特許第6386249号(P6386249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386249
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20180827BHJP
【FI】
   A23L7/109 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-82411(P2014-82411)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-202068(P2015-202068A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦行
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】村角 充
(72)【発明者】
【氏名】野呂 卓史
(72)【発明者】
【氏名】日高 崇
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−153833(JP,A)
【文献】 特開昭53−056340(JP,A)
【文献】 特開2006−000065(JP,A)
【文献】 特開2013−066462(JP,A)
【文献】 特開昭59−227258(JP,A)
【文献】 特開昭54−119046(JP,A)
【文献】 特開2004−105150(JP,A)
【文献】 特開平04−335864(JP,A)
【文献】 特開昭60−244269(JP,A)
【文献】 特開平11−266813(JP,A)
【文献】 特開2007−306820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109−7/113
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉類を主体とする粉原料の一部を用いて、水分含量61.4〜98質量%、温度85〜100℃の流動性を有する前生地を調製する前生地調製工程と、該前生地調製工程で調製した前記前生地の温度を75〜100℃に維持した状態で、該前生地と前記粉原料の残りとを混合して本生地を調製する本生地調製工程を有し、
前記本生地中の全粉原料に占める前記前生地中の全粉原料の割合は15〜25質量%であり、
前記本生地調製工程において、前記前生地と前記粉原料の残りとの混合を減圧下で行う、麺類の製造方法。
【請求項2】
前記前生地の調製に用いる前記粉原料の一部に、澱粉が含まれている請求項に記載の麺類の製造方法。
【請求項3】
前記前生地調製工程において、前記前生地として、水分含量65〜85質量%の前生地を調製する、請求項1又は2に記載の麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そば、中華麺などの麺類は、小麦粉や澱粉などの穀粉類を主体とする粉原料を用いて製造され、麺類独特の滑らかさや粘弾性などに由来する独特の食感を持つ食品である。特許文献1には、ソフトでモチモチしており且つ滑らかさに富んだ良好な食感を有する麺類の製造方法として、小麦粉と水分とを含有し、温度が40〜150℃である前生地を製造し、この前生地に小麦粉をさらに加えて製造した本生地を使用して麺線を製造する工程を有するものが記載されている。特許文献1記載の麺類の製造方法においては、前生地の製造時の温度を維持せずに、これを常温、冷蔵又は冷凍保存した後に小麦粉を加えており(特許文献1の〔0016〕参照)、例えば実施例1では、製造した前生地を粗熱が取れるまで常温下で放置した後、該前生地に小麦粉を加えている。
【0003】
また特許文献2には、餃子、焼売などの点心の自動成形機に適合する、外割り水分率45%乃至150%の多加水麺帯の製造方法として、薄力小麦粉及び小麦澱粉の一方又は両方に水を加えて加熱混合してα化し,これに薄力小麦粉及び小麦澱粉の一方又は両方を加えて混煉物を得、該混煉物の温度を50℃乃至70℃に調節熟成させる工程を有するものが記載されている。特許文献2には、混煉物の温度が高すぎると、即ち70℃を超えると、混煉物がモロモロの状態になって、これを圧延ロール状で麺帯にすることが不可能になる旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−105150号公報
【特許文献2】特開平4−335864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
麺類の製造において、麺線に加工する直前の練り上げた生地には、製造効率の向上の観点から、作業性が良好で、軟らかすぎず適度な硬さ(締まり)があって扱いやすいことが要望される。また、茹で調理などのいわゆる湯戻しによって可食状態にしてから食する、麺類の場合、その湯戻しに要する時間は短時間であることが要望される。これらの要望に十分に応えることが可能で、且つ良好な粘弾性を有していて食感に優れる麺類は未だ提供されていない。
【0006】
本発明は、可食状態にするための湯戻しに要する時間が比較的短時間で済み、且つ良好な粘弾性を有していて食感に優れる麺類を効率良く製造し得る、麺類の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、穀粉類を主体とする粉原料の一部を用いて、水分含量59〜98質量%、温度75〜100℃の流動性を有する前生地を調製し、該前生地の温度を75〜100℃に維持した状態で、該前生地と該粉原料の残りとを混合して本生地を調製する工程を有する、麺類の製造方法である。また本発明は、前記製造方法により製造された麺類である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の麺類の製造方法によれば、可食状態にするための湯戻しに要する時間が比較的短時間で済み、且つ良好な粘弾性を有していて食感に優れる麺類を効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の麺類の製造方法は、粉原料の一部を用いて前生地を調製する前生地調製工程と、該前生地と該粉原料の残りの一部とを混合(混捏)して本生地を調製する本生地調製工程とを有する。本発明で用いる粉原料は穀粉類を主体とするものであり、粉原料における穀粉類の含有量は、粉原料の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0010】
本発明で用いる穀粉類としては、この種の麺類の主原料として通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉の他、ライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、そば粉、米粉、豆粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉等の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。穀粉類の一種である澱粉には、前記各種澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した、加工澱粉が含まれる。
【0011】
本発明で用いる粉原料には、主原料である穀粉類以外の副原料が含まれていても良い。副原料としては、例えば、小麦グルテン、大豆蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、膨張剤、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、アルコール、保存剤、酵素剤等が挙げられ、これら1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
前記のように、本発明の麺類の製造方法では粉原料を2つに分割し、そのうちの一方(粉原料の一部)を、前生地調製工程で用い、他方(粉原料の残り)を本生地調製工程で用いる。この粉原料の分割形態としては、例えば、前生地調製工程で用いる分と本生地調製工程で用いる分とで等量となるように、粉原料の全質量を半分に分ける形態を採用することもできるが、前生地調製工程で用いる分の方が本生地調製工程で用いる分よりも少ないことが好ましく、特に、本生地中の全粉原料に占める前生地中の全粉原料の割合が1〜25質量%、とりわけ5〜20質量%となるような形態が好ましい。本生地中の全粉原料に占める前生地中の全粉原料の割合が少なすぎると、湯戻しに要する時間の短縮効果、食感の向上効果に乏しく、逆に該割合が多すぎると、本生地が軟らかすぎて作業性の低下や製造効率の低下を招くおそれがある。
【0013】
前生地調製工程で用いる粉原料と本生地調製工程で用いる粉原料とは、組成的には同じであっても良く、異なっていても良い。後者の一例として、麺類の製造に用いる粉原料が小麦粉と澱粉とからなる場合に、前生地調製工程では粉原料の一部として小麦粉を用い、本生地調製工程では粉原料の残りとして澱粉を用いるということも可能である。
【0014】
前生地調製工程では、粉原料の一部を用いて、流動性を有する前生地を調製する。流動性を有する前生地は、通常液体又は半液体であり、典型的にはいわゆるバッター液である。前生地調製工程で調製された前生地は、水分含量が59〜98質量%、好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは65〜85質量%であり、且つ温度(品温)が75〜100℃、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは95〜100℃である。前生地の水分含量及び/又は温度が前記範囲外では、湯戻しに要する時間の短縮化、食感の向上、製造効率の向上の点で良好な結果が得られない。
【0015】
前生地は、常法に従い、粉原料に加水し混合(混捏)することで調製できる。温度が75〜100℃という、常温よりも高温の前生地を調製する方法は特に制限されず、例えば、粉原料を水の存在下に加熱する方法、粉原料を温水又は熱湯と共に混合する方法、粉原料を常温の水と共に加熱しながら両者を混合する方法などが挙げられる。加水に用いる水又は湯には、食塩などの副原料を適宜含有させても良い。
【0016】
前生地の調製に用いる粉原料の一部には、澱粉が含まれていることが好ましい。これによって、湯戻しに要する時間のさらなる短縮化及び食感のさらなる向上という効果が奏される。斯かる効果をより確実に奏させるようにする観点から、前生地の調製に用いる粉原料における澱粉の含有量は、該粉原料の全質量に対して、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは10〜15質量%である。ここで用いる澱粉の種類は特に制限されず、穀粉類の例示として前記したものの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
本生地調製工程では、前生地調製工程で調製された前生地の温度(品温)を75〜100℃、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは95〜100℃に維持した状態で、該前生地と、前生地調製工程で使用しなかった粉原料の残りとを混合(混捏)し、本生地を調製する。つまり、本発明の麺類の製造方法では、特許文献1記載の麺類の製造方法のように、製造直後は常温よりも高温状態の前生地を常温又はそれよりも低温状態にした後に該前生地に粉原料を加えることはせず、前生地の製造直後の高温状態を維持しつつ、その高温状態の前生地と粉原料の残りとを混合する。前生地と粉原料の残りとを混合する際の該前生地の温度が前記範囲外では、湯戻しに要する時間の短縮化、食感の向上の点で良好な結果が得られない。
【0018】
本生地調製工程において、前生地と粉原料の残りとの混合は減圧下で行うことができる。前生地の温度は75〜100℃という高温であるため、粘度が低く生地ダレを起こしやすいところ、このように減圧下で前生地を取り扱うことによって、高生地温度による生地ダレが防止されると共に、減圧による生地密度の向上がなされ、結果として作業性、製造効率のさらなる向上が期待できる。斯かる効果をより確実に奏させるようにする観点から、前生地と粉原料の残りとの混合は真空度の高い減圧下で行うことが好ましく、より具体的には−50〜−760mmHg、特に−500〜−760mmHgの減圧下で行うことが好ましい。前生地と粉原料の残りとの減圧下での混合を実施する装置、及び減圧条件以外の他の混合条件は、製造目的の麺類の用途などに応じて、通常使用されている範囲から適宜選択すれば良い。混合(混捏)装置の好ましい一例として、減圧吸引手段を備え且つ混合域を前記の減圧条件下に保持し得るものが挙げられる。
【0019】
本生地調製工程を経て調整された本生地を麺線に加工することで、目的とする麺類(生麺線)が得られる。本生地から麺線への加工は常法に従って行うことができ、例えば、本生地をロール圧延等の常法により圧延して麺帯を得、この麺帯から常法により麺線を切り出すことで、目的とする麺類が得られる。
【0020】
本発明が適用可能な麺類の種類は特に限定されず、例えば、中華麺、つけめん、焼きそば、素麺、冷麦、うどん、そば、パスタ、麺皮等が挙げられる。
【実施例】
【0021】
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例1、5、6及び8は参考例である。
【0022】
〔実施例1〜9〕
市販の縦型ミキサーに、用意した粉原料の一部と、食塩4質量部及び水37質量部(澱粉を併用する場合は水40質量部)を混合して調製した食塩水とを投入し、常温下(気温約25℃の環境下)にて低速で2分間、続いて高速で2分間混合して、流動性を有する常温の前生地を得、該前生地を湯煎機で加熱して、温度(品温)が常温よりも高温の状態になるよう温度調製した(前生地調製工程)。
次いで、市販のピンミキサーに、前生地と、用意した粉原料の残りとを投入し、高速で5分間、続いて低速で5分間混合して本生地(麺生地)を調製した(本生地調製工程)。
次いで、得られた麺生地を常法により複合・圧延して厚さ2.6mmの麺帯とした後、10番の角の切刃を用いて麺線とすることで、麺類の一種である生うどんを製造した。
粉原料(穀粉類)としては、小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「わらべ」)を用い、さらに適宜、澱粉(株式会社Jオイルミルズ製、商品名「A700」)を用いた。前生地調製工程で用いた粉原料と本生地調製工程で用いた粉原料とは組成的には同じとした。
【0023】
〔比較例1及び2〕
従来の一般的な麺生地調製法、即ち、用意した粉原料を分割せずにその全部に加水し、混合(混捏)することで麺生地を調製した。より具体的には、市販の縦型ミキサーに、用意した粉原料の全部と、食塩4質量部及び水37質量部を混合して調製した食塩水とを投入し、常温下にて高速で5分間、続いて低速で5分間混合して、常温の麺生地を調製した。調製した麺生地を前記実施例と同様の方法で麺帯、麺線に順次加工して、生うどんを製造した。
【0024】
〔比較例3及び4〕
前生地の温度(品温)を75℃未満とし且つその品温を維持しつつ該前生地と粉原料の残りとを混合した以外は、実施例2と同様にして生うどんを製造した。尚、比較例3では、前生地調製工程において常温下にて調製した前生地を加熱せず(即ち湯煎機は使用せず)、比較例4では、前生地調製工程において常温下にて調製した前生地を湯煎機で加熱したものの、その加熱温度を各実施例より低くした。
【0025】
〔比較例5及び6〕
製造直後に温度(品温)が75〜100℃(より具体的には95℃)であった高温状態の前生地を、品温が75℃未満となるように冷蔵庫を用いて冷却し、且つその冷却後の品温を維持しつつ該前生地と粉原料の残りとを混合した以外は、実施例2と同様にして生うどんを製造した。
【0026】
〔比較例7〕
前生地の水分含量を59質量%未満(より具体的には58質量%)とした以外は、実施例2と同様にして生うどんを製造した。
【0027】
〔評価試験〕
各実施例及び比較例において、生地を麺帯、麺線に順次加工する際の作業性を下記評価基準に基づき評価した。その評価結果を下記表1及び2に示す。
また、評価対象の生うどんを熱湯で7分間茹で、その茹で調理済みのうどんの食感をそれぞれ下記評価基準に基づいて10名のパネラーに評価してもらった。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1及び2に示す。
【0028】
<作業性の評価基準>
5点:生地はかなり締まりがあり扱いやすいため、加工が極めて容易で製造が安定。
4点:生地は締まりがあり扱いやすいため、加工が容易で製造が安定。
3点:生地は適度な硬さがあるため、安定した製造が可能。
2点:生地が軟らかいか又は生地の水和がやや足りず、安定した製造が困難。
1点:生地がかなり軟らかいか又は生地の水和が足りず、安定した製造が不可。
<食感(湯戻り)の評価基準>
5点:湯戻りしており、粘弾性に優れる。
4点:湯戻りしており、粘弾性も適度。
3点:湯戻りが足りず、やや粉っぽく粘弾性に欠けるが、喫食は可能。
2点:湯戻りが足りず、粉っぽく粘弾性に欠ける。
1点:湯戻りが足りず、かなり粉っぽく粘弾性に欠ける。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
従来の一般的な麺生地調製法である比較例1及び2で得られた生うどんは、これを熱湯で7分間茹でた場合の食感が、表2に示す通り評価点としては1点であり、湯戻りが足りずかなり粉っぽいものであった。これに対し、各実施例で得られた生うどんは、比較例1及び2と同条件で茹でたにもかかわらず、表1に示す通り評価点としては3点以上であり、概ね湯戻りしていた。このことから、各実施例の製造方法によれば、可食状態にするための湯戻しに要する時間が比較的短時間で済む麺類が得られることがわかる。
特に、実施例2と比較例3との対比及び実施例6と比較例4との対比から、前生地の温度75℃以上とすることが、食感(湯戻り)の向上に有効であることが明らかである。
また、実施例7と比較例5及び6との対比から、前生地の温度(品温)を75℃以上に維持した状態で粉原料の残りと混合することが、食感(湯戻り)の向上に有効であることが明らかである。
また、実施例3と比較例7との対比から、前生地の水分含量は58質量%よりも70質量%程度とした方が、食感(湯戻り)の向上に有効であることが明らかである。
【0032】
実施例5は、主として、本生地中の全粉原料に占める前生地中の全粉原料の割合が30質量%と比較的多いことに起因して、本生地がやや軟らかすぎてしまい、その結果他の実施例に比して作業性に劣る結果となった。
実施例8は、前生地と粉原料の残りとの混合を減圧下ではなく常圧下で行った以外は実施例3と同じであるところ、実施例3に比して作業性に劣る結果となったことから、両者の混合を減圧下で行うことの有効性が明らかである。また、実施例3と実施例9との対比から、減圧条件としては、実施例3のように−760mmHg程度が好ましいことが明らかであり、本発明者らの知見によれば−500〜−760mmHg程度が好ましい。