル基を挙げることができる。
ピラジン環を有する基としては、2−ピラジル基を挙げることができる。
キノリン環を有する基としては、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基及び8−キノリル基を挙げることができる。
イソキノリン環を有する基としては、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基及び8−イソキノリル基を挙げることができる。
シンノリン環を有する基としては、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基及び8−シンノリニル基を挙げることができる。
キナゾリン環を有する基としては、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基及び8−キナゾリニル基を挙げることができる。
フタラジン環を有する基としては、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基及び6−フタラジニル基を挙げることができる。
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、キノリン環を有する基である。
【0158】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、オキサゾール環を有する基及びイソオキサゾール環を有する基を挙げることができる。
【0159】
オキサゾール環を有する基としては、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基及び5−オキサゾリル基を挙げることができる。
イソオキサゾール環を有する基としては、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基及び5−イソオキサゾリル基を挙げることができる。
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、オキサゾール環を有する基である。
【0160】
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、チアゾール環を有する基、イソチアゾール環を有する基などを挙げることができる。
【0161】
チアゾール環を有する基としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基及び5−チアゾリル基を挙げることができる。
イソチアゾール環を有する基としては、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基及び5−イソチアゾリル基を挙げることができる。
環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、チアゾール環を有する基である。
【0162】
8の含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、環を構成する原子に含まれているヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基であり、より好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基又はキノリン環を有する基であり、更に好ましくはピリジン環を有する基である。
【0163】
式(8)で表される化合物は、好ましくは、E8が式(8−E1)で表される基である下記式(8−1)で表される化合物である。
(式中、R81は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1の整数を表し、R82はヒドロカルビレン基を表し、A8は置換アミノ基又は、含窒素複素環基を表す。)
【0164】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが0であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−ビニルピロリジン、
1−ビニルピペリジン、
1−ビニルヘキサメチレンイミン、
1−ビニルピペラジン、
1−ビニルピロール、
1−ビニルイミダゾール。
【0165】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
4−ジメチルアミノスチレン、
4−ジエチルアミノスチレン、
4−ジプロピルアミノスチレン、
4−ジブチルアミノスチレン、
4−ジアリルアミノスチレン、
4−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
4−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノスチレン、
4−(1−アジリジニル)スチレン、
4−(1−ピロリジニル)スチレン、
4−(1−ピペリジニル)スチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)スチレン、
3−ジメチルアミノスチレン、
3−ジエチルアミノスチレン、
3−ジプロピルアミノスチレン、
3−ジブチルアミノスチレン、
3−ジアリルアミノスチレン、
3−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
3−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノスチレン、
3−(1−アジリジニル)スチレン、
3−(1−ピロリジニル)スチレン、
3−(1−ピペリジニル)スチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)スチレン。
【0166】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
4−(ジメチルアミノメチル)スチレン、
4−(ジエチルアミノメチル)スチレン、
4−(ジプロピルアミノメチル)スチレン、
4−(ジブチルアミノメチルスチレン、
4−(ジアリルアミノメチル)スチレン、
4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、
4−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル]スチレン、
4−(1−アジリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ピロリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ピペリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルスチレン。
【0167】
式(8−Ra)のpが2である化合物:
4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]スチレン、
4−[2−(ジエチルアミノ)エチル]スチレン、
4−[2−(ジプロピルアミノ)エチル]スチレン、
4−[2−(ジブチルアミノ)エチル]スチレン、
4−[2−(ジアリルアミノ)エチル]スチレン、
4−{2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、
4−{2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、
4−[2−(1−アジリジニル)エチル]スチレン、
4−[2−(1−ピロリジニル)エチル]スチレン、
4−[2−(1−ピペリジニル)エチル]スチレン、
4−[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]スチレン。
【0168】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−Rb)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Rb)のqが1である化合物:
3−(ジメチルアミノメチル)スチレン、
3−(ジエチルアミノメチル)スチレン、
3−(ジプロピルアミノメチル)スチレン、
3−(ジブチルアミノメチルスチレン、
3−(ジアリルアミノメチル)スチレン、
3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、
3−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル]スチレン、
3−(1−アジリジニル)メチルスチレン、
3−(1−ピロリジニル)メチルスチレン、
3−(1−ピペリジニル)メチルスチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルスチレン。
【0169】
式(8−Rb)のqが2である化合物:
3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]スチレン、
3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]スチレン、
3−[2−(ジプロピルアミノ)エチル]スチレン、
3−[2−(ジブチルアミノ)エチル]スチレン、
3−[2−(ジアリルアミノ)エチル]スチレン、
3−{2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、
3−{2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、
3−[2−(1−アジリジニル)エチル]スチレン、
3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]スチレン、
3−[2−(1−ピペリジニル)エチル]スチレン、
3−[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]スチレン。
【0170】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが0であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−イソプロペニルピロリジン、
1−イソプロペニルピペリジン、
1−イソプロペニルヘキサメチレンイミン、
1−イソプロペニルピペラジン、
1−イソプロペニルピロール、
1−イソプロペニルイミダゾール。
【0171】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
4−ジメチルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジエチルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(ジプロピルアミノ)−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(ジブチルアミノ)−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジアリルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ビス(トリメチルシリル)アミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ−1−イソプロペニルベンゼン、4−(1−アジリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピロリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピペリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジメチルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジエチルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジプロピルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジブチルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジアリルアミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ビス(トリメチルシリル)アミノ−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ−1−イソプロペニルベンゼン、3−(1−アジリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピロリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピペリジニル)−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)−1−イソプロペニルベンゼン。
【0172】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
4−ジメチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジエチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジ−n−プロピルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジ−n−ブチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ジアリルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−アジリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピロリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピペリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル−1−イソプロペニルベンゼン。
【0173】
式(8−Ra)のpが2である化合物:
4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(ジプロピルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(ジブチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(ジアリルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−{2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}−1−イソプロペニルベンゼン、
4−{2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]エチル}−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(1−アジリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
4−[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン。
【0174】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが1であり、R82が式(8−Rb)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Rb)のqが1である化合物:
3−ジメチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジエチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジプロピルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジブチルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ジアリルアミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−アジリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピロリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピペリジニル)メチル−1−イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル−1−イソプロペニルベンゼン。
【0175】
式(8−Rb)のqが2である化合物:
3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(ジプロピルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(ジ−n−ブチルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(ジアリルアミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−{2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}−1−イソプロペニルベンゼン、
3−{2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]エチル}−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(1−アジリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン、
3−[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]−1−イソプロペニルベンゼン。
【0176】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが0であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0177】
2−ジメチルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−ジエチルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−(ジプロピルアミノ)−1,3−ブタジエン、
2−(ジブチルアミノ)−1,3−ブタジエン、
2−ジアリルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−1,3−ブタジエン、
2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]−1,3−ブタジエン、
2−(1−アジリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピロリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピペリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ヘキサメチレンイミノ)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピロリル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−イミダゾリル)−1,3−ブタジエン。
【0178】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが1であり、R82がアルキレン基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
【0179】
82がメチレン基である化合物:
2−ジメチルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−ジエチルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−(ジ−n−プロピルアミノメチル)−1,3−ブタジエン、
2−(ジ−n−ブチルアミノメチル)−1,3−ブタジエン、
2−ジアリルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]−1,3−ブタジエン、
2−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル]−1,3−ブタジエン、2−[(1−アジリジニル)メチル]−1,3−ブタジエン、
2−[(1−ピロリジニル)メチル]−1,3−ブタジエン、
2−[(1−ピペリジニル)メチル]−1,3−ブタジエン、
2−[(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル]−1,3−ブタジエン、
1−(2−メチレン−3−ブテニル)ピロール、
1−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール。
【0180】
82がエチレン基である化合物:
5−ジメチルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−ジエチルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(ジ−n−プロピルアミノ)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(ジ−n−ブチルアミノ)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−ジアリルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−ビス(トリメチルシリル)アミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ−3−メチレン−1−ペンテン、5−(1−アジリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ピロリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ピペリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ヘキサメチレンイミノ)−3−メチレン−1−ペンテン、
1−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピロール、
1−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール。
【0181】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジプロピルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジイソプロピルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジイソブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジ−tert−ブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−アジリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ピロリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−(4−モルホリノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジプロピルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジイソプロピルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジイソブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジ−tert−ブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−アジリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ピロリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−(3−モルホリノフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ]フェニル}−1−フェニルエチレン。
【0182】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
1−[4−(ジメチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジエチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジプロピルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジイソプロピルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジイソブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(ジ−tert−ブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、1−[4−(ジフェニルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−アジリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ピロリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ピペリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−ヘキサメチレンイミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−(4−モルホリノメチルフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(トリイソプロピルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン。
【0183】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82が式(8−Rb)で表される基であり、A8が置換アミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Rb)のqが1である化合物:
1−[3−(ジメチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジエチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジプロピルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジイソプロピルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジイソブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(ジ−tert−ブチルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、1−[3−(ジフェニルアミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−アジリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ピロリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ピペリジニルメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−ヘキサメチレンイミノメチル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−(3−モルホリノメチルフェニル)−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[ビス(トリイソプロピルシリル)アミノメチル]フェニル}−1−フェニルエチレン。
【0184】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが0であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−3−ビニルピロリジン、
1−メチル−4−ビニルピペリジン、
1−メチル−3−ビニルヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−ビニルヘキサメチレンイミン。
【0185】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−3−(4−ビニルフェニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(4−ビニルフェニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(4−ビニルフェニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(4−ビニルフェニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−3−(3−ビニルフェニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(3−ビニルフェニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(3−ビニルフェニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(3−ビニルフェニル)ヘキサメチレンイミン。
【0186】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
1−メチル−3−(4−ビニルフェニルメチル)ピロリジン、
1−メチル−4−(4−ビニルフェニルメチル)ピペリジン、
1−メチル−3−(4−ビニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(4−ビニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン。
【0187】
式(8−Ra)のpが2である化合物:
1−メチル−3−[2−(4−ビニルフェニル)エチル]ピロリジン、
1−メチル−4−[2−(4−ビニルフェニル)エチル]ピペリジン、
1−メチル−3−[2−(4−ビニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−[2−(4−ビニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン。
【0188】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−Rb)で表される基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Rb)のqが1である化合物:
1−メチル−3−(3−ビニルフェニルメチル)ピロリジン、
1−メチル−4−(3−ビニルフェニルメチル)ピペリジン、
1−メチル−3−(3−ビニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(3−ビニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン。
【0189】
式(8−Rb)のqが2である化合物:
1−メチル−3−[2−(3−ビニルフェニル)エチル]ピロリジン、
1−メチル−4−[2−(3−ビニルフェニル)エチル]ピペリジン、
1−メチル−3−[2−(3−ビニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−[2−(3−ビニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン。
【0190】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが0であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−3−イソプロペニルピロリジン、
1−メチル−4−イソプロペニルピペリジン、
1−メチル−3−イソプロペニルヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−イソプロペニルヘキサメチレンイミン。
【0191】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−3−(4−イソプロペニルフェニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(4−イソプロペニルフェニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(4−イソプロペニルフェニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(4−イソプロペニルフェニル)ヘキサメチレンイミン。
【0192】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
1−メチル−3−(4−イソプロペニルフェニルメチル)ピロリジン、
1−メチル−4−(4−イソプロペニルフェニルメチル)ピペリジン、
1−メチル−3−(4−イソプロペニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(4−イソプロペニルフェニルメチル)ヘキサメチレンイミン。
【0193】
式(8−Ra)のpが2である化合物:
1−メチル−3−[2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル]ピロリジン、
1−メチル−4−[2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル]ピペリジン、
1−メチル−3−[2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−[2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル]ヘキサメチレンイミン。
【0194】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが0であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン。
【0195】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが1であり、R82がアルキレン基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
82がメチレン基である化合物:
1−メチル−3−(2−メチレン−3−ブテニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(2−メチレン−3−ブテニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(2−メチレン−3−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(2−メチレン−3−ブテニル)ヘキサメチレンイミン。
【0196】
82がエチレン基である化合物:
1−メチル−3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピロリジン、
1−メチル−4−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピペリジン、
1−メチル−3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ヘキサメチレンイミン、
1−メチル−4−(3−メチレン−4−ペンテニル)ヘキサメチレンイミン。
【0197】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−[4−(1−メチル−3−ピロリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−メチル−3−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−メチル−4−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−(1−メチル−4−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−メチル−3−ピロリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−メチル−3−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−メチル−4−ピペリジニル)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[3−(1−メチル−4−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]−1−フェニルエチレン。
【0198】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)で表される基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Ra)のpが1である化合物:
1−{4−[(1−メチル−3−ピロリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[(1−メチル−3−ピペリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[(1−メチル−4−ピペリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[(1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノ)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン。
【0199】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がフェニル基であり、mが1であり、R82が式(8−Rb)で表される基であり、A8が含窒素脂環族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(8−Rb)のqが1である化合物:
1−{3−[(1−メチル−3−ピロリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[(1−メチル−3−ピペリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[(1−メチル−4−ピペリジニル)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{3−[(1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノ)メチル]フェニル}−1−フェニルエチレン。
【0200】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81が水素原子であり、mが0であり、A8が含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−2−ビニルイミダゾール、
1−メチル−4−ビニルイミダゾール、
1−メチル−5−ビニルイミダゾール、
2−ビニルピリジン、
3−ビニルピリジン、
4−ビニルピリジン、
2−ビニルキノリン、
3−ビニルキノリン、
4−ビニルキノリン。
【0201】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がメチル基であり、mが0であり、A8が含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−2−イソプロペニルイミダゾール、
1−メチル−4−イソプロペニルイミダゾール、
1−メチル−5−イソプロペニルイミダゾール、
2−イソプロペニルピリジン、
3−イソプロペニルピリジン、
4−イソプロペニルピリジン、
2−イソプロペニルキノリン、
3−イソプロペニルキノリン、
4−イソプロペニルキノリン。
【0202】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが0であり、A8が含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
1−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
1−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
1−メチル−5−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン。
【0203】
式(8−1)で表される化合物のうち、R81がビニル基であり、mが1であり、R82がアルキレン基であり、A8が含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
82がメチレン基である化合物:
1−メチル−2−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
1−メチル−4−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
1−メチル−5−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
2−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
3−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
4−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
2−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン、
3−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン、
4−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン。
【0204】
82がエチレン基である化合物:
1−メチル−2−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
1−メチル−4−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
1−メチル−5−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
2−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
4−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
2−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン、
3−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン、
4−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン。
【0205】
式(8)で表される化合物としては、好ましくは、式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子である化合物である。
より好ましくは、式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、mが1であり、R82がフェニレン基であり、A8が式(8−A)で表される置換アミノ基である化合物;
式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−R)で表される基であり、A8が式(8−A)で表される置換アミノ基である化合物;
式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、mが0であり、A8が含窒素複素環基である化合物である。
更に好ましくは、式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、mが1であり、R82がパラ−フェニレン基又はメタ−フェニレン基であり、A8が式(8−A)中のR85及びR86が結合したポリメチレン基である化合物;
式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、mが1であり、R82が式(8−Ra)又は(8−Rb)で表される基であり、A8が式(8−A)中のR85及びR86が結合したポリメチレン基である化合物;
式(8−1)で表され、式(8−1)中のR81が水素原子であり、sが0であり、A8が含窒素芳香族複素環基である化合物である。
【0206】
式(8)で表される化合物としては、特に好ましくは、4−[2−(1−ピロリジニル)エチル]スチレン、3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]スチレン、4−ビニルピリジン又は3−ビニルピリジンである。
【0207】
上記(d)の方法において、式(2)で表される基を有するビニル系単量体として好適な化合物としては、下記式(9)で表される化合物をあげることができる。
(式中、E9は重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基を表し、A9は置換シリル基を表す。)
【0208】
式(9)中のE9は、重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基を表す。
【0209】
9としては、好ましくは下記式(9−E)で表される基である。
(式中、nは0又は1の整数を表し、R91、R93及びR94は、それぞれ独立に水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R32はヒドロカルビレン基を表す。)
式(9−E)において、nは0又は1の整数を表す。
【0210】
91、R93及びR94のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などを挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基などを挙げることができ、好ましくはビニル基である。アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基などを挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
【0211】
91として、好ましくは、水素原子、メチル基、ビニル基、フェニル基であり、より好ましくは水素原子である。
93及びR94として、好ましくは水素原子である。
【0212】
92のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン基がアルキレン基に結合した基などを挙げることができる。
【0213】
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基などを挙げることができる。好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などを挙げることができる。好ましくはフェニレン基である。
【0214】
アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、フェニレン基がアルキレン基に結合した基、ナフチレン基がアルキレン基に結合した基、ビフェニレン基がアルキレン基に結合した基を挙げることができる。好ましくはフェニレン基がアルキレン基に結合した基である。
また、アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、式(9−E)のR91が結合している炭素原子に、当該基のアリーレン基の炭素原子が結合していることが好ましい。
【0215】
フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)としては、例えば、下式(9−R)で表される基を挙げることができる。
(式中、dは1〜10の整数を表し、(CH2dはベンゼン環上の置換基である。)
【0216】
フェニレン−アルキレン基としては、アルキレン基が結合するベンゼン環上の炭素原子の位置によって、パラ−フェニレン−アルキレン基、メタ−フェニレン−アルキレン基、オルト−フェニレン−アルキレン基を挙げることができる。式(9−R)で表される基の場合、パラ−フェニレン−アルキレン基は下式(9−Ra)で表される基であり、メタ−フェニレン−アルキレン基は下式(9−Rb)で表される基であり、オルト−フェニレン−アルキレン基は下式(9−Rc)で表される基である。




(式中、e、f、gは、夫々、1〜10の整数を表す。)
【0217】
アリーレン基がアルキレン基に結合した基としては、好ましくは、フェニレン基がアルキレン基に結合した基(フェニレン−アルキレン基)であり、より好ましくは、上式(9−Ra)で表される基又は上式(9−Rb)で表される基であり、更に好ましくは、パラ−フェニレン−メチレン基(e=1である式(9−Ra)で表される基)、メタ−フェニレン−メチレン基(f=1である式(9−Rb)で表される基)、パラ−フェニレン−エチレン基(e=2である式(9−Ra)で表される基)又はメタ−フェニレン−エチレン基(f=2である式(9−Rb)で表される基)である。
【0218】
式(9−E)で表される基としては、次に示す基を挙げることができる。
91、R93及びR94が水素原子である基として、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基を挙げることができる。
【0219】
91がメチル基であり、R93及びR94が水素原子である基として、イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニルフェニル基、(4−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル基、(3−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(3−イソプロペニルフェニル)エチル基を挙げることができる。
【0220】
91がビニル基であり、R93及びR94が水素原子である基として、1−メチレン−2−プロペニル基、2−メチレン−3−ブテニル基を挙げることができる。
【0221】
91がフェニル基であり、R93及びR94が水素原子である基として、1−フェニルエテニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、4−(1−フェニルエテニル)フェニル基、3−(1−フェニルエテニル)フェニル基、2−(1−フェニルエテニル)フェニル基を挙げることができる。
【0222】
91が水素原子であり、R93がメチル基であり、R94が水素原子である基として、1−プロペニル基、2−ブテニル基、4−(1−プロペニル)フェニル基、4−(1−プロペニル)フェニルメチル基、2−[4−(1−プロペニル)フェニル]エチル基、3−(1−プロペニル)フェニル基、3−(1−プロペニル)フェニルメチル基、2−[3−(1−プロペニル)フェニル]エチル基を挙げることができる。
【0223】
式(9−E)で表される基としては、好ましくは下記式(9−E1)で表される基である。
(式中、R91は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、nは0又は1の整数を表し、R92はヒドロカルビレン基を表す。)
【0224】
式(9−E1)で表される好ましい基のうち、R31が水素原子である基としては、ビニル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基及び2−(3−ビニルフェニル)エチル基を挙げることができる。R31がメチル基である基としては、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニルフェニル基、(4−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル基、(3−イソプロペニルフェニル)メチル基及び2−(3−イソプロペニルフェニル)エチル基を挙げることができる。R31がビニル基である基として、1−メチレン−2−プロペニル基及び2−メチレン−3−ブテニル基を挙げることができる。R31がフェニル基である基としては、4−(1−フェニルビニル)フェニル基を挙げることができる。
式(9−E1)で表される基として、さらに好ましくはビニル基である。
【0225】
式(9)中のA9は、置換シリル基を表す。
【0226】
9の表す置換シリル基としては、シリル基のケイ素原子に結合した水素原子が、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、置換アミノ基等の置換基で置換された基を挙げることができる。ケイ素原子に結合している置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0227】
9の表す置換シリル基としては、好ましくは下記式(9−A)で表される基である。
(式中、X1、X2及びX3は、それぞれ、置換アミノ基、又は、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表し、X1、X2及びX3の少なくとも1つが置換アミノ基である。
【0228】
1、X2及びX3の置換基を有していてもよいヒドロカルビル基としては、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基を挙げることができ、置換ヒドロカルビル基としては、酸素原子、窒素原子、及びケイ素原子からなる原子群より選択される少なくとも1つの原子を有する基を挙げることができる。
【0229】
1、X2及びX3のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、エチニル基及び2−プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、トリル基及びキシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。ヒドロカルビル基として、好ましくはアルキル基である。
【0230】
1、X2及びX3の酸素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基を挙げることができる。
【0231】
1、X2及びX3の窒素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基を挙げることができる。
【0232】
1、X2及びX3のケイ素原子を有する置換ヒドロカルビル基としては、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリエチルシリルメチル基、トリエチルシリルエチル基などのトリアルキルシリルアルキル基を挙げることができる。
【0233】
1、X2及びX3の置換基を有していてもよいヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
【0234】
1、X2及びX3の置換基を有していてもよいヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基である。アルキル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。アルコキシアルキル基としては、好ましくは、炭素原子数2〜4のアルコキシアルキル基である。
【0235】
1、X2及びX3の置換アミノ基として、好ましくは下記式(9−X)で表される基である。
(式中、R95及びR96は、それぞれ、ヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R95はR96と結合しており、R95がR96に結合した基が窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表すか、又は、R95とR96は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【0236】
95及びR96のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基を挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基及びイソプロペニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、エチニル基及び2−プロピニル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、トリル基及びキシリル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。
【0237】
95及びR96のヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1〜2である。
95及びR96のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。
【0238】
95及びR96のトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基を挙げることができる。
【0239】
95及びR96のトリヒドロカルビルシリル基としては、好ましくは、炭素原子数が3〜9のトリアルキルシリル基であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合したアルキル基が炭素原子数1〜3のアルキル基であるトリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基である。
【0240】
95がR96に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、ヒドロカルビレン基、窒素原子を有するヒドロカルビレン基、酸素原子を有するヒドロカルビレン基などを挙げることができる。ヒドロカルビレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基を挙げることができる。窒素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基、−CH=CH−N=CH−で表される基、−CH2CH2−NH−CH2CH2−で表される基を挙げることができる。酸素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−O−CH2CH2−で表される基を挙げることができる。
【0241】
95がR96に結合した基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜7であり、更に好ましくは4〜6である。
【0242】
95がR96に結合した基において、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、好ましくはヒドロカルビレン基であり、より好ましくはアルキレン基であり、更に好ましくはポリメチレン基である。
【0243】
95及びR96が窒素原子に二重結合で結合する1つの基としては、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基などのヒドロカルビリデン基を挙げることができる。
【0244】
95及びR96が窒素原子に二重結合で結合する1つの基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜6である。
【0245】
95及びR96としては、好ましくは、アルキル基又はトリアルキルシリル基であるか、R95がR96と結合しており、R95がR96に結合した基がアルキレン基であり、より好ましくはアルキル基である。
【0246】
式(9−X)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基を挙げることができる。
【0247】
非環状アミノ基のうち、式(9−X)においてR95及びR96がヒドロカルビル基である基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基を挙げることができる。非環状アミノ基のうち、式(3−X)においてR95及びR96がトリヒドロカルビルシリル基である基としては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチル−ジメチルシリル)アミノ基などのビス(トリアルキルシリル)アミノ基を挙げることができる。
【0248】
非環状アミノ基のうち、式(9−X)においてR95とR96が一つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基である基としては、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基を挙げることができる。
【0249】
環状アミノ基のうち、式(9−X)において、R95はR96と結合しており、R95がR96に結合した基がヒドロカルビレン基である基としては、1−アジリジニル基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ピロリル基を挙げることができる。環状アミノ基のうち、式(9−X)において、R95はR96と結合しており、R95がR96に結合した基がヘテロ原子として窒素原子を有するヒドロカルビレン基である基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基を挙げることができる。環状アミノ基のうち、式(9−X)において、R95はR96と結合しており、R95がR96に結合した基がヘテロ原子として酸素原子を有するヒドロカルビレン基であるものとしては、モルホリノ基を挙げることができる。
【0250】
9、X9及びX9の置換アミノ基は、好ましくは非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基である。さらに好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基又はジ(n−ブチル)アミノ基であり、特に好ましくは、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基である。
【0251】
式(9−A)において、X1、X2及びX3の少なくとも1つが置換アミノ基であり、好ましくは、X1、X2及びX3の2つ以上が、置換アミノ基であり、より好ましくは、X1、X2及びX3の2つが、置換アミノ基である。
【0252】
式(9)で表される化合物は、好ましくは、E9が式(9−E1)で表される基であり、A9が式(9−A)で表される基である下記式(9−1)で表される化合物である。
(式中、R91は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、nは0又は1の整数を表し、R92はヒドロカルビレン基を表し、X1、X2及びX3は、それぞれ、置換アミノ基、又は、置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表し、X1、X2及びX3の少なくとも1つが置換アミノ基である。)
【0253】
式(9−1)で表される化合物のうち、R91が水素原子であり、X1、X2及びX3のうち1つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが0である化合物:
(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、
(ジエチルアミノ)ジメチルビニルシラン、
(ジプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、
(ジブチルアミノ)ジメチルビニルシラン、
(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、
(ジエチルアミノ)ジエチルビニルシラン、
(ジプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、
(ジブチルアミノ)ジエチルビニルシラン。
【0254】
式(9−1)中のnが1である化合物:
(ジメチルアミノ)ジメチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジメチルアミノ)ジメチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジエチルアミノ)ジメチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジエチルアミノ)ジメチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジプロピルアミノ)ジメチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジプロピルアミノ)ジメチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジブチルアミノ)ジメチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジブチルアミノ)ジメチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジメチルアミノ)ジエチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジメチルアミノ)ジエチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジエチルアミノ)ジエチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジエチルアミノ)ジエチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジプロピルアミノ)ジエチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジプロピルアミノ)ジエチル(3−ビニルフェニル)シラン、
(ジブチルアミノ)ジエチル(4−ビニルフェニル)シラン、
(ジブチルアミノ)ジエチル(3−ビニルフェニル)シラン。
【0255】
式(9−1)で表される化合物のうち、R91が水素原子であり、X1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが0である化合物:
ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチルビニルシラン。
【0256】
式(9−1)中のnが1である化合物:
ビス(ジメチルアミノ)メチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)メチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチル(3−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチル(4−ビニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチル(3−ビニルフェニル)シラン。
【0257】
式(9−1)で表される化合物のうち、R91がメチル基でありX1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが1である化合物:
ビス(ジメチルアミノ)メチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)メチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチル(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチル(3−イソプロペニルフェニル)シラン。
【0258】
式(9−1)で表される化合物としては、R91がビニル基であり、X1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが0である化合物:
ビス(ジメチルアミノ)メチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチル(1−メチレン−2−プロペニル)シラン。
【0259】
式(9−1)で表される化合物としては、R91がフェニル基であり、X1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが1である化合物:
1−{4−[ビス(ジメチルアミノ)メチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジエチルアミノ)メチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジプロピルアミノ)メチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジブチルアミノ)メチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジメチルアミノ)エチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジエチルアミノ)エチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジプロピルアミノ)エチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン、
1−{4−[ビス(ジブチルアミノ)エチルシリル]フェニル}−1−フェニルエチレン
【0260】
式(9−1)で表される化合物としては、R91が水素原子であり、X1、X2及びX3の3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが0である化合物:
トリス(ジメチルアミノ)ビニルシラン、
トリス(ジエチルアミノ)ビニルシラン、
トリス(ジプロピルアミノ)ビニルシラン、
トリス(ジブチルアミノ)ビニルシラン、
【0261】
式(9−1)中のnが1である化合物:
トリス(ジメチルアミノ)(4−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジメチルアミノ)(3−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジエチルアミノ)(4−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジエチルアミノ)(3−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジプロピルアミノ)(4−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジプロピルアミノ)(3−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジブチルアミノ)(4−ビニルフェニル)シラン、
トリス(ジブチルアミノ)(3−ビニルフェニル)シラン。
【0262】
式(9−1)で表される化合物としては、R91がメチル基であり、X1、X2及びX3の3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが1である化合物:
トリス(ジメチルアミノ)(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジメチルアミノ)(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジエチルアミノ)(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジエチルアミノ)(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジプロピルアミノ)(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジプロピルアミノ)(3−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジブチルアミノ)(4−イソプロペニルフェニル)シラン、
トリス(ジブチルアミノ)(3−イソプロペニルフェニル)シラン。
【0263】
式(9−1)で表される化合物としては、R91がビニル基であり、X1、X2及びX3の3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが0である化合物:
トリス(ジメチルアミノ)(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
トリス(ジエチルアミノ)(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
トリス(ジプロピルアミノ)(1−メチレン−2−プロペニル)シラン、
トリス(ジブチルアミノ)(1−メチレン−2−プロペニル)シラン。
【0264】
式(9−1)で表される化合物としては、R91がフェニル基であり、X1、X2及びX3のうち3つがジアルキルアミノ基である化合物として、次の化合物を挙げることができる。
式(9−1)中のnが1である化合物:
1−[4−トリス(ジメチルアミノ)シリルフェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−トリス(ジエチルアミノ)シリルフェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−トリス(ジ−n−プロピルアミノ)メチルシリルフェニル]−1−フェニルエチレン、
1−[4−トリス(ジ−n−ブチルアミノ)メチルシリルフェニル]−1−フェニルエチレン。
【0265】
式(9)で表される化合物としては、好ましくは、式(9−1)で表される基である化合物であり、より好ましくは、式(9−1)で表され、式(9−1)中のX1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物であり、更に好ましくは、式(9−1)で表され、式(9−1)中のX1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基であり、R31が水素原子であり、n=0である化合物である。
式(9)で表される化合物として特に好ましくは、式(9−1)で表され、式(9−1)中のX1、X2及びX3のうち2つがジアルキルアミノ基であり、残りの1つがアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R91が水素原子であり、n=0である化合物である。
式(9)で表される化合物として最も好ましくは、
ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジプロピルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジブチルアミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジプロピルアミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジブチルアミノ)エチルビニルシランである。
【0266】
本発明の共役ジエン系重合体は、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位及び式(1)で表される化合物に由来する単量体単位以外に、好ましくは、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含有する。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどを挙げることができ、好ましくはスチレンである。
【0267】
芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の含有量としては、共役ジエン系重合体の総量を100重量%として、好ましくは9重量%以上であり、より好ましくは14重量%以上である。また、省燃費性を高めるために、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の含有量は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下である。
【0268】
本発明の共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含有する場合、1,3−ブタジエンに由来する単量体単位の含有量、イソプレンに由来する単量体単位の含有量、及び芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の含有量の総量は、共役ジエン系重合体に含まれる単量体単位の総量を100重量%として、好ましくは99.99重量%以下であり、より好ましくは99.98重量%以下であり、更に好ましくは99.96重量%以下であり、より更に好ましくは99.95重量%以下であり、特に好ましくは99.8重量%以下である。また、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上であり、より更に好ましくは93重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは96重量%以上である。
【0269】
本発明の共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含有する場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の量に対する、1,3−ブタジエンに由来する単量体単位の量とイソプレンに由来する単量体単位の量との総量の重量比((1,3−ブタジエンに由来する単量体単位の量+イソプレンに由来する単量体単位の量)/芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位の量)は、省燃費性を高めるために好ましくは50/50以上であり、より好ましくは55/45以上である。また、グリップ性及び引張強度を高めるために、好ましくは90/10以下であり、より好ましくは85/15以下である。
【0270】
本発明における共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4)は、引張破断強度を高めるために、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上である。また、加工性を高めるために、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下である。該ムーニー粘度(ML1+4)は、JIS K6300(1994)に従って、100℃にて測定される。(ML1+4)は、以下の意味である。
M:ムーニー粘度
L:ラージローターを使用
1+4:試料を1分加熱した後、ローターを4分間2rpmで回転させた時の測定値
【0271】
本発明における共役ジエン系重合体中のビニル結合量は、共役ジエンに由来する単量体単位の含有量を100モル%として、省燃費性を高めるために、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、グリップ性を高めるために、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より求められる。
【0272】
本発明の共役ジエン系重合体の好適な製造方法は、炭化水素溶媒中、アルカリ金属触媒を用いて、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンと、上記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合させる方法である。
【0273】
アルカリ金属触媒としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマーなどをあげることができる。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどをあげることがでる。該有機アルカリ金属化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t−ブチルジメチルシリロキシプロピルリチウム、N−モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4−ジリチオ−2−ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、カリウムナフタレニドなどをあげることができる。また、アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウム−ジエトキシエタン錯体などをあげることができ、アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩をあげることができる。好ましくは、有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物であり、より好ましくは、炭素原子数が2〜20の有機リチウム化合物又は炭素原子数が2〜20の有機ナトリウム化合物である。
【0274】
上記の炭化水素溶媒は、アルカリ金属触媒を失活させない溶媒である。炭化水素溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素をあげることができる。これらは2種類以上を併用してもよい。
【0275】
単量体成分の重合は、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系重合体鎖中での1,3−ブタジエン及びイソプレンから選ばれる少なくとも一種の共役ジエンに由来する単量体単位と式(1)で表される化合物とそれら以外の化合物に由来する単量体単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)の存在下で行ってもよい。
調整剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシドをあげることができる。エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状のエーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエーテル;
ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族トリエーテル;
ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルをあげることができる。
第三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1,1,2,2−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。ホスフィン化合物として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどをあげることができる。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ペントキシド、カリウム−tert−ペントキシドをあげることができる。アルカリ金属フェノキシドとしては、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシドをあげることができる。これらは2種類以上を併用してもよい。
【0276】
単量体成分の重合に供給するアルカリ金属触媒の量は、重合において供給される単量体成分100gあたり、好ましくは0.01mmol〜15mmolである。
【0277】
単量体成分のうち、重合に供給する式(1)で表される化合物の量は、単量体成分の総供給量を100重量%として、省燃費性を高めるために、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.02重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上である。経済性を高めるために、また、グリップ性を高めるために、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0278】
炭化水素を溶媒とする溶液中で単量体成分の重合を行う場合、溶液中の単量体成分の濃度は、通常、1重量%〜50重量%であり、好ましくは5重量%〜30重量%である。
【0279】
重合温度は、通常25℃〜100℃であり、好ましくは35℃〜90℃である。さらに好ましくは50℃〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
【0280】
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法においては、単量体成分の重合開始から、後述する重合体の回収までに、重合溶液にカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、下記式(10)で表される化合物を挙げることができる。
100a14-a (10)
(式中、R100はアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基またはアリール基を表し、M1はケイ素原子またはスズ原子を表し、Lはハロゲン原子またはヒドロカルビルオキシ基を表し、aは0〜2の整数を表す。)
【0281】
上記式(10)で表されるカップリング剤としては、四塩化ケイ素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、四塩化スズ、メチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシランなどを挙げることができる。
【0282】
重合溶液にカップリング剤を添加する場合、カップリング剤の添加量は、共役ジエン系重合体の加工性を高めるために、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1mol当たり、好ましくは0.03mol以上であり、より好ましくは0.05mol以上である。また、省燃費性を高めるために、好ましくは0.4mol以下であり、より好ましくは0.3mol以下である。
【0283】
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法においては、重合体が溶解している溶液から重合体を回収する前に、重合体の未反応の活性末端をメタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノールなどのアルコールにより処理してもよい。
【0284】
重合体が溶解している溶液から共役ジエン系重合体を回収する方法としては公知の方法を用いることができ、例えば(e)共役ジエン系重合体を含有する溶液に凝固剤を添加する方法、(f)共役ジエン系重合体を含有する溶液にスチームを吹き込む方法、を挙げることができる。回収した共役ジエン系重合体は、バンドドライヤーや押出型ドライヤーなどの公知の乾燥機で乾燥してもよい。
【0285】
本発明の共役ジエン系重合体に、他の重合体成分や添加剤などを配合して、重合体組成物を調製してもよい。
【0286】
他の重合体成分としては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴムを挙げることができる。また、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体なども挙げることができる。これらの重合体成分は、2種類以上を併用してもよい。
【0287】
本発明の共役ジエン系重合体に他の重合体成分を配合する場合、重合体組成物中における本発明の共役ジエン系重合体の含有量は、燃費性能を高めるために、重合体組成物中における重合体成分の総量(共役ジエン系重合体を含む)を100重量%に対して、好ましくは10重量%以上99.9重量%以下であり、より好ましくは20重量%以上90重量%以下である。
【0288】
添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、硫黄などの加硫剤;
チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;
ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;
ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;
シリカ、カーボンブラックなどの補強剤;
炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;
シランカップリング剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
【0289】
硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の配合量は、重合体成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜15重量部であり、より好ましくは0.3重量部〜10重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜5重量部である。
【0290】
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシメチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;
ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。
加硫促進剤の配合量は、重合体成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜5重量部であり、より好ましくは0.2重量部〜3重量部である。
【0291】
補強剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、及びカーボンブラックを挙げることができる。
【0292】
シリカとしては、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカなどを挙げることができる。これらは1種以上用いることができる。
シリカのBET比表面積は、好ましくは、50m2/g〜250m2/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993−03に従って測定される。市販品としては、デグッサ社製 商品名 ウルトラシルVN3−G、東ソー・シリカ社製 商品名 VN3、AQ、ER、RS−150、Rhodia社製 商品名 Zeosil 1115MP、1165MP等を用いることができる。
【0293】
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを挙げることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;
SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;
FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;
アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは2種類以上を併用してもよい。
【0294】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは、5m2/g〜200m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5ml/100g〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイヤブラックN339、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK 3、Special Black 4A等を用いることができる。
【0295】
重合体組成物における補強剤の含有量は、本発明の共役ジエン系重合体100重量部に対して、耐摩耗性および強度を高めるために、好ましくは10重量部以上であり、より好ましくは20重量部以上であり、さらに好ましくは30重量部以上である。また、補強性を高めるために、好ましくは150重量部以下であり、より好ましくは120重量部以下であり、さらに好ましくは100重量部以下である。
【0296】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらは1種以上用いられる。市販品としては、デグッサ社製 商品名 Si69、Si75等を用いることができる。
【0297】
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは1重量部〜20重量部であり、より好ましくは2重量部〜15重量部であり、さらに好ましくは5重量部〜10重量部である。
【0298】
伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などを挙げることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3重量%未満であり、より好ましくは1重量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20重量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
【0299】
本発明の共役ジエン系重合体に、他の重合体成分や添加剤などを配合して重合体組成物を製造する方法としては、例えば、各成分をロール及びバンバリー等の公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
【0300】
混練条件としては、加硫剤および加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50℃〜200℃であり、好ましくは80℃〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120℃〜200℃、好ましくは140℃〜180℃である。
【0301】
本発明の重合体組成物は、省燃費性に優れ、タイヤに好適に用いられる。
【実施例】
【0302】
物性評価は次の方法で行った。
1.ムーニー粘度(ML1+4
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
【0303】
2.ビニル結合量(単位:%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より重合体中の1,3−ブタジエンに由来する単量体中のビニル結合量を求めた。
【0304】
3.スチレンに由来する単量体単位の含有量(単位:重量%)
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレンに由来する単量体単位の含有量を求めた。
【0305】
4.省燃費性
シート状の加硫成形体から幅1mmまたは2mm、長さ40mmの短冊上試験片を打ち抜き、試験片を試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み1%及び周波数10Hzの条件下で、温度70℃での試験片の損失正接(tanδ(70℃))を測定した。この値が小さいほど、省燃費性に優れる。
【0306】
5.1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの反応率(単位:%)
ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC−MS)により、重合反応後の重合溶液中に存在する未反応の1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの量を測定した、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの投入量と該測定値との差から、反応量を求めた。投入量に対する反応量の比から反応率を算出した。
【0307】
[実施例1]
内容積5リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、当該重合反応器の内部のガスを乾燥窒素に置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)2.55kg、1,3−ブタジエン137g、スチレン43g、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン3.8g、テトラヒドロフラン1.5ml、エチレングリコールジエチルエーテル1.0mlを、それぞれ、重合反応器内に供給した。
次に、重合開始剤の失活に作用する不純物を予め無毒化させるために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を重合反応器内に供給した。
【0308】
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量2.75mmol)を重合反応器内に供給し、重合反応を開始した。
【0309】
重合反応を2時間30分行った。重合反応中、重合反応器内の温度を65℃に調整し、重合反応器内の溶液を撹拌速度130rpmで攪拌し、重合反応器内には、1,3−ブタジエン205gとスチレン65gとを連続的に供給した。重合反応器に供給した単量体総量100重量%中、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの供給量は0.84重量%であった。
【0310】
メタノール0.2mlを含むヘキサン溶液5mlを重合反応器内に供給し、重合体溶液を5分間撹拌した。
【0311】
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを重合反応器内に供給し、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの反応率を表2に示す。重合体中のスチレンに由来する単量体単位の量は24重量%、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンに由来する単量体単位の量は0.70重量%であり、残りの単量体単位は1,3−ブタジエンに由来する単量体単位であった。
【0312】
得られた重合体100重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)50重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)10重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、亜鉛華4重量部、ステアリン酸2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、硫黄1.75重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0313】
[実施例2]
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、当該重合反応器の内部のガスを乾燥窒素に置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエン20g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.4mlを、それぞれ、重合反応器内に供給した。次に、重合開始剤の失活に作用する不純物を予め無毒化させるために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を重合反応器内に供給した。
【0314】
アルカリ金属触媒として3−(ジメチルアミノ)プロピルリチウムとイソプレンとを反応させた化合物[反応割合:イソプレン/3−(ジメチルアミノ)プロピルリチウム=2/1(モル比)、FMC社製、商品名:AI−200CE2(シクロヘキサン溶液)]13.8mmolをシクロヘキサン溶液として重合反応器内に供給し、重合反応を開始した。
【0315】
重合反応を3時間行った。重合反応中、重合反応器内の温度を65℃に調整し、重合反応器内の溶液を撹拌速度130rpmで攪拌し、重合反応器内には、1,3−ブタジエン912gとスチレン288gとを連続的に供給した。重合反応器に供給した単量体総量100重量%中、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの供給量は0.99重量%であった。
【0316】
次に、重合反応器温度を65℃に保ちながら、得られた重合溶液を重合反応器内で130rpmの撹拌速度で撹拌し、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド13.8mmolを重合溶液に添加し、15分間撹拌した。
【0317】
メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液5mlを重合反応器内に供給し、重合体溶液を5分間撹拌した。
【0318】
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを重合反応器内に供給し、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。重合体中のスチレンに由来する単量体単位の量は24重量%、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンに由来する単量体単位の量は0.83重量%であり、残りの単量体単位は1,3−ブタジエンに由来する単量体単位であった。
なお実施例2では、実施例1の結果に基づき、1−メチル−4−イソプロピル−1,3−シクロヘキサジエンの反応率を84%と仮定して、重合体中の各単量体単位量を算出した。
【0319】
得られた重合体100重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)50重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)10重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、亜鉛華4重量部、ステアリン酸2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、硫黄1.75重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0320】
[比較例1]
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、当該重合反応器の内部のガスを乾燥窒素に置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを、それぞれ、重合反応器内に供給した。次に、重合開始剤の失活に作用する不純物を予め無毒化させるために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を重合反応器内に供給した。
【0321】
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量12,4mmol)を重合反応器内に供給し、重合反応を開始した。
【0322】
重合反応を3時間行った。重合反応中、重合反応器内の温度を65℃に調整し、重合反応器内の溶液を撹拌速度130rpmで攪拌し、重合反応器内には、1,3−ブタジエン912gとスチレン288gとを連続的に供給した。
【0323】
メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合反応器内に供給し、重合体溶液を5分間撹拌した。
【0324】
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを重合反応器内に供給し、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。重合体中のスチレンに由来する単量体単位の量は25重量%であり、残りの単量体単位は1,3−ブタジエンに由来する単量体単位であった。
【0325】
得られた重合体100重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)50重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)10重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、亜鉛華4重量部、ステアリン酸2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、硫黄1.75重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。



【0326】
【表1】
【0327】
【表2】