特許第6388545号(P6388545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388545
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】被加工物の研削方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/04 20060101AFI20180903BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180903BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B24B49/04 Z
   B24B49/10
   H01L21/304 631
   B24B7/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-6442(P2015-6442)
(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公開番号】特開2016-132047(P2016-132047A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−224678(JP,A)
【文献】 特開2009−233809(JP,A)
【文献】 特開2007−220775(JP,A)
【文献】 特開2010−199227(JP,A)
【文献】 特開2009−154282(JP,A)
【文献】 特開2008−263096(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0037681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/04
B24B 7/04
B24B 49/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に保護部材が貼着された被加工物を該保護部材を介して保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の裏面を研削する研削手段と、被加工物の厚さを測定する超音波測定手段と、を備えた研削装置を用いて被加工物の裏面を研削して被加工物を所定の厚さに薄化する被加工物の研削方法であって、
該超音波測定手段は、該チャックテーブルの上面に対向して配置され、該チャックテーブルの上面高さ位置を測定する第1超音波測定器と、
チャックテーブルに保持された被加工物の上面に対向して配置され、発振された超音波が被加工物の上面で反射した反射波を受信するまでの伝播時間と、被加工物の下面で反射した反射波を受信するまでの伝播時間との差から被加工物の実厚を測定する第2超音波測定器と、を含み、
該被加工物の研削方法は、該第2超音波測定器のみによって被加工物の実厚を測定しながら、所定の厚さまで被加工物の裏面を研削する第1研削工程と、
該第1研削工程終了時に、該第1超音波測定器によって測定したチャックテーブルの上面高さ位置と該第2超音波測定器によって測定した被加工物の上面高さ位置との差から求められる総厚と、該第2超音波測定器によって測定した被加工物の実厚との差から保護部材の厚さを算出する保護部材厚さ算出工程と、
該保護部材厚さ算出工程実施後、該第2超音波測定器で測定した被加工物の上面高さ位置と該第1超音波測定器で測定したチャックテーブルの上面高さ位置との差と該保護部材の厚さから研削中の被加工物の厚さを算出し、被加工物を目標仕上げ厚さまで研削する第2研削工程と、
を備えたことを特徴とする被加工物の研削方法。
【請求項2】
前記第1超音波測定器と該チャックテーブルとの間及び前記第2超音波測定器と被加工物の裏面との間は水で満たされている請求項1記載の被加工物の研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ等の板状被加工物の研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが表面に複数形成されたシリコンウェーハ(以下、単にウェーハと称することがある)は、裏面が研削されて所定の厚みに薄化された後、切削装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割されたデバイスチップは携帯電話、パソコン等の各種電子機器に広く利用されている。
【0003】
ウェーハの裏面を研削するには、研削装置のチャックテーブルで保持したウェーハを回転すると共に、研削砥石を回転させながらウェーハの被研削面(裏面)に接触させて、ウェーハの厚さを測定しながら研削している。
【0004】
その際の厚さの測定方法としては、回転しているウェーハの被研削面とチャックテーブルの枠体の上面(基準面)とに接触端子を接触させながら厚さを測定し、所定の厚さに達した時点で加工を終了する方法が一般的である(例えば、特開昭63−256360号公報、特開2000−006018号公報、特開2001−009716号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−256360号公報
【特許文献2】特開2000−006018号公報
【特許文献3】特開2001−009716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、接触端子を接触させながら厚さを測定する測定方法では、厚さ測定器の接触端子をウェーハの被研削面に接触させながら厚さを測定するので、ウェーハの被研削面に接触端子が接触した傷が残ってしまうという問題がある。
【0007】
また、接触測定方法では、ウェーハの厚さとウェーハの表面側に貼着された保護部材とを含む総厚を厚さ測定器で測定しながら、研削加工を実施するので、保護部材の厚さにばらつきがある場合、そのばらつきが測定された厚さにも表れ、高精度の厚さ測定をできないという問題がある。
【0008】
そこで、レーザービームを用いて研削中のウェーハの厚さを測定しながらウェーハを所定の厚みに薄化するという研削方法もいくつか提案されている。この方法では、ウェーハの上面で反射する反射波とウェーハの下面で反射する反射波との到着時間差をもってウェーハの厚みを測定しているが、被加工物の種類によっては特定波長を有するレーザービームがウェーハを透過しないという問題があり、被加工物の種類によってはレーザービームを用いた厚さ測定方法を適用できない場合がある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被加工物の被研削面に厚さ測定器の接触端子の傷が残らず、被加工物の種類によらず且つ被加工物の表面側に保護部材が貼着されていても、被加工物の厚さを測定しながら研削可能な被加工物の研削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、表面に保護部材が貼着された被加工物を該保護部材を介して保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の裏面を研削する研削手段と、被加工物の厚さを測定する超音波測定手段と、を備えた研削装置を用いて被加工物の裏面を研削して被加工物を所定の厚さに薄化する被加工物の研削方法であって、該超音波測定手段は、該チャックテーブルの上面に対向して配置され、該チャックテーブルの上面高さ位置を測定する第1超音波測定器と、チャックテーブルに保持された被加工物の上面に対向して配置され、発振された超音波が被加工物の上面で反射した反射波を受信するまでの伝播時間と、被加工物の下面で反射した反射波を受信するまでの伝播時間との差から被加工物の実厚を測定する第2超音波測定器と、を含み、該被加工物の研削方法は、該第2超音波測定器のみによって被加工物の実厚を測定しながら、所定の厚さまで被加工物の裏面を研削する第1研削工程と、該第1研削工程終了時に、該第1超音波測定器によって測定したチャックテーブルの上面高さ位置と該第2超音波測定器によって測定した被加工物の上面高さ位置との差から求められる総厚と、該第2超音波測定器によって測定した被加工物の実厚との差から保護部材の厚さを算出する保護部材厚さ算出工程と、該保護部材厚さ算出工程実施後、該第2超音波測定器で測定した被加工物の上面高さ位置と該第1超音波測定器で測定したチャックテーブルの上面高さ位置との差と該保護部材の厚さから研削中の被加工物の厚さを算出し、被加工物を目標仕上げ厚さまで研削する第2研削工程と、を備えたことを特徴とする被加工物の研削方法が提供される。
【0011】
好ましくは、第1超音波測定器とチャックテーブルとの間及び第2超音波測定器と被加工物の被研削面との間には、水が満たされながら第1及び第2研削工程が実施される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の研削方法では、被加工物の厚さを測定する手段として、超音波測定器を用いて被加工物の被研削面の上面高さ位置を測定しながら、被加工物を目標仕上げ厚さまで研削するので、被加工物の被研削面に傷が残ることがない。
【0013】
また、所定の厚さまでは、被加工物の実厚を測定しながら研削し、被加工物の目標仕上げ厚さまでは、チャックテーブルの上面高さ位置と被加工物の被研削面の上面高さ位置を測定しながら研削加工するので、比較的安価な超音波測定器を用いて被加工物を目標仕上げ厚みまで研削することができる。
【0014】
更に、被加工物の表面に保護部材が貼着されていても、被加工物の実厚を測定しながらの研削中に保護部材は研削圧力により押圧されるため、保護部材の厚さばらつきが解消され、被加工物を目標仕上げ厚さまで精度よく研削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の研削方法を実施可能な研削装置の斜視図である。
図2】シリコンウェーハの表面側斜視図である。
図3】表面に保護テープが貼着された状態のシリコンウェーハの裏面側斜視図である。
図4】第1及び第2研削工程を説明する斜視図である。
図5】第1研削工程を説明する一部断面側面図である。
図6】第1研削工程中の第1及び第2超音波測定器の波形図を示す図である。
図7】第2研削工程を説明する一部断面側面図である。
図8】第2研削工程中の第1及び第2超音波測定器の波形図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の研削方法を実施するのに適した研削装置2の外観斜視図が示されている。4は研削装置2のベースであり、ベース4の後方にはコラム6が立設されている。コラム6には、上下方向に伸びる一対のガイドレール8が固定されている。
【0017】
この一対のガイドレール8に沿って研削ユニット(研削手段)10が上下方向に移動可能に装着されている。研削ユニット10は、スピンドルハウジング12と、スピンドルハウジング12を保持する支持部14を有しており、支持部14が一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動する移動基台16に取り付けられている。
【0018】
研削ユニット10は、スピンドルハウジング12中に回転可能に収容されたスピンドル18と、スピンドル18を回転駆動するモータ20と、スピンドル18の先端に固定されたホイールマウント22と、ホイールマウント22に着脱可能に装着された研削ホイール24とを含んでいる。
【0019】
研削装置2は、研削ユニット10を一対の案内レール8に沿って上下方向に移動するボールねじ30とパルスモータ32とから構成される研削ユニット送り機構34を備えている。パルスモータ32を駆動すると、ボールねじ30が回転し、移動基台16が上下方向に移動される。
【0020】
ベース4の上面には凹部4aが形成されており、この凹部4aにチャックテーブル機構36が配設されている。チャックテーブル機構36はチャックテーブル38を有し、図示しない移動機構によりウェーハ着脱位置Aと、研削ユニット10に対向する研削位置Bとの間でY軸方向に移動される。40,42は蛇腹である。ベース4の前方側には、研削装置2のオペレータが研削条件等を入力する操作パネル44が配設されている。
【0021】
図2を参照すると、半導体ウェーハ11は、例えば厚さが700μmのシリコンウェーハからなっており、表面11aに複数のストリート(分割予定ライン)13が格子状に形成されているとともに、複数のストリート13によって区画された各領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0022】
このように構成された半導体ウェーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。また、半導体ウェーハ11の外周にはシリコンウェーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチ21が形成されている。
【0023】
ウェーハ11の裏面11bの研削に先立って、ウェーハ11の表面11aには、保護テープ貼着工程により保護テープ23が貼着される。保護テープ23は、ポリエチレン塩化ビニル、ポリオレフィン等の基材の表面に糊層を配設して構成されている。保護テープ23に代わって、他の保護部材をウェーハ11の表面11aに貼着するようにしてもよい。
【0024】
本発明の研削方法が適用される被加工物は、シリコンウェーハに限定されるものではなく、表面に保護部材が貼着された光デバイスウェーハ等の他の板状被加工物にも、本発明の研削方法は適用可能である。
【0025】
本発明の研削方法では、ウェーハ着脱位置Aに位置づけられたチャックテーブル38でウェーハ11の保護テープ23側を吸引保持し、ウェーハ11の裏面11bを露出させる。そして、図示しない移動機構によりチャックテーブル38をY軸方向に移動して、ウェーハ11が研削ホイール24に対向する図4に示す研削位置に位置づける。
【0026】
図4において、研削ユニット10のスピンドル18の先端に固定されたホイールマウント22には複数のねじ31により研削ホイール24が着脱可能に装着されている。研削ホイール24は、ホイール基台26の自由端部(下端部)に複数の研削砥石28を環状に固着して構成されている。
【0027】
図5に示すように、超音波測定手段48は、チャックテーブル38の枠体の上面38aの高さ位置を測定する第1超音波測定器50と、ウェーハ11の厚さを測定する第2超音波測定器54とを含んでいる。
【0028】
第1及び第2超音波測定器50,54は周波数20MHzの超音波を発振する比較的安価な超音波測定器であり、200μm以上の厚さを有するウェーハ等の板状被加工物の厚さを正確に測定できる。
【0029】
好ましくは、第1超音波測定器50とチャックテーブル38の上面38aとの間の距離及び第2超音波測定器54とウェーハ11の上面(裏面)11bとの間の距離は2〜3mm程度に設定する。
【0030】
第1超音波測定器50の先端部には円筒部材52が配設され、第2超音波測定器54の先端部には円筒部材56が配設されている。第1超音波測定器50によるチャックテーブル38の上面38aの高さ位置の測定中には円筒部材52中に純水が供給され、超音波測定器50から発振された超音波は純水中を伝播する。
【0031】
同様に、第2超音波測定器54によるウェーハ11の上面(裏面)11bの高さ位置の測定中には、円筒部材56中に純水が供給され、第2超音波測定器54から発振された超音波は純水中を伝播してウェーハ11に到達する。
【0032】
第1研削工程では、図4に示すように、チャックテーブル38を矢印aで示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール24を矢印bで示す方向に例えば6000rpmで回転させると共に、研削ユニット送り機構34を駆動して研削ホイール24の研削砥石28をウェーハ11の裏面11bに接触させる。
【0033】
そして、研削ホイール24を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りする。図5に示すように、非接触式の超音波測定手段48でウェーハ11の厚さを測定しながら、ウェーハ11を所定の厚さ、即ち第2超音波測定器54の有効測定範囲である200μmまで研削する。
【0034】
この第1研削工程では、第2超音波測定器54のみを使用してウェーハ11の実厚を測定しながら研削を遂行する。即ち、第2超音波測定器54から発振された超音波がウェーハ11の上面(裏面)11bで反射した反射波を受信するまでの伝播時間と、ウェーハ11の下面(表面)11aで反射した反射波を受信するまでの伝播時間との差からウェーハ11の厚みを算出する。
【0035】
図6を参照すると、第1研削工程での超音波測定手段48の波形図が示されている。64は第1超音波測定器50の波形図であり、66はウェーハ11の上面で反射された第2超音波測定器54の反射波の波形を示しており、68はウェーハ11の下面で反射された反射波の波形を示している。
【0036】
ウェーハ11の下面11aの反射波の到達時間はウェーハ11の上面11bからの反射波の到達時間から遅延して第2超音波測定器54で受信される。第1超音波測定器50の波形64及び第2超音波測定器54の上面の反射波の波形66及び下面の反射波の波形68は超音波測定手段48に接続された波形検出部58で検出される。
【0037】
波形検出部58で検出された第2超音波測定器54のウェーハ11の上面(裏面)11bで反射した反射波を受信するまでの伝播時間と、ウェーハ11の下面(表面)11aで反射した反射波を受信するまでの伝播時間との差から、厚み算出部60でウェーハ11の厚み(実厚)を算出しながら第1研削工程を遂行する。
【0038】
第1研削工程では、第1超音波測定器50のチャックテーブル38の上面38aの反射波も受信しているが、この反射波はウェーハ11の実厚の測定には利用されることがない。
【0039】
図6の波形図で、矢印70はウェーハ11の上面の反射波を受信するまでの時間とウェーハ11の下面の反射波を受信するまでの時間差を示しており、時間差をt、ウェーハ11での音速をvとすると、厚み算出部60でウェーハ11の厚みは、vt/2で算出することができる。
【0040】
この第1研削工程を実施すると、保護テープ23は研削圧力により上方から押圧されるため、保護テープ23の厚みのばらつきが解消されて、保護テープ23は一様な厚みとなる。
【0041】
従って、第1研削工程の終了時に、第1超音波測定器50によって測定したチャックテーブル38の上面38aの高さ位置と、第2超音波測定器54によって測定したウェーハ11の上面11bの高さ位置との差から求められるウェーハ11+保護テープ23の総厚と、第2超音波測定器54によって測定したウェーハ11の実厚との差から保護テープ23の厚さを測定する。
【0042】
厚み算出部60で算出したウェーハ11の厚みが所定の厚み、本実施形態では200μmになると、厚み算出部60から制御手段62に信号を送り、制御手段62は研削ユニット送り機構34のパルスモータ32の回転を停止させ、第1研削工程を終了する。
【0043】
保護テープ23の厚さ算出工程実施後、ウェーハ11を目標仕上げ厚さまで研削する第2研削工程を実施する。この第2研削工程では、図7に示すように、第1超音波測定器50で測定したチャックテーブル38の上面38aの高さ位置と、第2超音波測定器54で測定したウェーハ11の上面(裏面)11bの高さ位置との差と、保護テープ23の厚さから、厚み算出部60でウェーハ11の厚みを算出し、ウェーハ11を目標仕上げ厚み、例えば50μmまで研削する。
【0044】
図8を参照すると、第2研削工程での第1超音波測定器50及び第2超音波測定器54の波形図が示されている。66は第2超音波測定器54から発振された超音波のウェーハ11の上面(裏面)11bでの反射波を示しており、ウェーハ11の研削の進行につれて、反射波を受信するまでの伝播時間が遅れていくことを示している。
【0045】
本実施形態で第1超音波測定器50の先端に取り付けられた円筒52及び第2超音波測定器54の先端に取り付けられた円筒56中に純水を満たしながら測定を実施しているのは、ウェーハ11の研削は研削水を供給しながら実施するため研削水中に研削屑が混入し、この研削屑の混入した研削水を円筒部材52,56中に供給する純水で排除しながら厚さの測定を実施するためである。
【0046】
上述した実施形態では、20MHzの超音波を発振する比較的安価な超音波発振器を利用して、ウェーハ11の厚みを非接触で測定しながらウェーハ11を第1研削工程及び第2研削工程により目標仕上げ厚みまで研削するので、被加工物の研削面に傷をつけることなく、更に被加工物の種類によらず被加工物の実厚を測定しながら第1研削工程を実施することができる。
【0047】
上述した実施形態では、表面に保護部材が貼着された被加工物の研削方法について説明したが、本発明の研削方法はこれに限定されるものではなく、表面に保護部材が貼着されていない被加工物に対しても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 研削ユニット
11 半導体ウェーハ
23 保護テープ
24 研削ホイール
28 研削砥石
38 チャックテーブル
48 超音波測定手段
50 第1超音波測定器
52,56 円筒部材
54 第2超音波測定器
58 波形検出部
60 厚み算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8