(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機物は、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、ポリオレフィンワックス、アクリル系化合物、またはこれらの組み合わせを含む高分子粒子を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
前記コーティング層は、前記有機物と異なるバインダーをさらに含み、前記バインダーは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
前記セパレータは、有機物質を含み、前記セパレータに含まれている有機物質は、前記コーティング層に含まれている有機物よりも融点が高い、請求項17に記載のリチウム二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって限定されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0028】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池について
図1を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を示す概略図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池100は、電極組立体110と、前記電極組立体110を収納している電池容器120と、前記電極組立体110で形成された電流を外部に誘導するための電気的通路の役割を果たす電極タブ130とを含むことができる。前記電池容器120の二つの面は、互いに向き合う面を重ねて密封するようになる。また、前記電極組立体110を収納している電池容器120内部に電解液が注入される。
【0031】
前記電極組立体110は、正極と、前記正極と対向する負極と、前記正極と前記負極との間に配置されているセパレータとから構成される。
【0032】
本発明の一実施形態に係る前記負極は、集電体と、前記集電体の上に位置する負極活物質層と、前記負極活物質層の上に位置する、具体的には前記負極活物質層の上に直接連結されるコーティング層とを含むことができる。より具体的には、前記コーティング層は、前記負極活物質層の表面を一部貫通することができる。この時、前記コーティング層は、単一層または多層の構造を有することができ、前記コーティング層は、有機物および無機物を含むことができる。
【0033】
前記有機物が前記負極活物質層の上にコーティングされる場合、シャットダウン機能によってリチウムイオンの移動を防ぐことで、電池の内部抵抗を増加させることができ、これによって電気化学反応性を低下させることができる。したがって、前記シャットダウンが可能な有機物を電極、具体的には負極の表面にコーティングする場合、電池の発熱を早期に抑制させることができる。
【0034】
また、前記無機物が前記負極活物質層の上にコーティングされる場合、電極、具体的には負極の表面に電気的絶縁層を形成して正極と負極との間の短絡を防止することができる。
【0035】
これによって、負極の表面に前記有機物と前記無機物がコーティングされる場合、電池の発熱を早期に抑制し、正極と負極との間の短絡を防止してリチウム二次電池の安全性、熱的安定性およびサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0036】
前記有機物と前記無機物がセパレータの基材表面にコーティングされる場合、物理的衝撃によってセパレータが破断することがあり、これによってその効果を発揮できないこともある。本発明の一実施形態では、前記有機物と前記無機物が電極の表面に直接コーティングされることによって、堅固な支持体の上でその機能を発揮するようになるので、より安定的にリチウム二次電池の安全性を向上させることができる。また、前記有機物と前記無機物は電極を保護するようになって電極活物質のデインターカレーションを防止し、電極の表面粗度を減少させて電池の組み立て工程中の電極摩擦による不良を解消することができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る負極の構造について
図2乃至4を参照して具体的に説明する。
図2乃至
図4は、一例を説明するためのものに過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極の構造を示す断面図である。
【0039】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極10は、集電体11と、前記集電体11の上に位置する負極活物質層12と、前記負極活物質層12の上に位置する、具体的には前記負極活物質層12の上に直接連結されるコーティング層とを含む。
図2で前記コーティング層は単一層の構造を示し、具体的には前記コーティング層は有機物14および無機物15が単一層内に共に存在する複合体層13であり得る。
【0040】
このように電極、具体的には負極の表面に有機物と無機物がコーティングされた場合、より具体的には負極の表面に有機物と無機物が単一層として共にコーティングされた場合、有機物のシャットダウン機能によって電池発熱を早期に抑制することができ、無機物の電気的絶縁性によって正極と負極との間の短絡を防止することができる。これによって、リチウム二次電池の安全性、熱的安定性およびサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0041】
図3は、本発明の他の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極の構造を示す断面図である。
【0042】
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極20は、集電体21と、前記集電体21の上に位置する負極活物質層22と、前記負極活物質層22の上に位置する、具体的には前記負極活物質層22の上に直接連結されるコーティング層とを含む。
図3で前記コーティング層は多層の構造を示し、具体的には前記コーティング層は無機物25を含む無機層23と有機物26を含む有機層24とを含むことができる。この時、前記無機層23は、前記負極活物質層22の上にコーティングされ、前記有機層24は、前記無機層23の上にコーティングされ得る。
【0043】
このように電極、具体的には負極の表面に有機物と無機物がコーティングされた場合、より具体的には負極の表面に無機物がコーティングされ、その上に別途の層で有機物がコーティングされた場合、有機物のシャットダウン機能によって電池発熱を早期に抑制することができ、無機物の電気的絶縁性によって正極と負極との間の短絡を防止することができる。これによって、リチウム二次電池の安全性、熱的安定性およびサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0044】
図4は、本発明のさらに他の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極の構造を示す断面図である。
【0045】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極30は、集電体31と、前記集電体31の上に位置する負極活物質層32と、前記負極活物質層32の上に位置する、具体的には前記負極活物質層32の上に直接連結されるコーティング層とを含む。
図4で前記コーティング層は多層の構造を示し、具体的には前記コーティング層は有機物35を含む有機層33と無機物36を含む無機層34とを含むことができる。この時、前記有機層33は、前記負極活物質層32の上にコーティングされ、前記無機層34は、前記有機層33の上にコーティングされ得る。
【0046】
このように電極、具体的には負極の表面に有機物と無機物がコーティングされた場合、より具体的には負極の表面に有機物がコーティングされ、その上に別途の層で無機物がコーティングされた場合、有機物のシャットダウン機能によって電池発熱を早期に抑制することができ、無機物の電気的絶縁性によって正極と負極との間の短絡を防止することができる。これによって、リチウム二次電池の安全性、熱的安定性およびサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0047】
前記有機物、具体的には、
図2乃至4で前記複合体層および前記有機層に含有される有機物は、85乃至130℃の融点を有する高分子粒子を含むことができる。前記融点範囲を有する有機物を使用する場合、シャットダウン機能が可能であることから、電池の発熱を早期に抑制することができる。
【0048】
一方、前記セパレータは、ポリオレフィン系高分子のような有機物質を含むことができ、前記有機物質の融点は、前記コーティング層に含まれる前記有機物の融点よりも高い。具体的には、前記セパレータに含まれる前記有機物質は、130℃以上の溶融温度を有し、そのため、セパレータは130℃以上でシャットダウン機能を遂行するようになる。しかし、電池の高容量化によってエネルギー密度が高くなったり、構造的または化学的な安定性が低下した活物質を使用するようになると、電池の異常発熱時に初期発熱量が急上昇するようになってセパレータのシャットダウンのみでは制御が難しくなる。本発明の一実施形態では、セパレータの有機物よりも溶融温度が低い有機物を負極活物質層にコーティングすることによって、130℃以前に有機物が溶融してシャットダウンされるため、より低い温度で電気化学反応性を抑制することができ、これによって、電池の発熱を早期に抑制することができる。言い換えると、一次的に、負極活物質層に形成された有機物のシャットダウンによって電池反応性がある程度抑制された状態で、二次的にセパレータのシャットダウンが起こるため、より効果的に電池の安全性を確保することができる。
【0049】
具体的には、有機物に含まれる前記高分子粒子は、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、ポリオレフィンワックス、アクリル系化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、好ましくはポリエチレンを使用することができる。
【0050】
前記有機物の重量平均分子量は、300乃至10,000であり、具体的には2,000乃至6,000であり得る。また前記有機物は、0.1乃至5μmの大きさを有する高分子粒子であり、具体的には0.2乃至3μmであり得る。前記有機物の重量平均分子量および大きさが前記範囲内である場合、リチウムイオンの移動抵抗を最小化して電池の性能を確保し、シャットダウン機能がより強化されて電池の発熱を早期に抑制することができる。
【0051】
前記有機物は、前記負極活物質層および前記コーティング層の総量に対して0.5乃至10重量%で含まれ、具体的には3乃至7重量%で含まれ得る。前記有機物が前記含量範囲内に含まれる場合、シャットダウン機能をより強化させて電池の発熱を早期に抑制することができる。
【0052】
前記無機物、具体的には、
図2乃至4で前記複合体層および前記無機層に含有される無機物は、SiO
2、Al
2O
3、Al(OH)
3、AlO(OH)、TiO
2、BaTiO
2、ZnO
2、Mg(OH)
2、MgO、Ti(OH)
4、アルミニウムナイトライド(AlN)、シリコンカーバイド(SiC)、ボロンナイトライド(BN)、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0053】
前記無機物は、粒子の大きさが0.1乃至5μmであり、具体的には0.3乃至1μmであり得る。前記無機物粒子の大きさが前記範囲内である場合、前記負極活物質層の上に均一にコーティングされ、これによって優れた電気的絶縁性を有するため、正極と負極との間の短絡を防止することができる。また、リチウムイオンの移動抵抗を最小化して性能を確保することができる。
【0054】
前記無機物は、前記負極活物質層および前記コーティング層の総量に対して1乃至20重量%で含まれ、具体的には5乃至12重量%で含まれ得る。前記無機物が前記含量範囲内に含まれる場合、優れた電気的絶縁性を有することによって正極と負極との間の短絡を防止することができる。
【0055】
図2で前記有機物および前記無機物を含む前記複合体層の厚さは、1乃至20μmであり、具体的には2乃至10μmであり得る。前記複合体層の厚さが前記範囲内である場合、シャットダウン機能と電気的絶縁性に優れて、電池の発熱を早期に抑制し、正極と負極との間の短絡を防止することができる。また、リチウムイオンの移動抵抗を最小化し、コーティング層の厚さを最小化して電池性能を確保することができる。
【0056】
図3および4で前記無機層の厚さは、1乃至10μmであり、具体的には2乃至7μmであり得、前記有機層の厚さは1乃至10μmであり、具体的には3乃至7μmであり得る。前記無機層と前記有機層の厚さが各々前記範囲内である場合、優れた電気的絶縁性を有して正極と負極との間の短絡を防止することができ、また、シャットダウン機能が強化されることによって電池の発熱を早期に抑制することができる。また、リチウムイオンの移動抵抗を最小化し、コーティング層の厚さを最小化して電池性能を確保することができる。
【0057】
前記コーティング層、具体的には
図2の場合、前記複合体層は、前記有機物と前記無機物以外にバインダーをさらに含むことができる。また、
図3および4の場合、前記有機層は、前記有機物以外にバインダーをさらに含むことができ、前記無機層は、前記無機物以外にバインダーをさらに含むことができる。
【0058】
前記バインダーは、前記有機物と異なる物質であり得る。前記バインダーの具体的な例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、エチレンビニルアセテート(EVA)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル、酢酸ビニル誘導体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴム、またはこれらの組み合わせが挙げられ、これらのうち、好ましくは前記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、前記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と前記カルボキシメチルセルロース(CMC)の混合物、前記エチレンビニルアセテート(EVA)、前記ポリビニルアルコール(PVA)、前記エチレン−アクリル酸共重合体、または前記アクリル系ゴムを使用することができる。
【0059】
前記バインダーを前記コーティング層に含む場合、負極の表面との接着力を向上させ、有機物粒子間、無機物粒子間、または有機物と無機物粒子間の接着力を向上させることができる。
【0060】
前記負極の前記集電体としては、銅箔を使用することができる。
【0061】
前記負極活物質層は、負極活物質と、バインダーと、選択的に導電剤とを含む。
【0062】
前記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質、または遷移金属酸化物を含む。
【0063】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、炭素物質であって、リチウム二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質であれば如何なるものでも使用することができ、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状、または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(低温焼成炭素)またはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0064】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属との合金を使用することができる。
【0065】
前記リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族乃至16族元素、遷移金属、希土類元素、またはこれらの組み合わせであり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族乃至16族元素、遷移金属、希土類元素、またはこれらの組み合わせであり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO
2を混合して使用することもできる。前記QおよびRの具体的な元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0067】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を負極集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例として、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0068】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0069】
前記負極は、前記負極活物質、前記バインダーおよび前記導電剤を溶媒中で混合して負極活物質組成物を製造し、前記負極活物質組成物を前記負極集電体に塗布して製造する。この時、前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0070】
前記正極は、集電体と、前記集電体の上に位置する正極活物質層とを含む。
【0071】
前記集電体としては、アルミニウムを使用することができるが、これに限定されない。
【0072】
前記正極活物質層は、正極活物質を含む。
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができ、具体的にはリチウム金属酸化物を使用することができる。
【0073】
前記リチウム金属酸化物は、具体的にはコバルト、マンガン、ニッケルおよびアルミニウムから選択される少なくとも一つの金属とリチウムを含む酸化物を使用することができる。より具体的には、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる。
【0074】
Li
aA
1−bX
bD
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);Li
aA
1−bX
bO
2−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aE
1−bX
bO
2−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aE
2−bX
bO
4−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
bE
cG
dO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);Li
aNiG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aCoG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
1−bG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
2G
bO
4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
1−gG
gPO
4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiZO
2;LiNiVO
4;Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4。
【0075】
前記化学式中、Aは、Ni、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Xは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Dは、O、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Eは、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Tは、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Qは、Ti、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Zは、Cr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0076】
前記リチウム金属酸化物は、より具体的には、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、またはこれらの組み合わせを使用することができ、これらのうち、好ましくは、前記リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物と前記リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物とを混合して使用することができる。
前記正極活物質層は、前述した正極活物質以外に、バインダーと導電剤とをさらに含むことができる。
【0077】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を正極集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0078】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0079】
前記電解液は、非水性有機溶媒とリチウム塩とを含む。
【0080】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、および非プロトン性溶媒から選択され得る。
【0081】
前記カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。
【0082】
特に、鎖状カーボネート化合物および環状カーボネート化合物を混合して使用する場合、誘電率を高めると同時に粘性が小さい溶媒として製造され得てよい。この場合、環状カーボネート化合物および鎖状カーボネート化合物は、約1:1乃至1:9の体積比に混合して使用することができる。
【0083】
また、前記エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノライド、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトンなどを使用することができる。前記エーテル溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができる。
【0084】
前記非水性有機溶媒は、単独でまたは二つ以上を混合して使用することができ、二つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節することができる。
【0085】
前記非水性電解液は、エチレンカーボネート、ピロカーボネートなどの過充電防止剤のような添加剤をさらに含むこともできる。
【0086】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0087】
前記リチウム塩の具体的な例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
3C
2F
5)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは、自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
前記リチウム塩の濃度は、約0.1M乃至約2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれる場合、電解液が適切な伝導度および粘度を有するため、優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0089】
前記セパレータは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、リチウム電池で通常使用されるものであればいずれも使用可能である。つまり、電解質のイオン移動に対して低抵抗であると同時に、電解液含湿能力に優れたものを使用することができる。例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはこれらの組み合わせの中から選択されたものであって、不織布形態であっても織布形態であってもよい。例えば、リチウムイオン電池にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータを使用することもでき、選択的に単層または多層の構造で使用することができる。
【0090】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、本発明はこれによって限定されない。
【0091】
また、ここに記載されていない内容は当該技術分野における当業者であれば十分に技術的に類推することができるため、その説明を省略する。
【実施例】
【0092】
実施例1
(負極の製造)
融点が110℃であり、平均粒子が1μmであり、重量平均分子量が5,000であるポリエチレン粒子(Mitsui Chemicals,Inc社製、Chemipearl W401)98重量%、およびアクリル系ゴム(ZEON Corporation社製、BM−900B)2重量%を水に混合して有機層組成物を製造した。
【0093】
大きさが0.45μmであるAl
2O
3(Sumitomo Sumitomo Chemical Co., Ltd.社製、AES−12)95重量%、およびアクリル系ゴム(ZEON Corporation社製、BM−520B)5重量%をN−メチルピロリドン溶媒中に混合して無機層組成物を製造した。
【0094】
黒鉛97.5重量%、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)1.5重量%およびカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%を水溶媒に添加してスラリーを製造した。
【0095】
前記スラリーを銅箔に塗布および乾燥し、ロールプレスを施して負極活物質層を製造した。次に、前記負極活物質層に前記無機層組成物を塗布して無機層を形成し、前記無機層の上に前記有機層組成物を塗布して有機層を形成することによって、負極を製造した。この時、前記無機層の厚さは6μmであり、前記有機層の厚さは2μmになるように形成した。また、前記ポリエチレン粒子および前記Al
2O
3は、それぞれ前記負極活物質層と前記無機層および前記有機層を含むコーティング層との総量に対して1.6重量%および9.8重量%で含まれた。
【0096】
(正極の製造)
LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33O
290重量%およびLiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
210重量%の混合物94重量%、カーボンブラック3重量%およびポリフッ化ビニリデン3重量%をN−メチルピロリドン(NMP)溶媒に添加してスラリーを製造した。前記スラリーをアルミニウム(Al)箔膜に塗布および乾燥し、ロールプレスを施して正極を製造した。
【0097】
(電解液の製造)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを2:4:4の体積比に混合した混合溶媒に1.15MのLiPF
6を添加して電解液を製造した。
【0098】
(リチウム二次電池の作製)
前記正極、前記負極および前記電解液とポリエチレン材質のセパレータを使用してリチウム二次電池を作製した。
【0099】
実施例2
有機層の厚さを4μmになるように製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0100】
実施例3
負極を次のとおり製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0101】
前記負極活物質層に前記有機層組成物を塗布して有機層を形成し、前記有機層の上に前記無機層組成物を塗布して無機層を形成することによって、負極を製造した。この時、前記有機層の厚さは4μmであり、前記無機層の厚さは6μmになるように形成した。この時、有機層のコーティング時に水による負極表面の変化を最小化するために迅速に乾燥を進行した。
【0102】
実施例4
負極を次のとおり製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0103】
融点が110℃であり、平均粒子が1μmであり、重量平均分子量が5,000であるポリエチレン粒子(水分散されたMitsui Chemicals,Inc社製のChemipearl W401製品を真空乾燥して使用)47.5重量%、大きさが0.45μmであるAl
2O
3(Sumitomo Chemical Co., Ltd.社製、AES−12)47.5重量%、およびアクリル系ゴム(ZEON Corporation社製、BM−520B)5重量%をN−メチルピロリドン溶媒中に混合して複合体層組成物を製造した。前記負極活物質層に前記複合体層組成物を塗布して複合体層を形成することによって、負極を製造した。この時、前記複合体層の厚さは8μmになるように形成した。また、前記ポリエチレン粒子および前記Al
2O
3は、それぞれ前記負極活物質層と前記無機層および前記有機層を含むコーティング層との総量に対して4.9重量%および4.9重量%で含まれた。
【0104】
比較例1
前記スラリーを銅箔に塗布および乾燥し、ロールプレス(roll press)を施して負極を製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0105】
比較例2
負極を次のとおり製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0106】
前記負極活物質層に前記無機層組成物を塗布して無機層を形成することによって、負極を製造した。この時、前記無機層の厚さは6μmになるように形成した。
【0107】
評価1:リチウム二次電池の熱による抵抗評価
実施例1乃至4と比較例1および2のリチウム二次電池に対して温度による抵抗変化を評価し、その結果を
図5に示した。
【0108】
図5は、実施例1乃至4と比較例1および2によるリチウム二次電池に対して温度および抵抗の関係を示すグラフである。
【0109】
図5を参照すると、本発明の一実施形態により負極活物質層の上に有機物と無機物を含むコーティング層が形成された負極を使用した実施例1乃至4の場合、コーティング層がない負極を使用した比較例1と無機物のみでコーティングされた負極を使用した比較例2の場合と比較して、抵抗が増加し始める温度がより低くなることが分かる。これによって、有機物によるシャットダウン機能によって電池の発熱を早期に抑制させることができることが分かる。
【0110】
評価2:リチウム二次電池の貫通安全性
実施例1乃至4と比較例1および2のリチウム二次電池に対して貫通安全性を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0111】
前記リチウム二次電池を充電電流0.5Cで4.20Vまで充電し、終了条件は0.05Cカットオフで実施した後、貫通ピン直径2.5mmおよび速度80mm/secで貫通評価を実施した。
【0112】
【表1】
【0113】
前記表1を参照すると、本発明の一実施形態により負極活物質層の上に有機物と無機物を含むコーティング層が形成された負極を用いた実施例1乃至4の場合、コーティング層がない負極を用いた比較例1と無機物のみでコーティングされた負極を用いた比較例2の場合と比較して、貫通安全性に優れていることが分かる。また、実施例1および2のうち、有機物の量がより多い、すなわち有機層の厚さがより厚い実施例2の場合、貫通安全性が最も優れていることが分かる。このような結果から、負極の表面が有機物と無機物とでコーティングされる場合、シャットダウン機能によって貫通安全性に優れていることが分かる。
【0114】
上述のように、本発明の好適な実施形態について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。