(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有するとともに、前記長手方向において腹部領域、股間部領域及び背部領域を有する、吸収体を備えた吸収本体部と、前記吸収本体部の前記幅方向の両端部の各々に位置し且つ前記長手方向の両端部にわたって連続的に延在する一対の防漏壁部と、を具備する吸収性物品であって、
前記防漏壁部の各々は、前記吸収本体部に対向し且つ前記吸収本体部に固定された基部と、前記基部の前記幅方向における内方側端縁に連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する第1壁部と、前記第1壁部の前記幅方向における外方側端縁と連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する第2壁部と、を有するとともに、少なくとも前記背部領域において、前記長手方向の端縁を含み且つ所定の長手方向長さ及び所定の幅方向長さを有するように配置された、前記第1壁部及び前記第2壁部の起立構造を制御して排泄液の流動を前記幅方向及び前記厚さ方向に制御する液流動制御部を有しており、
さらに、前記液流動制御部は、前記基部と前記第1壁部を接合し且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部と、前記第1壁部と前記第2壁部とを接合し且つ前記幅方向における内方側端縁の長手方向長さが前記第1接合部の前記長手方向長さ以上、前記幅方向における外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部と、を含んで構成されており、
前記吸収体は、平面視にて、前記吸収体の前記長手方向における背部領域側端縁が前記第2接合部の前記幅方向における内方側端縁のうち前記長手方向の最も内方側に位置する内方側端部よりも前記長手方向の外方側に位置するとともに、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が少なくとも前記背部領域において前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置するように、前記吸収本体部内に配置されており、
前記吸収本体部は、前記長手方向に延びる幅方向中央軸線によって区画される幅方向第1領域及び幅方向第2領域の各々に配置され且つ肌対向面から前記厚さ方向に窪む一対のエンボス部を含み、
前記エンボス部から前記基部の前記幅方向における内方側端縁までの幅方向長さ、前記第1壁部の幅方向長さ及び前記第2壁部の幅方向長さの合計長さが、前記幅方向中央軸線から前記エンボス部までの幅方向長さよりも長い、前記吸収性物品。
前記吸収体は、前記股間部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の内方側に位置するように、前記幅方向の内方側に向かって括れた外形形状を有している、請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収体は、前記腹部領域及び前記背部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記第2接合部の前記幅方向における外方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
前記一対の防漏壁部の各々は、平面視にて、前記長手方向に延び且つ前記幅方向に並ぶように配置された複数本の弾性部材を有しており、前記複数本の弾性部材は、前記幅方向の外方側に位置する弾性部材の長手方向長さが、前記幅方向の内方側に位置する弾性部材の長手方向長さよりも長い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記一対の防漏壁部の各々は、平面視にて、前記複数本の弾性部材によって前記長手方向に収縮可能に形成された、前記長手方向に延在する収縮領域を有しており、前記収縮領域は、前記幅方向の内方側に位置する部分の長手方向長さが、前記幅方向の外方側に位置する部分の長手方向長さよりも長い、請求項5に記載の吸収性物品。
前記吸収体は、前記腹部領域及び前記股間部領域の境界部分において、前記吸収体の前記幅方向の長さが前記腹部領域における前記吸収体の前記幅方向の最大長さよりも小さい幅狭部を有しており、
前記幅狭部は、平面視にて前記収縮領域と重複する、請求項6に記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示された吸収性物品は、上述の半起立部において、吸収コアの幅方向における両方の端部が一対の側壁部の固定部よりも幅方向内方側に位置しているため、かかる側壁部の半起立部まで流れてきた排泄液を当該半起立部によって堰き止めたとしても、その堰き止めた排泄液を吸収コアによって十分に吸収することができず、吸収コアの幅方向外方側の部分から横漏れを生じる虞があった。
さらに、この特許文献1に開示された吸収性物品は、吸収コアの長手方向における両方の端部が、長手方向において、上述の半起立部における長手方向内方側端部と略同等の位置に位置しているため(すなわち、長手方向において、上述の半起立部の長手方向内方側端部と略同等の位置よりも長手方向外方側には吸収コアが存在していないため)、特に、寝ている状態の着用者から繰り返し排泄液が排出されるような場合などにおいては、上述の側壁部の起立部及び半起立部によって幅方向への流動を抑制されて長手方向に流れきた排泄液を、吸収コアによって十分に吸収することができず、当該排泄液が吸収性物品の長手方向における背部側から漏出する虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向における背部側からの漏れも生じ難くすることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様(態様1)は、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有するとともに、前記長手方向において腹部領域、股間部領域及び背部領域を有する、吸収体を備えた吸収本体部と、前記吸収本体部の前記幅方向の両端部の各々に位置し且つ前記長手方向の両端部にわたって連続的に延在する一対の防漏壁部と、を具備する吸収性物品であって、
前記防漏壁部の各々は、前記吸収本体部に対向し且つ前記吸収本体部に固定された基部と、前記基部の前記幅方向における内方側端縁に連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する第1壁部と、前記第1壁部の前記幅方向における外方側端縁と連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する第2壁部と、を有するとともに、少なくとも前記背部領域において、前記長手方向の端縁を含み且つ所定の長手方向長さ及び所定の幅方向長さを有するように配置された、前記第1壁部及び前記第2壁部の起立構造を制御して排泄液の流動を前記幅方向及び前記厚さ方向に制御する液流動制御部を有しており、
さらに、前記液流動制御部は、前記基部と前記第1壁部を接合し且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部と、前記第1壁部と前記第2壁部とを接合し且つ前記幅方向における内方側端縁の長手方向長さが前記第1接合部の前記長手方向長さ以上、前記幅方向における外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部と、を含んで構成されており、
前記吸収体は、平面視にて、前記吸収体の前記長手方向における背部領域側端縁が前記第2接合部の前記幅方向における内方側端縁のうち前記長手方向の最も内方側に位置する内方側端部よりも前記長手方向の外方側に位置するとともに、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が少なくとも前記背部領域において前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置するように、前記吸収本体部内に配置されている、前記吸収性物品である。
【0008】
本態様1の吸収性物品は、基部、第1壁部及び第2壁部を有する一対の防漏壁部が、少なくとも背部領域において、基部と第1壁部を接合し且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部と、前記第1壁部と前記第2壁部とを接合し且つ前記幅方向における内方側端縁の長手方向長さが前記第1接合部の前記長手方向長さ以上、前記幅方向における外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部と、を含んで構成される液流動制御部を有しており、且つ、吸収体が、平面視にて、前記吸収体の前記長手方向における背部領域側端縁が前記第2接合部の前記幅方向における内方側端縁のうち前記長手方向の最も内方側に位置する内方側端部よりも前記長手方向の外方側に位置するとともに、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が少なくとも前記背部領域において前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置するように、前記吸収本体部内に配置されているという、特定の構造を備えているため、上述の液流動制御部において、上記第1壁部及び第2壁部によって十分な起立高さを有し且つ着用者から排出される排泄液に対して十分に耐久性を有する特定の起立構造を形成することができる。これにより、本態様1の吸収性物品は、着用者から排出されて吸収本体部の肌対向面側の表面上を長手方向及び幅方向の外方側に向かって流れる排泄液を、上述の液流動制御部における特定の起立構造と吸収本体部の肌対向面との間に形成される空洞部に封じ込めるようにして堰き止めながら、吸収本体部の肌対向面側の表面を介して吸収本体部内の吸収体に吸収させることができる上、長手方向の外方側に向かって流れる排泄液を、上述の液流動制御部によって幅方向の内方側に向かうように誘導しながら、吸収本体部の肌対向面側の表面を介して吸収本体部内の吸収体に吸収させることができる。
その結果、本態様1の吸収性物品は、排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向における背部側からの漏れも生じ難くすることができる。
【0009】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の吸収性物品において、前記吸収体は、前記股間部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の内方側に位置するように、前記幅方向の内方側に向かって括れた外形形状を有している。
【0010】
本態様2の吸収性物品では、吸収体が、前記股間部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の内方側に位置するように、前記幅方向の内方側に向かって括れた外形形状を有しているため、当該股間部領域において、前記一対の防漏壁部の変形及び移動の自由度が高く、当該一対の防漏壁部を着用者の身体形状(股間部の形状)に追従させながら密着させることができる。これにより、本態様2の吸収性物品は、着用者の身体(股間部)と一対の防漏壁部との間に隙間が形成され難くなるため、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
【0011】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1又は2の吸収性物品において、前記吸収体は、前記腹部領域及び前記背部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記第2接合部の前記幅方向における外方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置している。
【0012】
本態様3の吸収性物品では、前記腹部領域及び前記背部領域において、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が前記第2接合部の前記幅方向における外方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置しているため、着用者が横向きに寝ているような場合(すなわち、排泄液が重力方向(吸収本体部の幅方向の外方側へ向かう方向)に流れ易いような場合)でも、幅方向の外方側に向かって流れる排泄液を上述の吸収体によって着実に吸収させることができ、排泄液の横漏れを更に確実に防ぐことができる。
【0013】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1〜3のいずれかの吸収性物品において、前記吸収本体部は、前記長手方向に延びる幅方向中央軸線によって区画される幅方向第1領域及び幅方向第2領域の各々に配置され且つ肌対向面から前記厚さ方向に窪む一対のエンボス部を含み、
前記エンボス部から前記基部の前記幅方向における内方側端縁までの幅方向長さ、前記第1壁部の幅方向長さ及び前記第2壁部の幅方向長さの合計長さが、前記幅方向中央軸線から前記エンボス部までの幅方向長さよりも長くなっている。
【0014】
本態様4の吸収性物品では、吸収本体部が上記一対のエンボス部を含み、さらに、前記エンボス部から前記基部の前記幅方向における内方側端縁までの幅方向長さ、前記第1壁部の幅方向長さ及び前記第2壁部の幅方向長さの合計長さが、前記幅方向中央軸線から前記エンボス部までの幅方向長さよりも長くなるように構成されているため、前記一対のエンボス部が折れ曲がり起点となって、前記吸収本体部の幅方向中央軸線に沿って延びる幅方向中央部が肌対向面側に向かって突出するように(すなわち、長手方向中央軸線に沿った断面形状が略W字形となるように)前記吸収本体部が変形し易い上、前記一対の防漏壁部の起立高さが、肌対向面側に向かって突出する前記幅方向中央部の突出高さよりも高くなり易くなる。
これにより、本態様4の吸収性物品は、吸収本体部の前記幅方向中央部における肌対向面を着用者の股間部に密着又は近接させて、着用者から排出される排泄液を吸収体に吸収させ易くすることができるとともに、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
【0015】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1〜4のいずれかの吸収性物品において、前記第1接合部の前記長手方向における内方側端縁が、前記幅方向に沿って直線状に延びている。
【0016】
本態様5の吸収性物品では、前記第1接合部の前記長手方向における内方側端縁が、前記幅方向に沿って直線状に延びているため、当該第1接合部の前記長手方向における内方側端縁を起点として起立する第1壁部及び第2壁部の起立構造が安定し易く、上述の液流動制御部の機能をより着実に発揮させることができる。
【0017】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様1〜5のいずれかの吸収性物品において、前記一対の防漏壁部の各々は、平面視にて、前記長手方向に延び且つ前記幅方向に並ぶように配置された複数本の弾性部材を有しており、前記複数本の弾性部材は、前記幅方向の外方側に位置する弾性部材の長手方向長さが、前記幅方向の内方側に位置する弾性部材の長手方向長さよりも長くなっている。
【0018】
本態様6の吸収性物品では、一対の防漏壁部の各々に配置された複数本の弾性部材は、前記幅方向の外方側に位置する弾性部材の長手方向長さが前記幅方向の内方側に位置する弾性部材の長手方向長さよりも長いため、前記一対の防漏壁部の前記幅方向における外方側部分においては、前記第1壁部及び第2壁部による起立構造を維持し易く、幅方向の外方側へ向かう排泄液に対する耐久性を更に確保することができ、また、前記一対の防漏壁部の前記幅方向における内方側部分(すなわち、前記一対の防漏壁部の起立起点となる部分及び頂部となる部分)においては、変形や移動の自由度が高く、前記一対の防漏壁部を着用者の身体形状(股間部の形状)に追従させながら密着させ易くすることができる。これにより、本態様6の吸収性物品は、上述の一対の防漏壁部の防漏機能をより良好に発揮させることができる。
【0019】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様6の吸収性物品において、前記一対の防漏壁部の各々は、平面視にて、前記複数本の弾性部材によって前記長手方向に収縮可能に形成された、前記長手方向に延在する収縮領域を有しており、前記収縮領域は、前記幅方向の内方側に位置する部分の長手方向長さが、前記幅方向の外方側に位置する部分の長手方向長さよりも長くなっている。
【0020】
本態様7の吸収性物品では、前記一対の防漏壁部の各々の収縮領域において、前記幅方向の内方側に位置する部分の長手方向長さが前記幅方向の外方側に位置する部分の長手方向長さよりも長くなっているため、前記一対の防漏壁部の各々において、頂部となる部分が捲れ上がり難くなり、上述の一対の防漏壁部の防漏機能をより確実に発揮させることができる。
【0021】
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様7の吸収性物品において、前記吸収体は、前記腹部領域及び前記股間部領域の境界部分において、前記吸収体の前記幅方向の長さが前記腹部領域における前記吸収体の前記幅方向の最大長さよりも小さい幅狭部を有しており、
前記幅狭部は、平面視にて前記収縮領域と重複している。
【0022】
本態様8の吸収性物品では、吸収体が、前記腹部領域及び前記股間部領域の境界部分において、前記吸収体の前記幅方向の長さが前記腹部領域における前記吸収体の前記幅方向の最大長さよりも小さい幅狭部を有していて、当該幅狭部を有する部分の吸収性物品の剛性が相対的に低くなるため、吸収性物品を着用する際に、当該吸収性物品が、上述の幅狭部を有する部分を起点として肌対向面側の表面が凹むように曲がり易くなる。その上、本態様8の吸収性物品は、平面視にて、前記幅狭部が上述の収縮領域と重複しているため、吸収性物品を着用する際に、曲率の大きい腹部領域と股間部領域との境界部分(すなわち、前記幅狭部と厚さ方向に重複する部分)において、防漏壁部の第2壁部における肌対向面側の表面が、吸収本体部の肌対向面側の表面と略平行な面状の形態を維持したまま、上述の防漏壁部が肌対向面側に向かって起立し易くなる。
これにより、本態様8の吸収性物品は、着用する際に曲率が大きくなる部分(すなわち、腹部領域と股間部領域との境界部分)の防漏壁部と、着用者の肌面との接触面積をより大きく確保することができる(換言すれば、防漏壁部と着用者の肌面との間に、隙間を形成し難くすることができる)ため、排泄液の横漏れを更に確実に防ぐことができる。
【0023】
本発明の更に別の態様(態様9)では、上記態様1〜8のいずれかの吸収性物品において、前記一対の防漏壁部の各々における前記液流動制御部は、前記腹部領域及び前記背部領域の各々に配置されており、
前記吸収体は、平面視にて、前記吸収体の前記長手方向における腹部領域側端縁が前記第2接合部の前記幅方向における内方側端縁のうち前記長手方向の最も内方側に位置する内方側端部よりも前記長手方向の外方側に位置するとともに、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が少なくとも前記腹部領域及び前記背部領域において前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置するように、前記吸収本体部内に配置されている。
【0024】
本態様9の吸収性物品では、一対の防漏壁部の各々における液流動制御部が、腹部領域及び背部領域の各々に配置されており、且つ、前記吸収体は、平面視にて、前記吸収体の前記長手方向における腹部領域側端縁が前記第2接合部の前記幅方向における内方側端縁のうち前記長手方向の最も内方側に位置する内方側端部よりも前記長手方向の外方側に位置するとともに、前記吸収体の前記幅方向における両端縁が少なくとも前記腹部領域及び前記背部領域において前記基部の前記幅方向における内方側端縁よりも前記幅方向の外方側に位置するように、前記吸収本体部内に配置されているため、着用者がうつ伏せ状態で寝ているような場合(すなわち、着用者から排出される排泄液が長手方向の腹部側へ向かう方向に流れ易いような場合)などでも、腹部領域に配置された液流動制御部によって、当該腹部領域における排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向における腹部側からの漏れも生じ難くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向における背部側からの漏れも生じ難くすることができる吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、吸収性物品、吸収体等)を、垂直方向の上方側(対象物が吸収性物品の場合は表面シート側)から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。ここで、「展開した状態」とは、水平面上に置いた対象物を、水平面に沿うように伸長させた状態を意味し、さらに、当該伸長させた状態から伸長を解除した状態(例えば、対象物が弾性部材等により一定程度収縮した状態等)を、「自然状態」という。
【0028】
本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、吸収性物品、吸収本体部、吸収体等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。なお、本明細書において、吸収性物品の長手方向、幅方向及び厚さ方向は、当該吸収性物品を構成する吸収本体部の長手方向、幅方向及び厚さ方向にそれぞれ対応する。
さらに、本明細書では、「縦長の対象物の長手方向において、該対象物の長手方向の中央に位置し且つ幅方向に延びる長手方向中央軸線C
Wに対して相対的に近位側」を「長手方向の内方側」といい、「縦長の対象物の長手方向において、前記長手方向中央軸線C
Wに対して相対的に遠位側」を「長手方向の外方側」という。同様に、「縦長の対象物の幅方向において、該対象物の幅方向の中央に位置し且つ長手方向に延びる幅方向中央軸線C
Lに対して相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「縦長の対象物の幅方向において、前記幅方向中央軸線C
Lに対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。
また、本明細書では、「吸収性物品又は吸収本体部の長手方向において、吸収性物品の着用時に着用者の腹部に対応する領域」を「腹部領域」といい、「吸収性物品又は吸収本体部の長手方向において、吸収性物品の着用時に着用者の背部乃至臀部に対応する領域」を「背部領域」といい、「吸収性物品又は吸収本体部の長手方向において、前記腹部領域と前記背部領域との間に位置する領域であって、吸収性物品の着用時に着用者の股間部に対応する領域」を「股間部領域」という。ここで、「着用時」とは、着用者が吸収性物品を着用した時点(すなわち、使用可能な状態を形成した時点)から、その状態を維持している間(着用している間)を意味する。
さらに、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品又は吸収本体部の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。なお、本明細書においては、吸収性物品及び各種構成部材(例えば、吸収本体部、表面シート、吸収体、裏面シート、サイドシート等)の「肌対向面側の表面」及び「非肌対向面側の表面」を、それぞれ単に「肌対向面」及び「非肌対向面」ということがある。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1の展開した状態における平面図であり、
図2〜
図6はそれぞれ尿取りパッド1における
図1のII−II線〜VI−VI線に沿った断面の自然状態における端面図であり、
図7は尿取りパッド1の斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1(本発明の吸収性物品の一例)は、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有する縦長の外形形状を有し、具体的には、前記長手方向Lの略中央部分(すなわち、股間部領域A
Cに対応する部分)が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有している。なお、本発明において、吸収性物品の外形形状は、このような態様に限定されず、長手方向Lの長さ寸法が幅方向Wの幅寸法よりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0030】
本実施形態の尿取りパッド1は、
図1及び
図2に示すように、尿取りパッド1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tの各々に対応する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し且つ前記長手方向において腹部領域A
F、股間部領域A
C及び背部領域A
Bを有する、吸収体21を備えた吸収本体部2と、当該吸収本体部2の幅方向Wの両端部の各々に位置し且つ前記長手方向Lの両端部にわたって連続的に延在する一対のサイドシート4、4(防漏壁部)と、によって構成されている。
【0031】
吸収本体部2は、
図1〜
図6に示すように、厚さ方向Tにおいて、肌対向面側に位置する液透過性の表面シート22と、非肌対向面側に位置する液不透過性の裏面シート23と、これらのシートの間に位置し且つ尿などの排泄液を吸収して保持し得る2層の吸収層(具体的には、相対的に肌対向面側に位置する第1吸収層21A及び非肌対向面側に位置する第2吸収層21B)を有する吸収体21と、を備えており、着用者から排出された尿などの排泄液を、厚さ方向Tに浸透させながら上述の吸収体21にて吸収及び保持し得るように構成されている。
【0032】
一方、一対のサイドシート4、4(防漏壁部)は、
図1〜
図6に示すように、吸収本体部2の肌対向面側(より具体的には、表面シート22の肌対向面側)において吸収本体部2に対向し、吸収本体部2の幅方向Wにおける両端部の各々に位置し且つ前記長手方向Lの両端部(すなわち、長手方向Lにおける腹部領域側端部及び背部領域側端部)にわたって連続的に延在するように配置されており、さらに、一対のサイドシート4、4の各々は、吸収本体部2の幅方向Wの内方側に位置し且つ前記吸収本体部2の肌対向面側の表面に接合されていない自由端部と、吸収本体部2の幅方向Wの外方側に位置し且つ前記吸収本体部2の肌対向面側の表面に接合された固定端部と、を有している。
かかる一対のサイドシート4、4の各々は、尿取りパッド1の着用時に、自由端部である幅方向Wの内方側における端縁(すなわち、幅方向Wの内方側端縁)が肌対向面側に向かって起立し、着用者から排出される尿などの排泄液の横漏れを防ぐ防漏壁として機能する一対の防漏壁部を形成することができる。
【0033】
なお、一対のサイドシート4、4の各々は、
図1に示すように、幅方向Wの内方側端縁部近傍に、当該一対のサイドシート4、4、ひいては尿取りパッド1を長手方向Lに収縮させて、前記一対のサイドシート4、4の各々の幅方向Wの内方側端縁の起立を促す5本(複数本)の弾性部材ELが長手方向Lに沿って配置されている。
【0034】
そして、本実施形態の尿取りパッド1において、一対のサイドシート4、4によって形成される防漏壁部の各々は、
図2〜
図5に示すように、上述の吸収本体部2に対向し且つ当該吸収本体部2に固定された基部41と、前記基部41の肌対向面側において該基部41の幅方向Wにおける内方側端縁に連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する(より具体的には、長手方向Lの内方側の部分が肌対向面側に向かって起立する)第1壁部42と、前記第1壁部42の肌対向面側において該第1壁部42の幅方向Wにおける外方側端縁と連接し且つ着用時に肌対向面側に向かって起立する(より具体的には、長手方向Lの内方側の部分が肌対向面側に向かって起立する)第2壁部43と、を有するとともに、前記腹部領域A
F及び前記背部領域A
Bにおいて、サイドシート4の長手方向Lの端縁を含み且つ所定の長手方向長さ及び所定の幅方向長さを有するように配置された、第1壁部42及び第2壁部43の起立構造を制御して着用者から排出される排泄液の流動を幅方向W及び厚さ方向Tに制御する液流動制御部F
Cを有している。
さらに、この液流動制御部F
Cは、
図5に示すように、基部41と第1壁部42を接合し(より具体的には、基部41と第1壁部42の各々の長手方向Lにおける外方側の部分とを接合し)且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部44と、第1壁部42と前記第2壁部43とを接合し(より具体的には、第1壁部42と第2壁部43の各々の長手方向Lにおける外方側の部分とを接合し)且つ幅方向Wにおける内方側端縁の長手方向長さが第1接合部44の長手方向長さ以上、幅方向Wにおける外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部45と、を含んで構成されている。
なお、一対の防漏壁部において、液流動制御部F
Cよりも長手方向Lの内方側に位置する部分(上述の実施形態においては、腹部領域A
Fの液流動制御部F
Cと背部領域A
Bの液流動制御部F
Cとの間の防漏壁部)は、液流動制御部F
Cのように起立構造を制御するような構造(すなわち、排泄液の流動を特定方向に制御するような構造)を備えておらず、通常の防漏壁と同様の構造及び機能を有する起立非制御部S
Pとして形成されている(
図2を参照)。
【0035】
そして、吸収体21は、
図1に示すように、平面視にて、吸収体21の長手方向Lにおける背部領域側端縁21E
1が、第2接合部45の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向Lの最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置するとともに、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、幅方向Wにおける一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が、背部領域A
Bにおいて基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されている。
【0036】
なお、本実施形態の尿取りパッド1においては、吸収体21は、
図1に示すように、平面視にて、吸収体21の長手方向Lにおける腹部領域側端縁21E
2が、腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cの第2接合部45の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向Lの最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置するとともに、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、幅方向Wにおける一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が、腹部領域A
Fにおいて基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されている。
【0037】
本実施形態の尿取りパッド1は、特に、上述の基部41、第1壁部42及び第2壁部43を有する一対の防漏壁部が、少なくとも背部領域A
Bにおいて、基部41と第1壁部42を接合し且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部44と、第1壁部42と第2壁部43とを接合し且つ幅方向Wにおける内方側端縁の長手方向長さが第1接合部44の長手方向長さ以上、幅方向Wにおける外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部45と、を含んで構成される液流動制御部F
Cを有しており、且つ、上述の吸収体21が、平面視にて、当該吸収体21の長手方向Lにおける背部領域側端縁21E
1が第2接合部45の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向の最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置するとともに、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁が少なくとも背部領域A
Bにおいて基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されているという、特定の構造を備えているため、上述の液流動制御部F
Cにおいて、
図2に示すように、上記第1壁部42及び第2壁部43によって十分な起立高さを有し且つ着用者から排出される排泄液に対して十分に耐久性を有する特定の起立構造を形成することができる。これにより、尿取りパッド1は、着用者から排出されて吸収本体部2の肌対向面側の表面上を長手方向L及び幅方向Wの外方側に向かって流れる排泄液を、上述の液流動制御部F
Cにおける特定の起立構造と吸収本体部2の肌対向面側の表面との間に形成される空洞部F
Sに封じ込めるようにして堰き止めながら、吸収本体部2の表面シート22を介して吸収本体部2内の吸収体21に吸収させることができる上、長手方向Lの外方側に向かって流れる排泄液を、上述の液流動制御部F
Cによって幅方向Wの内方側に向かうように誘導しながら、吸収本体部2の表面シート22を介して吸収本体部2内の吸収体21に吸収させることができる。
その結果、尿取りパッド1は、排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向Lにおける背部側からの漏れも生じ難くすることができる。
【0038】
なお、本実施形態の尿取りパッド1においては、一対の防漏壁部の各々における液流動制御部F
Cが、背部領域A
Bだけでなく腹部領域A
Fにも配置されており、且つ、吸収体21の長手方向Lにおける腹部領域側端縁21E
2が、腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cの第2接合部の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向Lの最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置するとともに、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、幅方向Wにおける一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が、腹部領域A
Fにおいても基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されているため、着用者がうつ伏せ状態で寝ているような場合(すなわち、着用者から排出される排泄液が長手方向Lの腹部側へ向かう方向に流れ易いような場合)などでも、腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cによって、当該腹部領域A
Fにおける排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向Lにおける腹部側からの漏れも生じ難くすることができる。
【0039】
以下、本発明の吸収性物品を構成する各種部材について、上述の実施形態に係る尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0040】
<吸収本体部>
本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1において、吸収本体部2は、
図1に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tの各々に対応する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、尿取りパッド1の平面視形状となる縦長の外形形状(すなわち、長手方向Lの股間部領域A
Cに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状)を有している。
なお、本発明において、吸収本体部の外形形状は、本実施形態のような態様に限定されず、長手方向の長さ寸法が幅方向の幅寸法よりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。また、本発明において、吸収本体部の長手方向長さ、幅方向長さ、厚さ方向長さ(厚み)等の各種寸法は、吸収本体部として所定の吸収性や柔軟性、着用者の身体形状への適合性等を有するものであれば特に制限されず、着用対象者のサイズや性別、吸収対象物、用途などに応じた任意の寸法を採用することができる。
【0041】
上述の実施形態において、吸収本体部2は、
図1〜
図6に示すように、厚さ方向Tにおいて、肌対向面側に位置する液透過性の表面シート22と、非肌対向面側に位置する液不透過性の裏面シート23と、これら各シートの間に位置し且つ尿などの排泄液を吸収及び保持可能な2層の吸収層(すなわち、第1吸収層21A及び第2吸収層21B)によって構成された吸収体21とを、主な構成部材として備えており、さらに、本実施形態においては、裏面シート23の肌対向面側(すなわち、吸収体21と裏面シート23との間)に、液不透過性のバックフィルム24を備えている。
【0042】
以下、本発明の吸収性物品における吸収本体部に用い得る各種構成部材について、上述の実施形態に係る尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0043】
[表面シート]
上述の実施形態において、吸収本体部2の肌対向面側に配置される表面シート22は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて、吸収本体部2における長手方向Lの腹部領域側端部から背部領域側端部にわたって延在するとともに、吸収本体部2内の吸収体21の幅方向Wにおける一方側端縁21E
3近傍から他方側端縁21E
4近傍にわたって延在しており、全体として長手方向Lに長い縦長の略矩形状の外形形状を有している。
なお、本発明の吸収性物品において、表面シートの寸法形状は、吸収体の肌対向面側の表面の大部分(例えば、吸収体の肌対向面側の表面面積の50%を超える部分等)を覆うことができるものであれば特に制限されず、各種用途等に応じた任意の寸法形状のものを採用することができる。
【0044】
上述の実施形態において、表面シート22は、
図1〜
図6に示すように、吸収本体部2の厚さ方向Tにおいて、着用者の肌面に直に接触し得る肌対向面側に配置され、着用者から排出される尿などの排泄液を当該表面シート22の非肌対向面側に配置される吸収体21へと迅速に移行させることができる液透過性シートによって構成されている。
【0045】
本発明において、表面シートとして用い得る液透過性シートは、吸収性物品の表面シートとして用い得る諸特性(例えば、液透過性や肌触り、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の不織布や織布などの繊維系シート;樹脂フィルムに複数の開孔を施した開孔フィルムなどを好適に用いることができる。なお、上述の繊維系シートは、界面活性剤により親水化処理が施されていてもよい。このような液透過性シートの中でも、液透過性や柔軟性、強度等に優れるという点から、繊維系シートを用いることが好ましく、さらに、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等の不織布を用いることがより好ましい。
【0046】
また、表面シートとして上述の繊維系シートを用いる場合、その構成繊維は特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂繊維を用いることができ、これらの樹脂は1種類の樹脂を単独で用いても、2種類以上の樹脂を併用してもよい。なお、樹脂繊維の構造も、特に制限されず、例えば、芯鞘型繊維等の複合繊維や異形断面型繊維、立体捲縮繊維などを用いてもよい。
【0047】
さらに、上述の樹脂繊維は、例えば、界面活性剤や親水化剤等を用いた処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)などの親水化処理が施されていてもよく、また、消臭剤、抗菌剤などの任意の添加剤を含んでいてもよい。なお、これらの添加剤は、1種類の添加剤を単独で用いても、2種類以上の添加剤を併用してもよい。
【0048】
本発明において、表面シートとして用い得る液透過性シートの坪量は、所定の液透過性、柔軟性及び強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、5g/m
2〜100g/m
2の範囲内であり、好ましくは10g/m
2〜50g/m
2の範囲内である。なお、液透過性シートの厚みは、かかる液透過性シートが吸収性物品の表面シートとして機能し得るものであれば特に制限されず、所望の液透過性や柔軟性、強度等に応じた任意の厚みを採用することができる。
【0049】
また、表面シートとして用い得る液透過性シートの構造は、所定の液透過性、柔軟性及び強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、略平坦な構造を有するものや肌対向面側の表面に凹凸構造を有するものなどを好適に用いることができる。
【0050】
[裏面シート]
上述の実施形態において、吸収本体部2の非肌対向面側に配置される裏面シート23は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて、吸収本体部2における長手方向Lの腹部領域側端部から背部領域側端部にわたって延在するとともに、吸収本体部2における幅方向Wの一方側端部から他方側端部にわたって延在しており、全体として吸収本体部2と同様の縦長の外形形状(すなわち、長手方向Lの股間部領域A
Cに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状)を有している。
なお、本発明の吸収性物品において、裏面シートの寸法形状は、少なくとも吸収体の非肌対向面側の表面の全面を覆うことができるものであれば特に制限されず、各種用途等に応じた任意の寸法形状のものを採用することができる。
【0051】
また、上述の実施形態において、裏面シート23は、
図1〜
図6に示すように、吸収本体部2の厚さ方向Tの非肌対向面側に配置されて、着用者から排出される尿などの排泄液を外部に漏出させないように機能する液不透過性シートによって構成されている。
【0052】
本発明において、裏面シートとして用い得る液不透過性シートは、吸収性物品の裏面シートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性や柔軟性、強度、好ましくは通気性等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルム;樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体;疎水性不織布や積層不織布(例えば、SMS不織布)等の不織布などを好適に用いることができる。なお、裏面シートとして上述の不織布を用いる場合、その不織布の種類は特に制限されず、例えば、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布などの任意の不織布を用いることができる。さらに、かかる不織布の構成繊維も特に制限されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂繊維を用いることができ、これらの樹脂は1種類の樹脂を単独で用いても、2種類以上の樹脂を併用してもよい。なお、樹脂繊維の構造も特に制限されず、例えば、芯鞘型繊維等の各種複合繊維などを用いてもよい。
【0053】
本発明において、裏面シートとして用い得る液不透過性シート(例えば、不織布等)の坪量は、所定の液不透過性(防漏性)及び強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、5g/m
2〜100g/m
2の範囲内であり、好ましくは10g/m
2〜50g/m
2の範囲内である。なお、液不透過性シートの厚みは、かかる液不透過性シートが吸収性物品の裏面シートとして機能し得るものであれば特に制限されず、所望の液不透過性や柔軟性、強度、通気性等に応じた任意の厚みを採用することができる。
【0054】
また、上述の実施形態においては、
図2〜
図6に示すように、裏面シート23の肌対向面側(すなわち、吸収体21と裏面シート23との間)に、裏面シート23と略同様の寸法形状を有する液不透過性のバックフィルム24が配置されている。かかるバックフィルム24は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルムによって構成されており、裏面シート23と同様に、着用者から排出される尿などの排泄液の透過を防止し、当該排泄液が着用者の着衣等へ漏れ出ないように機能するものである。
なお、吸収性物品がこのようなバックフィルムを備えていると、尿などの排泄液の漏出をより効果的に抑制することができるが、かかるバックフィルムは、本発明の吸収性物品においては必須の構成要素ではないため、本発明の吸収性物品は、このようなバックフィルムを備えていなくてもよい。
【0055】
[吸収体]
上述の実施形態において、吸収体21は、
図1に示すように、平面視にて、吸収本体部2の長手方向Lにおける腹部領域A
F(より具体的には、長手方向Lの腹部領域側端部近傍)から背部領域A
B(より具体的には、長手方向Lの背部領域側端部近傍)にわたって延在するとともに、吸収本体部2の幅方向Wにおける幅方向第1領域A
W1(より具体的には、幅方向Wの一方側端部近傍)から幅方向第2領域A
W2(より具体的には、幅方向Wの他方側端部近傍)にわたって延在しており、全体として、長手方向Lに長く且つ長手方向Lの股間部領域A
Cに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有している。
なお、本発明の吸収性物品において、吸収体の寸法形状は、本実施形態の態様に限定されず、少なくとも長手方向の長さ寸法が吸収本体部の長手方向における腹部領域から背部領域にわたる程度に長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0056】
上述の実施形態において、吸収体21は、
図1〜
図6に示すように、吸収本体部2の厚さ方向Tにおいて表面シート22と裏面シート23との間(より具体的には、表面シート22とバックフィルム24との間)に配置され、表面シート22を透過してきた着用者の尿などの排泄液を吸収して保持するように機能する2層の吸収層(すなわち、第1吸収層21A及び第2吸収層21B)によって構成されている。
【0057】
これらの2層の吸収層は、吸収本体部2内において、相対的に肌対向面側に配置される第1吸収層21Aと、相対的に非肌対向面側に配置される第2吸収層21Bとが、ホットメルト型接着剤等の任意の接合手段(不図示)によって接合され、一体化物として上述の吸収体21を構成している。
吸収体21を構成する2層の吸収層のうち、第1吸収層21Aは、平面視にて、吸収本体部2の長手方向Lにおける腹部領域A
F(より具体的には、長手方向Lの腹部側端部近傍)から背部領域A
B(より具体的には、長手方向Lの背部側端部近傍)にわたって延在するとともに、吸収本体部2の幅方向Wにおける幅方向第1領域A
W1(より具体的には、幅方向Wの一方側端部近傍)から幅方向第2領域A
W2(より具体的には、幅方向Wの他方側端部近傍)にわたって延在しており、全体として長手方向Lに長く且つ長手方向Lの股間部領域A
Cに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有する吸収性部材によって構成されている。なお、本実施形態においては、この第1吸収層21Aが、吸収体21の平面視における外形形状を形成している。
【0058】
一方、第2吸収層21Bは、平面視にて、吸収本体部2の長手方向Lにおける腹部領域A
F(より具体的には、長手方向Lの腹部側端部近傍)から背部領域A
B(より具体的には、長手方向Lの背部側端部近傍)にわたって延在しているものの、幅方向Wにおいては、当該幅方向Wの両端縁がそれぞれ第1吸収層21Aの幅方向Wの両端縁(すなわち、幅方向Wにおける一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)よりも幅方向Wの内方側に位置するように延在しており、全体として、長手方向Lに長い略矩形状の外形形状を有する吸収性部材によって構成されている。相対的に非肌対向面側に配置される第2吸収層21Bをこのように形成することで、第1吸収層21A及び第2吸収層21Bの幅方向Wの端縁部分における段差が着用者に感知され難くなっている。
【0059】
本発明において、上述の吸収体を構成する第1吸収層及び第2吸収層として用い得る吸収性部材は、尿などの排泄液を吸収して保持することができるものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意の吸収性部材を用いることができる。そのような吸収性部材としては、例えば、任意の吸収性材料によって構成される吸収コアを、親水性を有するティッシュ等のコアラップシートで覆ったものなどを用いることができる。さらに、上述の吸収コアを構成する吸収性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどを用いることができ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマーからなる粒状物などを用いることができる。これらの吸収性材料は、1種類の吸収性材料を単独で用いても、2種類以上の吸収性材料を併用してもよい。なお、第1吸収層と第2吸収層は、同じ構成の吸収性部材を用いても、異なる構成の吸収性部材を用いてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、第1吸収層21Aは、
図1及び
図6に示すように、平面視にて、少なくとも股間部領域A
Cの幅方向Wの中央部(すなわち、長手方向Lに延びる幅方向中央軸線C
Lと重複する部分)に、当該第1吸収層21Aを厚さ方向Tに貫通する貫通孔21A
Sを備えており、さらに、第2吸収層21Bも、
図1に示すように、股間部領域A
Cの幅方向Wの中央部であって第1吸収層21Aの貫通孔21A
Sと厚さ方向Tに重複する位置に、平面視にて貫通孔21A
Sよりも小さい寸法形状を有し且つ第2吸収層21Bを厚さ方向Tに貫通する貫通孔21B
Sを備えている。これらの貫通孔21A
S及び貫通孔21B
Sは、厚さ方向Tにおいて連通しており、全体として吸収体21を厚さ方向Tに貫通し且つ当該厚さ方向Tにおいて開孔面積が段階的に異なる貫通孔を形成している。
吸収体が、このような貫通孔を備えていると、排泄液の厚さ方向Tへの吸収を促すことができるため、より優れた吸収性能(特に、吸収速度)を発揮することができる。
【0061】
なお、本発明の吸収性物品においては、吸収体は、上述の実施形態のような2層の吸収層によって構成されている必要はなく、吸収体は、単層構造を有する吸収性部材によって構成されていても、3層以上の複層構造を有する吸収性部材によって構成されていてもよい。
吸収体を構成する吸収層として用い得る吸収性部材の坪量や厚み等は、当該吸収性部材が吸収性物品の吸収体として機能し得る諸特性(例えば、吸収性、柔軟性等)を有するものであれば特に制限されず、任意の坪量及び厚み等を採用することができる。
【0062】
また、上述の実施形態では、吸収体21は、股間部領域A
Cにおいて、幅方向Wの両端縁(すなわち、幅方向Wの一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が一対の防漏壁部の各々の基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの内方側に位置する部分を有するように、幅方向Wの内方側に向かって括れた外形形状を有している。吸収体21がこのような外形形状を有していると、股間部領域A
Cにおいて、吸収体21による剛性への影響が小さく、上述の一対の防漏壁部の変形及び移動の自由度が高くなるため、着用者が尿取りパッド1を着用した際に、上述の一対の防漏壁部を着用者の身体形状(股間部の形状)に追従させながら密着させることができる。したがって、このような外形形状を有する吸収体21を備えた尿取りパッド1は、着用者の身体(股間部)と一対の防漏壁部との間に隙間が形成され難いため、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
【0063】
さらに、上述の実施形態では、吸収体21は、腹部領域A
F及び背部領域A
Bにおいて、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、幅方向Wの一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が一対の防漏壁部の各々の第2接合部45の幅方向Wにおける外方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置する部分を有するように配置されている。吸収体21がこのように配置されていると、着用者が横向きに寝ているような場合(すなわち、着用者から排出される排泄液が重力方向(より具体的には、吸収本体部2の幅方向Wの外方側へ向かう方向)に流れ易いような場合)でも、幅方向Wの外方側に向かって流れる排泄液を吸収体21によって着実に吸収することができ、排泄液の横漏れを更に確実に防ぐことができる。
【0064】
なお、本発明の吸収性物品においては、一対の防漏壁部の各々における液流動制御部は、少なくとも背部領域に配置されていればよいが、上述の実施形態に係る尿取りパッド1では、液流動制御部F
Cは、腹部領域A
F及び背部領域A
Bの各々に配置されており、さらに、吸収体21は、
図1に示すように、平面視にて、当該吸収体21の長手方向Lにおける腹部領域側端縁21E
2が腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cの第2接合部45の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向Lの最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置し、且つ、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、幅方向Wの一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)が腹部領域A
Fにおいて基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されている。
吸収体21がこのように配置されていると、着用者がうつ伏せ状態で寝ているような場合(すなわち、着用者から排出される排泄液が重力方向(より具体的には、吸収本体部2の幅方向Wの外方側へ向かう方向)に流れ易いような場合)でも、上述の腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cによって、当該腹部領域A
Fにおける排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向Lにおける腹部側からの漏れをも生じ難くすることができる。
【0065】
[エンボス部]
上述の実施形態において、吸収本体部2は、長手方向Lに延びる幅方向中央軸線C
Lによって区画される幅方向第1領域A
W1及び幅方向第2領域A
W2の各々に配置され且つ肌対向面から厚さ方向Tに窪む一対のエンボス部3、3を有している。かかる一対のエンボス部3、3の各々は、
図1に示すように、股間部領域A
Cにおいて、長手方向Lに延びる直線状の平面視形状を有しており、さらに、吸収本体部2の厚さ方向Tにおいて、肌対向面側から窪みつつ、表面シート22と吸収体21が圧搾により一体化されている。なお、このようなエンボス部は、加熱又は非加熱の任意のエンボス加工手段を用いて、吸収本体部を肌対向面から厚さ方向Tに圧搾することにより形成することができる。
【0066】
そして、本実施形態においては、一対のエンボス部3、3は、当該エンボス部3から基部41の幅方向Wにおける内方側端縁までの幅方向長さ、第1壁部42の幅方向長さ及び第2壁部43の幅方向長さの合計長さが、上述の幅方向中央軸線C
Lからエンボス部3まで(具体的には、エンボス部3の幅方向の中心線まで)の幅方向長さよりも長くなるように配置されている。一対のエンボス部3、3がこのように配置されていると、当該一対のエンボス部3、3が折れ曲がり起点となって、吸収本体部2の幅方向中央軸線C
Lに沿って延びる幅方向中央部が肌対向面側に向かって突出するように(すなわち、長手方向中央軸線C
Wに沿った断面形状が略W字形となるように)吸収本体部2が変形し易くなる上、上述の一対の防漏壁部の起立高さが、肌対向面側に向かって突出する幅方向中央部の突出高さよりも高くなり易くなるため、吸収本体部2の幅方向中央部における肌対向面を着用者の股間部に密着又は近接させて、着用者から排出される排泄液を吸収体21に吸収させ易くすることができるとともに、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
【0067】
なお、このような作用効果は、一対のエンボス部が吸収本体部の折れ曲がり起点となり得るものであれば、上述の実施形態以外の態様でも同様に奏されるため、本発明において、一対のエンボス部は、上述の実施形態のように、必ずしも表面シートと吸収体が一体化されるように形成されている必要はなく、例えば、吸収体のみに形成されていてもよい。
【0068】
また、本発明において、エンボス部の平面視形状は、特に制限されず、上述の実施形態のような直線状のほか、波線状、波線状、曲線状、ジグザグ状などの任意の形状を採用することができる。なお、かかるエンボス部は、本発明の吸収性物品においては必須の構成要素ではないため、本発明の吸収性物品は、このようなエンボス部を有していなくてもよい。
【0069】
<防漏壁部>
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、一対の防漏壁部は、吸収本体部2の幅方向Wの両端部の各々に位置し且つ長手方向Lの両端部にわたって連続的に延在する一対のサイドシート4、4によって形成される。なお、かかる一対のサイドシート4、4の各々には、幅方向Wの内方側端縁部近傍において、当該一対のサイドシート4、4を長手方向Lに収縮し得る5本の弾性部材ELが配置されている。
【0070】
以下、本発明の吸収性物品における一対の防漏壁部を形成し得る各種構成部材について、上述の実施形態に係る尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0071】
[サイドシート]
上述の実施形態において、一対のサイドシート4、4は、吸収本体部2の肌対向面側(より具体的には、表面シート22の肌対向面側)において、吸収本体部2の幅方向Wの両端部に配置され、尿取りパッド1の着用時には、幅方向Wにおける内方側端縁が起立して防漏壁として機能し得る、長手方向Lに長い一対の帯状の液不透過性シートによって形成されている。
【0072】
本発明において、サイドシートとして用い得る帯状の液不透過性シートは、吸収性物品のサイドシートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性や肌触り、柔軟性、強度(特に、湿潤時強度)等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、疎水性不織布(例えば、疎水性を有する又は疎水性が付与された、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、SMS不織布等);液不透過性を有する合成樹脂製フィルム;これらの積層体などを用いることができる。
【0073】
サイドシートとして用い得る帯状の液不透過性シートの外形形状や坪量、厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液不透過性や肌触り、柔軟性等に応じた任意の外形形状や坪量、厚み等を採用することができる。
【0074】
上述の実施形態では、一対のサイドシート4、4の各々は、尿取りパッド1の着用時に、自由端部である幅方向Wの内方側端縁が肌対向面側に向かって起立し、着用者から排出される尿などの排泄液の横漏れを防ぐ防漏壁として機能する一対の防漏壁部を形成することができる。これら一対の防漏壁部の各々は、上述のとおり、吸収本体部2に対向し且つ当該吸収本体部2に固定された基部41と、前記基部41の肌対向面側において該基部41の幅方向Wにおける内方側端縁に連接し且つ着用時に長手方向Lの内方側の部分が肌対向面側に向かって起立する第1壁部42と、前記第1壁部42の肌対向面側において該第1壁部42の幅方向Wにおける外方側端縁と連接し且つ着用時に長手方向Lの内方側の部分が肌対向面側に向かって起立する第2壁部43と、を有していて、さらに、腹部領域A
F及び背部領域A
Bには、サイドシート4の長手方向Lの端縁を含み且つ所定の長手方向長さ及び所定の幅方向長さを有するように配置された上述の液流動制御部F
Cを備えるとともに、当該液流動制御部F
Cよりも長手方向Lの内方側に位置する部分には、通常の防漏壁と同様の構造及び機能を有する起立非制御部S
Pを備えている。
【0075】
液流動制御部F
Cは、上述のとおり、基部41と第1壁部42の各々の長手方向Lにおける外方側の部分とを接合し且つ所定の長手方向長さを有する第1接合部44と、第1壁部42と第2壁部43の各々の長手方向Lにおける外方側の部分とを接合し且つ幅方向Wにおける内方側端縁の長手方向長さが第1接合部44の長手方向長さ以上、幅方向Wにおける外方側端縁の長手方向長さ未満である第2接合部45と、を含んで構成されており、上述の第1壁部42及び第2壁部43の起立構造を制御して、着用者から排出される排泄液を、液流動制御部F
Cの起立構造と吸収本体部2の肌対向面側の表面との間に形成される空洞部F
Sに封じ込めるようにして堰き止めつつ、長手方向Lの外方側に向かって流れる排泄液を、幅方向Wの内方側に向かうように誘導することができる。
【0076】
また、上述の一対のサイドシート4、4は、液流動制御部Fcよりも幅方向Wの外方側において、吸収体21(より具体的には、第1吸収層21A)とそれぞれ接合されており、さらに、その接合部(以下、「第3接合部」ということがある。)は、幅方向Wにおいて、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁(すなわち、吸収体21の幅方向Wにおける一方側端縁21E
3及び他方側端縁21E
4)と厚さ方向Tに重複する位置又は当該両端縁よりも幅方向Wの内方側の位置に配置されている。この一対のサイドシート4、4と吸収体21との接合部である第3接合部は、一対のサイドシート4、4が肌対向面側に起立して防漏壁を形成する際に、当該防漏壁の起点となる部分であるとともに、液流動制御部Fcによって流動の制御された排泄液が残留する虞のある部分でもあるが、このような第3接合部が、上述のように吸収体21の幅方向Wにおける両端縁と厚さ方向Tに重複する位置又は当該両端縁よりも幅方向Wの内方側の位置に配置されている(すなわち、第3接合部と厚さ方向Tに重複する位置又は第3接合部よりも幅方向Wの外方側の位置まで、吸収体21が幅方向Wに延在している)と、当該第3接合部又はその近傍に残留した排泄液が、表面シート22等を介して幅方向Wの外方側へ滲出しようとしても、第3接合部と厚さ方向Tに重複する位置又は第3接合部よりも幅方向Wの外方側の位置まで延在している吸収体21の延出部分によって、かかる排泄液を吸収することができるため、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
なお、本発明において、上述の第3接合部の配置形態は、腹部領域及び背部領域のいずれか一方又はその両方に適用してもよいが、少なくとも、着用者の体圧が掛かり易い背部領域に適用することが好ましい。かかる背部領域は、着用者の体圧によって排泄液の滲出が生じ易い領域であるため、上述の第3接合部の配置形態による作用効果を、より効果的に発揮することができる。
【0077】
また、本発明において、一対のサイドシートと吸収本体部との接合形態は、このような態様に限定されず、例えば、上述の一対のサイドシートは、液流動制御部よりも幅方向の外方側において、液不透過性のバックフィルム又は裏面シートと接合されていてもよく、この場合も、接合された液不透過性のサイドシートとバックフィルム又は裏面シートとによって、排泄液が幅方向外方側へ滲出するのを抑制することができるため、排泄液の横漏れをより確実に防ぐことができる。
【0078】
本発明において、上述の第1接合部や第2接合部、第3接合部等の接合部の形成に用い得る接合手段は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、ホットメルト型接着剤等の接着手段、超音波溶着等の溶着手段などの任意の接合手段を採用することができる。
【0079】
そして、上述の実施形態では、液流動制御部F
Cの第1接合部44の長手方向Lにおける内方側端縁が、幅方向Wに沿って直線状に延びている。このように、第1接合部44の長手方向Lにおける内方側端縁が幅方向Wに沿って直線状に延びていると、当該第1接合部44の長手方向Lにおける内方側端縁を起点として起立する第1壁部42及び第2壁部43の起立構造が安定し易く、上述の液流動制御部F
Cの機能をより着実に発揮させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上述のとおり、液流動制御部F
Cは、腹部領域A
F及び背部領域A
Bの各々に配置されていて、吸収体21は、平面視にて、長手方向Lにおける腹部領域側端縁21E
2が第2接合部45の幅方向Wにおける内方側端縁のうち長手方向Lの最も内方側に位置する内方側端部45E
iよりも長手方向Lの外方側に位置するとともに、吸収体21の幅方向Wにおける両端縁が少なくとも腹部領域A
F及び背部領域A
Bにおいて基部41の幅方向Wにおける内方側端縁よりも幅方向Wの外方側に位置するように、吸収本体部2内に配置されているため、着用者がうつ伏せ状態で寝ているような場合(すなわち、着用者から排出される排泄液が長手方向Lの腹部側へ向かう方向に流れ易いような場合)でも、腹部領域A
Fに配置された液流動制御部F
Cによって、当該腹部領域A
Fにおける排泄液の横漏れを着実に防ぎつつ、長手方向Lにおける腹部側からの漏れも生じ難くすることができる。
【0081】
[弾性部材]
上述の実施形態において、一対のサイドシート4、4の各々は、
図1に示すように、幅方向Wの内方側端縁部近傍に、当該一対のサイドシート4、4を長手方向Lに収縮させて、幅方向Wの内方側端縁の起立を促すための5本(複数本)の弾性部材ELが長手方向Lに沿って配置されている。
本発明において、一対のサイドシートに配置される複数本の弾性部材は、展開した状態の吸収本体部(具体的には、一対のサイドシートを介して吸収本体部)に長手方向の収縮力を付与し得る材料であれば特に制限されず、例えば、天然ゴムからなる糸ゴムや平ゴム;ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性エラストマーを糸状又は帯状に成形したものなどの任意の弾性部材を用いることができる。
【0082】
本発明の吸収性物品に用い得る弾性部材の寸法形状は、サイドシートを介して展開した状態の吸収本体部を長手方向に収縮し得るものであれば特に制限されず、吸収性物品の用途やサイズなどに応じた任意の寸法形状を採用することができる。そのような寸法形状としては、例えば、弾性部材の長手方向長さが、吸収性物品の全長の1/4以上、好ましくは1/3以上であり、繊度が200dtex〜800dtexの範囲内、好ましくは300dtex〜700dtexの範囲内である。なお、弾性部材の本数も、サイドシートを介して展開した状態の吸収本体部を長手方向に収縮し得るものであれば特に制限されず、弾性部材は、一対の防漏壁部の各々に、1本や2本、3本以上等の任意の本数ずつ配置することができる。
【0083】
また、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、一対の防漏壁部(サイドシート)の各々に配置された5本(複数本)の弾性部材ELは、
図1に示すように、幅方向Wの外方側に位置する弾性部材ELの長手方向長さが、幅方向Wの内方側に位置する弾性部材ELの長手方向長さよりも長く形成されている。このように、幅方向Wの外方側に位置する弾性部材ELの長手方向長さが幅方向Wの内方側に位置する弾性部材ELの長手方向長さよりも長く形成されていると、一対の防漏壁部の幅方向Wにおける外方側部分においては、第1壁部42及び第2壁部43による起立構造を維持し易くなり、幅方向Wの外方側へ向かう排泄液に対する耐久性を更に確保することができる一方、一対の防漏壁部の幅方向Wにおける内方側部分(すなわち、一対の防漏壁部の起立起点となる部分及び頂部となる部分)においては、変形や移動の自由度が高くなり、一対の防漏壁部を着用者の身体形状(股間部の形状)に追従させながら密着させ易くすることができる。これにより、このような複数本の弾性部材が配置された尿取りパッド1は、一対の防漏壁部の防漏機能をより良好に発揮させることができる。
【0084】
また、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、一対の防漏壁部の各々は、平面視にて、複数本の弾性部材ELによって長手方向Lに収縮可能に形成された、長手方向Lに延在する収縮領域を有していて、当該収縮領域は、幅方向Wの内方側に位置する部分の長手方向長さが、幅方向Wの外方側に位置する部分の長手方向長さよりも長く形成されている。このように、一対の防漏壁部の各々の収縮領域において、幅方向Wの内方側に位置する部分の長手方向長さが幅方向Wの外方側に位置する部分の長手方向長さよりも長く形成されていると、一対の防漏壁部の各々において、頂部となる部分が捲れ上がり難くなり、当該一対の防漏壁部の防漏機能をより確実に発揮させることができる。
【0085】
さらに、上述の実施形態では、吸収体21は、
図1に示すように、腹部領域A
Fにおいて吸収体21の幅方向Wの長さが最も長い部分である幅広部21Mと、腹部領域A
F及び股間部領域A
Cの境界部分において吸収体21の幅方向Wの長さが幅広部21Mの幅方向Wの長さ(すなわち、腹部領域A
Fにおける吸収体21の幅方向Wの最大長さ)よりも小さい幅狭部21Nと、を有していて、当該幅狭部21Nは、平面視にて上述の収縮領域と重複している。このように、腹部領域A
F及び股間部領域A
Cの境界部分において、吸収体21の幅方向Wの長さが腹部領域A
Fにおける吸収体21の幅方向Wの最大長さよりも小さい幅狭部21Nを有していると、当該幅狭部21Nを有する部分の尿取りパッド1の剛性が相対的に低くなるため、尿取りパッド1を着用する際に、当該尿取りパッド1が、上述の幅狭部21Nを有する部分を起点として肌対向面側の表面が凹むように曲がり易くなる。その上、かかる尿取りパッド1は、平面視にて、幅狭部21Nが上述の収縮領域と重複しているため、当該尿取りパッド1を着用する際に、曲率の大きい腹部領域A
Fと股間部領域A
Cとの境界部分(すなわち、幅狭部21Nと厚さ方向Tに重複する部分)において、防漏壁部の第2壁部43の肌対向面側の表面が、
図7に示すように、吸収本体部2の肌対向面側の表面と略平行な面状の形態を維持したまま、上述の防漏壁部が肌対向面側に向かって起立し易くなる。これにより、かかる尿取りパッド1は、着用する際に曲率が大きくなる部分(すなわち、腹部領域A
Fと股間部領域A
Cとの境界部分)の防漏壁部と、着用者の肌面との接触面積をより大きく確保することができる(換言すれば、防漏壁部と着用者の肌面との間に、隙間を形成し難くすることができる)ため、排泄液の横漏れを更に確実に防ぐことができる。
【0086】
本発明は、上述した実施形態の尿取りパッドのほかに、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の様々な吸収性物品に適用することができる。また、本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、吸収体(21)を備えた吸収本体部(2)と、一対の防漏壁部とを具備し、一対の防漏壁部の各々は、基部(41)と、第1壁部(42)と、第2壁部(43)と、第1接合部(44)及び第2接合部(45)を含んで構成された液流動制御部(F
)とを有し、吸収体(21)は、平面視にて、長手方向における背部領域側端縁が前記第2接合部(45)の幅方向における内方側端縁のうち長手方向の最も内方側に位置する内方側端部(45E