(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化性化合物の低粘性配合物、その製造方法、その使用および前記化合物を含有するインキ、印刷インキおよび印刷ワニスに関する。
【0002】
US 3429852、US 3214492、US 3622848、US 4304895は、光開始剤としてのアセトフェノン誘導体およびベンゾフェノン誘導体であって、場合によりスペーサー基を介して(メタ)アクリレート基と結合されており、従ってラジカル重合に際して組み込むことができる前記誘導体を開示している。
【0003】
DE 19501025は、光開始剤系に結合されたビニルオキシカルボニル基を開示しており、前記基は、同様にラジカル重合に際して組み込むことができる。
【0004】
しかしながら、そこに開示される化合物は、スペーサー構造の制限された可能性に基づき、小さい限界内でのみ可変であるにすぎない。更に、かかる化合物は、紫外線重合に際してしばしば不完全にしか反応せず、その結果、前記化合物はコーティングから染み出ることがある。
【0005】
WO 03/68785は、アシルホスフィンオキシド型の光開始剤とジイソシアネートとの反応を開示している。遊離イソシアネート基の更なる官能化は、開示されていない。
【0006】
WO 03/68783は、場合によりヒドロキシアルキル化されたアシルホスフィンオキシド型光開始剤とジイソシアネートおよびポリイソシアネートとの反応を開示している。遊離イソシアネート基の更なる官能化は、開示されていない。
【0007】
EP 632329は、ジイソシアネートで官能化されたベンゾフェノン型の、アセトフェノン型のまたはヒドロキシアセトフェノン型の光開始剤を開示している。こうして得られたイソシアネートは、引き続き更に、例えば遊離のイソシアネート基とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって誘導体化されうるので、ラジカル重合に際して組み込むことができる光開始剤が得られる。
【0008】
この官能化に不利なことは、ジイソシアネートの使用によって僅かな官能化度しか達成できないことである。
【0009】
DE 10 2006 047 863 A1は、光開始剤を組み込み可能に構成するために、光開始剤をポリイソシアネートに結合させることを記載している。
【0010】
不利なことは、こうして得られた生成物が、なおも比較的高い粘度を有することであり、これは、該生成物のコーティング材料および特に印刷インキおよび印刷ワニスにおける混加性および多面性を困難にする。更に、毒性学的に懸念されるジブチルスズジラウレートを使用した製造例のみしか開示されていない。
【0011】
WO 00/39183は、ラジカル重合可能な活性化されるC=C二重結合を有するアロファネート基含有ポリイソシアネートを記載している。
【0012】
DE 102 46 512は、WO 00/39183に記載されるのと同じ化合物の種々の製造方法と、これらの化合物の種々の反応生成物を記載している。また、遊離のイソシアネート基を介した重合安定化剤の化学結合も開示されている。
【0013】
このポリイソシアネートに不利なことは、該ポリイソシアネートが、紫外線による放射線硬化のために光開始剤の添加を必要とすることである。光開始剤を別個の成分として添加する場合に、それは、一方で付加的な計量供給ステップを必要とし、他方では、計量供給ミスの危険性を伴う。更に、計量供給されるのが低分子光開始剤である場合に、該開始剤が硬化されたコーティングから染み出る危険性があり、こうして包装用の紫外線硬化性印刷インキで使用する場合には中身に移ってしまうことがある。
【0014】
本発明の課題は、放射線硬化性コーティング材料および特にインキ、印刷インキおよび印刷ワニスにおいてできる限り完全に組み込むことができ、かつ従来技術からの同等の生成物よりも低い染み出し傾向を示し、そのうえより低い粘度を有する光開始剤を提供することであった。更に、前記組み込み可能な光開始剤は、例えば食品用の包装で使用しうる妨げとなる毒性学的に懸念される物質を含有しないことが望ましい。
【0015】
前記課題は、低粘度を有する組み込み可能な光開始剤の製造方法であって、
構成成分として
(a)脂肪族のC
4〜C
20−アルキレンジイソシアネートから構成される、少なくとも2のNCO官能価を有する、少なくとも1種のアロファネート基含有ポリイソシアネートと、
(b)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基をそれぞれ有する少なくとも1種の化合物と、
(c)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の光開始剤と、
(d)場合により、前記化合物(a)とは異なる、少なくとも1種の他のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、
(e)場合により、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する少なくとも1種の化合物と、
(f)場合により、イソシアネートに対して反応性の基をちょうど1つ有する少なくとも1種の化合物と、
を含むポリウレタン(A)を、無水条件下で合成するステップ1)を含み、その際、前記ポリウレタン(A)の製造を、1000質量ppm未満の、ビスマス、亜鉛および/またはチタンを含む化合物の存在下で行い、ステップ2)において、前記ステップ1)から得られたポリウレタン(A)を、ポリウレタン(A)の量に対して0.5〜4質量%の水と混合する前記製造方法によって解決された。
【0016】
本発明によるポリウレタンの製造に際して得られる反応混合物は、一般に、10000g/モル未満の、好ましくは5000g/モル未満の、特に好ましくは4000g/モル未満の、殊に好ましくは2000g/モル未満の数平均分子量Mn(テトラヒドロフランを用い、標準としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される)を有する。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態においては、本発明によるポリウレタンは、遊離イソシアネート基をもはや実質的に有さず、すなわち遊離イソシアネート基の含量は、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満、特に好ましくは0.2質量%未満、殊に好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満、特に0質量%である。
【0018】
成分(a)は、少なくとも2の、好ましくは2〜5の、特に好ましくは2〜4のNCO官能価を有するアロファネート基含有のポリイソシアネートである。前記アロファネート基含有のポリイソシアネート(a)は、脂肪族のC
4〜C
20−アルキレンジイソシアネートから、好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから合成されている。
【0019】
特に好ましくは、前記成分(b)は、アロファネート基を介して前記成分(a)に結合されている。
【0020】
本発明によれば、前記ポリウレタン(A)は、アロファネート基を含んでよく、好ましくはアロファネート基の含量は、かかる本発明によるポリウレタンの場合には(C
2N
2HO
3=101g/モルとして計算される)1〜28質量%、好ましくは3〜25質量%である。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態においては、本発明によるポリウレタン(A)の構成成分を成す、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基をそれぞれ有する化合物(b)のうち、少なくとも20モル%が、好ましくは少なくとも25モル%が、特に好ましくは少なくとも30モル%が、殊に好ましくは少なくとも35モル%が、特に少なくとも40モル%が、特に少なくとも50モル%がアロファネート基に結合されている。
【0022】
特に好ましい一実施形態においては、式(I)
【化1】
[式中、nは、正の数であり、それらは、統計平均で1〜5であり、好ましくは1〜3である]のアロファネート基含有のポリイソシアネートである。
【0023】
成分(b)として、本発明によれば、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル重合可能な基を有する、少なくとも1種の化合物(b)が該当する。
【0024】
前記化合物(b)は、好ましくは、イソシアネートに対して反応性の基をちょうど1つ有し、かつ1〜5個の、特に好ましくは1〜4個の、殊に好ましくは1〜3個のラジカル重合可能な基を有する。
【0025】
好ましくは、成分(b)は、10000g/モル未満の分子量を有し、特に好ましくは5000g/モル未満の、特に好ましくは4000g/モル未満の、特に3000g/モル未満の分子量を有する。特定の化合物(b)は、1000g/モル未満の分子量を有するか、またはそれどころか600g/モル未満の分子量を有する。
【0026】
イソシアネートに対して反応性の基は、例えば−OH、−SH、−NH
2および−NHR
1であってよく、その際、R
1は、水素または1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルを意味する。
【0027】
成分(b)は、例えばα,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドグリコール酸およびメタクリルアミドグリコール酸と、好ましくは2〜20個の炭素原子と少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール、ソルビトール、106〜2000の分子量を有するポリエチレングリコール、134〜2000の分子量を有するポリプロピレングリコール、162〜2000の分子量を有するポリTHFまたは134〜400の分子量を有するポリ−1,3−プロパンジオールとのモノエステルであってよい。更に、(メタ)アクリル酸とアミノアルコール、例えば2−アミノエタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノールもしくは2−(2−アミノ−エトキシ)エタノール、2−メルカプトエタノールもしくはポリアミノアルカン、例えばエチレンジアミンもしくはジエチレントリアミンとのエステルもしくはアミドまたはビニル酢酸を使用することもできる。
【0028】
さらに、2〜10の平均OH官能価を有する不飽和ポリエーテロールもしくはポリエステロールまたはポリアクリレートポリオールも、あまり好ましくはないものの適している。
【0029】
エチレン性不飽和カルボン酸とアミノアルコールとのアミドのための例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、5−ヒドロキシ−3−オキサ−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルクロトンアミド、例えばN−ヒドロキシメチルクロトンアミドまたはN−ヒドロキシアルキルマレインイミド、例えばN−ヒドロキシエチルマレインイミドである。
【0030】
好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシ−プロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノ−、−ジ−および−トリ(メタ)アクリレートならびに2−アミノ−エチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドが使用される。特に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートならびに分子量106〜238のポリエチレングリコールのモノアクリレートが好ましい。成分(b)は、好ましい一実施形態においては、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパンもしくはジペンタエリトリトールの、またはアルコキシル化された、好ましくはプロポキシル化された、および/またはエトキシル化された、特に好ましくはエトキシル化されたトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパンもしくはジペンタエリトリトールのアクリル化の工業的混合物であってもよい。前記混合物は、大抵は、完全におよび不完全にアクリル化されたポリオールの混合物であり、例えば化合物(b)は、DIN 53240によるOH価が大抵は99〜115mg KOH/gを有するペンタエリトリトールのアクリル化の工業的混合物であって、主としてペンタエリトリトールトリアクリレートとペンタエリトリトールテトラアクリレートからなり、かつ少量のペンタエリトリトールジアクリレートを含んでよい混合物である。それは、ペンタエリトリトールテトラアクリレートが本発明によるポリウレタン中に組み込まれず、同時に反応性希釈剤として機能するという利点を有する。
【0031】
成分(c)は、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の光開始剤、好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン型のもしくはベンゾフェノン型の、それぞれイソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の光開始剤、特に好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン型の少なくとも1種の光開始剤である。
【0032】
光開始剤としては、本願の範囲においては、電磁線によって、好ましくは紫外線、可視光もしくは赤外線によって、特に好ましくは紫外線もしくは可視光によって、殊に好ましくは紫外線によって少なくとも1つのラジカルに開裂可能な化合物を表す。
【0033】
成分(c)は、1つもしくは1つより多くの、例えば1〜3つの、好ましくは1ないし2つの、特に好ましくはちょうど1つの、光開始剤として活性な基、好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン基もしくはベンゾフェノン基、特に好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン基を含んでよい。更に、成分(c)は、1つまたは1つより多くの、例えば1〜4つの、好ましくは1〜3つの、特に好ましくは1ないし2つの、殊に好ましくはちょうど1つの、イソシアネートに対して反応性の基を含んでよい。
【0034】
光開始剤として活性な基は、好ましくは、ヒドロキシベンゾフェノンまたはヒドロキシアセトフェノン、特に好ましくはヒドロキシアセトフェノンであってよい。
【0035】
好ましい成分(c)は、
【化2】
[式中、
R
3、R
4およびR
5は、それぞれ互いに独立して、水素、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、または1〜4個の炭素原子を含むアルキルオキシ基であり、
pは、0(ゼロ)または1〜10の整数であってよく、かつ
Y
iは、iが1からpである場合に、互いに独立して、−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−、−CH(CH
3)−CH
2−O−、−CH
2−C(CH
3)
2−O−、−C(CH
3)
2−CH
2−O−、−CH
2−CHVin−O−、−CHVin−CH
2−O−、−CH
2−CHPh−O−および−CHPh−CH
2−O−の群から、好ましくは−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−および−CH(CH
3)−CH
2−O−の群から選択されていてよく、特に好ましくは−CH
2−CH
2−O−であってよい]である。
【0036】
好ましくは、基−O−[−Y
i−]
p−Hは、カルボニル基に対してパラ位に存在する。
【0037】
好ましくは、基R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素またはメチル、特に好ましくは水素である。
【0038】
好ましくは、pは、0〜4であり、特に好ましくは1〜3であり、殊に好ましくは1である。
【0039】
好ましい成分(c)は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[ヒドロキシ[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、[4−[3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]フェニル]フェニル−メタノン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソ−ブチルエーテル、ベンゾイン−テトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾイン−エチルエーテル、ベンゾイン−ブチルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、7−H−ベンゾイン−メチルエーテル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノンまたは1−ヒドロキシアセトフェノンである。
【0040】
特に好ましくは、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−ヒドロキシ−1−[4−[ヒドロキシ−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンであり、殊に好ましくは1−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンである。
【0041】
任意の成分(d)は、化合物(a)とは異なる少なくとも1種の他のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである。この場合に、上述のジイソシアネートも可能である、すなわち官能価2を有する化合物も可能である。
【0042】
成分(d)としては、例えば少なくとも2の、好ましくは2〜5の、特に好ましくは2を上回り4までのNCO官能価を有する脂肪族の、芳香族のおよび脂環式のジイソシアネートおよびポリイソシアネートが該当する。
【0043】
ポリイソシアネートとしては、直鎖状もしくは分枝鎖状のC
4〜C
20−アルキレンジイソシアネート、全体で6〜20個の炭素原子を有する脂環式ジイソシアネートまたは全体で8〜20個の炭素原子を有する芳香族ジイソシアネートのイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレットジオンジイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン基もしくはアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基を含むポリイソシアネート、ウレトンイミン変性されたポリイソシアネートまたはそれらの混合物が該当する。好ましくは、イソシアヌレート、ビウレットおよびアロファネート、特に好ましくはイソシアヌレートおよびアロファネート、殊に好ましくはアロファネートである。
【0044】
ポリイソシアネートは、好ましくは、4〜20個の炭素原子を有する1種以上のジイソシアネートをベースとするポリイソシアネートである。通常のジイソシアネートのための例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートまたはテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−もしくは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−もしくは2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは2,4−もしくは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンならびに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−もしくは2,6−トルイレンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−もしくは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよびそれらの異性体混合物、1,3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼンまたはジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。
【0045】
上述のイソシアネートの混合物も存在しうる。
【0046】
好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートおよびジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0047】
使用できるポリイソシアネートは、好ましくは、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート(混合物)に対して10〜60質量%の、好ましくは15〜60質量%の、特に好ましくは20〜55質量%のイソシアネート基の含有率を有する(NCO、分子量=42として計算される)。
【0048】
好ましくは、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネート、例えば上述の脂肪族もしくは脂環式のジイソシアネートから構成されるポリイソシアネートまたはそれらの混合物である。
【0049】
成分(e)としては、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基、例えば−OH、−SH、−NH
2もしくは−NHR
2[式中、R
2は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルもしくはt−ブチルを意味してよい]を有する化合物が該当する。
【0050】
イソシアネートに対して反応性の基をちょうど2つ有する化合物(e)は、好ましくは、2〜20個の炭素原子を有するジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、分子量162〜2000を有するポリTHF、分子量134〜1178を有するポリ−1,2−プロパンジオールもしくはポリ−1,3−プロパンジオールまたは分子量106〜2000を有するポリエチレングリコールならびに脂肪族ジアミン、例えばメチレン−およびイソプロピリデン−ビス(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサン−ビス(メチルアミン)など、ジチオールまたは多価アルコール、第二級もしくは第一級のアミノアルコール、例えばエタノールアミン、モノプロパノールアミンなど、またはチオアルコール、例えばチオエチレングリコールである。
【0051】
ここで特に好適なのは、脂環式ジオール、例えばビス(4−ヒドロキシ−シクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジオールまたはノルボルナンジオールである。
【0052】
更なる化合物(e)は、イソシアネートに対して反応性の少なくとも3つの基を有する化合物であってよい。
【0053】
例えば、これらの成分は、イソシアネートに対して反応性の、3〜6個の、好ましくは3〜5個の、特に好ましくは3〜4個の、殊に好ましくは3個の基を有してよい。
【0054】
前記成分の分子量は、一般に、2000g/モル以下、好ましくは1500g/モル以下、特に好ましくは1000g/モル以下、殊に好ましくは500g/モル以下である。
【0055】
それは、好ましくは、2〜20個の炭素原子を有するポリオール、例えばトリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルトであり、特に好ましくはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールおよびグリセリンであり、殊に好ましくはトリメチロールプロパンである。
【0056】
任意成分(f)は、イソシアネートに対して反応性の基をちょうど1つ有する場合により少なくとも1種の化合物を有する成分である。好ましい一実施形態においては、少なくとも1種の成分(f)が存在する。
【0057】
それは、好ましくはモノオール、特に好ましくはアルカノール、殊に好ましくは1〜20個の、好ましくは1〜12個の、特に好ましくは1〜6個の、殊に好ましくは1〜4個の、特に1〜2個の炭素原子を有するアルカノールである。
【0058】
そのための例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、イソデカノール異性体混合物、ウンデカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)、イソトリデカノール異性体混合物、n−トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、2−エチルヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールモノメチルエーテルであり、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールおよびシクロドデカノールであり、特に好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールおよびt−ブタノールであり、殊に好ましくは、n−プロパノールおよびエタノールであり、特にエタノールである。
【0059】
あまり好ましくはないが可能な一実施形態においては、前記モノオールは、上述の脂環式アルコール、好ましくはシクロペンタノールまたはシクロヘキサノール、特に好ましくはシクロヘキサノールであってよい。
【0060】
更なる好ましい一実施形態においては、前記モノオールは、6〜20個の炭素原子を有する上述の脂肪族アルコール、特に好ましくは8〜20個の炭素原子を有する上述の脂肪族アルコール、殊に好ましくは10〜20個の炭素原子を有する上述の脂肪族アルコールであってよい。
【0061】
特に好ましい一実施形態においては、前記モノオールは、上述の脂肪族アルコール、殊に好ましくは1〜4個の炭素原子を有する上述の脂肪族アルコール、特にエタノールである。
【0062】
更なる特に好ましい別の実施形態においては、前記モノオールは、式
R
9−O−[−Z
i−]
q−H
[式中、
R
9は、1〜20個の炭素原子、好ましくは10〜20個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
qは、1〜15の、好ましくは1〜10の正の整数を意味し、かつ
Z
iは、iが1からqである場合に、互いに独立して、−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−、−CH(CH
3)−CH
2−O−、−CH
2−C(CH
3)
2−O−、−C(CH
3)
2−CH
2−O−、−CH
2−CHVin−O−、−CHVin−CH
2−O−、−CH
2−CHPh−O−および−CHPh−CH
2−O−の群から、好ましくは−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−および−CH(CH
3)−CH
2−O−の群から選択されていてよく、特に好ましくは−CH
2−CH
2−O−である]のアルコキシル化された脂肪族アルコールである。
【0063】
本発明によるポリウレタン(A)における成分(f)としての、かかるアルコキシル化された脂肪族アルコールを使用する場合には、こうして得られるポリウレタン(A)は、その通常の好ましい特性に加えて、本発明によるインキおよび印刷インキ中での顔料の改善された分散性を示し、これは、印刷において高められた色密度を可能にする。
【0064】
本発明により使用可能なポリウレタンは、成分(a)、(b)および(c)ならびに場合により(d)および/または(e)および/または(f)を互いに反応させることによって得られる。
【0065】
その場合に、(a)と(d)を合わせたものにおける反応性イソシアネート基1モル当たりのモル組成(a):(b):(c):(d):(e):(f)は、一般に以下の通りである:
(b)1〜50モル%の、好ましくは5〜40モル%の、特に好ましくは10〜37.5モル%の、特に15〜33モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(c)1〜50モル%の、好ましくは5〜40モル%の、特に好ましくは10〜37.5モル%の、特に15〜33モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(e)0〜50モル%の、好ましくは0〜30モル%の、特に好ましくは0〜25モル%の、特に0〜20モル%の、特に0モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(f)0〜5モル%の、好ましくは0.1〜3モル%の、特に好ましくは0.2〜2モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
但し、イソシアネートに対して反応性の基の合計は、これらが反応し終わって、別のイソシアネート基を有するオリゴマーのポリイソシアネートを形成していない場合、例えば二量体もしくは三量体を形成していない場合には(a)と(d)におけるイソシアネート基の数に相当するものとする。(a)および(d)におけるイソシアネート基の合計に対する(d)からのイソシアネート基の割合は、例えば50%までであってよく、好ましくは25%まで、特に好ましくは10%まで、殊に好ましくは0%であってよく、すなわち化合物(d)が存在しなくてよい。
【0066】
既に成分(a)および(b)の付加物である式(I)のアロファネート基含有ポリイソシアネートを本発明によるポリウレタン(A)の製造に使用する好ましい一実施形態においては、式(I)の化合物における反応性イソシアネート基当たりのモル組成は、以下の通りである:
(b)0〜30モル%の、好ましくは0〜20モル%の、特に好ましくは0〜10モル%の、殊に好ましくは0モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(c)50〜100モル%の、好ましくは60〜90モル%の、特に好ましくは60〜80モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(d)0〜30モル%の、好ましくは0〜20モル%の、特に好ましくは0〜10モル%の、殊に好ましくは0モル%の、イソシアネート基、
(e)0〜20モル%の、好ましくは0〜10モル%の、特に好ましくは0〜50モル%の、殊に好ましくは0モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
(f)0〜20モル%の、好ましくは0.1〜20モル%の、特に好ましくは0.2〜20モル%の、イソシアネートに対して反応性の基、
但し、イソシアネートに対して反応性の基の合計は、イソシアネート基の合計に相当するものとする。
【0067】
イソシアネート基含有化合物およびイソシアネート基に対して反応性の基を含む化合物からの付加物の形成は、一般に、それらの成分を、任意の順序で、場合により高められた温度で混合することによって行われる。
【0068】
好ましくは、その際に、イソシアネート基に対して反応性の基を含む化合物は、イソシアネート基含有化合物に対して、好ましくは複数の段階において添加される。
【0069】
特に好ましくは、イソシアネート基含有化合物(a)ならびに場合により(d)を装入し、イソシアネートに対して反応性の基を含む化合物が添加される。特に、イソシアネート基含有化合物(a)を装入し、そこに(b)および/または(c)、好ましくは(b)が添加される。後に、場合により所望の更なる成分を添加することもできる。
【0070】
一般に、前記反応は、5〜100℃の温度で、好ましくは20〜90℃の温度で、特に好ましくは40〜80℃の温度で、特に60〜80℃の温度で実施される。
【0071】
本発明による方法は、1000質量ppm未満の、好ましくは500質量ppm未満の、特に好ましくは250質量ppm未満の、殊に好ましくは100質量ppm未満の、ビスマス含有の、亜鉛含有のおよび/またはチタン含有の化合物、好ましくはビスマス含有のおよび/またはチタン含有の化合物、特に好ましくはビスマス含有の化合物の存在下で実施される。
【0072】
亜鉛化合物およびビスマス化合物としては、その際、以下のアニオン:F
-、Cl
-、ClO
-、ClO
3-、ClO
4-、Br
-、I
-、IO
3-、CN
-、OCN
-、NO
2-、NO
3-、HCO
3-、CO
32-、S
2-、SH
-、HSO
3-、SO
32-、HSO
4-、SO
42-、S
2O
22-、S
2O
42-、S
2O
52-、S
2O
62-、S
2O
72-、S
2O
82-、H
2PO
2-、H
2PO
4-、HPO
42-、PO
43-、P
2O
74-、(OC
nH
2n+1)
-、(C
nH
2n-1O
2)
-、(C
nH
2n-3O
2)
-ならびに(C
n+1H
2n-2O
4)
2-[式中、nは、1〜20の数を表す]が使用される化合物が該当する。その際、アニオンが式(C
nH
2n-1O
2)
-ならびに(C
n+1H
2n-2O
4)
2-[式中、nは1〜20である]に従うカルボキシレートが好ましい。特に好ましい塩は、アニオンとして、一般式(C
nH
2n-1O
2)
-[式中、nは、1〜20の数を表す]のモノカルボキシレートを有する。この場合、特にホルミエート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート、ネオデカノエートおよび2−エチルヘキサノエートを挙げることができる。
【0073】
亜鉛触媒のなかでも、亜鉛カルボキシレートが好ましく、少なくとも6個の炭素原子を有するカルボキシレートの亜鉛カルボキシレートが特に好ましく、少なくとも8個の炭素原子を有するカルボキシレートの亜鉛カルボキシレートが殊に好ましく、特に亜鉛(II)ジアセテートまたは亜鉛(II)ジオクトエートまたは亜鉛(II)ネオデカノエートである。従来の触媒は、例えばOMG Borchers GmbH社(ドイツ・ランゲンフェルト)のBorchi(登録商標)Kat 22である。
【0074】
ビスマス触媒のうち、ビスマスカルボキシレートが好ましく、特に好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有するカルボキシレートのビスマスカルボキシレートであり、特にビスマスオクタノエート、ビスマスエチルヘキサノエート、ビスマスネオデカノエートまたはビスマスピバレートであり、例えばKing Industries社のK-KAT 348、XC-B221、XC-C227、XC 8203およびXK-601、TIB Chemicals社のTIB KAT 716、716LA、716XLA、718、720、789およびShepherd Lausanne社の触媒ならびに、例えばOMG Borchers GmbH(ドイツ・ランゲンフェルト)社のBorchi(登録商標)Kat 24、315、320である。
【0075】
その際また、種々の金属の混合物、例えばOMG Borchers GmbH社(ドイツ・ランゲンフェルト)のBorchi(登録商標)Kat 0245における混合物であってもよい。
【0076】
チタン化合物のうち、チタンテトラアルコレートTi(OR)
4が好ましく、特に好ましくは、1〜8個の炭素原子を有するアルコールROH、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、特に好ましくはイソプロパノールおよびn−ブタノールのチタンテトラアルコレートである。
【0077】
本発明による方法において、その際、無水条件下で作業される。無水とは、その際、反応系における含水率が、5質量%以下である、好ましくは3質量%以下である、特に好ましくは1質量%以下である、殊に好ましくは0.75質量%以下である、特に0.5質量%以下であることを意味する。無水で作業されないと、反応条件下で、水が遊離のイソシアネート基と反応し、そして形成するアミノ基が副反応を引き起こし、例えば(メタ)アクリレート基のマイケル付加を引き起こすか、または他の遊離のイソシアネート基と反応して難溶性のビウレットとなる危険性がある。
【0078】
好ましくは、前記反応は、少なくとも1種の酸素含有ガス、例えば空気もしくは空気−窒素混合物または酸素もしくは酸素含有ガスと反応条件下で不活性のガスとの混合物であって、15体積%未満、好ましくは12体積%未満、特に好ましくは10体積%未満、殊に好ましくは8体積%未満、特に6体積%未満の酸素含有率を有する混合物の存在下で実施される。
【0079】
好ましい一実施形態においては、前記反応混合物に、1000質量ppmまでの少なくとも1種のプロセス安定化剤が添加される。好ましいプロセス添加剤は、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルならびにキノンメチドである。
【0080】
好ましい一実施形態においては、イソシアネート基含有化合物(a)または(a)および(b)の反応生成物と化合物(c)との反応は、前記イソシアネート基含有化合物を、(c)におけるイソシアネートに対して反応性の基に対して少なくとも20モル%の過剰で使用して実施される。その結果として、化合物(c)は本質的に完全に反応する。過剰のイソシアネート基は、引き続き他の化合物(b)および/または化合物(f)と、好ましくは化合物(f)と反応しうる。
【0081】
前記反応は、また、不活性溶媒、例えばアセトン、イソブチルメチルケトン、トルエン、キシレン、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテートまたはエトキシエチルアセテートの存在下で実施することもできる。しかしながら、好ましくは、前記反応は、溶媒の不在下で実施される。
【0082】
好ましい一実施形態においては、(a)と(b)および/または(c)との反応、好ましくは(a)と(b)との反応は、アロファネート化条件下で実施される。その条件とは、少なくとも部分的にアロファネート基が形成される反応条件、好ましくはイソシアネート基の種々の競合反応によって別の反応生成物よりも多くのイソシアネート基がアロファネート基へと反応する反応条件を表す。
【0083】
更なる好ましい一実施形態においては、WO 00/39183の第4頁第3行ないし第10頁第19行に記載の化合物が使用される。前記文献の内容は、参照をもって本願に開示されたものとする。前記化合物のうち、構成成分として少なくとも1つのアロファネート基を有する(環式)脂肪族イソシアネートと少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを有する化合物が特に好ましく、WO 00/39183の第24頁第1表の生成物番号1〜9が殊に好ましい。殊に好ましくは、それは、上記の式(I)のポリイソシアネートである。
【0084】
本発明の更なる対象は、組み込み可能な光開始剤の配合物であって、構成成分として
(a)2未満の官能価を有する、少なくとも1種の有機の脂肪族の、芳香族のもしくは脂環式のジイソシアネートもしくはポリイソシアネートと、
(b)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基をそれぞれ有する少なくとも1種の化合物と、
(c)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の光開始剤と、
(d)場合により、前記化合物(a)とは異なる、少なくとも1種の他のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、
(e)場合により、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する少なくとも1種の化合物と、
(f)場合により、イソシアネートに対して反応性の基をちょうど1つ有する少なくとも1種の化合物と、
を含む、少なくとも1種のポリウレタン(A)と、
任意に、少なくとも1種の多官能性の重合可能な化合物(B)と、
ポリウレタン(A)の量に対して0.5〜4質量%の水と、
からなる前記配合物である。
【0085】
水の含有率は、ポリウレタン(A)の量に対して、好ましくは少なくとも0.75質量%、特に好ましくは少なくとも1質量%、殊に好ましくは少なくとも1.25質量%、特に少なくとも1.5質量%である。
【0086】
水の含有率は、ポリウレタン(A)の量に対して、好ましくは3.5質量%まで、特に好ましくは3質量%までである。
【0087】
これらの配合物は、一般に貯蔵安定性であり、かつ分離しない。
【0088】
前記配合物の利点は、上述の量の水を混加することによってポリウレタン(A)の粘度を下げられるということである。一般に、23℃でDIN EN ISO 3219(剪断速度D、100 s
-1)により測定された粘度は、400Pas以下であるので、前記配合物は流動性である。好ましくは、前記粘度は、300Pas未満、特に好ましくは250Pas未満、殊に好ましくは200Pas未満である。
【0089】
前記配合物は、溶液としてまたは分散液として存在しうる、好ましくは水のポリウレタン(A)中の溶液として存在しうる。混合のために、水の量は、場合により小分けにしてポリウレタン(A)中にエネルギーを加えながら投入される。しかしながら、ポリウレタン(A)を水に混加することも可能である。前記混合は、例えば撹拌、スタティックミキサーまたは超音波によって、好ましくは撹拌によって行うことができる。
【0090】
ポリウレタン(A)および本発明による組み込み可能な光開始剤の配合物は、好ましくは本発明によるインキ、印刷インキおよび印刷ワニスにおいて使用することができる。
【0091】
本発明の更なる対象は、インキ、印刷インキおよび印刷ワニスであって、構成成分として
(a)2未満の官能価を有する、少なくとも1種の有機の脂肪族の、芳香族のもしくは脂環式のジイソシアネートもしくはポリイソシアネートと、
(b)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基と、少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基をそれぞれ有する少なくとも1種の化合物と、
(c)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の光開始剤と、
(d)場合により、前記化合物(a)とは異なる、少なくとも1種の他のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、
(e)場合により、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する少なくとも1種の化合物と、
(f)場合により、イソシアネートに対して反応性の基をちょうど1つ有する少なくとも1種の化合物と、
を含む、少なくとも1種のポリウレタン(A)と、
ポリウレタン(A)に加えて、ポリウレタン(A)の量に対して0.5〜4質量%の水と、
任意に、少なくとも1種の顔料と、
少なくとも1種の多官能性の重合可能な化合物(B)と、
任意に、少なくとも1種の他の光開始剤と、
任意に、印刷インキに一般的な添加剤と、
を含有する、インキ、印刷インキおよび印刷ワニスである。本発明による印刷ワニスは、顔料を含有しない。
【0092】
少なくとも1種の更なる光開始剤は、好ましくは、顔料が加えられた印刷インキの場合と、印刷ワニスの場合に存在する。
【0093】
概念「印刷インキ」とは、本願では、種々の粘稠性を有する着色剤含有の調合物であって、もっぱら印刷版によって被印刷物に移し、そこで塗料皮膜(印刷)として固定されるものの総称として用いられる(CEPEの定義)。
【0094】
ドイツの慣用語に従うと、概念「インキ」は、本願では、もっぱら、インキジェット液用の着色液のためと、電子写真印刷法用の液体トナーのために使用される。
【0095】
本発明によるインキ、印刷インキおよび印刷ワニスは、種々の基材、好ましくはポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、紙、厚紙、ボール紙、プラスチック被覆された紙、プラスチック被覆された厚紙またはプラスチック被覆されたボール紙、アルミニウムおよびアルミニウム被覆されたプラスチックシート、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエステルのシートならびに紙およびボール紙の印刷のために使用できる。
【0096】
紙、厚紙またはボール紙がプラスチック被覆されている場合に、該プラスチックは、好ましくはポリオレフィン、特に好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンである。
【0097】
こうして印刷された基材は、特に、食品、化粧品および医薬品のための包装材料として適している。
【0098】
本発明によるポリウレタン(A)は、唯一のバインダーとして、または好ましくは少なくとも1種の他のラジカル重合可能な化合物と組み合わせて使用することができる。
【0099】
ラジカル重合可能な基は、例えば好ましくは(メタ)アクリレート基および特に好ましくはアクリレート基である。
【0100】
ラジカル重合可能な化合物(B)は、好ましくは多官能性の重合可能な化合物(1つより多くのラジカル重合可能な二重結合を有する化合物)である。
【0101】
(メタ)アクリル酸は、本願では、メタクリル酸およびアクリル酸、好ましくはアクリル酸を表す。
【0102】
多官能性の重合可能な化合物は、好ましくは、少なくとも2個の、好ましくは2〜10個の、特に好ましくは3〜6個の、殊に好ましくは3〜4個の(メタ)アクリレート基、好ましくはアクリレート基を有する、多官能性の(メタ)アクリレートである。
【0103】
多官能性の重合性化合物のための例は、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレートもしくはジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレートもしくはペンタエリトリトールテトラアクリレート、グリセリンジアクリレートもしくはグリセリントリアクリレートならびに糖アルコール、たとえばソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールもしくはイソマルトのジアクリレートおよびポリアクリレート、またはポリエステルポリオール、ポリエーテロール、分子量162〜2000を有するポリTHF、分子量134〜1178を有するポリ−1,3−プロパンジオール、分子量106〜898を有するポリエチレングリコールのジアクリレートおよびポリアクリレートならびにエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートまたはポリカーボネート(メタ)アクリレートであり、それらは、場合により1つ以上のアミンで変性されていてもよい。
【0104】
更なる例は、式(VIIIa)〜(VIIId)
【化3】
[式中、
R
7およびR
8は、互いに独立して、水素または場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されたC
1〜C
18−アルキルであり、
k、l、m、qは、それぞれ互いに独立して、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜3の整数を表し、
各X
iは、iが1〜kの場合と、1〜lの場合と、1〜mの場合と、1〜qの場合に、互いに独立して、−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−、−CH(CH
3)−CH
2−O−、−CH
2−C(CH
3)
2−O−、−C(CH
3)
2−CH
2−O−、−CH
2−CHVin−O−、−CHVin−CH
2−O−、−CH
2−CHPh−O−および−CH−Ph−CH
2−O−の群から、好ましくは−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−および−CH(CH
3)−CH
2−O−の群から選択でき、特に好ましくは−CH
2−CH
2−O−であってよく、
Phはフェニルであり、かつVinはビニルである]の化合物の(メタ)アクリレートである。
【0105】
前記式中、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されたC
1〜C
18−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、好ましくはメチル、エチルまたはn−プロピル、殊に好ましくはメチルまたはエチルを意味する。
【0106】
好ましくは、前記化合物は、1〜20の、特に好ましくは3〜10のエトキシル化、プロポキシル化またはエトキシル化とプロポキシル化の混合型の、特にもっぱらエトキシル化のみのネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンもしくはペンタエリトリトールの(メタ)アクリレートである。
【0107】
好ましい多官能性の重合性化合物は、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレートおよびジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ポリエステルポリオールアクリレート、ポリエーテロールアクリレートならびに1〜20のアルコキシル化、特に好ましくは1〜20のエトキシル化されたトリメチロールプロパン、1〜20のプロポキシル化されたグリセリンまたは1〜20のエトキシル化された、および/またはプロポキシル化されたペンタエリトリトールのトリアクリレートである。
【0108】
好ましい一実施形態においては、印刷ワニス中で、エポキシ(メタ)アクリレートは、多官能性の重合性化合物として使用される。
【0109】
殊に好ましい多官能性の重合性化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレートならびに1〜20のエトキシル化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレート、1〜20のプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートまたは1〜20のエトキシル化された、および/またはプロポキシル化されたペンタエリトリトールのテトラアクリレートである。更なる成分は、部分的にまたは完全に(メタ)アクリル酸でエステル化されたポリアルコールであってもよい。
【0110】
かかるポリアルコールは、例えば少なくとも二価のポリオール、少なくとも2の、好ましくは少なくとも3の、特に好ましくは少なくとも4の、殊に好ましくは4〜20の平均OH官能価を有するポリエーテロールもしくはポリエステロールもしくはポリアクリレートポリオールである。
【0111】
ポリエーテロールは、前記アルコキシル化ポリオールに加えて、分子量106〜2000を有するポリエチレングリコール、分子量134〜2000を有するポリプロピレングリコール、分子量162〜2000を有するポリTHFまたは分子量134〜400を有するポリ−1,3−プロパンジオールであってよい。
【0112】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマンの工業化学辞典、第4版、第19巻、第62〜65頁から知られている。好ましくは、二価のアルコールと二価のカルボン酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが使用される。遊離のポリカルボン酸の代わりに、相応のポリカルボン酸無水物または低級アルコールの相応のポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物を、ポリエステルポリオールの製造のために使用できる。前記ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族または複素環式であってよく、場合により、例えばヘテロ原子によって置換されていてよく、かつ/または不飽和であってよい。そのための例としては以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物、二量体脂肪酸、それらの異性体および水素化生成物ならびにエステル化可能な誘導体、例えば上述の酸の無水物もしくはジアルキルエステル、例えばC
1〜C
4−アルキルエステル、好ましくはメチルエステル、エチルエステルもしくはn−ブチルエステルが使用される。好ましくは、一般式HOOC−(CH
2)
y−COOHのジカルボン酸であり、前記式中、yは、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の整数であり、特に好ましくはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸である。
【0113】
多価アルコールとしては、ポリエステロールの製造のためには、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、分子量106〜2000を有するポリエチレングリコール、分子量134〜2000を有するポリプロピレングリコール、分子量162〜2000を有するポリTHF、分子量134〜400を有するポリ−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルトが該当し、それらは、前記のようにアルコキシル化されていてよい。
【0114】
好ましくは、一般式HO−(CH
2)
x−OHのアルコールであり、前記式中、xは、1〜20の数、好ましくは2〜20の整数である。好ましくは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオールおよびドデカン−1,12−ジオールである。更に好ましくはネオペンチルグリコールである。
【0115】
また、ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、その際、それは、ラクトンの単独重合体または混合重合体であり、好ましくは末端ヒドロキシル基を有する、ラクトンの好適な二官能性の出発分子への付加生成物である。ラクトンとしては、好ましくは、一般式HO−(CH
2)
z−COOHの化合物から誘導されるものが該当し、前記式中、zは、1〜20の数であり、メチレン単位のH原子は、C
1〜C
4−アルキル基によって置換されていてもよい。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタリン酸またはピバロラクトンならびにそれらの混合物である。好適な出発成分は、例えばポリエステルポリオールのための構成成分として上述した低分子の二価アルコールである。ε−カプロラクトンの相応の重合体が特に好ましい。また低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールは、ラクトン重合体の製造のための出発物として使用できる。ラクトンの重合体の代わりに、ラクトンに相当するヒドロキシカルボン酸の相応の化学的に同等の重縮合物も使用できる。
【0116】
更に、ポリカーボネート−ジオール、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールのための構成成分として挙げた低分子アルコールを過剰に反応させることによって得られるポリカーボネート−ジオールも該当する。
【0117】
更に、多官能性の重合性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートまたはカーボネート(メタ)アクリレートであってよい。
【0118】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよび場合により連鎖延長剤、例えばジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミンもしくはジチオールまたはポリチオールとの反応によって得られる。水中で乳化剤を添加せずに分散可能なウレタン(メタ)アクリレートは、なおも更に、イオン性のおよび/または非イオン性の親水性の基を含み、前記基は、例えばヒドロキシカルボン酸などの構成成分によってウレタン中に導入される。
【0119】
かかるウレタン(メタ)アクリレートは、構成成分として、本質的に
(1)少なくとも1種の有機の脂肪族の、芳香族のもしくは脂環式のジイソシアネートもしくはポリイソシアネートと、
(2)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基および少なくとも1つのラジカル重合可能な不飽和基を有する少なくとも1種の化合物と、
(3)場合により、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する少なくとも1種の化合物、
を含む。
【0120】
前記成分(1)、(2)および(3)は、本発明によるポリウレタンについて構成成分(a)、(b)および(e)として上記したのと同じであってよい。
【0121】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは500〜20000g/モルの、特に500〜10000g/モルの、特に好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量(テトラヒドロフランおよび標準としてのポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)を有する。
【0122】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、1000gのウレタン(メタ)アクリレート当たり、1〜5モルの、特に好ましくは2〜4モルの(メタ)アクリレート基の含量を有する。
【0123】
エポキシド(メタ)アクリレートは、エポキシドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。エポキシドとしては、例えばエポキシ化されたオレフィン、芳香族グリシジルエーテルまたは脂肪族ジグリシジルエーテル、好ましくは芳香族のもしくは脂肪族のグリシジルエーテルのエポキシドが該当する。
【0124】
エポキシ化されたオレフィンは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリンであってよく、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエピクロロヒドリンであり、殊に好ましくはエチレンオキシドおよびエピクロロヒドリンである。
【0125】
芳香族のグリシジルエーテルは、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−グリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノン−ジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン)(CAS番号[13446-85-0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体)(CAS番号[66072-39-7])、フェノールベースのエポキシノボラック(CAS番号[9003-35-4])およびクレゾールベースのエポキシノボラック(CAS番号[37382-79-9])である。
【0126】
脂肪族のグリシジルエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043-37-4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン))(CAS番号[16096-30-3])および水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテル(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン)(CAS番号[13410-58-7])である。
【0127】
前記エポキシド(メタ)アクリレートは、好ましくは200〜20000g/モルの、特に好ましくは200〜10000g/モルの、殊に好ましくは250〜3000g/モルの数平均分子量を有し、(メタ)アクリル基の含量は、好ましくは1000gのエポキシド(メタ)アクリレート当たりに、好ましくは1〜5個、特に好ましくは2〜4個である(ポリスチレンを標準として用い、かつテトラヒドロフランを溶出剤として用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって測定する)。
【0128】
カーボネート(メタ)アクリレートは、平均して、好ましくは1〜5個の、特に2〜4個の、特に好ましくは2〜3個の(メタ)アクリル基を、殊に好ましくは2個の(メタ)アクリル基を有する。
【0129】
前記カーボネート(メタ)アクリレートの数平均分子量Mnは、好ましくは3000g/モル未満、特に好ましくは1500g/モル未満、特に好ましくは800g/モル未満である(ポリスチレンを標準として用い、テトラヒドロフランを溶剤として用いてゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される)。
【0130】
前記カーボネート(メタ)アクリレートは、簡単な様式で、炭酸エステルと、多価の、好ましくは二価のアルコール(ジオール、例えばヘキサンジオール)とでエステル交換し、引き続き遊離のOH基を(メタ)アクリル酸でエステル化または(メタ)アクリル酸エステルとエステル交換することによって得られる(例えばEP-A 92 269に記載されている)。前記アクリレートは、ホスゲン、尿素誘導体と多価の、例えば二価のアルコールとの反応によっても得られる。
【0131】
また、ポリカーボネートポリオール、例えば上述のジオールもしくはポリオールの1つと、炭酸エステルならびにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートからの反応生成物も考えられる。
【0132】
好適な炭酸エステルは、例えばエチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートもしくは1,3−プロピレンカーボネート、炭酸ジメチルエステル、炭酸ジエチルエステルもしくは炭酸ジブチルエステルである。
【0133】
好適なヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノアクリレートおよびグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートならびにペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートである。
【0134】
特に好ましいカーボネート(メタ)アクリレートは、式:
【化4】
[式中、Rは、HまたはCH
3を表し、Xは、C
2〜C
18−アルキレン基を表し、かつnは、1〜5の、好ましくは1〜3の整数を表す]のアクリレートである。
【0135】
Rは、好ましくはHを表し、Xは、好ましくはC
2〜C
10−アルキレン、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレンもしくは1,6−ヘキシレンを表し、特に好ましくはC
4〜C
8−アルキレンを表す。殊に好ましくは、Xは、C
6−アルキレンを表す。
【0136】
好ましくは、前記カーボネート(メタ)アクリレートは、脂肪族カーボネート(メタ)アクリレートである。
【0137】
多官能性の重合性化合物のなかでも、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0138】
本発明によるインキ、印刷インキおよび印刷ワニスに、ポリウレタン(A)に加えて追加的に光開始剤を、好ましくは前記成分(c)とは異なる吸収極大を有する光開始剤を添加することが有用なことがある。
【0139】
光開始剤は、例えば当業者に公知の光開始剤、例えば「Advances in Polymer Science」、第14巻、Springer Berlin 1974またはK. K. Dietliker, Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints、第3巻;Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P. K. T. Oldring (Eds), SITA Technology Ltd, Londonに挙げられる光開始剤であってよい。
【0140】
例えば、モノアシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド、例えばEP-A 7 508、EP-A 57 474、DE-A 196 18 720、EP-A 495 751またはEP-A 615 980に記載されるホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF SEのLucirin(登録商標)TPO)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(BASF SEのLucirin(登録商標)TPO L)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF SEのIrgacure(登録商標)819)、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸およびそれらの誘導体またはこれらの光開始剤の混合物が該当する。例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、β−メチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサントン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾイン−テトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾイン−エチルエーテル、ベンゾイン−ブチルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、7−H−ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾ[de]アントラセン−7−オン、1−ナフトアルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルホリノブチロフェノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(p−トリルメチル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチル−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンおよび2,3−ブタンジオンが挙げられる。
【0141】
光開始剤として考えられるのは、同様に、高分子光開始剤、例えばカルボキシメトキシベンゾフェノンの種々の分子量を有する、好ましくは200〜250g/モルの分子量を有するポリテトラメチレングリコールとのジエステル(CAS 515136-48-8)ならびにCAS 1246194-73-9、CAS 813452-37-8、CAS 71512-90-8、CAS 886463-10-1または他の高分子ベンゾフェノン誘導体、例えばIGM Resins B.V.社(Waalwijk、オランダ)の商品名Omnipol(登録商標)BPまたはRahn AG社(スイス)のGenopol(登録商標)BP1として市販されている光開始剤である。更に考えられるのは、また、高分子チオキサントン、例えばカルボキシメトキシチオアントンの、種々の分子量のポリテトラメチレングリコールとのジエステル、例えばIGM Resins B.V.社(Waalwijk、オランダ)の商品名Omnipol(登録商標)TXとして市販されている光開始剤である。更に考えられるのは、また、高分子α−アミノケトン、例えばカルボキシエトキシチオキサントンの、種々の分子量のポリエチレングリコールとのジエステル、例えばIGM Resins B.V.社(Waalwijk、オランダ)の商品名Omnipol(登録商標)910またはOmnipol(登録商標)9210として市販されている光開始剤である。
【0142】
好ましい一実施形態においては、光開始剤として、少なくとも1つの開始作用を有する基を有するシルセスキオキサン化合物(例えばWO 2010/063612 A1において、その特に第2頁第21行から第43頁第9行に記載されており、これは参照をもって本願明細書に開示されたものとし、好ましくは第2頁第21行から第30頁第5行に記載されている)ならびにWO 2010/063612 A1の実施例に記載される化合物が使用される。
【0143】
また、黄変させないか、または僅かしか黄変させないフェニルグリオキサール酸エステル型の光開始剤も、例えばDE-A 198 26 712、DE-A 199 13 353またはWO 98/33761に記載されるシルセスキオキサン化合物も適している。
【0144】
前記の光開始剤のなかでも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルホリノブチロフェノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(p−トリルメチル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]−2−メチル−プロパンン−1−オンならびに前記の高分子チオキサントン誘導体およびベンゾフェノン誘導体ならびにWO 2010/063612 A1に記載される光開始剤が好ましい。
【0145】
更なる印刷インキに典型的な添加剤としては、例えば分散剤、ワックス、安定化剤、増感剤、充填剤、抑泡剤、染料、帯電防止剤、増粘剤、表面活性剤、例えば均展剤、スリップ助剤または定着剤を使用してよい。
【0146】
好適な充填剤は、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られるケイ酸塩、例えばDegussa社のAerosil(登録商標)、珪藻土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを含む。
【0147】
以下に、特に良好に適した顔料のための例を挙げる。
【0148】
有機顔料:
− モノアゾ顔料:C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、63、112、146、170、184、210、245および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、73、74、65、97、151および183;
− ジスアゾ顔料:C.I.ピグメントオレンジ16、34および44;C.I.ピグメントレッド144、166、214および242;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176および188;
− アンタントロン顔料:C.I.ピグメントレッド168(C.I.バットオレンジ3);
− アントラキノン顔料:C.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
− アントラキノン顔料:C.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
− アントラピリミジン顔料:C.I.ピグメントイエロー108(C.I.バットイエロー20);
− キナクリドン顔料:C.I.ピグメントレッド122、202および206;C.I.ピグメントバイオレット19;
− キノフタロン顔料:C.I.ピグメントイエロー138;
− ジオキサジン顔料:C.I.ピグメントバイオレット23および37;
− フラバントロン顔料:C.I.ピグメントイエロー24(C.I.バットイエロー1);
− インダントロン顔料:C.I.ピグメントブルー60(C.I.バットブルー4)および64(C.I.バットブルー6);
− イソインドリン顔料:C.I.ピグメントオレンジ69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185;
− イソインドリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ61;C.I.ピグメントレッド257および260;C.I.ピグメントイエロー109、110、173および185;
− イソビオラントロン顔料:C.I.ピグメントバイオレット31(C.I.バットバイオレット1);
− 金属錯体顔料:C.I.ピグメントイエロー117、150および153;C.I.ピグメントグリーン8;
− ペリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.バットオレンジ7);C.I.ピグメントレッド194(C.I.バットレッド15);
− ペリレン顔料:C.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179(C.I.バットレッド23)、190(C.I.バットレッド29)および224;C.I.ピグメントバイオレット29;
− フタロシアニン顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;
− ピラントロン顔料:C.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216(C.I.バットオレンジ4);
− チオインジゴ顔料:C.I.ピグメントレッド88および181(C.I.バットレッド1);C.I.ピグメントバイオレット38(C.I.バットバイオレット3);
− トリアリールカルボニウム顔料:C.I.ピグメントブルー1、61および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1および169;C.I.ピグメントバイオレット1、2、3および27;C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック);C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー);C.I.ピグメントブラウン22。
【0149】
無機顔料:
− 白色顔料:二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、亜鉛白、有色酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン; 鉛白;炭酸カルシウム;
− 黒色顔料:酸化鉄黒(C.I.ピグメントブラック11)、鉄マンガンブラック、スピネルブラック(C.I.ピグメントブラック27);カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);
− 有色顔料:酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、クロムグリーン(C.I.ピグメントグリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメントグリーン50);ウルトラマリングリーン;コバルトブルー(C.I.ピグメントブルー28および36);ウルトラマリンブルー;紺青(C.I.ピグメントブルー27);マンガンブルー;ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット;酸化鉄赤(C.I.ピグメントレッド101);スルホセレン化カドミウム(C.I.ピグメントレッド108); モリブデンレッド(C.I.ピグメントレッド104);ウルトラマリンレッド;酸化鉄ブラウン、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相(C.I.ピグメントブラウン24、29および31)、クロムオレンジ;酸化鉄イエロー(C.I.ピグメントイエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメントイエロー53;C.I.ピグメントイエロー157および164);クロムチタンイエロー、硫化カドミウムおよび硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメントイエロー37および35);クロムイエロー(C.I.ピグメントイエロー34)、亜鉛黄、クロム酸アルカリ土類金属、ナポリイエロー;バナジン酸ビスマス(C.I.ピグメントイエロー184);
− 干渉顔料:被覆された金属薄片をベースとする金属エフェクト顔料、金属酸化物被覆された雲母小片をベースとする真珠光沢顔料、液晶顔料。
【0150】
好ましい顔料(B)としては、その際、モノアゾ顔料(特にレーキBONS顔料、ナフトールAS顔料)、ジスアゾ顔料(特にジアリールイエロー顔料、ビスアセト酢酸アセトアニリド顔料、ジスアゾピラゾロン顔料)、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ペリノン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料(アルカリブルー顔料、ローダミンレーキ、錯アニオンを有する染料塩)、イソインドリン顔料、白色顔料およびカーボンブラックが挙げられる。
【0151】
特に好ましい顔料のための例は、詳細には、カーボンブラック、二酸化チタン、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントレッド122および146、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15:3および15:4、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントオレンジ5、38および43ならびにC.I.ピグメントグリーン7である。
【0152】
好適な安定化剤は、典型的な紫外線吸収剤、例えばオキサアニリド、トリアジンおよびベンゾトリアゾール(後者は、BASFのTinuvin(登録商標)銘柄として得られる)およびベンゾフェノンを含む。これらは、単独で、または好適なラジカル捕捉剤と一緒に、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジンまたはそれらの誘導体、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシネートまたはキノンメチド(例えばIrgastab(登録商標)UV 22)と一緒に使用できる。安定化剤は、通常は、調合物に対して、0.1〜0.5質量%の作用成分の量で使用される。
【0153】
本発明の更なる一態様は、平面もしくは立体の、好ましくは平面の基材を、任意の印刷法により、少なくとも1種の本発明による印刷インキを使用して印刷するための方法である。本発明による印刷法の好ましい一変法においては、少なくとも1種の本発明による印刷インキを基材上に印刷し、引き続き化学線、例えば紫外線および/または電子線、好ましくは紫外線で処理する。
【0154】
本発明による印刷インキを使用できる印刷法は、好ましくはオフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、凹版印刷、スクリーン印刷およびインクジェット印刷であり、フレキソ印刷とオフセット印刷が特に好ましい。
【0155】
いわゆる機械的印刷法、例えばオフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷または凹版印刷に際して、印刷インキは、印刷インキが設けられた印刷版もしくは印刷型と被印刷物との接触によって該被印刷物に移される。これらの用途のための紫外線硬化可能な印刷インキは、通常は、反応性希釈剤、バインダー、着色剤、開始剤ならびに場合により種々の添加剤を含む。バインダーは、着色被膜の形成のために、かつ例えば顔料または充填剤などの成分の着色被膜中での固定のために役立つ。粘稠性に応じて、印刷インキは、これらの用途のためには、通常は、10〜60質量%のバインダーを含有する。反応性希釈剤は、加工粘度の調整のために役立つ。
【0156】
印刷ワニスは、プライマーとして被印刷物上に塗布される(いわゆる「プライマー」)か、または印刷過程の後に印刷された被印刷物上の上塗りとして塗布される。印刷ワニスは、例えば印刷像の保護のために、印刷インキの被印刷物上での付着性の改善のために、または美的目的のために使用される。その塗布は、通常は、インラインで、またはオフラインで、印刷機のワニス塗布ユニットによって行われる。
【0157】
印刷ワニスは、着色剤を含まないが、それ以外は一般に印刷インキと同様に構成されており、着色剤が存在しないことを特徴とする。
【0158】
機械印刷法のための印刷インキは、オフセット印刷および凸版印刷については、高い粘度を有するいわゆるペースト状の印刷インキを含み、そしてフレキソ印刷および凹版印刷については、比較的に低い粘度を有するいわゆる液体印刷インキを含む。
【0159】
本発明によるインキは、例えば、インクジェット液として使用され、同様に、電子写真的印刷法のための液体トナーのために使用できる。
【0160】
場合により、複数の印刷インキの印刷層が重ねて塗布されるときに、各印刷過程の後に乾燥および/または放射線硬化を行うことができる。
【0161】
放射線硬化は、高エネルギー光、例えば紫外光または電子線で行われる。放射線硬化は、またより高い温度で行うこともできる。
【0162】
放射線硬化のための放射線源として適しているのは、例えば水銀低圧ランプ、高圧ランプを有する水銀中圧ランプならびに蛍光管、パルスランプ、メタルハライドランプ、閃光装置であり、それらによって放射線硬化は、光開始剤なくして可能であり、またはエキシマランプならびにUV-LEDである。前記放射線硬化は、高エネルギー放射線、つまり紫外線または日光、好ましくはλ=200〜700nmの、特に好ましくはλ=200〜500nmの、殊に好ましくはλ=250〜420nmの波長領域の光の作用によって、または高エネルギー電子での照射(電子線:60〜300keV)によって行われる。放射線源としては、例えば高圧水銀蒸気ランプ、レーザ、パルスランプ(閃光)、ハロゲンランプ、UV-LEDまたはエキシマランプが用いられる。通常、架橋に十分な放射線量は、紫外線硬化の場合には、30〜3000mJ/cm
2である。
【0163】
もちろん、複数の放射線源を、例えば2ないし4個の放射線源を硬化のために使用することもできる。
【0164】
これらは、またそれぞれ異なる波長領域で放射することもできる。
【0165】
照射は、場合により酸素の排除下で、例えば不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。不活性ガスとしては、好ましくは窒素、希ガス、二酸化炭素または可燃ガスが適している。
【0166】
前記ポリウレタン(A)および本発明による方法の利点は、これらを用いて抽出できる成分および/または染み出しうる成分の含量が低下したインキ、印刷インキおよび印刷ワニスを製造できることである。光開始剤は本発明によるポリウレタン中に組み込まれているので、該光開始剤の分解産物は、更にコーティング中で固定されるため、一般にそれらは染み出さないか、または僅かしか染み出さない。その結果として、本発明によるポリウレタンを用いると、これを低分子の、つまり組み込むことができない光開始剤の添加が必要とされるコーティングと比較すると、例えば得られたコーティングの抽出による、光開始剤の分解産物の染み出す割合はほとんど見いだされないか、または全く見いだされない。ポリウレタン(A)の製造において触媒としてスズを省くことによって、毒性学的に懸念される金属が避けられる。更に、本発明による配合物、インキ、印刷ワニスおよび印刷インキの粘度は、該ポリウレタンが好ましくはアロファネート基を有するため一般に比較的低い。更に、水分によって、インキ、印刷ワニスおよび印刷インキにおける前記ポリウレタン(A)の混加を容易にする低粘性の配合物を製造することができる。
【0167】
本願で使用されるppm表示およびパーセント表示は、特に記載がない限り、質量%および質量ppmに対するものである。
【0168】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、これらの例に制限するものではない。
【0169】
実施例
BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)のLaromer(登録商標)LR 8863は、統計平均で3.5のエトキシ化されたトリメチロールプロパンの市販のトリアクリレートである。
【0170】
BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)のLaromer(登録商標)9000は、上記式(I)で示され、その式中、アクリレート基がアロファネート基を介して結合されている市販のアロファネート基含有のポリイソシアネートである。そのNCO含量は14.5〜15.5質量%である。
【0171】
BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)のIrgacure(登録商標)2959は、α−ヒドロキシケトン型の市販の光開始剤(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)である。
【0172】
BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)のIrgastab(登録商標)UV22は、プロポキシル化されたグリセリンのアクリレート中に溶解された、キノンメチドからなる市販の安定化剤である。
【0173】
例1:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、0.1部のBorchi(登録商標)Kat 24(ビスマスカルボキシレート)および0.9部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、そして80℃に加熱した。次いで、80〜85℃でNCO値が0.8%未満に下がるまでの間反応させ、NCOについて計算した当量のエタノールを添加し、NCO値が0に下がるまで再び反応させた。次いで冷却し、3%の水を添加し、排出した。
【0174】
例1a:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、100部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、0.1部のBorchi(登録商標)Kat 24(ビスマスカルボキシレート)および0.9部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、そして80℃に加熱した。次いで、80〜85℃でNCO値が0.8%未満に下がるまでの間反応させ、NCOについて計算した当量のエタノールを添加し、NCO値が0に下がるまで再び反応させた。次いで冷却し、3%の水を添加し、排出した。GPCスペクトルは、なおも約6%の未反応のIrgacure(登録商標)2959が存在することを示している。
【0175】
比較例1:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)および79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で再び反応させて、NCO値を0.8%未満にまで至らしめた。約20時間後に、光開始剤は、なおも反応が不完全であった。しかしながら、前記値が0.8%未満に達する前に(約12時間)、架橋が生じた。
【0176】
比較例1は、成分(f)と遊離のNCO基が反応することが必要であることを示している。
【0177】
比較例2:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)および0.9部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のエタノールを添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。次いで、冷却させて、5%の水を添加した。該反応混合物は混濁した。
【0178】
比較例2は、本発明による配合物は、水を添加しすぎると混濁することを示している。
【0179】
例2:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、50ppmのBorchi(登録商標)Kat 24(ビスマスカルボキシレート)および0.015部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のエタノールを添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。GPCクロマトグラムは、光開始剤の完全な反応を示した。次いで、更なる1部の安定化剤UV22を添加し、冷却させ、2%の水を添加し、排出した。
【0180】
例3:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、50ppmのBorchi(登録商標)Kat 22(亜鉛カルボキシレート)および0.015部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のエタノールを添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。GPCクロマトグラムは、光開始剤の完全な反応を示した。次いで、更なる1.5部の安定化剤UV22を添加し、冷却させ、2%の水を添加し、排出した。
【0181】
例4:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、50ppmのテトラブチルオルトチタネートおよび0.015部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のエタノールを添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。GPCクロマトグラムは、光開始剤の完全な反応を示した。次いで、更なる1.5部の安定化剤UV22を添加し、冷却させ、2%の水を添加し、排出した。
【0182】
例5:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)および79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、50ppmのBorchi(登録商標)Kat 315(ビスマスカルボキシレート)および0.015部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のエタノールを添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。GPCクロマトグラムは、光開始剤の完全な反応を示した。次いで、更なる1.5部の安定化剤UV22を添加し、冷却させ、2%の水を添加し、排出した。
【0183】
例6:
86部のポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)LR 8863)、120部のイソシアナトアクリレート(Laromer(登録商標)LR 9000)、79部の光開始剤(Irgacure(登録商標)2959)、50ppmのBorchi(登録商標)Kat 315(ビスマスカルボキシレート)および0.015部の更なる安定化剤(Irgastab(登録商標)UV22)を、1つの反応フラスコ中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80〜85℃で、NCO値が0.8%未満に下がるまで反応させ、NCOについて計算された当量のLutensol T03(C
13アルコールエトキシレート、BASF SE)を添加し、そしてNCO値が0に下がるまで更に反応させた。GPCクロマトグラムは、光開始剤の完全な反応を示した。次いで、更なる1.5部の安定化剤UV22を添加し、冷却させ、2%の水を添加し、排出した。
【0184】
適用例
例7
生成物を、例1と同様にして、Laromer(登録商標)LR 8863中の70質量%溶液として、水を添加せずに製造し、種々の量の水と混合し、外観ならびに粘度を調査した。
【0185】
【表1】
【0186】
該配合物は水を添加しないと流動性ではなく、多くの水を添加すると混濁することがわかった。従って、粘度も適用特性も好ましい領域は狭くとどまる。
【0187】
例8
本発明による種々の取り込み可能な光開始剤と、DE 10 2006 047863による開始剤を製造し、放射線硬化性のアクリレートを用いて印刷ワニスに配合した。
【0188】
DE 10 2006 047863からの例5をその際に繰り返し、その光開始剤含量に対する正味の開始剤と見なし(比較例a)もしくはその反応性希釈剤含量に対するコーティング材料と見なした(比較例c)。
【0189】
それらの配合物を用いて、硬化速度、粘度、光沢および摩耗安定性ならびに耐溶剤性を測定した。そのワニスを、そのために、6μmのスパイラルドクター(Spiralrakel)でLeneta厚紙にコーティングし、そして出力を制御可能な200W/cmの水銀中圧ランプを備えたIST社製の紫外線装置M-30-2x1-BLKUで露光した。硬化速度は、指の爪(Fingernagel)で測定した。表面がクレーターを有さなくなったら、前記ワニスは硬化されたと見なした。
【0190】
光沢は、Byk-Gardner Micro-Tri-Gloss光沢測定装置でLeneta厚紙に対して60°で測定した。Scotch Brite(登録商標)パッドの07448型(3M社)を用いたそれぞれ5回の往復行程の後に耐摩耗性を光沢の低下によって測定した。
【0191】
【表2】
【0192】
Laromer(登録商標)LR 8986は、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)のエトキシル化されたトリメチロールプロパンのエポキシアクリレートおよびトリアクリレートからなる市販の混合物である。
【0193】
Laromer(登録商標)PO 77Fは、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)の市販のアミノ変性された約3官能性のポリエーテルアクリレートである。
【0194】
EFKA 7305は、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)の均展および表面光沢のための市販の添加剤である。
【0195】
本発明による例では、水を添加することによって、印刷ワニスの粘度も低下しうることがわかった。しかしながら、比較b)において、DE 10 2006 047863からの例2による反応混合物(すなわち水を含まない)は、流動性でなく、従って配合が困難であり、更に、印刷ワニスの粘度は最適なコーティング成果のためには高すぎる。
【0196】
比較aおよびcから、DE 10 2006 047863からの例5は、本発明による例と直接的に比較して、より悪い応用技術的特性を示し、例えばより低い残留光沢およびより悪い耐摩耗性を示し、不十分な反応性しか示さないことが明らかである。
【0197】
例9
例5(例9aにおける)および例6(例9bにおける)からの本発明による光開始剤は、オフセット印刷インキにおいて使用され、比較としてIrgacure(登録商標)2959を選択した。比較例におけるIrgacure(登録商標)2959の濃度は、その際、本発明による光開始剤におけるクロモフォアの濃度に相当した。そこに、すべての成分を混合し、Buehler社の研究用回転ローラ上で全ての光開始剤が溶けるまで分散させた。次いで、印刷インキをPruefbau社製のオフセット試験印刷装置を用いて、塗工厚紙に塗布質量1.7g/m
2で印刷し、IST社製の紫外線照射装置M-30-2x1-BLKUで80W/cm(アルミニウムリフレクター)で露光した。完全な硬化は、RELテスター(PTC試験装置、Pruefbau社)を用いて測定した。色密度は、Gretag-Macbeth社製のデンシトメーターSPM55を用いて測定した。
【0198】
【表3】
【0199】
驚くべきことに、本発明による開始剤は、同じクロモフォア濃度で、それどころか比較例よりも明らかに高い硬化速度を有することが明らかである。色印象の強度のための尺度としての色密度は、脂肪酸アルコールが使用される例9bで、それどころか、別の試験の場合よりも高く、これは、本発明による光開始剤の分散作用も示している。