(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記Cu系シード膜を前記ビアに流し込む際の基板の加熱温度は、200〜400℃であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のCu配線の形成方法。
前記Cu系膜は、基板を65〜350℃に加熱しつつイオン化PVDにより形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のCu配線の形成方法。
前記Cu系シード膜を形成した後の基板を加熱する工程と、前記Cu系膜を形成する工程とを同一の装置で行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のCu配線の形成方法。
前記Cu系シード膜を形成する工程と、前記Cu系シード膜を形成した後の基板を加熱する工程と、前記Cu系膜を形成する工程とを同一の装置で行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のCu配線の形成方法。
所定パターンのトレンチが形成され、かつ前記トレンチの底部と下層配線との間を接続するビアを有する層間絶縁膜が形成された基板に対し、前記トレンチおよびビアにCuまたはCu合金を埋め込んでCu配線を形成して半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記層間絶縁膜の表面にバリア膜を形成する工程と、
次いで、前記バリア膜表面にCuまたはCu合金が濡れる金属材料からなる被濡れ層を形成する工程と、
次いで、前記被濡れ層の表面にPVDにより前記ビアを埋め込むだけの量に対応する膜厚のCuまたはCu合金からなるCu系シード膜を形成する工程と、
次いで、前記Cu系シード膜を形成した後の基板を加熱して、前記Cu系シード膜を前記ビア内に流し込んで前記ビアを埋めつつ、前記被濡れ層の前記ビア以外の表面部分を露出した状態にする工程と、
次いで、前記ビアを埋めた後の基板表面にCuまたはCu合金からなるCu系膜を、前記被濡れ層上で流動可能な条件のPVDにより形成し、前記Cu系膜を前記トレンチ内に埋め込む工程と、
次いで、全面を研磨して前記トレンチ以外の表面の前記Cu系膜、前記被濡れ層、および前記バリア膜を除去し、Cu配線を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記Cu系シード膜を前記ビアに流し込む際の基板の加熱温度は、200〜400℃であることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記Cu系膜は、基板を65〜350℃に加熱しつつイオン化PVDにより形成されることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記Cu系シード膜を形成した後の基板を加熱する工程と、前記Cu系膜を形成する工程とを同一の装置で行うことを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記Cu系シード膜を形成する工程と、前記Cu系シード膜を形成した後の基板を加熱する工程と、前記Cu系膜を形成する工程とを同一の装置で行うことを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記トレンチに前記Cu系膜を埋め込んだ後、全面を研磨する前に、前記Cu系膜の上にCuまたはCu合金からなる積み増し層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項9から請求項16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
コンピュータ上で動作し、Cu配線形成システムを制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項8のいずれかのCu配線の形成方法が行われるように、コンピュータに前記Cu配線形成システムを制御させることを特徴とする記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0024】
<Cu配線の製造方法の一実施形態>
最初に、本発明のCu配線の製造方法の一実施形態について
図1のフローチャートおよび
図2の工程断面図を参照して説明する。本実施形態ではトレンチおよびビアに一括してCuまたはCu合金を埋め込んでCu配線を形成する。
【0025】
まず、下層配線211を含む下部構造201(詳細は省略)の上にSiO
2膜、低誘電率(Low−k)膜(SiCO、SiCOH等)等からなる層間絶縁膜202が形成され、層間絶縁膜202にトレンチ203およびビア204が所定パターンで形成されたウエハWを準備する(ステップ1、
図2(a))。ビア204はトレンチ203の底部から下層配線211にかけて形成されている。このようなウエハWは、DegasプロセスやPre−Cleanプロセスによって、絶縁膜表面の水分やエッチング/アッシング時の残渣を除去することが好ましい。
【0026】
次に、トレンチ203およびビア204の表面を含む全面にCuの拡散を抑制するバリア膜205を成膜する(ステップ2、
図2(b))。
【0027】
バリア膜205としては、Cuに対して高いバリア性を有し、低抵抗のものが好ましく、Ti膜、TiN膜、Ta膜、TaN膜、Ta/TaNの2層膜、Mn膜を好適に用いることができる。また、TaCN膜、W膜、WN膜、WCN膜、Zr膜、ZrN膜、V膜、VN膜、Nb膜、NbN膜等を用いることもできる。バリア膜は、例えば、ウエハにイオンを引き込みながら成膜するイオン化PVD(Ionized Physical Vapor Deposition;iPVD)により成膜することができる。また、通常のスパッタ、イオンプレーティング等の他のPVDで成膜することもでき、CVDやALD(Atomic Layer Deposition)で成膜することもできる。CVDやALDはプラズマを用いてもよい。
【0028】
Cu配線をより低抵抗化する観点から、バリア膜は薄く形成することが好ましく、1〜10nmが好ましい。Mn膜は層間絶縁膜202中のSiと反応してシリケート化し、バリア膜205を自己整合バリア膜として層間絶縁膜202側に形成することができるため、Cu配線中のCuの体積を増加させることができ、Cu配線を低抵抗化する効果が高い。このため、Cu配線を低抵抗化する観点からはMn膜が好ましい。
【0029】
Mn膜はCVDまたはALDにより成膜することが好適である。CVDおよびALDによるMn膜を成膜する成膜方法としては、特開2014−135465公報に記載されたものを用いることができる。
【0030】
次いで、バリア膜205の上にCuまたはCu合金に対する濡れ性を確保するための被濡れ層であるライナー膜206を形成する(ステップ3、
図2(c))。ライナー膜206としては、Cuに対する濡れ性が特に良好なRu膜またはCo膜を好適に用いることができる。
【0031】
被濡れ層であるライナー膜206は、CuまたはCu合金に対して良好な濡れ性を有しているため、後述するように、Cu系膜をリフロー処理する際、およびPVDによりCu系膜を埋め込む際にCuまたはCu合金の良好な流動性(移動性)を確保することができる。ライナー膜206は、埋め込むCuの体積を極力大きくして配線を低抵抗にする観点から、例えば1〜5nmと薄く形成することが好ましい。
【0032】
ライナー膜206は、CVDにより形成することが好適である。これにより、良好なステップカバレッジでより薄い膜厚で成膜することが可能となる。ライナー膜206としてRu膜を用いる場合には、例えばルテニウムカルボニル(Ru
3(CO)
12)を成膜原料として用いて熱CVDにより成膜することが好ましい。ルテニウムカルボニル以外の他の成膜原料、例えば(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルペンタジエニル)ルテニウム、ビス(シクロペンタジエニル)(2,4−メチルペンタジエニル)ルテニウム、(2,4−ジメチルペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(2,4−メチルペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムのようなルテニウムのペンタジエニル化合物を用いることもできる。なお、CVDの代わりに原子層堆積法(ALD)を用いることもできる。また、PVDで成膜することもできる。Co膜を用いる場合も同様に、CVD、ALD、PVDで成膜することができる。
【0033】
次に、PVDによりライナー膜206の表面にCuまたはCu合金からなるCu系シード膜207を形成する(ステップ4、
図2(d))。このCu系シード膜207は、次のリフロー処理によりビア204に埋め込むCuまたはCu合金を確保するためのものである。したがって、Cu系シード膜207の膜厚は、ビア204を埋め込むだけのわずかの量に対応する膜厚でよく、例えば1〜40nm程度の厚さで十分である。また、リフローによりビア204が埋め込まれれば良いため、Cu系シード膜207は連続膜である必要もない。
【0034】
なお、Cu系シード膜207としてCu合金を用いる場合には、代表的なものとして、Cu−Al、Cu−Mnを挙げることができる。また、他のCu合金として、Cu−Mg、Cu−Ag、Cu−Sn、Cu−Pb、Cu−Zn、Cu−Pt、Cu−Au、Cu−Ni、Cu−Co、Cu−Tiなどを用いることができる。
【0035】
Cu系シード膜207は、トレンチ203およびビア204の内壁に形成されていればよく、オーバーハング等を考慮する必要がないため、PVDの手法は問わないが、Cu系シード膜207によりビア204またはトレンチ203が閉じてしまうと、次のリフロー処理を行えないので、トレンチ203またはビア204が閉じてしまわない膜厚およびカバレッジである必要があり、その点からはウエハにイオンを引き込みながら成膜するiPVDが好ましい。
【0036】
Cu系シード膜207を形成した後、ウエハWを加熱してリフロー処理を行う(ステップ5、
図2(e))。このリフロー処理により、CuまたはCu合金からなるCu系シード膜207をビア204内に流し込み、ビア204を埋め込む。リフロー処理の加熱温度は200〜400℃の範囲が好ましい。200℃より低いとCu系シード膜207が流動し難く、400℃より高くなるとCu系シード膜207を構成するCuまたはCu合金が凝集しやすくなり、かつ下地のLow−k膜等からなる層間絶縁膜202に悪影響を及ぼすおそれがある。なお、ステップ4のCu系膜の形成およびステップ5のリフロー処理を一回行ったのみではトレンチの埋め込みが不十分な場合、ステップ4とステップ5とを複数回繰り返してもよい。
【0037】
リフロー処理は、例えば、チャンバ内のステージにウエハを載置し、チャンバ内に不活性ガス、例えばArガスやN
2ガスやH
2ガスを導入しつつ排気し、チャンバ内を所定の真空雰囲気に維持し、ステージに埋設された抵抗ヒーターによりウエハを加熱することにより行うことができる。
【0038】
実際に層間絶縁膜にトレンチおよびビアを形成したウエハに、TaNバリア膜、およびRuライナー膜を形成し、Cuシード膜を形成した後、400℃に加熱してリフロー処理を行った結果、
図3の透過型顕微鏡(TEM)写真に示すように、ビアにCuが完全に埋め込まれていることが確認された。
【0039】
リフロー処理の後、CuやCu合金に対して濡れ性のよいライナー膜206の表面にCuまたはCu合金からなるCu系膜208を、ライナー膜206上で流動可能な条件のPVDにより形成し、Cu系膜208をトレンチ203内に埋め込む(ステップ6、
図2(f))。この際の成膜は、ライナー膜206上でのCuまたはCu合金の流動性を比較的容易に確保することができるiPVDを用いることが好ましい。
【0040】
通常のPVD成膜の場合には、Cuの凝集により、トレンチやホールの開口を塞ぐオーバーハングが生じやすいが、ウエハにイオンを引き込みながら成膜するiPVDを用い、ウエハに印加するバイアスパワーを調整して、Cuイオンの成膜作用とプラズマ生成ガスのイオン(Arイオン)によるエッチング作用とを制御することにより、CuやCu合金に対する濡れ性が高いライナー膜206上でCuまたはCu合金を凝集させることなく移動させてオーバーハングの生成を抑制することができ、狭い開口のトレンチやホールであってもボイド等が発生しない良好な埋め込み性を得ることができる。このとき、Cuの流動性を持たせて良好な埋め込み性を得る観点から、Cuがマイグレートする高温プロセス(65〜350℃、好ましくは230〜300℃)が好適である。また、このように高温プロセスでPVD成膜することにより、Cu結晶粒を成長させることができ、Cu配線の抵抗を低くすることができる。
【0041】
ところで、以上のような手法でトレンチとビアの両方を同時に埋め込む場合には、トレンチの底部においてCuが粒を形成してしまい、ビアへのCu埋め込みを阻害してしまうおそれがあるが、本実施形態では、ステップ5のリフロー処理により既にビア204が埋め込まれているため、そのような不都合は生じない。
【0042】
なお、この工程では、トレンチ203の開口幅が小さい場合には、ほぼ完全にCuまたはCu合金を埋め込むことができるが、開口幅が大きい場合等に、多少の凹みが生じることは許容される。また、Cu系膜208の成膜時における処理容器内の圧力(プロセス圧力)は、1〜100mTorr(0.133〜13.3Pa)が好ましく、35〜90mTorr(4.66〜12.0Pa)がより好ましい。
【0043】
Cu系膜207としてCu合金を用いる場合には、代表的なものとして、Cu−Al、Cu−Mnを挙げることができる。また、他のCu合金として、Cu−Mg、Cu−Ag、Cu−Sn、Cu−Pb、Cu−Zn、Cu−Pt、Cu−Au、Cu−Ni、Cu−Co、Cu−Tiなどを用いることができる。
【0044】
実際に、リフロー処理を行ってビアを埋め込んだ後、iPVDにより高温条件でCu膜を成膜してトレンチの埋め込みを行った結果、
図4のTEM写真に示すように、トレンチにCuが完全に埋め込まれていることが確認された。
【0045】
このようにトレンチ203内にもCuまたはCu合金を埋め込んだ後、必要に応じて、その後の平坦化処理に備えてCu系膜208の上にCuまたはCu合金からなる積み増し層209を形成する(ステップ7、
図2(g))。積み増し層209は、Cu系膜208に引き続いてiPVD等のPVDによりCu系膜を成膜することにより形成することができる。また、Cuめっきを施すことにより形成してもよい。
【0046】
この後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によりウエハW表面の積み増し層209、Cu系膜208、ライナー膜206、バリア膜205を除去して平坦化する(ステップ8、
図2(h))。これによりCu配線210が形成される。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、CuまたはCu合金が濡れる被濡れ層であるライナー膜206を形成した後、Cu系シード膜207を形成し、加熱してリフロー処理を行うことにより、Cu系シード膜207を流動させて微細なビア204にCuまたはCu合金を容易に埋め込むことができる。また、このようにしてリフロー処理によりビア204の埋め込みを行った後に、CuやCu合金に対して濡れ性のよいライナー膜206の上で流動可能な条件のPVD、好適には高温のiPVDによりCu系膜208を成膜してCu系膜208をトレンチ203に埋め込むので、ビア204への埋め込み阻害等の不都合を生じさせることなく、良好な埋め込み性を得ることができる。また、このようにPVDでCuまたはCu合金を埋め込むので、めっきよりも不純物を少なくすることができ、Cu配線をより低抵抗化することができる。また、高温のiPVDで成膜することによりCuまたはCu合金の結晶サイズを大きくすることができ、Cu配線を一層低抵抗化することができる。そして、リフローで埋め込むのはビア204のみであるから、幅の広いトレンチにリフローを行う場合のような効率の悪い処理を行う必要がなく、高効率である。すなわち、リフロー処理とPVDによる埋め込み(ドライフィル)とを適切に組み合わせることにより、トレンチ203およびビア204に対し、良好な埋め込み性でCuまたはCu合金を効率よく埋め込んで、低抵抗のCu配線を形成することができる。
【0048】
<成膜システム>
次に、本発明の実施形態に係るCu配線の形成方法の実施に用いられる成膜システムについて説明する。
図5は、そのような成膜システムの一例を示す概略図である。
【0049】
成膜システム1は、バリア膜成膜およびライナー膜成膜のための第1の処理部2と、Cu膜成膜のための第2の処理部3と、搬入出部4とを有しており、所定パターンのトレンチおよびビアが形成されたウエハWに対して、バリア膜の成膜から積み増し層の形成までを行うものである。
【0050】
第1の処理部2は、第1の真空搬送室11と、この第1の真空搬送室11の壁部に接続された、2つのバリア膜成膜装置12a,12bおよび2つのライナー膜成膜装置14a,14bとを有している。バリア膜成膜装置12aおよびライナー膜成膜装置14aとバリア膜成膜装置12bおよびライナー膜成膜装置14bとは線対称の位置に配置されている。
【0051】
第1の真空搬送室11の他の壁部には、ウエハWのデガス処理を行うデガス室5a,5bが接続されている。また、第1の真空搬送室11のデガス室5aと5bとの間の壁部には、第1の真空搬送室11と後述する第2の真空搬送室21との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し室5が接続されている。
【0052】
バリア膜成膜装置12a,12b、ライナー膜成膜装置14a,14b、デガス室5a,5b、および受け渡し室5は、第1の真空搬送室11の各辺にゲートバルブGを介して接続され、これらは対応するゲートバルブGの開閉により、第1の真空搬送室11に対して連通・遮断される。
【0053】
第1の真空搬送室11内は所定の真空雰囲気に保持されるようになっており、その中には、ウエハWを搬送する第1の搬送機構16が設けられている。この第1の搬送機構16は、第1の真空搬送室11の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部17と、その先端に設けられたウエハWを支持する2つの支持アーム18a,18bとを有する。第1の搬送機構16は、ウエハWをバリア膜成膜装置12a,12b、ライナー膜成膜装置14a,14b、デガス室5a,5b、および受け渡し室5に対して搬入出する。
【0054】
第2の処理部3は、第2の真空搬送室21と、この第2の真空搬送室21の壁部に接続された、iPVD装置として構成される2つのCu系膜成膜装置22a,22b、およびiPVD装置として構成される2つのCu系シード膜成膜装置24a,24bとを有している。Cu系膜成膜装置22aおよびCu系シード膜成膜装置24aと、Cu系膜成膜装置22bおよびCu系シード膜成膜装置24bとは線対称の位置に配置されている。
【0055】
第2の真空搬送室21の第1の処理部2側の2辺に対応する壁部には、それぞれ上記デガス室5a,5bが接続され、デガス室5aと5bとの間の壁部には、上記受け渡し室5が接続されている。すなわち、受け渡し室5ならびにデガス室5aおよび5bは、いずれも第1の真空搬送室11と第2の真空搬送室21との間に設けられ、受け渡し室5の両側にデガス室5aおよび5bが配置されている。さらに、第2の真空搬送室21の搬入出部4側の壁部には、大気搬送および真空搬送可能なロードロック室6が接続されている。
【0056】
Cu系膜成膜装置22a,22b、Cu系シード膜成膜装置24a,24b、デガス室5a,5b、およびロードロック室6は、第2の真空搬送室21の各壁部にゲートバルブGを介して接続され、これらは対応するゲートバルブを開放することにより第2の真空搬送室21と連通され、対応するゲートバルブGを閉じることにより第2の真空搬送室21から遮断される。また、受け渡し室5はゲートバルブを介さずに第2の搬送室21に接続されている。
【0057】
第2の真空搬送室21内は所定の真空雰囲気に保持されるようになっており、その中には、Cu系膜成膜装置22a,22b、Cu系シード膜成膜装置24a,24b、デガス室5a,5b、ロードロック室6および受け渡し室5に対してウエハWの搬入出を行う第2の搬送機構26が設けられている。この第2の搬送機構26は、第2の真空搬送室21の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部27を有し、その回転・伸縮部27の先端にウエハWを支持する2つの支持アーム28a,28bが設けられており、これら2つの支持アーム28a,28bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部27に取り付けられている。
【0058】
搬入出部4は、ロードロック室6を挟んで第2の処理部3と反対側に設けられており、ロードロック室6が接続される大気搬送室31を有している。大気搬送室31の上部には清浄空気のダウンフローを形成するためのフィルター(図示せず)が設けられている。ロードロック室6と大気搬送室31との間の壁部にはゲートバルブGが設けられている。大気搬送室31のロードロック室6が接続された壁部と対向する壁部には被処理基板としてのウエハWを収容するキャリアCを接続する2つの接続ポート32,33が設けられている。また、大気搬送室31の側面にはウエハWのアライメントを行うアライメント室34が設けられている。大気搬送室31内には、キャリアCに対するウエハWの搬入出およびロードロック室6に対するウエハWの搬入出を行う大気搬送用搬送機構36が設けられている。この大気搬送用搬送機構36は、2つの多関節アームを有しており、キャリアCの配列方向に沿ってレール38上を走行可能となっていて、それぞれの先端のハンド37上にウエハWを載せてその搬送を行うようになっている。
【0059】
なお、Cu系膜成膜装置22a,22bは、ウエハWを加熱することが可能となっており、これらをリフロー処理の際の加熱装置として用いることができる。もちろん、ウエハを加熱可能な他の装置、例えばデガス室5a,5bを加熱装置として用いてもよいし、別個に加熱装置を設けてもよい。
【0060】
この成膜システム1は、この成膜システム1の各構成部を制御するための制御部40を有している。この制御部40は、各構成部の制御を実行するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ41と、オペレータが成膜システム1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜システム1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース42と、成膜システム1で実行される処理をプロセスコントローラ41の制御にて実現するための制御プログラムや、各種データ、および処理条件に応じて処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわち処理レシピが格納された記憶部43とを備えている。なお、ユーザーインターフェース42および記憶部43はプロセスコントローラ41に接続されている。上記処理レシピは記憶部43の中の記憶媒体43aに記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース42からの指示等にて任意のレシピを記憶部43から呼び出してプロセスコントローラ41に実行させることで、プロセスコントローラ41の制御下で、成膜システム1での所望の処理が行われる。
【0061】
このような成膜システム1においては、キャリアCから大気搬送用搬送機構36により所定パターンのトレンチおよびビアを有するウエハWを取り出し、ロードロック室6に搬送し、そのロードロック室を第2の真空搬送室21と同程度の真空度に減圧した後、第2の搬送機構26によりロードロック室のウエハWを第2の真空搬送室21を介してデガス室5aまたは5bに搬送し、ウエハWのデガス処理を行う。
【0062】
その後、第1の搬送機構16によりデガス室のウエハWを取り出し、第1の真空搬送室11を介してバリア膜成膜装置12aまたは12bに搬入し、バリア膜を成膜する。
【0063】
バリア膜成膜後、第1の搬送機構16によりバリア膜成膜装置12aまたは12bからウエハWを取り出し、ライナー膜成膜装置14aまたは14bに搬入し、ライナー膜として例えばRu膜を成膜する。
【0064】
ライナー膜成膜後、第1の搬送機構16によりライナー膜成膜装置14aまたは14bからウエハWを取り出し、受け渡し室5に搬送する。その後、第2の搬送機構26によりウエハWを取り出し、第2の真空搬送室21を介してCu系シード膜成膜装置24aまたは24bに搬入し、iPVDによりCu系シード膜を形成する。なお、Cu系シード膜を形成する際には、埋め込み性を考慮する必要がないので、ウエハWを加熱せずに成膜を行う。
【0065】
その後、第2の搬送機構26によりウエハWを取り出し、Cu系膜成膜装置22aまたは22bに搬入し、ウエハWを加熱し、リフロー処理を行って、Cu系シード膜をビアに流し込み、ビアの埋め込みを行う。
【0066】
リフロー処理の後、引き続き、リフロー処理を行ったCu系膜成膜装置にてウエハWに対し、高温のiPVDによりCu系膜を形成し、トレンチ内にCuまたはCu合金を埋め込む。
【0067】
その後、Cu系膜の上に積み増し層を形成するが、積み増し層の形成は、同じCu系膜成膜装置22aまたは22b内でCu合金膜を連続して形成することにより行うことができる。積み増し層を形成する際には、埋め込み性を考慮する必要がないので、Cu系シード膜成膜装置24aまたは24bにより積み増し層を形成してもよい。
【0068】
積み増し層の形成後、ウエハWをロードロック室6に搬送し、そのロードロック室を大気圧に戻した後、大気搬送用搬送機構36によりCu膜が形成されたウエハWを取り出し、キャリアCに戻す。このような処理をキャリア内のウエハWの数の分だけ繰り返す。積み増し層形成後のウエハWは、CMP装置に搬送されCMP処理が行われ、Cu配線が形成される。
【0069】
成膜システム1によれば、大気開放することなく真空中でバリア膜、ライナー膜、Cu系シード膜の形成、リフロー処理、Cu系膜および積み増し層の形成を行うので、各処理の際に表面の酸化を極力抑制することができ、高性能のCu配線を得ることができる。
【0070】
なお、積み増し層はCuめっきで形成することもでき、その場合には、Cu系膜を成膜後、ウエハWを成膜システム1から搬出し、めっき装置にてCuめっきを施し、引き続きCMP装置にてCMP処理が行われる。
【0071】
また、Cu系シード膜の形成にはウエハWの加熱が必要なく、Cu系膜成膜にはウエハWを加熱するため、スループットを良好にする観点から、Cu系シード膜成膜装置24a,24bとCu系膜成膜装置22a,22bとを別個の装置としているが、同一の装置にして温度を変更するようにしてもよい。その場合は、Cu系シード膜の成膜、リフロー処理、およびCu系膜の成膜を同じ装置で行うことが可能となる。
【0072】
次に、成膜システムの主要な装置について説明する。
<Cu系膜成膜装置>
次に、本発明において主要な工程であるCu系膜の形成に用いるCu系膜成膜装置22a,22bの好適な例について説明する。
図6は、Cu系膜成膜装置の一例を示す断面図である。
【0073】
ここでは、Cu系膜成膜装置を構成するiPVD成膜装置として、ICP(Inductively Coupled Plasma)型プラズマスパッタ装置を例にとって説明する。
【0074】
図6に示すように、このCu系膜成膜装置22a(22b)は、筒状に成形された金属製の処理容器51を有している。この処理容器51は接地され、その底部52には排気口53が設けられており、排気口53には排気管54が接続されている。排気管54には圧力調整を行うスロットルバルブ55および真空ポンプ56が接続されており、処理容器51内が真空引き可能となっている。また処理容器51の底部52には、処理容器51内へ所定のガスを導入するガス導入口57が設けられる。このガス導入口57にはガス供給配管58が接続されており、ガス供給配管58には、プラズマ生成用(励起用)ガスとして希ガス、例えばArガスや他の必要なガス例えばN
2ガス等を供給するためのガス供給源59が接続されている。また、ガス供給配管58には、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部60が介装されている。
【0075】
処理容器51内には、ウエハWの載置機構62が設けられる。この載置機構62は、円板状に成形された導電性の載置台63と、この載置台63を支持する中空筒体状の支柱64とを有している。載置台63は支柱64を介して接地されている。載置台63の中には冷却ジャケット65と、その上に設けられた抵抗ヒーター87とが埋め込まれている。載置台63には熱電対(図示せず)が設けられており、この熱電対で検出された温度に基づいて、冷却ジャケット65および抵抗ヒーター87によるウエハ温度の制御を行う。
【0076】
載置台63の上面側には、誘電体部材66aの中に電極66bが埋め込まれて構成された薄い円板状の静電チャック66が設けられており、ウエハWを静電力により吸着保持できるようになっている。また、支柱64の下部は、処理容器51の底部52の中心部に形成された挿通孔67を貫通して下方へ延びている。支柱64は、昇降機構(図示せず)により上下移動可能となっており、これにより載置機構62の全体が昇降される。
【0077】
支柱64を囲むように、伸縮可能な金属ベローズ68が設けられており、この金属ベローズ68は、その上端が載置台63の下面に気密に接合され、また下端が処理容器51の底部52の上面に気密に接合されており、処理容器51内の気密性を維持しつつ載置機構62の昇降移動を許容するようになっている。
【0078】
また底部52には、上方に向けて例えば3本(2本のみ図示)の支持ピン69が鉛直に設けられており、また、この支持ピン69に対応させて載置台63にピン挿通孔70が形成されている。したがって、載置台63を降下させた際に、ピン挿通孔70を貫通した支持ピン69の上端部でウエハWを受けて、そのウエハWを外部より侵入する搬送アーム(図示せず)との間で移載することができる。処理容器51の下部側壁には、搬送アームを侵入させるために搬出入口71が設けられ、この搬出入口71には、開閉可能になされたゲートバルブGが設けられている。
【0079】
静電チャック66の電極66bには、給電ライン72を介してチャック用電源73が接続されており、このチャック用電源73から電極66bに直流電圧を印加することにより、ウエハWが静電力により吸着保持される。また給電ライン72にはバイアス用高周波電源74が接続されており、この給電ライン72を介して静電チャック66の電極66bに対してバイアス用の高周波電力を供給し、ウエハWに高周波バイアスが印加される。この高周波バイアスの周波数は、400kHz〜60MHzが好ましく、例えば13.56MHzが採用される。
【0080】
処理容器51の天井部には、誘電体よりなる高周波透過性の透過板76がシール部材77を介して気密に設けられている。この透過板76の上部に、処理容器51内の処理空間Sにプラズマ励起用ガスとしての希ガス、例えばArガスをプラズマ化してプラズマを発生するためのプラズマ発生源78が設けられる。
【0081】
プラズマ発生源78は、透過板76に対応して設けられた誘導コイル80を有しており、この誘導コイル80には、プラズマ発生用の例えば13.56MHzの高周波電源81が接続されていて、誘導コイル80に高周波電力が供給されることにより、上記透過板76を介して処理空間Sに誘導電界を形成するようになっている。
【0082】
また透過板76の直下には、導入された高周波電力を拡散させる金属製のバッフルプレート82が設けられる。バッフルプレート82の下部には、上記処理空間Sの上部側方を囲むようにして截頭円錐殻状をなすCuまたはCu合金からなるターゲット83が設けられており、このターゲット83にはArイオンを引きつけるための直流電力を印加する電圧可変の直流電源84が接続されている。この電源は交流電源を用いてもよい。
【0083】
また、ターゲット83の外周側には、これに磁界を付与するための磁石85が設けられている。ターゲット83はプラズマ中のArイオンによりCuの金属原子あるいは金属原子団としてスパッタされるとともに、プラズマ中を通過する際に多くはイオン化される。
【0084】
またこのターゲット83の下部には、上記処理空間Sを囲むようにして円筒状をなす保護カバー部材86が設けられている。この保護カバー部材86は接地されるとともに、その内側の端部は、載置台63の外周側を囲むようにして設けられている。
【0085】
このように構成されるCu系膜成膜装置においては、ウエハWを処理容器51内へ搬入し、載置台63上に載置して静電チャック66により吸着する。このとき、載置台63は、熱電対(図示せず)で検出された温度に基づいて、冷却ジャケット65または抵抗ヒーター87により温度制御されている。
【0086】
この状態で、制御部40の制御下で以下の動作が行われる。
まず、真空ポンプ56を動作させることにより1×10
−7Torr以下の高真空状態にされた処理容器51内に、ガス制御部60を操作して所定流量でArガスを流しつつスロットルバルブ55を制御して処理容器51内を所定の真空度に維持する。その後、可変直流電源84から直流電力をターゲット83に印加し、さらにプラズマ発生源78の高周波電源81から誘導コイル80に高周波電力(プラズマ電力)を供給する。一方、バイアス用高周波電源74から静電チャック66の電極66bに対して所定のバイアス用の高周波電力を供給する。
【0087】
処理容器51内においては、誘導コイル80に供給された高周波電力によりArプラズマが形成され、その中のArイオンはターゲット83に印加された直流電圧に引き寄せられてターゲット83に衝突してスパッタされ、粒子が放出される。この際、ターゲット83に印加する直流電圧により放出される粒子の量が最適に制御される。ターゲット83への直流電力は4〜12kW、さらには6〜10kWとすることが好ましい。
【0088】
また、スパッタされたターゲット83からの粒子はプラズマ中を通る際に多くはイオン化され、イオン化されたものと電気的に中性な中性原子とが混在する状態となって下方向へ飛散して行く。この時のイオン化率は高周波電源81から供給される高周波電力により制御される。
【0089】
イオン化された粒子は、バイアス用高周波電源74から静電チャック66の電極66bに印加されたバイアス用の高周波電力によりウエハW面上に形成される厚さ数mm程度のイオンシースの領域に入ると、強い指向性をもってウエハW側に加速するように引き付けられてウエハWにCu系膜が形成される。
【0090】
このとき、ウエハ温度を高く(65〜350℃)設定してCuの流動性を確保するとともに、主に、バイアス用高周波電源74から静電チャック66の電極66bに対して印加される高周波バイアスのパワーを調整してCu合金の成膜とArによるエッチングを調整して、Cu合金の流動性を良好にすることにより、開口が狭いトレンチであっても良好な埋め込み性でCuまたはCu合金を埋め込むことができる。具体的には、Cu系膜成膜量(成膜レート)をT
D、プラズマ生成用のガスのイオンによるエッチング量(エッチングレート)をT
Eとすると、0≦T
E/T
D<1、さらには0<T
E/T
D<1となるようにバイアスパワーを調整することが好ましい。
【0091】
良好な埋め込み性を得る観点から、処理容器51内の圧力(プロセス圧力)は、1〜100mTorr(0.133〜13.3Pa)、さらには35〜90mTorr(4.66〜12.0Pa)が好ましく、ターゲットへの直流電力は4〜12kW、さらには6〜10kWとすることが好ましい。
【0092】
<Cu系シード膜成膜装置>
Cu系シード膜成膜装置24a(24b)としては、載置台63に抵抗ヒーター87が設けられていない以外は、基本的に、
図6に示すCu系膜成膜装置22a(22b)と同様のプラズマスパッタ装置を用いることができる。また、Cu系シード膜の成膜の際には、埋め込み性を重視する必要がないため、iPVDに限らず、通常のスパッタ、イオンプレーティング等の通常のPVDを用いることもできる。
【0093】
<バリア膜成膜装置>
バリア膜成膜装置12a(12b)としては、ターゲット83を使用する材料に変えるのみで
図6の成膜装置と同様の構成の成膜装置を用いてプラズマスパッタにより成膜することができる。また、プラズマスパッタに限定されず、通常のスパッタ、イオンプレーティング等の他のPVDであってもよく、CVDやALD(Atomic Layer Deposition)、プラズマを用いたCVDやALDで成膜することもできる。不純物を低減する観点からはPVDが好ましい。
【0094】
<ライナー膜成膜装置>
次に、ライナー膜を形成するためのライナー膜成膜装置14a(14b)について説明する。ライナー膜は熱CVDにより好適に形成することができる。
図7は、ライナー膜成膜装置の一例を示す断面図であり、熱CVDによりライナー膜としてRu膜を形成するものである。
【0095】
図7に示すように、このライナー膜成膜装置14a(14b)は、例えばアルミニウム等により筒体に形成された処理容器101を有している。処理容器101の内部には、ウエハWを載置する例えばAlN等のセラミックスからなる載置台102が配置されており、この載置台102内にはヒーター103が設けられている。このヒーター103はヒーター電源(図示せず)から給電されることにより発熱する。
【0096】
処理容器101の天壁には、Ru膜を形成するための処理ガスやパージガス等を処理容器101内にシャワー状に導入するためのシャワーヘッド104が載置台102と対向するように設けられている。シャワーヘッド104はその上部にガス導入口105を有し、その内部にガス拡散空間106が形成されており、その底面には多数のガス吐出孔107が形成されている。ガス導入口105にはガス供給配管108が接続されており、ガス供給配管108にはRu膜を形成するための処理ガスやパージガス等を供給するためのガス供給源109が接続されている。また、ガス供給配管108には、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部110が介装されている。Ruを成膜するためのガスとしては、上述したように、好適なものとしてルテニウムカルボニル(Ru
3(CO)
12)を挙げることができる。このルテニウムカルボニルは熱分解によりRu膜を形成することができる。
【0097】
処理容器101の底部には、排気口111が設けられており、この排気口111には排気管112が接続されている。排気管112には圧力調整を行うスロットルバルブ113および真空ポンプ114が接続されており、処理容器101内が真空引き可能となっている。
【0098】
載置台102には、ウエハ搬送用の3本(2本のみ図示)のウエハ支持ピン116が載置台102の表面に対して突没可能に設けられ、これらウエハ支持ピン116は支持板117に固定されている。そして、ウエハ支持ピン116は、エアシリンダ等の駆動機構118によりロッド119を昇降することにより、支持板117を介して昇降される。なお、符号120はベローズである。一方、処理容器101の側壁には、ウエハ搬出入口121が形成されており、ゲートバルブGを開けた状態で第1の真空搬送室11との間でウエハWの搬入出が行われる。
【0099】
このようなライナー膜成膜装置14a(14b)においては、ゲートバルブGを開けて、ウエハWを載置台102上に載置した後、ゲートバルブGを閉じ、処理容器101内を真空ポンプ114により排気して処理容器101内を所定の圧力に調整しつつ、ヒーター103より載置台102を介してウエハWを所定温度に加熱した状態で、ガス供給源109からガス供給配管108およびシャワーヘッド104を介して処理容器101内へルテニウムカルボニル(Ru
3(CO)
12)ガス等の処理ガスを導入する。これにより、ウエハW上で処理ガスの反応が進行し、ウエハWの表面にライナー膜が形成される。
【0100】
ライナー膜の成膜には、ルテニウムカルボニル以外の他の成膜原料、例えば上述したようなルテニウムのペンタジエニル化合物をO
2ガスのような分解ガスとともに用いることができる。
【0101】
なお、ライナー膜としてCo膜を成膜する場合にも、Ru膜と同様、熱CVDで成膜することができる。また、ライナー膜はCVDに限らず、PVD等の他の成膜手法で形成することもできる。
【0102】
<他の適用>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。上記実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、半導体ウエハには典型的なシリコンウエハのみならず、GaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体も含まれる。また、被処理基板は半導体ウエハに限定されず、液晶表示装置等のFPD(フラットパネルディスプレイ)に用いるガラス基板や、セラミック基板等にも本発明を適用することができることはもちろんである。