(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0007】
図1は、磁気センサ100の構成の概要を示す。磁気センサ100は、磁気収束部400、磁気検知部200及び演算部330を備える。磁気検知部200は、第1〜第4磁気検知部210〜240を有する。
【0008】
磁気センサ100は、与えられた外部磁場Bに含まれる3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出する。外部磁場B
Xは、磁気センサ100の外部において、位置によらず大きさと向きが一様である。外部磁場B
Y及び外部磁場B
Zに関しても同様である。
【0009】
磁気収束部400は、磁気センサ100に与えられた3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを、磁気検知部200の感磁軸方向の磁場に変換する。磁気収束部400は、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zのうち、予め定められた方向の磁場の方向を変換せずに、そのまま外部磁場Bを磁気検知部200に与えてもよい。
【0010】
磁気検知部200は、与えられた外部磁場Bに起因する磁束を検知する。第1〜第4磁気検知部210〜240は、磁気収束部400からそれぞれ磁束密度B
1〜B
4の磁束が入力される。磁束密度B
1〜B
4のそれぞれは、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zのうち少なくとも2つを含む。また、第1〜第4磁気検知部210〜240は、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを混在して示す信号を出力する。この場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
(数1)
R
1=ΔR
1X・B
X+ΔR
1Y・B
Y+ΔR
1Z・B
Z+R
1i
(数2)
R
2=ΔR
2X・B
X+ΔR
2Y・B
Y+ΔR
2Z・B
Z+R
2i
(数3)
R
3=ΔR
3X・B
X+ΔR
3Y・B
Y+ΔR
3Z・B
Z+R
3i
(数4)
R
4=ΔR
4X・B
X+ΔR
4Y・B
Y+ΔR
4Z・B
Z+R
4i
【0011】
ここで、ΔR
1X〜ΔR
4Xは、磁気センサ100にX軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
X=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量である。ΔR
1Y〜ΔR
4Yは、磁気センサ100にY軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
Y=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量である。ΔR
1Z〜ΔR
4Zは、磁気センサ100にZ軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
Z=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量である。また、R
1i〜R
4iは、第1〜第4磁気検知部210〜240に磁場が与えられない状態での各抵抗値である。ここで、単位磁束密度とは1mTとする。
ところで、磁気検知部は一般に、外部磁場の大きさに比例した抵抗値の変化が生じる線形領域と、外部磁場に関わらず所定の抵抗値が生じる飽和領域とを有する。磁気検知部として用いる素子の種類によっては、磁気センサ100にX軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場を印加したときに、第1磁気検知部210が線形領域で動作しない場合がある。そのような場合は、第1磁気検知部210に線形領域で動作する大きさの外部磁場を印加したときに得られる抵抗値の変化量からΔR
1Xを算出する。即ち、磁気センサ100にX軸方向、且つ、第1磁気検知部210が線形領域で動作する大きさの外部磁場(磁束密度b
X)を印加したときの第1磁気検知部210の抵抗値の変化量をΔr
1Xとする。ΔR
1XはΔR
1X=Δr
1X・1/b
Xにより算出される。同様に、ΔR
2X〜ΔR
4X、ΔR
1Y〜ΔR
4Y、ΔR
1Z〜ΔR
4Zも線形領域で動作する大きさの外部磁場を印加したときの抵抗値の変化量から算出される。
【0012】
演算部330は、第1〜第4磁気検知部210〜240の出力から3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを演算する。例えば、(数1)〜(数4)式を行列式で表すと、
(数5)
となる。
【0013】
上記の行列式が解を有するのは、
(数6)
が逆行列を有する場合である。よって、磁気センサ100は、(数6)式が逆行列を有する場合、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zの各成分をそれぞれ検出できる。磁気センサ100は、(数6)式が逆行列を有するように配置された磁気収束部400及び磁気検知部200を有する。
【0014】
図2は、GMR素子5の斜視図を示す。GMR素子5は、磁気検知部200の一例である。GMR素子5は、反強磁性層1、ピンド層2、スペーサ層3及びフリー層4を備える。
【0015】
GMR素子5は、磁性材料の磁化の向きで電子のスピン散乱が変化するので、GMR素子5の抵抗値が変わる。例えば、抵抗の変化量は、ΔR=(R
AP−R
P)R
Pで表される。ここで、R
APは、ピンド層2とフリー層4の磁化の向きが反平行のときの抵抗値、R
Pは、ピンド層2とフリー層4の磁化の向きが平行のときの抵抗値を示す。
【0016】
反強磁性層1は、ピンド層2の磁化の向きを固定する。例えば、反強磁性層1は、PtMn又はIrMnで形成される。
【0017】
ピンド層2は、反強磁性層1上に形成され、反強磁性層1との磁気結合により磁気モーメントの方向が固定される。また、ピンド層2は反強磁性層1を用いずにセルフバイアス構造を用いても良い。ピンド層2の磁化が固定される方向は、本明細書において、感磁軸と称する。例えば、ピンド層2は、CoFe又はCoFe/Ru/CoFeの積層構造で形成される。
【0018】
スペーサ層3は、電流を流すとスピン散乱が起きる導電層である。例えば、スペーサ層3は、ピンド層2とフリー層4との間にCuで形成される。
【0019】
フリー層4は、スペーサ層3上に形成され、外部磁場Bにより磁化の向きが自由に回転する。例えば、フリー層4は、NiFe又はCoFe/NiFeの積層構造で形成される。本例のフリー層4の磁化容易軸は、ピンド層2の感磁軸と垂直な方向を向く。フリー層4の磁化の向きは、外部磁場Bに応じた角度θだけ回転する。GMR素子5は、フリー層4の磁気モーメントの方向の変化に伴い変化したスペーサ層3の抵抗値を読み取ることにより、外部磁場Bを読み取る。
【0020】
図3は、磁気センサ100の上面図(+Z軸方向から見た平面視)を示す。
図4は、磁気センサ100のA−A断面図を示す。磁気センサ100は、磁気検知ユニット10、基板20及び絶縁層30を備える。また、磁気検知ユニット10は、磁気収束部400及び磁気検知部200を備える。本例の磁気センサ100は、1つの磁気検知ユニット10を備えるが、複数の磁気検知ユニット10を備えてもよい。
【0021】
基板20は、シリコン基板、化合物半導体基板、及びセラミック基板等のいずれであってもよい。また、基板20は、IC等の電子回路を搭載した基板であってもよい。基板20の基板平面22には、絶縁層30等が形成される。絶縁層30の上面は、XY平面に略平行な面として形成され、本例において第1平面32とする。例えば、絶縁層30は、Ta、Cr、NiFeCr、SiO、SiN又はAlOで形成される。
【0022】
磁気収束部400は、磁気検知部200の近傍に配置され、外部磁場Bの方向を変換する。磁気収束部400は、第1〜第4磁気収束部材411〜414を有する。第1〜第4磁気収束部材411〜414は、Z軸方向に厚みを有し、平面視で、Y軸方向に長手方向を有する矩形である。これに代えて、第1〜第4磁気収束部材411〜414の形状は、矩形に限らず、Y軸方向に略平行な向きに長手方向をもつ四角形、平行四辺形、台形のいずれであってもよい。また、第1〜第4磁気収束部材411〜414は、各々がY軸方向に平行であり、且つ、Y軸方向に平行な各々の長辺が同一の長さを有する例を示したが、これに代えて、各々の長辺が異なる長さであってもよい。また、第1〜第4磁気収束部材411〜414は、X軸方向に平行な各々の短辺が同一の長さを有する例を示したが、これに代えて、各々の短辺が異なる長さであってもよい。第1磁気収束部材411及び第3磁気収束部材413は、第2磁気収束部材412及び第4磁気収束部材414に対して+Y軸方向にずれて配置される。第1〜第4磁気収束部材411〜414は、基板20に対して略平行で、且つ、互いに略平行である。第1〜第4磁気収束部材411〜414は、NiFe、NiFeB、NiFeCo、CoFeなどの軟磁性材料で形成されてよい。
【0023】
本例の磁気検知部200は、第1〜第4磁気検知部210〜240で構成される。第1〜第4磁気検知部210〜240は、基板20上又は基板20内に配置される。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240の−Z軸方向側の端面は、XY平面に略平行な面として形成され、本例において第2平面34とする。例えば、磁気検知部200は、高いMR比を実現する観点からGMR素子又はトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto−Resistance)素子である。磁気検知部200は、磁気抵抗効果素子、GMR素子及びTMR素子のいずれか単一の素子で構成されてもよく、複数の素子を直列に接続してもよい。
【0024】
[実施形態1]
図5は、磁気センサ100の構成の一例を示す。
図5(a)は磁気センサ100の上面図、
図5(b)は
図5(a)のA−A断面図である。
図5(c)は、磁気検知部200の感磁軸方向を示す。
【0025】
本例の第1磁気検知部210及び第2磁気検知部220は、+X軸方向に感磁軸を有する。一方、第3磁気検知部230及び第4磁気検知部240は、−X軸方向に感磁軸を有する。このように、第1磁気検知部210と第2磁気検知部220の感磁軸方向と、第3磁気検知部230と第4磁気検知部240の感磁軸方向とを180度回転させることにより、磁気センサ100は、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。第1〜第4磁気検知部210〜240の各々の抵抗値は、外部磁場Bが与えられていない場合、
R
1=R
1i、R
2=R
2i、R
3=R
3i、R
4=R
4i
となる。
【0026】
また、第1〜第4磁気検知部210〜240が全て同じ材料、同じ形状で形成される場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の各々の抵抗値R
1〜R
4が同じ大きさになる。なお、第1〜第4磁気検知部210〜240の材料及び形状が異なる場合であっても、第1〜第4磁気検知部210〜240の各々の抵抗値R
1〜R
4が同じ大きさとなる場合もある。第1〜第4磁気検知部210〜240の各々の抵抗値R
1〜R
4を同じにすると、演算部330の演算量を低減できる。
【0027】
図6は、実施形態1に係る磁気センサ100に外部磁場B
Xが与えられた場合の磁束を示す。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、磁気センサ100に+X軸方向の外部磁場B
Xが与えられた場合、+X軸方向の磁束が入力される位置に配置される。逆に、第1〜第4磁気検知部210〜240は、磁気センサ100に+X軸方向の外部磁場B
Xが与えられた場合、−X軸方向の磁束が入力される位置に配置されてよい。なお、本明細書において、+X軸方向の外部磁場B
Xとは、符号が正の外部磁場B
Xを指す。
【0028】
第1〜第4磁気検知部210〜240における外部磁場B
xの変換効率を、α
R1からα
R4とすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=α
R1・B
X・L
1・δr
1+R
1i
R
2=α
R2・B
X・L
2・δr
2+R
2i
R
3=α
R3・B
X・L
3・δr
3+R
3i
R
4=α
R4・B
X・L
4・δr
4+R
4i
【0029】
なお、外部磁場B
Xの変換効率α
R1とは、第1磁気検知部210の近傍に配置された磁気収束部400によって、外部磁場B
Xが、第1磁気検知部210の中心位置上で、第1磁気検知部210の感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。また、感磁軸の正方向の磁場とは、磁気検知部200の抵抗値が上がる方向の磁場を指す。変換効率α
R2〜α
R4も同様に、外部磁場B
Xが、第2磁気検知部220から第4磁気検知部240の中心位置上で、感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。
【0030】
δr
1〜δr
4は、第1〜第4磁気検知部210〜240の単位長さ当たりの磁気抵抗変化率である。また、L
1〜L
4は、第1〜第4磁気検知部210〜240の長さである。即ち、第1〜第4磁気検知部210〜240の磁気抵抗変化率と長さとの積L
1・δr
1〜L
4・δr
4は、第1〜第4磁気検知部210〜240全体の磁気抵抗変化率である。磁気抵抗変化率とは、単位磁束密度の磁場が与えられたときの磁気検知部200の抵抗値の変化率を指す。
【0031】
ここで、第1〜第4磁気検知部210〜240全体の磁気抵抗変化率δR
1〜δR
4とすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=δR
1α
R1B
X+R
1i
R
2=δR
2α
R2B
X+R
2i
R
3=δR
3α
R3B
X+R
3i
R
4=δR
4α
R4B
X+R
4i
磁気検知部200として同じ素子を用いる場合、磁気抵抗変化率δR
1〜δR
4はそれぞれ等しくなる。また、第1〜第4磁気検知部210〜240としてそれぞれ異なる材料及び形状を用いる場合であっても、磁気抵抗変化率δR
1〜δR
4をそれぞれ等しく調整できる。
【0032】
また、
図6(b)に示す通り、磁気検知部200は、互いに外部磁場B
Xの変換効率の絶対値が等しくなるように、磁気収束部400の近傍に配置される。また、第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Xが印加された場合に、第1〜第4磁気検知部210〜240に入力する磁束の向きが同じ向きとなる位置に配置される。第1磁気検知部210及び第2磁気検知部220の感磁軸の方向と、第3磁気検知部230及び第4磁気検知部240の感磁軸の方向が180度異なるため、α
R1の符号を正の符号とした場合、α
R2は正の符号、α
R3は負の符号、α
R4は負の符号となる。外部磁場B
Xの係数δR
1α
R1〜δR
4α
R4を、磁気収束部400と磁気検知部200の配置により決定される定数aを用いて以下のように表すことができる。
δR
1α
R1=δR
2α
R2=a
δR
3α
R3=δR
4α
R4=−a
【0033】
係数aを用いると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
R
1=+a・B
X+R
1i
R
2=+a・B
X+R
2i
R
3=−a・B
X+R
3i
R
4=−a・B
X+R
4i
【0034】
さらに、磁気センサ100にX軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
X=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量をΔR
1X〜ΔR
4Xとすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=ΔR
1X・B
X+R
1i
R
2=ΔR
2X・B
X+R
2i
R
3=ΔR
3X・B
X+R
3i
R
4=ΔR
4X・B
X+R
4i
【0035】
図7は、磁気センサ100に外部磁場B
Yが与えられた場合の磁束を示す。第2磁気検知部220及び第3磁気検知部230は、磁気センサ100に+Y軸方向の外部磁場B
Yが与えられた場合、+X軸方向に磁束が入力される位置に配置され、且つ、第1磁気検知部210及び第4磁気検知部240は、−X軸方向の磁束が入力される位置に配置される。逆に、第2磁気検知部220及び第3磁気検知部230は、磁気センサ100に+Y軸方向の外部磁場B
Yが与えられた場合、−X軸方向に磁束が入力される位置に配置され、且つ、第1磁気検知部210及び第4磁気検知部240は、+X軸方向の磁束が入力される位置に配置されてよい。なお、本明細書において、+Y軸方向の外部磁場B
Yとは、符号が正の外部磁場B
Yを指す。
【0036】
第1〜第4磁気検知部210〜240における外部磁場B
Yの変換効率を、β
R1からβ
R4とすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=β
R1・B
Y・L
1・δr
1+R
1i
R
2=β
R2・B
Y・L
2・δr
2+R
2i
R
3=β
R3・B
Y・L
3・δr
3+R
3i
R
4=β
R4・B
Y・L
4・δr
4+R
4i
【0037】
なお、外部磁場B
Yの変換効率β
R1とは、第1磁気検知部210の近傍に配置された磁気収束部400によって、外部磁場B
Yが、第1磁気検知部210の中心位置上で、第1磁気検知部210の感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。変換効率β
R2〜β
R4も同様に、外部磁場B
Yが、第2磁気検知部220から第4磁気検知部240の中心位置上で、感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。
【0038】
ここで、第1〜第4磁気検知部210〜240の磁気抵抗変化率δR
1〜δR
4を用いると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=δR
1β
R1B
Y+R
1i
R
2=δR
2β
R2B
Y+R
2i
R
3=δR
3β
R3B
Y+R
3i
R
4=δR
4β
R4B
Y+R
4i
【0039】
また、
図7(b)に示す通り、磁気検知部200は、互いに外部磁場B
Yの変換効率の絶対値が等しくなるように、磁気収束部400の近傍に配置されている。また、第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Yが印加された場合に、第1磁気検知部210及び第4磁気検知部240に入力する磁束の向きが同じ向きとなる位置に配置され、第2磁気検知部220及び第3磁気検知部230に入力する磁束の向きが同じ向きとなる位置に配置される。第1磁気検知部210及び第2磁気検知部220の感磁軸の方向と、第3磁気検知部230及び第4磁気検知部240の感磁軸の方向が180度異なるため、α
R1の符号を負の符号とした場合、α
R2は正の符号、α
R3は負の符号、α
R4は正の符号となる。δR
1β
R1〜δR
4β
R4を、磁気収束部400と磁気検知部200の配置により決定される定数bを用いて以下のように表すことができる。
δR
1β
R1=δR
3β
R3=−b
δR
2β
R2=δR
4β
R4=b
【0040】
これにより、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
R
1=−b・B
Y+R
1i
R
2=+b・B
Y+R
2i
R
3=−b・B
Y+R
3i
R
4=+b・B
Y+R
4i
【0041】
さらに、磁気センサ100にY軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
Y=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量をΔR
1Y〜ΔR
4Yとすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=ΔR
1Y・B
Y+R
1i
R
2=ΔR
2Y・B
Y+R
2i
R
3=ΔR
3Y・B
Y+R
3i
R
4=ΔR
4Y・B
Y+R
4i
【0042】
図8は、磁気センサ100に外部磁場B
Zが与えられた場合の磁束を示す。第1磁気検知部210及び第3磁気検知部230は、磁気センサ100に+Z軸方向の外部磁場B
Zが与えられた場合、+X軸方向に磁束が入力される位置に配置され、且つ、第2磁気検知部220及び第4磁気検知部240は、−X軸方向に磁束が入力される位置に配置される。逆に、第1磁気検知部210及び第3磁気検知部230は、磁気センサ100に+Z軸方向の外部磁場B
Zが与えられた場合、−X軸方向に磁束が入力される位置に配置され、且つ、第2磁気検知部220及び第4磁気検知部240は、+X軸方向に磁束が入力される位置に配置されてよい。なお、本明細書において、+Z軸方向の外部磁場B
Zとは、符号が正の外部磁場B
Zを指す。
【0043】
第1〜第4磁気検知部210〜240における外部磁場B
Zの変換効率を、γ
R1からγ
R4とすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=γ
R1・B
Z・L
1・δr
1+R
1i
R
2=γ
R2・B
Z・L
2・δr
2+R
2i
R
3=γ
R3・B
Z・L
3・δr
3+R
3i
R
4=γ
R4・B
Z・L
4・δr
4+R
4i
なお、外部磁場B
Zの変換効率γ
R1とは、第1磁気検知部210の近傍に配置された磁気収束部400によって、外部磁場B
Zが、第1磁気検知部210の中心位置上で、第1磁気検知部210の感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。変換効率γ
R2〜γ
R4も同様に、外部磁場B
Zが、第2磁気検知部220から第4磁気検知部240の中心位置上で、感磁軸の正方向の磁場にどれだけ変換されたかを示すパラメータである。
【0044】
ここで、第1〜第4磁気検知部210〜240の磁気抵抗変化率δR
1〜δR
4を用いると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=δR
1γ
R1B
Z+R
1i
R
2=δR
2γ
R2B
Z+R
2i
R
3=δR
3γ
R3B
Z+R
3i
R
4=δR
4γ
R4B
Z+R
4i
【0045】
また、
図8(b)に示す通り、磁気検知部200は、互いに外部磁場B
Zの変換効率の絶対値が等しくなるように、磁気収束部400の近傍に配置されている。また、第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Zが印加された場合に、第1磁気検知部210及び第3磁気検知部230に入力する磁束の向きが同じ向きとなる位置に配置され、第2磁気検知部220及び第4磁気検知部240に入力する磁束の向きが同じ向きとなる位置に配置される。第1磁気検知部210及び第2磁気検知部220の感磁軸の方向と、第3磁気検知部230及び第4磁気検知部240の感磁軸の方向が180度異なるため、α
R1の符号を正の符号とした場合、α
R2は負の符号、α
R3は負の符号、α
R4は正の符号となる。δR
1γ
R1〜δR
4γ
R4を、磁気収束部400と磁気検知部200の配置により決定される定数cを用いて以下のように表すことができる。
δR
1γ
R1=δR
4γ
R4=c
δR
2γ
R2=δR
3γ
R3=−c
【0046】
これにより、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
R
1=+c・B
Z+R
1i
R
2=−c・B
Z+R
2i
R
3=−c・B
Z+R
3i
R
4=+c・B
Z+R
4i
【0047】
さらに、磁気センサ100にZ軸方向、且つ、単位磁束密度の外部磁場B
Z=1を印加したときの第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値の各変化量をΔR
1Z〜ΔR
4Zとすると、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は、以下のようになる。
R
1=ΔR
1Z・B
Z+R
1i
R
2=ΔR
2Z・B
Z+R
2i
R
3=ΔR
3Z・B
Z+R
3i
R
4=ΔR
4Z・B
Z+R
4i
【0048】
以上の通り、
図6〜
図8に示した、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zが磁気センサ100に与えられた場合の第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値を算出した。例えば、磁気センサ100に3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zがそれぞれ与えられた場合の第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値は、以下の通り算出される。
(数7)
R
1=+a・B
X−b・B
Y+c・B
Z+R
1i
(数8)
R
2=+a・B
X+b・B
Y−c・B
Z+R
2i
(数9)
R
3=−a・B
X−b・B
Y−c・B
Z+R
3i
(数10)
R
4=−a・B
X+b・B
Y+c・B
Z+R
4i
R
1i=R
2i=R
3i=R
4iとすれば、
(数7)+(数8)−(数9)−(数10)式より、
(R
1+R
2−R
3−R
4)=4aB
X
(数8)+(数10)−(数7)−(数9)式より、
(R
2+R
4−R
1−R
3)=4bB
Y
(数7)+(数10)−(数8)−(数9)式より、
(R
1+R
4−R
2−R
3)=4cB
Z
となる。
【0049】
図9は、磁気センサ100の構成の一例を示す。本例では、第1〜第4磁気検知部210〜240のうちのいずれか1つの磁気検知部200の感磁軸方向がその他の磁気検知部200の感磁軸方向と180度異なる。より具体的には、本例の磁気検知部200は、+X軸方向に感磁軸を有する第1磁気検知部210、第2磁気検知部220及び第4磁気検知部240と、−X軸方向に感磁軸を有する第3磁気検知部230を備える。
【0050】
この場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
(数11)
R
1=+a・B
X−b・B
Y+c・B
Z+R
1i
(数12)
R
2=+a・B
X+b・B
Y−c・B
Z+R
2i
(数13)
R
3=−a・B
X−b・B
Y−c・B
Z+R
3i
(数14)
R
4=+a・B
X−b・B
Y−c・B
Z+R
4i
【0051】
R
1i=R
2i=R
3i=R
4iとすれば、
(数14)−(数13)式より、
(R
4−R
3)=2aB
X
(数12)−(数14)式より、
(R
2−R
4)=2bB
Y
(数11)−(数14)式より、
(R
1−R
4)=2cB
Z
となる。
【0052】
以上の通り、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zのそれぞれが、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4を用いて算出される。即ち、第3磁気検知部230の感磁軸方向のみが他の磁気検知部200の感磁軸方向と180度異なれば、磁気センサ100は3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。
【0053】
図10は、磁気センサ100の構成の一例を示す。本例では、第1〜第4磁気検知部210〜240のうちのいずれか1つの磁気検知部200の感磁軸方向がその他の磁気検知部200の感磁軸方向と180度異なる。より具体的には、本例の磁気検知部200は、+X軸方向に感磁軸を有する第1磁気検知部210、第2磁気検知部220及び第3磁気検知部230と、−X軸方向に感磁軸を有する第4磁気検知部240を備える。
【0054】
この場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4は以下のようになる。
(数15)
R
1=+a・B
X−b・B
Y+c・B
Z+R
1i
(数16)
R
2=+a・B
X+b・B
Y−c・B
Z+R
2i
(数17)
R
3=+a・B
X+b・B
Y+c・B
Z+R
3i
(数18)
R
4=−a・B
X+b・B
Y+c・B
Z+R
4i
【0055】
R
1i=R
2i=R
3i=R
4iとすれば、
(数17)−(数18)式より、
(R
3−R
4)=2aB
X
(数17)−(数15)式より、
(R
3−R
1)=2bB
Y
(数17)−(数16)式より、
(R
3−R
2)=2cB
Z
となる。
【0056】
以上の通り、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zのそれぞれが、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値R
1〜R
4を用いて算出される。即ち、磁気センサ100は、第4磁気検知部240の感磁軸方向のみが他の磁気検知部200の感磁軸方向と180度異なれば、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。このように、磁気センサ100は、磁気検知部200の一部について、感磁軸方向を180度反転させることにより、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。
【0057】
[実施形態2]
図11は、実施形態2に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。本例の磁気センサ100は、磁気収束部500及び第1〜第4磁気検知部210〜240を備える。
【0058】
磁気収束部500は、磁気検知部200の近傍に配置され、外部磁場Bの方向を変換する。磁気収束部500は、Z軸方向に厚みを有し、平面視で、Y軸方向に長手方向を有する矩形である。磁気収束部500の形状は、Y軸方向に略平行な向きに長手方向をもつ四角形、平行四辺形、台形のいずれであってもよい。磁気収束部500は、NiFe、NiFeB、NiFeCo、CoFeなどの軟磁性材料で形成される。
【0059】
第1〜第4磁気検知部210〜240は、各々に入力される磁束に応じた信号を出力する。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、平面視で、Y軸方向に長手方向を有する矩形状の、薄板形状である。第1〜第4磁気検知部210〜240は、それぞれが異なる形状及びサイズを有してよい。
【0060】
本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、厚み、幅、長さとも、磁気収束部500よりも小さい。第1〜第4磁気検知部210〜240の長手方向の長さは、磁気収束部500の長手方向の長さの1/2よりも短い。
【0061】
第1磁気検知部210は、平面視で、磁気収束部500の長手方向に沿って延びる−X軸方向側の縁部と、第1磁気検知部210の長手方向に沿って延びる+X軸方向側の縁部のみとが重なるように配置される。また、第1磁気検知部210は、平面視で、+Y軸方向側の端部が、磁気収束部500の+Y軸方向側の端部と一致するように配置される。
【0062】
第2磁気検知部220は、平面視で、磁気収束部500の長手方向に沿って延びる+X軸方向側の縁部と、第2磁気検知部220の長手方向に沿って延びる−X軸方向側の縁部のみとが重なるように配置される。また、第2磁気検知部220は、平面視で、+Y軸方向側の端部が、磁気収束部500の+Y軸方向側の端部と一致するように配置される。
【0063】
第3磁気検知部230は、平面視で、磁気収束部500の長手方向に沿って延びる−X軸方向側の縁部と、第3磁気検知部230の長手方向に沿って延びる+X軸方向側の縁部のみとが重なるように配置される。また、第3磁気検知部230は、−Y軸方向側の端部が磁気収束部500の−Y軸方向側の端部と平面視で一致するように配置される。
【0064】
第4磁気検知部240は、平面視で磁気収束部500の長手方向に沿って延びる+X軸方向側の縁部と、第4磁気検知部240の長手方向に沿って延びる−X軸方向側の縁部のみとが重なるように配置される。また、第4磁気検知部240は、−Y軸方向側の端部が磁気収束部500の−Y軸方向側の端部と平面視で一致するように配置される。
【0065】
即ち、第1磁気検知部210と第3磁気検知部230とは予め定められた間隔を空けて配置される。同様に、第2磁気検知部220と第4磁気検知部240とは予め定められた間隔を空けて配置される。なお、本例において、第1磁気検知部210及び第2磁気検知部220の+Y軸方向側の端部と、磁気収束部500の+Y軸方向側の端部とが平面視で一致するが、一致しなくともよい。また、第3磁気検知部230及び第3磁気検知部230の−Y軸方向側の端部が平面視で一致するが一致しなくともよい。
【0066】
また、第1〜第4磁気検知部210〜240と磁気収束部500とは、平面視で、縁部が重なっていなくてもよい。また、第1〜第4磁気検知部210〜240と磁気収束部500とは、より広い範囲で縁部が重なってもよい。要は、X軸方向に磁場変換された外部磁場B
Y及びB
Zを検知できる位置関係にあればよい。第1〜第4磁気検知部210〜240と磁気収束部500とを、平面視で重なるように配置することにより検知感度を向上できる。
【0067】
第1〜第4磁気検知部210〜240の長手方向の中心線、及び、磁気収束部500の長手方向の中心線はそれぞれ平行である。また、第1〜第4磁気検知部210〜240は、磁気収束部500の短手方向および長手方向の中心線のそれぞれに対して線対称となるように配置される。なお、本明細書において、長手方向の中心線とは中心点を通る長手方向に延びる線分を指し、短手方向の中心線とは中心点を通る短手方向に延びる線分を指す。また、中心点とは、平面視で、幅および長さがともに中央となる点を指す。
【0068】
図12は、磁気センサ100に外部磁場B
Xが与えられた場合の磁束を示す。
図12(a)は、磁気センサ100の上面図を示し、
図12(b)は、磁気センサ100のA−A断面図を示す。
【0069】
X軸方向の外部磁場Bxは、磁気収束部500によって係数aで磁場変換される。これにより、第1〜第4磁気検知部210〜240に対して、全て+X軸方向に磁場aB
Xが与えられる。つまり、実施形態1に係る磁気センサ100と同様に、磁気センサ100の+X軸方向に磁場B
Xが与えられた場合、第1〜第4磁気検知部210〜240には、+X軸方向の磁束が入力される。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Xが係数aで磁場変換されるように配置されたが、係数がそれぞれ異なるように配置されてもよい。
【0070】
図13は、磁気センサ100に外部磁場B
Yが与えられた場合の磁束を示す。
図13は、磁気センサ100の上面図を示す。
【0071】
Y軸方向の外部磁場Byは、磁気収束部500によって係数bで磁場変換される。これにより、第1磁気検知部210及び第4磁気検知部240には、−X軸方向に磁場bB
Yが与えられ、第2磁気検知部220及び第3磁気検知部230には、+X軸方向に磁場bB
Yが与えられる。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Yが係数bで磁場変換されるように配置されたが、係数がそれぞれ異なるように配置されてもよい。
【0072】
図14は、磁気センサ100に外部磁場B
Zが与えられた場合の磁束を示す。
図14は、磁気センサ100のA−A断面図を示す。
【0073】
Z軸方向の外部磁場Bzは、磁気収束部500によって係数cで磁場変換される。これにより、第1磁気検知部210及び第3磁気検知部230には、+X軸方向に磁場cB
Zが与えられ、第2磁気検知部220及び第4磁気検知部240には、−X軸方向に磁場cB
Zが与えられる。本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、外部磁場B
Zが係数cで磁場変換されるように配置されたが、係数がそれぞれ異なるように配置されてもよい。
【0074】
図12から
図14を踏まえると、実施形態2に係る第1〜第4磁気検知部210〜240には、実施形態1に係る第1〜第4磁気検知部210〜240と同一の方向に外部磁場Bに起因する磁束が入力される。即ち、磁気センサ100が3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる場合の、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向の組み合わせが、実施形態1及び2で等しい。
【0075】
[実施形態3]
図15は、実施形態3に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。
図16は、実施形態3に係る磁気センサ100のA−A断面図を示す。本例の磁気センサ100は、磁気検知ユニット10a及び磁気検知ユニット10bを備える。磁気検知ユニット10a及び磁気検知ユニット10bは、互いに略鏡像となるように配置される。本明細書では、始めに、磁気検知ユニット10aについて説明するが、磁気検知ユニット10bも磁気検知ユニット10aと略鏡像に配置される以外は基本的に同一の構成となる。
【0076】
第1磁気収束部110a及び第2磁気収束部120aは、XY面に平行な同一の面に形成される。第1磁気収束部110a及び第2磁気収束部120aは、パーマロイ等の磁性材料で形成され、当該磁気収束部の近傍の磁力線の向きを変化させる。例えば、第1磁気収束部110a及び第2磁気収束部120aは、NiFe、NiFeB、NiFeCo、及びCoFe等の軟磁性材料で形成される。
【0077】
第1磁気収束部110aは、第1磁気収束部材111aと、第2磁気収束部材112aとを含む。第1磁気収束部材111aは、X軸方向に延伸する。第2磁気収束部材112aは、第1磁気収束部材111aの+X軸方向側の端部に接続され、−Y軸方向に延伸する。第2磁気収束部材112aの+Y軸方向側の端部は、平面視で、第1磁気収束部材111aの+X軸方向側の端部と連結される。
【0078】
第2磁気収束部120aは、第3〜5磁気収束部材113a〜115aを含む。第3磁気収束部材113aは、第1磁気収束部材111aの−X軸方向側の端部よりも+X軸方向側に寄り、第2磁気収束部材112aよりも−X軸方向側に寄り、第1磁気収束部材111aよりも−Y軸方向側に寄り、且つ、第2磁気収束部材112aの−Y軸方向側の端部よりも−Y軸方向側へ延伸する。本例では、平面視で、第3磁気収束部材113aの−Y軸方向側の端と、第4磁気収束部材114aの−X軸方向側の端とが連結され、且つ、平面視で、第4磁気収束部材114aの+X軸方向側の端と、第5磁気収束部材115aの−Y軸方向側の端とが連結される。
【0079】
第3磁気収束部材113aは、Y軸方向に延伸し、X軸方向から見て、第2磁気収束部材112aと一部が重なるように配置される。例えば、第3磁気収束部材113aは、第2磁気収束部材112aに対して、予め定められた距離だけ−Y軸方向にずらして形成される。また、第3磁気収束部材113aは、Y軸方向から見て、第1磁気収束部材111aと重なるように配置される。即ち、第3磁気収束部材113aのX軸の配置は、第1磁気収束部材111aがX軸に配置される範囲内となる。
【0080】
第4磁気収束部材114aは、第3磁気収束部材113aと、第3磁気収束部材113aの−Y軸方向側の端部に接続され、第1磁気収束部材111aのX軸方向の正側の端部よりもX軸方向の正側に延伸する。即ち、第4磁気収束部材114aは、X軸方向に延伸し、Y軸方向から見て、第1磁気収束部材111aと一部が重なるように配置される。例えば、第4磁気収束部材114aは、第1磁気収束部材111aに対して、予め定められた距離だけ+X軸方向にずらして形成される。
【0081】
第5磁気収束部材115aは、Y軸方向に延伸し、X軸方向から見て、第2磁気収束部材112aと一部が重なるように配置される。例えば、第5磁気収束部材115aは、第2磁気収束部材112aに対して、予め定められた距離だけ−Y軸方向にずらして形成される。また、第5磁気収束部材115aは、Y軸方向から見て、第1磁気収束部材111aと重ならないように配置される。即ち、第5磁気収束部材115aのX軸の配置は、第1磁気収束部材111aがX軸に配置される範囲外となる。
【0082】
第2磁気収束部材112a、第3磁気収束部材113a、及び第5磁気収束部材115aは、互いにY軸方向に略平行となるように、第3磁気収束部材113a、第2磁気収束部材112a、第5磁気収束部材115aの順で−X軸方向側から+X軸方向側に並び、平面視で、隣り合う2つの一方に対して他方が長手方向(Y軸方向)にずれて配置される。第2磁気収束部材112a、第3磁気収束部材113a及び第5磁気収束部材115aは、形状がY軸方向に長手方向をもった矩形であり、各々がY軸方向に平行な向きに、並列に配置される例を示す。これに代えて、第2磁気収束部材112a、第3磁気収束部材113a及び第5磁気収束部材115aの形状は、矩形に限らず、Y軸方向に略平行な向きに長手方向をもつ四角形、平行四辺形、台形のいずれであってもよい。
【0083】
第1〜第5磁気収束部材111a〜115aは、Z軸方向に厚さをもち、第1平面32に重なる。また、第1〜第5磁気収束部材111a〜115aのそれぞれは、底面が第1平面32に接するように配置されてよく、また、それぞれの一部が第1平面32に交差するように配置されてもよい。また、第1〜第5磁気収束部材111a〜115aは、Z軸方向の厚さが略同一の厚さに形成される例を示すが、これに代えて、各々の厚さが不揃いであってもよい。
【0084】
第1磁気検知部210aは、第2磁気収束部材112aと第3磁気収束部材113aとの間に配置され、Y軸方向に延伸する。第1磁気検知部210aは、第2磁気収束部材112aよりも第3磁気収束部材113aまでの距離が小さくなるように配置される。
【0085】
第2磁気検知部220aは、第2磁気収束部材112aと第5磁気収束部材115aとの間に配置され、Y軸方向に延伸する。第2磁気検知部220aは、第5磁気収束部材115aよりも第2磁気収束部材112aまでの距離が小さくなるように配置される。
【0086】
第3磁気検知部230aは、第2磁気収束部材112aと第3磁気収束部材113aとの間に配置され、Y軸方向に延伸する。第3磁気検知部230aは、第3磁気収束部材113aよりも第2磁気収束部材112aまでの距離が小さくなるように配置される。
【0087】
第4磁気検知部240aは、第2磁気収束部材112aと第5磁気収束部材115aとの間に配置され、Y軸方向に延伸する。第4磁気検知部240aは、第2磁気収束部材112aよりも第5磁気収束部材115aまでの距離が小さくなるように配置される。
【0088】
第1〜第4磁気検知部210a〜240aは、例えば、基板平面22に形成された絶縁層30の内部に形成される。第1〜第4磁気検知部210a〜240aは、絶縁層30のXY平面に略平行な第2平面34上に配置され、X軸方向の磁場にのみ感知するように形成される。第1〜第4磁気検知部210a〜240aは、各々の底面が第2平面34に接するように配置されてよく、また、各々の一部が第2平面34に交差するように配置されてもよい。また、第1〜第4磁気検知部210a〜240aは、Z軸方向の厚さが略同一の厚さに形成される例を示すが、これに代えて、各々の厚さが不揃いであってもよい。第1〜第4磁気検知部210a〜240aのそれぞれの形状は、平面視で、四角形、正方形、平行四辺形、台形、三角形、多角形、円形、及び楕円形等のいずれであってもよい。
【0089】
第1磁気検知部210a及び第3磁気検知部230aは、X軸方向から見て、範囲R1内に少なくとも一部が配置され、当該範囲R1にある磁気検知部でX軸方向の磁場を感知する。ここで、範囲R1とは、第2磁気収束部材112a及び第3磁気収束部材113aの間において、Y軸方向に直交する平面が、第2磁気収束部材112a及び第3磁気収束部材113aのいずれにも交差するY軸方向に沿った範囲である。
【0090】
第2磁気検知部220a及び第4磁気検知部240aは、X軸方向から見て、範囲R2内に少なくとも一部が配置され、当該範囲R2にある磁気検知部でX軸方向の磁場を感知する。ここで、範囲R2とは、第2磁気収束部材112a及び第5磁気収束部材115aの間において、Y軸方向に直交する平面が、第2磁気収束部材112a及び第5磁気収束部材115aのいずれにも交差するY軸方向に沿った範囲である。
【0091】
一方、磁気検知ユニット10bは、第1磁気収束部110aに対応する第3磁気収束部110b、第2磁気収束部120aに対応する第4磁気収束部120b、及び第1〜第4磁気検知部210a〜240aに対応する第5〜第8磁気検知部210b〜240bを備える。第3磁気収束部110bは、第1磁気収束部材111a及び第2磁気収束部材112aに対応する、第6磁気収束部材111b及び第7磁気収束部材112bを有する。また、第4磁気収束部120bは、第3〜5磁気収束部材113a〜115aに対応する、第8〜第10磁気収束部材113b〜115bを有する。
【0092】
例えば、第2磁気検知ユニット10bの配置パターンは、第1磁気検知ユニット10aと等距離に位置する点Qを含む基板平面22に垂直なYZ平面に、面対称な位置関係となるように配置される。ここで、第1磁気検知ユニット10a及び第2磁気検知ユニット10bは、予め定められた距離だけ離間され、第1平面32及び第2平面34に配置される。第2磁気検知ユニット10bが有する磁気収束部材及び磁気検知部は、第1磁気検知ユニット10aが有する磁気収束部材及び磁気検知部にそれぞれ対応し、形状及び材質も略同一に形成されてよい。
【0093】
図17は、実施形態3に係る磁気センサ100の磁束の向きを示す。磁気センサ100には、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zがそれぞれ与えられる。
【0094】
磁気センサ100に外部磁場B
Xを与えた場合に、第2磁気収束部材112aから第3磁気収束部材113a及び第5磁気収束部材115aに向かう磁路が形成される。即ち、+X軸方向に与えられた外部磁場B
Xは、第2磁気収束部材112aと第3磁気収束部材113aとの間で、−X軸方向の磁場を生じさせる。また、+X軸方向に与えられた外部磁場B
Xは、第2磁気収束部材112aと第5磁気収束部材115aとの間で、+X軸方向の磁場を生じさせる。
【0095】
また、磁気センサ100に外部磁場B
Xを与えた場合に、第8磁気収束部材113b及び第10磁気収束部材115bから第7磁気収束部材112bに向かう磁路が形成される。即ち、+X軸方向に与えられた外部磁場B
Xは、第7磁気収束部材112bと第8磁気収束部材113bとの間で、−X軸方向の磁場を生じさせる。また、+X軸方向に与えられた外部磁場B
Xは、第7磁気収束部材112bと第10磁気収束部材115bとの間で、+X軸方向の磁場を生じさせる。
【0096】
磁気センサ100に外部磁場B
Yを与えた場合に、第3磁気収束部材113a及び第5磁気収束部材115aから第2磁気収束部材112aに向かう磁路が形成される。即ち、+Y軸方向に与えられた外部磁場B
Yは、第2磁気収束部材112aと第3磁気収束部材113aとの間で、+X軸方向の磁場を生じさせる。また、+Y軸方向に与えられた外部磁場B
Yは、第5磁気収束部材115aと第2磁気収束部材112aとの間で、−X軸方向の磁場を生じさせる。
【0097】
また、磁気センサ100に外部磁場B
Yを与えた場合に、第8磁気収束部材113b及び第10磁気収束部材115bから第7磁気収束部材112bに向かう磁路が形成される。即ち、+Y軸方向に与えられた外部磁場B
Yは、第7磁気収束部材112bと第8磁気収束部材113bとの間で、−X軸方向の磁場を生じさせる。また、+Y軸方向に与えられた外部磁場B
Yは、第10磁気収束部材115bと第7磁気収束部材112bとの間で、+X軸方向の磁場を生じさせる。
【0098】
磁気センサ100に外部磁場B
Zを与えた場合に、第1磁気検知部210a及び第2磁気検知部220aには、−X軸方向の磁路が形成され、第3磁気検知部230a及び第4磁気検知部240aには、+X軸方向の磁路が形成される。
【0099】
また、磁気センサ100に外部磁場B
Zを与えた場合に、第5磁気検知部210b及び第6磁気検知部220bには、+X軸方向の磁路が形成され、第7磁気検知部230b及び第8磁気検知部240bには、−X軸方向の磁路が形成される。
【0100】
以上の通り、本例の磁気センサ100に3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zが与えられた場合、第1〜第8磁気検知部210a〜240bにはX軸方向の磁束が入力される。即ち、実施形態1及び2に係る磁気センサ100と同様に計算すると、第1〜第8磁気検知部210a〜240bの抵抗値R
A〜R
Hは以下のようになる。
(数19)
R
A=ΔR
AX・B
X+ΔR
AY・B
Y+ΔR
AZ・B
Z+R
Ai
(数20)
R
B=ΔR
BX・B
X+ΔR
BY・B
Y+ΔR
BZ・B
Z+R
Bi
(数21)
R
C=ΔR
CX・B
X+ΔR
CY・B
Y+ΔR
CZ・B
Z+R
Ci
(数22)
R
D=ΔR
DX・B
X+ΔR
DY・B
Y+ΔR
DZ・B
Z+R
Di
(数23)
R
E=ΔR
EX・B
X+ΔR
EY・B
Y+ΔR
EZ・B
Z+R
Ei
(数24)
R
F=ΔR
FX・B
X+ΔR
FY・B
Y+ΔR
FZ・B
Z+R
Fi
(数25)
R
G=ΔR
GX・B
X+ΔR
GY・B
Y+ΔR
GZ・B
Z+R
Gi
(数26)
R
H=ΔR
HX・B
X+ΔR
HY・B
Y+ΔR
HZ・B
Z+R
Hi
【0101】
本実施形態に係る磁気センサ100は、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出する場合、第1〜第8磁気検知部210a〜240bの中から、予め定められた第1〜第4磁気検知部210〜240を選択する。即ち、(数19)〜(数26)式の8式から、任意の4式を選択し、(数1)〜(数4)式に置き換える。なお、第1〜第4磁気検知部210〜240は、第1〜第8磁気検知部210a〜240bの感磁軸の向きに応じて選択される。即ち、置き換えられた(数1)〜(数4)式から算出される(数6)式が逆行列を有するように、(数19)〜(数26)式から(数1)〜(数4)式に対応する4式が選択される。
【0102】
例えば、第1〜第8磁気検知部210a〜240bの感磁軸の向きが全て+X軸方向である場合、第1磁気検知部210a、第3磁気検知部230a、第7磁気検知部230b及び第8磁気検知部240bを、それぞれ第1〜第4磁気検知部210〜240として選択する。この場合、磁気センサ100に3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zがそれぞれ与えられた場合の第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値は、以下の通り算出される。
【0103】
(数27)
R
1=−a・B
X+b・B
Y−c・B
Z+R
1i
(数28)
R
2=−a・B
X+b・B
Y+c・B
Z+R
2i
(数29)
R
3=−a・B
X−b・B
Y−c・B
Z+R
3i
(数30)
R
4=+a・B
X+b・B
Y−c・B
Z+R
4i
【0104】
ここで、本例の第1磁気検知部210a、第3磁気検知部230a、第7磁気検知部230b及び第8磁気検知部240bは、それぞれ同一の材料及び形状で構成されるので、磁気センサ100に外部磁場Bが印加されていない場合の抵抗値が等しく、
R
1i=R
2i=R
3i=R
4iとなる。よって、
(数30)−(数27)式より、
(R
4−R
1)=2aB
X
(数27)−(数29)式より、
(R
1−R
3)=2bB
Y
(数28)−(数27)式より、
(R
2−R
1)=2cB
Z
となる。
【0105】
以上の通り、本実施形態に係る磁気センサ100は、(数6)式が逆行列を有するように、第1〜第8磁気検知部210a〜240bの中から第1〜第4磁気検知部210〜240が選択され、且つ、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸の向きが決定される。これにより、本実施形態に係る磁気センサ100は、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。
【0106】
実施形態1〜3に係る磁気センサ100が3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出するための条件の一例を以下に示す。第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値は、(数5)式によりそれぞれ表される。また、(数6)式が逆行列を有する場合、第1〜第4磁気検知部210〜240により、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。即ち、第1〜第4磁気検知部210〜240の配置及び感磁軸方向は、(数6)式が逆行列を有するように決定される。
【0107】
なお、説明を簡略化するために、本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、ΔR
1X、ΔR
2X、ΔR
3X、ΔR
4Xの各々の絶対値が互いに等しく、ΔR
1Y、ΔR
2Y、ΔR
3Y、ΔR
4Yの各々の絶対値が互いに等しく、且つ、ΔR
1Z、ΔR
2Z、ΔR
3Z、ΔR
4Zの各々の絶対値が互いに等しくなるような位置に配置される。即ち、本例の第1〜第4磁気検知部210〜240は、以下の式を満たすように配置される。
(数31)
a=|δR
1α
R1|=|δR
2α
R2|=|δR
3α
R3|=|δR
4α
R4|
(数32)
b=|δR
1β
R1|=|δR
2β
R2|=|δR
3β
R3|=|δR
4β
R4|
(数33)
c=|δR
1γ
R1|=|δR
2γ
R2|=|δR
3γ
R3|=|δR
4γ
R4|
例えば、(数31)〜(数33)式を満たす場合とは、第1〜第4磁気検知部210〜240が、同一の素子で形成され、且つ、外部磁場Bの変換効率がそれぞれ等しくなるような位置に配置される場合である。
【0108】
(数31)〜(数33)式を満たす場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の抵抗値は、それぞれ以下のようになる。
(数34)
R
1=±a・B
X±b・B
Y±c・B
Z+R
1i
=ΔR
1X・B
X+ΔR
1Y・B
Y+ΔR
1Z・B
Z+R
1i
(数35)
R
2=±a・B
X±b・B
Y±c・B
Z+R
2i
=ΔR
2X・B
X+ΔR
2Y・B
Y+ΔR
2Z・B
Z+R
2i
(数36)
R
3=±a・B
X±b・B
Y±c・B
Z+R
3i
=ΔR
3X・B
X+ΔR
3Y・B
Y+ΔR
3Z・B
Z+R
3i
(数37)
R
4=±a・B
X±b・B
Y±c・B
Z+R
4i
=ΔR
4X・B
X+ΔR
4Y・B
Y+ΔR
4Z・B
Z+R
4i
【0109】
(数34)〜(数37)式のそれぞれの第1項〜第3項の符号は、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向により決定される。即ち、第1項〜第3項の符号は、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向と、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きとが等しい場合に正となる。また、第1項〜第3項の符号は、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向と、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きとが180度異なる場合に負となる。
【0110】
なお、実施形態1及び2において、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きは、第1〜第4磁気検知部210〜240と磁気収束部500の配置を変えることにより調整できる。また、実施形態3において、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きは、第1〜第4磁気検知部210〜240と、磁気収束部110a、110b及び磁気収束部120a、120bの配置を変えることにより調整できる。
【0111】
例えば、第1〜第4磁気検知部210〜240は、ΔR
AX、ΔR
AY、ΔR
AZのうちの少なくとも2つ以上は0でない値であり、ΔR
BX、ΔR
BY、ΔR
BZのうちの少なくとも2つ以上は0でない値であり、ΔR
CX、ΔR
CY、ΔR
CZのうちの少なくとも2つ以上は0でない値であり、且つ、ΔR
DX、ΔR
DY、ΔR
DZのうちの少なくとも2つ以上は0でない値となるように配置される。即ち、第1〜第4磁気検知部210〜240は、それぞれ、3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zの少なく2つの磁場を検知するような位置に配置される。
【0112】
例えば、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向は、外部磁場Bxが第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きと、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸の向きとが、全て同一又は全て反転したものではなく、外部磁場Byが、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きと、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸の向きとが、全て同一又は全て反転したものではなく、且つ、外部磁場Bzが、第1〜第4磁気検知部210〜240を通過する磁束の向きと、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸の向きとが、全て同一又は全て反転したものではないように決定される。
【0113】
例えば、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向は、(数34)〜(数37)式から3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できるように決定される。この場合、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向は、(数34)〜(数37)式のいずれか1式の第1項〜第3項の符号の組み合わせが、他の式の第1項〜第3項の符号の組み合わせと異なるように決定される。また、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向は、(数34)〜(数37)式のいずれか1式の第1項〜第3項の符号を正負反転した組み合わせが、他の式の第1項〜第3項の符号の組み合わせと異なるように決定される。
【0114】
また、第1〜第4磁気検知部210〜240の感磁軸方向に対する磁束の方向は、ΔR
1X、ΔR
2X、ΔR
3X、ΔR
4Xのうち、少なくとも1つ係数は他の係数と符号が異なり、ΔR
1Y、ΔR
2Y、ΔR
3Y、ΔR
4Yのうち、少なくとも1つ係数は他の係数と符号が異なり、且つ、ΔR
1Z、ΔR
2Z、ΔR
3Z、ΔR
4Zのうち、少なくとも1つ係数は他の係数と符号が異なるように決定されてよい。
【0115】
以上の通り、本実施形態に係る磁気センサ100は、外部磁場B
Xを検出するための磁気検知部と、外部磁場B
Yを検出するための磁気検知部と、外部磁場B
Zを検出するための磁気検知部が共通となっている。そのため、小型な構成で3軸方向の外部磁場B
X〜B
Zを検出できる。
【0116】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0117】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。