特許第6387845号(P6387845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387845
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】離型性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20180903BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180903BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180903BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B32B27/00 L
   B32B27/32 Z
   B32B27/18 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-18907(P2015-18907)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-141446(P2016-141446A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 一也
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/090762(WO,A1)
【文献】 特開平08−003455(JP,A)
【文献】 特開2012−159548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/40
B32B 1/00− 43/00
C08L 1/00−101/14
C08F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型層を少なくとも1層有するフィルムにおいて、離型層が、ポリオレフィン系樹脂89質量%以上98.99質量%未満と、環状オルガノポリシロキサン1質量%以上10質量%未満と、シリコーンオイル0.01質量%以上1質量%未満とで構成された離型性フィルムであって、
前記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル、両末端シラノールジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を水素原子、フェニル基、炭素数2以上のアルキル基、水酸基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基、フェニルアルキル基、アミノ基含有基、エポキシ基含有基、カルボキシル基含有基、(メタ)アクリル基含有基、メルカプト基含有基、カルビノール基含有基、ポリエーテル基で置換した有機変性シリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種類以上からなることを特徴とする離型性フィルム。
【請求項2】
離型層の厚みが1μm以上100μm未満である請求項1に記載の離型性フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルムを用いて成形した包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型性フィルムに関し、さらに詳しくは、味噌、餡子等の粘り気のある食品や粘着テープやシート等の粘着物に対して良好な離型性を有し、かつ包装体として必要なヒートシール性を有する離型性フィルム、及びそのフィルムを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
離型性フィルムは、ラベル、シート、粘着テープの基材や、液晶パネル製造用、プリプレグ用、印刷転写フィルム用等の各種製造工程用や、食品用包装フィルム用等、さまざまな用途向けに技術開発され用いられているが、それらの離型性フィルムの製造方法としては、基材となるフィルムの上に離型剤をコーティングする方法と、フィルムを製膜する際に基材となる樹脂に添加する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には生分解性フィルムにシリコーンコート層を形成した離型フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、塗工液を塗布した後に乾燥工程や長時間のエージング工程を必要とすることから製造コストが増大するといった課題がある。また、塗布工程を有するため、チューブラー押出機で製造するチューブ原反には適用することができず、基材フィルムの製造方法が制限されてしまう。また、シリコーンコート層は、フィルムや、包装体の内容物との接触等により剥がれやすく、離型性が続かないという問題がある。更には、コート層の存在により、ヒートシール性が不十分となる。
【0004】
特許文献2には合成樹脂にシリコーンオイルとポリラクトン変性ポリシロキサンを添加する方法が開示されている。特許文献2に記載の方法では、添加量の多いシリコーンオイルのブリードアウトをポリラクトン変性ポリシロキサンを添加することで抑制しているが、合成樹脂に対してシリコーンオイルの添加量が多く十分に混練するためにはスクリュー形状、押出機の種類等が制限されてしまうことや、混練時に滑ってしまい分散不良になることが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−090652号公報
【特許文献2】特開平8‐3455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、少量の離型剤で十分な離型性を有すると共にヒートシール性も兼備して、押出機の種類を選ぶことなく製造が可能な離型性フィルム、及びそれを用いた包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構成を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、離型層を少なくとも1層有するフィルムにおいて、離型層が、ポリオレフィン系樹脂に環状オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを混合してなることを特徴とする離型性フィルム、及びそれを用いた包装体に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の離型性フィルムは、離型剤の表面析出率が高いことにより優れた離型性を有し、さらに、包装体として用いる際に要求されるヒートシール性をも兼備していることにより、本発明は特に、粘着質な食品や物品の包装材に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のフィルムの離型層のポリオレフィン系樹脂とは、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、またはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン‐ブテン−1共重合体、エチレン‐オクテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等の共重合体を用いることが出来る。また、これらは単独でも複数種の併用であってもよいし、複数種のブレンドによりイージーピール性(EP)を付与することもできる。
中でも、包装体を製造する際のヒートシール性の点から、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が望ましい。
【0011】
本発明の離型層のポリオレフィン系樹脂は、包装体のヒートシールが一般に120℃〜160℃で行われることから、融点90℃以上130℃以下の範囲のものが好ましい。より好ましくは、100℃以上125℃以下である。
ポリオレフィン系樹脂の融点は、JIS K 7121に準ずる方法で測定することができる。
【0012】
本発明の離型層のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K 7210)は、0.1〜50g/10分が好ましく、1〜10g/10分がより好ましい。
【0013】
本発明のフィルムの離型層には、環状オルガノポリシロキサンを用いる。
環状オルガノポリシロキサンは、そのポリシロキサン基によりシリコーンオイルと相溶性が良い為、シリコーン基と共にシロキサン基も効率よく離型樹脂層の表面に析出し、離型性の点で相乗効果を発する。
また、環状オルガノポリシロキサンは、他のポリシロキサンに比べ、環状オルガノ基を有することにより樹脂との親和性が高く、樹脂中に留まる効果を持ちブリードアウトが抑制され、引いては、シリコーンオイルのブリードアウトも抑制できる。
【0014】
本発明のフィルムに用いる環状オルガノポリシロキサンは限定されないが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、等が挙げられ、これらの単独でも複数種の併用であってもよい。
中でも、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンが好ましい。
【0015】
環状オルガノポリシロキサンの離型層中の混合濃度は、1質量%以上10質量%未満が好ましい。より好ましい下限値は1.5質量%以上、更には2質量%以上である。より好ましい上限値は7.5質量%未満、更には5質量%未満である。
1質量%以下では離型効果が不足し、10質量%以上では成型時の混練不良やヒートシール性の低下が起こる。
【0016】
本発明のフィルムの離型層には、シリコーンオイルを用いる。
シリコーンオイルは、微量の使用でも離型性を発現するので、フィルムや包装体の内容物との接触や、温度変化や圧力変化により、離型樹脂層から脱離しないように使用することで、その効果を利用することができる。
【0017】
本発明の離型層に用いるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、両末端シラノールジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を水素原子、フェニル基、炭素数2以上のアルキル基、水酸基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基、フェニルアルキル基、アミノ基含有基、エポキシ基含有基、カルボキシル基含有基、(メタ)アクリル基含有基、メルカプト基含有基、カルビノール基含有基、ポリエーテル基等で置換した有機変性シリコーンオイル等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの単独でも複数種の併用であってもよい。
好ましくは、ジメチルシリコーンオイルが用いられる。
【0018】
シリコーンオイルの離型層中の混合濃度は、0.01質量%以上1質量%未満が好ましい。より好ましい下限値は0.05質量%以上、更には0.1質量%以上である。より好ましい上限値は0.8質量%未満、更には0.5質量%未満である。
0.01質量%以下では離型効果が不足し、1質量%以上では成型時の混練不良やヒートシール性の低下が起こる。
【0019】
本発明のフィルムの離型層は、環状オルガノポリシロキサンとシリコーンオイルを併用することにより、表面析出性の高いシリコーンオイルに環状オルガノポリシロキサンが誘引され、それぞれを単独で使用する場合よりも表面析出効果が上がり、ポリオレフィン樹脂に対する混合量が少量でも離型性の高いフィルムを得ることができる。また、過剰なブリードアウトも抑制できる。
【0020】
離型層に混合する環状オルガノポリシロキサンとシリコーンオイルとの質量%の比率は、3:1〜40:1である。より好ましい混合比率は、5:1〜35:1である。環状オルガノポリシロキサンの混合比率を3:1より低くすると表面析出効果が低く、一方、40:1より高くしても表面析出効果の向上は乏しい。
【0021】
本発明の離型層の厚みは、1μm以上100μm以下が好ましい。下限値はより好ましくは3μm以上であり、上限値は好ましくは50μm以下、更に好ましくは25μm以下である。
100μmより厚いと、環状オルガノポリシロキサンとシリコーンオイルの使用量が増え、製造コスト高になる。1μmより薄い場合は、樹脂溶融量が足らずヒートシール性が不十分となる。
また、他の熱可塑性樹脂層を配して多層フィルムを形成する場合は、他層の機能や厚みを勘案して調整し離型層の厚みを設定することが出来る。
【0022】
本発明のフィルムの離型層は、その機能を阻害しない限り、添加剤を加えることができる。添加剤としては、アンチブロッキング剤、スリップ剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0023】
本発明のフィルムは、離型層を少なくとも1層有し、その他の熱可塑性樹脂層と合わせて多層化することが出来る。
【0024】
その他の熱可塑性樹脂層は、特に限定されないが、離型層に隣接する層として、層間接着性の点からポリオレフィン系樹脂層(PO)を設けると、フィルム厚み増しによるフィルム強度増大や、離型層を必要最小限の厚さに設定することで高価な環状オルガノポリシロキサンとシリコーンオイルの使用量を抑え安価とすることが出来る。また、フィルムに柔軟性を付与することも出来る。
離型層に隣接するポリオレフィン系樹脂層には、例えば離型層に用いるポリオレフィン系樹脂と同様の樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用できる。
【0025】
また、深絞り成形性、耐ピンホール性、強度をより向上させる観点からは、ポリアミド樹脂からなる層(PA)を外層または中間層に配することが望ましい。
また、剛性を付与する観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などのポリエステル樹脂からなる層を外層または中間層に配することが望ましい。
【0026】
また、防湿性やフィルムに適度なコシを付与する観点からは、ポリプロピレン樹脂からなる層(PP)を配することが望ましい。
また、酸素バリア性を付与する観点からは、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物からなる層(EVOH)を中間層に配することが望ましい。
また、各層間に、接着性樹脂層を形成してもよい。
【0027】
本発明の離型層を配した多層フィルムの好ましい層構成としては、接着性樹脂層の表記を省いて、外層/中間層/離型層の順に記すと、次の例が挙げられる。
尚、層構成表記において、「離型EP」は、互いに非相溶のポリオレフィン系樹脂2種を用いイージーピール(EP)性を付与した離型層を意味する。
特に、フィルムの強度、深絞り成形適性、製造コストの点から、(2)、(4)の層構成が有用である。
【0028】
(1) PO/離型
(2) PA/{離型、又はPO/離型}
(3) PA/EVOH/{離型、又はPO/離型}
(4) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/{離型、又はPO/離型}
(5) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/EVOH/{離型、又はPO/離型}
(6) {PBT、PET、PE、又はPP}/EVOH/PA/{離型、又はPO/離型}
(7) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/EVOH/PA/{離型、又はPO/離型}
(8) PO/(離型EP)
(9) PA/{離型EP、又はPO/離型EP}
(10) PA/EVOH/{離型+EP、又はPO/離型EP}
(11) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/{離型EP、又はPO/離型EP}
(12) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/EVOH/{離型EP、又はPO/離型EP}
(13) {PBT、PET、PE、又はPP}/EVOH/PA/{離型EP、又はPO/離型EP}
(14) {PBT、PET、PE、又はPP}/PA/EVOH/PA/{離型EP、又はPO/離型EP}
【0029】
本発明の離型性フィルムは、例えば、共押出法、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法等の公知の方法で製造することが出来る。中でも、共押出法、押出ラミネート法が望ましい。また、共押出法は、Tダイ法に限らずチューブラー法でも製造することができる。
【0030】
本発明の離型性フィルムを深絞り包装用途に用いる場合は、無延伸製膜が望ましい。
パウチ包装用途の場合は、無延伸製膜にて製造した本発明のフィルムを内側に用い、例えば二軸延伸ポリエステルフィルム等の延伸フィルムと、ドライラミネート法等で積層して用いることが出来る。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜4、比較例1〜5>
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)と、離型層の原料混合組成物とをそれぞれ単軸押出機を用いて、Tダイ法にて樹脂温度210℃で共押出成形した後、30℃のキャストロールで急冷製膜し、層構成[LLDPE(90μm)/離型層(10μm)]の総厚み100μmの無延伸フィルムを得た。
【0032】
離型層を構成する原料の配合は、各例に示す通りであり、それらをドライブレンドして離型層の原料混合組成物とした。
<実施例1>
・LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、融点119℃、MFR約1.3g/10分); 96.0質量%
・樹脂A(オクタメチルシクロテトラシロキサン50%含有のポリエチレン樹脂マスターバッチ、融点111℃、MFR約6g/10分); 3.0質量%
・樹脂B(ジメチルシリコーンオイル17%含有のポリエチレン樹脂マスターバッチ、融点105℃); 1.0質量%
【0033】
<実施例2>
・LLDPE; 94.5質量%
・樹脂A; 5.0質量%
・樹脂B; 0.5質量%
【0034】
<実施例3>
・LLDPE; 94.0質量%
・樹脂A; 5.0質量%
・樹脂B; 1.0質量%
【0035】
<実施例4>
・LLDPE; 93.0質量%
・樹脂A; 5.0質量%
・樹脂B; 2.0質量%
【0036】
<実施例5>
・LLDPE; 89.0質量%
・樹脂A; 10.0質量%
・樹脂B; 1.0質量%
【0037】
<実施例6>
・LLDPE; 44.0質量%
・ポリブテン樹脂(融点125℃、MFR約1.8g/10分); 50.0質量%
・樹脂A; 5.0質量%
・樹脂B; 1.0質量%
【0038】
<比較例1>
・LLDPE; 100質量%
【0039】
<比較例2>
・LLDPE; 95.0質量%
・樹脂A; 5.0質量%
【0040】
<比較例3>
・LLDPE; 99.0質量%
・樹脂B; 1.0質量%
【0041】
<比較例4>
・LLDPE; 60.0質量%
・樹脂A; 20.0質量%
・樹脂B; 20.0質量%
【0042】
<評価>
得られたフィルムについて、下記の評価を行い、結果を表1に記す。
尚、表1の「ポリエチレン」の組成比(質量%)は、LLDPEの配合量と、樹脂Aの樹脂量と、樹脂Bの樹脂量の和を示す。
また、比較例4は、環状ポリオルガノシロキサンとシリコーンオイルの混合比率が高く、混練が不十分であり、評価できなかった。
【0043】
<評価1> 離型層表面のSi成分析出
X線光電子分析装置(XPS)(サーモフッシャーサイエンティフィック製、K−Alpha機)を用いたナロースキャン分析において、X線源:アルミニウム、X線出力:50eV、測定領域:φ400μm、エネルギーピッチ:0.15eV、スキャン回数:10回の条件で、得られたフィルムの離型層表面の定量分析(原子%)を行い、炭素原子(C)に対する珪素原子(Si)の検出比率を用い、以下の基準で評価した。
○: 10%以上
△: 3%以上10%未満
×: 3%未満
【0044】
<評価2> 離型性
厚さ500μmの台紙の片面に両面テープ(寺岡製作所製、TERAOKA TAPE )を貼り付け、その両面テープの粘着面に対し、得られたフィルムの離型層面を貼り合せた後、幅20mmの短冊上に切断し、180°剥離、速度200mm/分の条件でフィルムを剥離し、両面テープ粘着面に対する剥離強度を測定した。
粘着物質に対する離型性の指標として、比較例1の剥離強度に対する強度比を以下の基準で評価した。
○: 50%未満
△: 50%以上90%未満
×: 90%以上
【0045】
<評価3> ヒートシール性
得られたフィルムの離型層同士をヒートシーラーで、140℃、3kg/cm、シール時間3秒の条件でヒートシールし、幅15mmの短冊上に切断し、180°剥離、速度100mm/分の条件で剥離し、剥離強度を測定した。この剥離強度から、ヒートシール性を以下の規準で評価した。
○: 0.5kgf/15mm幅以上
×: 0.5kgf/15mm幅以下
【0046】
【表1】
【0047】
表1より、本発明のフィルムは、良好な離型性を有するとともに、充分なヒートシール性も有していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のフィルムは、粘着物に対して良好な離型性を有し、かつ包装体として必要なヒートシール性を有するので、内容物が包装材の内側に付着して収容しづらかったり、取り出す際に包装材内部に内容物が残り商品価値が下がってしまうような、味噌、餡子等の粘着質の食品や物品等の包装材に好適に使用でき、製造効率を上げ、不良廃棄品を大幅に低減することができる。また、本発明のフィルムは、Tダイ法のみならず、チューブラー法においても製造でき、製造効率を高めるものである。