特許第6385679号(P6385679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385679作問学習支援システムおよびそのカード生成方法ならびに作問学習支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385679
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】作問学習支援システムおよびそのカード生成方法ならびに作問学習支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   G09B7/02
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-11599(P2014-11599)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-138253(P2015-138253A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年12月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 宗
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−139038(JP,A)
【文献】 米国特許第06142784(US,A)
【文献】 新竹 由基 Yuki SHINTAKE,協調的学習を指向した作問学習のゲーム化 A game-based problem-posing for collaborative learning,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.110 No.453 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2011年 2月25日,第110巻,PP.235-240
【文献】 山元 翔 Sho YAMAMOTO,教室授業との融合を目的とした単文統合型作問学習支援システム モンサクンTouchの開発と実践利用 Development of MONSAKUN Touch and Practical Use in Class: Realization of Lesson of Posing of Arithmetical Word Problems,電子情報通信学会論文誌 (J96−D) 第10号 THE IEICE TRANSACTIONS ON INFORMATION AND SYSTEMS (JAPANESE EDITION),日本,一般社団法人電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,2013年10月 1日,第J96-D巻,PP.2440-2451
【文献】 神戸 健寛 Takehiro Kanbe,乗算を対象とした単文統合型作問学習支援システムの設計開発 Design and Development of Interactive Environment for Learning by Problem-Posing for Multiplication Word Problems,第68回 先進的学習科学と工学研究会資料 (SIG−ALST−B301),日本,一般社団法人人工知能学会 JSAI(The Japanese Society for Artificial Intelligence),2013年 6月17日,PP.45-50
【文献】 山元 翔 Sho YAMAMOTO,問題変更演習のモデル化と支援システムの設計・開発 Design of an Interactive Environment for Learning by Problem-Changing,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.110 No.453 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2011年 2月25日,第110巻,PP.223-228
【文献】 倉山 めぐみ Megumi KURAYAMA,エージェントアセスメントによる作問学習支援の実現と実践利用 An Interactive Environment for Learning by Problem-Posing with Agent-Assessment and its Practical Use,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.109 No.163 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2009年 7月24日,第109巻,PP.25-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 − 9/56,17/00−19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムであって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトの第1の量の存在を表す存在文のカード、前記第1のオブジェクトの第2の量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトの第3の量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2の量間の増加関係を表す関係文のカード、前記第1および第2の量間の減少関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量の合併関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量間の優量関係を表す関係文のカード、および、前記第1および第3の量間の劣量関係を表す関係文のカードを含んでおり、
基本単文カード集合を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成するカード生成部とを備えており、
前記カード生成部が、前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成するものである、
ことを特徴とする作問学習支援システム。
【請求項2】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムであって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2のオブジェクトの量間の倍率を表す関係文のカード、および、前記第1のオブジェクトの単位量あたりの前記第2のオブジェクトの量を表す関係文のカードを含んでおり、
基本単文カード集合を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成するカード生成部とを備えており、
前記カード生成部が、前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成するものである、
ことを特徴とする作問学習支援システム。
【請求項3】
前記カード生成部が、前記第1のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、前記第2のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、および、前記基本単文カード集合に属する関係文の各カード中の関係の量を未知にした関係文のカードを生成し、該生成したカードを前記基本単文カード集合に追加するものである、請求項1または請求項2に記載の作問学習支援システム。
【請求項4】
前記カード生成部が、前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成するものである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の作問学習支援システム。
【請求項5】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムにおけるカード生成方法であって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトの第1の量の存在を表す存在文のカード、前記第1のオブジェクトの第2の量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトの第3の量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2の量間の増加関係を表す関係文のカード、前記第1および第2の量間の減少関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量の合併関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量間の優量関係を表す関係文のカード、および、前記第1および第3の量間の劣量関係を表す関係文のカードを含んでおり、
カード生成部が、基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、
前記カード生成部が、前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成し、
前記カード生成部が、前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成する、
ことを特徴とするカード生成方法。
【請求項6】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムにおけるカード生成方法であって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2のオブジェクトの量間の倍率を表す関係文のカード、および、前記第1のオブジェクトの単位量あたりの前記第2のオブジェクトの量を表す関係文のカードを含んでおり、
カード生成部が、基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、
前記カード生成部が、前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成し、
前記カード生成部が、前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成する、
ことを特徴とするカード生成方法。
【請求項7】
前記カード生成部が、前記第1のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、前記第2のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、および、前記基本単文カード集合に属する関係文の各カード中の関係の量を未知にした関係文のカードを生成し、該生成したカードを前記基本単文カード集合に追加する、請求項または請求項に記載のカード生成方法。
【請求項8】
前記カード生成部が、前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成する、請求項ないし請求項のいずれかに記載のカード生成方法。
【請求項9】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムとしてコンピュータを機能させる作問学習支援プログラムであって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトの第1の量の存在を表す存在文のカード、前記第1のオブジェクトの第2の量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトの第3の量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2の量間の増加関係を表す関係文のカード、前記第1および第2の量間の減少関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量の合併関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量間の優量関係を表す関係文のカード、および、前記第1および第3の量間の劣量関係を表す関係文のカードを含んでおり、
基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出す手段、および、
前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成する手段としてコンピュータを機能させ、
前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成する手段としてコンピュータを機能させる、
ことを特徴とする作問学習支援プログラム。
【請求項10】
基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムとしてコンピュータを機能させる作問学習支援プログラムであって、
基本単文カード集合が、第1のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2のオブジェクトの量間の倍率を表す関係文のカード、および、前記第1のオブジェクトの単位量あたりの前記第2のオブジェクトの量を表す関係文のカードを含んでおり、
基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出す手段、および、
前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成する手段としてコンピュータを機能させ、
前記作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成する手段としてコンピュータを機能させる、
ことを特徴とする作問学習支援プログラム。
【請求項11】
前記第1のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、前記第2のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、および、前記基本単文カード集合に属する関係文の各カード中の関係の量を未知にした関係文のカードを生成し、該生成したカードを前記基本単文カード集合に追加する手段としてコンピュータを機能させる、請求項または請求項10に記載の作問学習支援プログラム。
【請求項12】
前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成する手段としてコンピュータを機能させる、請求項ないし請求項11のいずれかに記載の作問学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作問学習支援システムに関し、特に、作問学習支援システムで使用されるカードを自動生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
算数の学習において、学習者に文章題を解かせる以外に、文章題を作問させることは、算数の知識の活用・定着に有用であると言われている。しかし、問題を解く問題解決演習と違って、問題を作成する作問学習では学習者が作成し得る正しい問題が多数存在する。したがって、作問学習では学習者の解答に対して個別に対応する必要がある。
【0003】
かかる問題に関して、本願発明者らは、作問学習の本質を整理して、作問学習を支援するシステム(作問学習支援システム)を開発し、学校教育現場で当該システムを利用した学習効果を検証している(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
図14は、作問学習支援システムの画面例を表す。作問学習支援システムでは、「りんごを3こもらいました」といった単文のカードが複数枚(図14の例では6枚)と、「『5−3』で計算できる『ふえるといくつ』の問題を作ろう」といった作問課題とが画面に表示される。学習者は、与えられた作問課題に従って、表示された複数枚のカードの中から3枚を選択して物語が成立するように3つの枠内に順に並べる。作問学習支援システムは、学習者が選択して並べたカードの並び順の正誤を判定して、特に不正解の場合にはヒントを提示するなどして学習者の作問学習を支援する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】倉山めぐみ、平嶋宗、「逆思考型を対象とした算数文章題の作問学習支援システムの設計開発と実践的利用」、人工知能学会誌、27巻、2号D、2012、pp.82-91
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作問学習支援システムで学習者に数多くの作問演習を行わせるには、上述のような単文のカードを多数用意する必要がある。しかし、人手でカードを作成したのでは大変な労力がかかってしまい、また、十分な数のカードを用意できないこともある。一方、無秩序に自動作成したカードでは正しい算数物語が作成できないおそれがある。したがって、作問学習支援システムで使用される単文のカードの自動生成は何らかの規則に従って行われる必要がある。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、作問学習支援システムにおいて使用される単文のカードを自動生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従った作問学習支援システムは、基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムであって、基本単文カード集合が、第1のオブジェクトの第1の量の存在を表す存在文のカード、前記第1のオブジェクトの第2の量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトの第3の量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2の量間の増加関係を表す関係文のカード、前記第1および第2の量間の減少関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量の合併関係を表す関係文のカード、前記第1および第3の量間の優量関係を表す関係文のカード、および、前記第1および第3の量間の劣量関係を表す関係文のカードを含んでおり、基本単文カード集合を記憶する記憶装置と、前記記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成するカード生成部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の別の一局面に従った作問学習支援システムは、基本単文カード集合から選択された、ある一つの量の存在を表す存在文のカードおよび二つの量間の演算関係としての一つの量を表す関係文のカードを画面に数枚表示し、学習者に作問課題を与えて該表示したカードの中から3枚を選択させて順に並べさせ、該カードの並び順の正誤を判定して該学習者の作問学習を支援する作問学習支援システムであって、基本単文カード集合が、第1のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、第2のオブジェクトのある一つの量の存在を表す存在文のカード、前記第1および第2のオブジェクトの量間の倍率を表す関係文のカード、および、前記第1のオブジェクトの単位量あたりの前記第2のオブジェクトの量を表す関係文のカードを含んでおり、基本単文カード集合を記憶する記憶装置と、前記記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成するカード生成部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、上記の各作問学習支援システムにおけるカード生成方法は、カード生成部が、基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出し、前記カード生成部が、前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成することを特徴とする。
【0011】
また、上記の各作問学習支援システムとしてコンピュータを機能させる作問学習支援プログラムは、基本単文カード集合を記憶する記憶装置から任意の基本単文カード集合を読み出す手段、および、前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
上記の作問学習支援システムおよびそのカード生成方法ならびに作問学習支援プログラムによると、既存の基本単文カード集合から新たな基本単文カード集合を派生的に自動生成することができる。
【0013】
さらに、上記の各作問学習支援システムにおいて、前記カード生成部が、前記第1のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、前記第2のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、および、前記基本単文カード集合に属する関係文の各カード中の関係の量を未知にした関係文のカードを生成し、該生成したカードを前記基本単文カード集合に追加するものであってもよい。
【0014】
また、上記の各カード生成方法において、前記カード生成部が、前記記憶装置から読み出した基本単文カード集合に属する各カードの文中の前記第1および第2のオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、および/または、当該読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の言葉を別の言葉に置換することによって、新たな基本単文カード集合を生成してもよい。
【0015】
また、上記の各作問学習支援プログラムにおいて、前記第1のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、前記第2のオブジェクトの量を未知量にした存在文のカード、および、前記基本単文カード集合に属する関係文の各カード中の関係の量を未知にした関係文のカードを生成し、該生成したカードを前記基本単文カード集合に追加する手段としてコンピュータを機能させてもよい。
【0016】
上記の作問学習支援システムおよびそのカード生成方法ならびに作問学習支援プログラムによると、既存の基本単文カード集合に未知量の単文のカードを追加して基本単文カード集合を自動的に拡張することができる。
【0017】
さらに、上記の各作問学習支援システムにおいて、前記カード生成部が、前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成するものであってもよい。
【0018】
同様に、上記の各カード生成方法において、前記カード生成部が、前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成してもよい。
【0019】
同様に、上記の各作問学習支援プログラムにおいて、前記作問課題の正解のカードとともに前記画面に表示すべきダミーカードとして、前記基本単文カード集合に属するカードに基づいて、前記作問課題の正解を構成しない存在文および/または関係文のカードを生成する手段としてコンピュータを機能させてもよい。
【0020】
上記の作問学習支援システムおよびそのカード生成方法ならびに作問学習支援プログラムによると、正解と紛らわしいダミーカードが自動的に生成され、正解のカードともに当該ダミーカードを学習者に提示することで、作問課題の難易度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、本発明によると、作問学習支援システムにおいて使用される単文のカードを自動生成することができる。これにより、作問学習支援システムにおいて作問課題のバリエーションを容易に広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る作問学習支援システムの外観図
図2】作問学習支援システムの主要部分の機能ブロック図
図3】加減算用の基本単文カード集合のデータ構造例を表す図
図4】加減算用の一般化した基本単文カード集合を表す図
図5】加減算用の基本単文カード集合およびそれから作成可能な5種類の物語を表す図
図6】加減算用の基本単文カード集合に追加される未知量の単文のカードのデータ構造例を表す図
図7】未知量の単文のカードが追加された加減算用の一般化した基本単文カード集合を表す図
図8】乗除算用の基本単文カード集合のデータ構造例を表す図
図9】乗除算用の一般化した基本単文カード集合を表す図
図10】乗除算用の基本単文カード集合およびそれから作成可能な2種類の物語を表す図
図11】乗除算用の基本単文カード集合に追加される未知量の単文のカードのデータ構造例を表す図
図12】未知量の単文のカードが追加された乗除算用の一般化した基本単文カード集合を表す図
図13】新たな基本単文カード集合を生成する手順を表すフローチャート
図14】作問学習支援システムの画面例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る作問学習支援システム10の外観を表す。図2は、作問学習支援システム10の主要部分の機能ブロック図である。本実施形態に係る作問学習支援システム10は、単文が表記されたカード(以下、単に「カード」と称する)を用いて学習者に算数の文章題を作成させる単文統合型の作問学習を支援するシステムである。作問学習支援システム10は、表示装置12と、表示装置12の画面上へのオブジェクトの表示を制御する制御装置14と、カードを生成するカード生成部16と、カードを記憶する記憶装置18とを備えており、例えば、タブレットPC、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Data Assistance)などで実現することができる。表示装置12は、具体的には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイである。表示装置12はタッチパネル機能を有しており、ユーザーは、指またはスタイラスで表示装置12の画面に触れることで、画面上に表示されたオブジェクトを操作することができる。制御装置14およびカード生成部16は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのコンピュータ装置である。記憶装置18は、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどのデバイスである。
【0025】
一般に、算数の文章題は、演算数、被演算数、演算結果の3つの数(量)で構成される。これら量のそれぞれを表す文をここでは単文と呼ぶ。カードは、作問学習支援システム10において表示装置12の画面上に表示されるオブジェクトである。学習者は、表示装置12の画面上に表示されたカードを指やスタイラスで掴んで所望の位置へと移動させることができる。
【0026】
単文は、存在文と関係文とに分類される。存在文とは、ある一つの量の存在を表す文のことである。関係文とは、二つの量間の演算関係としての一つの量を表す文のことである。単文統合型作問学習では、学習者に、作問課題を与え、その課題に合った演算数、被演算数、演算結果の3つの数(量)をそれぞれ表すカードを選択させ順に並べさせることで算数の文章題を作成させる。作問学習支援システム10は、学習者が選択して並べたカードの並び順の正誤を判定して、特に不正解の場合にはヒントを提示するなどして学習者の作問学習を支援する。
【0027】
単文統合型作問学習では、二つの存在文のカードと一つの関係文のカードとを組み合わせることで2項演算を表す算数物語(単に「物語」)ができる。一方、ある物語を構成する3つの量のうち一つだけが未知であり、他の二つの量からその未知量を求めることができるのが「問題」である。例えば、図14に示した画面例は、問題を作成させる作問学習の画面例である。このように、作問学習支援システム10を用いて、物語を作成する作問学習、および問題を作成する作問学習を支援することができる。
【0028】
≪加減算の作問学習≫
加減算の2項演算算数物語は、{増加、減少、合併、比較(多い)、比較(少ない)}の5種類に分けられる。これらは、優量存在文、劣量存在文、別量存在文の3つの存在文と、増加関係文、減少関係文、合併関係文、優量比較関係文、劣量比較関係文の5つの関係文とによって生成することができる。
【0029】
優量存在文は、例えば、「りんごが10個あります」といった文であり、一般的には「AがXある」と表される。劣量存在文は、例えば、「りんごが3個あります」といった文であり、一般的には「AがYある」と表される。別量存在文は、例えば、「みかんが4個あります」といった文であり、一般的には「BがZある」と表される。なお、A,Bは、りんごやみかんといったオブジェクトを表す。X,Y,Zは、各オブジェクトの数値や量を表す。
【0030】
増加関係文は、例えば、「りんごが7個増えました」といった文であり、一般的には「AがX−Y増える」と表される。減少関係文は、例えば、「りんごが7個減りました」といった文であり、一般的には「AがX−Y減る」と表される。合併関係文は、例えば、「りんごとみかんが合わせて14個あります」といった文であり、一般的には「AとBが合わせてX+Zある」と表される。優量比較関係文は、例えば、「りんごはみかんより6個多い」といった文であり、一般的には「AはBよりX−Z大きい(多い)」と表される。劣量比較関係文は、例えば、「みかんはりんごよりも6個少ない」といった文であり、一般的には「BはAよりX−Z小さい(少ない)」と表される。
【0031】
作問学習支援システム10において、上記の3つの存在文のカードおよび5つの関係文のカードを含む集合が基本単文カード集合として記憶装置18に記憶されている。図3は、加減算用の基本単文カード集合のデータ構造例を表す。物語を作成する作問課題の場合、制御装置14は、記憶装置18に記憶された基本単文カード集合から正解の3枚のカードを含む複数枚のカードを選択的に表示装置12に表示する。なお、いずれのカードを選択するかは、課題作成者(教師)によってあらかじめ決定されている。
【0032】
図3に示した加減算用の基本単文カード集合に属する8枚のカードを用いて5種類の加減算の2項演算算数物語を生成することができる。図4は、加減算用の一般化した基本単文カード集合を表す。
【0033】
上述したように、物語は二つの存在文と一つの関係文とで構成される。図5(a)〜(e)は、加減算用の基本単文カード集合およびそれから作成可能な{増加、減少、合併、比較(多い)、比較(少ない)}の5種類の物語(以下、「単位物語集合」と称する)を表す。図5(a)〜(e)中に示した演算子「+」および「−」は、二つのカード間の演算関係を表す。
【0034】
カード生成部16は、記憶装置18から任意の基本単文カード集合を読み出し、オブジェクトAの量を未知量にした優劣量未知の存在文のカード、オブジェクトBの量を未知量にした別量未知の存在文のカード、および、基本単文カード集合に属する増加関係文、減少関係文、合併関係文、優量比較関係文、および劣量比較関係文の各カード中の関係の量を未知にした増加量未知、減少量未知、合併量未知、優量比較未知、および劣量比較未知の各関係文のカードを生成して当該読み出した基本単文カード集合に追加して基本単文カード集合を拡張することができる。図6は、加減算用の基本単文カード集合に追加される未知量の単文のカードのデータ構造例を表す。なお、未知量は「?」で表している。このような7枚の未知量の単文のカードをさらに使用することで、図14に示したような問題を作成する作問課題を生成することができる。問題を作成する作問課題の場合、制御装置14は、記憶装置18に記憶された基本単文カード集合から正解の3枚のカードを含む複数枚のカードを選択的に表示装置12に表示する。なお、いずれのカードを選択するかは、課題作成者(教師)によってあらかじめ決定されている。
【0035】
例えば、図5(a)に示した増加物語中の「AがYある」という存在文のカードを「Aが?ある」という未知量の存在文のカードに置換することで、図14に示したような「ふえるといくつ」で引き算で解ける問題を生成することができる。また、図5(a)中の別の「AがXある」という存在文のカードを「Aが?ある」という未知量の存在文のカードに置換することで別の問題を生成することができ、また、「AがX−Y増える」という関係文のカードを「Aが?増える」という未知量の関係文のカードに置換することでさらに別の問題を生成することができる。このように、一つの物語を変形して3種類の問題を生成することができる。加減算用の基本単文カード集合から5種類の物語が生成できることから、図6に示したような7枚の未知量の単文のカードを追加した計15枚のカードからなる基本単文カード集合から15種類の問題(以下、「単位問題集合」と称する)を生成することができる。図7は、未知量の単文のカードが追加された加減算用の一般化した基本単文カード集合を表す。
【0036】
カード生成部16は、記憶装置18から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に基づいて新たな基本単文カード集合を生成することができる。上述したように、基本単文カード集合に含まれるカードにはA,Bの二つのオブジェクトが登場する。カード生成部16は、A,Bの二つのオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、すなわち、数量関係を表す上で等価な単語に置換することで新たな基本単文カード集合を生成することができる。例えば、カード生成部16は、上記例の基本単文カード集合に含まれる各カードの文中の「りんご」を「なし」に変更する、さらに、「みかん」を「いちご」に変更することで、新たな単位物語集合および新たな単位問題集合を生成し得る新たな基本単文カード集合を生成することができる。
【0037】
カード生成部16は、記憶装置18から読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の述語などの言葉を数量関係を表す上で等価な別の言葉に置換することで新たな基本単文カード集合を生成することもできる。例えば、カード生成部16は、上記例の基本単文カード集合に含まれる増加関係文のカードの文中の「増えました」を「もらいました」に変更したり、減少関係文のカードの文中の「減りました」を「食べました」に変更したりすることで、新たな単位物語集合および新たな単位問題集合を生成し得る新たな基本単文カード集合を生成することができる。
【0038】
なお、カード生成部16は、オブジェクトや述語の置換の際に助詞や数詞や副詞も数量関係を表す上で等価な別の言葉に適宜置換してもよい。例えば、「りんご」を「赤鉛筆」に、「みかん」を「青鉛筆」に、それぞれ置換する場合、数詞も「個」から「本」に置換することができる。
【0039】
また、代替となるオブジェクトや言葉は課題作成者からカード生成部16に与えるようにしてもよいし、カード生成部16が辞書を参照して代替となる適当なオブジェクトや言葉を選択するようにしてもよい。
【0040】
≪乗除算の作問学習≫
乗除算の2項演算算数物語は、{一あたり、倍}の2種類に分けられる。乗除算を表す「基準量×割合=比較量」のモデルに基づくと、一あたり物語は、一つの関係文(基準量を表す一あたり関係文)と、二つの存在文(割合および比較量を表す存在文)とによって生成することができる。一あたり関係文は、例えば、「皿1枚にりんごが4個あります」といった文であり、一般的には「Aについて一あたりBがαある」と表される。割合を表す存在文は、例えば、「皿が2枚あります」といった文であり、一般的には「AがXある」と表される。比較量を表す存在文は、例えば、「りんごが8個あります」といった文であり、一般的には「Bがβある」と表される。
【0041】
一あたり物語は、さらに、{乗算、包含除、等分除}の3種類に細分化することができる。これらは、上記の一あたり関係文と、割合および比較量を表す二つの存在文の出現順序によって決定される。したがって、一あたり物語の作問において単文のカードを並べさせる際に、「一つあたり」、「いくつ分」、「全部で」といったような、カードの種類を指定することがある。
【0042】
一方、倍物語は、一つの関係文(割合を表す倍関係文)と、二つの存在文(基準量および比較量を表す存在文)とによって生成することができる。倍関係文は、例えば、「りんごが皿の枚数の4倍あります」といった文であり、一般的には「BがAのα倍ある」と表される。基準量を表す存在文は、例えば、「皿が2枚あります」といった文であり、一般的には「AがXある」と表される。比較量を表す存在文は、例えば、「りんごが8個あります」といった文であり、一般的には「Bがβある」と表される。なお、A,Bは、皿やりんごといったオブジェクトを表す。α,βは、各オブジェクトの数値や量を表す。
【0043】
以上のことから、乗除算の2項演算算数物語は、二つの存在文と二つの関係文によってすべて生成することができる。
【0044】
作問学習支援システム10において、上記の二つの存在文のカードおよび二つの関係文のカードを含む集合が基本単文カード集合として記憶装置18に記憶されている。図8は、乗除算用の基本単文カード集合のデータ構造例を表す。物語を作成する作問課題の場合、制御装置14は、記憶装置18に記憶された基本単文カード集合から正解の3枚のカードを含む複数枚のカードを選択的に表示装置12に表示する。なお、いずれのカードを選択するかは、課題作成者(教師)によってあらかじめ決定されている。
【0045】
図8に示した乗除算用の基本単文カード集合に属する4枚のカードを用いて4種類(ただし、一あたり物語を3種類に細分化するものとする)の乗除算の2項演算算数物語を生成することができる。図9は、乗除算用の一般化した基本単文カード集合を表す。
【0046】
上述したように、物語は二つの存在文と一つの関係文とで構成される。図10(a)(b)は、乗除算用の基本単文カード集合およびそれから作成可能な{一あたり、倍}の4種類の物語(以下、「単位物語集合」と称する)を表す。図10(a)(b)中に示した演算子「×」および「÷」は、二つのカード間の演算関係を表す。上述したように、図10(a)に示した一あたり物語は3種類に細分化することができる。
【0047】
カード生成部16は、記憶装置18から任意の基本単文カード集合を読み出し、オブジェクトAの量を未知量にした割合未知または基準量未知の存在文のカード、オブジェクトBの量を未知量にした比較量未知の存在文のカード、および、基本単文カード集合に属する一つあたり関係文および倍関係文の各カード中の関係の量を未知にした一あたり未知および未知倍の各関係文のカードを生成して当該読み出した基本単文カード集合に追加して基本単文カード集合を拡張することができる。図11は、乗除算の基本単文カード集合に追加される未知量の単文のカードのデータ構造例を表す。なお、未知量は「?」で表している。問題を作成する作問課題の場合、制御装置14は、記憶装置18に記憶された基本単文カード集合から正解の3枚のカードを含む複数枚のカードを選択的に表示装置12に表示する。なお、いずれのカードを選択するかは、課題作成者(教師)によってあらかじめ決定されている。
【0048】
例えば、図10(a)に示した一あたり物語中の「Aについて一あたりBがαある」という関係文のカードを「Aについて一あたりBが?ある」という未知量の関係文のカードに置換したり、「AがXある」という存在文のカードを「Aが?ある」という未知量の存在文のカードに置換したり、「Bがβある」という存在文のカードを「Bが?ある」という未知量の存在文のカードに置換したりすることで、さまざまな別の問題を生成することができる。このように、一つの物語を変形して3種類の問題を生成することができる。乗除算用の基本単文カード集合から4種類の物語が生成できることから、図11に示したような4枚の未知量の単文のカードを追加した計8枚のカードからなる基本単文カード集合から12種類の問題(以下、「単位問題集合」と称する)を生成することができる。図12は、未知量の単文のカードが追加された乗除算用の一般化した基本単文カード集合を表す。
【0049】
カード生成部16は、記憶装置18から任意の基本単文カード集合を読み出し、当該読み出した基本単文カード集合に基づいて新たな基本単文カード集合を生成することができる。上述したように、基本単文カード集合に含まれるカードにはA,Bの二つのオブジェクトが登場する。カード生成部16は、A,Bの二つのオブジェクトの少なくとも一方を別のオブジェクトに置換する、すなわち、数量関係を表す上で等価な単語に置換することで新たな基本単文カード集合を生成することができる。例えば、カード生成部16は、上記例の基本単文カード集合に含まれる各カードの文中の「皿」を「箱」に変更する、さらに、「りんご」を「みかん」に変更することで、新たな単位物語集合および新たな単位問題集合を生成し得る新たな基本単文カード集合を生成することができる。
【0050】
カード生成部16は、記憶装置18から読み出した基本単文カード集合に属する任意のカードの文中の修飾語などの言葉を数量関係を表す上で等価な別の言葉に置換することで新たな基本単文カード集合を生成することもできる。例えば、カード生成部16は、上記例の基本単文カード集合に含まれる一あたり関係文のカードの文中の「あります」を「のっています」に変更したり、「1枚に」を「1個に」に変更したり、倍関係文のカードの文中の「の枚数の」を「の個数の」に変更したりすることで、新たな単位物語集合および新たな単位問題集合を生成し得る新たな基本単文カード集合を生成することができる。
【0051】
なお、カード生成部16は、オブジェクトや修飾語の置換の際に助詞や数詞も数量関係を表す上で等価な別の言葉に適宜置換してもよい。また、代替となるオブジェクトや言葉は課題作成者からカード生成部16に与えてもよいし、カード生成部16が辞書を参照して代替となる適当なオブジェクトや言葉を選択するようにしてもよい。
【0052】
≪ダミーカード≫
作問課題の難易度を高めるために、正解のカードとともに正解と紛らわしいカード(ダミーカード)を学習者に提示することが有効である。こうすることで、学習者は、与えられた作問課題をよく理解した上でダミーカードが混ざった複数のカードの中から正しい3枚のカードを選択しなければならなくなり、学習者の算数文章題に対する理解をより深める訓練ができると考えられる。
【0053】
カード生成部16は、基本単文カード集合に属するカードに基づいて、作問課題の正解を構成しないダミーカードを生成することができる。具体的には、ダミーカードの生成方法として次の4通りがある。
【0054】
(1)図4図7図9図12に示した各基本単文カード集合において、正解の3枚のカード以外のカードはダミーカードとして利用することができる。
【0055】
(2)正解のカードの文中の量を別の量に置換したカードはダミーカードとして利用することができる。例えば、「AがXある」という単文のカードが正解に含まれる場合、XをX’(ただし、X’≠X)に置き換えた「AがX’ある」という単文のカードはダミーカードとして利用することができる。
【0056】
(3)正解のカードの文中の言葉を別の言葉に置換したカードはダミーカードとして利用することができる。例えば、「AがXある」という単文のカードが正解に含まれる場合、AをA’(ただし、A’≠A)に置き換えた「A’がXある」という単文のカードはダミーカードとして利用することができる。
【0057】
(4)正解の関係文のカード(合併関係文のカードを除く)に登場する二つのオブジェクトを入れ替えたカードはダミーカードとして利用することができる。例えば、「AはBより?大きい」といった単文のカードが正解に含まれる場合、AとBを入れ替えた「Bは
Aより?大きい」という単文のカードはダミーカードとして利用することができる。
【0058】
≪ワイルドカード≫
カード生成部16は、作問課題の正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚に置き換わるワイルドカードを生成することができる。ワイルドカードはどのような意味にも使えるカードであり、例えば、「ここのカードが足りない」といった単文が表記されたカードである。
【0059】
例えば、表示装置12の画面上に表示する単文のカードのうち、正解を構成する3枚のカードのいずれか1枚をワイルドカードに入れ替える。学習者は、与えられた課題に対して物語または問題を作成しようとするが、正解のカードが1枚足りないため、ワイルドカードを選択する必要がある。このように、ワイルドカードを用いると、学習者に、問題が作れないことを判断させることができる。これにより、作問学習をより難易の高いものにすることができる。
【0060】
なお、他の2枚の正解のカードから作成可能な物語または問題は複数存在するが、基本単文カード集合から任意のカードを選択して問題が作成されるため、作問学習支援システム10は、そのような2枚の正解のカードから作成可能な物語または問題についてはあらかじめ数え上げることができる。したがって、作問学習支援システム10は、ワイルドカードと他の2枚の正解のカードとの組み合わせが、与えた作問課題に対する正解か否かを判定することができる。
【0061】
≪基本単文カード集合の生成≫
図13は、新たな基本単文カード集合を生成する手順を表すフローチャートである。以下、図13を参照しながら作問学習支援システム10における基本単文カード集合の生成手順について説明する。
【0062】
まず、カード生成部16は、記憶装置18から任意の基本単文カード集合を読み出す(S1)。読み出す基本単文カードは、加減算用および乗除算用のいずれでもよい。そして、読み出した基本単文カード集合に未知量の存在文または関係文のカードが含まれていなければ(S2でYES)、カード生成部16は、上述した方法で未知量の単文のカードを生成して基本単文カード集合に追加する(S3)。
【0063】
次に、カード生成部16は、未知量の存在文および関係文を含む基本単文カード集合において、各カードに登場するオブジェクトや言葉を置換するかどうかを判定する(S4)。そして、オブジェクトや言葉を置換すべきと判定した場合には(S4でYES)、カード生成部16は、上述した方法で基本単文カード集合中の各カードのオブジェクトや言葉を置換する(S5)。例えば、ユーザーから置換候補のオブジェクトが示された場合になどには、カード生成部16は、オブジェクトの置換が必要であると判定する。
【0064】
次に、カード生成部16は、ダミーカードを生成するかどうかを判定する(S6)。そして、ダミーカードの生成が必要と判定した場合には(S6でYES)、カード生成部16は、上述した方法でダミーカードを生成する(S7)。その後、カード生成部16は、ステップS1からS7で新たに生成した基本単文カード集合を記憶装置18に書き込む(S8)。
【0065】
なお、ステップS6において、カード生成部16は、ワイルドカードを生成するかどうかを判定し、ワイルドカードの生成が必要と判定した場合には、ステップS7でワイルドカードを生成してもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態によると、既存の基本単文カード集合から新たな基本単文カード集合を派生的に自動生成することができる。これにより、作問学習支援システム10において作問課題のバリエーションを容易に広げることができる。
【0067】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、本発明に係る作問学習支援システムは、表示装置、コンピュータ装置、およびマウスやキーボードなどの入力装置から構成される従来型のコンピュータシステムで実現することもできる。また、PCなどの汎用コンピュータに作問学習支援プログラムを実行させて当該汎用コンピュータを作問学習支援システムとして機能させることもできる。また、本発明に係る作問学習支援システムは、作問学習支援方法を実施するネットワーク上のサーバーから汎用コンピュータが作問学習支援のサービス提供を受けるといったSaaS(Software as a Service)などのいわゆるクラウドシステムとして実現することもできる。
【0068】
また、便宜上、加減算用の基本単文カード集合の生成と乗除算用の基本単文カード集合の生成とを分けて説明したが、作問学習支援システム10においてこれらが混在してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 作問学習支援システム
12 表示装置
14 制御装置
16 カード生成部
18 記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14