(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照して本発明に係る発光装置及びその製造方法の一実施形態について詳細に説明する。
【0012】
〔発光装置〕
はじめに、
図1を参照して本実施形態に係る発光装置について説明する。
なお、
図1に示す発光装置1は、n側電極2nとp側電極2pが半導体積層体3の一面側に設けられたフリップチップ実装(フェイスダウン実装)のLEDチップを例に図示している。なお、
図1では、発光装置1は、半導体積層体3のn電極2nとp側電極2pが形成された面(以下、「電極形成面」とも呼ぶ)が下向きとなるようにフリップチップ実装されており、半導体積層体3の電極形成面とは反対側の面から上向きに光が出射される。なお、本発明の技術的思想はこれに限定されず、ワイヤ実装(フェイスアップ実装)の発光装置1にも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、発光装置1は、半導体発光素子4(以下、単に「発光素子4」という。)と、第1透光性層5と、光学部材6と、を備えている。
より具体的には、発光装置1は、発光素子4の光取出面41側に第1透光性層5を介して光学部材6を備えている。すなわち、発光装置1は、発光素子4の光取出面41に第1透光性層5及び光学部材6がこの順に積層された構成を有する。そして、本実施形態においては、発光素子4と第1透光性層5との接合面が粗面であり、第1透光性層5と光学部材6との接合面は平坦である。なお、本明細書において「光取出面」とは、
図1に示すように、半導体積層体3のn側電極2nとp側電極2pが設けられている表面とは反対側の表面(
図1においてn型半導体層31の上面)をいう。また、「接合面」とは、二つの異なる対象物(例えば、要素または部材)の表面が接合された接合部における、二つの対象物の面を包括的に指す。すなわち、「発光素子と第1透光性層との接合面」は、接合部における発光素子の表面および第1透光性層の表面の双方を指し、「第1透光性層と光学部材との接合面」は、接合部における第1透光性層の表面および光学部材の表面の双方を指す。
【0014】
(発光素子)
発光素子4は、半導体積層体3と、n側電極2n及びp側電極2pとを備えている。発光素子4は、半導体積層体3にてn側電極2n及びp側電極2pから注入された電子と正孔とが再結合することで発光する。
図1に示されている半導体積層体3は、発光素子4の光取出面41側から、n型半導体層31、活性層32、及びp型半導体層33がこの順に積層されて構成されている。なお、活性層32は発光層とも呼称されるものであるが、活性層32の形成は任意である。n型半導体層31はn側電極2nと接続され、p型半導体層33はp側電極2pと接続される。
【0015】
半導体積層体3を構成するこれらの層は、例えば、サファイアなどの成長基板(図示せず)上にn型半導体層31、活性層32、及びp型半導体層33をこの順でエピタキシャル成長させることによって、好適に得ることができる。これらの層はいずれも、好ましくは、GaN、GaAs、InGaN、AlInGaP、GaP、SiC、及びZnOなどから成る群より選択される一種又は二種以上から成る。特に、これらの層としては、一般式がIn
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表わされるGaN系化合物を用いるのが好ましい。
【0016】
また、n型半導体層31、活性層32及びp型半導体層33はそれぞれ、単層構造でもよいし、又は組成及び膜厚の異なる二以上の層から成る積層構造、もしくは超格子構造等としてもよい。特に、活性層32は、量子効果が生ずる薄膜を含む単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造であることが好ましい。これらの量子井戸構造において、井戸層はInを含む窒化物半導体であることが好ましい。
【0017】
図1に示すように、この発光素子4の光取出面41は、n型半導体層31における活性層32と接していない側の面である。n型半導体層31は前記したようにGaNなどを用いて形成される。GaNの屈折率は約2.5と高いので、光取出面41から光が取り出されるときに外部との界面で光の全反射等が生じ易い。従って前記したようにこの発光素子4では光取出面41(第1透光性層との接合される面)を粗面にしている。このようにすると、光取出面41から取り出される光を散乱させ、光の全反射等を減らすことができる。その結果、発光装置1の光の取り出し効率を向上させることができる。また、半導体積層体3内における光の多重反射の機会を減少させることもできるようになり、これによって発光装置1の光の取り出し効率はさらに向上し得る。なお、光取出面41が粗面であるかどうかは、光取出面41が後述する第1透光性層5と光学部材6との接合面よりも粗いか否かによって判断される。
【0018】
光取出面41は、アルカリ溶液などを用いたウエット処理(ウエットエッチング)又はドライ処理(ドライエッチング)により粗面にすることができる。光取出面41は、ドットパターンやラインアンドスペースパターンを形成することにより、粗面としてよい。これらのパターンの形成と、ウエット処理又はドライ処理とを組み合わせて、光取出面41を粗面にすることも可能である。
【0019】
粗面は、寸法及び形状が一定でない凹部又は凸部が形成されて成るものであってよいし、あるいは寸法及び形状が一定である凹部又は凸部がランダムに又は規則的に配置されて成るものであってよい。光取出面41は好ましくは、算術平均粗さRaが50nm、より好ましくは150nmを超えるような粗面である。算術平均粗さRaはJIS B 0601−2001に準拠して測定することができる。
【0020】
n側電極2nとp側電極2pとは、
図1中、半導体積層体3の下側に、互いに電気的に接続しないよう、所定距離離間させられている。すなわち、n側電極2nとp側電極2pは、それぞれが独立するように設けられている。
n側電極2n及びp側電極2pは、一般的な発光素子と同様に、金属電極材料から成り、金属電極材料は、例えば、Au、Cu、Ni、Ti、Al、Pt、Cr及びRhなどから成る群より選択される少なくとも一つ、又はその合金である。n側電極2n及びp側電極2pはそれぞれ、単層、又は多層膜として形成されていてよい。n側電極2n及びp側電極2pは、例えば、Cu単層又はCu/Ni積層膜を下層とし、Au又はAuSn合金を上層とする多層膜としてよい。n側電極2n及びp側電極2pはそれぞれ、スパッタリング又は蒸着などにより形成することができる。
【0021】
p側電極2pは、p型半導体層33に電流を面内均一に拡散するための全面電極2p1を介して、p型半導体層33と接続されるのが好ましい。そのため、全面電極2p1は、p型半導体層33と電気的に良好に接続できるオーミック電極であるのが好ましい。なお、この全面電極2p1は半導体積層体3にて発光した光を光取出面41に向けて反射させる反射層としても機能する。したがって、この全面電極2p1は少なくとも活性層32で発光する光の波長に対して良好な反射率を有するもので形成するのが好ましい。そのような全面電極2p1は、例えば、光の反射率の高いAg、又はその合金からなる単層膜であることが好ましく、あるいは前記Ag又はその合金の膜が最下層であり、Ni及び/又はTi等からなる膜が設けられた多層膜であることが好ましい。
【0022】
特に、全面電極2p1としてAgを用いる場合、全面電極2p1を覆うカバー電極2p2を設けるのが好ましい。カバー電極2p2は、全面電極2p1と同様にp型半導体層33の全面に電流を拡散する。加えて、カバー電極2p2は、全面電極2p1の上面及び側面を被覆して、全面電極2p1を遮蔽して、全面電極2p1とp側電極2pとの接触を防止している。すなわち、カバー電極2p2は、全面電極2p1の材料、特にAgのマイグレーションを防止するためのバリア層として機能する。カバー電極2p2は、例えば、Ti、Au、W、Al、及びCu等から成る群より選択される少なくとも一つの金属、又はその合金から成る。カバー電極2p2は、単層膜又は多層膜であってよい。具体的には、カバー電極2p2は、AlCu合金、又はAlCuSi合金等から成る単層膜であってよく、あるいはそのような膜を含む多層膜であってよい。全面電極2p1とカバー電極2p2はそれぞれ、スパッタリング又は蒸着などにより形成することができる。
【0023】
発光素子4において電極を有する側の露出した表面は、n側電極2nとp側電極2pの端面を除いて保護層7で被覆するのが好ましい。前記した構成の発光素子4の場合、保護層7は、具体的には、半導体積層体3の表面及びカバー電極2p2の上面と、n側電極2nの周縁と、p側電極2pの周縁に形成される。保護層7は、例えば、Si、Ti、Ta、Nb、Zr、及びMg等の酸化物(例えばSiO
2、TiO
2、Ta
2O
5、Nb
2O
5、ZrO
2、MgO)、Si窒化物(例えばSi
3N
4)、AlN等の窒化物、ならびにフッ化マグネシウムMgF
2等から成る群より選択される少なくとも一つで形成するのが好ましい。これらの材料を用いる場合、保護層7は、スパッタリング又は蒸着などによって形成することができる。
【0024】
(第1透光性層)
第1透光性層5は、半導体積層体3のn型半導体層31の上面、つまり、発光素子4の光取出面41上に形成されている。この第1透光性層5は誘電性を有するものであってもよい。第1透光性層5は、光取出面41から取り出した光を層内で伝播させて反対側の面(本明細書においてこの面を「光出射面51」ということもある。)から出射する。
【0025】
第1透光性層5は、例えば、SiO
2、SiON、TiO
2、及びAl
2O
3から成る群から選択される少なくとも一つの無機誘電体材料、又はSiO
2、SiON、TiO
2、及びAl
2O
3から成る群から選択される少なくとも一つを無機成分とする有機無機ハイブリッド材料から成るのが好ましい。前記無機誘電体材料は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、蒸着、又はALD(Atomic Layer Deposition)などによって形成することができる。有機無機ハイブリッド材料に用いる有機成分の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、及びポリイミドなどが挙げられる。有機無機ハイブリッド材料は、ゾル・ゲル法、その場(in situ)重合法、又は固相反応法などによって形成することができる。第1透光性層5の好ましい材料は前記のとおりであるが、それらに限定されるものではない。第1透光性層5は、例えば、発光素子4が発する光の波長に対して透明であり、接合する光学部材6とほぼ同じ屈折率を有する任意の材料で形成してよい。
【0026】
第1透光性層5は、当該層を形成した後に研磨などを行って平坦化することから、当該第1透光性層5形成前のn型半導体層31の凹凸を越える十分な厚さをもって形成するのが好ましい。すなわち、第1透光性層5は、光取出面41の凹凸を覆い、当該凹凸がその表面に現れないような厚さで形成することが好ましい。第1透光性層5の厚さは、例えば、100nm〜10000nmとしてよい。
【0027】
第1透光性層5の屈折率は、これと接する半導体積層体3の屈折率と同程度とするか、あるいは光学部材6の屈折率と同程度とするのが好ましい。第1透光性層5の屈折率が、それが接するいずれか一方の層又は部材の屈折率と同じであると、屈折率境界を減らすことができる。それにより、半導体積層体3と第1透光性層5の界面、又は第1透光性層5と光学部材6との界面で生じる光の全反射等を低減することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。ここで、「同程度」とは、例えば、第1透光性層5の屈折率と半導体積層体3又は光学部材6の屈折率との差が、絶対値で±0.3の範囲内、好ましくは±0.1の範囲内、より好ましくは±0.05の範囲内にあることをいう。
【0028】
なお、第1透光性層5の屈折率と半導体積層体3の屈折率との差が小さいほど、発光素子4からの光の屈折が第1透光性層5と半導体積層体3との間でより生じにくくなるから、光取出面41を粗面化することによる効果はより得にくくなる。一方、第1透光性層5と光学部材6とは直接接合されて、その界面は比較的平坦であるから、両者の屈折率の差が大きいと、屈折の影響により光取り出し効率が低下することがある。そのため、第1透光性層5の屈折率は光学部材6の屈折率と同程度とするのがより好ましい。
【0029】
第1透光性層5の屈折率は、具体的には、1.4〜2.0程度としてよく、特に1.6〜2.0程度としてよい。第1透光性層5の屈折率がこの範囲にあれば、前記した界面のいずれかで生じる光の全反射等をより確実に低減して、光の取り出し効率をより確実に向上させることができる。なお、第1透光性層5の屈折率が2.0を超えると、より多くの光が吸収される傾向にあるので、光の取り出し効率を向上させることが困難となる場合がある。
第1透光性層5の屈折率は、光の透過率を勘案し、材料の選択及び層形成条件等によって任意に調整することができる。SiO(具体的には、例えばSiO
2)の屈折率は1.41であり、SiN(具体的には、例えばSi
3N
4)の屈折率は2.0であり、SiON(一般的にSiO
xN
yとも呼称されている。)の屈折率はその間である。従って、例えばCVDなどで第1透光性層5を形成する場合、SiとOとNの含有比率を適宜設定することにより、その屈折率を半導体積層体3の屈折率と同程度としたり、あるいは光学部材6の屈折率と同程度としたりすることができる。
【0030】
第1透光性層5の光出射面51は光学部材6の表面61と接合される。これらの面の接合は直接接合にて行うのが好ましい。本明細書において、「直接接合」とは、接着剤又は他の樹脂の塗布を伴わない接合を指す。直接接合としては、例えば、表面活性化接合、原子拡散接合、及び水酸基接合などが挙げられ、光出射面51と表面61との接合に際しては、これらのうちの一つを選択して用いることができる。これらの接合はいずれも常温下で実施する常温接合法により得ることができる。
【0031】
なお、表面活性化接合とは、接合対象である部材の表面層に付着した酸化物や水分、有機物などといった不純物を表面層の一部ごと除去し、表面の原子の結合手同士を常温で直接結合する方法である(参考文献:国際公開第2011/126000号パンフレット)。
原子拡散接合とは、接合対象である部材の表面(すなわち、接合後に接合面となる表面)それぞれに超高真空中で、例えば、Al等の微細結晶膜を形成し、それらの薄膜を真空中で重ね合わせて接合する方法である。
水酸基接合とは、接合対象である部材の表面それぞれに親水化処理を施すことにより水酸基(OH基)を形成し、表面同士を接触させることにより互いの水酸基同士を水素結合させて接合する方法である。
【0032】
直接接合によって第1透光性層5と光学部材6とを接合すると、第1透光性層5と光学部材6とを強固に結合させることができる。さらに、
図2及び
図3から理解されるように、第1透光性層5の形成により光伝播層全体の厚さを厚くすることができる。その結果、発光装置1においては、内部多重反射が起こった際の電極による光の吸収機会を抑制することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0033】
また、第1透光性層5と光学部材6とを直接接合する場合には、屈折率がこれらと大きく異なる接着剤等の樹脂を用いる必要もなくなる。接着剤等の樹脂の屈折率は約1.43〜1.53であるから、接着剤等の樹脂を用いると樹脂8と発光素子4との界面において光の全反射等が生じ易くなる(
図4参照)。しかし、本実施形態では第1透光性層5と光学部材6とを直接接合して実質的に樹脂8などの接着層が介在しないようにして、光の全反射等を防いでいる(
図5参照)。また、発光装置1においては、接着剤等の樹脂が用いられていないので、半導体積層体3と光学部材6との屈折率差を減らすことができる。従って、発光装置1は、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0034】
本実施形態の発光装置1は、品質管理、製造工程、製品品質、及び製品に対する信頼性の点においても好ましいものである。発光装置1において、第1透光性層5と光学部材6とを接着剤等の樹脂8を用いて接合する場合には、
図4に示すように、接合面の端部から樹脂8が垂れる、あるいははみ出ることがある。樹脂8が垂れると、製品特性が安定しなくなるので、品質管理のために、垂れた樹脂8を除去する装置及び工程が必要となる。また、はみ出た樹脂8がダイス下まで垂れて、ダイスの接合個所に到達すると、ダイスの接合強度、つまり、製品の信頼性に影響するおそれがある。本実施形態の発光装置1は、接着剤を用いることなく第1透光性層5と光学部材6とを直接接合しているので樹脂の垂れ等による不都合が生じない。したがって、本実施形態の発光装置1は、品質管理及び製造工程の点において好ましく、また、製品品質及び製品に対する信頼性を向上させることができる。
【0035】
発光装置1において、第1透光性層5と光学部材6とは直接接合されているので、本実施形態によれば、通常のダイス又はスクライブにより分割可能な厚みを超えた厚いダイスを作製することもできる。加えて、例えば、発光装置1を紫外LEDとして用いる場合は、接着剤等の樹脂8が紫外線によって劣化することもなく(
図4、5参照)、製品の信頼性を向上させることができる。また、紫外LEDでは、多くの場合、発光素子からの光をエアに直接放出することから、エアと接する界面で光の全反射等が生じて、光取り出し効率が非常に悪くなる傾向にある。しかしながら、本実施形態の発光装置1は、第1透光性層5及びこれに直接接合された光学部材6が発光素子4を覆っているので、樹脂モールドを有する発光ダイオードのような構成を有している。従って、本実施形態によれば、エアに直接光を放出する紫外LEDと比較して、光取り出し効率を飛躍的に向上させた紫外LEDを得ることができる。
【0036】
図1に戻って説明を続ける。第1透光性層5と光学部材6との接合を好適に行うため、第1透光性層5の上面(すなわち、層5形成後に露出している主表面)と光学部材6の第1透光性層5と接合される表面はともに平坦であることを要する。これらの面の平坦性が不十分であると、前記した直接接合を行うことができない。また、これらの面の平坦性が低い場合には、直接接合してもその界面にボイド(つまり、屈折率の低い空気の層)が生じ、ボイドで光の全反射等が生じて、光の取り出し効率が低下する。平坦な表面同士の接合により、第1透光性層5と光学部材6との接合面は平坦な面となる。
【0037】
第1透光性層5の上側表面(光出射面51)及び光学部材6の表面61はともに、算術平均粗さRaが1nm以下である平坦性を有することが好ましい。このような平坦性を得るために、第1透光性層5の光出射面51及び/又は光学部材の表面61を、例えばCMP(化学機械的研磨)法を用いた平坦化処理に付してよい。算術平均粗さRaはJIS B 0601−2001に準拠して測定することができる。
【0038】
(光学部材)
光学部材6は、前記したように、第1透光性層5の光出射面51上に設けられ、好ましくは第1透光性層5の光出射面51上に、直接接合される。直接接合は好ましくは常温接合法により実施される。光学部材6は、第1透光性層5の光出射面51から出射された光に所定の作用を及ぼす機能を有する。そのような光学部材6として、例えば、蛍光体板、サファイア基板、GaN基板及びレンズなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。光学部材6の材料は、発光素子4からの光の波長に対して透明である限りにおいて、特に限定されない。
【0039】
光学部材6として蛍光体板を用いる場合、光学部材6には蛍光体が含まれる。蛍光体は、半導体積層体3から取り出した光の少なくとも一部を吸収し、その波長を変換して、異なる波長の光を発する。半導体積層体3からの光の色と蛍光体からの光の色とを組み合わせた色が、発光装置1から発せられる光の色となるので、所望の色調の光が得られるように蛍光体等が選択される。蛍光体は、一般的に用いられる酸化物、窒化物、及び酸窒化物等から成る群より選択される少なくとも一つであってよい。そのような蛍光体として、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)をCe等で賦活したYAG系蛍光体、ならびにEu及びCe等のランタノイド系元素で賦活した窒化物系蛍光体及び酸窒化物系蛍光体等が挙げられる。蛍光体板は、蛍光体と一体に焼結して形成されたガラス等の無機材料から成るものであってよい。
【0040】
光学部材6としてサファイア基板を用いる場合、サファイアを平板状部材として使用してよく、光学部材6としてGaN基板を用いる場合、GaN基板を平板状部材として使用してよい。これらの基板を第1透光性層5上に接合すると、発光装置1の光伝播層の厚さを増加させることができる。それにより、発光装置1内での光多重反射の反射回数を低減することができ、光閉じ込め及び光吸収を抑制することができる。
光学部材6の屈折率は、好ましくは、第1透光性層5の屈折率と同程度であるか、同一である。なお、光学部材6の屈折率が2.0を超えると、より多くの光が吸収される傾向にあるので、光の取り出し効率を向上させることが困難となる場合がある。
【0041】
光学部材6をレンズ(後記する
図8参照)とする場合は、レンズは、サファイア、GaN、ガラス、又は樹脂などで形成されたものであってよく、蛍光体を含んでいてもよい。光学部材6としてレンズを用いることにより、光を屈折させて、集束又は拡散させることができる。レンズは
図8に示すような凸レンズであってよく、あるいは凹レンズであってよい。
【0042】
光学部材6が、
図6に示すような、ガラス等の無機材料62中に蛍光体63を含む蛍光体板64のように、均質でない材料を用いて形成されている場合は、CMP法などによっても表面の算術平均粗さRaを1nm以下とするのは困難な場合がある。材料中の成分によって研磨レートが異なるためである。
【0043】
従って、そのような光学部材6を用いる場合は次のようにするとよい。例えば、
図7に示すように、光学部材6の第1透光性層5と対向する面に、平坦な表面91を有する第2透光性層9を設けるのが好ましい。第2透光性層9は、第1透光性層5と同様にして形成することができる。すなわち、第2透光性層9は、光学部材6上に、例えば、SiO
2、SiON、TiO
2、及びAl
2O
3から成る群から選択される少なくとも一つの無機誘電体材料、又はSiO
2、SiON、TiO
2、及びAl
2O
3から成る群から選択される少なくとも一つを無機成分とする有機無機ハイブリッド材料を用いて形成してよい。
【0044】
なお、第2透光性層9を設ける場合、第1透光性層5との接合後に接合面となる表面91は、第1透光性層5の光出射面51と同様、好ましくは算術表面粗さRaが1nm以下である平坦性を有する。そのような平坦面を有する第1透光性層5及び第2透光性層9は、常温接合法等により直接接合することができる。また、そのような平坦性は、第1透光性層5と第2透光性層9の界面に発生するボイドを抑制することを可能にする。光学部材6の上に第2透光性層9を形成する場合には、これらの界面にもボイドが殆ど形成されないので、結果的に、全体としてボイドが殆どない発光装置1を得ることができる。したがって、第2透光性層9を用いる場合にも、発光装置1において、ボイドによって生じる光の全反射等を抑制することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0045】
また、第2透光性層9は第1透光性層5と同様の材料を用いて形成できるので、第2透光性層9の屈折率は第1透光性層5の屈折率と同程度、又は同一となる。従って、第1透光性層5と第2透光性層9との界面で光の全反射等は殆ど生じず、光の取り出し効率が低下することもない。さらに、第1透光性層5と第2透光性層9とを全く同じ材料で形成して接合した場合には、材料の屈折率の相違によって生じる光の全反射等を防ぐことができ、また、光伝播層の厚さを増加させることもできる。従って、第2の透光性層9を用いることにより、光学部材6の表面が平坦でない場合であっても、光の取り出し効率が向上した発光装置1を得ることができる。また、第2の透光性層9を有する発光装置1においても、第1透光性層5と光学部材6とは直接接合によって一体化しているので、両者の接合強度は高く、接着剤を用いないことによる信頼性向上効果を得ることもできる。
【0046】
第1透光性層5と第2透光性層9との接合も、第1透光性層5と光学部材6との接合について説明したのと同じ理由により、直接接合であるのが好ましく、表面活性化接合、原子拡散接合又は水酸基接合によって行われるのがより好ましい。
【0047】
以上に説明した構成の発光装置1は、n側電極2n及びn型半導体層31から注入された電子と、p側電極2p及びp型半導体層33から注入された正孔とが、活性層32で再結合することにより発光することができる。半導体積層体3は光取出面41を有しており、ここから発光した光を取り出すことができる。半導体積層体3の光取出面41から取り出された光は第1透光性層5内を伝播し、反対側の光出射面51から出射される。光出射面51から出射された光は光学部材6に入射した後、発光装置1外に出射される。本発明に係る発光装置1においては、第1透光性層5の光出射面51及び光学部材6の表面61が平坦であり、かつ両者が直接接合されているので、接着剤と半導体との屈折率の相違によって、あるいはボイドによって生じる光の全反射等が抑制される。その結果、発光装置1の光の取り出し効率を向上させることができる。具体的には、第1透光性層5の光出射面51と光学部材6の表面61とをそれぞれ平坦化し、これらを直接接合した場合、これらをシリコーン樹脂(屈折率n=1.53)で接着した場合に比べて、光の取り出し効率を10%向上させることができる。
【0048】
(発光装置の変形例)
以上、主に
図1を参照して説明した発光装置1においては、第1透光性層5の光出射面51上に、光学部材6として平板状部材(例えば、蛍光体板等)を接合している。以下においては、変形例として、他の光学部材を用いた発光装置を説明する。なお、既に説明したものと同じ部材又は要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図8に示すように、本実施形態の変形例に係る発光装置1aは、第1透光性層5の光出射面51上に、光学部材6としてレンズを接合している。前記したように、この発光装置1aにおいては、第1透光性層5の光出射面51から出射された光をレンズによって集束又は拡散させることができる。
【0050】
図9に示すように、本実施形態の変形例に係る発光装置1bは、第1透光性層5の光出射面51上に、光学部材6として平板状の蛍光体板6aを接合し、さらにその上にレンズ6bを接合している。この発光装置1bによれば、当該蛍光体板により所望の色調の光を得るとともに、当該所望の色調の光をレンズによって集束又は拡散させることができる。なお、
図9に示す態様において、平板状の蛍光体板6a等とレンズ6bとの接合は、直接接合によって行ってもよいし、接着剤などその他の手段によって行ってもよい。必要に応じて、接合の際には加熱等を実施してもよい。
【0051】
〔他の実施形態に係る発光装置〕
次に、
図10を参照して他の実施形態に係る発光装置について説明する。
図10に示す発光装置は、例えば、液晶ディスプレイのバックライト、フルカラー表示の屋外ディスプレイ、玩具、一般照明、及び光通信用の光源などとして用いられる発光装置の一態様である。以下の説明では、説明の便宜のため本実施形態に係る発光装置を「光源装置10」という。
【0052】
図10に示すように、光源装置10は、実装基板11に実装された発光装置1と、この発光装置1を封止する封止部材12と、を備えている。なお、この発光装置1は、
図1を参照して説明したものと同じ構成である。
実装基板11への発光装置1の実装は、当該発光装置1の電極(n側電極2n及びp側電極2p)を、バンプ13を介して実装基板11の配線14に接続することで行われる。
【0053】
実装基板11は、LEDを実装させるために用いられている一般的なものであってよく、LEDを実装できるものであれば特に限定されない。
封止部材12は、例えば、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂などの樹脂材料、ならびにガラスなどの無機材料から選択される材料で形成してよい。封止方法は特に限定されるものではない。例えば、金型を用いた圧縮成形法又はトランスファー成形法を用いて、封止部材12を形成することができる。あるいは、実装基板11の任意の部分(例えば外縁)に土手を設け、適度な粘性を有する封止部材12の材料を滴下するポッティング法を用いることもできる。封止部材12は、発光装置1が発する光に対して透明であることが好ましく、必要に応じて、光拡散部材、熱伝導部材、又は発光波長を変換するための蛍光体などを含んでよい。
バンプ13は、例えば、Auバンプ、半田バンプ、及びCuピラーバンプなどのめっきバンプ、Auスタッドバンプ、又は半田印刷などであってよい。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態に係る光源装置10は、前記した発光装置1を備えている。この発光装置1においては、前記したように、第1透光性層5の光出射面51及び光学部材6の表面61が平坦であって、平坦な接合面を形成しているので、接着剤と半導体との屈折率の相違によって、あるいはボイドによって生じる光の全反射等が抑制される。そのため、発光装置1を用いた光源装置10においてもまた、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0055】
〔発光装置の製造方法〕
次に、
図11及び
図12A〜
図12Kを参照して本実施形態に係る発光装置の製造方法(以下、単に「製造方法」ということもある。)について説明する。
本実施形態に係る製造方法は、発光素子4の光取出面41側に第1透光性層5を介して光学部材6が設けられた発光装置1の製造方法である。
図11に示すように、本実施形態に係る製造方法の最小構成は、粗面化工程S5と、第1透光性層形成工程S6と、第1透光性層平坦化工程S7と、接合工程S8とから成る。本製造方法においては、これらの工程がこの順序で行われて、前記した発光装置1が製造される。
【0056】
なお、本発明の製造方法のより詳細で、好適な実施形態においては、LED形成工程S1と、サポート基板貼合工程S2と、成長基板剥離工程S3と、研磨工程S4とを行い、これに引き続いて前記した粗面化工程S5から接合工程S8までを行い、さらにこれに続けて、サポート基板剥離工程S9と、割断工程S10と、を行う。
ここで、
図12A〜
図12Dは粗面化工程S5よりも前に行われる前工程を図示している。また、
図12E〜
図12Iは粗面化工程S5から接合工程S8までを図示している。
図12Jはサポート基板剥離工程S9を図示し、
図12Kは割断工程S10を図示している。
以下、
図11とともにこれら
図12A〜
図12Kを適宜参照して製造方法のより詳細で、好適な実施形態について順に説明する。なお、言うまでもなく、製造方法の最小構成はこの詳細な実施形態に含まれており、詳細な実施形態の説明をもってその説明に替える。
【0057】
また、粗面化工程S5の前に行うLED形成工程S1から研磨工程S4までは、粗面化工程S5で粗面化の対象となる、光取出面41が平坦化された発光素子4を得るための工程である。これらの工程は、発光素子を製造する一般的な工程であるので、以下では
図11及び
図12A〜
図12Dを参照しつつ、その内容を簡単に説明する。
【0058】
(LED形成工程)
図11及び
図12Aに示すように、LED形成工程S1は、成長基板20上にn型半導体層31、活性層32、p型半導体層33(いずれも
図12Aにおいて図示せず。
図1参照)をこの順で積層して半導体積層体3を形成し、これに所定の電極を形成する工程である。
図1を参照して具体的に説明すると、成長基板20上にn型半導体層31、活性層32及びp型半導体層33が順次積層される。これに続けて、フォトリソグラフィとエッチングとを行い、p型半導体層33、活性層32、及びn型半導体層31の一部を除去し、n側電極2nを形成する位置でn型半導体層31を露出させるとともに、発光素子4を分離するための凹部を形成する。そして、露出したn型半導体層31の底面にn側電極2nを形成する。p側電極2pは、p型半導体層33上の所定の位置に形成する。なお、保護層7もこの工程で設けるのが好ましい。成長基板20としては、サファイア基板などを好適に用いることができる。また、この時点でLEDの諸特性を測定しておくのが好ましい。
【0059】
(サポート基板貼合工程)
次いで、
図11及び
図12Bに示すように、サポート基板貼合工程S2は、n側電極2nとp側電極2pを形成した側に、樹脂21を用いてサポート用の基板(サポート基板22)を貼り合せる工程である。
サポート基板22は、例えば、サファイア又は貫通穴あきのキャリアプレートであってよい。
樹脂21は、好ましくは、ウエット処理(ウエットエッチング)又はドライ処理(ドライエッチング)で除去でき、高い温度に対して、また酸及びアルカリに対して高い耐性を有するものである。そのような樹脂としては、例えばポリイミド系樹脂が挙げられる。
【0060】
(成長基板剥離工程)
図11及び
図12Cに示すように、成長基板剥離工程S3は、成長基板20上に形成された発光素子4から成長基板20(
図12Cにおいて図示せず。
図12B参照。)を剥離する工程である。
成長基板20は、成長基板20側からn型半導体層31を形成する材料(例えばGaNなど)が吸収する波長のレーザを照射する方法(レーザリフトオフ(LLO))により剥離してよい。なお、本発明に係る発光装置1は成長基板20を有しない構成であるので、成長基板20の側面から出射される光(青色LEDの場合はブルーライト)のケアが不要になる。
【0061】
(研磨工程)
次いで、
図11及び
図12Dに示すように、研磨工程S4を実施する。研磨工程S4は、成長基板20の剥離により露出した発光素子4の剥離面4aを研磨する工程である。本実施形態において、研磨は、LED形成工程で形成した凹部にて発光素子4(より具体的には半導体層)を分離するために実施される。研磨は、研磨により凹部の底が除去されるように実施される。
かかる研磨は、例えばCMP法により、あるいはグラインダ及びポリッシャを用いることにより行うことができる。なお、製造した発光装置1を紫外LEDとして用いる場合はこの研磨工程S4において紫外線を吸収してしまうn型半導体層31の成長初期の層を除去するのが好ましい。
【0062】
また、前記した成長基板剥離工程S3を終えた段階では、チップ間が分離できていないので、分離が必要な場合は、この研磨工程S4を終えた後にチップ化してよい。チップ化はスクライブ又はダイシングによって行うことができる。
以上の各工程を行った場合、後記する粗面化工程S5において、研磨した剥離面4a(この面は発光素子4の光取出面41に相当する)を粗面化する(
図11及び
図12E参照)。
【0063】
(粗面化工程)
図11及び
図12Eに示すように、粗面化工程S5は、発光素子4の光取出面41を粗面化する工程である。
粗面化工程S5においては、平坦化された光取出面41(又は研磨工程S4で研磨した剥離面4a)を有する発光素子4に対して、所定の処理が実施される。
所定の処理は、例えば、アルカリ溶液を用いたウエット処理(ウエットエッチング)又はドライ処理(ドライエッチング)などである。これらの処理により、発光素子4の光取出面41を自己組織的に荒らすことができる。なお、粗面化処理はこれらに限定されるものではなく、例えば、グラインダ及び/又はポリッシャを用いた処理であってよい。あるいは、粗面化工程S5は、フォトリソグラフィ及びエッチング等により、ドットパターン又はラインアンドスペースパターンを形成する工程であってよい。あるいはまた、粗面化工程S5は、ドットパターン又はラインアンドスペースパターンの形成と、ウエット処理又はドライ処理とを併用する工程であってよい。
【0064】
(第1透光性層形成工程)
図11及び
図12Fに示すように、第1透光性層形成工程S6は、粗面化した光取出面41上に第1透光性層5を形成する工程である。
第1透光性層5は前記したように、例えば、無機誘電体材料又は有機無機ハイブリッド材料からなる。第1透光性層5の形成方法は、材料に応じて、CVD、スパッタリング、蒸着、ALD、ゾル・ゲル法、その場(in situ)重合法、及び固相反応法などから、適宜選択してよい。
【0065】
(第1透光性層平坦化工程)
図11及び
図12Gに示すように、第1透光性層平坦化工程S7は、第1透光性層5の上面を平坦化する工程である。この工程によって平坦化された第1透光性層5の上面が光出射面51となる。
第1透光性層5の上面の平坦化は、例えば、CMP法により行うことができる。平坦化は、第1透光性層5の上面の算術平均粗さRaが既述したとおり1nm以下となるように実施することが好ましい。
【0066】
接合工程S8前にチップ化が必要であれば、第1透光性層平坦化工程S7を終えた後にチップ化してもよい(
図12H参照)。チップ化は、例えば、スクライブ又はダイシングによって行うことができる。
【0067】
(接合工程)
図11及び
図12Iに示すように、接合工程S8は、平坦化した第1透光性層5の上面(光出射面51)と、平坦化された光学部材6の表面61とを接合する工程である。
光学部材6の第1透光性層5と接合される表面61はこの接合工程S8前に平坦化しておくのが好ましい。光学部材6の表面61が十分に平坦である場合は、表面61を平坦化する処理は必要ない。なお、光学部材6の表面61の算術平均粗さRaは既述したとおり1nm以下であるのが好ましく、したがって、平坦化処理を実施する場合にはRaが1nm以下となるように実施することが好ましい。
第1透光性層5の光出射面51と、光学部材6の表面61との接合は前記したように、常温接合法により直接接合するのが好ましい。直接接合は、より具体的には、表面活性化接合、原子拡散接合又は水酸基接合であるのが好ましい。
【0068】
(光学部材への第2透光性層の形成)
前記したように、光学部材6の材質が均質でなく、CMP法などによっても表面61の算術平均粗さRaを1nm以下とするのが困難な場合がある。そのような場合は、光学部材6の表面61上に、表面91を平坦化した第2透光性層9を形成し(
図7参照)、当該第2透光性層9を介して光学部材6を第1透光性層5と接合するとよい。
具体的には、
図11に示すように、接合工程S8に先立って、光学部材6に第2透光性層を形成する第2透光性層形成工程S81と、第2透光性層平坦化工程S82と、を行うのが好ましい。
【0069】
(第2透光性層形成工程)
図11に示すように、第2透光性層形成工程S81は、第1透光性層5と対向することになる光学部材6の表面61に、透光性を有する第2透光性層9を形成する工程である。
第2透光性層9は、第1透光性層5と同様の材料及び手法によって形成することができる。なお、第2透光性層9の形成方法は、第1透光性層5の形成方法として例示した方法に限定されず、例えば、予め作製したおいた第2透光性層9を光学部材6に接合する方法であってよい。いずれにしても、この第2透光性層形成工程S81は発光素子4とは関係のない別工程であるため、形成条件(例えば温度や接合方法)は何らの制限も受けず、材料に適した条件を採用して実施できる。例えば、第2透光性層9は、400℃以上にて形成し、あるいは光学部材6に接合してよい。あるいはまた、第2透光性層9は電界を利用して光学部材6に接合してもよい。
【0070】
第2透光性層9を形成する光学部材6の表面61は粗面化処理又は平坦化処理に付されていてよく、あるいはそれらの処理に付されていなくてもよい。表面61が粗面化されていれば光の全反射等を抑制することができるため、光の取り出し効率を向上させることが可能である。また、光学部材6の屈折率と第2透光性層9の屈折率が同じであるときは、表面61を平坦化することにより光学的な界面が生じないのでフレネル反射を抑制することができ、それにより、光の取り出し効率を向上させることが可能である。表面61にこれらの処理を行わない場合は、生産性を向上することができ、また、発光装置1の低コスト化を図ることができる。
【0071】
(第2透光性層平坦化工程)
図11に示すように、第2透光性層平坦化工程S82は、光学部材6上に形成された第2透光性層9の表面91を平坦化する工程である。
第2透光性層9の平坦化は、例えば、CMP法により行うことができる。平坦化は、第2透光性層9の表面91の算術平均粗さRaが1nm以下となるように実施するのが好ましい。第2透光性層9の表面91の平坦化により、第1透光性層5と第2透光性層9とを良好に直接接合することができ、また、第2透光性層9と第1透光性層5との接合界面のボイドによって生じる光の全反射等を抑制することができる。
【0072】
続いて、平坦化した第2透光性層9の表面91を、平坦化した第1透光性層5の光取出面51と接触させ、前記接合工程S8を行ってこれらを接合する。
このプロセスにより、発光素子4/第1透光性層5/第2透光性層9/光学部材6という構成を有する発光装置1を得ることができる。
【0073】
(サポート基板剥離工程)
図11及び
図12Jに示すように、サポート基板剥離工程S9は、光学部材6が接合された発光素子4から、樹脂21とともにサポート基板22(いずれも
図12Jにおいて図示せず。
図12I参照。)を剥離する工程である。
サポート基板22の剥離は、用いた樹脂21に応じて適切な方法により行うことができる。なお、サポート基板剥離工程S9は製造プロセスにおいて他のタイミングで行うこともできるが、製造途中の発光素子4の強度及びハンドリング性を考慮すると、割断工程S10の直前に行うのが好ましい。
【0074】
(割断工程)
図11及び
図12Kに示すように、割断工程S10は、サポート基板22が剥離された状態の積層構造物を割断してチップ化し、発光装置1を製造する工程である。チップ化はスクライブやダイシングによって行うことができる。発光素子4のチップ化が例えば第1透光性層平坦化工程の後に実施されている場合、割断工程S10においては、光学部材6のみが分離されることとなる。
【0075】
以上に説明した本実施形態に係る製造方法によれば、材料の屈折率の相違によって生じる光の全反射等、又はボイドによって生じる光の全反射等が発光装置1において抑制されて、光の取り出し効率が向上した発光装置1を製造することができる。
【0076】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0077】
本発明は、高効率LED、紫外線を発するLEDなどを備えた発光装置及びその製造方法に適用することができ、これらの発光装置は、照明装置、殺菌装置、自動車用ヘッドライト、ディスプレイ、及びサイン広告の機器などに用いることができる。