(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(B)の式[2b]で示されるアルコキシシランが、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート及び3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
前記成分(B)の式[2b]で示されるアルコキシシランが、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
前記成分(B)が、式[2a]で示されるアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は、式[2a]と、式[2b]若しくは式[2c]で示されるアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
さらに、前記液晶配向処理剤中に、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの発生剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の液晶表示素子に使用される液晶配向処理剤は、成分(A)であるセルロース系重合体(特定セルロース系重合体ともいう)と、成分(B)であるポリシロキサン系重合体(特定ポリシロキサン系重合体ともいう)を含有する。
この特定セルロース系重合体は透明性が高い。そのため、液晶配向処理剤から得られる垂直液晶配向膜は、紫外線などの光を吸収しにくく、液晶表示素子を作製する際の活性エネルギー線の照射による液晶組成物中の重合性化合物の反応を促進することができる。
また、特定ポリシロキサン系重合体に含まれる特定側鎖構造の中で、式[2−1]で示される構造は、側鎖部位にベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状基、又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基を有する。これらの環状基及び有機基の側鎖構造は、剛直な構造を示すことから、式[2−1]で示される特定側鎖構造を有する垂直液晶配向膜を用いた液晶表示素子は、高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる。さらに、上記の理由で、式[2−1]で示される特定側鎖構造は、側鎖構造の導入量が少なくても高い垂直配向性を得ることができる。そのため、式[2−1]で示される特定側鎖構造を有する垂直液晶配向膜を用いた液晶表示素子は、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性がより高いものとなる。
【0022】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、特定セルロース系重合体及び特定側鎖構造を有する特定ポリシロキサン系重合体を含む液晶配向処理剤から得られる垂直液晶配向膜を用いており、液晶の垂直配向性が高く、良好な光学特性、すなわち、電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱特性が良好で、さらには液晶層と垂直液晶配向膜との密着性が高い。
また、本発明の液晶表示素子は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に液晶及び紫外線により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、さらに、基板の少なくとも一方が液晶を垂直に配向させるような液晶配向膜を有し、液晶組成物の一部又は全体が液晶性を示す状態で、紫外線を照射することで前記液晶組成物の硬化を行い、液晶と重合性化合物の硬化物複合体を形成させる工程を経て製造され、電圧無印加時に透過状態となり、電圧印加時には散乱状態になるリバース型素子として、好適に用いることができる。
【0023】
<特定セルロース系重合体>
特定セルロース系重合体は、下記の式[1]で示される構造の重合体である。
【化11】
式[1]中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立して、下記の式[1a]〜[1m]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。
nは100〜1000000の整数を示す。なかでも、特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性や、液晶配向処理剤として調製した際の取り扱い性の点から、nは100〜500,000が好ましい。より好ましいのは100〜100,000である。
【0025】
【化13】
X
7、X
8、X
9、X
10、X
11、X
12、X
13及びX
14は、それぞれ独立して、ベンゼン環、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基及びブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。
【0026】
nは0〜3の整数を示す。なかでも、0又は1の整数が好ましい。
mは0〜3の整数を示す。なかでも、0又は1の整数が好ましい。
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立して、式[1a]〜[1m]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示すが、これらの基は、1種類であっても2種類以上であっても良い。特に、特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性や液晶配向処理剤の塗布性の点から、2種類以上の複数種類を用いることが好ましい。
特に好ましくは、式[1a]と式[1b]〜[1m]を用いることである。さらには、式[1a]と式[1c]、式[1d]、式[1e]、式[1h]又は式[1i]を用いることが好ましい。
【0027】
特定セルロース系重合体の具体例としては、下記のものが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、メチルエチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルアミノセルロース、エチルアミノセルロース、プロピルアミノセルロース、ベンジルセルロース、トリベンゾイルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース又はカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。なかでも、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ベンジルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルエチルセルロース又はカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースが好ましい。より好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート又はカルボキシメチルエチルセルロースである。特に好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。
【0028】
これらのセルロース誘導体は、一般に入手することができる。また、式[1b]〜[1m]で表わされる構造を導入する方法には、特に制限はなく、既存の手法を用いることができる。
例えば、式[1b]を導入する場合は、セルロースとベンジルクロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1c]を導入する場合は、セルロースとX
7を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1d]を導入する場合は、セルロースとX
8を有する酸クロリド化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法やセルロースと無水酢酸とを反応させる方法、
式[1e]を導入する場合は、セルロースとX
9−OHを有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1f]を導入する場合は、セルロースとX
10−COOHを有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1g]を導入する場合は、セルロースとX
11−NH
2を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1h]を導入する場合は、セルロースとフタル酸とを反応させる方法、
式[1i]を導入する場合は、セルロースとX
12とフタル酸骨格を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法、
式[1k]を導入する場合は、セルロースと無水マレイン酸とを反応させる方法が挙げられる。
特定セルロース系重合体は、特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性や液晶配向処理剤の塗布性、さらには、液晶表示素子の光学特性や液晶層と垂直液晶配向膜との密着性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0029】
<ポリシロキサン系重合体>
ポリシロキサン系重合体は、下記の式[2a]で示されるアルコキシシラン、下記の式[2b]で示されるアルコキシシラン、及び下記の式[2c]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合させて得られるポリシロキサンである。
【化14】
式[2a]中、A
1は、下記の式[2−1]又は式[2−2]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を示す。なかでも、高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる点から、式[2−1]で示される構造が好ましい。
A
2は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
A
3は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、重縮合の反応性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
mは1又は2の整数を示す。なかでも、合成の観点から、1が好ましい。
nは0〜2の整数を示す。
pは0〜3の整数を示す。なかでも、重縮合の反応性の観点から、1〜3の整数が好ましい。より好ましくは、2又は3である。
なお、m+n+pは4である。
【0030】
【化15】
式[2−1]中、Y
1は、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−及び−OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0031】
Y
2は、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)を示す。なかでも、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
Y
3は、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−及び−OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。なかでも、合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0032】
Y
4は、ベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の環状基であり、これら環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。さらに、X
4は、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基から選ばれる有機基であってもよい。なかでも、合成の容易さの点から、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が好ましい。
Y
5は、ベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。なかでも、ベンゼン環又はシクロへキサン環が好ましい。
【0033】
Y
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。特に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
nは0〜4の整数を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、0〜3が好ましい。より好ましいのは、0〜2である。
【0034】
Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせとしては、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の13頁〜34頁の表6〜47に掲載される(2−1)〜(2−629)と同じ組み合わせが挙げられる。なお、国際公開公報の各表におけるY1〜Y6は、本発明のY
1〜Y
6と読み替えるものとする。
また、国際公開公報の各表に掲載される(2−605)〜(2−629)における、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基は、いずれも、本発明のステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基に読み替えるものとする。
なかでも、(2−25)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−268)〜(2−315)、(2−364)〜(2−387)、(2−436)〜(2−483)又は(2−603)〜(2−615)の組み合わせが好ましい。特に好ましい組み合わせは、(2−49)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−603)〜(2−606)、(2−607)〜(2−609)、(2−611)、(2−612)又は(2−624)である。
【0035】
【化16】
式[2−2]中、Y
7は、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。なかでも、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−CON(CH
3)−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−O−、−CONH−又は−COO−である。
Y
8は、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜18のフッ素含有アルキル基を示す。なかでも、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
本発明における特定側鎖構造としては、前記の通り、高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる点から、式[2−1]で示される特定側鎖構造を用いることが好ましい。
【0036】
式[2a]で示されるアルコキシシランの具体例としては、下記の式[2a−1]〜[2a−32]で示されるアルコキシシランを挙げることができる。
【化17】
【化18】
【0040】
【化25】
(R
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3の整数を示す。nは0又は1の整数を示す。)
【0041】
【化26】
(R
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
3は、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−及び−CH
2OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。R
4は、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基及びフッ素含有アルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。mは2又は3の整数を示す。nは0又は1の整数を示す。)
【0042】
【化27】
(R
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
3は、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−及び−CH
2OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。R
4は、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基、フッ素含有アルコキシ基、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。mは2又は3の整数を示す。nは0又は1の整数を示す。)
【0045】
(式[2a−25]〜[2a−31]中、R
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
3は、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−及び−CH
2OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。R
4は、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基及びフッ素含有アルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。mは2又は3の整数を示す。nは0又は1の整数を示す。)
【0046】
【化30】
(R
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3の整数を示す。nは0又は1の整数を示す。B
4は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基を示す。B
3は、1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を示す。B
2は、酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手がB
3と結合する。)を示す。B
1は、酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する。)を示す。a
1は0又は1の整数を示す。a
2は2〜10の整数を示す。a
3は0又は1の整数を示す。)
上記の式[2a]で示されるアルコキシシランは、特定ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、さらには、液晶表示素子の光学特性などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0047】
【化31】
式[2b]中、B
1は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基又はシンナモイル基を有する炭素数2〜12の有機基を示す。なかでも、入手の容易さの点から、置換基としてはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基が好ましい。より好ましくは、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基である。
B
2は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0048】
B
3は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、重縮合の反応性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
mは1又は2の整数を示す。なかでも、合成の観点から、1が好ましい。
nは0〜2の整数を示す。なかでも、0又は1が好ましい。
pは0〜3の整数を示す。なかでも、重縮合の反応性の観点から、1〜3の整数が好ましい。より好ましくは、2又は3である。
式[2b]中、m+n+pは4である。
【0049】
式[2b]で表わされるアルコキシシランの具体例としては、例えば、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、m−スチリルエチルトリエトキシシラン、p−スチリルエチルトリエトキシシラン、m−スチリルメチルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルトリエトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ[3−(フェニルアミノ)プロピル]シラン、3−メルカプトプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)エチルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)エチルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)メチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルメタクリレート、 3−(トリエトキシシリル)メチルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルアクリレート、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリプロポキシシラン、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリメトキシシリルプロピルウレア、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]ウレア、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレアなどが挙げられる。
【0050】
なかでも、光によりラジカル反応が起こるアリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート又は3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートが好ましい。
さらに、熱により架橋反応が起こる3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
式[2b]で表わされるアルコキシシランは、特定ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、さらには、液晶表示素子の光学特性などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0051】
【化32】
式[2c]中、D
1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。これらのアルキル基の水素原子は、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていても良い。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
D
2は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、重縮合の反応性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
nは0〜3の整数を示す。なかでも、0又は1が好ましい。
【0052】
式[2c]で表わされるアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルクロライドなどが挙げられる。
【0053】
式[2c]中、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、式[2c]で示されるアルコキシシランとしては、これらのアルコキシシランを用いることが好ましい。
式[2c]で表わされるアルコキシシランは、特定ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、さらには、液晶表示素子の光学特性などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用できる。
【0054】
特定ポリシロキサン系重合体は、前記式[2a]で示されるアルコキシシラン、式[2b]で示されるアルコキシシラン、及び式[2c]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合させて得られるポリシロキサンである。具体的には、式[2a]で示される1種のアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン、式[2a]及び式[2b]で示される2種のアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン、式[2a]及び式[2c]で示される2種のアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン、並びに式[2a]、式[2b]及び式[2c]で示される3種のアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである。
【0055】
なかでも、重縮合の反応性や特定ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性の観点から、複数種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。即ち、式[2a]及び式[2b]で示される2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、式[2a]及び式[2c]で示される2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は式[2a]、式[2b]及び式[2c]で示される3種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。なかでも、式[2a]、式[2b]及び式[2c]で示される3種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。
【0056】
特定ポリシロキサン系重合体を作製する際、複数種のアルコキシランを用いる場合、式[2a]で表わされるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜40モル%であることが好ましい。なかでも、1〜30モル%が好ましい。
また、式[2b]で表わされるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜70モル%であることが好ましい。なかでも、1〜60モル%が好ましい。
さらに、式[2c]で表わされるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜99モル%であることが好ましい。なかでも、1〜80モル%が好ましい。
【0057】
特定ポリシロキサン系重合体を作製する方法は特に限定されない。例えば、式[2a]で示されるアルコキシシランを溶媒中で重縮合させて得る方法、式[2a]及び式[2b]で示される2種類のアルコキシシランを溶媒中で重縮合させて得る方法、式[2a]と式[2c]で示される2種類のアルコキシシランを溶媒中で重縮合させて得る方法、さらに、式[2a]、式[2b]及び式[2c]で示される3種類のアルコキシシランを溶媒中で重縮合させて得る方法が挙げられる。また、本発明の特定ポリシロキサン系重合体は、これらアルコキシシランを重縮合して、溶媒に均一に溶解した溶液として得られる。
また、特定ポリシロキサン系重合体を重縮合する方法は特に限定されない。例えば、アルコキシシランをアルコール系溶媒やグリコール系溶媒中で、加水分解・重縮合反応させる方法が挙げられる。その際、加水分解・重縮合反応は、部分的に加水分解させても、完全に加水分解させてもよい。完全に加水分解する場合は、理論上、アルコキシシラン中のすべてのアルコキシ基の0.5倍モル量の水を加えれば良いが、0.5倍モル量よりも過剰量の水を加えることが好ましい。特定ポリシロキサン系重合体を得るためには、上記加水分解・重縮合反応に用いる水の量は、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシラン中のすべてのアルコキシ基の0.5〜2.5倍モル量であることが好ましい。
【0058】
また、加水分解・重縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸などの酸性化合物;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ性化合物;塩酸、硝酸、蓚酸などの金属塩;などの触媒を用いることができる。
さらに、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することでも、加水分解・重縮合反応を促進させることもできる。その際の加熱温度及び加熱時間は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、50℃で24時間加熱攪拌して、その後、還流条件下で1時間攪拌するなどの条件が挙げられる。
【0059】
重縮合する別の方法として、アルコキシシラン、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して、重縮合反応する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめ、溶媒に蓚酸を加えて、蓚酸の溶液とした後、該溶液を加熱した状態でアルコキシシランを混合する方法である。
上記反応に用いる蓚酸の量は、アルコキシシラン中のすべてのアルコキシ基の1モルに対して、0.2〜2.0モルとすることが好ましい。また、この反応は、溶液の温度が50〜180℃で行うことができるが、溶媒の蒸発や揮散が起こらないように、還流下で数十分から数十時間で行うことが好ましい。
特定ポリシロキサン系重合体を調製する重縮合反応において、式[2a]、式[2b]及び式[2c]で示されるアルコキシシランを複数種用いる場合は、複数種のアルコキシシランを、あらかじめ混合した混合物を用いて反応しても、複数種のアルコキシシランを順次添加しながら反応してもよい。
【0060】
アルコキシシランの重縮合反応に用いる溶媒としては、アルコキシシランが溶解するものであれば、特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない溶媒であっても、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。その際に用いる溶媒としては、一般的に、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが発生するため、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、アルコールと相溶性がよい溶媒などが用いられる。
【0061】
このような重縮合反応に用いる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾールなどのアルコールと相性のよい溶媒;などが挙げられる。また、重縮合反応の際には、上記の溶媒を1種類又は2種類以上混合して使用することもできる。
【0062】
前記方法により得られたポリシロキサン系重合体の溶液は、原料として仕込んだ全アルコキシシランが有する珪素原子をSiO
2に換算した濃度(SiO
2換算濃度ともいう)が、20質量%以下であることが好ましい。なかでも、5〜15質量%であることが好ましい。この濃度範囲において任意の濃度を選択することで、溶液中のゲルの発生を抑制することができ、均一なポリシロキサン系重合体の溶液を得ることができる。
本発明においては、前記方法で得られたポリシロキサン系重合体の溶液を、そのまま特定ポリシロキサン系重合体として用いても良いし、必要に応じて、前記方法で得られたポリシロキサン系重合体の溶液を濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり、他の溶媒に置換して、特定ポリシロキサン系重合体として用いることもできる。
【0063】
希釈する際に用いる溶媒(添加溶媒ともいう)としては、重縮合反応に用いる溶媒やその他の溶媒であってもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサン系重合体が均一に溶解している限りにおいては特に限定されず、1種類又は2種類以上を任意に選択して使用することができる。このような添加溶媒としては、前記重縮合反応に用いる溶媒に加え、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;などが挙げられる。
さらに、本発明においては、特定ポリシロキサン系重合体にポリシロキサン系重合体とそれ以外の重合体を用いる場合、ポリシロキサン系重合体にそれ以外の重合体を混合する前に、ポリシロキサン系重合体の重縮合反応の際に発生するアルコールを常圧又は減圧で留去しておくことが好ましい。
【0064】
<液晶配向処理剤>
本発明における液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための塗布溶液であり、成分(A)である特定セルロース系重合体、成分(B)である前記式[2−1]及び式[2−2]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の特定側鎖構造を有する特定ポリシロキサン系重合体及び溶媒を含有する塗布溶液である。
液晶配向処理剤における特定セルロース系重合体と特定ポリシロキサン系重合体の割合は、特定ポリシロキサン系重合体の1質量部に対して、特定セルロース系重合体の割合は、0.01〜99質量部が好ましい。なかでも、0.1〜9質量部がより好ましく、より好ましいのは、0.1〜3質量部である。
【0065】
液晶配向処理剤におけるすべての重合体成分は、すべてが特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサン系重合体であってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていても良い。それ以外の重合体としては、前記式[2−1]又は式[2−2]で示される特定側鎖を有しないポリシロキサン系重合体が挙げられる。また、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つの重合体を混合することもできる。
それ以外の他の重合体の含有量は、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサン系重合体を合わせたすべての重合体100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましい。なかでも、1〜10質量部が好ましい。
【0066】
液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする膜厚を得るという観点から、適宜選択することができる。なかでも、塗布により均一な液晶配向膜を形成するとの観点から、液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は50〜99.9質量%であることが好ましい。なかでも、60〜99質量%が好ましく、より好ましいのは、65〜99質量%である。
液晶配向処理剤に用いる溶媒は、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサン系重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。
また、液晶配向処理剤に用いる溶媒は、特定ポリシロキサン系重合体の重縮合溶液をそのまま用いても良いし、特定ポリシロキサン系重合体の重縮合溶液に新たな溶媒を添加しても良く、さらには、特定ポリシロキサン系重合体の重縮合溶液を新たな溶媒に置換しても良い。新たな溶媒としては、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサン系重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。下記に、その具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
【0067】
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。さらには、下記の式[A1]〜式[A3]で示される溶媒も挙げられる。
【0068】
【化33】
(A
1は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。A
2は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。A
3は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0069】
なかでも、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フルフリルアルコール、又は式[A1]〜式[A3]で示される溶媒などが好ましい。
【0070】
より好ましいのは、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フルフリルアルコール、又は式[A1]〜式[A3]で示される溶媒などである。
上記の溶媒は、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサンの溶解性や、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0071】
本発明における液晶配向処理剤には、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性を高める目的で、下記の式[B1]〜[B8]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する化合物(特定密着性化合物ともいう)を導入することが好ましい。
これら式[B1]〜[B8]で表わされる構造は、密着性化合物中に2個以上有することが好ましい。
【0072】
【化34】
(B
1は、水素原子又はベンゼン環を示す。B
2は、ベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状基を示す。B
3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。)
【0073】
より具体的な特定密着性化合物としては、下記の式[6]で示される化合物を用いることが好ましい。
【化35】
式[6]中、M
1は、下記の式[a−1]〜[a−7]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を示す。なかでも、本発明の密着性化合物の製造の容易さの点から、式[a−1]、式[a−2]、式[a−3]、式[a−5]又は式[a−6]で示される構造が好ましい。より好ましくは、式[a−1]、式[a−3]、式[a−5]又は式[a−6]で示される構造である。
【0075】
式[a−2]中、A
1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。なかでも、密着性化合物の製造の容易さの点から、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
式[a−3]中、A
2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。なかでも、密着性化合物の製造の容易さの点から、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
式[a−5]、及び式[a−6]中、A
3、A
5、A
6及びA
9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。なかでも、密着性化合物の製造の容易さの点から、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
式[a−5]、及び式[a−6]中、A
4、A
7及びA
8は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。なかでも、密着性化合物の製造の容易さの点から、炭素数1〜2のアルキレン基が好ましい。
【0076】
式[6]中、M
2は、単結合、−CH
2−、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−及び−N(CH
3)CO−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。なかでも、密着性化合物の合成の容易さの点から、単結合、−CH
2−、−O−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−又は−N(CH
3)CO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−CH
2−、−O−、−NH−、−CONH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−又は−OCO−である。特に好ましくは、単結合、−O−、−CONH−、−OCH
2−、−COO−又は−OCO−である。
【0077】
式[6]中、M
3は、炭素数1〜20のアルキレン基、−(CH
2−CH
2−O)
p−(pは1〜10の整数を示す)、−(CH
2−O−)
q−(qは1〜10の整数を示す)、及び炭素数6〜20のベンゼン環又はシクロヘキサン環を有する有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。その際、前記アルキレン基の任意の−CH
2−基は、−COO−、−OCO−、−CONH−、NHCO−、−CO−、−S−、−SO
2−、−CF
2−、−C(CF
3)
2−、−Si(CH
3)
2−、−OSi(CH
3)
2−又は−Si(CH
3)
2O−で置き換えられていても良く、任意の炭素原子に結合している水素原子は、水酸基(OH基)、カルボキシル基(COOH基)又はハロゲン原子で置き換えられていても良い。
【0078】
なかでも、密着性化合物の製造の容易さの点から、炭素数1〜20のアルキレン基、−(CH
2−CH
2−O)
p−(pは1〜10の整数を示す)、−(CH
2−O−)
q−(qは1〜10の整数を示す)又は下記の式[c−1]〜式[c−5]で示される構造が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜15のアルキレン基、−(CH
2−CH
2−O)
p−(pは1〜10の整数を示す)、−(CH
2−O−)
q−(qは1〜10の整数を示す)、下記の式[c−1]、式[c−3]、式[c−4]又は式[c−5]で示される構造である。特に好ましくは、炭素数1〜15のアルキレン基、−(CH
2−CH
2−O)
p−(pは1〜10の整数を示す)、式[c−1]、式[c−4]又は式[c−5]で示される構造である。
【0079】
【化37】
式[6]中、M
4は、単結合、−CH
2−、−OCH
2−及びO−CH
2−CH
2−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を示す。なかでも、密着性化合物の合成の容易さの点から、単結合、−CH
2−又は−OCH
2−で示される構造が好ましい。
式[6]中、M
5は、前記式[b−1]〜[b−8]で示される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を示す。なかでも、密着性化合物の合成の容易さの点から、式[b−1]、式[b−2]又は式[b−6]で示される構造が好ましい。より好ましくは、式[b−1]又は式[b−2]で示される構造である。
式[6]中、nは1〜3の整数を示す。なかでも、密着性化合物の合成の容易さの点から、1又は2が好ましい。より好ましいのは、1である。
式[6]中、mは1〜3の整数を示す。なかでも、密着性化合物の合成の容易さの点から、1又は2が好ましい。
【0080】
特定密着性化合物としては、下記の式[6−1]及び式[6−5]で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
【化38】
(nは1〜10の整数を示す。mは1〜10の整数を示す。)
【0081】
さらに特定密着性化合物としては、下記に示すものが挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する化合物;等が挙げられる。
【0082】
液晶配向処理剤における特定密着性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部がより好ましく、特に、1〜50質量部が最も好ましい。
特定密着性化合物は、垂直液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、さらには、液晶表示素子の光学特性などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0083】
本発明における液晶配向処理剤には、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性を高める目的で、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの特定発生剤を導入することが好ましい。
光ラジカル発生剤としては、紫外線によりラジカルを発生するものであれば特に制限は無く、例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)へキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)へキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロへキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレートなどの有機過酸化物;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノンなどのキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体;などが挙げられる。
【0084】
光酸発生剤及び光塩基発生剤としては、紫外線により酸又は塩基を発生するものであれば特に制限は無く、例えば、トリアジン系化合物、アセトフェノン誘導体化合物、ジスルホン系化合物、ジアゾメタン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールホスホニウム塩、鉄アレーン錯体などが挙げられる。より具体的には、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニルへキサン−1,6−ジアミン]、ニトロベンジルシクロへキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバメート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニルへキサン−1,6−ジアミン]、ニトロベンジルシクロへキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバメートなどが挙げられる。
【0085】
なかでも、特定発生剤には、液晶層と液晶配向膜との密着性を効率的に高めることができる観点から、光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。
液晶配向処理剤における特定発生剤の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましい。なかでも、架橋反応が進行し、目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.01〜30質量部がより好ましく、より好ましいのは、0.1〜20質量部である。
特定発生剤は、垂直液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、さらには、液晶表示素子の光学特性などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0086】
本発明における液晶配向処理剤には、垂直液晶配向膜の膜硬度を高める観点から、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する化合物(総称して特定架橋性化合物ともいう)などを導入することが好ましい。これら置換基は、架橋性化合物中に2個以上有する必要がある。
【0087】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0088】
オキセタン基を有する架橋性化合物は、下記の式[4]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化39】
具体的には、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0089】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物は、下記の式[5]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化40】
具体的には、国際公開公報WO2012/014898(2012.2.2公開)の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0090】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、グリコールウリルなどを用いることができる。このメラミン誘導体若しくはベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0091】
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン;サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン;サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン;サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン;サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製);などが挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル;サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル;パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル;などが挙げられる。
【0092】
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751の62頁〜66頁に掲載される、式[6−1]〜[6−48]で表わされる架橋性化合物が挙げられる。
【0093】
液晶配向処理剤における架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し、目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜50質量部がより好ましく、特に1〜30質量部が最も好ましい。
【0094】
本発明においては、垂直液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜[M156]で表わされる窒素含有複素環アミン化合物を、液晶配向処理剤中に添加することもできる。このアミン化合物は、液晶配向処理剤に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、上述した特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサン系重合体を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
【0095】
また、液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。さらに、垂直液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などを用いることもできる。
垂直液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0096】
垂直液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、以下に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0097】
これら基板との密着させる化合物を使用する場合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶配向処理剤の保存安定性が悪くなる場合がある。
液晶配向処理剤には、上記以外の化合物の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、垂直液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0098】
<液晶組成物>
本発明における液晶組成物は、少なくとも液晶及び紫外線により重合反応する重合性化合物が含まれる液晶組成物である。
液晶には、ネマチック液晶、スメクチック液晶又はコレステリック液晶を用いることができる。なかでも、負の誘電異方性を有するものが好ましい。また、低電圧駆動及び散乱特性の点からは、誘電率の異方性が大きく、屈折率の異方性が大きいものが好ましい。また、前記の相転移温度、誘電率異方性及び屈折率異方性の各物性値に応じて、2種類以上の液晶を混合して用いることができる。
【0099】
液晶表示素子は、TFT(Thin Film Transistor)などの能動素子として駆動させるためには、液晶の電気抵抗が高くて電圧保持率(VHRともいう)が高いことが求められる。そのため、液晶としては、電気抵抗が高くて紫外線などの活性エネルギー線によりVHRが低下しないフッ素系や塩素系の液晶を用いることが好ましい。
さらに、液晶表示素子は、液晶組成物中に二色性染料を溶解させてゲストホスト型の素子とすることもできる。この場合には、電圧無印加時は透明で、電圧印加時に吸収(散乱)となる素子が得られる。また、この液晶表示素子では、液晶のダイレクターの方向(配向の方向)は、電圧印加の有無により90度変化する。そのため、この液晶表示素子は、二色性染料の吸光特性の違いを利用することで、ランダム配向と垂直配向でスイッチングを行う従来のゲストホスト型の素子に比べて、高いコントラストが得られる。また、二色性染料を溶解させたゲストホスト型の素子では、液晶が水平方向に配向した場合に有色となり、散乱状態においてのみ不透明となる。そのため、電圧を印加するにつれ、電圧無印加時の無色透明から有色不透明、有色透明の状態に切り替わる素子を得ることもできる。
【0100】
重合性化合物としては、紫外線により重合反応して液晶組成物の硬化物(例えばポリマーネットワークのようなもの)を形成することができるものであれば良い。その際、重合性化合物のモノマーを液晶組成物中に導入しても良く、或いは、あらかじめこのモノマーを重合反応させたポリマーを液晶組成物中に導入しても良い。ただし、ポリマーとした場合でも、紫外線により重合反応する部位を有する必要がある。より好ましくは、液晶組成物の取り扱い、すなわち液晶組成物の高粘度化の抑制や液晶への溶解性の点から、液晶組成物中にモノマーを導入して、液晶表示素子作製時の紫外線の照射により、重合反応をさせて硬化物を形成する方法が好ましい。
また、重合性化合物は、液晶に溶解すれば、どのような化合物であってもよい。ただし、重合性化合物を液晶に溶解した際に、液晶組成物の一部又は全体が液晶相を示す温度が存在することが必要となる。液晶組成物の一部が液晶相を示す場合であっても、液晶表示素子を肉眼で確認して、素子内全体が、ほぼ一様な透明性と散乱特性が得られていれば良い。
【0101】
重合性化合物は、紫外線により重合反応を起こす化合物であれば良く、その際、どのような反応形式で重合が進み、液晶組成物の硬化物(硬化物複合体)を形成させても良い。具体的な反応形式としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合又は重付加反応が挙げられる。
なかでも、重合性化合物の反応形式は、ラジカル重合であることが好ましい。その際、重合性化合物としては、下記のラジカル型の重合性化合物(モノマー)及びそのオリゴマーを用いることができる。また、前記の通り、これらのモノマーを重合反応させたポリマーを用いることもできる。
【0102】
単官能重合性化合物(単官能モノマーともいう)としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、モルホリンメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどのモノマー及びこれらのオリゴマーが挙げられる。
【0103】
二官重合性化合物(二官能モノマーともいう)としては、例えば、4,4’−ジアクリロイルオキシスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジメチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジエチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジプロピルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジブチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジペンチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジヘキシルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジフルオロスチルベン、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジアクリレート、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、4,4’−ビフェニルジアクリレート、ジエチルスチルべストロールジアクリレート、1,4−ビスアクリロイルオキシベンゼン、4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルエーテル、4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルメタン、3,9−[1,1−ジメチル−2−アクリロイルオキシエチル]−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン、α,α’−ビス[4−アクリロイルオキシフェニル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビスアクリロイルオキシテトラフルオロベンゼン、4,4’−ビスアクリロイルオキシオクタフルオロビフェニル、ジエチレングリコールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、グリセロールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート又はポリプロピレングリコールジメタクリレート、又はこれらのオリゴマーなどが挙げられる。
【0104】
多官能重合性化合物(多官能モノマーともいう)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート又は2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジメタクリレート、又はこれらのオリゴマーなどが挙げられる。
上記のラジカル型の重合性化合物は、液晶表示素子の光学特性や液晶層と垂直液晶配向膜との密着性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0105】
液晶組成物の硬化物の形成を促進させるため、液晶組成物中には重合性化合物のラジカル重合を促進させる目的で、紫外線によりラジカルを発生するラジカル開始剤(重合開始剤ともいう)を導入することが好ましい。例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)へキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)へキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロへキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレートなどの有機過酸化物;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノンなどのキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体;などが挙げられる。
これらのラジカル開始剤は、液晶表示素子の光学特性や液晶層と垂直液晶配向膜との密着性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0106】
重合性化合物としては、下記のイオン型の重合性化合物を用いることもできる。具体的には、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋形成基を有する化合物である。
より具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基、アルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、グリコールウリルなどが挙げられる。これらメラミン誘導体やベンゾグアナミン誘導体はオリゴマーであっても良い。また、これらはトリアジン環1個当たり、メチルール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個未満有するものが好ましい。
【0107】
このようなメラミン誘導体やベンゾグアナミン誘導体の具体的な例としては、例えば、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750;トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製);サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン;サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン;サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン;サイメル1141のようなカルボキシル基含有のメトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン;サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有のメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイテック社製);が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリルなどが挙げられる。
【0108】
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン、又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメトキシ)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。
また、イオン型の重合性化合物としては、エポキシ基やイソシアネート基を含有し、架橋形成基を有する化合物を用いることもできる。
【0109】
具体的には、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0110】
イオン型の重合性化合物を用いた場合、その重合反応を促進させることを目的に、下記の紫外線により酸又は塩基を発生するイオン開始剤を導入することもできる。具体的には、例えば、トリアジン系化合物、アセトフェノン誘導体化合物、ジスルホン系化合物、ジアゾメタン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールホスホニウム塩、鉄アレーン錯体などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
より具体的には、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニルへキサン−1,6−ジアミン]、ニトロベンジルシクロへキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバメート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニルへキサン−1,6−ジアミン]、ニトロベンジルシクロへキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメチレンジカルバメートなどが挙げられる。
本発明の液晶表示素子においては、光学特性の点から、上記の重合性化合物の中でラジカル型の重合性化合物を用いることが好ましい。
【0111】
液晶組成物中における重合性化合物の導入量には特に制限は無いが、重合性化合物の導入量が多い場合、液晶中に重合性化合物が溶解しなかったり、液晶組成物が液晶相を示す温度がなかったり、素子の透明状態と散乱状態との変化が小さくなり光学特性が悪くなる。また、重合性化合物の導入量が少ない場合、液晶層の硬化性が低くなり、さらには、液晶層と液晶配向膜との密着性が低下し、機械的な外圧に対して液晶の配向性が乱れやすくなる。そのため、重合性化合物の導入量は、液晶100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、5〜40質量部がより好ましい。特に好ましくは、11〜30質量部である。
また、重合性化合物の反応を促進するラジカル開始剤又はイオン開始剤の導入量には特に制限は無いが、液晶100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。特に好ましくは、0.05〜3質量部である
【0112】
<垂直液晶配向膜及び液晶表示素子の作製方法>
本発明の液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板、ポリカーボネート基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板、さらにはそれらのフィルムを用いることができる。液晶表示素子をリバース型素子として、調光窓などに用いる場合には、プラスチック基板やフィルムであることが好ましい。また、プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極、IZO(Indium Zinc Oxide)電極、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)電極、有機導電膜などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型のリバース型素子とする場合には、片側の基板のみにならば、シリコンウエハやアルミニウムなどの金属や誘電体多層膜が形成された基板を使用することができる。
【0113】
本発明の液晶表示素子は、基板の少なくとも一方が、液晶分子を垂直に配向させるような垂直液晶配向膜を有する。この垂直液晶配向膜は、液晶配向処理剤を基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして得ることができる。ただし、本発明における垂直液晶配向膜の場合は、これら配向処理無しでも垂直液晶配向膜として用いることができる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、基板の種類や目的とする垂直液晶配向膜の膜厚に応じて、適宜選択することができる。
【0114】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、基板の種類や液晶配向処理剤に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて垂直液晶配向膜とすることができる。特に、基板にプラスチック基板を用いる場合には、30〜150℃の温度で処理することが好ましい。
焼成後の垂直液晶配向膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜500nmである。より好ましくは10〜300nmであり、特に好ましいのは、10〜250nmである。
本発明の液晶表示素子に用いる液晶組成物は、前記の通りの液晶組成物であるが、そのなかに、液晶表示素子の電極間隙(ギャップともいう)を制御するためのスペーサーを導入することもできる。
【0115】
液晶組成物の注入方法は、特に限定されないが、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、基板にガラス基板を用いる場合、垂直液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の4片を、一部分を除いてシール剤を塗布し、その後、垂直液晶配向膜の面が内側になるようにして、もう片側の基板を貼り合わせた空セルを作製する。そして、シール剤が塗布されていない場所から、液晶組成物を減圧注入して、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。さらに、基板にプラスチック基板やフィルムを用いる場合には、垂直液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の上にODF(One Drop Filling)法やインクジェット法などで、液晶組成物を滴下し、その後、もう片側の基板を貼り合わせて、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。
本発明の液晶表示素子では、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性が高いため、基板の4片にシール剤を塗布しなくても良い。
【0116】
液晶表示素子のギャップは、前記のスペーサなどで制御することができる。その方法は、前記の通りに液晶組成物中に目的とする大きさのスペーサを導入する方法、目的とする大きさのカラムスペーサを有する基板を用いる方法などが挙げられる。また、基板にプラスチックやフィルム基板を用いて、基板の貼り合わせをラミネートで行う場合は、スペーサを導入せずに、ギャップを制御することができる。
液晶表示素子のギャップの大きさは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは、2〜50μmである。特に好ましくは、5〜20μmである。ギャップが小さすぎると、液晶表示素子のコントラストが低下し、大きすぎると、素子の駆動電圧が高くなる。
【0117】
本発明の液晶表示素子は、液晶組成物の一部又は全体が液晶性を示す状態で、液晶組成物の硬化を行い、液晶と重合性化合物の硬化物複合体を形成させて得られる。この液晶組成物の硬化は、前記の液晶組成物注入セルに、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方の処理によって行う。
その際に用いる紫外線照射装置の光源としては、例えば、メタルハライドランプ又は高圧水銀ランプが挙げられる。また、紫外線の波長は、250〜400nmが好ましい。なかでも、310〜370nmが好ましい。また、加熱処理の場合、その温度は、40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。さらに、紫外線処理と加熱処理とを両方同時に行っても、紫外線処理をした後に加熱処理を行っても良い。本発明においては、液晶組成物の硬化は、紫外線処理のみが好ましい。
【0118】
以上のように、本発明の特定構造のセルロース系重合体及び特定構造の側鎖を有するポリシロキサン系重合体を含む液晶配向処理剤から得られる垂直液晶配向膜を用いた液晶表示素子は、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性が高く、更には液晶の垂直配向性が高く、良好な光学特性、すなわち、電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱特性が良好な液晶表示素子となる。特に、本素子は、電圧無印加時に透過状態となり、電圧印加時には散乱状態になるリバース型素子に、好適に用いることが可能で、表示を目的とする液晶ディスプレイや、光の透過と遮断を制御する調光窓や光シャッター素子などとして有用である。その際の基板としては、プラスチック基板やフィルムを用いることが好ましい。
また、本発明の液晶表示素子は、自動車、鉄道、航空機などの輸送機器や輸送機械に用いる液晶表示素子、具体的には、光の透過と遮断を制御する調光窓やルームミラーに用いる光シャッター素子などに好適に用いることができる。特に、本素子は、電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱特性が良好であることから、乗り物のガラス窓に使用した場合は、従来のリバース型素子を使用した場合に比べて、夜間時における光の取り入れ効率が高く、外光からの眩しさを防ぐ効果も高くなる。そのため、乗り物を運転する際の安全性や乗車時の快適性を、より改善することが可能となる。また、本素子をフィルムで作製して、乗り物のガラス窓に貼って使用する場合は、液晶層と垂直液晶配向膜との低密着性が要因の不良や劣化が起こりにくく、従来のリバース型素子に比べて信頼性が高くなる。
【0119】
さらに、本発明の液晶表示素子は、LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light−emitting Diode)ディスプレイなどのディスプレイ装置の導光板や、これらディスプレイを用いた透明ディスプレイの裏板に用いることもできる。具体的には、透明ディスプレイと本素子とを合わせて透明ディスプレイ上で画面表示を行う場合に、その背面からの光の入り込みを本素子で抑制することができる。その際、本素子は、透明ディスプレイ上で画面表示を行う際に電圧印加されて散乱状態となり、画面表示を鮮明にすることができ、画面表示が終わった後には、電圧が無印加の透明状態となる。
【実施例】
【0120】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例で用いた化合物の略語は、以下のとおりである。
<液晶組成物>
(液晶) L1:MLC−6608(メルク社製)
(重合性化合物) R1:下記の式[R1]で示される化合物
(光開始剤) P1:下記の式[P1] で示される化合物
【0121】
【化41】
【0122】
(特定セルロース系重合体)
CE−1:ヒドロキシエチルセルロース(WAKO社製)
CE−2:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(ACROS社製)
(アルコキシシランモノマー)
E1:下記の式[E1]で表わされるアルコキシシラン
E2:オクタデシルトリエトキシシラン
E3:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
E4:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
E5:テトラエトキシシラン
【0123】
【化42】
【0124】
(特定発生剤)
S1:下記の式[S1]で表わされる光ラジカル発生剤
S2:下記の式[S2]で表わされる光ラジカル発生剤
【0125】
【化43】
【0126】
(特定密着性化合物)
M1:下記の式[M1]で示される化合物
M2:下記の式[M2]で示される化合物
M3:下記の式[M3]で示される化合物
【0127】
【化44】
【0128】
(特定架橋性化合物)
K1:下記の式[K1]で示される化合物
【化45】
【0129】
(溶媒)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
ECS:エチレングリコールモノエチルエーテル
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
EC:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
【0130】
「ポリシロキサン系重合体の合成」
<合成例1>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(28.3g)、E1(4.10g)、E3(7.45g)及びE5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめECS(14.2g)、水(10.8g)、触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調製しておいたE4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。さらに30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(1)を得た。
【0131】
<合成例2>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、PGME(28.3g)、E1(8.20g)、E3(19.9g)及びE5(20.0g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめPGME(19.1g)、水(10.8g)、触媒として蓚酸(1.10g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調製しておいたE4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とPGME(0.90g)の混合溶液を加えた。さらに30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(2)を得た。
【0132】
<合成例3>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(29.2g)、E1(4.10g)及びE5(38.8g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめECS(12.1g)、水(10.8g)、触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調製しておいたE4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。さらに30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(3)を得た。
【0133】
<合成例4>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、PGME(28.3g)、E2(4.07g)、E3(7.45g)及びE5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめPGME(14.2g)、水(10.8g)、触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調製しておいたE4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とPGME(0.90g)の混合溶液を加えた。さらに30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(4)を得た。
【0134】
<合成例5>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(27.7g)、E3(7.45g)及びE5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめECS(10.0g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調製しておいたE4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。さらに30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(5)を得た。
各合成例で得られたポリシロキサン系重合体(ポリシロキサン溶液)、及び用いたアルコキシシランモノマーの組成を表1に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
「液晶組成物の作製」
(液晶組成物(1)の作製)
L1(11.5g)、R1(1.73g)及びP1(0.12g)を混合し、80℃まで加熱し、その後25℃まで冷却して液晶組成物(1)を得た。
(液晶組成物(2)の作製)
L1(12.0g)、R1(2.40g)及びP1(0.12g)を混合し、80℃まで加熱し、その後25℃まで冷却して液晶組成物(2)を得た。
【0137】
「液晶配向処理剤の製造」
実施例1〜15及び比較例1〜5は、液晶配向処理剤の製造例であるが、この液晶配向処理剤は、液晶表示素子の作製及びその評価のためにも使用した。
実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤、組成物含有割合等をまとめて表2〜4に示す。
【0138】
「液晶表示素子の作製(ガラス基板)」
実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、液晶表示素子の作製を行った。具体的には、この液晶配向処理剤を、純水及びIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄した100×100mmのITO電極付きガラス基板(縦:100mm、横:100mm、厚さ:0.7mm)のITO面上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて200℃で15分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、6μmのスペーサーを塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF(One Drop Filling)法にて前記液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜界面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
この処理前の液晶表示素子に、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で7J/cm
2の紫外線照射を行った。この際、液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、25℃に制御した。これにより、液晶表示素子(リバース型素子)を得た。
【0139】
「液晶表示素子の作製(プラスチック基板)」
実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、液晶表示素子の作製を行った。具体的には、この液晶配向処理剤を、純水で洗浄した150×150mmのITO電極付きPET(ポリエチレンテレフタレート)基板(縦:150mm、横:150mm、厚さ:0.2mm)のITO面上にバーコーターにて塗布をし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて150℃で1分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、6μmのスペーサーを塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF法にて前記液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜界面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
この処理前の液晶表示素子に、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で7J/cm
2の紫外線照射を行った。この際、液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、25℃に制御した。これにより、液晶表示素子(リバース型素子)を得た。
【0140】
「液晶配向性の評価(ガラス基板)」
上記手法で得られた液晶表示素子(ガラス基板)を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、本素子を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL、ニコン社製)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。具体的には、液晶が垂直に配向しているものを、本評価に優れるとした(表5〜表7中の良好表示)。
その後、液晶配向性の評価が終了した液晶表示素子(ガラス基板)を、温度100℃の高温槽内に336時間保管した。その後、上記と同様の条件で、液晶配向性の評価を行った。具体的には、液晶配向性に乱れが見られず、均一に液晶が配向しているものを、本評価に優れるとした(表5〜表7中の良好表示)
【0141】
「液晶配向性の評価(プラスチック基板)」
上記手法で得られた液晶表示素子(プラスチック基板)を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、本素子を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL、ニコン社製)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。具体的には、液晶が垂直に配向しているものを、本評価に優れるとした(表5及び表6中の良好表示)。
その後、液晶配向性の評価が終了した液晶表示素子(プラスチック基板)を、温度100℃の高温槽内に336時間保管した。その後、上記と同様の条件で、液晶配向性の評価を行った。具体的には、液晶配向性に乱れが見られず、均一に液晶が配向しているものを、本評価に優れるとした(表5及び表6中の良好表示)
【0142】
「光学特性(透明性と散乱特性)の評価(ガラス基板)」
上記手法で得られた液晶表示素子(ガラス基板)を用いて、光学特性(透明性と散乱特性)の評価を行った。
電圧無印加時の透明性は、電圧無印加状態での液晶表示素子の透過率を測定することで行った。具体的には、測定装置にUV−3600(島津製作所社製)、リファレンスに上記ITO電極付きガラス基板を用い、温度25℃、スキャン波長300〜800nmの条件で透過率を測定した。評価は、450nmの波長の透過率で行い、透過率が高いものほど、本評価に優れるとした(表8〜表10中に透過率の値を示した)。
電圧印加時の散乱特性は、液晶表示素子に、交流駆動で40Vを印加し、液晶の配向状態を目視観察することで行った。具体的には、本素子が白濁したもの、すなわち、散乱特性が得られたものを、本評価に優れるとした(表8〜表10中の良好表示)。
【0143】
「光学特性(透明性と散乱特性)の評価(プラスチック基板)」
上記手法で得られた液晶表示素子(プラスチック基板)を用いて、光学特性(透明性と散乱特性)の評価を行った。
電圧無印加時の透明性は、電圧無印加状態での液晶表示素子の透過率を測定することで行った。具体的には、測定装置にUV−3600(島津製作所社製)、リファレンスに上記ITO電極付きPET基板を用い、温度25℃、スキャン波長300〜800nmの条件で透過率を測定した。評価は、450nmの波長の透過率で行い、透過率が高いものほど、本評価に優れるとした(表8及び表9中に透過率の値を示した)。
電圧印加時の散乱特性は、液晶表示素子に、交流駆動で40Vを印加し、液晶の配向状態を目視観察することで行った。具体的には、本素子が白濁したもの、すなわち、散乱特性が得られたものを、本評価に優れるとした(表8及び表9中の良好表示)。
【0144】
「液晶層と(垂直)液晶配向膜との密着性の評価(ガラス基板)」
上記光学特性の評価を行った液晶表示素子を用いて、液晶層と液晶配向膜との密着性の評価を行った。具体的には、液晶表示素子を、温度80℃、湿度90%RHの高温高湿槽内に96時間保管し、本素子内の気泡の有無及び素子の剥離を確認した。その際、本素子内に気泡が見られずに素子の剥離(液晶層と液晶配向膜とが剥がれている状態)が起こっていないものを、本評価に優れるとした(表8〜表10中の良好表示)。
【0145】
「液晶層と(垂直)液晶配向膜との密着性の評価(プラスチック基板)」
上記光学特性の評価を行った液晶表示素子を用いて、液晶層と液晶配向膜との密着性の評価を行った。具体的には、液晶表示素子を、温度80℃、湿度90%RHの高温高湿槽内に96時間保管し、本素子内の気泡の有無及び素子の剥離を確認した。その際、本素子内に気泡が見られずに素子の剥離(液晶層と液晶配向膜とが剥がれている状態)が起こっていないものを、本評価に優れるとした(表8及び表9中の良好表示)。
【0146】
<実施例1>
CE−2(1.10g)に、ECS(21.0g)及びPB(14.2g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(1)(13.8g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0147】
<実施例2>
実施例1で得られた液晶配向処理剤(1)と液晶組成物(2)を用いて、液晶表示素子(ガラス基板、プラスチック基板)を作製して評価した。
<実施例3>
CE−2(1.40g)に、ECS(15.1g)、PGME(15.1g)及びBCS(10.7g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(1)(14.3g)、S2(0.156g)及びM2(0.467g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0148】
<実施例4>
CE−2(1.65g)に、ECS(33.3g)、BCS(6.00g)及びEC(5.30g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例1で得られたポリシロキサン溶液(1)(13.8g)、S1(0.165g)及びM2(0.165g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0149】
<実施例5>
CE−2(1.00g)に、PGME(28.7g)、BCS(5.70g)及びEC(5.70g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例2で得られたポリシロキサン溶液(2)(19.4g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0150】
<実施例6>
CE−2(0.95g)に、PGME(21.8g)、ECS(10.9g)及びEC(5.40g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例2で得られたポリシロキサン溶液(2)(18.5g)、S2(0.159g)及びM1(0.634g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0151】
<実施例7>
CE−1(0.50g)に、PGME(27.9g)及びBCS(8.60g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例2で得られたポリシロキサン溶液(2)(23.6g)、S2(0.233g)及びM3(0.500g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0152】
<実施例8>
CE−1(0.65g)に、PGME(28.4g)及びPB(8.40g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例2で得られたポリシロキサン溶液(2)(21.7g)、S2(0.033g)、M2(0.975g)及びK1(0.163g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0153】
<実施例9>
CE−2(1.10g)に、ECS(21.0g)及びPB(14.2g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例3で得られたポリシロキサン溶液(3)(13.8g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0154】
<実施例10>
実施例9で得られた液晶配向処理剤(8)と液晶組成物(2)を用いて、液晶表示素子子(ガラス基板、プラスチック基板)を作製して評価した。
<実施例11>
CE−2(1.40g)に、ECS(35.6g)及びEC(5.30g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例3で得られたポリシロキサン溶液(3)(14.3g)、S2(0.311g)、M2(0.778g)及びK1(0.062g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0155】
<実施例12>
CE−2(1.65g)に、ECS(17.8g)、PGME(17.8g)及びEC(5.30g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例3で得られたポリシロキサン溶液(3)(11.3g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0156】
<実施例13>
CE−2(0.65g)に、PGME(25.6g)及びBCS(11.2g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例4で得られたポリシロキサン溶液(4)(21.7g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0157】
<実施例14>
CE−2(1.70g)に、PGME(34.3g)及びPB(11.7g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例4で得られたポリシロキサン溶液(4)(14.2g)、S1(0.170g)及びM2(0.170g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0158】
<実施例15>
CE−1(0.50g)に、PGME(22.2g)及びBCS(14.3g)を加え、50℃で5時間攪拌した。その後、この溶液に、合成例4で得られたポリシロキサン溶液(4)(23.6g)及びM3(0.666g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0159】
<比較例1>
合成例5で得られたポリシロキサン溶液(5)(15.0g)に、ECS(6.50g)及びPB(8.50g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0160】
<比較例2>
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(1)(15.5g)に、ECS(6.80g)及びPB(8.70g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0161】
<比較例3>
比較例2で得られた液晶配向処理剤(15)と液晶組成物(2)を用いて、液晶表示素子の作製(ガラス基板)、液晶配向性の評価(ガラス基板)、光学特性(透過率と散乱特性)の評価(ガラス基板)、及び液晶層と液晶配向膜との密着性の評価(ガラス基板)を行った。
【0162】
<比較例4>
合成例3で得られたポリシロキサン溶液(3)(15.0g)に、ECS(6.50g)及びPB(8.50g)を加え、25℃で5時間攪拌して、液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0163】
<比較例5>
比較例4で得られた液晶配向処理剤(16)と液晶組成物(2)を用いて、液晶表示素子(ガラス基板)を作製して評価した。
【0164】
<実施例1〜18、比較例1〜5>の液晶表示素子の評価
下記の表5、表6、表7、表8、表9及び表10に示すように、上記実施例でそれぞれ得られた液晶配向処理剤(1)〜(13)又は比較例でそれぞれ得られた液晶配向処理剤(14)〜(16)のいずれかと、前記の液晶組成物(1)又は(2)を用いて、前記した液晶表示素子の作製及び液晶配向性の評価、光学特性(透明性と散乱特性)の評価、及び液晶層と垂直液晶配向膜との密着性の評価を行った。
なお、実施例1、2、4、6、7、9、10、11、12及び14は、ガラス基板の素子とプラスチック基板の素子の両方で行い、実施例3、5、8、13、15、及び比較例1〜5は、ガラス基板の素子で行った。これらの評価の結果を表5、表6、表7、表8、表9及び表10にまとめて示した。
【0165】
また、実施例2、3、9,11、及び比較例3、4における、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性の評価では、前記の標準試験とともに強調試験として、温度80℃、湿度90%RHの高温高湿槽内に168時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記条件と同様)。その結果、実施例3、11では、素子内に気泡が見られなかったが、実施例2、9では、素子内に少量の気泡が見られ、比較例3、4では、素子内に多くの気泡が見られ、かつ、一部箇所で素子の剥離が見られた。
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
【表5】
【0170】
【表6】
【0171】
【表7】
【0172】
【表8】
【0173】
【表9】
【0174】
【表10】
*1:液晶が垂直に配向していなかった。
*2:液晶配向性に乱れが見られた。
*3:液晶が垂直に配向していないため、測定できなかった。
*4:素子が、液晶層と液晶配向膜との間で剥離した。
*5:素子内に、気泡が見られた。
【0175】
上記の結果からわかるように、実施例の液晶表示素子は、比較例の液晶表示素子に比べて液晶層と液晶配向膜との密着性が高く、更には、液晶の垂直配向性が高く、良好な光学特性、すなわち、電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱特性が良好であった。
一方で、比較例の液晶表示素子は、液晶層と液晶配向膜との密着性が悪く、高温高湿槽に保管した後に素子内に気泡が見られたり、液晶層と垂直配向膜とが剥離することが観察された。また、比較例の液晶表示素子では、高温槽に保管した後に、液晶の垂直配向性不足に伴う液晶配向性の乱れが見られた。
具体的には、同一の特定ポリシロキサン系重合体を含み、成分(A)である特定セルロース系重合体を含む実施例と含まない比較例、すなわち、実施例1と比較例2、実施例2と比較例3、実施例9と比較例4、及び実施例10と比較例5との比較では、明確な差が認められた。
また、特定側鎖を含まないポリシロキサン系重合体を用いた比較例1では、液晶が垂直配向しなかった。
さらに、液晶配向処理剤に、特定発生剤、特定密着性化合物及び特定架橋性化合物を導入した場合、形成された液晶表示素子において、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性が、より良好であった。具体的には、実施例2と実施例3及び実施例9と実施例11との比較で、明確な差が認められた。