【文献】
千田修一郎、西山博仁,アドホックネットワークにおける障害管理の方式提案,情報処理学会研究報告 2011(平成23)年度▲3▼ [CD−ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2011年10月15日,第3,4節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサデータの欠落の発生前と発生後とで前記受信電力の受信レベルの値が変化しているか変化していないかの判断に閾値を用いるようにし、当該閾値が平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差よりも大きい値であることを特徴とする請求項1記載の無線センサネットワーク障害の原因特定方法。
前記センサデータの欠落の発生前と発生後とで前記受信電力の受信レベルの値が変化しているか変化していないかの判断に閾値を用いるようにし、当該閾値が平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差よりも大きい値であることを特徴とする請求項3記載の無線センサネットワーク障害の原因特定装置。
前記センサデータの欠落の発生前と発生後とで前記受信電力の受信レベルの値が変化しているか変化していないかの判断に閾値を用いるようにし、当該閾値が平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差よりも大きい値であることを特徴とする請求項5記載の無線センサネットワーク障害の原因特定プログラム。
【背景技術】
【0002】
無線センサネットワークは、無線通信機能を有するノードが複数設置され、これら複数のノードの一部若しくは全部に情報収集の目的に合わせて種々のセンサが取り付けられ、これら複数のノードが相互に通信の中継を行うなどして無線による通信経路(ルート)が自律的に設定されて通信ネットワークが構築され、各センサによって収集されたセンサデータ(計測データなど)が収集側のノードに伝送される仕組みであり、例えば各種設備のセンシング・状態監視や保全技術の省力化・高度化などへの応用が期待されている。
【0003】
そして、無線センサネットワークは、ノードの電源をバッテリ駆動にすることによって通信線・電源線とも不要にしてセンサデータを収集するためのネットワークを簡易に構築することができる。このため、通信方式や信号処理に省電力化技術が多数使用されており、データ収集方法や周期にもよるものの乾電池で数年以上使用できる場合もある。
【0004】
このように、無線センサネットワークは、特に配線が不要であるという点においてセンサの追加設置が容易であり、センサの取り付け作業を簡素化することができる。その一方で、無線センサネットワークの採用によるセンサ取り付けの簡素化という効果を損なわないためには、ネットワーク障害に効率的に対応できることが重要である。そのためには、障害箇所の切り分け(言い換えると、ネットワーク障害の原因の特定)を簡易に行い、障害対応に必要な機材や作業手順を絞り込むことが有効である。
【0005】
ここで、無線センサネットワークの汎用の通信規格として、ZigBeeがある。ZigBeeは、電波に関する物理層及びMAC層の規格としてIEEE802.15.4(IEEE 802.15.4,"IEEE Standard for Local and metropolitan area networks- Part 15.4: Low-Rate Wireless Personal Area Networks (LR-WPANs)",IEEE-SA Standard board,2006年)を採用し、その上位層で動作する経路制御(ルーティング)やアプリケーションなどに関して規定している。IEEE802.15.4は、WPAN(Wireless Personal Area Network の略)の規格であり、周波数は2400〜2483.5 MHz,伝送速度は250 kbps と規定している。
【0006】
ZigBeeにおける無線ノードの種類は、基地局,中継局,端末(それぞれ、ZigBee Coordinator(コーディネータ),ZigBee Router(ルータ),ZigBee End Device(エンドデバイス)とも呼ばれる)の三種類に分類されている。一つのセンサネットワークは、1台のコーディネータと複数台のルータ及びエンドデバイスとで構成される。無線ノードの種類の違いは中継機能の有無であり、コーディネータとルータとには中継機能があり、エンドデバイスには中継機能がない。
【0007】
センサは、ルータ若しくはエンドデバイスに一個若しくは複数個取り付けられる。センサが取り付けられたノードをセンサノードと呼ぶ。なお、ルータやエンドデバイスに取り付けられるセンサは、特定の種別に限定されるものではなく、無線センサネットワークを用いての情報収集の目的などに合わせて適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、温度,湿度,音,振動,電流,電圧,ガスを計測するセンサが挙げられる。
【0008】
無線センサネットワークでは、ルータが通信を中継することにより、各センサによって計測・取得されたセンサデータが収集側のノードとしてのコーディネータに伝送され、センサデータの収集が行われる。なお、通信の中継ルートは複数存在する場合が多いため、一部のルートが途絶しても代替ルートによって通信を継続して行うことができる。
【0009】
ここで、無線センサネットワークにおけるセンサデータの収集の障害は、ノードの構成要素が故障したり伝搬路に障害物が設置されたりすることによって発生し、1)センサデータ異常と、2)センサデータ欠落とに分類される。
【0010】
1)センサデータ異常
センサデータ異常の原因になる障害箇所としては、センサとノードとが考えられる。
【0011】
センサにおける障害原因として、具体的には、センサの故障(例えば、工事資材や巡視員などの接触による破損、雷による破損、動物や虫による破損、自然劣化),バッテリ切れや電圧低下,動作環境の変化(例えば、温度や湿度異常による誤動作),キャリブレーションのずれ,ノイズの混入が考えられる。
【0012】
また、ノードにおける障害原因として、具体的には、ノードの故障,バッテリ切れや電圧低下,動作環境の変化(例えば、温度や湿度異常による誤動作)が考えられる。
【0013】
2)センサデータ欠落
センサデータ欠落の原因になる障害箇所としては、伝搬路とノードとが考えられる。
【0014】
2−a)障害箇所が伝搬路の場合
伝搬路における通信が途絶してデータ欠落が発生する場合について、例えばノードA−B間の中継ルートが二つある場合に、片方のみの中継ルートが途絶したときはルート切替によって通信の完全途絶を回避することができるものの、両方の中継ルートが途絶したときは代替ルートがないためにルート切替による回避をすることができずに通信の完全途絶が生じてデータ欠落が発生する。
【0015】
伝搬路における障害原因として、具体的には、電波の反射,電波の遮蔽が考えられる。
【0016】
2−b)障害箇所がノードの場合
ノードにおける障害原因として、具体的には、故障,バッテリ切れや電圧低下,動作環境の変化(例えば、アンテナへの水滴や氷の付着、温度や湿度異常による誤動作)が考えられる。
【0017】
以上のような無線センサネットワークにおけるセンサデータの収集の障害に対し、無線センサネットワークの採用によるセンサ取り付けの簡素化という効果を損なわないために、ネットワーク障害の管理が重要である。
【0018】
ネットワーク障害の管理は、一般に、通信ネットワークやその環境の異常を検出し、その箇所を切り分け(言い換えると、ネットワーク障害の原因を特定し)、そして、対応できることである。
【0019】
無線センサネットワークにおける障害は、上述のようにデータ異常とデータ欠落とに分類される。そして、ネットワーク障害の管理として、障害の検出では収集されたデータが監視されてデータ異常やデータ欠落が発生しているか否かが判定され、障害箇所の切り分けではデータ欠落やデータ異常をもたらす箇所がセンサやノードであるのか或いは伝搬路であるのかが判定され、障害の対応では障害の原因が推定されて修理が行われる。
【0020】
障害の対応では、障害箇所(具体的には、ノードであるのか、或いは、伝搬路であるのか)に応じて障害への具体的な対応方法が異なる。このため、障害箇所の切り分けができると、その結果に基づいて具体的な対応方法を事前に選定することができる。対応を事前に選定することにより、無線センサネットワークが構築された現地にいる工事担当者や巡視員(以下、現地作業員)に対応を依頼することが可能になる。さらに、対応する箇所を選定することにより、障害箇所を切り分けできない場合に比べ、対応すべき箇所の取りこぼしを防止することもできる。このように、障害箇所が切り分けできることにより、障害対応の効率化が図られる。
【0021】
従来のネットワーク障害の管理について、ZigBeeでは、一部の中継ルートにおいて通信途絶が生じた場合は、代替ルートが自動的に構築され、データ収集障害にはならず、通信途絶によって経路が切り替わったことが検出される。また、ZigBeeにおいて規定されているデータ項目として、バッテリ電圧(アプリケーション層)並びにルーティングテーブル,隣接テーブル,送信通信量(ネットワーク層)があることを考慮すると、ZigBeeでは、データの欠落が発生した場合に、いずれのノードのデータについて欠落が生じているのかは判断され得る(非特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、ZigBeeでは、また、ZigBeeによらない無線センサネットワークにおいても、データの欠落が発生した場合に、いずれのノードのデータについて欠落が生じているのかを判断することはできても、データの欠落を発生させたネットワーク障害の原因がデータが欠落しているノード自身であるのか或いは当該ノード周囲の伝搬路であるのかを特定することはできない。このため、ネットワーク障害への対応に必要な機材や作業手順を絞り込むためにはネットワークが構築された現地における障害の原因特定のための作業が必要になり、ネットワーク障害の原因の特定及びその対応に多大な手間が必要になるという問題がある。
【0024】
そこで、本発明は、データ欠落が発生した場合にネットワーク障害の原因がノードと伝搬路とのどちらであるのかを特定することができる無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
かかる目的を達成するため、本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法は、無線センサネットワークによって収集される
センサデータが入力される装置が、センサデータに欠落が発生したときに、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての
近隣ノードを無線センサネットワークを構築する複数のノードのそれぞれにとっての近隣ノードの設定に基づいて特定し、これら近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較し、受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は
センサデータの欠落が発生しているノードと近隣ノードとの間の伝搬路であると判定し、受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定するようにしている。
【0026】
本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定装置は、無線センサネットワークによって収集されるセンサデータに欠落が発生しているか否かを判定する手段と、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての
近隣ノードを無線センサネットワークを構築する複数のノードのそれぞれにとっての近隣ノードの設定に基づいて特定すると共にこれら近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを読み込む手段と、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較して受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は
センサデータの欠落が発生しているノードと近隣ノードとの間の伝搬路であると判定すると共に受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定する手段とを有するようにしている。
【0027】
本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定プログラムは、無線センサネットワークによって収集されるセンサデータに欠落が発生しているか否かを判定する処理と、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての
近隣ノードを無線センサネットワークを構築する複数のノードのそれぞれにとっての近隣ノードの設定に基づいて特定すると共にこれら近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを読み込む処理と、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較して受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は
センサデータの欠落が発生しているノードと近隣ノードとの間の伝搬路であると判定すると共に受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定する処理とをコンピュータに行わせるようにしている。
【0028】
したがって、これらの無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムによると、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルのデータ欠落発生前後の値を比較することにより、ネットワーク障害の原因は伝搬路であるのかノード自身であるのかが特定される。
【0029】
また、これらの無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムは、ノードからの情報を収集して利用することのみによってネットワーク障害の原因を特定するようにしているので、特別な装置を追加することなく、ネットワーク障害の原因の特定が行われ得る。
【0030】
また、本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムは、センサデータの欠落の発生前と発生後とで受信電力の受信レベルの値が変化しているか変化していないかの判断に閾値を用いるようにし、当該閾値が平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差よりも大きい値であるようにしても良い。この場合には、近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルのデータ欠落発生前後における変化の有無が、客観的に定められる閾値を用いて判断される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムによれば、ネットワーク障害の原因は伝搬路であるのかノード自身であるのかを特定することができるので、ネットワーク障害への対応の効率化と省力化とを図ることが可能になる。
【0032】
本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムによれば、また、特別な装置を追加することなく、ネットワーク障害の原因の特定を行うことができるので、実現が容易であって導入が促進され、ネットワーク障害の原因特定の仕組みとして汎用性が高い。
【0033】
さらに、本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムは、平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差よりも大きい値に設定された閾値を用いて近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルのデータ欠落発生前後における変化の有無を判断するようにしても良く、この場合には、客観的に定められる閾値が用いられるので、受信電力の受信レベルのデータ欠落発生前後における変化の有無を精度高く判断することができ、ネットワーク障害の原因の特定の信頼性の向上が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1から
図3に、本発明の無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムの実施形態の一例を示す。
【0037】
複数のノードが設置されて構築された無線センサネットワークの一例として、1台の収集側ノード1(以下、コーディネータ1と呼ぶ)及び5台のノード2A,2B,2C,2D,2E(以下、これら個々のノードを区別する必要がない場合は単にノード2と表記する)が設置された例を
図3に示す。本実施形態では、あくまで一例として
図3に示す無線センサネットワークにおけるネットワーク障害の原因を特定する場合を例に挙げて説明する。
【0038】
なお、無線センサネットワークは、無線通信機能を備えた複数のノードが送信を行うと共に各ノード同士が相互に通信の中継を行うことにより、複数のノードの一部若しくは全部に取り付けられたセンサによって計測・取得されたセンサデータを伝送するように構成されるネットワークである。ノードは、無線信号を送信し得ると共にノード相互間でマルチホップ通信によって自律的にデータ伝送を行い得る。マルチホップ通信は、アクセスポイントの介在なしに相互に接続する通信である。
【0039】
なお、
図3に示す例では、ノード2A乃至2Eの全てにセンサが取り付けられる(符号はそれぞれ3A,3B,3C,3D,3Eとする;以下、これら個々のセンサを区別する必要がない場合は単にセンサ3と表記する)。
【0040】
無線センサセットワークは、具体的には例えばZigBeeを利用して構築され得る。なお、ZigBee端末には中継機能があり、中継を繰り返すことによってZigBee端末同士が通信を行える限り情報を伝送することが可能である。
【0041】
そして、ノードを用いて無線センサネットワークを構築するには、監視対象の設備や構造物や領域に対し、ノードから送信される電波の届く範囲で適当な間隔をもって複数のノードが設置される。
【0042】
なお、ノード2は、ZigBeeの構成と対応させるとZigBee Router或いはZigBee End Deviceに該当する。
【0043】
さらに、ノードに対して無線信号を送信したりノードからの無線信号を受信したりすると共に当該無線信号をデジタル情報に変換して外部機器10に出力するコーディネータ1が設けられる。
【0044】
コーディネータ1は、ZigBeeの構成と対応させるとZigBee Coordinatorに該当し、ネットワーク内に1台存在してネットワークの制御を行う端末である。
【0045】
コーディネータ1は、また、WPAN向けのプロトコルであるIEEE802.15.4ではPAN coordinatorとしてのFFD(Full-Function Device の略)に該当する。
【0046】
したがって、コーディネータ1は、ZigBee CoordinatorやPAN coordinatorとしてのFFDがその構成の一例ということになり、具体的には少なくとも、無線信号を送受信するためのアンテナと、アンテナによって受信された無線信号が入力されて当該無線信号をデジタル情報に変換して受信データとして出力すると共に外部から入力されたデータ(デジタル情報)を無線信号に変換してアンテナに出力する送受信回路とを備える。
【0047】
図3に示す例を用いて説明すると、本発明が適用され得る無線センサネットワークにおけるセンサデータの収集としては例えば以下のような処理がなされる。
【0048】
まず、各ノード2に対し、基本設定として事前に、予め定められた周期に従ってセンサデータを取得して送信する指示がコーディネータ1を介して与えられる。
【0049】
そして、指示が与えられたノード2により、自身に取り付けられているセンサ3からのセンサデータの読み取り処理が行われる。
【0050】
そして、各ノード2により、当該ノードにとってのルータとして指定されたノード(2A乃至2Eのうちの少なくとも一つ)又はコーディネータ1に、センサデータが予め定められた周期に従って送信される。
【0051】
また、他のノード(2A,2B,2C,2D,2Eのうちのいずれか)からのセンサデータを受信したノード2により、当該ノードにとってのルータとして指定されたノード(2A乃至2Eのうちの少なくとも一つ)又はコーディネータ1に、センサデータが転送される。
【0052】
そして、コーディネータ1により、受信されたセンサデータが外部機器10に入力される。
【0053】
一例としての上述のような無線センサネットワークにおけるセンサデータの欠落が発生した際のネットワーク障害の原因を特定するための、無線センサネットワーク障害の原因特定方法は、
図1に示すように、無線センサネットワークによって収集されるセンサデータに欠落が発生したときに(S1:Yes)、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較し、受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は伝搬路であると判定し、受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定する(S2,S3)ようにしている。
【0054】
上記無線センサネットワーク障害の原因特定方法は、無線センサネットワーク障害の原因特定装置によって実行され得る。本実施形態の無線センサネットワーク障害の原因特定装置10は、無線センサネットワークによって収集されるセンサデータに欠落が発生しているか否かを判定する手段としてのデータ欠落判定部11aと、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを読み込む手段としての受信電力の受信レベル読込部11bと、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較して受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は伝搬路であると判定すると共に受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定する手段としての障害原因特定部11cとを備える。
【0055】
また、上記無線センサネットワーク障害の原因特定方法及び無線センサネットワーク障害の原因特定装置は、無線センサネットワーク障害の原因特定プログラムをコンピュータ上で実行することによっても実現され得る。ここでは、無線センサネットワーク障害の原因特定プログラムがコンピュータ上で実行されることによって無線センサネットワーク障害の原因特定装置が実現されると共に無線センサネットワーク障害の原因特定方法が実行される場合を説明する。
【0056】
無線センサネットワーク障害の原因特定プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、無線センサネットワーク障害の原因特定装置10でもある)の全体構成を
図2に示す。このコンピュータ10(無線センサネットワーク障害の原因特定装置10)は、制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,メモリ15を備え相互にバス等の信号回線によって接続されている。
【0057】
制御部11は、記憶部12に記憶されている無線センサネットワーク障害の原因特定プログラム17によってコンピュータ10全体の制御並びにネットワーク障害の原因の特定に係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
【0058】
記憶部12は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
【0059】
入力部13は、少なくとも作業者の命令を制御部11に与えるためのインターフェイスであり、例えばキーボードである。
【0060】
表示部14は、制御部11の制御によって文字や図形等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
【0061】
メモリ15は、制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
【0062】
そして、コンピュータ10(本実施形態では、無線センサネットワーク障害の原因特定装置10でもある)の制御部11には、無線センサネットワーク障害の原因特定プログラム17を実行することにより、無線センサネットワークによって収集されるセンサデータに欠落が発生しているか否かを判定する処理を行うデータ欠落判定部11aと、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを読み込む処理を行う受信電力の受信レベル読込部11bと、センサデータの欠落の発生前の値と発生後の値とを比較して受信電力の受信レベルの値が変化している場合にはネットワーク障害の原因は伝搬路であると判定すると共に受信電力の受信レベルの値が変化していない場合にはネットワーク障害の原因はセンサデータの欠落が発生しているノード自身であると判定する処理を行う障害原因特定部11cとが構成される。
【0063】
また、コンピュータ10(無線センサネットワーク障害の原因特定装置10)に、データや制御指令等の信号の送受信(即ち、出入力)が可能であるように、コーディネータ1が電気的に接続される。
【0064】
すなわち、本実施形態では、コーディネータ1が接続される外部機器10をコンピュータとし、当該外部機器としてのコンピュータ10(無線センサネットワーク障害の原因特定装置10)に対してコーディネータ1からセンサデータを含むデジタル情報が出力される。なお、コーディネータ1から出力されてコンピュータ10に入力されたセンサデータは、コンピュータ10によって記憶部12や他の記憶装置・記憶媒体に記録される。
【0065】
コーディネータ1とコンピュータ10とは、例えば、USB端子等を有するケーブルによって接続されるようにしても良いし、LAN等の通信回線を介して接続されるようにしても良いし、インターネット等の広域通信網を介して接続されるようにしても良い。
【0066】
また、各ノード2と各ノード2にとっての近隣ノードとが予め対応づけられたデータが、近隣ノードファイル18として記憶部12に格納される。
【0067】
本実施形態では、各ノード2にとっての近隣ノードが表1のように設定される。
【0069】
近隣ノードの設定は、例えば、近隣ノードの設定対象のノードが通信をする際に直接の送信先・送信元になるノードを挙げるようにしたり、近隣ノードの設定対象のノードから一定の範囲内にあるノードを全て挙げるようにしたりすることが考えられる。なお、近隣ノードの中にコーディネータ1が含まれるようにしても良い。
【0070】
そして、各ノード2により、無線センサネットワークを用いての情報収集の目的などに合わせてセンサ3による計測が行われることによってセンサデータが取得され、無線通信機能によってセンサデータの送信が行われる(S0:無線センサネットワークの処理として常時行われる)。
【0071】
本実施形態では、センサデータは、各ノード2によってセンサ3から読み込まれてコーディネータ1に送信され、コーディネータ1が接続されているコンピュータ10に入力され、記憶部12や他の記憶装置・記憶媒体に例えばデータファイルとして記録される。
【0072】
また、本発明では、各ノード2において、近隣ノードからの信号受信の電波状態として近隣ノード間の受信電力の受信レベル(単位は dBm)の値が常に把握される。
【0073】
具体的には例えば、表1に示すようにノード2Aにとっての近隣ノードはノード2B及びノード2Cであるので、ノード2Aは、近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値として、ノード2Bから送信された信号の受信電力の受信レベルの値及びノード2Cから送信された信号の受信電力の受信レベルの値を把握する。
【0074】
そして、無線センサネットワーク障害の原因特定方法の実行として、まず、コンピュータ10の制御部11のデータ欠落判定部11aにより、センサデータに欠落が発生しているか否かの判定が行われる(S1)。
【0075】
具体的には、データ欠落判定部11aにより、コーディネータ1からコンピュータ10に入力されて記憶部12や他の記憶装置・記憶媒体に例えばデータファイルとして記録されたセンサデータが監視される。
【0076】
なお、本発明における、センサデータの欠落の発生有無を判定するためのセンサデータの監視方法は、特定の方法に限定されるものではなく、センサデータの内容等を考慮して適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、予め定められた周期で、当該周期の間にデータファイルに記録された(言い換えると、記録される予定の)センサデータの読み込みを試み、全てのノードの全てのデータが読み込まれること(言い換えると、ブランクデータが検出されないこと)を確認するという方法が考えられる。
【0077】
そして、各ノード2A乃至2Eからのセンサデータが全て揃っていて欠落が発生していない場合には(S1:No)、センサデータの監視が引き続き行われる。
【0078】
一方、一部のセンサデータが記録されずに欠落が発生している場合には(S1:Yes)、データ欠落判定部11aから受信電力の受信レベル読込部11bに対してネットワーク障害の原因を特定する処理を進める指令が送られる。
【0079】
本実施形態では、
図3に示す無線センサネットワークを構成するノード2Aからのセンサデータが途切れて欠落が発生した場合を例に挙げて説明する。
【0080】
制御部11のデータ欠落判定部11aから指令を受けた受信電力の受信レベル読込部11bにより、センサデータの欠落が発生しているノード2A周辺の近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値の読み込みが行われる(S2)。
【0081】
近隣ノード間の受信電力の受信レベルとは、表1に示した、各ノード2にとっての近隣ノードの設定に基づく、近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルのことである。
【0082】
具体的には、ノード2Aにとっての近隣ノードはノード2B及びノード2Cであるので、ノード2A周辺の近隣ノード間の受信電力の受信レベルは、ノード2Cから送信された信号のノード2Bにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Bから送信された信号のノード2Cにおける受信電力の受信レベルということになる。なお、これら両方向の受信電力の受信レベルを個別に用いるようにしても良いし、これら両方向の受信電力の受信レベルの平均値を用いるようにしても良い。
【0083】
なお、ノード2Bからのセンサデータが途切れて欠落が発生した場合には、ノード2Bにとっての近隣ノードはノード2A及びノード2C及びノード2Dであるので、ノード2B周辺の近隣ノード間の受信電力の受信レベルは、ノード2Aから送信された信号のノード2Cにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Cから送信された信号のノード2Aにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Aから送信された信号のノード2Dにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Dから送信された信号のノード2Aにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Cから送信された信号のノード2Dにおける受信電力の受信レベルと、ノード2Dから送信された信号のノード2Cにおける受信電力の受信レベルということになる。なお、これら全ての受信電力の受信レベルを個別に用いるようにしても良いし、これらのうちの一部若しくは全部の受信電力の受信レベルの平均値を用いるようにしても良い。
【0084】
近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値は、通常のセンサデータの送信と同時に、或いは、センサデータの送信とは別に、所定の間隔で各ノード2からコーディネータ1に送信され、更にコーディネータ1からコンピュータ10に入力されて記憶部12や他の記憶装置・記憶媒体に例えばデータファイルとして記録されるようにしても良い。この場合には、S1の処理においてセンサデータに欠落が発生していると判断されたときに、受信電力の受信レベル読込部11bによって記憶部12などから必要なノード間の受信電力の受信レベルの値(即ち、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの値)が読み込まれる。
【0085】
近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値は、或いは、各ノード2が記憶装置を備えるようにし、当該記憶装置に記録されるようにしても良い。この場合には、S1の処理においてセンサデータに欠落が発生していると判断されたときに、近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値の送信を要求する指令が受信電力の受信レベル読込部11bによってコーディネータ1に対して出力され、この送信要求指令がコーディネータ1によって各ノード2(特に、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード)に対して送信され、送信要求指令を受信したノード2(特に、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード)が自身の記憶装置に記録されている近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値をコーディネータ1に向けて伝送し、コーディネータ1からコンピュータ10に入力されて受信電力の受信レベル読込部11bによって読み込まれる。
【0086】
S2の処理においては、センサデータの欠落が発生した時刻の直前と直後とのそれぞれの、近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値が読み込まれる。
【0087】
本実施形態では、センサデータの欠落が発生しているノード2Aにとっての近隣ノードはノード2B及びノード2Cであり、データ欠落発生時刻の直前の、ノード2Cから送信された信号のノード2Bにおける受信電力の受信レベルの値をf
BfromC(t)[dBm]とすると共にノード2Bから送信された信号のノード2Cにおける受信電力の受信レベルの値をf
CfromB(t)[dBm]とし、また、データ欠落発生時刻の直後の、ノード2Cから送信された信号のノード2Bにおける受信電力の受信レベルの値をf
BfromC(t+1)[dBm]とすると共にノード2Bから送信された信号のノード2Cにおける受信電力の受信レベルの値をf
CfromB(t+1)[dBm]とする。
【0088】
なお、データ欠落発生時刻とは、センサデータの欠落が発生しているノード(本実施形態ではノード2A)が、欠落してしまっているセンサデータの送信を行う予定であった時刻のことである。
【0089】
そして、受信電力の受信レベル読込部11bにより、読み込まれた受信電力の受信レベルの値f
BfromC(t),f
CfromB(t),f
BfromC(t+1),f
CfromB(t+1)[dBm]がメモリ15に記憶される。
【0090】
次に、制御部11の障害原因特定部11cにより、S2の処理において読み込まれた近隣ノード間の受信電力の受信レベルの値を用いてネットワーク障害の原因の特定が行われる(S3)。
【0091】
本発明におけるネットワーク障害の原因の特定は、センサデータの欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルの、データ欠落の発生前後における変化の有無によって行われる。すなわち、近隣ノード間の受信電力の受信レベルが、データ欠落の発生前後において、変化している場合にはネットワーク障害の原因はデータ欠落が発生しているノードと当該ノードにとっての近隣ノードとの間の伝搬路(及び当該伝搬路の周辺)であると判定され、変化していない場合にはネットワーク障害の原因はデータ欠落が発生しているノード自身であると判定される。
【0092】
具体的には、数式1−1及び数式1−2を用いて行われる。
(数式1−1) |f(t+1)|−|f(t)|>α
(数式1−2) |f(t)|−|f(t+1)|>α
【0093】
数式1−1及び数式1−2におけるf(t)は、データ欠落発生時刻の直前における、データ欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベル(単位はdBm)であり、f(t+1)は、データ欠落発生時刻の直後における、データ欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルである。
【0094】
また、αは、障害原因特定閾値(単位はdB)であり、データ欠落の発生前後における受信電力の受信レベルの変化の有無を判断するための指標である。
【0095】
障害原因特定閾値αの値は、特定の値に限定されるものではなく、無線センサネットワーク毎に、例えば平常時における受信電力の受信レベルの値などを考慮し、平常時における受信電力の受信レベルの値の変動よりも大きく、且つ、例えば障害物などによって生じる受信電力の受信レベルの値の変化よりも小さい値に適宜設定される。
【0096】
具体的には例えば、本発明を適用する無線センサネットワークにおいて、平常時においてデータ伝送を行い、平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差を伝搬路毎(即ち、ノード間毎)に算出して当該伝搬路別の標準偏差の値よりも障害原因特定閾値αの値を大きく設定したり(この場合、伝搬路毎に障害原因特定閾値αの値を設定するようにしても良い)、或いは、平常時における受信電力の受信レベルの標準偏差の全伝搬路の平均値よりも障害原因特定閾値αの値を大きく設定したりすることが考えられる。
【0097】
また、本発明を適用する無線センサネットワークにおいて、伝搬路に障害物を意図的に設置してデータ伝送を行い、平常時における受信電力の受信レベルからの変化の大きさを求め、この変化の大きさよりも障害原因特定閾値αの値を小さく設定することが考えられる。
【0098】
そして、数式1−1若しくは数式1−2が成り立つ場合にはネットワーク障害の原因はデータ欠落が発生しているノードに関連する伝搬路(及び当該伝搬路の周辺)であると判定され、一方で、数式1−1と数式1−2とのどちらも成り立たない場合にはネットワーク障害の原因はデータ欠落が発生しているノード自身であると判定される。
【0099】
本実施形態では、障害原因特定部11cにより、S2の処理においてメモリ15に記憶された受信電力の受信レベルの値f
BfromC(t),f
CfromB(t),f
BfromC(t+1),f
CfromB(t+1)[dBm]が読み込まれる。
【0100】
続いて、障害原因特定部11cにより、数式2−1乃至2−4が成り立つか否かが判断される。
(数式2−1) |f
BfromC(t+1)|−|f
BfromC(t)|>α
(数式2−2) |f
BfromC(t)|−|f
BfromC(t+1)|>α
(数式2−3) |f
CfromB(t+1)|−|f
CfromB(t)|>α
(数式2−4) |f
CfromB(t)|−|f
CfromB(t+1)|>α
【0101】
或いは、もとは向き別である受信電力の受信レベルの平均値が用いられるようにしても良い。その場合には、数式3−1及び数式3−2によってf
avgB-C(t)とf
avgB-C(t+1)とが算出され、数式4−1若しくは数式4−2が成り立つか否かが判断される。
(数式3−1) f
avgB-C(t)=[f
BfromC(t)+f
CfromB(t)]/2
(数式3−2) f
avgB-C(t+1)=[f
BfromC(t+1)+f
CfromB(t+1)]/2
(数式4−1) |f
avgB-C(t+1)|−|f
avgB-C(t)|>α
(数式4−2) |f
avgB-C(t)|−|f
avgB-C(t+1)|>α
【0102】
そして、数式2−1乃至2−4のうちのいずれか一つでも成り立つ場合(或いは、数式4−1若しくは数式4−2が成り立つ場合)には、近隣ノード間の受信電力の受信レベルがデータ欠落の発生前後において変化しているので、ネットワーク障害の原因はノード2Aとノード2Bやノード2Cとの間の伝搬路(及び当該伝搬路の周辺)であると判定される。すなわち、ノード2Aとノード2Bやノード2Cとの間にネットワーク障害の原因となる事態が生じていると判定される。
【0103】
一方で、数式2−1乃至2−4のいずれも成り立たない場合(或いは、数式4−1と数式4−2とのどちらも成り立たない場合)には、近隣ノード間の受信電力の受信レベルがデータ欠落の発生前後において変化していないので、ネットワーク障害の原因はノード2A自身であると判定される。
【0104】
そして、制御部11により、必要に応じてネットワーク障害の原因が例えば表示部14に表示されたり処理結果のデータファイルとして記憶部12に記憶されたりしたうえで、センサデータの監視が引き続き行われる。
【0105】
以上のように構成された無線センサネットワーク障害の原因特定方法、原因特定装置及び原因特定プログラムによれば、センサデータの欠落が発生しているノード2にとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルのデータ欠落発生前後の値を比較することにより、ネットワーク障害の原因は伝搬路であるのかノード自身であるのかを特定することができるので、ネットワーク障害への対応の効率化と省力化とを図ることが可能になる。
【0106】
具体的には、ネットワーク障害の原因が特定されることにより、以下のことが可能になり、延いては、ネットワーク障害への対応の効率化と省力化とが可能になる。
1) ネットワーク障害の原因に応じ、ネットワークが構築された現地における対応作業の内容及び担当者の割り当てを事前に検討・計画すること。すなわち、試行錯誤による障害対応ではなく、障害の原因の特定結果に基づいて対応方法を予め選択して対応することを可能にし、結果的に障害対応作業を簡素にすること。
2) 現地作業員が実施可能な作業(具体的には例えば、ノードの交換,ノードの追加試行)である場合に、現地作業員に対応を依頼すること。すなわち、ネットワークが構築された遠隔の地に直接出向くことなく、遠隔の地に居ながら対応すること。
【0107】
なお、上述の形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では
図3に示す無線センサネットワークにおけるネットワーク障害の原因を特定する場合を例に挙げて説明したが、上述したように
図3はあくまでも一例であり、本発明が適用され得る無線センサネットワークの構成(具体的には、ノードの総台数やセンサノードの比率やノードの設置位置など)は
図3に示すものに限られるものではない。
【0108】
また、上述の実施形態ではデータ欠落が発生しているノードにとっての近隣ノード同士の間の受信電力の受信レベルについて、データ欠落発生時刻の直前における受信電力の受信レベルf(t)とデータ欠落発生時刻の直後における受信電力の受信レベルf(t+1)とはどちらも直前・直後の一時点の受信電力の受信レベルを用いるようにしているが、一時点の受信電力の受信レベルの値ではなく、データ欠落発生前の複数時点の受信電力の受信レベルの平均値を受信電力の受信レベルf(t)としたり、データ欠落発生後の複数時点の受信電力の受信レベルの平均値を受信電力の受信レベルf(t+1)としたりするようにしても良い。