特許第6390037号(P6390037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6390037電極組立体及びそれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390037
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】電極組立体及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20180910BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20180910BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20180910BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20180910BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20180910BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20180910BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20180910BHJP
   H01M 4/42 20060101ALI20180910BHJP
   H01M 4/46 20060101ALI20180910BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20180910BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01M2/16 L
   H01M2/16 M
   H01M2/16 P
   H01M10/04 Z
   H01M10/0583
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M4/58
   H01M4/38 Z
   H01M4/42
   H01M4/46
   H01M10/0566
   H01M10/052
【請求項の数】30
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-526334(P2016-526334)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-535401(P2016-535401A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】KR2014010388
(87)【国際公開番号】WO2015065118
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0131681
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0149996
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジュン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】オウ、ソン−テク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ス−リム
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヒョク−ムー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジ−ヘ
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−191485(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0251869(US,A1)
【文献】 特表2003−523061(JP,A)
【文献】 特開2013−084598(JP,A)
【文献】 特開2013−054966(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/077162(WO,A1)
【文献】 特表2010−525542(JP,A)
【文献】 特表2011−505663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0011715(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102064300(CN,A)
【文献】 国際公開第2013/070031(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/089313(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0280583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
H01M 4/485− 4/60
H01M 10/02 −10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソードを含む1つ以上の第1電極体;
アノードを含む1つ以上の第2電極体;及び
交互に積層された前記第1電極体と前記第2電極体との間を分離させ、複数の折畳部を含むセパレータシート;を備え、
前記セパレータシートは、第1多孔性高分子基材;前記第1多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーからなり、前記カソードと対面接触する第1多孔性コーティング層;及び前記第1多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面接触し、且つ、前記第1多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層;を備え、
前記セパレータシートは、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を有し、
前記第1多孔性コーティング層は前記アノードと対面接触せず、
前記第2多孔性コーティング層は前記カソードと対面接触しておらず
前記高分子バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン‐トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり、
前記第1多孔性コーティング層の厚さと、前記第2多孔性コーティング層との厚さとが異なり、
前記第2多孔性コーティング層の気孔度は、前記第1多孔性コーティング層の気孔度より大きい、
電極組立体。
【請求項2】
前記セパレータシートは、
(i)ジグザグ状に折り畳まれ、交互に積層された前記第1電極体と前記第2電極体との間を分離する前記複数の折畳部と、
(ii)前記複数の折畳部に隣接する領域であって、交互に積層された前記第1電極体と前記第2電極体との間を分離しない領域が、前記1つ以上の第1電極体、前記1つ以上の第2電極体及び前記複数の折畳部の周りに、少なくとも1周にわたって巻き取られた巻取部と、
を含む、
請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は、1:9〜4:6である、
請求項1または2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は、6:4〜9:1である、
請求項1または2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1多孔性コーティング層は、無機物粒子をさらに含む、
請求項1〜のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上の無機物粒子である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記無機物粒子は、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上の無機物粒子と、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子との混合物である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記誘電率定数が5以上の無機物粒子は、BaTiO、Pb(ZrTi1−x)O(PZT、0<x<1)、Pb1−xLaZr1−yTi(PLZT、0<x<1、0<y<1)、(1−x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−xPbTiO(PMN‐PT、0<x<1)、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、SiC、TiO、SiO、AlOOH及びAl(OH)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である、
請求項またはに記載の電極組立体。
【請求項10】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、リチウムホスフェート(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、(LiAlTiP)系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、リチウムナイトライド(Li、0<x<4、0<y<2)、SiS系列ガラス(LiSi、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、P系列ガラス(Li、0<x<3、0<y<3、0<z<7)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である、
請求項またはに記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第1多孔性高分子基材は、ポリオレフィン系多孔性膜または不織布である、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第1多孔性高分子基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物で形成された、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記第1多孔性高分子基材は、1つの層で形成されるか、または、2以上の層が積層されて形成される、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項14】
前記カソードは、リチウム含有遷移金属酸化物を含むカソード活物質を備える、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項15】
前記リチウム含有遷移金属酸化物は、LiCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、LiMnO(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2−zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiCoPO(0.5<x<1.3)及びLiFePO(0.5<x<1.3)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物である、
請求項14に記載の電極組立体。
【請求項16】
前記アノードは、リチウム金属、炭素材、金属化合物またはこれらの混合物を含むアノード活物質を備える、
請求項1〜15のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項17】
前記金属化合物は、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr及びBaからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上を含む化合物である、
請求項16に記載の電極組立体。
【請求項18】
前記第1電極体は、単層のカソードでなる、
請求項1〜17のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項19】
前記第2電極体は、単層のアノードでなる、
請求項1〜18のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項20】
前記1つ以上の第1電極体のうち、一の第1電極体は、
1つ以上のカソード、
1つ以上のアノード及び
交互に積層された前記1つ以上のカソードと前記1つ以上のアノードとの間を分離させるセパレータ、
を含む、
請求項1〜19のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項21】
前記一の第1電極体の前記セパレータは、
第2多孔性高分子基材;
前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記一の第1電極体の前記1つ以上のカソードの1つと対面接触する第3多孔性コーティング層;及び
前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記一の第1電極体の前記1つ以上のアノードの1つと対面接触し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層;
を備える、
請求項20に記載の電極組立体。
【請求項22】
前記第3多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との厚さの比は、1:9〜4:6である、
請求項21に記載の電極組立体。
【請求項23】
前記第3多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との厚さの比は、6:4〜9:1である、
請求項21に記載の電極組立体。
【請求項24】
前記第1多孔性コーティング層と前記第3多孔性コーティング層との組成、厚さ及び気孔度が同一であり、
前記第2多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との組成、厚さ及び気孔度が同一である、
請求項2123のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項25】
前記1つ以上の第2電極体のうち、一の第2電極体は、
1つ以上のアノード、
1つ以上のカソード及び
交互に積層された前記1つ以上のアノードと前記1つ以上のカソードとの間を分離させるセパレータ、
を含む、
請求項1〜24のいずれか1項に記載の電極組立体。
【請求項26】
前記一の第2電極体の前記セパレータは、
第2多孔性高分子基材;
前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記一の第2電極体の1つ以上のカソードの1つと対面接触する第3多孔性コーティング層;及び
前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記一の第2電極体の1つ以上の前記1つ以上のアノードの1つと対面接触し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層;
を備える、
請求項25に記載の電極組立体。
【請求項27】
カソード、第1セパレータ、アノード、第2セパレータ及びカソードが順次積層された複数の第1バイセル;
アノード、第2セパレータ、カソード、第1セパレータ及びアノードが順次積層された複数の第2バイセル;及び
交互に積層された前記複数の第1バイセルと前記複数の第2バイセルとの間を分離させ、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含むセパレータシート;
を備え、
前記セパレータシートは、
第1多孔性高分子基材;
前記第1多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーからなり前記複数の第1バイセルに含まれる前記カソードと対面接触する第1多孔性コーティング層;及び
前記第1多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記複数の第2バイセルに含まれる前記アノードと対面接触し、且つ、前記第1多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層;
を備え、
前記第1セパレータ及び前記第2セパレータは、相互独立して、
第2多孔性高分子基材;
前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、当該セパレータが含まれるバイセルの前記カソードと対面接触する第3多孔性コーティング層;及び
前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、当該セパレータが含まれるバイセルの前記アノードと対面接触し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層;
を備え、
前記第1多孔性コーティング層は、前記複数の第2バイセルに含まれる前記アノードと対面接触せず、
前記第2多孔性コーティング層は、前記複数の第1バイセルに含まれる前記カソードと対面接触しておらず
前記高分子バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン‐トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり、
前記第1多孔性コーティング層の厚さと、前記第2多孔性コーティング層との厚さとが異なり、
前記第2多孔性コーティング層の気孔度は、前記第1多孔性コーティング層の気孔度より大きい、
電極組立体。
【請求項28】
前記セパレータシートは、
(i)ジグザグ状に折り畳まれ、交互に積層された前記複数の第1バイセルと前記複数の第2バイセルとの間を分離する前記複数の折畳部と、
(ii)前記複数の折畳部に隣接する領域であって、交互に積層された前記複数の第1バイセルと前記複数の第2バイセルとの間を分離しない領域が、前記複数の第1バイセル、前記複数の第2バイセル及び前記複数の折畳部の周りに、少なくとも1周にわたって巻き取られた巻取部と、
を含む、
請求項27に記載の電極組立体。
【請求項29】
前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は、6:4〜9:1である、
請求項27または28に記載の電極組立体。
【請求項30】
電極組立体;
前記電極組立体を含浸させる非水電解液;及び
前記電極組立体と前記非水電解液を収容する電池ケース;
を含むリチウム二次電池であって、
前記電極組立体は、請求項1〜請求項29のうちいずれか1項に記載の電極組立体である、
リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体及びそれを含むリチウム二次電池に関し、より詳しくは、カソードとアノードとに選択的に接触するようにそれぞれ形成された多孔性コーティング層を含むセパレータシートを備える電極組立体及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2013年10月31日出願の韓国特許出願第10−2013−0131681号及び2014年10月31日出願の韓国特許出願第10−2014−0149996号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が高まりつつある。携帯電話、カムコーダー、及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、電気化学素子の研究と開発に対する努力が次第に具体化されている。電気化学素子はこのような面で最も注目される分野であり、その中でも、充放電可能な二次電池の開発に関心が寄せられている。このような電池の開発において、容量密度及び比エネルギーを向上させるために、新たな電極と電池の設計に対する研究開発が行われている。
【0004】
1990年代の初めに開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を用いるニッケル‐水素、ニッケル‐カドミウム、硫酸‐鉛電池などの従来型電池に比べて作動電圧が高くエネルギー密度が格段に高いという長所から、現在使用されている二次電池のうち最も脚光を浴びている。しかし、このようなリチウム二次電池は、有機電解液を用いることによる発火及び爆発などの安全問題を抱えており、またその製造に手間がかかるという短所がある。
【0005】
一方、リチウム二次電池は多くのメーカで生産されているが、その安全性特性はそれぞれ異なる様相を呈する。このようなリチウム二次電池の安全性を評価し確保することは非常に重要であり、安全性を確保するため、多数の気孔を有する多孔性基材の少なくとも一面に、無機物粒子と高分子バインダーとの混合物をコーティングして多孔性コーティング層を形成したセパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、近年、カソード及びアノードと接するセパレータの接触面がカソード及びアノードにそれぞれ適するように、セパレータの最外郭の多孔性コーティング層の組成または厚さを非対称的に適用したセパレータ製造技術が適用されている(例えば、特許文献2、3参照)
【0006】
なお、リチウム二次電池は、カソード/セパレータ/アノード構造の電極組立体が成している構造によっても分類され得る。代表的には、長いシート状のカソードとアノードとがセパレータを介した状態で巻き取られた構造のゼリーロール(巻取)型電極組立体、所定単位のカソードとアノードとがセパレータを介した状態で積層されたバイセル(Bi‐cell)またはフルセル(Full cell)の単位セルを、長尺の連続的なセパレータシートを用いて折り畳んだ構造の積層−折畳(stack‐folding)型電極組立体などに区分される。
【0007】
しかし、従来の積層−折畳型電極組立体の製造方式では、多孔性コーティング層の組成または厚さを非対称的に適用したセパレータを使用しても、その構造上、セパレータとカソード及びアノードとの完全な選択的接触が不可能である。
【0008】
一方、ゼリーロール電極組立体の構造では、多孔性コーティング層の組成または厚さを非対称的に適用したセパレータを使用すれば、カソード及びアノードと選択的に接触させることができる。しかし、長いシート状のカソードとアノードを密集した状態で巻き取って製造し、その断面が円筒型または楕円型になるため、充放電時の電極の膨張及び収縮によって引き起こされる応力が電極組立体の内部に蓄積され、蓄積された応力が一定限界を超えれば電極組立体に変形が生じるようになる。このような電極組立体の変形は、電極間の間隔を不均一にして電池の性能を急激に低下させ、内部短絡を引き起こして電池の安全性を脅かすという問題をもたらす。また、長いシート状のカソードとアノードとをその間隔を一定に維持しながら素早く巻き取ることは容易ではないため、生産性が低下するという問題も有している。
特許文献1 韓国登録特許10−0966024号公報
特許文献2 韓国公開特許10−2005−0066652号公報
特許文献3 韓国登録特許10−1288650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、組成、厚さまたは気孔度が相異なる多孔性コーティング層がそれぞれの一面に形成されたセパレータを適用し、カソードとアノードとにそれぞれ適した多孔性コーティング層を選択的に完全に接触させることで、セルの退化を防止し安全性を向上させた電極組立体及びそれを含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によれば、カソードを含む1つ以上の第1電極体;アノードを含む1つ以上の第2電極体;及び交互に積層された前記第1電極体と前記第2電極体との間を分離させ、複数の折畳部を含むセパレータシート;を備え、前記セパレータシートは、第1多孔性高分子基材;前記第1多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第1多孔性コーティング層;及び前記第1多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第1多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層;を備える電極組立体が提供される。
【0011】
このとき、前記セパレータシートは、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含み、前記電極組立体は、ジグザグ−折畳型であり得る。
【0012】
また、前記第1多孔性コーティング層の気孔度は20〜50%であり、前記第2多孔性コーティング層の気孔度は30〜60%であり得る。
【0013】
また、前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は1:9〜4:6であり得、前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は6:4〜9:1であり得る。
【0014】
また、前記第1多孔性コーティング層の気孔度は20〜50%であり、前記第2多孔性コーティング層の気孔度は30〜60%であり、前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は1:9〜9:1であり得る。
【0015】
また、前記第1多孔性コーティング層は、無機物粒子をさらに含み得る。
【0016】
一方、前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上の無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、または、これらの混合物であり得る。
【0017】
ここで、前記誘電率定数が5以上の無機物粒子は、BaTiO、Pb(Zr、Ti1−x)O(PZT、0<x<1)、Pb1−xLaZr1−yTi(PLZT、0<x<1、0<y<1)、(1−x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O−xPbTiO(PMN‐PT、0<x<1)、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、SiC、TiO、SiO、AlOOH及びAl(OH)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0018】
また、前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、リチウムホスフェート(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、(LiAlTiP)系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、リチウムナイトライド(Li、0<x<4、0<y<2)、SiS系列ガラス(LiSi、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、P系列ガラス(Li、0<x<3、0<y<3、0<z<7)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0019】
また、前記高分子バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン(PVdF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン‐トリクロロエチレン(PVdF‐co‐TCE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene‐co‐vinylacetate)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile‐styrene‐butadiene copolymer)及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0020】
一方、前記第1多孔性高分子基材は、ポリオレフィン系多孔性膜または不織布であり得る。
【0021】
また、前記第1多孔性高分子基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物で形成され得る。
【0022】
また、前記第1多孔性高分子基材は、1つの層で形成されるか、または、2以上の層が積層されて形成され得る。
【0023】
一方、前記カソードは、リチウム含有酸化物を含むカソード活物質を備えることができる。
【0024】
ここで、前記リチウム含有酸化物は、リチウム含有遷移金属酸化物であり得、このとき、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、LiCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、LiMnO(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2−zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiCoPO(0.5<x<1.3)及びLiFePO(0.5<x<1.3)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0025】
また、前記アノードは、リチウム金属、炭素材、金属化合物またはこれらの混合物を含むアノード活物質を備えることができる。
【0026】
ここで、前記金属化合物は、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr及びBaからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0027】
一方、前記第1電極体は単層のカソードでなり得、前記第2電極体は単層のアノードでなり得る。
【0028】
また、前記第1電極体は、1つ以上のカソード、1つ以上のアノード及び交互に積層された前記カソードと前記アノードとの間を分離させるセパレータを含むことができる。
【0029】
このとき、前記セパレータは、第2多孔性高分子基材;前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第3多孔性コーティング層;及び前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層を備えることができる。
【0030】
ここで、前記第3多孔性コーティング層の気孔度は20〜50%であり、前記第4多孔性コーティング層の気孔度は30〜60%であり得る。
【0031】
また、前記第3多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との厚さの比は1:9〜4:6であり得、前記第3多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との厚さの比は6:4〜9:1であり得る。
【0032】
また、前記第3多孔性コーティング層の気孔度は20〜50%であり、前記第4多孔性コーティング層の気孔度は30〜60%であり、前記第3多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との厚さの比は1:9〜9:1であり得る。
【0033】
一方、前記第1多孔性コーティング層と前記第3多孔性コーティング層との組成、厚さ及び気孔度が同一であり得、前記第2多孔性コーティング層と前記第4多孔性コーティング層との組成、厚さ及び気孔度が同一であり得る。
【0034】
一方、前記第2電極体は、1つ以上のアノード、1つ以上のカソード及び交互に積層された前記アノードと前記カソードとの間を分離させるセパレータを含むことができる。
【0035】
このとき、前記セパレータは、第2多孔性高分子基材;前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第3多孔性コーティング層;及び前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層を備えることができる。
【0036】
一方、本発明の他の態様によれば、カソード、第1セパレータ、アノード、第2セパレータ及びカソードが順次積層された複数の第1バイセル;アノード、第2セパレータ、カソード、第1セパレータ及びアノードが順次積層された複数の第2バイセル;及び交互に積層された前記第1バイセルと前記第2バイセルとの間を分離させ、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含むセパレータシート;を備え、前記セパレータシートは、第1多孔性高分子基材;前記第1多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第1多孔性コーティング層;及び前記第1多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第1多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層を備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータは、相互独立して、第2多孔性高分子基材;前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第3多孔性コーティング層;及び前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層を備えるジグザグ−折畳型電極組立体が提供される。
【0037】
また、本発明のさらに他の態様によれば、電極組立体;前記電極組立体を含浸させる非水電解液;及び前記電極組立体と前記非水電解液を収容する電池ケース;を含むリチウム二次電池であって、前記電極組立体は、上述した本発明の電極組立体であることを特徴とするリチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一実施例によれば、組成、厚さまたは気孔度が相異なる多孔性コーティング層がそれぞれの一面に形成されたセパレータを適用することで、カソードとアノードとにそれぞれ適した多孔性コーティング層が不一致(mismatch)なく完全に対応される。
【0039】
それにより、アノードと対面する多孔性コーティング層ではアノードから発生する副産物が多孔性基材の気孔を塞いで電池の退化が加速化する現象を防止し、カソードと対面する多孔性コーティング層ではその機械的強度を向上させて電池の安全性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0041】
図1】A型バイセル(第1バイセル)を示した断面図である。
図2】C型バイセル(第2バイセル)を示した断面図である。
図3】従来の積層−折畳型電極組立体の断面を模式的に示した断面図である。
図4】本発明のジグザグ−折畳型電極組立体の断面を模式的に示した断面図である。
図5】本発明の一実施例及び比較例で製造したポリマーパウチ型電池の容量維持率を比べたグラフである。
図6】本発明の一実施例及び比較例で製造したポリマーパウチ型電池に釘を貫通させたときの電池の温度変化を比べたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0043】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0044】
本発明の一態様によれば、カソードを含む1つ以上の第1電極体;アノードを含む1つ以上の第2電極体;及び交互に積層された前記第1電極体と前記第2電極体との間を分離させ、複数の折畳部を含むセパレータシート;を備え、前記セパレータシートは、第1多孔性高分子基材;前記第1多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第1多孔性コーティング層;及び前記第1多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第1多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層を備える電極組立体が提供される。
【0045】
このように、カソードとアノードそれぞれに適した相異なる多孔性コーティング層が選択的に対面することで、カソードと対面する第1多孔性コーティング層ではその機械的強度を向上させて電池の安全性を改善でき、アノードと対面する第2多孔性コーティング層ではアノードで発生する副産物が多孔性基材の気孔を塞いで電池の退化が加速化する現象を防止することができる。
【0046】
このとき、前記セパレータシートはジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含み、前記電極組立体はジグザグ−折畳型であり得る。
【0047】
ここで、前記第1多孔性コーティング層の気孔度は20〜50%であり得、前記第2多孔性コーティング層の気孔度は30〜60%であり得る。このように、アノードと対面する前記第2多孔性コーティング層の気孔度を大きくすることで、アノードの副産物がセパレータの気孔を塞いでセル退化が加速化する現象を遅らせることができる。
【0048】
また、前記第1多孔性コーティング層と前記第2多孔性コーティング層との厚さの比は、1:9〜4:6、6:4〜9:1であり得、より望ましくは2:8であり得る。このような厚さの比、すなわちコーティング量を非対称的にすることで、上述したようにアノードの副産物がセパレータの気孔を塞いでセル退化が加速化する現象を遅らせることができる。
【0049】
さらに、前記多孔性コーティング層の気孔度と厚さの比を同時に満たすようにすることで、上述した効果をより効率的に奏することもできる。
【0050】
一方、前記第1多孔性コーティング層は、上述したように高分子バインダーのみで構成することもできるが、第2多孔性コーティング層のように高分子バインダーと無機物粒子との混合物で構成することもできる。
【0051】
また、前記第1及び第2多孔性コーティング層内の無機物粒子は、多孔性コーティング層の物理的形態を維持させる一種のスペーサの役割をすることで、リチウム二次電池の過熱時に多孔性高分子基材が熱収縮することを抑制し、多孔性高分子基材が損傷される場合にもカソードとアノードとが直接接触することを防止することで、リチウム二次電池の安全性向上に寄与する。
【0052】
このとき、本発明で使用できる無機物粒子は電気化学的に安定さえすれば特に制限されない。すなわち、本発明で使用できる無機物粒子は、適用されるリチウム二次電池の作動電圧範囲(例えば、Li/Li基準で0〜5V)で酸化及び/または還元反応が起きないものであれば特に制限されない。特に、無機物粒子として誘電率の高い無機物粒子を使用する場合、液体電解質内の電解質塩、例えばリチウム塩の解離度増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0053】
上述した理由から、前記無機物粒子は誘電率定数が5以上、または10以上の高誘電率無機物粒子を含むことができる。誘電率定数が5以上の無機物粒子の非制限的な例としては、BaTiO、Pb(ZrTi1−x)O(PZT、0<x<1)、Pb1−xLaZr1−yTi(PLZT、0<x<1、0<y<1)、(1−x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−xPbTiO(PMN‐PT、0<x<1)、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、SiC、TiO、SiO、AlOOH及びAl(OH)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0054】
また、無機物粒子としては、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、すなわちリチウム元素を含むものの、リチウムを貯蔵せずリチウムイオンを移動させる機能を有する無機物粒子を使用することができる。リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の非制限的な例としては、リチウムホスフェート(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、14LiO‐9Al‐38TiO‐39Pなどのような(LiAlTiP)系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、Li3.25Ge0.250.75などのようなリチウムゲルマニウムチオホスフェート(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、LiNなどのようなリチウムナイトライド(Li、0<x<4、0<y<2)、LiPO‐LiS‐SiSなどのようなSiS系列ガラス(LiSi、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、LiI‐LiS‐PなどのようなP系列ガラス(Li、0<x<3、0<y<3、0<z<7)またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0055】
また、前記無機物粒子の大きさには制限がないが、セパレータ及びセパレータシートの適切な孔隙率のために、平均粒径が0.001μm〜100μmであり得る。
【0056】
一方、前記高分子バインダーは、相互独立して、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン(PVdF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン‐トリクロロエチレン(PVdF‐co‐TCE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド(PEO)、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体及びポリイミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0057】
このとき、カソード及びアノードとそれぞれ対面する第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層を構成する高分子バインダーの種類を、カソード及びアノードそれぞれに使用されるバインダーとの親和性が高い物質を使用することで、カソード及びアノードとセパレータとの間の接着力を向上させることができる。
【0058】
一方、本発明の第1多孔性高分子基材は、当該分野で通常使用される多孔性高分子基材であればいずれも使用でき、例えばポリオレフィン系多孔性膜(membrane)または不織布を使用できるが、これらに特に限定されることはない。
【0059】
前記ポリオレフィン系多孔性膜の例としては、高密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した膜が挙げられる。
【0060】
前記不織布としては、ポリオレフィン系不織布の外に、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレートなどをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した不織布が挙げられる。不織布の構造は、長繊維で構成されたスパンボンド(spunbond)不織布またはメルトブローン(melt−blown)不織布であり得る。
【0061】
前記多孔性高分子基材の厚さは特に制限されないが、5〜50μmであり得、多孔性高分子基材に存在する気孔の大きさ及び気孔度も特に制限されないが、それぞれ0.01〜50μm及び10〜95%であり得る。また、このとき、前記多孔性高分子基材は、1つの層で形成されるか、または、2以上の層が積層されて形成され得る。
【0062】
一方、前記カソードは、カソード活物質、導電材及びバインダーを含むカソード層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0063】
前記カソード活物質としては、リチウム含有酸化物を含むことができ、リチウム含有遷移金属酸化物を望ましく使用できる。例えば、LiCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、LiMnO(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2−zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiCoPO(0.5<x<1.3)及びLiFePO(0.5<x<1.3)からなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができ、前記リチウム含有遷移金属酸化物をアルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングすることもできる。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物の外に硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)及びハロゲン化物(halide)なども使用することができる。
【0064】
前記導電材としては、リチウム二次電池で化学変化を起こさない電子伝導性物質であれば特に制限されない。一般に、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末、導電性金属酸化物、有機導電材などを使用でき、現在導電材として市販されている商品にはアセチレンブラック系列(Chevron Chemical CompanyまたはGulf Oil Companyの製品など)、ケッチェンブラックEC系列(Armak Company製品)、Vulcan XC−72(Cabot Company製品)及びスーパーP(MMM社製品)などがある。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。
【0065】
前記アノードは、アノード活物質及びバインダーを含むアノード層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0066】
前記アノード活物質としては、通常リチウムイオンを吸蔵及び放出できるリチウム金属、炭素材、金属化合物またはこれらの混合物を使用することができる。
【0067】
具体的に、前記炭素材としては、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などを全て使用することができる。低結晶性炭素としては軟質炭素(soft carbon)及び硬質炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソカーボンマイクロビーズ(meso−carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油または石炭系コークスなどの高温焼成炭素が代表的である。
【0068】
前記金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Baなどの金属元素を1種以上含む化合物が挙げられる。これら金属化合物は、単体、合金、酸化物(TiO、SnOなど)、チッ化物、硫化物、ホウ化物、リチウムとの合金など、如何なる形態も使用できるが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金は高容量化に適する。中でも、Si、Ge及びSnから選択される1種以上の元素を含み得、Si及びSnから選択される1種以上の元素を含めば、電池をさらに高容量化することができる。
【0069】
前記カソード及びアノードに使用されるバインダーは、カソード活物質及びアノード活物質を集電体に保持させ、また活物質同士の間を結び付く機能を果たし、通常使用されるバインダーを制限なく使用することができる。
【0070】
例えば、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシルメチルセルロースなどの多様な種類のバインダーが使用できる。
【0071】
前記カソード及び前記アノードに使用される集電体は、伝導性が高く、前記活物質のスラリーが容易に接着できる金属であって、電池の電圧範囲で反応性のないものであれば、何れも使用することができる。具体的に、カソード用集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられ、アノード用集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金、またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられる。また、前記集電体は、上記のような物質でなる基材を積層して使用することもできる。
【0072】
前記カソード及びアノードは、活物質、導電材、バインダー、高沸点溶剤を用いて混練して電極合剤にした後、該合剤を集電体の銅箔などに塗布し乾燥、加圧成形してから、真空下、50℃〜250℃程度の温度で2時間ほど加熱処理することでそれぞれ製造することができる。
【0073】
また、前記カソードの電極層の厚さ(集電体の片面当り)は、30〜120μm、または50〜100μmであり得、前記アノードの電極層の厚さは1〜100μm、または3〜70μmであり得る。前記カソード及び前記アノードがこのような厚さ範囲を満たす場合、電極材料層における活物質の量が十分確保され、電池容量が低下することを防止でき、また、サイクル特性やレート特性を改善することができる。
【0074】
一方、前記第1電極体は単層のカソードでなり得、前記第2電極体は単層のアノードでなり得る。
【0075】
さらに、前記第1電極体は、1つ以上のカソード、1つ以上のアノード、及び交互に積層された前記カソードと前記アノードとの間を分離させるセパレータを含み得、前記第2電極体は、1つ以上のアノード、1つ以上のカソード、及び交互に積層された前記アノードと前記カソードとの間を分離させるセパレータを含み得る。
【0076】
このとき、前記セパレータは、第2多孔性高分子基材、前記第2多孔性高分子基材の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソードと対面する第3多孔性コーティング層、及び前記第2多孔性高分子基材の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノードと対面し、且つ、前記第3多孔性コーティング層と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層を備えることができる。
【0077】
それにより、前記第1電極体及び第2電極体内に存在するカソードとアノードそれぞれに適した相異なる多孔性コーティング層が選択的に対面するようになることで、カソードと対面する第3多孔性コーティング層ではその機械的強度を向上させて電池の安全性を改善させ、アノードと対面する第4多孔性コーティング層ではアノードで発生する副産物が多孔性基材の気孔を塞いで電池の退化が加速化する現象を防止することができる。
【0078】
このとき、前記第3多孔性コーティング層は前記第1多孔性コーティング層と気孔度、組成または厚さが同一であり得、前記第4多孔性コーティング層は前記第2多孔性コーティング層と気孔度、組成または厚さが同一であり得る。
【0079】
さらに、前記第2多孔性高分子基材としては、上述した第1多孔性高分子基材と同じものを使用することができる。
【0080】
一方、図1はA型バイセル(第1バイセル)を示した断面図であり、図2はC型バイセル(第2バイセル)を示した断面図であり、図3は従来の積層−折畳型電極組立体の断面を模式的に示した断面図であり、図4は本発明のジグザグ−折畳型電極組立体の断面を模式的に示した断面図である。
【0081】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施例によるジグザグ−折畳型電極組立体の特徴を従来の積層−折畳型電極組立体と比べて説明する。
【0082】
まず、図1は、A型バイセル(本発明の第1バイセル10に対応)を示している。下から順に、カソード1、第1セパレータ4、アノード2、第2セパレータ5及びカソード1が積層されて形成されるが、前記第1セパレータ4は第3多孔性コーティング層1'、第2多孔性高分子基材3及び第4多孔性コーティング層2'が積層されて形成され、前記第2セパレータ5は第4多孔性コーティング層2'、第2多孔性高分子基材3及び第3多孔性コーティング層1'が積層されて形成される。
【0083】
また、図2は、C型バイセル(本発明の第2バイセル20に対応)を示している。下から順に、アノード2、第2セパレータ5、カソード1、第1セパレータ4及びアノード2が積層されて形成されるが、前記第2セパレータ5は第4多孔性コーティング層2'、第2多孔性高分子基材3及び第3多孔性コーティング層1'が積層されて形成され、前記第1セパレータ4は第3多孔性コーティング層1'、第2多孔性高分子基材3及び第4多孔性コーティング層2'が積層されて形成される。
【0084】
上述したように、前記バイセル10、20は、カソード1とアノード2それぞれに適した多孔性コーティング層が選択的に接触されて形成される。
【0085】
このようなバイセル10、20、及び両面に第1多孔性コーティング層10'と第2多孔性コーティング層20'がそれぞれ形成された長いシート状のセパレータシート40を用いて、図3のような従来方式の積層−折畳型電極組立体を構成すれば、電極と多孔性コーティング層との間に不一致(mismatch)が生じる。すなわち、一例でアノードが最外郭の両方に存在するC型バイセル(第2バイセル20)は、第2多孔性コーティング層と対面すべきであるが、第1多孔性コーティング層と対面する場合が生じ得る。図3に○で示した4つの部分(A)は前記第2バイセル20における不一致部分である。
【0086】
従来の積層−折畳型電極組立体に存在するバイセルの個数毎の不一致の発生比率を下記表1及び表2に示した。表1はn+1が4の倍数である場合(nはバイセルの総個数)であり、表2はn−1が4の倍数である場合(nはバイセルの総個数)である。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表1及び表2を参照すれば、従来の積層−折畳方式に従えば、セパレータシート40に対面するが、第1多孔性コーティング層10'と接触するようになり、不一致が発生するアノードが生じる。
【0090】
一方、本発明の一態様によれば、カソード1、第1セパレータ4、アノード2、第2セパレータ5及びカソード1が順次積層された複数の第1バイセル10;アノード2、第2セパレータ5、カソード1、第1セパレータ4及びアノード2が順次積層された複数の第2バイセル20;及び交互に積層された前記第1バイセル10と前記第2バイセル20との間を分離させ、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含むセパレータシート40;を備え、前記セパレータシート40は、第1多孔性高分子基材30;前記第1多孔性高分子基材30の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソード1と対面する第1多孔性コーティング層10';及び前記第1多孔性高分子基材30の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノード2と対面し、且つ、前記第1多孔性コーティング層10'と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第2多孔性コーティング層20';を具備し、前記第1セパレータ4及び前記第2セパレータ5は、相互独立して、第2多孔性高分子基材3;前記第2多孔性高分子基材3の一面に形成され、高分子バインダーを含み、前記カソード1と対面する第3多孔性コーティング層1';及び前記第2多孔性高分子基材3の他面に形成され、高分子バインダーと無機物粒子との混合物を含み、前記アノード2と対面し、且つ、前記第3多孔性コーティング層1'と組成、厚さまたは気孔度が相異なる第4多孔性コーティング層2';を備えるジグザグ−折畳型電極組立体100が提供される。
【0091】
下記表3には、本発明の一実施例によるジグザグ−折畳型電極組立体に存在するバイセルの個数毎の不一致の発生比率が示されている。
【0092】
【表3】
【0093】
本発明のように、ジグザグ状に折り畳まれた複数の折畳部を含むセパレータシート40を用いて、ジグザグ−折畳型電極組立体100を製造すれば、電極と多孔性コーティング層との間に不一致が生じなくなる。
【0094】
それにより、アノードと対面する多孔性コーティング層ではアノードで発生する副産物が多孔性基材の気孔を塞いで電池の退化が加速化する現象を防止し、カソードと対面する多孔性コーティング層ではその機械的強度を向上させて電池の安全性を改善させることができる。
【0095】
一方、本発明の他の態様によれば、電極組立体;前記電極組立体を含浸させる非水電解液;及び前記電極組立体と前記非水電解液を収容する電池ケース;を含むリチウム二次電池であって、前記電極組立体は、上述した本発明の電極組立体であることを特徴とするリチウム二次電池が提供される。
【0096】
ここで、前記非水電解液は、電解質塩及び有機溶媒を含むことができ、前記電解質塩はリチウム塩である。前記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用することができる。例えば、前記リチウム塩の陰イオンは、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN及び(CFCFSOからなる群より選択されたいずれか1つであり得る。
【0097】
上述した非水電解液に含まれる有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用でき、例えばエーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0098】
その中、代表的には、環状カーボネート、線状カーボネート、またはこれらの混合物であるカーボネート化合物を含むことができる。
【0099】
前記環状カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びこれらのハロゲン化物からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。これらのハロゲン化物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などがあるが、これに限定されることはない。
【0100】
また、前記線状カーボネート化合物の具体的な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などが代表的であるが、これらに限定されることはない。
【0101】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高いため、電解質内のリチウム塩を一層解離させ易く、このような環状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な比率で混合して使用すれば、より高い電気伝導率を有する電解液が得られる。
【0102】
また、前記有機溶媒のうちエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル及びエチルプロピルエーテルからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0103】
また、前記有機溶媒のうちエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、σ‐バレロラクトン及びε‐カプロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0104】
前記非水電解液の注入は、最終製品の製造工程及び求められる物性に応じて、リチウム二次電池の製造工程のうち適切な段階において行えばよい。すなわち、リチウム二次電池組立ての前または電気化学素子組立ての最終段階などにおいて注入すればよい。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0106】
1.実施例
(1)カソードの製造
N‐メチルピロリドン(NMP)の溶媒に、Li(Li0.2Mn0.55Ni0.15Co0.1)Oのカソード活物質:デンカブラック導電材:PVdFバインダーを90:5:5の重量%で投入してスラリーを製造した後、前記スラリーをカソード集電体である20μm厚のアルミニウム(Al)ホイル上にコーティングし、圧延及び乾燥してカソードを製造した。
【0107】
(2)アノードの製造
脱イオン化水(DI water)の溶媒に、アノード活物質として天然黒鉛96重量%、バインダーとしてPVdF3重量%、導電材としてデンカブラック1重量%を添加してスラリーを製造した。これをアノード集電体である10μm厚の銅(Cu)ホイル上にコーティングし、圧延及び真空乾燥してアノードを製造した。
【0108】
(3)セパレータ及びセパレータシートの製造
Al80重量%とPVdFバインダー20重量%とを混合して、アセトン溶媒に分散させた第1多孔性コーティング層用スラリー、及びAl60重量%とPVdFバインダー40重量%とを混合して、アセトン溶媒に分散させた第2多孔性コーティング層用スラリーをそれぞれ製造した。次いで、それぞれのスラリーを、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)の3層からなる多孔性基材の両面にそれぞれコーティングした。すなわち、前記多孔性基材の一面には第1多孔性コーティング層用スラリーをコーティングして第1多孔性コーティング層を形成し、他面には第2多孔性コーティング層用スラリーをコーティングして第2多孔性コーティング層を形成した。このとき、前記第1多孔性コーティング層と第2多孔性コーティング層との厚さの比が1:9になるように形成し、気孔度はそれぞれ40%及び60%に調節した。
【0109】
(4)非水電解液の製造
エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):ジエチルカーボネート(DEC)=30:20:50重量%、リチウムヘキサフルオロフォスフェート(LiPF)1モルになるように非水電解液を製造した。
【0110】
(5)リチウム二次電池の組立て
前記カソード、前記アノード、前記セパレータとセパレータシートを用いて、1C放電容量が40Ah、バイセルの個数が総23個であるポリマーパウチ型電池を組み立てた。このとき、図4のようにジグザグ−折畳方式を使用し、多孔性コーティング層が厚い方のセパレータの面がアノードに接触するように組み立てた後、前記非水電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0111】
(6)リチウム二次電池の活性化工程
前記電池を3.8Vまで充電し、電池ケースの一部面を切断して、−95kPaの真空圧力で2秒間ガス抜きを実施した後、電池ケースを密封した。次いで、4.5VまでCC/CV(定電流/定電圧)の条件で0.1Cで充電し、2.5VまでCCの条件で0.1Cで放電した後、密封した電池ケースの一部分を切断して、−95kPaの真空圧力で2秒間ガス抜きを実施し、切断面を熱と圧力で密封して最終的なリチウム二次電池を製造した。
【0112】
2.比較例1
リチウム二次電池の組立てを、図3のように積層−折畳方式で行うことを除いて、実施例と同様の方法でリチウム二次電池の製造及び活性化工程を行った。このとき、12面でセパレータシートとバイセル最外郭のアノードとの間の不一致が確認された。
【0113】
3.比較例2
(1)カソード、アノード及び非水電解液は実施例と同様の方法で製造した。
【0114】
(2)セパレータ及びセパレータシートの製造
Al70重量%とPVdFバインダー30重量%とを混合して、アセトン溶媒に分散させた多孔性コーティング層用スラリーを製造した。次いで、前記スラリーをポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)の3層からなる多孔性基材の両面にコーティングした。このとき、前記多孔性基材の両面にそれぞれコーティングされた多孔性コーティング層の厚さの比が5:5と対称になるように形成し、気孔度はそれぞれ50%に調節した。すなわち、セパレータの両面にコーティングされた無機物の総量と、多孔性コーティング層の平均気孔度は実施例と同じ条件になるように製造した。
【0115】
(3)リチウム二次電池の組立て及び活性化工程
前記カソード、前記アノード、前記セパレータとセパレータシートを用いて、1C放電容量が40Ah、バイセルの個数が総23個であるポリマーパウチ型電池を組み立てた。このとき、図3のように積層−折畳方式を使用し、前記非水電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0116】
その後、実施例と同様の方法で活性化工程を実施した。
【0117】
4.電池の寿命評価
前記活性化工程が実施された実施例、比較例1及び2のポリマーパウチ型電池を45℃で、1C充電(4.35V CC/CV、cut−off 0.05C)、1C放電(2.5V CC cut−off)条件で充/放電を繰り返し、サイクルによる容量維持率をそれぞれ測定した。
【0118】
図5は、実施例、比較例1及び2のポリマーパウチ型電池の容量維持率を示したグラフである。
【0119】
図5を参照すれば、実施例の場合、比較例1及び2より優れた寿命特性を示していることが確認できる。
【0120】
5.電池の安全性評価
前記活性化工程が施された実施例、比較例1及び2のポリマーパウチ型電池を1C、4.35V、CC/CV(cut−off 0.05C)条件で充電した後、ベークライト(bakelite)板の間に固定し、55℃のチャンバに3時間露出させた。その後、尖った釘(直径3mm、尖った部分の長さ6mm、ステンレススチール素材)を用いて80mm/secの速度で電池を完全に貫通させた後、電池の温度を測定した。
【0121】
図6は、実施例、比較例1及び2で製造したポリマーパウチ型電池に釘を貫通させたときの電池の温度変化を比べたグラフである。
【0122】
図6を参照すれば、実施例及び比較例1の電池では発火が起きなかったが、比較例2の電池は貫通して約10分後に発火した。そして、実施例の場合、貫通後の電池の温度が比較例1より低いことから、実施例で製造した電池が比較例1及び2より安全性に一層優れることが確認できる。
【0123】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施例は本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されねばならず、同等範囲内のすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1:カソード
1':第3多孔性コーティング層
2:アノード
2':第4多孔性コーティング層
3:第2多孔性高分子基材
4:第1セパレータ
5:第2セパレータ
10:第1バイセル
10':第1多孔性コーティング層
20:第2バイセル
20':第2多孔性コーティング層
30:第1多孔性高分子基材
40:セパレータシート
100:ジグザグ−折畳型電極組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6