(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との少なくとも一部を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正を行う請求項2に記載の変倍光学系。
前記第1レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われる請求項1または2に記載の変倍光学系。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の第1実施形態に係る変倍光学系、撮像装置、および光変倍学系の製造方法について説明する。まず、本願の第1実施形態に係る変倍光学系から説明する。
【0013】
本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有している。第1レンズ群は2つのレンズ成分からなり、第2レンズ群は2つのレンズ成分からなり、第3レンズ群は2つまたは5つまたは6つのレンズ成分からなっている。
このような構成により、光学全長の小型化を実現している。なお、光学全長とは、前記変倍光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の長さをいう。また、レンズ成分とは、単レンズまたは接合レンズのことをいう。
【0014】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、このような構成のもと、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動する。
このような構成により、変倍の際の収差変動、特に像面湾曲を良好に補正することができる。
【0015】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、このような構成のもと、次の条件式(1−1)を満足することが好ましい。
(1−1)0.400 < (TLt−TLw)/(−f2) < 0.880
ただし、
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系の光学全長
TLw:広角端状態における前記変倍光学系の光学全長
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0016】
条件式(1−1)は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際の、第2レンズ群の焦点距離に対する光学全長の変化量、すなわち第1レンズ群の繰り出し量を規定する条件式である。条件式(1−1)を満足することにより、光学性能を維持しつつ小型化を実現することができる。
【0017】
条件式(1−1)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、コマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−1)の上限値を0.870にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(1−1)の上限値を0.860にすることが好ましい。
【0018】
条件式(1−1)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が弱くなり、充分な光量を得ることができなくなってしまい、好ましくない。充分な光量を確保しようとすると、第1レンズ群が大型化し、その結果、コマ収差が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−1)の下限値を0.500にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(1−1)の下限値を0.600にすることが好ましい。
【0019】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(1−2)を満足することが好ましい。
(1−2)2.00 < f1/(−f2) < 3.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0020】
条件式(1−2)は、第2レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比を規定する条件式である。条件式(1−2)を満足することにより、変倍時の収差変動を抑え、高い光学性能を実現することができる。
【0021】
条件式(1−2)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、広角端状態におけるコマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−2)の上限値を3.40とすることが好ましい。
【0022】
条件式(1−2)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、望遠端状態における球面収差、軸上色収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−2)の下限値を2.50とすることが好ましい。
【0023】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との少なくとも一部を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正を行うことが好ましい。このような構成とすることにより、手ブレによる像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を良好に行うことができる。
【0024】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(1−3)を満足することが好ましい。
(1−3)1.82 < ft/f1 < 3.00
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【0025】
条件式(1−3)は、望遠端状態における第1レンズ群の適正な焦点距離を規定する条件式である。条件式(1−3)を満足することにより、小型化と高い光学性能とを実現することができる。
【0026】
条件式(1−3)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、望遠端状態における球面収差、軸上色収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−3)の上限値を2.30とすることが好ましい。
【0027】
条件式(1−3)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が弱くなり、光学全長の大型化を招いてしまい、好ましくない。また、条件式(1−3)の対応値が下限値を下回った状態で光学全長を小型化するためには、第2レンズ群および第3レンズ群の屈折力を強めることとなり、その結果、コマ収差と非点収差とが悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−3)の下限値を1.90とすることが好ましい。
【0028】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(1−4)を満足することが好ましい。
(1−4)3.50 < ft/f3 < 5.90
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
【0029】
条件式(1−4)は、望遠端状態における第3レンズ群の適正な焦点距離を規定する条件式である。条件式(1−4)を満足することにより、小型化と高い光学性能とを実現することができる。
【0030】
条件式(1−4)の対応値が上限値を上回ると、第3レンズ群の屈折力が強くなり、球面収差、コマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−4)の上限値を5.60とすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(1−4)の上限値を5.50とすることが好ましい。
【0031】
条件式(1−4)の対応値が下限値を下回ると、第3レンズ群の屈折力が弱くなり、光学全長の大型化を招いてしまい、好ましくない。また、条件式(1−4)の対応値が下限値を下回った状態で光学全長を小型化するためには、第1レンズ群および第2レンズ群の屈折力を強めることとなり、その結果、球面収差、コマ収差、および像面湾曲が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−4)の下限値を4.50とすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(1−4)の下限値を4.90とすることが好ましい。
【0032】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(1−5)を満足することが好ましい。
(1−5)1.50 < fw/(−f2) < 2.50
ただし、
fw:広角端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
【0033】
条件式(1−5)は、広角端状態における第2レンズ群の適切な焦点距離を規定する条件式である。条件式(1−5)を満足することにより、高い光学性能を実現することができる。
【0034】
条件式(1−5)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、コマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−5)の上限値を2.10とすることが好ましい。
【0035】
条件式(1−5)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が弱くなり、充分な光量を得ることができなくなってしまい、好ましくない。充分な光量を確保しようとすると、第1レンズ群が大型化し、その結果、コマ収差が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1−5)の下限値を1.90とすることが好ましい。
【0036】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、前記第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正を行うことが好ましい。このような構成とすることにより、防振レンズ群の径を小型化でき、鏡筒全体を小型化することができる。
【0037】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系は、前記第1レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングが行われることが好ましい。このような構成とすることにより、合焦時の球面収差および像面湾曲の収差変動を効果的に補正することができる。
【0038】
また、本願の撮像装置は、上述した構成の第1実施形態に係る変倍光学系を備えている。これにより、小型で高い光学性能を備えた撮像装置を実現することができる。
【0039】
また、本願の第1実施形態に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動するように構成し、次の条件式(1−1)を満足するように構成するものである。
(1−1)0.400 < (TLt−TLw)/(−f2) < 0.880
ただし、
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系の全長
TLw:広角端状態における前記変倍光学系の全長
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0040】
斯かる変倍光学系の製造方法により、小型で高い光学性能を備えた変倍光学系を製造することができる。
【0041】
以下、本願の第2実施形態に係る変倍光学系、撮像装置、および光変倍学系の製造方法について説明する。まず、本願の第2実施形態に係る変倍光学系から説明する。
【0042】
本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有している。第1レンズ群は2つのレンズ成分からなり、第2レンズ群は2つのレンズ成分からなり、第3レンズ群は2つまたは5つまたは6つのレンズ成分からなっている。
このような構成により、光学全長の小型化を実現している。なお、光学全長とは、前記変倍光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の長さをいう。また、レンズ成分とは、単レンズまたは接合レンズのことをいう。
【0043】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、このような構成のもと、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動する。
このような構成により、変倍の際の収差変動、特に像面湾曲を良好に補正することができる。
【0044】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、このような構成のもと、前記第1レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
このような構成により、フォーカシングの際の収差変動、特に球面収差を良好に補正することができる。
【0045】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、このような構成のもと、次の条件式(2−1)を満足することが好ましい。
(2−1)6.00 < ft/(−f2) < 7.60
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0046】
条件式(2−1)は、望遠端状態における第2レンズ群の適切な焦点距離を規定する条件式である。条件式(2−1)を満足することにより、高い光学性能を実現することができる。
【0047】
条件式(2−1)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、コマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−1)の上限値を7.10とすることが好ましい。
【0048】
条件式(2−1)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が弱くなり、充分な光量を得ることができなくなってしまい、好ましくない。充分な光量を確保しようとすると、第1レンズ群が大型化し、その結果、コマ収差が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−1)の下限値を6.40とすることが好ましい。
【0049】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との少なくとも一部を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正を行うことが好ましい。このような構成とすることにより、手ブレによる像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を良好に行うことができる。
【0050】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(2−2)を満足することが好ましい。
(2−2)3.50 < ft/f3 < 5.90
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
【0051】
条件式(2−2)は、望遠端状態における第3レンズ群の適正な焦点距離を規定する条件式である。条件式(2−2)を満足することにより、小型化と高い光学性能とを実現することができる。
【0052】
条件式(2−2)の対応値が上限値を上回ると、第3レンズ群の屈折力が強くなり、球面収差、コマ収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−2)の上限値を5.60とすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−2)の上限値を5.50とすることが好ましい。
【0053】
条件式(2−2)の対応値が下限値を下回ると、第3レンズ群の屈折力が弱くなり、光学全長の大型化を招いてしまい、好ましくない。また、条件式(2−2)の対応値が下限値を下回った状態で光学全長を小型化するためには、第1レンズ群および第2レンズ群の屈折力を強めることとなり、その結果、球面収差、コマ収差、および像面湾曲が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−2)の下限値を4.50とすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−2)の下限値を4.90とすることが好ましい。
【0054】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(2−3)を満足することが好ましい。
(2−3)2.00 < f1/(−f2) < 3.50
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0055】
条件式(2−3)は、第2レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比を規定する条件式である。条件式(2−3)を満足することにより、変倍時の収差変動を抑え、高い光学性能を実現することができる。
【0056】
条件式(2−3)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、広角端状態におけるコマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−3)の上限値を3.40とすることが好ましい。
【0057】
条件式(2−3)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、望遠端状態における球面収差、軸上色収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−3)の下限値を2.50とすることが好ましい。
【0058】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、前記第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正を行うことが好ましい。このような構成とすることにより、防振レンズ群の径を小型化でき、鏡筒全体を小型化することができる。
【0059】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系は、次の条件式(2−4)を満足することが好ましい。
(2−4)0.400 < (TLt−TLw)/(−f2) < 0.880
ただし、
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系の光学全長
TLw:広角端状態における前記変倍光学系の光学全長
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0060】
条件式(2−4)は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際の、第2レンズ群の焦点距離に対する光学全長の変化量、すなわち第1レンズ群の繰り出し量を規定する条件式である。条件式(2−4)を満足することにより、光学性能を維持しつつ小型化を実現することができる。
【0061】
条件式(2−4)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群の屈折力が強くなり、コマ収差、非点収差の補正が困難となってしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−4)の上限値を0.870にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−4)の上限値を0.860にすることが好ましい。
【0062】
条件式(2−4)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が弱くなり、充分な光量を得ることができなくなってしまい、好ましくない。充分な光量を確保しようとすると、第1レンズ群が大型化し、その結果、コマ収差が悪化してしまい、好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2−4)の下限値を0.500にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2−4)の下限値を0.600にすることが好ましい。
【0063】
また、本願の撮像装置は、上述した構成の第2実施形態に係る変倍光学系を備えている。これにより、小型で高い光学性能を備えた撮像装置を実現することができる。
【0064】
また、本願の第2実施形態に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動するように構成し、前記第1レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行うように構成し、次の条件式(2−1)を満足するように構成するものである。
(2−1)6.00 < ft/(−f2) < 7.60
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0065】
斯かる変倍光学系の製造方法により、小型で高い光学性能を備えた変倍光学系を製造することができる。
【0066】
(数値実施例)
以下、本願の第1、第2実施形態の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。なお、第1〜第6実施例は、第1、第2実施形態に共通する実施例である。
【0067】
(第1実施例)
図1Aおよび
図1Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第1実施例に係る変倍光学系ZL1の構成を示す断面図であり、
図1Aは広角端状態を示し、
図1Bは望遠端状態を示している。
図1Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL1は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0068】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズとから構成されている。
【0069】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0070】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、開口絞りSと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、両凸レンズL36と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37とから構成されている。
【0071】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0072】
本実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0073】
本実施例に係る変倍光学系ZL1は、第3レンズ群G3を構成するレンズ成分のうち、正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0074】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL1は、第1レンズ群G1を構成するレンズ成分のうち、負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズをフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0075】
以下の表1に、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の諸元値を掲げる。
表1中の[面データ]において、mは物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、OPは物体面、Sは開口絞り、Iは像面をそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率d=1.00000の記載は省略している。
【0076】
[各種データ]において、fは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは光学全長、BFはバックフォーカスをそれぞれ示している。また、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態の各焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0077】
[可変間隔データ]において、di(iは整数)は第i面と第(i+1)面との面間隔をそれぞれ示す。また、fは焦点距離を示し、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態の各焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0078】
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面STと焦点距離fを示す。
[条件式対応値]には、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
【0079】
ここで、表1に記載されている焦点距離fや曲率半径r、およびその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0080】
(表1)第1実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 612.1430 2.90 1.51680 63.88
2) -277.5576 12.30
3) 52.9543 1.40 1.84666 23.80
4) 38.2262 6.20 1.48749 70.31
5) -328.7345 d5
6) -112.1355 1.20 1.69680 55.52
7) 19.1005 3.70 1.80518 25.45
8) 50.5611 2.55
9) -55.8178 1.20 1.77250 49.62
10) 193.6838 d10
11) 62.3977 3.50 1.60311 60.69
12) -62.3977 0.10
13) 29.6793 5.00 1.59282 68.69
14) -37.6135 1.10 1.78472 25.64
15) 166.8546 1.50
16) (S) ∞ 11.54
17) -174.6423 3.00 1.85026 32.35
18) -18.5976 1.10 1.77250 49.62
19) 33.5456 5.53
20) 43.1112 3.00 1.61720 53.97
21) -43.1112 7.40
22) -20.5806 1.20 1.79952 42.09
23) -36.8862 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 56.65 135.00 193.93
FNO 4.08 4.93 5.76
2ω 28.94 11.86 8.29
Y 14.25 14.25 14.25
TL 148.13 163.97 171.79
BF 39.47 52.80 65.87
[可変間隔データ]
W M T
f 56.65 135.00 193.93
d5 2.19 25.13 29.02
d10 31.04 10.62 1.48
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 94.79
G2 6 -28.34
G3 11 36.41
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.835
(1−2)f1/(−f2)=3.34
(1−3)ft/f1=2.05
(1−4)ft/f3=5.33
(1−5)fw/(−f2)=2.00
(2−1)ft/(−f2)=6.84
(2−2)ft/f3=5.33
(2−3)f1/(−f2)=3.34
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.835
【0081】
図2Aおよび
図2Bは第1実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図2Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図2Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図3Aおよび
図3Bは第1実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図3Aは広角端状態での横収差図を示し、
図3Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0082】
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示している。また、図中のdはd線(波長λ=587.6nm)での収差曲線を示し、gはg線(波長λ=435.8nm)での収差曲線を示し、記載のないものはd線での収差曲線を示す。球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示している。非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。コマ収差を示す収差図は、d線およびg線に対するメリディオナルコマ収差を表している。なお、以下に示す各実施例の諸収差図においても、本実施例と同様の符号を使用し、以降の説明を省略する。
【0083】
各収差図から明らかなように、第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0084】
(第2実施例)
図4Aおよび
図4Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第2実施例に係る変倍光学系ZL2の構成を示す断面図であり、
図4Aは広角端状態を示し、
図4Bは望遠端状態を示している。
図4Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL2は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0085】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズとから構成されている。
【0086】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0087】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、開口絞りSと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、両凸レンズL36と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37とから構成されている。
【0088】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0089】
本実施例に係る変倍光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0090】
本実施例に係る変倍光学系ZL2は、第3レンズ群G3を構成するレンズ成分のうち、正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0091】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL2は、第1レンズ群G1を構成するレンズ成分のうち、負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズをフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0092】
以下の表2に、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の諸元値を掲げる。
【0093】
(表2)第2実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 354.3437 2.90 1.51680 63.88
2) -354.3437 12.10
3) 53.5415 1.40 1.84666 23.80
4) 38.6340 6.17 1.48749 70.31
5) -339.2311 d5
6) -180.8776 1.20 1.69680 55.52
7) 18.8950 4.11 1.80518 25.45
8) 47.1527 2.54
9) -48.4021 1.00 1.77250 49.62
10) 189.6188 d10
11) 59.7109 3.80 1.60311 60.69
12) -59.7109 0.10
13) 27.1377 5.10 1.49782 82.57
14) -44.4450 1.00 1.80518 25.45
15) 328.7306 1.50
16) (S) ∞ 11.54
17) -131.5467 3.10 1.85026 32.35
18) -15.9850 1.00 1.79952 42.09
19) 39.3987 5.69
20) 51.6077 2.64 1.77250 49.62
21) -51.6077 7.75
22) -20.7941 1.10 1.77250 49.62
23) -39.0838 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 56.61 135.00 194.07
FNO 4.12 4.94 5.78
2ω 28.97 11.87 8.29
Y 14.25 14.25 14.25
TL 148.30 164.07 172.09
BF 39.90 52.90 66.23
[可変間隔データ]
W M T
f 56.61 135.00 194.07
d5 2.10 24.96 28.67
d10 30.56 10.48 1.44
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 94.19
G2 6 -27.78
G3 11 36.37
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.856
(1−2)f1/(−f2)=3.39
(1−3)ft/f1=2.06
(1−4)ft/f3=5.34
(1−5)fw/(−f2)=2.04
(2−1)ft/(−f2)=6.99
(2−2)ft/f3=5.34
(2−3)f1/(−f2)=3.39
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.856
【0094】
図5Aおよび
図5Bは第2実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図5Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図5Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図6Aおよび
図6Bは第2実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図6Aは広角端状態での横収差図を示し、
図6Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0095】
各収差図から明らかなように、第2実施例に係る変倍光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0096】
(第3実施例)
図7Aおよび
図7Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第3実施例に係る変倍光学系ZL3の構成を示す断面図であり、
図7Aは広角端状態を示し、
図7Bは望遠端状態を示している。
図7Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0097】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズとから構成されている。
【0098】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0099】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、開口絞りSと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、両凸レンズL36と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37とから構成されている。
【0100】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0101】
本実施例に係る変倍光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0102】
本実施例に係る変倍光学系ZL3は、第3レンズ群G3を構成するレンズ成分のうち、正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35とを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0103】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL3は、第1レンズ群G1を構成するレンズ成分のうち、負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズをフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0104】
以下の表3に、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の諸元値を掲げる。
【0105】
(表3)第3実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 306.0326 2.90 1.51680 63.88
2) -339.7962 12.13
3) 56.1912 1.40 1.84666 23.80
4) 40.2507 6.20 1.48749 70.31
5) -300.1780 d5
6) -114.0348 1.20 1.69680 55.52
7) 19.2118 3.80 1.80518 25.45
8) 47.9058 2.40
9) -48.6668 1.20 1.77250 49.62
10) 378.2718 d10
11) 117.7370 3.30 1.69680 55.52
12) -48.5775 0.10
13) 23.1922 5.00 1.49782 82.57
14) -51.2024 1.10 1.80518 25.45
15) 144.1914 1.50
16) (S) ∞ 12.27
17) -68.0139 2.00 1.82930 24.25
18) -24.1047 0.30
19) -25.2596 1.10 1.79952 42.09
20) 41.8712 5.00
21) 60.9585 3.00 1.63823 54.84
22) -39.3919 7.08
23) -17.5018 1.20 1.53326 65.34
24) -26.7545 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 56.65 135.00 194.00
FNO 4.07 4.90 5.64
2ω 28.83 11.82 8.26
Y 14.25 14.25 14.25
TL 147.91 164.38 171.52
BF 40.53 54.93 66.84
[可変間隔データ]
W M T
f 56.65 135.00 194.00
d5 2.25 24.49 29.00
d10 30.95 10.79 1.50
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 93.62
G2 6 -27.67
G3 11 37.38
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.853
(1−2)f1/(−f2)=3.38
(1−3)ft/f1=2.07
(1−4)ft/f3=5.19
(1−5)fw/(−f2)=2.05
(2−1)ft/(−f2)=7.01
(2−2)ft/f3=5.19
(2−3)f1/(−f2)=3.38
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.853
【0106】
図8Aおよび
図8Bは第3実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図8Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図8Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図9Aおよび
図9Bは第3実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図9Aは広角端状態での横収差図を示し、
図9Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0107】
各収差図から明らかなように、第3実施例に係る変倍光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0108】
(第4実施例)
図10Aおよび
図10Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第4実施例に係る変倍光学系ZL4の構成を示す断面図であり、
図10Aは広角端状態を示し、
図10Bは望遠端状態を示している。
図10Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL4は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0109】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凸レンズL12とから構成されている。
【0110】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0111】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、開口絞りSと、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、両凸レンズL36と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37とから構成されている。
【0112】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0113】
本実施例に係る変倍光学系ZL4は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0114】
本実施例に係る変倍光学系ZL4は、第3レンズ群G3を構成するレンズ成分のうち、正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0115】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL4は、第1レンズ群G1をフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0116】
以下の表4に、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の諸元値を掲げる。
【0117】
(表4)第4実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 66.2043 1.50 1.78472 25.64
2) 38.6129 0.10
3) 38.5039 6.82 1.69680 55.52
4) -505.3576 d4
5) -142.2751 1.20 1.77250 49.62
6) 20.5806 3.78 1.80518 25.45
7) 72.3294 2.68
8) -51.2794 1.10 1.77250 49.62
9) 222.7953 d9
10) 82.8878 3.30 1.49782 82.57
11) -48.3083 11.77
12) (S) ∞ 0.10
13) 29.3302 5.05 1.58913 61.22
14) -31.9440 1.10 1.80518 25.45
15) -941.3496 13.42
16) -63.2265 3.26 1.85026 32.35
17) -14.8054 1.10 1.77250 49.62
18) 42.1348 4.15
19) 75.4770 2.66 1.65844 50.83
20) -30.8029 6.51
21) -20.0203 1.40 1.80610 40.97
22) -36.5377 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 55.00 135.00 196.54
FNO 4.14 4.93 5.82
2ω 30.10 11.86 8.17
Y 14.25 14.25 14.25
TL 148.32 163.22 171.32
BF 40.85 53.88 68.78
[可変間隔データ]
W M T
f 55.00 135.00 196.54
d4 1.92 26.41 30.04
d9 34.55 11.94 1.50
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 91.10
G2 5 -28.85
G3 10 39.78
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.797
(1−2)f1/(−f2)=3.16
(1−3)ft/f1=2.16
(1−4)ft/f3=4.94
(1−5)fw/(−f2)=1.91
(2−1)ft/(−f2)=6.81
(2−2)ft/f3=4.94
(2−3)f1/(−f2)=3.16
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.797
【0118】
図11Aおよび
図11Bは第4実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図11Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図11Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図12Aおよび
図12Bは第4実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図12Aは広角端状態での横収差図を示し、
図12Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0119】
各収差図から明らかなように、第4実施例に係る変倍光学系ZL4は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0120】
(第5実施例)
図13Aおよび
図13Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第5実施例に係る変倍光学系ZL5の構成を示す断面図であり、
図13Aは広角端状態を示し、
図13Bは望遠端状態を示している。
図13Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL5は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0121】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズとから構成されている。
【0122】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0123】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、開口絞りSと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、両凸レンズL36と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37とから構成されている。
【0124】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0125】
本実施例に係る変倍光学系ZL5は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0126】
本実施例に係る変倍光学系ZL5は、第2レンズ群G2を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0127】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL5は、第1レンズ群G1を構成するレンズ成分のうち、負メニスカスレンズL12と両凸レンズL13との接合レンズをフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0128】
以下の表5に、第5実施例に係る変倍光学系ZL5の諸元値を掲げる。
【0129】
(表5)第5実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 612.1430 2.90 1.51680 63.88
2) -277.5576 12.30
3) 52.9543 1.40 1.84666 23.80
4) 38.2262 6.20 1.48749 70.31
5) -328.7345 d5
6) -112.1355 1.20 1.69680 55.52
7) 19.1005 3.70 1.80518 25.45
8) 50.5611 2.55
9) -55.8178 1.20 1.77250 49.62
10) 193.6838 d10
11) 62.3977 3.50 1.60311 60.69
12) -62.3977 0.10
13) 29.6793 5.00 1.59282 68.69
14) -37.6135 1.10 1.78472 25.64
15) 166.8546 1.50
16) (S) ∞ 11.54
17) -174.6423 3.00 1.85026 32.35
18) -18.5976 1.10 1.77250 49.62
19) 33.5456 5.53
20) 43.1112 3.00 1.61720 53.97
21) -43.1112 7.40
22) -20.5806 1.20 1.79952 42.09
23) -36.8862 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 56.65 135.00 193.93
FNO 4.08 4.93 5.76
2ω 28.94 11.86 8.29
Y 14.25 14.25 14.25
TL 148.13 163.97 171.79
BF 39.47 52.80 65.87
[可変間隔データ]
W M T
f 56.65 135.00 193.93
d5 2.19 25.13 29.02
d10 31.04 10.62 1.48
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 94.79
G2 6 -28.34
G3 11 36.41
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.835
(1−2)f1/(−f2)=3.34
(1−3)ft/f1=2.05
(1−4)ft/f3=5.33
(1−5)fw/(−f2)=2.00
(2−1)ft/(−f2)=6.84
(2−2)ft/f3=5.33
(2−3)f1/(−f2)=3.34
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.835
【0130】
図14Aおよび
図14Bは第5実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図14Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図14Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図15Aおよび
図15Bは第5実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図15Aは広角端状態での横収差図を示し、
図15Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0131】
各収差図から明らかなように、第5実施例に係る変倍光学系ZL5は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0132】
(第6実施例)
図16Aおよび
図16Bは、本願の第1、第2実施形態に共通の第6実施例に係る変倍光学系ZL6の構成を示す断面図であり、
図16Aは広角端状態を示し、
図16Bは望遠端状態を示している。
図16Aに示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL6は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0133】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凸レンズL12とから構成されている。
【0134】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合レンズと、両凹レンズL23とから構成されている。
【0135】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、開口絞りSと、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズとから構成されている。
【0136】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズと、両凸レンズL43と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44とから構成されている。
【0137】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0138】
本実施例に係る変倍光学系ZL6は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。開口絞りSは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群G3とともに移動する。
【0139】
本実施例に係る変倍光学系ZL6は、第4レンズ群G4を構成するレンズ成分のうち、正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズを防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより、像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。なお、該防振レンズ群は、負の屈折力を有している。
【0140】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL6は、第1レンズ群G1をフォーカスレンズ群として光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態へのフォーカシングを行っている。なお、該フォーカスレンズ群は、正の屈折力を有している。
【0141】
以下の表6に、第6実施例に係る変倍光学系ZL6の諸元値を掲げる。
【0142】
(表6)第6実施例
[面データ]
m r d nd νd
OP ∞
1) 66.2043 1.50 1.78472 25.64
2) 38.6129 0.10
3) 38.5039 6.82 1.69680 55.52
4) -505.3576 d4
5) -142.2751 1.20 1.77250 49.62
6) 20.5806 3.78 1.80518 25.45
7) 72.3294 2.68
8) -51.2794 1.10 1.77250 49.62
9) 222.7953 d9
10) 82.8878 3.30 1.49782 82.57
11) -48.3083 11.77
12) (S) ∞ 0.10
13) 29.3302 5.05 1.58913 61.22
14) -31.9440 1.10 1.80518 25.45
15) -941.3496 d15
16) -63.2265 3.26 1.85026 32.35
17) -14.8054 1.10 1.77250 49.62
18) 42.1348 4.15
19) 75.4770 2.66 1.65844 50.83
20) -30.8029 6.51
21) -20.0203 1.40 1.80610 40.97
22) -36.5377 (BF)
I ∞
[各種データ]
W M T
f 55.00 133.09 198.32
FNO 4.14 4.91 5.85
2ω 30.10 12.05 8.10
Y 14.25 14.25 14.25
TL 148.32 164.41 171.10
BF 40.85 55.07 68.56
[可変間隔データ]
W M T
f 55.00 133.09 198.32
d4 1.92 26.41 30.04
d9 34.55 12.94 1.10
d15 13.42 12.42 13.82
[レンズ群データ]
ST f
G1 1 91.10
G2 5 -28.85
G3 10 35.67
G4 12 -85.48
[各条件式対応値]
(1−1)(TLt−TLw)/(−f2)=0.790
(1−2)f1/(−f2)=3.16
(1−3)ft/f1=2.18
(1−4)ft/f3=5.56
(1−5)fw/(−f2)=1.91
(2−1)ft/(−f2)=6.87
(2−2)ft/f3=5.56
(2−3)f1/(−f2)=3.16
(2−4)(TLt−TLw)/(−f2)=0.790
【0143】
図17Aおよび
図17Bは第6実施例に係る変倍光学系の諸収差図であり、
図17Aは無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図を示し、
図17Bは無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図を示している。
図18Aおよび
図18Bは第6実施例に係る変倍光学系において、0.3°の回転ぶれに対して防振を行った場合の横収差図であり、
図18Aは広角端状態での横収差図を示し、
図18Bは望遠端状態での横収差図を示している。
【0144】
各収差図から明らかなように、第6実施例に係る変倍光学系ZL6は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0145】
以上説明したように、上記各実施例によれば、小型で高い光学性能を備えた変倍光学系を実現することができる。特に、3.0〜4.5倍程度のズーム比と広角端状態で22°以上の画角とを有し、さらに防振機能を備えた変倍光学系を実現することができる。また、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3の一部、または第4レンズ群G4の一部のレンズ成分を防振群とすることにより、防振群の径を小さくでき、鏡筒の小型化を実現することができる。なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0146】
本願の変倍光学系の数値実施例として3群構成または4群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、他の群構成(例えば5群等)の変倍光学系を構成することも可能である。具体的には、本願の変倍光学系の最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0147】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、あるいは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としても良い。合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0148】
また、本願の変倍光学系において、1つのレンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振撮影レンズとして機能させることが可能である。
【0149】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面または平面としても良く、あるいは非球面としても良い。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、レンズ加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防止することができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、またはガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも良い。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0150】
また、本願の変倍光学系の開口絞りSは第3レンズ群G3に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
【0151】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの光学性能を達成することができる。
【0152】
次に、本願の実施形態に係る変倍光学系を備えた撮像装置について説明する。
【0153】
図19は、本願の実施形態に係る変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。カメラ1は、
図19に示すように、撮影レンズ2として上記第1実施例に係る変倍光学系ZL1を備えたレンズ交換式の所謂ミラーレスカメラである。カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、不図示の光学ローパスフィルタを介して撮像部3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、撮像部3に設けられた光電変換素子により被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、カメラ1に設けられた電子ビューファインダ4に表示される。これにより撮影者は、電子ビューファインダ4を介して被写体を観察することができる。
【0154】
撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、撮像部3により光電変換された画像が不図示のメモリに記憶される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0155】
ここで、カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、小型で高い光学性能を有する変倍光学系である。したがって、小型で高い光学性能を備えたカメラ1を実現することができる。
【0156】
なお、上記第2〜第6実施例に係る変倍光学系ZL2〜ZL6の何れかを撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、ミラーレスカメラの例を説明したが、カメラ本体にクイックリターンミラーを有しファインダー光学系により被写体を観察する一眼レフタイプのカメラに上記各実施例に係る撮影レンズを搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0157】
次に、本願の第1実施形態に係る変倍光学系の製造方法について説明する。
図20は、本願の第1実施形態に係る変倍光学系の製造方法の概略を示すフロー図である。
【0158】
本願の第1実施形態に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
図20に示すように、以下の各ステップS1〜S2を含むものである。
ステップS1:広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動するように構成する。
ステップS2:次の条件式(1−1)を満足するように構成する。
(1−1)0.400 < (TLt−TLw)/(−f2) < 0.880
ただし、
TLt:望遠端状態における前記変倍光学系の全長
TLw:広角端状態における前記変倍光学系の全長
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0159】
斯かる本願の第1実施形態の変倍光学系の製造方法によれば、広角端状態から望遠端状態まで良好な光学性能を有する小型の変倍光学系を製造することができる。
【0160】
次に、本願の第2実施形態に係る変倍光学系の製造方法について説明する。
図21は、本願の第2実施形態に係る変倍光学系の製造方法の概略を示すフロー図である。
【0161】
本願の第2実施形態に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
図21に示すように、以下の各ステップS1〜S3を含むものである。
ステップS1:広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化するように前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とが移動するように構成する。
ステップS2:前記第1レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行うように構成する。
ステップS3:次の条件式(2−1)を満足するように構成する。
(2−1)6.00 < ft/(−f2) < 7.60
ただし、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系全系の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0162】
斯かる本願の第2実施形態の変倍光学系の製造方法によれば、広角端状態から望遠端状態まで良好な光学性能を有する小型の変倍光学系を製造することができる。