(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者は、高硬度材の高能率加工における被覆切削工具の損傷要因について検討し、硬質皮膜を形成する柱状粒界を起点に皮膜破壊が発生し易いことを確認した。一方で、柱状粒界を低減するために硬質皮膜の組織を微細化すると基材との密着性が低下するため被覆切削工具の耐久性が低下する。更に本発明者は、高硬度材を高能率加工するためには、耐熱性と耐摩耗性を兼ね備えた皮膜種を適用した被覆切削工具が有効であることを確認した。そして耐熱性と耐摩耗性が優れる皮膜種であるAlCrSi系の窒化物又は炭窒化物をベースに皮膜組織を微細化して破壊の起点となる結晶粒界を低減することを検討し、硬質皮膜の組織を微細化することに起因する基材と硬質皮膜の密着性の低下を十分に補完できる皮膜構造があることを見出して本発明に到達した。以下、本発明の詳細について説明する。
【0008】
まず、本発明の硬質皮膜であるB層について説明する。
B層は、被覆切削工具として優れた耐摩耗性と耐熱性が発揮できる窒化物又は炭窒化物とする。より好ましくは窒化物である。そして、優れた耐熱性を確保するために、金属(半金属を含む)元素の総量に対し、Alの含有量比率(原子%)を50%以上とすることが重要である。Alは耐熱性を付与する元素であり、Alの含有比率が50%未満になるとB層の耐熱性が不十分となる。更には、B層のAlの含有比率(原子%)を55%以上とすることで耐熱性がより優れて好ましい。更には、Alの含有比率(原子%)を60%以上とすることが好ましい。一方、Alの含有量が多くなり過ぎるとZnS型の結晶構造が主体となり被覆切削工具の耐久性が低下する傾向にある。そのため、Alの含有比率(原子%)を68%以下とすることが好ましい。なお、本発明における半金属とはSi、Bである。
【0009】
B層の結晶構造をNaCl型の結晶構造とし、優れた耐摩耗性を付与するためには、Crの含有比率(原子%)を20%以上とすることが必要である。Cr含有量がこれよりも少ないとZnS型の結晶構造が主体となり被覆切削工具の耐久性が低下する傾向にある。更には、Crの含有比率(原子%)を25%以上にすることが好ましい。
本発明においてB層は、耐熱性および耐摩耗性を高いレベルで両立させて耐久性を高めるために、AlとCrの合計の含有比率(原子%)を85%以上とする。更には、AlとCrの合計の含有比率(原子%)を90%以上とすることが好ましい。
【0010】
Siは、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物の組織を微細化するために重要な元素である。Siを含有していないAlCrNおよびSi含有量が少ないAlCrSiNは柱状粒子が粗大となる。このような組織形態の硬質皮膜は皮膜破壊の起点となる結晶粒界が多くなるため逃げ面摩耗が増大する傾向にある。一方、一定量のSiを含有したAlCrSiNは組織が微細化し、例えば、電子顕微鏡による断面観察(20,000倍)において明確な柱状粒子が観察され難くなる。このような組織形態の硬質皮膜は、破壊の起点となる柱状粒界が少なくなり逃げ面摩耗を抑制することができる。但し、Si含有量が多くなると非晶質およびZnS型の結晶構造が主体となり易くなり、被覆切削工具の耐久性が低下する。被覆切削工具の耐久性を低下させずに皮膜組織を十分に微細化するには、B層は、Siの含有比率(原子%)を4%〜15%とすることが重要である。更には、Siの含有比率(原子%)は5%以上であることが好ましい。更には、Siの含有比率(原子%)は10%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明のB層は、NaCl型の結晶構造であることが重要である。本発明においてNaCl型の結晶構造であるとは、例えば、X線回折においてNaCl型の結晶構造に起因する回折強度が最大強度を示すものである。ZnS型の結晶構造に起因する回折強度が最大強度を示すものは脆弱であるため被覆切削工具として耐久性が乏しくなる。特に、湿式加工においては、耐久性が低下する傾向にある。
B層は、X線回折においてZnS型の結晶構造に起因する回折強度が確認されないことが好ましい。しかし、NaCl型の結晶構造に起因する回折強度が最大強度を示すのであれば、一部にZnS型の結晶構造および非晶質相を含有してもよい。
【0012】
但し、皮膜の被験面積が小さい場合や、B層の上に後述する別の皮膜を被覆している場合には、上記X線回折によるNaCl型の結晶構造の同定が困難な場合がある。このような場合であっても、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた制限視野回折法による結晶構造の同定を行うことができる。
【0013】
本発明におけるB層のミクロ組織は、Si量の全体に対して相対的にSi含有量の多い結晶相に、Si量の全体に対して相対的にSi含有量が少ない結晶相が分散する組織形態である。B層がこのような組織形態になることで、皮膜により高い残留圧縮応力が付与されるとともに、クラックの進展がミクロレベルでも抑制されて優れた耐久性が発揮できると考えられる。これにより優れた耐久性が発揮できると考えられる。一般的に、Si含有量が多くなると、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物は非晶質相が主体の組織形態となり易く、靱性が低下する傾向にある。本発明におけるB層は、結晶相を有する結晶構造の層であり、B層の結晶性を高めるため、基材付近の磁束密度を高めて被覆をしている。具体的には、ターゲット中心付近の平均磁束密度が14mT以上である。また、ターゲット背面および外周に永久磁石を配備し、基材付近まで磁力線が到達するよう調整したカソードを用いて、B層を被覆している。また、基材に印加する負のバイアス電圧の絶対値が小さくなると非晶質相が増加する傾向にある。B層の被覆においては−250V〜−100Vで被覆することが好ましい。結晶相をより安定化させるには、−220V〜−150Vで被覆することがより好ましい。
また、後述するCrボンバード処理によって形成されるA層の直上にB層を被覆していることも、B層のミクロ組織がSi含有量が異なる結晶相を含む組織形態になることに影響していると考えられる。
【0014】
B層は、NaCl型の結晶構造に起因する回折強度が最大強度を示す範囲であれば、Al、Cr、Siの含有量を考慮して、他の元素(例えば周期律表の4a族、5a族、6a族の金属元素およびBから選択される1種または2種以上の元素)を、金属元素の含有比率(原子%)で0〜10%含有することができる。これ以上の添加はB層の耐摩耗性及び耐熱性を低下させる傾向にある。
B層の膜厚が薄くなり過ぎると優れた耐久性が十分に発揮されない場合がある。また、膜厚が厚くなり過ぎると皮膜剥離が発生する場合がある。B層の厚みは、例えば、0.5μm〜10μmの範囲から適当な値を選択すれば良い。B層の厚みは、より好ましくは1μm以上である。また、B層の厚みは、より好ましくは5μm以下である。
【0015】
本発明において、B層の上に更に別の層を被覆しても本発明の効果を発揮する。そのため、本発明におけるA層とB層とで成る皮膜構造は、B層を工具の最表面とすること以外に、別の層を被覆しても良い。そしてこの場合、B層の上には、保護皮膜として耐熱性と耐摩耗性に優れる窒化物又は炭窒化物からなるC層が被覆されていることが好ましい。より好ましくは窒化物からなる層である。C層は、耐熱衝撃性に優れる残留圧縮応力を有する硬質皮膜であることが好ましい。特に湿式加工においては、加熱冷却のサイクルにより硬質皮膜が剥離し易くなることから、高い残留圧縮応力を有する硬質皮膜を保護皮膜として設けることが好ましい。
特に、残留圧縮応力が高い皮膜種である点で、Tiの含有比率(原子%)を50%以上、Siの含有比率(原子%)を1%〜30%含有する窒化物又は炭窒化物皮膜が好ましい。
【0016】
続いてA層について説明する。本発明の硬質皮膜であるB層は微細な組織形態であるため基材との密着性が乏しい。この密着性を改善するために種々の検討を行った。まず、従来の窒化物からなる中間皮膜を介した皮膜構造では、密着性を改善するには十分でなかった。本発明者は様々な条件で切削試験を行い、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、タングステン(W)およびクロム(Cr)を含む炭化物からなるA層を基材の上に設けることで、微細な組織形態であるB層との密着性が改善されて、被覆切削工具の耐久性が向上することを確認した。つまり、基材とB層との間にA層を形成することにより、微細な組織形態であるB層の基材との密着性を改善したものである。
基材の上にあるA層がWを含んだ炭化物とすれば基材である超硬合金との親和性が強くなり密着性が優れると考えられる。また、A層がCrを含むことで、A層の上にある微細組織であるB層がNaCl型の結晶構造を維持し易くなる。そして、A層の近傍にあるB層の結晶性がより高まり、基材とB層の密着性がより高まると考えられる。A層は、金属元素の総量に対してCrの含有比率(原子%)が10%以上25%以下であることが好ましい。
A層の膜厚は、薄くなり過ぎても厚くなり過ぎても、基材との密着性を向上させるのに好ましくない。よって、A層の膜厚は1nm〜10nmとする。A層の膜厚は2nm〜8nmであることが好ましい。
A層は、WおよびCr以外に皮膜成分および母材成分を含有しても良い。A層の実測定においては、基材側のCoや硬質皮膜側のAl、Si、Nが含まれ得るが、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、WおよびCrを含む炭化物とすることで本発明の効果は発揮される。
A層は、透過型電子顕微鏡観察による断面観察、組成分析、ナノビーム回折パターンより確認することができる。
【0017】
基材の上に、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、WおよびCrを含む炭化物を形成するためには、ターゲットの外周にコイル磁石を配備してアークスポットをターゲット内部に閉じ込めるような磁場構成としたカソード用いて、Crボンバードを実施することが好ましい。このようなカソードを用いてCrでボンバード処理することで、ボンバードされたCrイオンが基材表面のWCに拡散してWおよびCrを含む炭化物が形成され易くなる。本発明において、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、WおよびCrを含む炭化物であるA層は、機能部である刃先に形成されることで、刃先における基材と硬質皮膜の密着性が高まり、被覆切削工具の耐久性を高める効果を得ることができる。
Crボンバードの際に、基材に印加する負のバイアス電圧の絶対値が小さい場合、WおよびCrを含む炭化物が形成され難い。また、ターゲットへ投入する電流が低いとWおよびCrを含む炭化物が形成され難い。そのため、基材に印加する負のバイアス電圧は−1000V〜−700Vとすることが好ましい。また、ターゲットへ投入する電流は80A〜150Aとすることが好ましい。また、Crボンバード処理の時間が短いと、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、WとCrを含有する炭化物が形成され難くなり、B層の密着性が低下する傾向にある。一方、Crボンバード処理の時間が長すぎると、A層の膜厚が厚くなり過ぎて、B層の密着性が低下する傾向にある。そのため、Crボンバード処理は3分〜7分とすることが好ましい。
ボンバードはアルゴンガス、窒素ガス、水素ガス、炭化水素系ガス等を導入しながら実施してもよいが、炉内雰囲気を1.0×10
−2Pa以下の真空下で実施することで基材表面が清浄化されるだけでなく、拡散層が形成され易くなり好ましい。
【0018】
ボールエンドミルのチゼル部では被加工材と常に接触しながら加工を行っているため、優れた耐熱性と耐摩耗性が要求される。本発明の被覆切削工具はボールエンドミルに適用することで特に優れた耐久性を示すため好ましい。特に40HRC以上の金型材の切削加工において被覆切削工具の耐久性を向上させることができるので好ましい。更には50HRC以上の金型材の切削加工に適用しても優れた耐久性を発揮できるので好ましい。
【0019】
本発明の基材に適用する超硬合金の硬度は93.0HRA以上95.0HRA以下であることが好ましい。基材の硬度が低くなり過ぎれば耐摩耗性を改善するのに十分でない場合がある。また、基材の硬度が高くなり過ぎれば靱性が低下するためチッピングが発生する場合がある。優れた耐久性をより安定して発揮には、基材の硬度は93.5HRA以上であることがより好ましい。また、基材の硬度は、94.5HRA以下であることがより好ましい。基材はCoを5〜15質量%含有するWC−Co基の超硬合金であることが好ましい。
【実施例】
【0020】
<成膜装置>
成膜には、アークイオンプレーティング方式の成膜装置を用いた。本装置は、複数のカソード(アーク蒸発源)、真空容器および基材回転機構を含む。
カソードは、ターゲット外周にコイル磁石を配備したカソードが1基(以下「C1」という。)、ターゲット背面および外周に永久磁石を配備し、ターゲットに垂直方向の磁束密度がターゲット中央付近で14mT以上の磁場を有したカソードが2基(以下「C2」、「C3」という。)搭載されている。
真空容器内は、内部を真空ポンプにより排気され、ガスは供給ポートより導入される。真空容器内に設置した各基材にはバイアス電源が接続され、独立して各基材に負のDCバイアス電圧を印加する。
基材回転機構は、プラネタリーとプラネタリー上のプレート状治具、プレート状治具上のパイプ状治具が取り付けられ、プラネタリーが毎分3回転の速さで回転し、プレート状治具、パイプ状治具は夫々自公転する。
【0021】
<基材>
物性評価および切削試験用に、基材として、組成がWC(bal.)−Co(8質量%)−Cr(0.5質量%)−VC(0.3質量%)、WC平均粒度0.6μm、硬度93.9HRA、からなる超硬合金製の2枚刃ボールエンドミル(日立ツール株式会社製)を準備した。
【0022】
<加熱および真空排気工程>
各基材をそれぞれ真空容器内のパイプ状冶具に固定し、真空容器内に設置したヒーターにより、基材温度500℃まで加熱、真空排気を行い、基材温度500℃、真空容器内の圧力を8×10
−3Pa以下とした。
【0023】
<Arボンバード工程>
その後、真空容器内にArガスを導入し、0.67Paとした。その後、フィラメント電極に20Aの電流を供給、基材に−200Vのバイアス電圧を印加し、Arボンバードを4分間実施した。
【0024】
<Crボンバード工程>
その後、真空容器内の圧力が8×10
−3Pa以下になるように真空排気した。続いて、基材にバイアス電圧を印加して、C1に150Aのアーク電流を供給してCrボンバード処理を実施した。
【0025】
<成膜工程>
Crボンバード後、直ちにC1への電力供給を中断した。そして、真空容器内のガスを窒素に置き換え、真空容器内の圧力を4Pa、基材設定温度を550℃としC2に140Aの電力を供給し、基材に負のバイアス電圧を印加して硬質皮膜(B層)を約3μm被覆した。その後、略250℃以下に基材を冷却して真空容器から取り出した。なお、比較例4はCrボンバード処理を実施せず、Arボンバード処理の後に硬質皮膜(B層)を被覆した。表1に実施例1で使用したターゲット組成及び被覆条件を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
硬質皮膜の組成は、波長分散型電子線プローブ微小分析(WDS−EPMA)により測定した。測定条件は、加速電圧10kV、試料電流5×10
−8A、取り込み時間10秒、分析領域直径1μm、分析深さが略1μmで5点測定してその平均値から求めた。
【0028】
皮膜構造を確認するため、ボールエンドミルの刃先部分について、膜面に垂直な面で切断した場合の切断面を、電界放射型透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JEM−2010F型)を用いて分析した。本発明に係るB層は、制限視野回折パターンから、(200)面又は(111)面が最大強度を示すNaCl型の結晶構造であることを確認した。また、本発明に係るB層を500,000倍のTEM像を確認したところ、何れもミクロ組織に、全体的なSi量に対して相対的にSi含有量の多い結晶相に、全体的なSi量に対して相対的にSi含有量が少ない結晶相が分散する組織形態であることを確認した。
【0029】
A層の組成は、付属するUTW型Si(Li)半導体検出器を用いてビーム径1nmで分析した。ナノビーム回折は、カメラ長50cmとし、2nm以下のビーム径で分析した。EDSスペクトル分析およびナノビーム回折パターンから、基材、A層、B層の確認を行った。EDSスペクトル分析結果から、本発明例のA層は、金属元素の含有比率(原子%)でWを最も多く含有し、次いでCrを多く含有することを確認した。金属元素の含有比率(原子%)でWの含有比率(原子%)は約80%であった。また、Crの含有比率(原子%)は約15%であった。また、WおよびCr以外には硬質皮膜の成分であるAl、Si、Nを含有していた。また、母材成分であるCoも僅かに含有していた。そして、本発明例のA層はナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けが可能であった。
EDSスペクトル分析およびナノビーム回折パターンから、本発明例のA層はWCの結晶構造に指数付けされ、タングステン(W)とクロム(Cr)を含有する炭化物であることを確認した。本発明例と比較例1にはA層が約5nm形成されていた。比較例2、3は、金属Crが約5nm形成されていた。比較例4は、基材とB層の間に別層は形成されていない。各試料の物性評価の結果を表2に示す。
【0030】
湿式加工後の母材露出幅から被覆切削工具の耐久性を評価した。切削条件を下記に示す。
条件:湿式加工
工具:2枚刃超硬ボールエンドミル
型番:EPDB2010−6、ボール半径0.5mm、首下長さ6mm
切削方法:底面切削
被削材:HPM38(52HRC)
切り込み:軸方向、0.04mm、径方向、0.04mm
切削速度:78.5m/min
一刃送り量:0.0189mm/刃
切削油:水溶性エマルジョン加圧供給
切削距離:30m
評価方法:切削加工後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率150倍で観察し、工具と被削材が擦過した幅を実測し、そのうちの擦過幅が最も大きかった部分を最大摩耗幅とした。
【0031】
【表2】
【0032】
本発明例1、2は、皮膜剥離が発生せずに安定した摩耗形態を示した。そしてその時の摩耗幅は小さく優れた耐久性を示した。なお、表2中、「fcc」は、面心立方格子構造(NaCl型構造)を示す。
これに対して比較例1〜4は著しい皮膜剥離が発生して不安定な摩耗形態を示した。
比較例1は、本発明例と同じA層を形成しているが、B層のSiが少ないため皮膜破壊の起点となる結晶粒界が多く、逃げ面摩耗が増大して耐久性が低下した。
比較例2、3は、本発明例のようなA層は形成されておらず、金属Crが形成されていた。そのため、微細組織であるB層との密着性が不十分であり、耐久性が低下した。
比較例4は、B層の皮膜組織は微細であるが、A層を形成しておらず密着性が低下したため耐久性が低下した。