(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、デジタルカメラ(以下、「カメラ10」という)は、ズームレンズなどの複数のレンズからなるレンズ部11(
図1では1つのレンズのみ図示)と、レンズ部11を通過した光をレンズ部11の像空間側において結像させて撮像する撮像素子12とを備えている。なお、撮像素子12は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型、又は、CCD(Charge Coupled Device)型のカラーイメージセンサからなる。
【0019】
撮像素子12の出力側には、画像処理エンジン13がA/D変換回路14を介して接続されている。そして、撮像素子12からアナログ信号として出力される画素信号は、A/D変換回路14においてデジタル信号に変換された後に画像処理エンジン13に入力される。
【0020】
画像処理エンジン13は、カメラ10の各種の動作を統括的に制御するMPU15(Micro Processing Unit)を備えている。そして、MPU15は、撮像素子12から入力された画素信号に対し、色補間処理、階調補正、ホワイトバランス処理及び輪郭補償等の画像処理を施すことにより所定の画像を生成する。
【0021】
画像処理エンジン13には、データバス16を介して不揮発性メモリ17、バッファメモリ18、インターフェース部(以下、「I/F部19」)という)及びモニタ20が接続されている。
【0022】
不揮発性メモリ17は、画像処理エンジン13を動作させるためにMPU15が実行するプログラムを格納している。なお、本実施形態では、不揮発性メモリ17は、
図2にフローチャートで示す補正処理の一例である補間合成処理用の画像処理プログラムなどを格納している。そして、MPU15は、不揮発性メモリ17に格納された補間合成処理用の画像処理プログラムを実行することにより、被写体検出部22、対象画像設定部23、位置取得部24、対象被写体設定部25、消去対象設定部26、補間合成処理部27として機能する。
【0023】
バッファメモリ18は、例えば、撮影画像、画像処理過程の画像、画像処理後の画像及び画像圧縮後の画像などを一時的に格納している。
I/F部19は、メモリカード28が着脱自在に装着されるカードスロット(図示略)を有している。そして、I/F部19は、画像処理エンジン13によって生成された画像をI/F部19に装着されたメモリカード28に出力したり、メモリカード28に記憶されている画像を画像処理エンジン13に出力したりする機能を有している。
【0024】
モニタ20には、バッファメモリ18に一時的に格納されている画像や、I/F部19に装着されたメモリカード28に格納されている画像が画像処理エンジン13によって出力されて表示される。
【0025】
また、画像処理エンジン13には、レリーズボタン29及び操作部30が接続されている。レリーズボタン29は、半押し操作がなされた際と全押し操作がなされた際に操作信号を画像処理エンジン13に入力する。操作部30は、メニューボタン、セレクトボタン、決定ボタン、及び電源ボタン等により構成されており、押圧操作がなされた際に操作信号を画像処理エンジン13に入力する。
【0026】
次に、本実施形態の画像処理エンジン13のMPU15が実行する補間合成処理ルーチンの概要を
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
さて、MPU15は、カメラ10が電源ON状態である場合において、画像編集処理のモード状態が補間合成処理モードに設定されると、
図2に示す補間合成処理ルーチンを開始する。この場合、補間合成処理モードの設定は、操作部30を構成するメニューボタンの押圧操作によって行ってもよいし、レリーズボタン29の半押し操作によって行ってもよい。また、補間合成処理モードの設定は、モニタ20にスルー画が表示されている状態で行ってもよいし、MPU15が撮像素子12から出力された画素信号に基づいて生成した動画をバッファメモリ18に格納して撮影している最中に行ってもよい。
【0027】
そして、補間合成処理ルーチンが開始すると、まず、ステップS11において、MPU15は、レリーズボタン29の半押し操作がなされたか否かを判定する。そして、MPU15は、レリーズボタン29の半押し操作がなされていない(ステップS11=NO)と判定した場合、レリーズボタン29の半押し操作がなされるまでステップS11の処理を周期的に繰り返す。
【0028】
一方、MPU15は、レリーズボタン29の半押し操作がなされた(ステップS11=YES)と判定した場合、次のステップS12において、補間合成処理に用いられる画像情報を含む処理情報画像としての動画の撮影を開始する。すなわち、レリーズボタン29は、補間合成処理のための動画を取得する際に操作される操作部材の一例となる。この場合、補間合成処理のために撮影される動画の解像度は、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の解像度の最大値(例えば「1920×1080ピクセル」)に設定される。また、動画の撮影時に補間合成処理モードの設定がなされた場合では、その時点まで撮影されていた動画の解像度を例えば「1280×720ピクセル」とした場合、補間合成処理のために撮影される動画の解像度は、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の解像度の最大値(例えば「1920×1080ピクセル」)まで上昇する。なお、補間合成処理のために撮影される動画の解像度は、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の解像度の最大値よりも大きい値(例えば静止画の解像度の最大値の一例である「3696×2448ピクセル」)に設定されてもよい。
【0029】
また、補間合成処理のために撮影される動画の間引き率を、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の間引き率の最大値(例えば「1/3」)に設定してもよい。ここで、間引き率とは、撮像素子12の全ての画素のうち、間引き読み出し処理によって画素信号が読み出される画素の比率を示している。また、動画の撮影時に補間合成処理モードの設定がなされた場合では、その時点まで撮影されていた動画の間引き率を例えば「1/5」とした場合、補間合成処理のために撮影される動画の間引き率は、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の間引き率の最大値(例えば「1/3」)まで上昇する。なお、補間合成処理のために撮影される動画の間引き率は、通常の動画撮影モードにおいてカメラ10が設定可能とする動画の間引き率の最大値よりも大きい値(例えば「間引きなし」)に設定されてもよい。
【0030】
また、補間合成処理のための動画を撮影する場合、MPU15が撮像素子12から出力された画素信号に基づいて生成する時系列的に連続した複数のフレーム画像のうち、動画を構成するフレーム画像として残すフレーム画像の枚数の比率を、通常の動画撮影モードにおいて動画を撮影する場合よりも大きく設定してもよい。
【0031】
そして次に、ステップS13において、MPU15は、レリーズボタン29の全押し操作がなされたか否かを判定する。そして、MPU15は、レリーズボタン29の全押し操作がなされていない(ステップS13=NO)と判定した場合、レリーズボタン29の全押し操作がなされるまでステップS13の処理を周期的に繰り返す。一方、MPU15は、レリーズボタン29の全押し操作がなされた(ステップS13=YES)と判定した場合、その処理をステップS14に移行する。
【0032】
そして、ステップS14において、MPU15の対象画像設定部23は、対象画像設定ステップとして、その時点でMPU15が撮像素子12から出力された画素信号に基づいて生成している静止画を補間合成処理の対象となる対象画像として設定する。そして、MPU15の対象画像設定部23は、対象画像として設定された静止画をバッファメモリ18に格納する。
【0033】
具体的には、例えば
図3(a)に示すように、MPU15の対象画像設定部23は、レリーズボタン29の全押し操作がなされた時点でモニタ20に被写体としてライオン40と檻41が表示されていた画像を静止画として生成し、生成した静止画を対象画像としてバッファメモリ18に格納する。
【0034】
そして次に、ステップS15において、MPU15の被写体検出部22は、被写体ステップとして、対象画像として設定された静止画に含まれる被写体を検出する。この被写体の検出は、例えばラベリング技術やパターン認識技術を用いて行われる。ここで、ラベリング技術とは、対象画像から検出した画素データの輝度と被写体に対応する基準閾値とを比較して対象画像における画素データを2値化し、被写体を示す領域と背景を示す領域とを分離することにより、対象画像中から被写体を検出する技術である。こうしたラベリング技術の一種である顔検出技術では、例えば被写体が人物である場合には、検出した画素データの輝度と肌色領域に対応する基準閾値とを比較することにより、肌色領域が人物の顔の領域として検出される。また、パターン認識技術とは、対象画像中から検出した画像データと不揮発性メモリ17に予め格納されている被写体(例えば、人物の顔やペット等の動物や建物等)の画像パターンとを比較して画像中から被写体を検出する技術である。なお、被写体が人物である場合には、既知の輪郭抽出処理によって顔を含む被写体の輪郭が抽出される。そして、MPU15の被写体検出部22は、対象画像から検出した被写体の画像を、例えばExif(Exchangeable Image File Format)形式でバッファメモリ18に格納する。
【0035】
続いて、ステップS16において、MPU15の位置取得部24は、位置取得ステップとして、対象画像から抽出された被写体とカメラ10との距離情報を取得する。この距離情報の測定方式としては、例えば、位相差検出方式、コントラスト方式、及びTOF(Time Of Flight)方式等を採用することができる。ここで、位相差検出方式とは、被写体からの光のうちレンズ部11の端部付近を通過する光を分離し、この分離された光が撮像素子12に代えて配置されたAF用のラインセンサ上に形成する二つの像の位相差に基づいて被写体とカメラ10との距離を測定する方式である。また、コントラスト方式とは、レンズ部11を光軸方向に移動させつつ各被写体のコントラスト値を求め、各被写体においてコントラスト値が最も高くなったときのレンズ部11の光軸方向における位置に基づいて、被写体とカメラとの距離を測定する方式である。また、TOF方式とは、カメラ10に搭載された投光素子から被写体に向けて照射光を照射するとともに被写体から反射された反射光を撮像素子12によって検出し、照射光と反射光との光の位相差に基づいて、被写体とカメラとの距離を測定する方式である。
【0036】
そして、MPU15の位置取得部24は、取得した距離情報に基づいて対象画像の奥行き方向における被写体の位置関係を認識する。すなわち、取得した距離情報が小さい被写体が対象画像の奥行き方向の手前側となり、取得した距離情報が大きい被写体が対象画像の奥行き方向の奥側となるように順位付けを行う。そして、MPU15の位置取得部24は、この順位付けのデータを、対象画像から検出された被写体の画像の付加情報としてバッファメモリ18に格納する。
【0037】
図3(a)に示す例では、対象画像に被写体として含まれているライオン40よりも手前側に被写体として檻41が存在するため、檻41の距離情報がライオン40の距離情報よりも小さくなる。そして、距離情報が相対的に小さい被写体である檻41が対象画像の奥行き方向の手前側となり、取得される距離情報が相対的に大きい被写体であるライオン40が対象画像の奥行き方向の奥側となるように順位付けがなされる。
【0038】
そして次に、ステップS17において、MPU15の対象被写体設定部25は、対象画像から検出された被写体の中から補間合成処理の対象となる被写体が選択されたか否かを判定する。ここで、被写体の選択の有無は、例えば、操作部30を構成するセレクトボタンや決定ボタンの押圧操作を通じて被写体の選択及び決定がなされたか否かに基づいて判定される。なお、被写体の選択の有無は、モニタ20がタッチパネルである場合には、モニタ20のタッチ操作を通じて被写体の選択及び決定がなされたか否かに基づいて判定されてもよい。そして、MPU15の対象被写体設定部25は、被写体の選択がなされていない(ステップS17=NO)と判定した場合、被写体の選択がなされるまでステップS17の処理を周期的に繰り返す。一方、MPU15の対象被写体設定部25は、被写体の選択がなされた(ステップS17=YES)と判定した場合、その処理をステップS18に移行する。
【0039】
そして、ステップS18において、MPU15の対象被写体設定部25は、基準被写体設定ステップとして、先のステップS17において選択された被写体を対象被写体として設定する。なお、本実施形態では、対象被写体は、対象画像の奥行き方向における被写体同士の位置関係の基準となる基準被写体でもある。
【0040】
続いて、ステップS19において、MPU15の消去対象設定部26は、対象被写体の前方に他の被写体が重なっているか否かを判定する。この判定は、例えば以下のようにして行われる。すなわち、MPU15の消去対象設定部26は、まず、バッファメモリ18に格納されている被写体の画像を、被写体の画像の付加情報として格納されている順位付けのデータと併せて読み出す。そして、MPU15の消去対象設定部26は、読み出したデータに基づいて、対象画像の奥行き方向における対象被写体に対する他の被写体の位置関係を認識する。続いて、MPU15の消去対象設定部26は、読み出した被写体の画像から対象被写体及び他の被写体の輪郭形状を認識する。そして次に、MPU15の消去対象設定部26は、対象被写体よりも対象画像の手前側にあると認識された被写体のうち、対象被写体の輪郭形状の内側にその輪郭形状の少なくとも一部が配置される被写体を対象被写体の前方に重なっている他の被写体として認識する。
【0041】
なお、
図3(a)に示す例では、対象画像に被写体として含まれるライオン40及び檻41のうち、ライオン40が対象被写体として設定されている場合、檻41はライオン40の前方に重なっている他の被写体として認識される。
【0042】
そして、MPU15の消去対象設定部26は、先のステップS19において対象被写体の前方に他の被写体が重なっている(ステップS19=YES)と判定された場合、その判定された他の被写体の画像の付加情報として「1」をとるフラグ情報を書き込んでバッファメモリ18に格納し、その処理をステップ20に移行する。
【0043】
そして、ステップS20において、MPU15の消去対象設定部26は、消去対象設定ステップとして、先のステップS18においてフラグ情報として「1」を書き込んだ被写体を対象画像から消去する対象となる消去被写体として設定する。なお、
図3(a)に示す例では、檻41が消去被写体として設定される。
【0044】
なお、MPU15の消去対象設定部26は、先のステップS19において対象被写体の前方に他の被写体が重なっていない(ステップS19=NO)と判定された場合、その判定された他の被写体の画像の付加情報として「0」をとるフラグ情報を書き込んでバッファメモリ18に格納する。そして、MPU15の消去対象設定部26は、フラグ情報として「1」を書き込んだ被写体は存在せず、対象画像から消去する対象となる消去被写体がないと判断する。そのため、MPU15は、その時点でバッファメモリ18に格納されている補間合成処理が行われていない対象画像を不揮発性メモリ17に格納し、補間合成処理ルーチンを終了する。
【0045】
そして次に、ステップS21において、MPU15の補間合成処理部27は、先のステップS19において消去被写体として設定された被写体の画素データを対象画像から消去する。そして、MPU15の補間合成処理部27は、消去被写体が消去された対象画像をテンプレート画像としてバッファメモリ18に格納する。
【0046】
具体的には、例えば
図3(b)に示すように、対象画像に被写体として含まれていた檻の画素部分の画素データが欠損し、対象被写体としてのライオン40の画素部分の一部に空白部分42が形成された画像がテンプレート画像としてバッファメモリ18に格納される。
【0047】
続いて、MPU15の補間合成処理部27は、補正処理ステップとして、テンプレート画像のうち消去被写体が消去された欠損部分の画素データを取得する。ここで、テンプレート画像における欠損部分の画素データの取得は、
図3(b)に示す例のように、対象被写体が移動体(ライオン40)であるとともに前方の被写体が静止体(檻41)である場合には、撮影周期ごとに撮像素子12により繰り返し撮影される画像の中から対象被写体と一致または類似する画像領域を検索することによって対象被写体の位置を随時検出する。この場合、対象被写体が前方の被写体に対して相対移動するため、対象被写体の輪郭形状のうち、前方の被写体によって隠れていた画素部分が撮像素子12によって撮像されるようになる。そのため、対象被写体の輪郭形状のうち、前方の被写体によって隠れていた画素部分の画素データは、MPU15が撮像素子12から出力された画像信号に基づいて生成している補間合成処理のための動画に含まれることとなる。そのため、MPU15の補間合成処理部27は、この補間合成処理のための動画から対象被写体のうち前方の被写体によって隠れていた欠損部分の画素データを取得する。なお、テンプレート画像における画素データの取得は、対象被写体及び前方の被写体の双方が移動体である場合にも同様にして行うことができる。また、対象被写体及び前方の被写体の双方が静止体である場合には、例えば撮像者自身が動いたり、又は、カメラ10を動かしたりすることによって、テンプレート画像における画素データの取得を行うことができる。そして、MPU15の補間合成処理部27は、取得した画素データをテンプレート画像における欠損部分の画素データとして含むテンプレート画像に更新した状態でバッファメモリ18に格納する。
【0048】
そして次に、ステップS22において、MPU15の補間合成処理部27は、テンプレート画像のうち消去被写体が消去された欠損部分の全ての画素データが取得されたか否かを判定する。そして、MPU15は、欠損部分の全ての画素データが取得されていない(ステップS22=NO))と判定した場合、欠損部分の全ての画素データが取得されるまで補間合成処理のための動画の撮影を継続させる。
【0049】
一方、MPU15の補間合成処理部27は、欠損部分の全ての画素データが取得された(ステップS22=YES)と判定した場合、その処理をステップS23に移行し、補間合成処理のための動画の撮影を終了する。
【0050】
そして、ステップ24において、MPU15の補間合成処理部27は、この時点でバッファメモリ18に格納されているテンプレート画像、即ち、欠損部分の全ての画素データが取得されたテンプレート画像を合成画像として不揮発性メモリ17に格納する。
【0051】
具体的には、例えば
図3(c)に示すように、対象画像において画素データが欠損していた檻41の画素部分が対象被写体としてのライオン40の画素部分に置き換わった画像が合成画像として不揮発性メモリ17に格納される。
【0052】
次に、上記のように構成されたカメラ10の作用について、特に、MPU15が画像に対して補間合成処理を行う際の作用に着目して以下説明する。
さて、本実施形態では、補間合成処理の際には、MPU15が対象画像に含まれる被写体の中から対象被写体の前方に重なっている被写体を検出し、検出した被写体を対象画像から消去する。そして、MPU15は、対象画像において被写体が消去された画素部分を対象被写体の画素部分に置き換えた画像を合成画像として生成する。すなわち、MPU15は、対象被写体の手前側に存在していた被写体が無い状態を仮定した場合に、その際に想定される構図の静止画を合成画像として生成する。
【0053】
この場合、MPU15は、対象画像に含まれる被写体の距離情報を取得し、取得した距離情報に基づいて対象画像の奥行き方向における被写体の位置関係を認識する。そして、MPU15は、認識した被写体の位置関係に基づいて、対象画像に含まれる被写体の中から対象被写体の前方に重なっている被写体を検出する。そのため、MPU15は、対象被写体の前方に重なっている被写体が静止体であるか移動体であるかに関わらず、その被写体を検出して対象画像から消去することが可能となっている。
【0054】
また、本実施形態では、MPU15は、撮像者が補間合成処理のために動画を撮影しようと意思決定してレリーズボタン29を半押し操作した時点で、レリーズボタン29から画像処理エンジン13に入力される操作信号をトリガーとして動画の撮影が開始される。そのため、画像編集処理のモード状態が補間合成処理モードに設定されると同時に動画の撮影が開始される場合と比較して、動画が撮影される時間が短縮される。したがって、動画を記憶するバッファメモリ18のメモリ残量を十分に確保しつつ補間合成処理を行うことが可能となる。
【0055】
上記第1の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)対象画像の奥行き方向における特定の被写体に対する他の被写体の相対位置に基づいて、対象画像から消去する対象となる消去被写体が設定される。そして、対象画像から消去された消去被写体に対応する部分の画像情報が補間合成処理によって補われる。そのため、対象画像の奥行き方向における被写体同士の位置関係を考慮した多様な画像編集処理を行うことができる。
【0056】
(2)補間合成処理の対象となる対象被写体を基準とした他の被写体の相対位置に基づいて、対象画像から消去する対象となる消去被写体が設定される。そのため、補間合成処理の対象となる対象被写体を基準とした対象画像の奥行き方向における被写体同士の位置関係を考慮した多様な画像編集処理を行うことができる。
【0057】
(3)対象画像の奥行き方向において対象被写体よりも手前側に位置する被写体が消去されることにより、対象画像における対象被写体を強調した画像編集処理を行うことができる。
【0058】
(4)対象画像の奥行き方向において対象被写体に重なって配置された消去被写体を消去するとともに、対象画像において消去された消去被写体によって遮られていた部分の画像情報が補間合成処理によって補われる。そのため、対象画像において対象被写体を遮っていた消去被写体を消去することにより、対象被写体を鮮明に表示させて強調した画像編集処理を行うことができる。
【0059】
(5)補間合成処理の際に必要とされる画像情報を動画から取得することにより、対象画像から消去された消去被写体に対応する部分を補う補間合成処理を行うことができる。
(6)撮像者が補間合成処理のための動画を取得する意思決定をした時点から動画の撮影が開始される。そのため、画像編集処理のモード状態が補間合成処理モードに設定されると同時に動画の撮影が開始される場合と比較して、動画が撮影される時間が短縮される。したがって、動画を記憶するバッファメモリ18のメモリ残量を十分に確保しつつ補間合成処理を行うことができる。
【0060】
(7)動画の撮影時に補間合成処理モードの設定がなされた場合では、対象画像として静止画が設定された時点で、その時点まで撮影されていた動画よりも解像度の高い動画が撮影される。そのため、動画の解像度は、対象画像として設定された静止画の解像度に近づく。したがって、動画に含まれる画像情報を用いて対象画像として設定された静止画の補間合成処理を行うことにより、対象画像から消去された消去被写体に対応する部分を鮮明に補うことができる。
【0061】
(8)動画の撮影時に補間合成処理モードの設定がなされた場合では、対象画像として静止画が設定された時点で、その時点まで撮影されていた動画よりも間引き率の高い動画が撮影される。そのため、動画の解像度は、対象画像として設定された静止画の解像度に近づく。したがって、動画に含まれる画像情報を用いて対象画像として設定された静止画の補間合成処理を行うことにより、対象画像から消去された消去被写体に対応する部分を鮮明に補うことができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、対象画像から対象被写体が自動的に設定される点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明し、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0063】
図4に示すように、本実施形態のMPU15が実行する補間合成処理ルーチンにおいて、ステップS31〜ステップS36の各処理は第1の実施形態における
図2のステップS11〜S16の各処理と同様である。
【0064】
そして、ステップS37において、MPU15の対象被写体設定部25は、対象画像の撮影モードが設定されているか否かを判定する。具体的には、MPU15の対象被写体設定部25は、バッファメモリ18に格納されている対象画像の付加情報として対象画像の撮影モードに関する情報が含まれているか否かを判定する。なお、対象画像の撮影モードとしては、例えば、MPU15が撮像素子12から出力された画素信号に基づいて対象画像として静止画を生成した際に、その時点でカメラ10において静止画の撮影モードとして設定されていた撮影モードが設定される。そして、MPU15の対象被写体設定部25は、対象画像の撮影モードが設定されている(ステップS37=YES)と判定した場合、その処理をステップS38に移行する。
【0065】
続いて、ステップS38において、MPU15の対象被写体設定部25は、対象画像から検出された被写体の中に、対象画像に設定されている撮影モードに対応付けられた被写体があるか否かを判定する。この判定は、一例として以下のようにして行われる。すなわち、まず、カメラ10における静止画の撮影モードの種類と、パターン認識技術によって認識可能とされる被写体の種類とを対応付けたデータベースを不揮発性メモリ17に予め格納しておく。次に、対象画像に対してパターン認識技術を適用することにより、対象画像に含まれる被写体の種類を認識する。そして、認識された被写体の種類の中に、上記のデータベースにおいて対象画像の撮影モードの種類と対応付けられた種類と一致する被写体があるか否かを判定する。
【0066】
そして、MPU15の対象被写体設定部25は、撮影モードに対応付けられた被写体がある(ステップS38=YES)と判定した場合、その処理をステップS39に移行し、上記のステップS38において判定した被写体を対象被写体として設定する。この場合、例えば、対象画像の撮影モードとして「ポートレートモード」が設定されている場合には、対象画像に含まれる被写体のうち、パターン認識技術の一種である顔認識技術により認識された顔領域を含む被写体が撮影モードに対応付けられた被写体であると判定され、その判定された被写体が対象被写体として設定される。
【0067】
一方、MPU15の対象被写体設定部25は、撮影モードに対応付けられた被写体がない(ステップS38=NO)と判定した場合、その処理をステップS40に移行する。なお、MPU15の対象被写体設定部25は、上記のステップS37において対象画像の撮影モードが設定されていない(ステップS37=NO)と判定した場合にも、その処理をステップS40に移行する。
【0068】
そして、ステップS40及び該ステップS40に続くステップS41において、MPU15の対象被写体設定部25は、第1の実施形態における
図2のステップS17及びステップS18の処理と同様にして、対象画像から検出された被写体の中から補間合成処理の対象となる対象被写体を選択して設定する。
【0069】
そして以降、MPU15は、ステップS42〜ステップS47において、第1の実施形態における
図2のステップS19〜ステップS24の各処理と同様の処理を経て、対象画像に対して補間合成処理を行う。
【0070】
上記第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(8)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(9)対象画像に含まれる被写体のうち対象画像の撮影モードに対応付けられた被写体を対象被写体として自動的に設定することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、対象画像における複数の対象被写体を基準として補間合成処理が行われる点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明し、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0072】
図5に示すように、本実施形態のMPU15が実行する補間合成処理ルーチンにおいて、ステップS51〜ステップS57の各処理は第1の実施形態における
図2のステップS11〜ステップS17の各処理と同様である。
【0073】
なお、本実施形態では、例えば
図6(a)に示すように、MPU15の対象画像設定部23は、二匹のライオン40A,40Bと、各々のライオン40A,40Bに対応する檻41A,41Bとが被写体として含まれる静止画を対象画像として設定している。この場合、ライオン40A,40Bは、対象画像の奥行き方向において互いに異なる位置に配置されている。また同様に、檻41A,41Bは、対象画像の奥行き方向において互いに異なる位置に配置されている。
【0074】
そして、ステップS58において、MPU15の対象被写体設定部25は、先のステップS57において選択された被写体が複数であるか否かを判定する。続いて、MPU15の対象被写体設定部25は、選択された被写体が複数である(ステップS58=YES)と判定した場合、その処理をステップS59に移行する。そして、ステップS59において、MPU15の対象被写体設定部25は、選択された複数の被写体を対象被写体として設定する。
【0075】
そして次に、ステップS60において、MPU15の消去対象設定部26は、選択された複数の対象被写体のうち、対象画像に含まれる他の被写体が前方に重なっている対象被写体があるか否かを判定する。この判定は、第1の実施形態における
図2のステップS19と同様にして行われる。そして、MPU15の消去対象設定部26は、他の被写体が前方に重なっている対象被写体がある(ステップS60=YES)と判定した場合には、その処理をステップS61に移行する。
【0076】
続いて、ステップS61において、MPU15の消去対象設定部26は、他の被写体が前方に重なっている対象被写体が複数であるか否かを判定する。この判定では、対象画像の奥行き方向において互いに異なる位置に配置された複数の被写体が対象被写体として設定されている場合には、MPU15の消去対象設定部26は、まず、対象画像の奥行き方向においてこれらの対象被写体が配置された複数の位置を基準として他の被写体の位置関係を認識する。そして次に、MPU15の消去対象設定部26は、各々の対象被写体の前方にある他の被写体の中で、各々の対象被写体に重なっている他の被写体があるか否かを認識する。その後、MPU15の消去対象設定部26は、重なっている他の被写体があると認識した対象被写体の数を判定する。そして、MPU15の消去対象設定部26は、他の被写体が前方に重なっている対象被写体が複数である(ステップS61=YES)と判定した場合には、各々の対象被写体の前方に重なっている他の被写体の画像の付加情報として「1」をとるフラグ情報を書き込んでバッファメモリ18に格納し、その処理をステップ62に移行する。
【0077】
なお、
図6(a)に示す例では、対象画像の奥行き方向において互いに異なる位置に配置された二匹のライオン40A,40Bが対象被写体として設定されている。この場合、ライオン40Aの前方にある被写体としては檻41Aが認識される。そして、この認識された檻41Aはライオン40Aに重なっているため、ライオン40Aは檻41Aが前方に重なっている対象被写体として判断される。また、ライオン40Bの前方にある被写体としては、檻41A、ライオン40A、檻41Bが認識される。そして、これらの認識された被写体のうち、対象被写体であるライオン40A以外の被写体である檻41A及び檻41Bは他の被写体として認識される。また、この認識された檻41A及び檻41Bはライオン40Bに重なっているため、ライオン40Bは檻41A及び檻41Bが前方に重なっている対象被写体として判断される。
【0078】
そして次に、ステップS62において、MPU15の消去対象設定部26は、先のステップS61においてフラグ情報として「1」を書き込んだ被写体を対象画像から消去する対象となる消去被写体として設定する。なお、
図6(a)に示す例では、ライオン40A,40Bの前方に重なっている檻41A,41Bが消去被写体として設定される。
【0079】
一方、先のステップS61において、MPU15の消去対象設定部26は、他の被写体が前方に重なっている対象被写体が複数ではない(ステップS61=NO)と判定した場合には、他の被写体が前方に重なっている対象被写体の数は一つであると判断する。そして、MPU15の消去対象設定部26は、対象被写体の前方に重なっている他の被写体の画像の付加情報として「1」をとるフラグ情報を書き込んでバッファメモリ18に格納し、その処理をステップ63に移行する。
【0080】
そして、ステップS63において、MPU15の消去対象設定部26は、先のステップS61においてフラグ情報として「1」を書き込んだ被写体を対象画像から消去する対象となる消去被写体として設定する。
【0081】
なお、MPU15の消去対象設定部26は、先のステップS60において他の被写体が前方に重なっている対象被写体がない(ステップS60=NO)と判定された場合、対象画像に対象被写体以外の被写体として含まれる他の被写体の画像の付加情報として「0」をとるフラグ情報を書き込んでバッファメモリ18に格納する。そして、MPU15の消去対象設定部26は、対象画像から検出された被写体のうち、フラグ情報として「1」を書き込んだ被写体は存在せず、対象画像から消去する対象となる被写体がないと判断する。そのため、MPU15は、その時点でバッファメモリ18に格納されている補間合成処理が行われていない対象画像を不揮発性メモリ17に格納し、補間合成処理ルーチンを終了する。
【0082】
一方、MPU15の対象被写体設定部25は、先のステップS58において選択された被写体が複数ではない(ステップS58=NO)と判定した場合には、先のステップS58において選択された被写体が一つであると判断する。そして、ステップS64において、MPU15の対象被写体設定部25は、選択された一つの被写体を対象被写体として設定する。
【0083】
そして次に、ステップS65及びS66において、MPU15の消去対象設定部26は、第1の実施形態における
図2のステップS19及びステップS20の処理と同様にして、対象画像から消去する対象となる消去被写体を設定する。
【0084】
そして以降、MPU15の補間合成処理部27は、ステップS67〜ステップS70において、第1の実施形態における
図2のステップS21〜ステップS24の各処理と同様の処理を経て、対象画像に対して補間合成処理を行う。
【0085】
この場合、例えば
図6(b)に示すように、まず、対象画像に被写体として含まれていた檻41A,41Bの画素部分の画素データが欠損し、対象被写体としてのライオン40A,40Bの画素部分の一部に空白部分42A,42Bが形成された画像がテンプレート画像としてバッファメモリ18に格納される。
【0086】
その後、例えば
図6(c)に示すように、対象画像において画素データが欠損していた檻の画素部分が対象被写体としてのライオン40A,40Bの画素部分に置き換わった画像が合成画像として不揮発性メモリ17に格納される。
【0087】
上記第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(8)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(10)複数の対象被写体を基準とした対象画像の奥行き方向における被写体同士の位置関係を考慮した更に多様な画像編集処理を行うことができる。
【0088】
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記各実施形態において、MPU15の補間合成処理部27は、対象画像における消去被写体の周辺の画素部分の画素データに基づいて、テンプレート画像のうち消去被写体が消去された欠損部分の画素データを取得してもよい。
【0089】
この構成では、補間合成処理に用いられる画素データを含む動画を撮影することが不要となる。そのため、動画を記憶するための記憶領域をバッファメモリ18に確保することが不要となるため、バッファメモリ18のメモリ残量を確保しつつ対象画像に対する補間合成処理を行うことができる。
【0090】
・上記各実施形態において、MPU15は、動画の撮影時に補間合成処理モードの設定がなされた場合に、その時点まで撮影されていた動画の解像度や間引き率を変更することなく、補間合成処理のための動画の撮影を開始してもよい。
【0091】
・上記各実施形態において、MPU15の補間合成処理部27は、MPU15の対象画像設定部23が対象画像を設定したときに補間合成処理のための動画の撮影を開始してもよい。
【0092】
この構成では、対象画像が設定されることに併せて補間合成処理のための動画の撮影が開始される。そのため、対象画像を設定するための操作とは別に、動画の撮影を開始するための操作が必要となることがない。したがって、簡易な操作で対象画像の設定動作と動画の撮影開始動作を行うことができる。
【0093】
・上記各実施形態において、MPU15の補間合成処理部27は、画像編集処理のモード状態が補間合成処理モードに設定されたときに補間合成処理のための動画の撮影を開始してもよい。
【0094】
・上記第2の実施形態において、MPU15の対象被写体設定部25は、対象画像における画角の中心に位置する被写体を対象被写体として設定してもよい。
・上記第1及び第3の実施形態において、MPU15の対象被写体設定部25は、操作部30が撮像者によってマニュアル操作された際に入力される操作信号に基づいて、対象画像の奥行き方向における被写体同士の位置関係を設定してもよい。例えば、対象画像の奥行き方向において被写体が凹凸を有する場合には、対象画像の奥行き方向における被写体の位置は被写体の部位によって異なる。そのため、被写体が全体として対象被写体よりも後方に位置する一方でその被写体の一部が対象被写体よりも前方に位置する場合には、被写体が対象被写体の前方又は後方の何れに位置するのか正確に認識できない場合があり得る。この点、上記の構成では、モニタ20に表示された対象画像の内容が撮像者によって視認された上で、被写体が対象被写体の前方又は後方の何れに位置するのかがマニュアル操作によって入力される。その結果、MPU15の位置取得部24は、対象被写体に対する被写体の位置関係を正確に認識することが可能となる。
【0095】
・上記各実施形態において、MPU15の消去対象設定部26は、対象画像の奥行き方向において対象被写体の前方にある被写体のうち、対象被写体に重なっていない被写体を消去被写体として設定してもよい。
【0096】
・上記各実施形態において、MPU15の消去対象設定部26は、対象画像の奥行き方向における被写体の位置を認識する際の基準となる基準被写体を設定するとともに、この基準被写体の後方に位置する被写体を消去被写体として設定してもよい。例えば、MPU15の消去対象設定部26は、対象画像に含まれる主要被写体を基準被写体として設定するとともに、その主要被写体の後方に位置する被写体を消去被写体としても設定してもよい。この場合、補間合成処理が行われる被写体は主要被写体の後方の被写体となり、基準被写体である主要被写体とは異なる被写体となる。
【0097】
・上記各実施形態において、MPU15の補間合成処理部27は、補間合成処理によって動画を生成してもよい。この動画の生成は、例えば以下のようにして行われる。まず、MPU15の対象画像設定部23は、対象画像として動画を撮影する。そして次に、MPU15の補間合成処理部27は、対象画像となる動画から対象被写体の前方に位置する被写体の画素部分の画素データを消去したテンプレート画像となる動画を生成する。そして、MPU15の補間合成処理部27は、テンプレート画像となる動画における欠損部分の画素データを補間合成処理のために撮影された動画の画像データを用いて補間することにより、合成画像を生成する。
【0098】
・上記各実施形態において、例えばパーソナルコンピュータや携帯電話機などのカメラ10以外の電子機器に画像処理エンジン13が搭載される構成としてもよい。この場合、画像処理エンジン13が搭載される電子機器は、必ずしも、生成した画像を表示するモニタを有する電子機器である必要はなく、例えば、生成した画像を印刷して出力するプリンターや、生成した画像を壁面やスクリーンに投影するプロジェクターなどに画像処理エンジン13が搭載される構成としてもよい。