特許第6385268号(P6385268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385268
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】カラー顔料を含むサンスクリーン組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20180827BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20180827BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/49
   A61Q17/04
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2014-257146(P2014-257146)
(22)【出願日】2014年12月19日
(62)【分割の表示】特願2010-537393(P2010-537393)の分割
【原出願日】2008年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-96536(P2015-96536A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2015年1月15日
【審判番号】不服2016-16507(P2016-16507/J1)
【審判請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】07123286.2
(32)【優先日】2007年12月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】08155725.8
(32)【優先日】2008年5月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(72)【発明者】
【氏名】エーリス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゾーン,ミリアム
【合議体】
【審判長】 須藤 康洋
【審判官】 安川 聡
【審判官】 関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/007521号(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/064821号(WO,A1)
【文献】 特開2005−53879号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/098546号(WO,A1)
【文献】 特開2002−029913号公報(JP,A)
【文献】 特開平06−128122号公報(JP,A)
【文献】 Disclosed Anonymously,USE OF AMINO HYDROXY BENZOPHENONE DERIVATIVES IN SUNSCREEN PREPARATIONS,IP.COM JOURNAL,米国,IP.COM INC.,2006年8月24日,第1−39頁,Application Examples 1−32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K8/00−8/99
IPC A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(a1)雲母をベースとし酸化鉄でコーティングされている干渉顔料から選択される無機カラー顔料から選択される400nmから800nmの範囲に吸収を示す微粒子、並びに
(b)(b1)下式
【化1】
及び
【化2】
の粒子状有機UVフィルタ
含む、サンスクリーン組成物の白色化作用及び/又は特定の色を最小限にする及び/又はマスキングするための化粧用製剤。
【請求項2】
0.01重量%〜10重量%の微粒子(a)、及び
0.1重量%〜40重量%のUVフィルター(b)
を含む、請求項1に記載の化粧用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉化された及び/又は可溶性のUV吸収剤と、1又は複数のカラー顔料とを含む化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球表面に到達する紫外線に長時間曝露すると、紅斑又は光線性皮膚疾患の形成がもたらされることがあり、皮膚癌の発生の増大又は皮膚の老化の加速がもたらされることがあることが、長く知られている。
【0003】
紫外線に対抗することが意図される活性を含み、それによって皮膚に対する前記の望ましくない効果を阻害する様々なサンスクリーン製剤が提唱されている。
【0004】
特に、サンスクリーン製剤においてますます一般的になっている、可溶性有機UV吸収剤、また不溶性微粉化有機及び無機化合物など、多数の化合物がサンスクリーン製剤におけるUV保護剤として使用するために提唱されている。
【0005】
微粉化された不溶性の有機UV吸収剤は、サンスクリーン製剤において用いられる場合、優れたUV保護をもたらし、高値のSPFを有する。さらに、微粉化された不溶性の有機UV吸収剤は、光線の影響下でヒトの皮膚に損傷を与え得る又は過敏にし得るラジカルを生成する傾向を示さない。
【0006】
残念なことに、有機及び/又は無機の粒子状フィルターを含むサンスクリーン組成物は、光散乱性により、皮膚に塗布すると明確な白色化の外観を示す。
【0007】
白色化の外観は、対応するUVフィルターの濃度の上昇とともに増大し、したがってUVフィルターの所要量を制限する。
【0008】
さらに、UV-A領域に吸収極大を有する可溶性粒子状UVフィルターは、スペクトルの可視域における光をやはり吸収するので、これらの物質の大部分は無色ではない。これらUV-Aフィルターには特定の色があるので、得られる化粧用サンスクリーン製剤は着色している。このような製剤の色合い(ほとんどの場合、黄色がかっている)は、自然の皮膚の色合いから著しく離れているので、不自然とみなされる。
【0009】
さらに、UVフィルターの中には、著しい蛍光を示すものがあることが知られている。UV比の高い人工照明は、したがって非常に不自然な皮膚の色調をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
驚くべきことに、1又は複数のカラー顔料を有する、粒子状又は可溶性の有機UVフィルターを組み合わせることにより、自然な皮膚の色調に対応する色合いを有し、したがって不自然とみなされない化粧用サンスクリーン製剤がもたらされることが見出された。
【0011】
したがって、本発明は、
(a)400nmから800nmの範囲に吸収を示す微粒子、並びに
(b)(b1)粒子状有機UVフィルター、及び
(b2)可溶性有機UVフィルター
から選択されるUVフィルター
を含む化粧用製剤に関する。
【0012】
好ましくは、成分(a)は、
(a1)無機カラー顔料、及び
(a2)有機カラー顔料
から選択される。
【0013】
最も好ましくは、無機顔料(a1)は、酸化鉄(III)、磁鉄鉱、及びこれらの顔料の混合物;マンガンをドープしたTiO2若しくはZnO;ウルトラマリン顔料;酸化クロムグリーン;クロム水和物グリーン;金属粒子;雲母;オキシ塩化ビスマス;ガラスフレーク(ホウケイ酸);雲母をベースとした干渉顔料(合成若しくは天然起源);又は、ホウケイ酸(ガラスフレーク)、典型的には二酸化チタン(ルチル若しくはアナスタス(anastas))、酸化鉄若しくはこれらの混合物の薄層でコーティングされているもの、及び滑石から選択される。
【0014】
有機顔料(a2)は、好ましくは、D&Cレッド30(バットレッド1)、D&Cレッド36(ピグメントレッド4)、カルミン、D&Cレッド6 Baレーキ、D&Cレッド7 Caレーキ、D&Cレッド30 Alレーキ、D&Cレッド30 タルクレーキ、D&Cレッド27 Alレーキ、D&Cレッド28 Alレーキ、D&Cレッド33 Alレーキ、及びD&Cレッド21 Alレーキから選択される。
【0015】
特に対象となるのは、以下の表1に列挙する顔料/色素である:
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において用いられる干渉顔料は小板粒子である。小板粒子の厚さは、好ましくは約5マイクロメートル以下であり、より好ましくは約2マイクロメートル以下であり、さらにより好ましくは約1マイクロメートル以下である。小板粒子の厚さは、好ましくは少なくとも約0.02マイクロメートルであり、より好ましくは少なくとも約0.05マイクロメートルであり、なおより好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートルであり、さらにより好ましくは少なくとも約0.2マイクロメートルである。
【0017】
粒子サイズが不透明度及び光沢を決定する。粒子サイズは、粒子状の材料の直径の厚さを測定することによって決定される。本明細書で用いられる「直径」の語は、粒子状の材料の主軸の端から端までの最大距離を意味する。直径は、Malvern instrumentsによって製造される粒子サイズ分析機Mastersizer 2000などの、当技術分野では知られているあらゆる適切な方法によって決定することができる。干渉顔料の平均直径は、好ましくは約200マイクロメートルを超えず、より好ましくは150マイクロメートルを超えない。干渉顔料の直径は、好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートルであり、より好ましくは少なくとも約1.0マイクロメートルであり、なおより好ましくは少なくとも約2.0マイクロメートルであり、さらにより好ましくは少なくとも約5.0マイクロメートルである。
【0018】
干渉顔料は多層構造を含んでいる。微粒子の中央は、通常1.8未満の屈折率(RI)を有する平板な基質である。広範囲の粒子の基質が本明細書において有用である。非限定的な例には、天然雲母、人工雲母、黒鉛、タルク、カオリン、アルミナフレーク、オキシ塩化ビスマス、シリカフレーク、ガラスフレーク、セラミックス、二酸化チタン、CaSO4、CaCO3、BaSO4、ホウケイ酸、及びこれらの混合物があり、好ましくは雲母、シリカ、及びアルミナフレークである。
【0019】
一層の薄フィルム又は多層の薄フィルムを、上記に記載した基質の表面上にコーティングする。薄フィルムは、屈折性の高い材料でできている。これらの材料の屈折率は、通常1.8を超える。
【0020】
本明細書において広範囲の薄フィルムが有用である。非限定的な例は、TiO2、Fe2O3、SnO2、Cr2O3、ZnO、ZnS、SnO、ZrO2、CaF2、Al2O3、BiOCl、及びこれらの混合物、又は好ましくはTiO2、Fe2O3、Cr2O3、及びSnO2の別々の層の形態である。
【0021】
多層構造に対して、薄フィルムは、全て屈折率の高い材料から構成されていてもよいし、又はRIの高い材料及び低い材料の薄フィルムが交互になりRIの高いフィルムが最上層であるものから構成されていてよい。
【0022】
干渉顔料の色は、薄フィルムの厚さの関数であり、特定の色に対する厚さは、異なる材料に対して異なっていてよい。TiO2については、40nmから60nm又はそれらの整数の倍数の層が銀色、60nmから80nmが黄色、80nmから100nmが赤色、100nmから130nmが青色、130nmから160nmが緑色となる。
【0023】
干渉色に加えて、他の透明な吸光顔料を、TiO2層の上部に、又はTiO2層と同時に沈澱させることができる。一般的な材料は、赤色若しくは黒色の酸化鉄、フェロシアン化第二鉄、酸化クロム、又はカルミンである。干渉顔料の色は、その明るさに加えて、皮膚の色調のヒトの知覚に対して著しい影響を有することが見出されている。一般に、好ましい色は、銀色、金色、赤色、緑色、及びこれらの混合である。
【0024】
本発明において有用な干渉顔料の非限定的な例には、PRESTIGE.RTM.、FLONAC.RTM.の商品名でPersperse, Inc.によって販売されているもの、TIMIRON.RTM.、COLORONA.RTM.、DICHRONA.RTM.、及びXIRONA.RTM.の商品名でEMD Chemicals, Inc.によって販売されているもの、FLAMENCO.RTM.、TIMICA.RTM.、DUOCHROME.RTM.の商品名でEngelhard Co.によって販売されているもの、並びにCALISHA.RTM.の商品名でCibaによって販売されているものが含まれる。
【0025】
顔料粒子のサイズには決定的な制限は存在しないが、好ましくは、約0.01マイクロメートルから約500マイクロメートルのサイズ、より好ましくは、約1マイクロメートルから約200マイクロメートルのサイズ、最も好ましくは、約5マイクロメートルから約150マイクロメートルのサイズを有する顔料粒子が、式:
【化1】
【0026】
によるシリコーン化合物で修飾されており、
式中、
R1は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R2は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R3は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R4は、C11〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
qは、1から約2000であり、
tは、1から約2000であり、q+tの和は2から約2000であり、
R5は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R6は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R7は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
R8は、C1〜C22の分枝若しくは直鎖アルキル又は炭素原子6〜10個のアリールであり、
aは、1から約100であり、
bは、1から約100であり、a+bの和は2から約100であり、
xは、1から約2000の整数である。
【0027】
顔料粒子を、例えば、1又は複数の含水の無機酸化物、例えば、ケイ酸若しくはアルミナ水和物、TiO2、Fe-酸化物、酸化スズ、雲母、酸化亜鉛、カルミン若しくはプルシアンブルーなどの着色料でコーティングするのが望ましいことが多い。
【0028】
顔料の例には、無機顔料、金属酸化物及び水酸化物、雲母、有機顔料、真珠光沢顔料、ケイ酸金属塩、多孔性材料、カーボン、干渉顔料などが含まれる。
【0029】
好ましい顔料粒子は、無機顔料、金属酸化物及び水酸化物、雲母、有機顔料、真珠光沢顔料、ケイ酸金属塩、多孔性材料、カーボン、及び干渉顔料からなる群から選択される。
【0030】
修飾されることが可能である無機顔料の例には、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、マンガンバイオレット、チタンコーティングの雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、及び水酸化クロムがある。
【0031】
修飾されることが可能である金属酸化物及び水酸化物の例には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化鉄(α-Fe2O3、γ-Fe2O3、Fe3O4、FeO)、水酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、及び酸化亜鉛がある。これらの酸化物及び水酸化物は、単独で、又はそれらのあらゆる混合物において用いられてよい。さらに、チタン酸鉄、チタン酸コバルト、及びアルミン酸コバルトなどの複合の酸化物及び複合の水酸化物も、本発明において用いることができる。
【0032】
コア材料上にコーティングした金属酸化物又は金属水酸化物(例えば、酸化チタンコーティングした雲母、酸化鉄コーティングしたナイロン)を含む複合材料も、本発明において用いることができる。
【0033】
式(SC1)、SC(2)、又は(SC3)のシリコーン化合物で修飾可能な有機顔料の例には、C.I. 15850、C.I. 15850:1、C.I. 15585:1、C.I. 15630、C.I. 15880:1、C.I. 73360、C.I. 12085、C.I. 15865:2、C.I. 12075、C.I. 21110、C.I. 21095、及びC.I. 11680、C.I. 74160、並びにC.I. 45430、C.I. 45410、C.I. 45100、C.I. 17200、C.I. 45380、C.I. 45190、C.I. 14700、C.I. 15510、C.I. 19140、C.I. 15985、C.I. 45350、C.I. 47005、C.I. 42053、C.I. 42090のジルコニウム、バリウム、又はアルミニウムレーキがある。
【0034】
C.I.は、英国染料染色学会(The Society of Dyers and Colourists)及び米国繊維化学技術染色技術協会(The American Association of Textile Chemists and Colourists)によって編集されたカラーインデックス(Color Index)を意味する。
【0035】
対象の有機顔料の範囲は、さらに、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトール、ジオキサゾン(dioxazone)、アゾメチン、アゾ縮合(azocondensation)、金属錯体、ニトロ、ペリノン(perinone)、キノリン、アントラキノン(anthraquinone)、ベンゾイミドゾロン(benzimidozolone)、イソインドリン、イソインドリノン、トリアリールメタン、キナクリドン、ヒドロキシアントラキノン、アミノアントラキノン、アントラピリミジン(anthrapyrimidine)、インダントロン、フラバントロン(flavanthrone)、ピラントロン、アンタントロン(anthantrone)、イソバイオラントロン(isoviolanthrone)、ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)、カルバゾール、インジゴ、又はチオインジゴ顔料を含むことができる。
【0036】
有機顔料の混合物も用いることができる。
【0037】
これらの顔料及びさらなる顔料の例は、研究論文: W. Herbst、K. Hunger、「Industrielle Organische Pigmente」、第2版、1995年、VCH Verlagsgesellschaftに見ることができる。
【0038】
好ましい顔料は、モノ-若しくはジスアゾ顔料、好ましくは、モノ-若しくはジアリーライド、又は金属錯体、好ましくは、銅フタロシアニン顔料、又はナフトール顔料、好ましくは、β-ナフトール、若しくはα,β-オキシナフトエ酸(BONA)顔料、又はキナクリドン若しくはインダントロンである。
【0039】
より好ましくは、以下の有機顔料が本発明において用いられる:
-C.I.ピグメントイエロー1、2、10、12、13、14、17、61、62、63、64、65、73、74、75、83、127、168、174、176、188、及び191から選択される、モノ-又はジアリーライドイエロー顔料、
-C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、及びC.I.イエロー75から選択される、モノアリーライドイエロー顔料、
-C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、及びC.I.ピグメントイエロー83から選択される、ジアリーライドイエロー顔料、
-C.I.ピグメントオレンジ16及びC.I.ピグメントオレンジ34から選択される、ジスアゾオレンジ顔料、
-C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド52:3、C.1ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド63:1、及びC.I.ピグメントレッド64:1から選択されるナフトールレッド顔料、
-C.I.ピグメントレッド202などのキナクリドンレッド顔料、
-C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントグリーン7、及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される、青色又は緑色銅フタロシアニン顔料、
-C.I.ピグメントブルー60などのブルーインダントロン顔料。
【0040】
これらの有機顔料の表面を、ロジンなどでさらに処理してもよい。
【0041】
真珠光沢顔料(又は真珠箔顔料)の例には、チタン成分として、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸窒化チタンを含む雲母-チタン複合材料、雲母-酸化鉄複合材料、オキシ塩化ビスマス、及びグアニンがある。雲母-チタン複合材料を、酸化鉄、プルシアンブルー、酸化クロム、カーボンブラック、及びカルミンなどのカラー顔料と混合してもよい。これらの真珠光沢顔料は、単体で、又はこれらのあらゆる混合物で用いられてよい。
【0042】
干渉顔料は小板粒子である。小板粒子の厚さは、好ましくは約5マイクロメートル以下であり、より好ましくは約2マイクロメートル以下であり、さらにより好ましくは約1マイクロメートル以下である。小板粒子の厚さは、好ましくは少なくとも約0.02マイクロメートルであり、より好ましくは少なくとも約0.05マイクロメートルであり、なおより好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートルであり、さらにより好ましくは少なくとも約0.2マイクロメートルである。
【0043】
粒子サイズが不透明度及び光沢を決定する。粒子サイズは、粒子状の材料の直径の厚さを測定することによって決定される。本明細書で用いられる「直径」の語は、粒子状の材料の主軸の端から端までの最大距離を意味する。直径は、Malvern instrumentsによって製造される粒子サイズ分析機Mastersizer 2000などの、当技術分野では知られているあらゆる適切な方法によって決定することができる。干渉顔料の平均直径は、好ましくは約200マイクロメートルを超えず、より好ましくは150マイクロメートルを超えない。干渉顔料の直径は、好ましくは、少なくとも約0.1マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約1.0マイクロメートル、なおより好ましくは少なくとも約2.0マイクロメートルであり、さらにより好ましくは少なくとも約5.0マイクロメートルである。
【0044】
干渉顔料は多層構造を含んでいる。微粒子の中央は、通常1.8未満の屈折率(RI)を有する平板な基質である。広範囲の粒子の基質が、本明細書において有用である。非限定的な例には、天然雲母、人工雲母、黒鉛、タルク、カオリン、アルミナフレーク、オキシ塩化ビスマス、シリカフレーク、ガラスフレーク、セラミックス、二酸化チタン、CaSO4、CaCO3、BaSO4、ホウケイ酸、及びこれらの混合物があり、好ましくは雲母、シリカ、及びアルミナフレークである。
【0045】
一層の薄フィルム又は多層の薄フィルムを、上記に記載した基質の表面上にコーティングする。薄フィルムは、屈折性の高い材料でできている。これらの材料の屈折率は、通常1.8を超える。
【0046】
本明細書において広範囲の薄フィルムが有用である。非限定的な例は、TiO2、Fe2O3、SnO2、Cr2O3、ZnO、ZnS、SnO、ZrO2、CaF2、Al2O3、BiOCl、及びこれらの混合物、又は好ましくはTiO2、Fe2O3、Cr2O3、及びSnO2の別々の層の形態である。
【0047】
多層構造に対して、薄フィルムは、全て屈折率の高い材料で構成されていてもよいし、又はRIの高い材料及び低い材料の薄フィルムが交互になりRIの高いフィルムが最上層であるものから構成されていてよい。
【0048】
干渉顔料の色は、薄フィルムの厚さの関数であり、特定の色に対する厚さは、異なる材料に対して異なっていてよい。TiO2については、40nmから60nm又はそれらの整数の倍数の層が銀色、60nmから80nmが黄色、80nmから100nmが赤色、100nmから130nmが青色、130nmから160nmが緑色となる。干渉の色に加えて、他の透明な吸収顔料を、TiO2層の上部に、又はTiO2層と同時に沈澱させてもよい。一般的な材料は、赤色若しくは黒色の酸化鉄、フェロシアン化第二鉄、酸化クロム、又はカルミンである。干渉顔料の色は、その明るさに加えて、スキントーンのヒトの知覚に著しい影響を有することが見出されている。一般に、好ましい色は、銀色、金色、赤色、緑色、及びこれらの混合である。
【0049】
本明細書において有用な干渉顔料の非限定的な例には、PRESTIGE.RTM.、FLONAC.RTM.の商品名でPersperse, Inc.によって販売されているもの、TIMIRON.RTM.、COLORONA.RTM.、DICHRONA.RTM.、及びXIRONA.RTM.の商品名でEMD Chemicals, Inc.によって販売されているもの、FLAMENCO.RTM.、TIMICA.RTM.、DUOCHROME.RTM.の商品名でEngelhard Co. によって販売されているもの、並びにCALISHA.RTM.の商品名でCibaによって販売されているものが含まれる。
【0050】
粒子状有機UVフィルター(b1)は、好ましくは、式:
【化2】
【0051】
〔式中、
R1及びR2は、互いに独立に、C1〜C4アルキル、C5〜C12シクロアルキル及びC6〜C10アリールから選択される1又は複数の基によって置換されていてもよいC1〜C18アルキルである。〕
のベンゾトリアゾールから選択される。
【0052】
より好ましくは、粒子状有機UVフィルター(b1)は、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールであり、式:
【化3】
【0053】
に対応する。
【0054】
好ましくは、有機UVフィルター(b1)は、式:
【化4】
【0055】
〔式中、
R3及びR4は、互いに独立に、水素、C1〜C18アルキル、又はC6〜C12アリールであり、
R5、R6及びR7は、互いに独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、C6〜C12アリール、ビフェニリル、C6〜C12アリールオキシ、C1〜C18アルキルチオ、カルボキシ、-COOM、C1〜C18アルキルカルボキシル、アミノカルボニル、モノ-若しくはジ-C1〜C18アルキルアミノ、C1〜C10アシルアミノ、又は-COOHであり、
Mは、アルカリ金属イオンである。〕
のトリアジン誘導体からも選択される。
【0056】
より好ましくは、式(3)において、R3及びR4は水素であり、
R5及びR6は、水素であり、
R7は、水素、フェニル又はビフェニリルである。
【0057】
最も好ましくは、有機UVフィルター(b1)は、式:
【化5】
【0058】
に相当する。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態において、成分(b1)は、式(2)の化合物及び式(4)の化合物の混合物である。
【0060】
本発明の別の好ましい一実施形態において、粒子状有機UVフィルター(b1)は、式:
【化6】
【0061】
〔式中、
R8及びR9は、互いに独立に、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10シクロアルケニルであるか、又はR8及びR9は連結の窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員の複素環を形成し、
R10は、カルボニル-又はカルボキシ基によって場合により置換されていてもよいアルキレン-、シクロアルキレン、アルケニレン又はフェニレン基;式*-CH2-C≡C-CH2-*の基であり、あるいはR10はAと一緒になって式:
【化7】
【0062】
(式中、n2は1から3の数である)
の2価の基を形成する。〕
のベンゾフェノン誘導体から選択される。
【0063】
最も好ましくは、粒子状有機UVフィルター(b1)は、式:
【化8】
【0064】
に相当する。
【0065】
本発明に係る粒子状有機UVフィルター(b1)は、好ましくは、式(2)、(4)、及び(6)のUVフィルターを、微粒子(a)と直接一緒に混合して、商品として提供してもよい。
【0066】
好ましい一実施形態において、好ましくは、式(2)、(4)、及び(6)のUVフィルターである本発明に係る粒子状有機UVフィルター(b1)は、微粒子(a)と直接同時微粒子化することができる。
【0067】
好ましくは、可溶性有機UVフィルター(b2)は、式:
【化9】
【0068】
〔式中、
R12及びR13は、互いに独立に、C1〜C18アルキル、又はC2〜C18アルケニルであり、
A1は、式:
【化10】
【0069】
の基であり、
R14は、水素、C1〜C10アルキル、-(CH2CHR5-O)n1-R15であるか、又は式-CH2-CH(-OH)-CH2-O-T1の基であり、
R15は、水素、M、C1〜C5アルキルであるか、又は式-(CH2)m2-O-T1の基であり、
T1は、水素、又はC1〜C8アルキルであり、
Q1は、C1〜C18アルキルであり、
Mは、金属カチオンであり、
m2は、1から4であり、
n1は、1〜16である。〕
のトリアジン誘導体から選択される。
【0070】
最も好ましくは、可溶性有機UVフィルター(b2)は式:
【化11】
【0071】
に相当する。
【0072】
本発明の別の好ましい一実施形態において、(b2)はジベンゾイルメタン誘導体であり、より好ましくは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Avobenzone)である。
【0073】
本発明の別の好ましい一実施形態において、(b2)は、式:
【化12】
【0074】
〔式中、
R16及びR17は、互いに独立に、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C10アルケニル、C3〜C10シクロアルキル、又はC3〜C10シクロアルケニルであり、
R18及びR19は、互いに独立に、C1〜C20アルキル、C2〜C10アルケニル、C3〜C10シクロアルケニル、C1〜C12アルコキシ、C1〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C12アルキルアミノ、ジ(C1〜C12)アルキルアミノ、場合により置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリール基、又はカルボキシレート基、スルホン酸基若しくはアンモニウム残基から選択される水溶性の置換基であり、
Xは、水素、COR19、又はCOOR19、又はCONR19R20であり、
R19及びR20は、互いに独立に、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C10アルケニル、C3〜C10シクロアルケニル、-(Y-O)-Z-基、又はアリールであり、
Yは、*-(CH2)2-*、*-(CH2)3-*、*-(CH2)4-*、又は *-(CH)-(CH3)-CH2-*であり、
Zは、*-CH2-CH3、*-CH2-CH2-CH3、*-CH2-CH2-CH2-CH3、又は *-CH(CH3)-CH3であり、
mは、0から3の数であり、
nは、0から3の数であり、
oは、1又は2である。〕
の2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体である。
【0075】
最も好ましくは、可溶性有機UVフィルター(b2)は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート[CAS登録番号 302776-68-7]である。
【0076】
本発明の別の好ましい一実施形態において、可溶性有機UVフィルター(b2)は、式:
【化13】
【0077】
〔式中、
R21及びR22は、互いに独立に、水素、C1〜C22アルキル、シクロ-C3〜C8アルキル、あるいは、非置換の又はC1〜C6アルキル-若しくはC1〜C6アルコキシで置換されているC6〜C20アリールであり、あるいはR21及びR22は、これらを連結している窒素原子と一緒になって、中断されていない又は-O-によって若しくは-NH-によって中断されている-(CH2)m-環を形成し、
R23は、シアノ基、-COOR25、-CONHR25、-COR25、又は-SO2R25、又は-CONR25R26であり、
R24は、シアノ基、-COOR27、-CONHR27、-COR27、又は-SO2R27、又は-CONR26R28であり、
R25、R26、R27及びR28は、互いに独立に、C1〜C22アルキル、シクロ-C3〜C8アルキル、又は、非置換の若しくはC1〜C6アルキルで置換されているC6〜C20アリールであり、あるいは
R21及びR22、R23及びR24、R25及びR26、又はR27及びR28は、一緒に、5員から7員の単環式の、炭素環又は複素環を形成し、
Z1及びZ2は、互いに独立に、中断されていない又は-O-、-S-若しくは-NR29-によって中断されている、及び/又は非置換若しくはC1〜C6アルキルによって置換されている-(CH2)l-基であり、
R29は、C1〜C5アルキルであり、
lは、1から4の数であり、
mは、1から7の数であり、
nは、1から4であり、
n=2である場合、R21、R23又はR24は二価のアルキル基であり、あるいはR23及びR24はこれらを連結する2個の窒素原子と一緒に-(CH2)m-環を形成し、
n=3である場合、R21、R23又はR24は三価のアルキル基であり、
n=4である場合、R21、R23又はR24は四価のアルキル基である。〕
のメロシアニン誘導体である。
【0078】
最も好ましくは、可溶性有機UVフィルター(b2)は、式:
【化14】
【0079】
のメロシアニン誘導体である。
【0080】
本発明の好ましい一実施形態において、(b)は、
(mix1) 式(2)、(4)、(8)の化合物、及びブチルメトキシジベンゾイルメタン、
(mix2) 式(2)、(4)、(6)の化合物、及びブチルメトキシジベンゾイルメタン、
(mix3) 式(8)、(12)の化合物、及びブチルメトキシジベンゾイルメタン、
(mix4) 式(2)、(4)、(6)、(8)、(11)、(12)の化合物、及びブチルメトキシジベンゾイルメタン、
(mix4) 式(2)、(4)及び(6)の化合物、
(mix5) 式(2)、(4)、(6)及び(8)の化合物
から選択される混合物である。
【0081】
より好ましくは、(b)は少なくとも1種の粒子状有機UVフィルター(b1)、及び少なくとも1種の可溶性有機UVフィルター(b2)の混合物である。
【0082】
本発明の最も好ましい一実施形態において、化粧用製剤は、
(a)雲母をベースにし、酸化鉄でコーティングされている干渉顔料から選択される微粒子、及び
(b)トリアジン及びベンゾトリアゾール誘導体から選択される粒子状有機UVフィルターの混合物
を含む。
【0083】
最も好ましくは、粒子状のUVフィルター(b)は、式(2)の化合物及び式(4)の化合物の混合物である。
【0084】
本発明に係る化粧用製剤は、好ましくは、
0.01重量%から10重量%の微粒子(a)、及び
0.1重量%から40重量%のUVフィルター(b)
を含む。
【0085】
可溶性有機UVフィルター(b2)及び他の可溶性UVフィルターを含まない製剤が好ましい。
【0086】
本発明に係る粒子状有機UVフィルター(b1)は、微粉化された状態で存在する。それは、微粒子の調製に好適な任意の公知のプロセスにより、たとえば、湿式ミル、湿式混練、好適な溶媒からの噴霧乾燥により、超臨界流体(たとえばCO2)のRESSプロセス(Rapid Expansion of Supercritical Solutions(超臨界流体急速膨張法))に基づく膨張により、超臨界流体などの好適な溶媒からの再沈殿(GASRプロセス=Gas Anti-Solvent Recrystallisation(ガス抗溶媒再結晶)/PCAプロセス=Precipitation with Compressed Anti-solvents(圧縮抗溶媒を用いた沈殿))により、調製可能である。
【0087】
難溶性微粉化有機化合物を調製するためのミル装置として、たとえば、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、又はハンマーミル、好ましくは高速混合ミルを使用することが可能である。さらに好ましいミルは、最新式のボールミルであり、こうしたタイプのミルの製造業者は、たとえば、Netzsch(LMZミル)、Drais(DCP-Viscoflow若しくはCosmo)、Buehler AG(遠心ミル)、又はBachhoferである。
【0088】
微粉化有機UV吸収剤を調製するための混練装置の例は、典型的なシグマブレードバッチニーダーであるが、それ以外にも、逐次バッチニーダー(IKA-Werke)又は連続ニーダー(Werner und Pfleiderer社製のContinua)がある。
【0089】
本発明で使用される有機化合物の粉砕は、好ましくは、粉砕助剤(grinding aid)を用いて行われる。
【0090】
以上の微粉化プロセスでは、いずれの場合も、低分子量粉砕助剤として分散剤を使用することが好ましい。
【0091】
水性分散液用の好ましい有用な粉砕助剤は、8超、より好ましくは10超のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値を有するアニオン性界面活性剤である。
【0092】
従来から使用可能なアニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤であればいずれも、分散剤(成分(b))として使用可能である。そのような界面活性剤系は、たとえば、次のものを含みうる。カルボン酸類及びその塩類:ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムのアルカリ石鹸、カルシウム又はマグネシウムの金属石鹸、有機系石鹸、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸など、アルキル硫酸エステル類又はリン酸エステル類、酸ホスフェート、ジエタノールアミンホスフェート、セチルホスフェートカリウム塩、エトキシル化カルボン酸類又はポリエチレングリコールエステル類、アクリル酸PEG-n、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、たとえば、ラウレス-n、ミレス-n、セテアレス-n、ステアレス-n、オレス-n、脂肪酸ポリグリコールエーテル、たとえば、ステアリン酸PEG-n、オレイン酸PEG-n、ヤシ脂肪酸PEG-n、モノグリセリド類及びポリオールエステル類、1〜100molのエチレンオキシドとポリオールとの付加生成物のC12〜C22脂肪酸モノ-及びジ-エステル、脂肪酸とポリグリセロールとのエステル、たとえば、モノステアリン酸グリセロール、ジイソステアロイルポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸トリグリセリル、セスキイソステアリン酸ポリグリセリル-2、又はポリグリセリルジメレート。複数のそうした物質クラスから選ばれた化合物の混合物もまた好適であり、脂肪酸ポリグリコールエステル類、たとえば、モノステアリン酸ジエチレングリコール、脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル類、脂肪酸とサッカロースとのエステル類、たとえば、スクロエステル類、グリセロールとサッカロースとのエステル類、たとえば、スクログリセリド類。ソルビトール及びソルビタン、6〜22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和の脂肪酸のソルビタンモノ-及びジ-エステル、並びにエチレンオキシドの付加生成物、ポリソルベート-n系列、ソルビタンエステル類、たとえば、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸PEG-(6)ソルビタン、ラウリン酸PEG-(10)ソルビタン、ジオレイン酸PEG-17ソルビタン、グルコース誘導体類、C8〜C22アルキル-モノ及びオリゴ-グリコシド類、並びにエトキシル化類似体類(糖成分としてはグルコースが好ましい)、O/W型乳化剤、たとえば、セスキステアリン酸メチルグルセス-20、ステアリン酸ソルビタン/ヤシ脂肪酸スクロース、セスキステアリン酸メチルグルコース、セテアリルアルコール/セテアリルグルコシド、W/O型乳化剤、たとえば、ジオレイン酸メチルグルコース/イソステアリン酸メチルグルコース。スルフェート類及びスルホン化誘導体類、スルホコハク酸ジアルキル類、コハク酸ジオクチル、アルキルラウリルスルホネート、線状スルホン化パラフィン類、スルホン化テトラプロピレンスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム類、ラウリル硫酸アンモニウム及びエタノールアミン類、ラウリル硫酸エーテル類、ラウレス硫酸ナトリウム類[Texapon N70]又はミレス硫酸ナトリウム類[Texapon K14S]、スルホスクシネート類、アセチルイソチアネート類(acetyl isothionates)、アルカノールアミドスルフェート類、タウリン類、メチルタウリン類、イミダゾールスルフェート類、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1個のカルボキシレート基及び/又はスルホネート基とを有する双イオン性又は両性の界面活性剤。特に好適な双イオン性界面活性剤は、ベタイン類、たとえば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート類、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート類、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン類(それぞれ、アルキル基中又はアシル基中に8〜18個の炭素原子を有する)、さらにはココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネート、N-アルキルベタイン、N-アルキルアミノベタイン類である。
【0093】
分散剤として好適な穏やかな界面活性剤、すなわち、皮膚が十分に許容できる界面活性剤の例としては、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート類、モノグリセリドスルフェート類、スルホコハク酸モノ-及び/又はジ-アルキル類、脂肪酸イセチオネート類、脂肪酸サルコシネート類、脂肪酸タウリド類、脂肪酸グルタメート類、α-オレフィンスルホネート類、エーテルカルボン酸類、アルキルオリゴグルコシド類、脂肪酸グルカミド類、アルキルアミドベタイン類、並びに/あるいはタンパク質脂肪酸縮合生成物(後者は、好ましくは、コムギタンパク質をベースとする)が挙げられる。
【0094】
非イオン性界面活性剤、たとえば、PEG-6ビーズワックス(及び)ステアリン酸PEG-6(及び)イソステアリン酸ポリグリセリル-2[Apifac]、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100[Arlacel 165]、ステアリン酸PEG-5グリセリル[arlatone 983 S]、オレイン酸ソルビタン(及び)リシノレイン酸ポリグリセリル-3[Arlacel 1689]、ステアリン酸ソルビタン及びヤシ脂肪酸スクロース[arlatone 2121]、ステアリン酸グリセリル及びラウレス-23[Cerasynth 945]、セテアリルアルコール及びセテス-20[セトマクロゴールワックス]、セテアリルアルコール及びポリソルベート60(colysorbate 60)及びPEG-150及びステアレート-20[Polawax GP 200、Polawax NF]、セテアリルアルコール及びセテアリルポリグルコシド[Emulgade PL 1618]、セテアリルアルコール及びセテアレス-20[Emulgade 1000NI、Cosmowax]、セテアリルアルコール及びPEG-40ヒマシ油[Emulgade F Special]、セテアリルアルコール及びPEG-40ヒマシ油及びセテアリル硫酸ナトリウム[Emulgade F]、ステアリルアルコール及びステアレス-7及びステアレス-10[Emulgator E 2155]、セテアリルアルコール及びステアレス-7(szeareth-7)及びステアレス-10[乳化ワックスU.S.N.F]、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-75[Gelot 64]、プロピレングリコールセテス-3アセテート[Hetester PCS]、プロピレングリコールイソセス-3アセテート[Hetester PHA]、セテアリルアルコール及びセテス-12及びオレス-12[(Lanbritol Wax N 21]、ステアリン酸PEG-6及びステアリン酸PEG-32[Tefose 1500]、ステアリン酸PEG-6及びセテス-20及びステアレス-20[Tefose 2000]、ステアリン酸PEG-6及びセテス-20及びステアリン酸グリセリル及びステアレス-20[Tefose 2561]、ステアリン酸グリセリル及びセテアレス-20[Teginacid H、C、X]。
【0095】
アニオン性乳化剤、たとえば、ステアリン酸PEG-2 SE、ステアリン酸グリセリルSE[Monelgine、Cutina KD]、ステアリン酸プロピレングリコール[Tegin P]、セテアリルアルコール及びセテアリル硫酸ナトリウム[Lanette N、Cutina LE、Crodacol GP]、セテアリルアルコール及びラウリル硫酸ナトリウム[Lanette W]、トリラネス-4ホスフェート(trilaneth-4 phopshate)及びステアリン酸グリコール及びステアリン酸PEG-2[Sedefos 75]、ステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウム[Teginacid Special]。カチオン性酸ベース、たとえば、セテアリルアルコール及びセトリモニウムブロミド。
【0096】
最も好ましい分散剤は、アルキル硫酸ナトリウム類又はアルキルエーテル硫酸ナトリウム類、たとえば、ラウレス硫酸ナトリウム[Cognis社製のTexapon N70]又はミレス硫酸ナトリウム[Cognis社製のTexapon K14 S]である。
【0097】
有用な溶媒は、水、ブライン、(ポリ-)エチレングリコール、グリセロール、又は化粧品として許容される油類である。他の有用な溶媒は、「脂肪酸のエステル」、「グリセリルエステル及びその誘導体を含む天然及び合成トリグリセリド」、「真珠光沢ワックス」、「炭化水素油」、「シリコーン又はシロキサン」という標題の節で以下に開示される。
【0098】
そのようにして得られる微粉化粒子状有機化合物は、通常、0.02〜2マイクロメートル、好ましくは0.03〜1.5マイクロメートル、より具体的には0.05〜1.0マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。
【0099】
本発明で使用される、微粉化UV吸収剤を含む水性分散液は、一般的には、
30〜60部、好ましくは35〜55部の難溶性有機微粉化物質と、
2〜20部、好ましくは3〜10部の分散剤と、
0.1〜1部、好ましくは0.1〜0.5部の増粘剤(たとえばキサンタンガム)と、
20〜67.9部の水と、
を含む。
【0100】
本発明に係る化粧配合物又は医薬組成物はまた、表1に列挙されるような1種以上のさらなるUVフィルター(粒子状有機UVフィルター(b1)及び可溶性有機UVフィルター(b2)とは異なる)を含みうる。
【表2】
【0101】
化粧用製剤又は医薬製剤は、慣用的方法を用いてUV吸収剤を補助剤と物理的に混合することにより、たとえば、単純に個々の成分を一緒に撹拌することにより、具体的には、オクチルメトキシケイヒ酸エステル、サリチル酸イソオクチルエステルなどのような既知の化粧品用UV吸収剤の溶解性を利用することにより、調製可能である。
【0102】
化粧用製剤又は医薬製剤は、たとえば、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、アルコール性及び水性/アルコール性の溶液剤、エマルジョン剤、ワックス/脂肪組成物、スティック製剤、粉末剤、又は軟膏剤でありうる。以上で述べたUVフィルターに加えて、化粧用製剤又は医薬製剤は、以下に記載されるような補助剤をさらに含有しうる。
【0103】
水と油とを含有するエマルジョン剤(たとえば、W/O型、O/W型、O/W/O型、及びW/O/W型のエマルジョン剤又はマイクロエマルジョン剤)として、製剤は、たとえば、組成物の全重量を基準にして0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%、具体的には0.5〜10重量%の1種以上のUV吸収剤と、組成物の全重量を基準にして1〜60重量%、具体的には5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%の少なくとも1種の油成分と、組成物の全重量を基準にして0〜30重量%、具体的には1〜30重量%、好ましくは4〜20重量%の少なくとも1種の乳化剤と、組成物の全重量を基準にして10〜90重量%、具体的には30〜90重量%の水と、0〜88.9重量%、具体的には1〜50重量%のさらなる化粧品として許容される補助剤と、を含有する。
【0104】
本発明に係る化粧用又は医薬用の組成物/製剤は、1種以上の追加の化合物、たとえば、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、天然又は合成のトリグリセリド(グリセリルエステル及びその誘導体を包含する)、真珠光沢ワックス、炭化水素油、シリコーン又はシロキサン(有機置換型ポリシロキサン)、フッ素化油又は過フッ素化油、乳化剤、補助剤及び添加剤、過脂肪剤、界面活性剤、稠度調整剤/増粘剤及びレオロジー改質剤、ポリマー、生理活性成分、脱臭活性成分、抗フケ剤、抗酸化剤、ヒドロトロピー剤、保存剤、細菌阻害剤、香油、着色剤、SPF向上剤としての高分子ビーズ又は中空スフェアなどを含有しうる。
【0105】
化粧用製剤又は医薬製剤
化粧用配合物又は医薬用配合物は、多種多様な化粧用製剤中に含有される。たとえば、具体的には、次の製剤が考慮の対象になる。スキンケア製剤、入浴製剤、化粧用パーソナルケア製剤、フットケア製剤、光防御製剤、皮膚日焼け製剤、脱色製剤、昆虫忌避剤、デオドラント剤、制汗剤、シミのある皮膚のクレンジング用及びケア用の製剤、化学的方式(脱毛術)による脱毛製剤、シェービング製剤、芳香製剤、化粧用ヘアトリートメント製剤。
【0106】
提供形態
列挙された最終配合物は、多種多様な提供形態、たとえば、
・W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型、又はPIT型のエマルジョン及びすべての種類のマイクロエマルジョンとして液状製剤の形態、
・ゲルの形態、
・オイル、クリーム、ミルク、又はローションの形態、
・パウダー、ラッカー、タブレット、又はメーキャップの形態、
・スティックの形態、
・スプレー(噴射剤ガスを備えたスプレー若しくはポンプ駆動式のスプレー)又はエアロゾルの形態、
・フォームの形態、あるいは
・ペーストの形態、
で存在しうる。
【0107】
皮膚用の化粧用製剤として特に重要なのは、光防御製剤、たとえば、サンミルク、ローション、クリーム、オイル、サンブロック、若しくはトロピカル、プレタンニング製剤、又はアフターサン製剤、さらにはスキンタンニング製剤、たとえば、セルフタンニングクリームである。特に対象となるのは、サンプロテクションクリーム、サンプロテクションローション、サンプロテクションミルク、及びスプレーの形態のサンプロテクション製剤である。
【0108】
毛髪用の化粧用製剤として特に重要なのは、ヘアトリートメント用の以上に述べた製剤、具体的には、シャンプー、ヘアコンディショナーの形態の洗髪製剤、ヘアケア製剤、たとえば、プレトリートメント製剤、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、インテンシブヘアトリートメント、ヘアストレート製剤、液状ヘアセット製剤、ヘアフォーム、及びヘアスプレーである。特に対象となるのは、シャンプーの形態の洗髪製剤である。
【0109】
そのような配合物中の他の典型的な成分は、保存剤、殺細菌剤及び静菌剤、香料、染料、顔料、増粘剤、保湿剤、湿潤剤、脂肪、油、ワックス、又は化粧用配合物及びパーソナルケア配合物の他の典型的な成分、たとえば、アルコール、ポリアルコール、ポリマー、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、皮膚軟化剤、乳化剤若しくは乳化用界面活性剤、界面活性剤、分散剤、抗酸化剤、抗刺激剤、及び抗炎症剤などである。
【0110】
慣用の洗浄プロセスにおいて繊維製品から容易に取り出すことができる微粒子(a)を使用することも好ましい。
【0111】
本発明の他の実施形態は、本発明に係る化粧用配合物の、以下の用途である:
−サンスクリーン組成物の白色化作用及び/又は特定の色を最小限にする及び/又はマスキングするための用途、
−サンスクリーン製剤の一貫した塗布の可視化用途、
−>380nmの範囲の電磁放射線に対する保護用途、
−サンスクリーン製剤の自然な肌色の色調を調節するための用途、
−均一な皮膚の色調を促進するための用途、並びに
−細い線及びシワを最小限にする用途。
【0112】
本組成物は、UVA及び青色光のダメージ作用を防止するために使用し、UVAにより誘導されるヒトの皮膚の紫外線による老化と、それと共により長い波長の光及びIRへの過剰な曝露による老化に対する最適な保護をもたらす。
【0113】
本発明に係る化粧用組成物はまた、望ましくない皮膚色素沈着の予防及び治療;ヒト皮膚の光線による加齢の予防及び治療;皮膚に存在する内因性ビタミン類、抗酸化剤及び細胞調節因子(カロテノイド類、フラボノイド類又は不飽和脂肪など)の分解又は凝縮の抑制;太陽光により引き起こされる皮膚障害、例えばシミ、光線角化症、光線性皮膚炎及び日光蕁麻疹などの治療;UVA1が誘導するマトリックス分解酵素(メタロプロテイナーゼ若しくはエラスターゼなど、例えばメタロプロテイナーゼ-1若しくは好中球エラスターゼ)又はサイトカイン(インターロイキン-1若しくはインターロイキン-6など)の発現に対する保護;例えば光感作分子による、UV誘導性炎症反応による又はミトコンドリア機能障害による、活性酸素種の生成の防止; UV-A感受性医薬及び化粧品の保護に用いることができる。
【0114】
本発明に係る組成物は、スキンケア製品(特に顔、首、目の輪郭若しくは体用)、又はスキンメーキャップ製品、例えば着色製品、アイシャドウ、頬紅、アイライナー、コンシーラー、ボディメーキャップ製品、デイリーケア製品、日焼け防止製品又は皮膚洗浄製品を構成するものである。
【0115】
本発明に係る化粧用製剤は、太陽光の損傷作用からヒトの皮膚をきわめて良好に保護する点で卓越している。
【実施例】
【0116】
サンスクリーン製剤の調製
実施例1、2及び4は、カラー顔料を含まない実施例3及び5よりも利点を示す。
【0117】
【0118】
【0119】
製造方法:
部分A及び部分Bを75℃に加熱する。
Amphisol KをBに添加し、5分以上攪拌し、続いて部分B2を添加する。
部分Aを部分Bに添加した後、Ultra Turraxを用いて2/200gで1分間ホモジナイズする。 部分Cを添加し、60℃とし、再度Turraxで処理する。
部分Dを添加し、50℃以下とする。
【0120】
B. 適用例
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】