特許第6388905号(P6388905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388905難燃性ポリウレタンフォームおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388905
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】難燃性ポリウレタンフォームおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20180903BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20180903BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20180903BHJP
【FI】
   C08G18/00 J
   C08G18/48 033
   C08G101:00
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-500629(P2016-500629)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公表番号】特表2016-510837(P2016-510837A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2014020506
(87)【国際公開番号】WO2014149711
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】61/787,018
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ネフ
(72)【発明者】
【氏名】リーイン ワン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ガーシャノヴィチ
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−148903(JP,A)
【文献】 特表平03−504738(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/067841(WO,A1)
【文献】 特表2013−544307(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/003027(WO,A1)
【文献】 特表2014−527093(JP,A)
【文献】 特開平05−171034(JP,A)
【文献】 特表2003−511503(JP,A)
【文献】 特表2005−526892(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0222284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08G 101/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量平均分子量2500〜6000g/molおよびヒドロキシル価25〜60mg KOH/gを有するポリエーテルポリオール、および
ポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセントの範囲の量で存在する膨張性グラファイト
を含むイソシアネート反応性成分と、
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分、および
ポリウレタンフォームの総質量に対して1〜20質量パーセントの範囲の量で存在し且つ熱重量分析によって測定された際に200℃で2%以下の累積の減量を有し、25℃で液体である非ハロゲン化非反応性リン化合物
を含むイソシアネート成分との、
発泡剤の存在下での反応生成物を含むポリウレタンフォームであって、UL94垂直燃焼等級V−0を有し、前記ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分と前記イソシアネート反応性成分とを反応させる前に、前記非ハロゲン化非反応性リン化合物をジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と予備混合する、前記ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分と前記イソシアネート反応性成分とを反応させる前に、前記膨張性グラファイトを前記ポリエーテルポリオールと予備混合し、且つ/または前記膨張性グラファイトが、ポリウレタンフォームの総質量に対して5〜15質量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記非ハロゲン化非反応性リン化合物が、ビスフェノールAジホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、レソルシノールビス(フェニルホスフェート)およびそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1または2記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
密度32〜240kg/m3を有し、且つ/または150℃で1週間の熱エージング後にUL94垂直燃焼等級V−0を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
前記イソシアネート反応性成分がさらに、前記ポリエーテルポリオールとは異なるグラフトポリオールを含み、前記グラフトポリオールが公称官能価2〜4を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
以下の段階:
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分、および
ポリウレタンフォームの総質量に対して1〜20質量パーセントの範囲の量で存在し且つ熱重量分析によって測定された際に200℃で2%以下の累積の減量を有し、25℃で液体である非ハロゲン化非反応性リン化合物
を含むイソシアネート成分を準備する段階、
ポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセントの範囲の量で存在する膨張性グラファイト、および
質量平均分子量2500〜6000g/molおよびヒドロキシル価25〜60mg KOH/gを有するポリエーテルポリオール
を含むイソシアネート反応性成分を準備する段階、および
前記イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを、発泡剤の存在下で反応させて、ポリウレタンフォームを形成する段階
を含む、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
以下の段階:
(a) ポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセントの範囲の量で存在する膨張性グラファイトと、第一のイソシアネート反応性成分とを混合する段階、
(b) ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分、および
ポリウレタンフォームの総質量に対して1〜20質量パーセントの範囲の量で存在し、熱重量分析によって測定された際に200℃2%以下の累積の減量を有し、25℃で液体である非ハロゲン化非反応性リン化合物
を含むイソシアネート成分を準備する段階、
(c) 前記イソシアネート成分および第二のイソシアネート反応性成分を高圧下で、発泡剤の存在下でチャンバーに導入する段階、
(d) 混合された膨張性グラファイトと第一のイソシアネート反応性成分とを、より低圧で前記チャンバーに導入する段階、および
(e) 前記イソシアネート成分と、前記第一のイソシアネート反応性成分および前記第二のイソシアネート反応性成分とを発泡剤の存在下で反応させて、ポリウレタンフォームを形成する段階
を含み、ここで、前記第一のイソシアネート反応性成分および前記第二のイソシアネート反応性成分が、各々、質量平均分子量2500〜6000g/molおよびヒドロキシル価25〜60mg KOH/gを有するポリエーテルポリオールを含む、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
前記第一のイソシアネート反応性成分が、前記第二のイソシアネート反応性成分と同一の組成である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項からまでのいずれか1項に記載の方法によって製造された、UL94垂直燃焼等級V−0を有するポリウレタンフォーム。
【請求項10】
150℃で1週間の熱エージング後にUL94垂直燃焼等級V−0を保持し、且つ/または密度32〜240kg/m3を有する、請求項に記載のポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 発明の分野
本開示は、一般にポリウレタンフォームおよび前記ポリウレタンフォームの製造方法に関する。より特定には、本発明は難燃性を示すポリウレタンフォームに関する。
【0002】
2. 関連技術の説明
ポリウレタンフォームは広い範囲の剛性、硬度および密度を示す。ポリウレタンフォームの1種である軟質ポリウレタンフォームは、緩衝、支持、および家具物品の快適さを提供するために特に有用である。例えば、軟質ポリウレタンフォームは、多くの場合、家具を快適にする物品、例えばクッション、パッド、マットレス、マットレスの上掛け、および枕内に、並びに家具の支持物品、例えばソファー、ラブシート、および椅子内に組み込まれる。
【0003】
他の種類のポリウレタンフォームは、乗り物、例えば自動車用のノイズ、振動およびハーシュネス(NVH)低減部品のために特に有用である。例えば、特定の軟質または硬質のフォームを様々な自動車内装部品、例えばドアフレーム、およびポリウレタンフォームで充填された空洞部を有する様々なエンジン室部品内に組み込むことができる。
【0004】
ポリウレタンフォームは典型的には可燃性であるが、しかし小さな裸火着火源(small open flame ignition source)を遅らせるために配合されることがある。難燃性を示すポリウレタンフォームを製造するための様々な手段が当該技術分野において公知である。例えば、鉱物、例えば三水和アルミニウム; 塩、例えばヒドロキシメチルホスホニウム塩; リン化合物; リン酸塩含有のエステル; およびハロゲン化炭素、または他のハロゲン化化合物、例えば臭素および/または塩素を含有するものを含む難燃添加剤を、ポリウレタンフォームを形成するために使用されるイソシアネート反応性成分中に含めることができる。
【0005】
発明の要旨および利点
本発明は、最初にUL94垂直燃焼等級V−0を有し、且つ、1週間の150℃での熱エージング後にUL94垂直燃焼等級V−0を保持しているポリウレタンフォームを提供する。該ポリウレタンフォームは、発泡剤の存在下での、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。イソシアネート成分は、イソシアネート含有化合物および非反応性リン化合物を含む。非反応性リン化合物は、200℃超で、熱重量分析(加熱速度10℃/分、窒素中)によって測定された際に、2%以下の累積の減量を有する。イソシアネート反応性成分は、ポリエーテルポリオールと、ポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセントの範囲の量で存在する膨張性グラファイトとを含む。
【0006】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法も提供する。該方法は、上記に示されるイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を準備する段階、およびイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを、発泡剤の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含む。
【0007】
本発明のポリウレタンフォームは、最初にUL94垂直燃焼等級V−0を有し、且つ、1週間の150℃での熱エージング後にUL94垂直燃焼等級V−0を保持している。非反応性リン化合物および膨張性グラファイトをポリウレタンフォームに添加することの相乗効果は、改善された燃焼抵抗に寄与することであると考えられる。さらには、非反応性リン化合物とイソシアネート含有化合物とを予備混合することは、非反応性リン化合物とイソシアネート反応性成分とを予備混合することとは対照的に、ポリウレタンフォームの形成に有害な作用を及ぼしかねないイソシアネート反応性成分中の湿分の存在と関連する安定性の問題を最小化し、且つ、製造効率を高め、且つ、別々の成分の貯蔵を最小化し且つ装置の混合ヘッド部の数を限定することによりコストを低減する。さらには、非反応性リン化合物とイソシアネート反応性成分とを予備混合することは、混合装置および使用される機械のアウトプットの能力に基づき、イソシアネート対ヒドロキシル基の比をより容易に調整することを可能にする。
【0008】
さらには、本発明によって形成されたポリウレタンフォームは、過酷な熱エージングの後、例えば150℃で1週間の熱エージングの後でさえも、優れたノイズ、振動およびハーシュネス(NVH)特性および他の支持特性、例えば柔軟性、安定性を示す。本発明によるポリウレタンフォームは、車両用のエンジン室の物品のために特に適しているが、ポリウレタンフォームを使用でき且つ特にNVH低減および難燃性が望ましいエンジン室以外の他の用途において使用することもできる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は難燃性を示すポリウレタンフォーム、およびそれらのポリウレタンフォームの製造の関連する方法に関する。該ポリウレタンフォームは、以下に記載するとおり、軟質ポリウレタンフォームまたは硬質ポリウレタンフォーム、または硬質ポリウレタンフォームと軟質ポリウレタンフォームとの両方の少なくともいくらかの特性を示す半硬質ポリウレタンフォームであってよい。
【0010】
本願内で使用される場合、「軟質ポリウレタンフォーム」との用語は、軟質ポリウレタンフォームの類を意味し、且つ、硬質ポリウレタンフォームと対照的な位置付けである。軟質ポリウレタンフォームは一般に、多孔質であり、開放気泡且つ含気性の特性を有する一方で、硬質ポリウレタンフォームは、一般に無孔質であり、独立気泡およびゴム状ではない特徴を有する。特に、軟質ポリウレタンフォームは柔軟性のある気泡構造の製品であり、それはASTM D3574−03に定義されるとおり、200mm×25mm×25mmの試料が直径25mmのマンドレルの周りで、5秒で一巻きの均質な速度で、温度18〜29℃で曲げられる際に破断しない。さらには、ポリオールの選択は、軟質ポリウレタンフォームの剛性に影響する。即ち、軟質ポリウレタンフォームは典型的には質量平均分子量約1000〜約10000g/molおよびヒドロキシル価約10〜約200mg KOH/gを有するポリオールから製造される。これに対し、「硬質ポリウレタンフォーム」は典型的には質量平均分子量約250〜約700g/molおよびヒドロキシル価約300〜約700mg KOH/gを有するポリオールから製造される。さらには、軟質ポリウレタンフォームは一般に、硬質ポリウレタンフォームと比較してより多くのウレタン結合を含む一方で、硬質ポリウレタンフォームは軟質ポリウレタンフォームと比較してより多くのイソシアヌレート結合を含むことがある。さらには、軟質ポリウレタンフォームは典型的には低官能性(f)開始剤、即ち、f<4、例えばジプロピレングリコール(f=2)またはグリセリン(f=3)を有するポリオールから製造される。これに比して、硬質ポリウレタンフォームは、典型的には高官能性開始剤、即ち、f≧4、例えばマンニッヒ塩基(f=4)、トルエンジアミン(f=4)、ソルビトール(f=6)またはスクロース(f=8)を有するポリオールから製造される。さらには、当該技術分野において公知のとおり、軟質ポリウレタンフォームは典型的にはグリセリンに基づくポリエーテルポリオールから製造される一方で、硬質ポリウレタンフォームは典型的には、硬質ポリウレタンフォームの剛性を増加させる3次元架橋された気泡構造を作り出す多官能性ポリオールから製造される。最終的に、軟質ポリウレタンフォームおよび硬質ポリウレタンフォームの両方が気泡構造を含むにもかかわらず、軟質ポリウレタンフォームは典型的にはより多くの開放気泡壁を含み、それは力が印加された際に、硬質ポリウレタンフォームと比較して、空気が軟質ポリウレタンフォームを通過することを可能にする。従って、軟質ポリウレタンフォームは典型的には圧縮後に形状が回復する。これに対して、硬質ポリウレタンフォームは典型的にはより多くの独立気泡壁を含み、それは力が印加された際に空気が硬質ポリウレタンフォームを流通することを制限する。従って、軟質ポリウレタンフォームは典型的には緩衝および支持の用途、例えば家具を快適にする物品および支持物品のために有用である一方で、硬質ポリウレタンフォームは典型的には断熱が必要とされる用途、例えば器具および建築パネル、および自動車部品、例えばドアフレームのために有用である。さらには、特定の軟質、半硬質または硬質ポリウレタンフォームは、エンジン室の部品のために有用であり得る。
【0011】
本発明のポリウレタンフォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。本願内で使用される「イソシアネート成分」との文言は、モノマーのイソシアネートに限定されない、即ち、イソシアネート成分は、モノマーのイソシアネートおよびポリマーのイソシアネートを含むことができると理解されるべきである。さらに、本願内で使用される「イソシアネート成分」との用語は、プレポリマーを含む。換言すれば、プレポリマー、例えば過剰なイソシアネートと反応したポリオールは、本発明においてイソシアネート成分として使用することができる。
【0012】
イソシアネート成分は、イソシアネート含有化合物を含む。典型的には、イソシアネート含有化合物(即ち、NCO基含有化合物)は、ポリマーのジフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)を含む。PDMIは、典型的にはイソシアネート成分中に存在して、以下により詳細に示すように、軟質ポリウレタン発泡反応の間に、反応性基、即ちNCO基を提供する。PMDIは、典型的にはオリゴマーのジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、即ち、MDIおよびその二量体および/または三量体の混合物である。PMDIは、NCO基を含む3つまたはそれより多くのベンゼン環を有する粗製のMDIを含む。PMDIは典型的には酸触媒の存在下でのアニリンとホルムアルデヒドとの縮合、次のホスゲン化および生じるポリマーのアミン混合物の蒸留を通じて得られる。PMDIは典型的にはイソシアネート成分中に、イソシアネート成分100質量部に対して約1〜約30、より典型的には約5〜約25、さらにより典型的には約8〜約12質量部の量で存在する。
【0013】
イソシアネート含有化合物は典型的にはさらに、モノマーのジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分を含む。当該技術分野において理解されるとおり、「モノマーのMDI」との用語はMDI異性体を含む成分、例えば2,4’−MDI、4,4’−MDIおよび/または2,2’−MDIを示す。本発明のモノマーのMDI成分は、2,4’−MDIおよび4,4’−MDIを含む。4,4’−MDIと比較して、2,4’−MDIは非対称の分子であり、且つ異なる反応性の2つのNCO基を提供する。理論によって限定されることを意図するものではないが、2,4’−MDIは軟質ポリウレタンの発泡反応のパラメータ、例えば安定性および軟質ポリウレタンフォームの硬化時間に影響すると考えられる。
【0014】
モノマーのMDI成分は典型的にはイソシアネート成分中に、イソシアネート成分100質量部に対して約70〜約99、より典型的には約75〜約95、さらにより典型的には約88〜約92質量部の量で存在する。上記のとおり、モノマーのMDI成分は2,4’−MDIおよび4,4’−MDIを含む。イソシアネート成分全体に関して、2,4’−MDIは典型的にはイソシアネート成分中に、イソシアネート成分100質量部に対して約10〜約50、より典型的には約30〜約48、さらにより典型的には約39〜約45質量部の量で存在する。一般に、イソシアネート成分の残り(即ち、pMDIおよび2,4’−MDI以外のイソシアネート成分)は、4,4’−MDIを含むが、特定の実施態様においては、ポリマーのイソシアネートおよびモノマーのイソシアネートに追加して、または部分的に置き換えて、一般に公知の芳香族、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族のイソシアネート、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネートおよび/またはフェニレンジイソシアネート、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−および/または1.3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2.4−および/または−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートおよび/または4,4’−、2,4’−および2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含む他のイソシアネートを使用できる。
【0015】
特定の実施態様において、モノマーのMDI成分ジフェニルメタンジイソシアネート(MMDI)を変性し、カルボジイミド化学反応を使用して安定化させ、その際、MMDIの一部が反応して、遊離NCO質量29.2%〜29.5%を有するカルボジイミド変性イソシアネートをもたらす。前記カルボジイミド変性は、残りの二環能性のMMDI中で三官能性のウレトンイミン種の形成をみちびく。MMDIを使用できる本発明の目的のために適したカルボジイミド変性イソシアネート成分は、NA36100450−2−4(BASF Corporation、Florham Park、New Jerseyから市販)である。
【0016】
理論に限定されることを意図するものではないが、pMDI、およびモノマーのMDI成分(カルボジイミド変性されたモノマーのMDI成分を含む)を含むイソシアネート含有化合物は、それらから製造されたポリウレタンフォームの優れた難燃性に寄与すると考えられ、なぜなら、モノマーのMDI成分(未変性およびカルボジイミド変性)およびpMDIが、ポリウレタンフォームの溶融特性を変更するからである。例えば、モノマーのMDI成分(未変性およびカルボジイミド変性)およびpMDIは、ポリウレタンフォームの燃焼の間に追加的な炭の形成をもたらすと考えられる。追加的な炭の形成は、典型的には安定な炭素質のバリアを形成し、それは下にあるポリウレタンフォームに火炎が達することを防ぐ。より特定には、イソシアネート含有化合物はポリウレタンフォームの結晶性に影響し、従って炎に晒された際に、軟質ポリウレタンフォームが火炎中に残るよりはむしろ火炎から離れて融解すると考えられる。換言すれば、イソシアネート含有化合物は、火炎伝搬に対する炭化バリアを提供する連続的な結晶マトリックスを有する本発明のポリウレタンフォームを提供する。さらには、本発明のポリウレタンフォームが熱に晒された場合、イソシアネート含有化合物は、蒸気の形成を最小化すると考えられる。火炎の伝搬は気相を必要とするので、本発明のポリウレタンフォームは、UL−94燃焼性標準による難燃性試験下で優れた難燃性を示す。
【0017】
イソシアネート含有化合物は典型的には、イソシアネート成分中で、イソシアネート成分100質量部に対して約33質量部の量で存在するNCO基を有する。さらには、イソシアネート含有化合物は典型的には25℃で約0.17Pa・s(17cps)の粘度および平均官能価約2.1を有する。イソシアネート含有化合物は典型的には約200℃の引火点、および25℃で約1.20g/cm3の密度を有し、そのことは効率的な加工、例えば成分の混合が容易であることを可能にし、そのことによってポリウレタンフォームを製造する費用効率に寄与する。
【0018】
特定の実施態様において、イソシアネート含有化合物は、本質的にpMDIおよびモノマーのMDI成分(未変性および/またはカルボジイミド変性)からなる。これらの実施態様において、pMDIは典型的にはイソシアネート成分中に、イソシアネート成分100質量部に対して約5〜約25質量部の量で存在し、且つモノマーのMDI成分は典型的にはイソシアネート成分中に、イソシアネート成分100質量部に対して約75〜約95質量部の量で存在する。これらの実施態様において、イソシアネート含有化合物は典型的には上述のとおり、pMDI、および2,4’−MDIおよび4,4’−MDIを含むモノマーのイソシアネート成分以外のイソシアネートを含まない。
【0019】
特定の実施態様において、イソシアネート成分はさらに、形成されるポリウレタンフォームの総質量に対して1〜20質量パーセントにわたる量、例えば3〜15質量パーセント、例えば5〜10質量パーセントにわたる量で存在する非反応性リン化合物を含む。非反応性リン化合物は、本願における記載についてイソシアネート成分として分類される一方で、イソシアネート含有化合物とポリエーテルポリオールとの間の反応に関与するイソシアネート含有化合物ではないが、以下でさらに説明されるとおり、形成されたポリウレタンフォーム中に残留する成分である。換言すれば、本発明において「非反応性リン化合物」において使用される「非反応性」との用語は、イソシアネート含有化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含まないリン化合物を示す。
【0020】
好ましくは、保管されたイソシアネート含有化合物中での水の本質的な不在に基づき、イソシアネート含有化合物を導入し、且つポリエーテルポリオールと反応させる前に、非反応性リン化合物をイソシアネート含有化合物と予備混合する。水は有機ホスフェートと反応してリン酸およびアルコールを形成するという事実に基づき、この予備混合が望まれる。リン酸は、フォームの形成において第三アミン触媒(以下に記載)をブロックし、そのことは、ポリウレタンフォームを製造するために必要な発泡およびゲル化反応を遅延させる。これは、低品質のフォームまたはフォームの崩壊をもたらす。従って、非反応性リン化合物も水の不在下で保管することが望ましい。イソシアネート反応性成分が4%までの水を含有する際、非反応性リン化合物とイソシアネート反応性成分とを予備混合することは望ましくない。
【0021】
製造の設定における非反応性リン化合物とイソシアネート含有化合物との予備混合の他の利点は、それらの成分の各々を別々に保管することと比べて、保管費用が低減されることである。さらには、非反応性リン化合物はイソシアネート含有化合物と反応性ではないので、形成されたポリウレタンフォームの物理的特性に影響することなく、イソシアネート含有成分と同じ圧力のノズルを通じて混合チャンバーまたは容器に導入することができる。さらには、非反応性リン化合物とイソシアネート反応性成分とを予備混合することは、混合装置および使用される機械のアウトプットの能力に基づき、イソシアネート対ヒドロキシル基の比をより容易に調整することを可能にする。
【0022】
しかしながら、上述のとおり、非反応性リン化合物とイソシアネート含有化合物とを予備混合することが望ましい一方で、特定の実施態様においては、非反応性リン化合物を別々に保管し、且つイソシアネート含有化合物が導入されるのと同時にイソシアネート反応性成分に導入することがあり、または、特定の実施態様においては、イソシアネート含有化合物の導入前にイソシアネート反応性成分と混合することがある。
【0023】
それらの実施態様において、非反応性リン化合物は、熱重量分析(加熱速度10℃/分、窒素中)によって200℃で測定された際に、2%以下の累積の減量を有する。換言すれば、非反応性リン化合物は、熱曝露後に、形成されたフォーム中に本質的に残留するという点で高い熱安定性を有し、従ってその存在に基づき燃焼抵抗を保持する。累積との用語は、任意の残留添加剤、溶剤または非反応性リン化合物中に存在し得るその種のものを含む非反応性リン化合物の総質量に関する。
【0024】
特定の実施態様において、非反応性リン化合物は、約25℃の周囲温度で液体であり、且つ更に他の実施態様においては、非反応性リン化合物はハロゲンを含有しない。
【0025】
上記のとおり熱重量分析によって測定された際に200℃で累積の減量2%以下を有する、使用できる非反応性リン化合物の例は、Fyrolflex BDP (ビスフェノールA ジホスフェート、ICL Industrial Productsから入手可能)、Fyrolflex RDP (レソルシノールビスA (ジフェニルホスフェート)、ICL Industrial Productsから入手可能)、イソデシルジフェニルホスフェート(例えばPhosflex(登録商標)390、ILC Industrial Productsから入手可能)、トリクレシルホスフェート(例えばLindol(商標)、ICL Industrial Productsから入手可能)およびそれらの組み合わせを含む。
【0026】
本発明のイソシアネート反応性成分はポリエーテルポリオールを含む。典型的には、ポリエーテルポリオールは質量平均分子量(Mw)約1000〜約20000g/molを有する。ポリエーテルポリオールは、より典型的には、質量平均分子量約2500〜約6000g/molを有する。特定の実施態様において、ポリエーテルポリオールはポリエーテルトリオールである。当該技術分野において公知のとおり、ポリエーテルポリオールは一般にアルキレンオキシドと開始剤とが触媒、例えば塩基性触媒または複金属シアン化物(DMC)触媒の存在下で反応することによって製造される。さらにより典型的には、エチレンオキシド(EO)を使用して、生じるポリエーテルポリオールをEOキャップする。特定の実施態様において、ポリエーテルポリオールの末端キャップは、プロピレンオキシド(PO)基またはエチレンオキシド(EO)基、好ましくはEO基を含む。しかしながら、ポリエーテルポリオールの末端キャップが他のアルキレンオキシド基、例えばブチレンオキシド(BO)基またはそのようなアルキレンオキシド基の組み合わせを含むことができると理解されるべきである。換言すれば、ポリエーテルポリオールの複数の末端キャップは典型的には、PO基、EO基、BO基およびそれらの組み合わせから選択されるアルキレンオキシド基を含む。ポリエーテルポリオールは典型的には、約20〜約100、より典型的には約25〜約60mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0027】
ポリエーテルポリオールは典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して約20〜約100、より典型的には約40〜約90、さらにより典型的には約50〜約80質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。
【0028】
特定の実施態様において、ポリエーテルポリオールは、支持体のポリオールに化学的にグラフとされた分散されたポリマー固体を示すグラフトポリオールを含む。イソシアネート反応性成分のグラフトポリオールは、支持体のポリオールおよび共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルの粒子を含み、その際、以下により詳細に示すとおり、共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルの粒子は支持体のポリオール中に分散している。グラフトポリオールの支持体のポリオールは、先述の段落に記載されたポリエーテルポリオールと同一であるかまたは異なっていてよいポリエーテルポリオールである。グラフトポリオールは典型的には、約2〜約4、より典型的には約2.2〜約3の官能価を有する。
【0029】
先に示したとおり、特定の実施態様において、グラフトポリオールの支持体のポリオールは、上述ポリエーテルポリオールとは異なるポリエーテルポリオールである。支持体のポリオールは、当該技術分野において任意の公知のポリエーテルポリオールであってよく、且つ好ましくは分散された共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルのための連続相としてはたらく。即ち、共重合されたスチレンおよびアクリロニトリル粒子は、支持体のポリオール中に分散されて、分散体を形成する、即ち、グラフトポリオールを形成する。特定の実施態様において、支持体のポリオールは、質量平均分子量約700〜約20000g/mol、より典型的には約1000〜約10000g/mol、およびより典型的には約2000〜約6000g/molを有するポリエーテルトリオールである。支持体のポリオールは典型的には、以下により詳細に説明されるとおり、柔軟性および所望の密度を有するポリウレタンフォームを提供する分子量を有する。支持体のポリオールの分子量は典型的にはランダムなサイズで不規則な形状の気泡、例えばサイズおよび形状の両方において隣接する気泡とは異なる気泡を提供する。
【0030】
共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルの粒子は、支持体のポリオール中で、支持体のポリオール100質量部に対して約20〜約60、典型的には約25〜約50、より典型的には約30〜約40、およびさらにより典型的には約44質量部の量で分散される。
【0031】
理論によって限定されることを意図するものではないが、グラフトポリオールは典型的にはイソシアネート反応性成分中に存在して、最適な断面密度を有するポリウレタンフォームを提供し、且つポリウレタンフォームの固体のレベルを調節する。グラフトポリオールは典型的にはポリウレタンフォームの加工性および硬度にも寄与する。グラフトポリオールは、ポリウレタンフォームのレジリエンスに悪影響することなく、ポリウレタンフォームの製造の間に、最適な気泡の開孔も可能にする。さらには、グラフトポリオールは本発明のポリウレタンフォームの難燃性にも寄与すると考えられる。しかしながら、グラフトポリオールは、本発明において、ポリウレタンフォームがプラスチック材料のUL−94燃焼試験に準拠する垂直燃焼等級V−0を示すためには必要とされないことが理解されるべきである。存在する場合、グラフトポリオールは典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して0より上〜約100、より典型的には約5〜約50、さらにより典型的には約10〜約30質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。グラフトポリオールがイソシアネート反応性成分中に約100質量部の量で存在する場合、イソシアネート反応性成分はまだグラフトポリオール中に支持体のポリエーテルポリオールとしてポリエーテルポリオールを含む。グラフトポリオールの支持体のポリオールは、上記に説明され且つ記載されるポリエーテルトリオールを含むことができる。さらには、グラフトポリオールは典型的には、約10〜約60、より典型的には約20〜約40mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。さらには、グラフトポリオールは典型的には、25℃で約1000〜約7000センチポアズの粘度を有し、そのことは効率的な加工、例えば成分の混合が容易であることを可能にし、そのことによってポリウレタンフォームを製造する費用効率に寄与する。
【0032】
イソシアネート反応性成分はさらに、形成されたポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセント、または5〜20質量パーセント、または5〜15質量パーセントにわたる量で存在する膨張性グラファイトを含む。膨張性グラファイトは、本願における記載についてイソシアネート反応性成分として分類される一方で、イソシアネート含有化合物とポリエーテルポリオールとの間の反応に関与するイソシアネート反応性化合物ではないが、以下でさらに説明されるとおり、形成されたポリウレタンフォーム中に残留する成分である。好ましくは、膨張性グラファイトは、保管されているか、またはそうでなければ、導入され且つイソシアネート成分と、またはイソシアネート成分のイソシアネート含有化合物と反応する前にポリエーテルポリオールと予備混合される。しかしながら、膨張性グラファイトを別途に保管し、且つ、イソシアネート反応性成分が導入されるのと同時にイソシアネート含有化合物に導入することができるか、または特定の実施態様においては、イソシアネート反応性成分の導入前にイソシアネート成分と混合することができる。
【0033】
「膨張性グラファイト」との用語は、膨張性フレーク状グラファイトまたは膨大性フレーク状グラファイト、または単に「膨張性フレーク」としても知られており、インターカレートされたグラファイトの形態である。インターカレーションは、インターカラント材料がグラファイト結晶または粒子のグラフェン層間に差し込まれる方法である。インターカレーション後に生じるグラファイト材料は、インターカラントおよびそれがホスト(グラファイト)種に結合する仕方に依存して新規の特性を呈する。結晶学的構造、表面積、密度、電気特性、膨大挙動、化学的反応性等を含む物理的特性および化学的特性の両方は、インターカラントによって影響され得る。
【0034】
グラファイト材料をインターカレートするために広範な化学種が使用される。それらはハロゲン、アルカリ金属、硫酸塩、硝酸塩、様々な有機酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、他の金属ハロゲン化物、硫化ヒ素、硫化タリウム等を含む。
【0035】
第一の種類のグラファイトのインターカレーション化合物は、「硫酸塩」インターカレーション化合物であり、時として「グラファイト重硫酸塩」と称される。この材料は、高結晶性の天然フレークグラファイトを、硫酸と、硫酸塩のインターカレーションの「触媒」において補助する特定の他の酸化剤との混合物で処理することによって製造される。
【0036】
本発明において使用できる適した膨張性グラファイトは、Nyagraph 251(Nyacol Nano Technologiesから入手可能)を含み、それはインターカレーション工程において硫酸で処理されたグラファイト鉱石として記載される。
【0037】
イソシアネート反応性成分は、典型的にはさらに、公称官能価(nominal functionality)4未満を有する架橋剤を含む。イソシアネート反応性成分中で使用される場合、架橋剤は一般に、ポリウレタンフォームのコポリマーセグメントの間の相分離を可能にする。即ち、ポリウレタンフォームは典型的には硬いウレアコポリマーセグメントと、柔らかいポリオールコポリマーセグメントとの両方を含む。架橋剤は典型的には、硬いウレアコポリマーセグメントを柔らかいポリオールコポリマーセグメントに化学的および物理的に結合させる。従って、架橋剤は典型的には、硬度を変性し、安定性を高め、且つポリウレタンフォームの収縮を低減するためにイソシアネート反応性成分中に存在する。使用される場合、架橋剤は典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して0より上〜約2、より典型的には約0.1〜約1質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。
【0038】
適した架橋剤は、当該技術分野において公知の任意の架橋剤、例えばジエタノールアミンを含む。使用される場合、ジエタノールアミンは典型的には架橋剤100質量部に対して約85質量部の量で架橋剤中に存在する。本発明の目的のために適した架橋剤の特定の例は、Air Products and Chemicals, Inc(Allentown、Pennsylvania)から市販されているDabco(商標)DEOA−LFである。
【0039】
イソシアネート反応性成分は、典型的にはさらに触媒成分を含む。該触媒成分は典型的にはイソシアネート反応性成分中に存在して、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との間のポリウレタンの発泡反応を触媒する。触媒成分は典型的には、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を形成するためには消費されないことが理解されるべきである。即ち、触媒成分は典型的にはポリウレタンの発泡反応に関与はするが、しかし前記反応によって消費されない。使用される場合、触媒成分は典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して0より上〜約2、より典型的には約0.10〜約1質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。触媒成分は、当該技術分野で公知の任意の適した触媒または触媒混合物を含むことができる。適した触媒の例は、限定されずに、ゲル化触媒、例えばジプロピレングリコール中の結晶触媒、発泡触媒、例えばジプロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、およびスズ触媒、例えばスズオクトエートを含む。本発明の目的のために適した触媒成分は、Air Products and Chemicals(Allentown、Pennsylvania)から市販のDabco(商標) 33LVである。Dabco(商標) 33LVは、33%のトリエチレンジアミンおよび67%のジプロピレングリコールの溶液であり、且つ典型的にはゲル化触媒として使用される。
【0040】
特定の実施態様において、イソシアネート反応性成分はさらに、気泡開孔添加剤を含む。本発明において使用できる1つの例示的な気泡開孔添加剤は、Pluracol(登録商標)593であり、それはBASF Corporation(Florham Park、New Jersey)から市販されているポリエーテルポリオールである。
【0041】
イソシアネート反応性成分は、さらに添加剤成分を含むことができる。添加剤成分は典型的には、界面活性剤、ブロック剤、染料、顔料、希釈剤、溶剤、特化された機能性添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、殺生剤、付着性促進剤、帯電防止剤、離型剤、香料の群、および前記群の組み合わせから選択される。使用される場合、添加剤成分は典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して0より上〜約15、より典型的には約1〜約10質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。
【0042】
界面活性剤は典型的には、イソシアネート反応性成分の添加剤成分中に存在して、ポリウレタンフォームの気泡の構造を制御し、且つ成分の混和性およびポリウレタンフォームの安定性を改善する。適した界面活性剤は、当該技術分野において公知の界面活性剤、例えばシリコーンおよびノニルフェノールエトキシレートを含む。典型的には、界面活性剤はシリコーンである。より特定には、シリコーンは典型的にはポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。界面活性剤は、イソシアネート反応性成分中に存在する場合、ポリエーテルポリオールおよび/またはグラフトポリオールの反応性によって選択することができる。使用される場合、界面活性剤は典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリエーテル100質量部に対して約0.5〜約2質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。本発明において使用できる1つの例示的な界面活性剤は、Evonikから入手可能な軟質成形フォーム用シリコーン界面活性剤であるB−4113−LF4である。
【0043】
イソシアネート反応性成分の添加剤成分は、ブロック剤も含むことができる。ブロック剤は典型的にはイソシアネート反応性成分の添加剤成分中に存在して、クリーム時間を遅らせ、且つポリウレタンフォームの効果時間を増加する。適したブロック剤は、当該技術分野において公知の任意のブロック剤を含む。典型的には、ブロック剤はポリマー酸、即ち、繰り返し単位および複数の酸官能基を有するポリマーである。当業者は、典型的にはイソシアネート成分の反応性に従ってブロック剤を選択する。
【0044】
特定の実施態様において、前記イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分が、発泡剤の存在下で反応して、ポリウレタンフォームを生成する。より特定には、イソシアネート含有化合物は、ポリエーテルポリオールと、発泡剤の存在下で反応して、ポリウレタンフォームを生成し、その際、非反応性リン化合物および膨張性グラファイトも存在するが、非反応性であり、従って形成されたポリウレタンフォーム中に残留する。
【0045】
当該技術分野において公知のとおり、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との間のポリウレタン発泡反応の間、発泡剤は、ポリウレタンフォーム内で気泡の中空部を形成する発泡ガスの放出を促進する。発泡剤は物理的発泡剤、化学的発泡剤、または物理的発泡剤と化学的発泡剤との組み合わせであってよい。
【0046】
「物理的発泡剤」との用語は、発泡ガスを供給するためにイソシアネート成分および/またはイソシアネート反応性成分と化学的に反応しない発泡剤に関する。物理的発泡剤は、ガスまたは液体であってよい。液体の物理的発泡剤は、典型的には、加熱された際に蒸発してガスになり、典型的には冷却された際に液体に戻る。物理的発泡剤は典型的にはポリウレタンフォームの熱伝導性を低減する。本発明の目的のために適した物理的発泡剤は、液体のCO2、アセトン、ギ酸メチルおよびそれらの組み合わせを含むことができる。最も典型的な物理的発泡剤は、典型的にはオゾン破壊係数0である。
【0047】
「化学的発泡剤」との用語は、イソシアネート成分または他の成分と化学的に反応して、発泡のためのガスを放出する発泡剤に関する。本発明の目的のために適した化学的発泡剤の例は、ギ酸、水およびそれらの組み合わせを含む。
【0048】
発泡剤は典型的には、イソシアネート反応性成分中に存在する全ポリオール100質量部に対して約0.5〜約20質量部の量でイソシアネート反応性成分中に存在する。特定の実施態様において、化学的発泡剤と物理的発泡剤との組み合わせ、例えば水および液体CO2が使用される。
【0049】
上記のとおり、本発明、ポリウレタンフォームの製造方法も提供する。
【0050】
ポリウレタンフォームを製造するための1つの例示的な方法は、イソシアネート成分を準備する段階、イソシアネート反応性成分を準備する段階、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含む。該方法はさらに、触媒成分を準備する段階、およびイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを、触媒成分の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含むことができる。特定の実施態様においては、イソシアネート含有化合物とイソシアネート反応性成分とを反応させる前に、非反応性リン化合物をイソシアネート含有化合物と予備混合する。特定の他の実施態様においては、イソシアネート含有化合物とイソシアネート反応性成分とを反応させる前に、膨張性グラファイトをポリエーテルポリオールと予備混合する。さらに他の実施態様においては、イソシアネート含有化合物とイソシアネート反応性成分とを反応させる前に、非反応性リン化合物をイソシアネート含有化合物と予備混合し、且つ膨張性グラファイトをポリエーテルポリオールと予備混合する。
【0051】
ポリウレタンフォームを製造するための他の例示的な方法は、ポリウレタンフォームの総質量に対して3〜30質量パーセントの範囲の量で存在する膨張性グラファイトと、第一のイソシアネート反応性成分との第一の混合段階を含む。
【0052】
次に、イソシアネート含有化合物と、ポリウレタンフォームの総質量に対して1〜20質量%の範囲の量で存在する非反応性リン化合物とを含むイソシアネート成分を準備するか、そうでなければ形成する。
【0053】
次に、イソシアネート成分および第二のイソシアネート反応性成分を、高圧下、発泡剤の存在中で、好ましくはポリウレタンフォームの形成において通常使用される1対の高圧混合ノズル(即ち、ノズルヘッド)を通じて、チャンバー(即ち、フォーム産業において通常使用される混合容器)内に導入する。本願内で定義される場合、「高圧」との用語は、第二のイソシアネート反応性成分とイソシアネート成分との完全な混合を確実にするために充分に高い圧力に関する。好ましくは、「高圧」との用語は、約1800〜2200重量ポンド毎平方インチ(「psi」)(124.1bar〜151.7bar)、例えば約2000psi(137.9bar)の圧力に関する。
【0054】
この方法において使用される第一および第二のイソシアネート反応性成分は、同一または異なっていてよく、且つ、上述のとおり、段落番号0026のポリエーテルポリオールを含む任意のイソシアネート反応性成分を含むことができる。同様に、この方法において使用されるイソシアネート含有化合物および非反応性リン化合物は、上述の任意のイソシアネート含有化合物および非反応性リン化合物をそれぞれ使用できる。
【0055】
さらには、第一のイソシアネート反応性成分と膨張性グラファイトとを含む混合物を、より低圧で、好ましくは第三の混合ノズルを通じてチャンバーに導入する。本願内で定義される場合、「より低圧」との用語は、「高圧」よりも低い圧力に関するが、第一のイソシアネート反応性成分および膨張性グラファイトと、第二のイソシアネート反応性成分およびイソシアネート成分との完全な混合を促進するためには充分に高い。好ましくは、「より低圧」との用語は、約500〜700ポンドpsi(34.47〜48.26bar)、例えば約600psi(41.37bar)の圧力である。チャンバーへの導入に際して、第一および第二のイソシアネート反応性成分は、イソシアネート成分のイソシアネート含有化合物とチャンバー内で反応して、ポリウレタンフォームを形成する。
【0056】
理論に限定されることを意図するものではないが、膨張性グラファイトを含む混合物をより低圧でチャンバーに導入することはポリウレタンフォームの形成の間、膨張性グラファイトの潜在的なせん断を低減することができ、且つ、そのような低減は、引き続き形成されるポリウレタンフォームの難燃性を改善することができると考えられる(ただし、上述のいずれの方法もUL垂直燃焼等級V−0を示すポリウレタンフォームを形成する)。即ち、上記の方法のいずれかによって形成された本発明のポリウレタンフォームは、優れた難燃性を示し、且つプラスチック材料の燃焼性試験UL−94に準拠するV−0の等級についての要求を満たし、且つ1週間、150℃で熱エージングした後のUL94垂直燃焼等級V−0を保持する。
【0057】
いずれかの方法において、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分(または第一および第二のイソシアネート反応性成分)は、約90以上、より好ましくは約100以上、さらにより好ましくは約110のイソシアネート指数で反応する。「イソシアネート指数」との用語は、イソシアネート成分中のNCO基対イソシアネート反応性成分中のヒドロキシル基の割合に100をかけたものとして定義される。本発明のポリウレタンフォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを混合して、室温またはわずかに高められた温度、例えば15〜30℃で混合物を形成することによって製造できる。ポリウレタンフォームが鋳型内で製造される特定の実施態様において、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを混合して混合物を形成し、その後、前記混合物を鋳型に入れることができると理解されるべきである。例えば、該混合物を開いた鋳型に注ぐことができる、または該混合物を閉じた鋳型に注入することができる。選択的に、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分を鋳型内で混合して混合物を形成することができる。それらの実施態様においては、ポリウレタンの発泡反応が完了すると、ポリウレタンフォームは鋳型の形状を有する。ポリウレタンフォームは、例えば、低圧成形機、低圧スラブ材搬送系、複数構成機を含む高圧成形機、高圧スラブ材搬送系において、および/または手動混合によって製造できる。このようにして、本発明の方法は、上述のUL−94燃焼性基準の要件を達成する乗り物のエンジン室において使用するためのポリウレタンフォームを形成するために使用することができ、且つ、優れたノイズ、振動およびハーシュネス(NVH)特性を示し、且つ、他の支持特性、例えば柔軟性および安定性を、150℃で1週間の熱エージング後ですら示す。
【0058】
特定の実施態様において、ポリウレタンフォームは、典型的には延伸した長方形または円形の形状を有するポリウレタンフォームを形成するスラブ材搬送系内で製造されるまたは配置される。スラブ材搬送系においてポリウレタンフォームを製造することは、ポリウレタンフォームの優れた加工性に基づき特に有利である。当該技術分野において公知のとおり、スラブ材搬送系は典型的には、個々の成分、例えばイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を混合するための機械的混合ヘッド、ポリウレタンの発泡反応を含むトラフ、ポリウレタンフォームを上昇させ且つ硬化させる可動式コンベヤ、および膨張するポリウレタンフォームを可動式コンベヤ上に導くための落下板ユニットを含む。
【0059】
上記に示したとおり、本発明のポリウレタンフォームは、密度約2.0〜約15.0ポンド毎立方フィート(32〜240kg/m3)、より典型的には約3〜約12ポンド毎立方フィート(48〜180kg/m3)、および最も典型的には約4〜約10ポンド毎立方フィート(64〜160kg/m3)を有する。意外なことに、前記の密度を有するにもかかわらず、該ポリウレタンフォームは、UL94垂直燃焼等級V−0を示し、且つ、UL94垂直燃焼等級V−0を1週間の150℃での熱エージング後に保持している。適切な量の非反応性リン化合物および膨張性グラファイトをポリウレタンフォームに添加することの相乗効果は、改善された燃焼抵抗に寄与することであると考えられる。
【0060】
さらには、本発明のポリウレタンフォームは、難燃性を示すだけではなく、優れたノイズ、振動およびハーシュネス(NVH)特性および他の支持特性、例えば柔軟性、安定性も示し、且つ、過酷な熱エージング下でさえも、例えば1週間、150℃の熱エージングの後でさえもそのような特性を保持する。本発明によるポリウレタンフォームは、車両用のエンジン室物品用のフォーム補強材として使用するために特に適しているが、ポリウレタンフォームを使用でき且つ特にNVH低減および難燃性が望ましいエンジン室以外の他の用途において使用することもできる。
【0061】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、且つ本発明の範囲をどのようにも限定するとみなされるべきではない
【実施例】
【0062】
本発明によるポリウレタンフォームの試料を、以下に記載されるとおりに製造し、且つ、UL−94垂直燃焼試験を使用して可燃性を評価した。
【0063】
UL−94垂直燃焼試験
UL94垂直(UL94V)燃焼試験は、種々のプラスチックが火炎に晒された際の物理的特性および安全性を評価するために、保険会社研究所によって開発された。UV94試験の間に、評価中の材料は、2つの異なる状態において、最初は変更されていない「製造後の」状態において、次に、プラスチック試料を温度150℃に丸7日間(168時間)の間、晒すことによって達成される条件で「エージングされた」状態において試験される。以下の特定の実施態様において、それぞれ600および3000時間の追加的なエージング曝露が報告された。
【0064】
試験開始前に、プラスチック試料を燃焼チャンバー内に垂直に設置する。各々の試料は長さ127mm×幅12.7mmの寸法(約12.7mm厚(1/2インチ厚))であり、該プラスチックから形成される最終製品と同じ厚さを有する。以下の特定の実施態様において、約6.35mm(1/4インチ)の試料も評価した。試料が載置されたら、注意深く制御された火炎を試料の下に10秒間置き、その後、除去する。火炎が試料ともはや接触しなくなったら、プラスチック試料の残留火炎燃焼を観察し、且つ記録する。プラスチック試料が最終的に自己消炎する場合、制御された火炎をさらに10秒間、直ちに再度適用し、その後除去する。ここでもまた、試料の火炎燃焼(火炎の曝露の不在下)を記録する。最後に、1片の乾燥した外科用綿を燃焼試料の304.8mm(12インチ)下に置く。何らかの滴下物が前記の綿の上に落下し、それが発火を引き起こす場合、その詳細も記録する。燃焼試験のデータの全てを集めたら、それを、試験された材料を3つの特定の材料分類:94 V−0、94 V−1または94 V−2(即ちV−0、V−1またはV−2)の1つへと分類するために使用する。
94 V−0
・ 制御された接炎のいずれかまたは両方の後、試料が10秒より長く火炎燃焼を継続し得ない、
・ 5つの試料に対する合計の火炎燃焼(両方の制御された接炎を算入)が、50秒を超えられない、
・ 火炎燃焼または赤熱燃焼のいずれかによって、載置用クランプまで燃え上がることができる試料がない、
・ 試料の下方の外科用綿の発火をもたらす、燃焼する粒子を滴下させる試料がない、
・ 2回目の制御された火炎の除去後、試料が30秒より長く赤熱燃焼を示すことができない。
94 V−1
・ 制御された接炎のいずれかに続き、30秒より長く火炎燃焼を継続できる試料がない、
・ 5つの試料に対する合計の火炎燃焼(制御された火炎に、各々2回曝露)が、250秒を超えられない、
・ 火炎燃焼または赤熱燃焼が、試料を保持するクランプまで燃え上がる試料をもたらし得ない、
・ 試料は、短く燃える燃焼粒子を滴下するが、それらの粒子が下方の乾燥した外科用綿の実際の発火を引き起こし得ない、
・ 第二の制御された火炎の除去後、試料が60秒より長い赤熱燃焼を示し得ない。
94 V−2
・ 第一または第二の制御された接炎のどちらの後も、30秒より長く火炎燃焼を維持できる試料がない、
・ 5つの試料に対する合計の火炎燃焼(制御された火炎に、各々2回曝露)が、250秒を超えられない、
・ 火炎燃焼または赤熱燃焼が、試料を保持するクランプまで燃え上がる試料をもたらし得ない、
・ 試料が、短く燃える燃焼粒子を滴下させ、それらが着地する乾燥した外科用綿の発火を引き起こし得る、
・ 第二の制御された火炎の除去に際し、60秒より長い時間の間、赤熱燃焼を示し得る試料がない。
【0065】
試料の評価手順
手動混合フォームを、標準的な技術を使用して準備した。水ジャケット付きの304.8×304.8×12.7mm(12×12×0.5インチ)の長方形のブロック鋳型(48.9℃(120°F)で保持)を、離型剤(ChemTrend RCT1200B)を塗料用刷毛で塗布して処理した。イソシアネートを除く全ての成分を、直径3インチのジャーマンミックスブレード(German mixblade)を使用して45秒間、2500rpmで予備混合した。その後、イソシアネートを樹脂配合物に添加し、その後、さらに5秒間混合した。その後、フォーム混合物を鋳型に注ぎ、且つ、得られるフォームブロックを3分間で鋳型から取り出した。
【0066】
得られるポリウレタンフォームの試料をその後、成形物密度およびUL94難燃性について試験した。以下に示される各々の成分を、ポリウレタンフォーム試料を形成する成分の組成の総質量に対する質量パーセントとして測定した。
【0067】
比較例1は、約15質量パーセントの膨張性グラファイトを含み且つリン化合物を含まないフォームの試料を示す。比較例2は、膨張性グラファイトを含まないが、熱重量分析によって測定された際に200℃で累積減量2%未満を有する非反応性リン化合物を約17質量%含む、フォームの試料を示す。比較例3は、膨張性グラファイトを約10質量%、および熱重量分析によって測定された際に200℃で累積減量2%超を有する非反応性リン化合物(TEP−トリエチルホスフェート)を約7質量%有する、フォームの試料を示す。
【0068】
例4〜15はさらに、熱的に安定な非反応性ホスフェートおよび膨張性グラファイトとの、ホスフェートおよびグラファイトの様々なレベルの量を有する組み合わせを示す。例16〜18は、イソシアネート指数が低減されている、熱的に安定な非反応性ホスフェートおよび膨張性グラファイトのさらなる組み合わせを示す。例19および20は、単純なMDIブレンドを使用する、熱的に安定なホスフェートおよび膨張性グラファイトのさらなる組み合わせを示す。結果を以下の表1〜5に要約し、ここで、表1〜5に挙げられた各々の成分は質量(即ちグラム)で示されている。
【0069】
【表1】
1 樹脂配合物(ポリオール、触媒、界面活性剤、水および顔料)、BASFから入手可能
2 レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ICL Industrial Productsから入手可能
3 トリエチルホスフェート
4 膨張性グラファイト、Nyacol Nano Technologiesから市販
5 ウレトンイミド変性4,4’−MDI、BASFから入手可能。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
6 樹脂ブレンド(ポリオール、触媒、界面活性剤、水および顔料)、BASFから入手可能
7 2,4’−MDI、4,4’−MDI、およびポリマーMDIのMDIブレンド、BASFから入手可能。
【0074】
比較例1は、一般に、ウレトンイミン変性MDIを含む配合物中での膨張性グラファイトの使用が、熱エージングの前および後の両方で、UV94の等級V−0に合致しないことを示す。さらに、比較例2は一般に、ウレトンイミン変性MDIを含む配合物中での熱安定性の非反応性ホスフェート(即ち、熱重量分析によって測定された際に200℃で累積の減量が2%未満であるリン化合物)の使用も、熱エージングの前および後の両方で、UV94等級のV−0に合致しないことを示す。さらに、比較例3は一般に、ウレトンイミン変性MDIを含む配合物中での膨張性グラファイトおよび非反応性リン化合物(熱重量分析によって測定された際に200℃で累積の減量2%未満を有さない)の使用も、熱エージングの前および後の両方で、UV94の等級V−0に合致しないことを示す。
【0075】
これに対し、例4〜15は、一般に、ウレトンイミン変性MDIを含むポリウレタンフォーム配合物中の熱安定性の非反応性ホスフェートと膨張性グラファイトとの組み合わせが、熱エージングの前および後の両方で、UV94の等級V−0に合致することを示す。さらには、該ポリウレタンフォームは、例16〜18のとおり、イソシアネート指数を低減しても、UV94の等級V−0に合致する。単純なMDIブレンドおよび熱安定性の非反応性ホスフェートと膨張性グラファイトとの組み合わせを使用した他のポリウレタンフォーム配合物においても、UV94の等級V−0が達成された(例19〜20)。
【0076】
比較研究−安定性およびフォーム形成の評価
次に、試料についての安定性およびフォーム形成の評価に関して、比較研究を実施し、その際、Fyrolflex RDP(非反応性リン組成物)を、例4〜18の樹脂一式と予備混合するか(予備混合試料1)、またはイソシアネートと予備混合し(予備混合試料2)、且つ、施与前に一定時間、保管した(表6に示されるとおり、24時間)。従って、予備混合された試料1および2の配合物はそれぞれ、上記で提供された例4についての配合物と化学的に等価であった。
【0077】
試料を、24時間のエージング後のフォーム形成特性について評価し、その結果を以下の表6に要約する。
【0078】
【表6】
【0079】
該例は、非反応性リン組成物と樹脂一式との予備混合、次の24時間のエージング(予備混合された試料1)が、良好なフォームを製造せず、従って燃焼耐性について試験可能ではなかった一方で、非反応性リン組成物がイソシアネート含有化合物と予備混合され且つ24時間エージングされた相応の試料(予備混合試料2)は、成分の反応性を低減せず、且つ上記例4において提供されたものと類似の燃焼耐性を有する類似のポリウレタンフォームを生じたことを確認する。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、樹脂中に存在する水が、非反応性リン組成物からの有機ホスフェートと反応して、24時間のエージングのうちにリン酸およびアルコールを形成すると考えられる。リン酸は、フォームの形成において、第三アミン触媒をブロックし、そのことはポリウレタンフォームを製造するために必要な発泡およびゲル化反応を遅延させ、予備混合された試料1の粗悪な品質のフォームをもたらす。上記の表6において示されてはいないが、予備混合された試料2による追加的な例は、3ヶ月までの間、エージングされ、それでも、上述の予備混合された試料2および例4と類似の成形密度および難燃性を達成する良好なフォームを形成した。
【0080】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明において記載される表現、および特に化合物、組成物または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様の間で変化できると理解されるべきである。特定の特徴または様々な実施態様の側面を記載するために本願内で基づかれている任意のマーカッシュの群に関して、全ての他のマーカッシュの要素から独立して、それぞれのマーカッシュの群の各々の要素から、異なる、特別な、および/または予想されない結果を得ることができると理解されるべきである。マーカッシュの群の各々の要素に、個々に、または組み合わせて基づくことができ、且つ、前記各々の要素は、添付の特許請求の範囲内での特定の実施態様のための充分なサポートを提供する。
【0081】
本開示の様々な実施態様の記載において独立して且つ一括して用いられる全ての範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲に入り、且つ、その全ておよび/または部分的な値を含む全ての範囲を記載および意図すると(たとえそのような値が本願内に明らかに記載されていなくても)理解されるべきである。当業者は、挙げられた範囲および部分範囲が、当該開示の様々な実施態様を充分に記載し且つ可能にし、且つ、かかる範囲および部分範囲を、関連する半分、1/3、1/4、1/5などへとさらに詳述できることをすぐに理解する。単なる1つの例として、「0.1〜0.9の」範囲とは、小さい方の1/3、即ち、0.1〜0.3、中央の1/3、即ち、0.4〜0.6、および大きい方の1/3、即ち、0.7〜0.9へとさらに詳述でき、それらは個々に且つ一括して、添付の特許請求の範囲内であり、且つ、個々におよび/または一括してそれらに基づくことができ、且つそれらは添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様のための適切なサポートを提供する。さらに、範囲を定義または変更する用語、例えば、「少なくとも」、「〜よりも大きい」、「未満」、「以下」、およびその種のものに関して、かかる用語が部分範囲および/または上限または下限を含むことが理解されるべきである。他の例として、「少なくとも10」の範囲は、固有に、少なくとも10〜35の部分範囲、少なくとも10〜25の部分範囲、25〜35の部分範囲などを含み、且つ、各々の部分範囲に、個々に且つ/または一括して基づくことができ、且つ、前記部分範囲は添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様のための適切なサポートを提供する。最終的に、開示される範囲内の個々の数値は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様に基づくことができ、且つ、添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様のための充分なサポートを提供する。例えば、「1〜9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに小数点(または分数)を含む個々の数字、例えば4.1を含み、それらに基づくことができ、且つそれらは添付の特許請求の範囲内の特定の実施態様のための適切なサポートを提供する。
【0082】
本開示は例示的に記載されており、且つ使用される用語は限定というよりはむしろ説明の類の単語を意図していると理解されるべきである。上記の教示に鑑みて当該開示の多くの修正および変更が明らかに可能である。従って、添付の特許請求の範囲内で、特段記載されない限り、本開示を実施できることが理解されるべきである。