【実施例】
【0021】
〔実施例1〕
(1)牛脂30質量部及び小麦粉30質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、50分かけて120℃まで昇温して、小麦粉ルウ(第1のルウ材料)を製造した。この小麦粉ルウに、風味原料(*1)9質量部、アミノ酸(調味料)1.5質量部、砂糖10.5質量部、食塩10.5質量部、カレー粉6質量部を添加して加熱撹拌し、さらにバナナペースト1.0質量部と牛脂1.5質量部との混合物を添加して、第2のルウ材料を調製した。各種原料を添加した後の第2のルウ材料の品温は81.9℃だった。
(2)(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、81.9℃から8分かけて93.5℃まで上昇させた(平均1.45℃/分の昇温速度)。その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、34分かけて100℃まで上昇させて熱処理を行い、第3のルウ材料を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、719℃・分であり、工程2−2における加熱量は、3306℃・分であった。
(3)前記第3のルウ材料を65℃以下まで冷却し、これを容器に充填して冷却固化することによって、カレールウ(固形ルウ)を製造した。
(*1風味原料の内訳:カラメル1質量部、全脂粉乳1質量部、及び脱脂大豆0.7質量部など)
【0022】
〔実施例2〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、80.3℃から16分かけて105℃まで上昇させ(平均1.54℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、50分かけて120℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、1520℃・分であり、工程2−2における加熱量は、5586℃・分であった。
【0023】
〔比較例1〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、81.5℃から22分かけて99.6℃まで上昇させ(平均0.82℃/分の昇温速度)、(2−2)その後の熱処理は行わなかった以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、2022℃・分であった。
【0024】
〔比較例2〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、80.1℃から36分かけて90.0℃まで上昇させ(平均0.28℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、100分かけて99.9℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、3140℃・分であり、工程2−2における加熱量は、9494℃・分であった。
【0025】
〔比較例3〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、81.2℃から15分かけて98.2℃まで上昇させ(平均1.13℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、5分かけて99.4℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、1371℃・分であり、工程2−2における加熱量は、495℃・分であった。
【0026】
〔試験例1〕
実施例1、2及び比較例1〜3のいずれかのカレールウを使用してカレーソースを作製した。
具体的には、115質量部のカレールウ、750質量部の湯を加熱釜に投入し、沸騰させてカレーソースを作製した。
作製したカレーソースのコク及び香りに関して、5名の評価者(A〜E)による官能評価を行った。実施例1のカレーソースのコク及び香りを基準(コクの評点3:カレーに適したコクがある;香りの評点3:カレーに適した香りがある)とし、以下に示す5段階で他のカレーソースを評価した。各評価者の評点及び平均点を表1に示す。
「コク」
5:カレーのコクとして極めて優れている
4:カレーのコクが強い
3:カレーに適したコクがある
2:カレーのコクとしては不十分である
1:カレーのコクがない
「香り」
5:カレーの香りとして極めて優れている
4:カレーの香りが高い
3:カレーに適した香りがある
2:カレーの香りとしては不十分である
1:カレーの香りがない
【0027】
【表1】
†1:コクと香りとのバランスが良い。
†2:実施例1よりもコクが深く、カレーパウダーの焙煎が強い。
†3:コクが弱く、香りも生っぽい。
†4:香りが弱く、コクと香りとのバランスが悪い。
†5:コクが弱く、香りも生っぽい。
【0028】
工程2−1での昇温速度が0.3〜2.4℃/分の範囲内であり、かつ工程2−2での加熱量が工程2−1での加熱量を上回る条件で製造されたカレールウを用いて作製されたカレーソースは、風味の加熱調理感が高く、コクと香りとのバランスも優れていた。他方、工程2−1の開始温度及び終了温度が実施例と同程度であっても、そこでの昇温速度が緩やかであったり、工程2−2での加熱量が不十分であったりすると、加熱調理感のあるコクや香りを生成することができなかった。
【0029】
〔実施例3〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、80℃から35分かけて91.9℃まで上昇させ(平均0.34℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、79分かけて100℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、3034℃・分であり、工程2−2における加熱量は、7570℃・分であった。
【0030】
〔実施例4〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、80.8℃から15分かけて92.9℃まで上昇させ(平均0.81℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、29分かけて100℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、1324℃・分であり、工程2−2における加熱量は、2812℃・分であった。
【0031】
〔実施例5〕
実施例1の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、80.3℃から7分かけて92.5℃まで上昇させ(平均1.74℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、18分かけて100℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例1と同じ方法でカレールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、617℃・分であり、工程2−2における加熱量は、1750℃・分であった。
【0032】
〔試験例2〕
実施例3〜5のいずれかのカレールウを使用して、試験例1と同じ方法でカレーソースを作製した。そして、作製したカレーソースのコク及び香りに関して、試験例1と同じ方法で官能評価を行った。各評価者の評点及び平均点を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例1及び2と同様に、工程2−1での昇温速度が0.3〜2.4℃/分の範囲内であり、かつ工程2−2での加熱量が工程2−1での加熱量を上回る条件で製造された実施例3〜5のカレールウを用いて作製されたカレーソースは、風味の加熱調理感が高く、コクと香りとのバランスも優れていた。
【0035】
〔実施例6〕
(1)牛脂30質量部及び小麦粉30質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、50分かけて120℃まで昇温して、小麦粉ルウ(第1のルウ材料)を製造した。この小麦粉ルウに、風味原料(*2)13質量部、調味料2.5質量部、砂糖10質量部、食塩10質量部を添加して加熱撹拌し、さらにチーズ2.0質量部と牛脂2.5重量部との混合物を添加して、第2のルウ材料を調製した。各種原料を添加した後の第2のルウ材料の品温は62.8℃だった。
(2)(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、62.8℃から11分かけて75.3℃まで上昇させた(平均1.14℃/分の昇温速度)。その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、15分かけて80℃まで上昇させて熱処理を行い、第3のルウ材料を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、772℃・分であり、工程2−2における加熱量は、1174℃・分であった。
(3)前記第3のルウ材料を65℃以下まで冷却し、これを容器に充填して冷却固化することによって、シチュールウ(固形ルウ)を製造した。
(*2風味原料の内訳:脱脂粉乳8質量部、デキストリン1質量部、及びクリーミングパウダー0.5質量部など)
【0036】
実施例6のシチュールウを使用してシチューソースを作製した。具体的には、90質量部のシチュールウ、700質量部の湯、100質量部の牛乳を加熱釜に投入し、沸騰させてシチューソースを作製した。このシチューソースを喫食したところ、乳のコクと加熱調理感のある香りとのバランスが良かった。
【0037】
〔実施例7〕
実施例6の(2)において、(2−1)前記第2のルウ材料の品温を、61.3℃から22分かけて95℃まで上昇させ(平均1.53℃/分の昇温速度)、その後、(2−2)前記第2のルウ材料の品温を、17分かけて100.3℃まで上昇させて熱処理を行った以外は、実施例6と同じ方法でシチュールウ(固形ルウ)を製造した。このとき、工程2−1における加熱量は、1749℃・分であり、工程2−2における加熱量は、1758℃・分であった。
【0038】
実施例7のシチュールウを使用して実施例6と同様にしてシチューソースを作製した。このシチューソースを喫食したところ、実施例6よりも乳のコクが強く、チーズ様であり、加熱調理感のある香りも強かった。
【0039】
以上より、澱粉質原料及び第1の油脂を含む第1のルウ材料に、水系原料と第2の油脂との混合物を添加して調製した第2のルウ材料の品温を、0.3〜2.4℃/分の速度で、70〜130℃の間の目標温度まで上昇させ(工程2−1)、それに続いて前記第2のルウ材料を、70〜130℃の範囲の品温で熱処理し(工程2−2)、その際に、前記第2のルウ材料の品温と熱処理時間との積分値によって定義される加熱量に関して、工程2−2の加熱量が、工程2−1の加熱量を上回るようにすることによって、製造されるルウのコク及び香りの加熱調理感を向上できることがわかった。したがって、加熱調理感の向上した風味を有するルウを製造することが可能となる。