【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、DIN EN ISO 527−2に準拠して測定した破断点伸びが100%を超える熱可塑性エラストマーから膨張ペレットを製造する方法であって、
(a)発泡剤を含むポリマー溶融物を、150℃と280℃の間の温度に制御された有孔ディスクを通してペレット化チャンバへと押出すステップと、
(b)温度制御された有孔ディスクを通して押出したポリマー溶融物を切断装置を用いて細断して、個々の膨張性ペレットにするステップと、
(c)液体流を用いてペレット化チャンバからペレットを排出するステップと
を含み、発泡剤がCO
2もしくはN
2またはCO
2とN
2の組合せを含み、発泡剤を含むポリマー溶融物中の発泡剤の量が0.5〜2.5wt%の範囲にあり、5℃と90℃の間の温度に制御されかつ圧力が周囲圧力よりも0.1バール〜20バール高い液体流がペレット化チャンバを横断し、ペレット化チャンバ内の液体の圧力および温度と有孔ディスクの温度とが、加圧液体中でペレットが含有する発泡剤によってペレットが膨張して連続表皮を有する膨張ペレットとなるように選択される、方法によって達成される。
【0012】
驚くべきことに、発泡剤の量が非常に多い場合に、期待されるような最も低いかさ密度が得られず、発泡剤が2.5wt%以下、好ましくは2wt%以下、とりわけ1.5wt%以下の量である場合に、特に低いかさ密度が得られることが明らかとなった。発泡剤の量が0.5wt%未満であると、かさ密度は同様に再び上昇する。ここでのそれぞれの質量分率は、ポリマー溶融物中に存在する発泡剤を含む、ポリマー溶融物の全質量に対するものである。
【0013】
使用する発泡剤の最適な量は使用する熱可塑性エラストマーおよび発泡剤の組成によって変わるが、常に0.5と2.5wt%の間の範囲である。
【0014】
発泡剤および任意に更なる混和剤と混合したポリマー溶融物は、方法の工程(a)において有孔ディスクを通して押出される。発泡剤および任意に更なる混和剤を含むポリマー溶融物の製造は一般に、押出機および/または溶融ポンプを用いて行われる。これらの装置は、有孔ディスクを通してポリマー溶融物を押出すのに必要な圧力を発生させるのにも使用される。押出機、例えば2軸スクリュー押出機を使用する場合、ポリマーはまず可塑化され、任意に助剤と混合される。混合中に、押出機内の材料は温度制御された有孔ディスクの方向へと搬送される。発泡剤をポリマーと共に最初から押出機に導入していない場合は、ポリマーが押出機内の距離の一部を移動した後に発泡剤をポリマーに添加することができる。発泡剤とポリマーは、押出機内の残りの距離を移動する間に混じり合う。その過程で溶融物は、これに続くペレット化に必要な温度にされる。有孔ディスクを通して溶融物を押出すのに必要な圧力は、例えば溶融ポンプによって加えることができる。あるいは、必要な圧力は、押出機、特に、押出機スクリューの適切な形状寸法によって発生させる。ペレット化に必要な圧力および溶融に必要な温度は、使用するポリマーと、使用する助剤および使用する発泡剤とによって変わり、更に、成分の混合比に左右される。ポリマー溶融物をペレット化チャンバへと入れるのは、温度制御された有孔ディスクを通してである。温度制御された液体の流れがペレット化チャンバを横断し、その圧力は周囲圧力よりも0.1バール〜20バール高い。ペレット化チャンバを通って流れる液体の圧力は、好ましくは、周囲圧力よりも0.1〜5バール高い。
【0015】
ペレット化チャンバにおいては、温度制御された有孔ディスクを通して押出したポリマーをストランドに成形し、切断装置がそれを細断して個々の膨張性ペレットにする。切断装置は、例えば高速回転ブレードとして具体化してもよい。結果として得られるペレットの形状は、有孔ディスクの開口の形状およびサイズ、および有孔ディスクの穴を通して溶融物を押出す圧力と切断装置の速度とに左右される。押出す圧力、切断装置の速度、および有孔ディスクの穴のサイズは、ペレットの形状が実質的に球形または楕円形となるように選択することが好ましい。
【0016】
方法の最終工程において、ペレット化チャンバを通って流れる温度制御された液体によってペレットをペレット化チャンバから排出する。温度制御された液体の圧力および温度の選択は、ポリマーストランド/ペレットが、含有する発泡剤によって制御された形で膨張し、ペレットの表面に連続表皮が生成されるようになされる。
【0017】
ペレットは温度制御された液体と共に乾燥機へと流入し、そこでペレットは液体から分離される。最終的な膨張ペレットは容器に集められ、一方、液体はろ過されてポンプによってペレット化チャンバへと戻される。
【0018】
液体の温度を制御した加圧液体中でのペレット化は、発泡剤を含むポリマー溶融物が、連続表皮の形成が起こり得ない制御されていない膨張を起こすことを防止する。このようなビーズは、当初はかさ密度が低いが、すぐに再びつぶれてしまう。その結果、かさ密度が高く、より弾性の低い不均一なビーズが生成される。本発明の方法は、ペレットの膨張を制御された形で遅らせ、連続表皮と、気泡サイズが表面では小さく中心に向かって大きくなる気泡構造を内側に有する、構造化された粒子を生成する。中心の気泡のサイズは、好ましくは250μm未満である。膨張ペレットのかさ密度は、250g/l以下である。個々の膨張ペレットの最大膨張は、好ましくは、2〜15mmの範囲、特に5〜12mmの範囲であり、一方、個々のペレットの質量は、2と40mgの間、特に5と35mgの間である。
【0019】
ペレットの膨張は、ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の圧力および温度を制御することと、有孔ディスクの温度を制御することによって規制される。ペレットがあまりにも急速に、および/または制御されていない形で膨張する場合、即ち、連続表皮が形成されない場合は、ペレット化チャンバ内の液体の圧力を上昇させ、ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の温度を低下させる。ペレットを包囲する温度制御された液体の圧力を上昇させると、発泡剤の膨張作用を弱め、ペレットの膨張を抑制する。ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の温度を低下させると、より厚い表皮がビーズに生じ、そのため、膨張に対してより強い抵抗となる。使用した発泡剤に対して温度制御された液体の圧力が高すぎる、または温度が低すぎる場合には、ペレットの膨張が過剰に阻害されたり、あるいは完全に止められたりさえして、かさ密度が高すぎるペレットが生成される可能性がある。この場合には、ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の圧力を低下させる、および/または温度制御された液体の温度を上昇させる。
【0020】
ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の圧力および/または温度の調節に加えてまたはその代わりに、温度制御された有孔ディスクの温度にもペレットの膨張は影響され得る。温度制御された有孔ディスクの温度を低下させることは、ポリマー溶融物から環境へと熱をより急速に放出させる効果がある。これにより、安定した発泡ペレットの必須条件である連続表皮の形成が促進される。温度制御された有孔ディスクおよび/またはペレット化チャンバ内の液体の温度を低くしすぎると、ポリマー溶融物はあまりにも急速に冷えて適切な膨張が始まらないうちに固化してしまう。ペレットが含有する発泡剤によるペレットの膨張は非常に大きく妨げられ、かさ密度が過剰に高いペレットが形成される。従って、そのような場合には、ペレット化チャンバ内の温度制御された液体の温度および/または温度制御された有孔ディスクの温度を上昇させる。
【0021】
本発明によると、連続した発泡表皮が形成される制御された膨張をペレットが起こし得るには、ペレット化チャンバ内の液体の温度は、好ましくは5℃と90℃の間である。液体の温度は、好ましくは10℃と60℃の間、より好ましくは25℃と45℃の間である。本発明によると、温度制御された有孔ディスクの温度は、好ましくは150℃と280℃の間、より好ましくは220℃と260℃の間である。
【0022】
有孔ディスク側の過度な温度は、ビーズの表面の薄い表皮の原因となり、後で表面がつぶれることにつながる。有孔ディスク側の過剰に低い温度は、膨張の程度を低下させ、厚く、発泡していない表面がビーズに生じる。
【0023】
本発明のやり方で膨張ペレットを製造する方法に使用される熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばポリエーテルエステルもしくはポリエステルエステル、熱可塑性ポリエーテルコポリアミド、例えばポリエーテルコポリアミド、またはスチレンブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエンブロックコポリマーが挙げられる。
【0024】
熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばポリエーテルエステルおよびポリエステルエステルの場合、ならびにスチレンブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエンブロックコポリマーの場合、発泡剤の量が0.5wt%を超え1.5wt%未満であり、ペレット化チャンバを通って流れる温度制御された液体の圧力が周囲圧力よりも0.1〜2バール高い範囲であるときに最も低い密度が実現できることが判明した。熱可塑性コポリアミド、例えばポリエーテルコポリアミドの場合、発泡剤の量は、好ましくは1.5wt%を超え2.5wt%未満であり、ペレット化チャンバ内の圧力は、好ましくは、周囲圧力よりも5〜20バール高い。
【0025】
当該熱可塑性ポリエーテルエステルおよびポリエステルエステルは、一般的な文献に記載の方法に従い、炭素原子が4〜20の芳香族および脂肪族ジカルボン酸およびそのそれぞれのエステルの、適切な脂肪族および芳香族ジオールおよびポリオールを用いたエステル化またはエステル交換によって得ることができる。該当する製造方法は、例えば、「Polymer Chemistry」、Interscience Publ.、New York、1961、111〜127ページ;Kunststoffhandbuch、VIII巻、C.Hanser Verlag、Munich 1973、およびJournal of Polymer Science、Part A1、4、1851〜1859ページ(1966)に記載されている。
【0026】
有用な芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸(teraphthalic acid)、またはこれらそれぞれのエステルが挙げられる。有用な脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、飽和ジカルボン酸としての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびデカンジカルボン酸、ならびに不飽和ジカルボン酸としてのマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびテトラヒドロテレフタル酸が挙げられる。
【0027】
有用なジオール成分としては、例えば、一般式HO−(CH
2)
n−OH(式中、nは2〜20の整数である)のジオールが挙げられる。有用なジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0028】
熱可塑性ポリエーテルエステルへのエステル交換が可能なポリエーテルオールは、好ましくは、一般式HO−(CH
2)
n−O−(CH
2)
m−OH(式中、nおよびmはそれぞれ独立に2と20の間の整数であり、nとmは同じでも異なってもよい)を有するものである。
【0029】
ポリエーテルエステルの生成に有用な不飽和のジオールおよびポリエーテルオールとしては、例えば1,4−ブテンジオール、ならびに芳香族単位を含むポリエーテルオールおよびジオールが挙げられる。
【0030】
引用したカルボン酸とそのエステル、および引用したアルコールに加え、これらのクラスを一般的に代表する更なる化合物はいずれも本発明の方法において使用されるポリエーテルエステルおよびポリエステルエステルを供給するのに使用することができる。ブロックコポリマーの硬質相は、典型的には芳香族ジカルボン酸と短鎖ジオールから形成され、一方、軟質相は、分子量M
wが500と3000g/モルの間の予め形成された脂肪族二官能基ポリエステルから形成される。硬質相および軟質相は、例えば末端アルコール基と反応する反応性結合剤、例えば、ジイソシアナートによって更に結合させてもよい。
【0031】
本発明の方法に有用な熱可塑性ポリエーテルアミドは、公知の任意の文献の方法に従い、アミンとカルボン酸またはそのエステルとの反応によっても得ることができる。この場合のアミンおよび/またはカルボン酸は、R−O−R型(式中、Rは脂肪族または芳香族有機基である)のエーテル単位を更に含む。以下のクラスの化合物から選択されるモノマーが一般に使用される:
HOOC−R’−NH
2(式中、R’は芳香族または脂肪族であってもよく、好ましくは、R−O−R型のエーテル単位を含み、式中のRは脂肪族または芳香族の有機基である)、
芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸、またはそのエステル、ならびにR−O−R型(式中、Rは脂肪族または芳香族の有機基である)のエーテル単位を含む芳香族ジカルボン酸、
脂肪族ジカルボン酸、例えば、飽和ジカルボン酸としての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびデカンジカルボン酸、ならびに不飽和ジカルボン酸としてのマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびテトラヒドロテレフタル酸、更にはR−O−R型(式中、Rは脂肪族および/または芳香族の有機基である)のエーテル単位を含む脂肪族ジカルボン酸、
一般式H
2N−R”−NH
2のジアミン(式中、R”は芳香族および脂肪族であってもよく、好ましくはR−O−R型のエーテル単位を含み、Rは脂肪族および/または芳香族の有機基である)、
ラクタム、例えばε−カプロラクタム、ピロリドンまたはラウロラクタム、および
アミノ酸。
【0032】
引用したカルボン酸とそのエステル、ならびに引用したアミン、ラクタムおよびアミノ酸に加え、これらのクラスを一般的に代表する更なる化合物はいずれも、本発明の方法において使用されるポリエーテルアミンを供給するのに使用することができる。更に公知なのは、ポリテトラヒドロフランとアミドシントンの混合生成物であり、これも同様に使用できる。
【0033】
本発明に従い使用されるブロックコポリマー構造を有する熱可塑性エラストマーは、好ましくは、ビニル芳香族単位、ブタジエン単位およびイソプレン単位、ならびにポリオレフィン単位およびビニル単位、例えばエチレン単位、プロピレン単位および酢酸ビニル単位を含む。スチレン−ブタジエンコポリマーが好適である。
【0034】
本発明に従い使用される熱可塑性エラストマーは、好ましくはショア硬さがA40〜D80の範囲である。特に好ましいのは、A44〜D60の範囲、特にA65〜A99の範囲のショア硬さである。特に好ましいのは、A65〜A96の範囲のショア硬さである。ショア硬さは、DIN 53505に従い判定される。本発明に従い使用される熱可塑性エラストマーの融点は、好ましくは300℃未満、より好ましくは250℃以下、とりわけ220℃以下である。本発明の熱可塑性エラストマーの破断点伸びは、DIN EN ISO 527−2に準拠して測定した場合に100%より大きく、好ましくは200%より大きく、更に好ましくは300%より大きく、特に400%より大きい。更には、破断点伸びは、好ましくは最大で1000%、特に最大で800%である。
【0035】
本発明に従い使用される熱可塑性エラストマーは、非晶質であってもよく、部分的に結晶質であってもよい。
【0036】
本発明の方法を用いて得られる膨張ペレットは、更なる混和剤、例えば、染料、顔料、フィラー、難燃剤、難燃剤用共力剤、帯電防止剤、安定剤、表面活性物質、可塑剤および赤外線遮蔽剤を有効量で含んでもよい。
【0037】
熱伝導性に対する放射の寄与を低減させるのに適する赤外線遮蔽剤としては、例えば、金属酸化物、非金属酸化物、金属粉末、例えばアルミニウム粉末、炭素、例えばカーボンブラック、グラファイトもしくはダイヤモンド、または有機染料および顔料染料が挙げられる。赤外線遮蔽剤の使用は、特に高温での用途に好都合である。カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄または二酸化ジルコニウムが赤外線遮蔽剤としての使用に特に好適である。上記の物質は、それぞれ単独で用いることも、組み合わせて、即ち、2以上の物質の混合物の形態で用いることもできる。フィラーはいずれも有機および/または無機とすることができる。
【0038】
フィラーが含まれる場合、それは、例えば有機および無機の粉末または繊維状物質、およびその混合物である。有用な有機フィラーとしては、例えば木粉、デンプン、亜麻繊維、麻繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、綿繊維、セルロース繊維またはアラミド繊維が挙げられる。有用な無機フィラーとしては、例えばケイ酸塩、重晶石、ガラス玉、ゼオライト、金属または金属酸化物が挙げられる。特に好ましいのは、粉末状無機化学物質、例えば、胡粉、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、亜硝酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、粉末石英、Aerosil、陶土、雲母もしくは珪灰石、または球形もしくは繊維状の無機化学物質、例えば、鉄粉、ガラス玉、ガラス繊維もしくは炭素繊維の使用である。平均粒子径、または、繊維状のフィラーの場合の繊維の長さは、ほぼ気泡サイズに等しいか、またはそれ未満とすべきである。好ましいのは、0.1〜100μmの範囲、特に1〜50μmの範囲の平均粒子径または平均繊維長さである。好ましいのは、発泡剤と、発泡剤を含む系の全質量に対して5と80wt%の間の有機および/または無機フィラーとを含む、膨張可能な熱可塑性エラストマーである。
【0039】
熱可塑性成形組成物に含ませることが有用な表面活性物質としては、例えば、出発物質の均一化を促進するために使用され、気泡構造の調整も可能にし得る化合物が挙げられる。適する表面活性物質としては、例えば、乳化剤、例えばヒマシ油硫酸エステルまたは脂肪酸のナトリウム塩、ならびに脂肪酸とアミンの塩、例えばオレイン酸ジエチルアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸またはジナフチルメタンジスルホン酸、およびリシノール酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;発泡安定剤、例えば、シロキサン−オキシアルキレンインターポリマーおよび他のオルガノシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステルまたはリシノール酸エステル、ロート油および落花生油、ならびに気泡調整剤、例えば、パラフィン、脂肪アルコールおよびジメチルポリシロキサンが挙げられる。ポリオキシアルキレン部分およびフルオロアルカン部分を側基として有するオリゴマーのポリアクリラートは、乳化作用、気泡構造および/またはその安定性を向上させるのにも有用である。表面活性物質は、典型的には発泡剤を含む系の全質量に対して0.01〜5wt%の量が使用される。
【0040】
適する難燃剤としては、例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(2−クロロプロピル)、リン酸トリス(1,3−ジクロロプロピル)、リン酸トリス(2,3−ジブロモプロピル)および二リン酸テトラキス(2−クロロエチル)エチレンが挙げられる。既に述べたハロゲン置換されたリン酸塩に加え、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、三酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウムおよび硫酸カルシウムを含む無機難燃剤、もしくはシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、または少なくとも2種類の難燃剤、例えばリン酸アンモニウムおよびメラミンの混合物、ならびに更に任意にデンプンおよび/または膨張可能なグラファイトもまた、製造される発泡熱可塑性エラストマーに難燃性を付与するのに使用できる。発泡剤を含む系の全質量に対して0〜50wt%、好ましくは5〜25wt%の難燃剤または難燃剤混合物を使用するのが好都合であることが判明するであろう。
【0041】
ポリマー溶融物は、ペレット化チャンバへと押出す前に、発泡剤であるCO
2またはCO
2とN
2の混合物と混合する。共発泡剤を追加でポリマー溶融物に添加することができる。有用な共発泡剤としては、アルカン、例えば、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ハロゲン化炭化水素もしくはCFC、またはこれらの混合物が挙げられる。不燃性の不活性ガスであり、爆発する可能性のある雰囲気が製造時に生じる可能性がないことから、CO
2またはCO
2とN
2の混合物を単独で発泡剤として使用するのが特に好都合である。これによりコストのかかる安全対策が不要になり、製造時の潜在的なリスクが大幅に低下する。生成物を出荷する前に可燃性の揮発性物質を気化させて抜くために生成物を保管する必要がないことも、同様に好都合である。
【0042】
発泡剤を含むポリマー溶融物に1種または複数の成核剤を更に添加することで更なる利点が生じる。有用な成核剤としては、特に、タルク、フッ化カルシウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、カーボンブラック、グラファイト、顔料および微粉ポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、それぞれ個別に、あるいは任意の混合物として使用される。タルクを成核剤として使用することが特に好ましい。熱可塑性成形組成物またはポリマー溶融物の全質量のうち、成核剤に帰属せしめられる割合は、好ましくは0〜4wt%の範囲、とりわけ0.1〜2wt%の範囲である。
【0043】
ここで、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。