特許第6391294号(P6391294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391294ウェーハ、及びウェーハの製造方法、並びにデバイスチップの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391294
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ウェーハ、及びウェーハの製造方法、並びにデバイスチップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180910BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20180910BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20180910BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01L21/78 L
   H01L27/04 T
   H01L27/04 H
   H01L21/66 Y
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-101155(P2014-101155)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-220266(P2015-220266A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】松崎 栄
【審査官】 高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−096693(JP,A)
【文献】 特開2011−014605(JP,A)
【文献】 特開2012−221984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0277765(US,A1)
【文献】 特開平04−251960(JP,A)
【文献】 特開2012−015256(JP,A)
【文献】 特開平11−040520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/66
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハであって、
基板と、
該基板上の複数の分割予定ラインで区画された領域に形成された複数のデバイスと、
該基板上に形成され該デバイスの配線を含む配線層と、を備え、
該基板には、
該デバイスをそれぞれ囲繞するように該基板の上面側から形成され、該基板を分割して得られるデバイスチップの仕上げ厚みに対応する深さの複数のテーパー形状の溝と、
該溝の表面を被覆し、不純物となる金属の拡散を防ぐ拡散防止膜と、
該溝の内部に充填され、該仕上げ厚みに対応する深さのバリア部と、が設けられており、
互いに隣接する2個の該デバイスをそれぞれ囲繞する2つの該溝の間の該バリア部が設けられていない領域に該分割予定ラインが位置していることを特徴とするウェーハ。
【請求項2】
互いに隣接する第一デバイスと第二デバイスの間には、該第一デバイスを囲繞する第一バリア部と、該第二デバイスを囲繞する第二バリア部との間において該基板上にTEGが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェーハ。
【請求項3】
ウェーハの製造方法であって、
基板上の複数の分割予定ラインで区画された領域に複数のデバイスを形成するデバイス形成ステップと、
該デバイス形成ステップを実施した後、該デバイスをそれぞれ囲繞するように該基板の上面側から複数のテーパー形状の溝を形成する溝形成ステップと、
該溝形成ステップで形成された該溝の表面を、不純物となる金属の拡散を防ぐ拡散防止膜で被覆してから、該溝の内部にバリア部材を充填してバリア部を形成するバリア部形成ステップと、
該バリア部形成ステップを実施した後、該基板の上面側に該デバイスの配線を含む配線層を形成する配線層形成ステップと、を備え、
該溝形成ステップでは、互いに隣接する2個の該デバイスをそれぞれ囲繞する2つの該溝の間の該バリア部が形成されない領域に該分割予定ラインが位置するように、該基板を分割して得られるデバイスチップの仕上げ厚みに対応する深さの該溝を形成し、
該バリア部形成ステップでは、該仕上げ厚みに対応する深さの該バリア部を形成することを特徴とするウェーハの製造方法。
【請求項4】
該デバイス形成ステップでは、第一デバイスを囲繞する該溝形成ステップで形成される第一溝と、第二デバイスを囲繞する該溝形成ステップで形成される第二溝との間において該基板上にTEGを形成することを特徴とする請求項3に記載のウェーハの製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のウェーハの製造方法を用いるデバイスチップの製造方法であって、
該配線層形成ステップを実施した後、該基板を個々の該デバイスと該デバイスをそれぞれ囲繞するバリア部とを備えた該デバイスチップへと分割する分割ステップと、を備えたことを特徴とするデバイスチップの製造方法。
【請求項6】
該基板を該仕上げ厚みに薄化する薄化ステップを更に備えたことを特徴とする請求項5に記載のデバイスチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス及び配線層を含むウェーハ、及び当該ウェーハの製造方法、並びにデバイスチップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC等のデバイスチップを製造する際には、例えば、基板(半導体基板)にトランジスタ等の素子を含むデバイスを作り込み、その後、素子間を繋ぐ配線層を形成している。デバイス及び配線層が形成されたウェーハは、ストリート(分割予定ライン)に沿って切削、又はレーザー加工されて、各デバイスに対応する複数のデバイスチップへと分割される。
【0003】
通常、ウェーハの表面側には、IC等を構成するデバイスの他に、TEG(Test Elements Group)等と呼ばれる試験用の素子が形成されている。このTEGは、試験の後には不要となるため、デバイスの形成領域を最大限に確保できるように、ストリートと重なる領域に形成されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−349926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したウェーハを切削又はレーザー加工すると、物理的又は熱的なダメージによって配線層は高い確率で剥離してしまう。また、配線層との界面において、基板が欠けてしまうこともある。配線層の剥離や基板の欠けがデバイスにまで達すると、当該デバイスは動作しなくなる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デバイスの不良を防止できるウェーハ、及び当該ウェーハの製造方法、並びにデバイスチップの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ウェーハであって、基板と、該基板上の複数の分割予定ラインで区画された領域に形成された複数のデバイスと、該基板上に形成され該デバイスの配線を含む配線層と、を備え、該基板には、該デバイスをそれぞれ囲繞するように該基板の上面側から形成され、該基板を分割して得られるデバイスチップの仕上げ厚みに対応する深さの複数のテーパー形状の溝と、該溝の表面を被覆し、不純物となる金属の拡散を防ぐ拡散防止膜と、該溝の内部に充填され、該仕上げ厚みに対応する深さのバリア部と、が設けられており、互いに隣接する2個の該デバイスをそれぞれ囲繞する2つの該溝の間の該バリア部が設けられていない領域に該分割予定ラインが位置していることを特徴とするウェーハが提供される。
【0008】
本発明に係るウェーハにおいて、互いに隣接する第一デバイスと第二デバイスの間には、該第一デバイスを囲繞する第一バリア部と、該第二デバイスを囲繞する第二バリア部との間において該基板上にTEGが形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、ウェーハの製造方法であって、基板上の複数の分割予定ラインで区画された領域に複数のデバイスを形成するデバイス形成ステップと、該デバイス形成ステップを実施した後、該デバイスをそれぞれ囲繞するように該基板の上面側から複数のテーパー形状の溝を形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップで形成された該溝の表面を、不純物となる金属の拡散を防ぐ拡散防止膜で被覆してから、該溝の内部にバリア部材を充填してバリア部を形成するバリア部形成ステップと、該バリア部形成ステップを実施した後、該基板の上面側に該デバイスの配線を含む配線層を形成する配線層形成ステップと、を備え、該溝形成ステップでは、互いに隣接する2個の該デバイスをそれぞれ囲繞する2つの該溝の間の該バリア部が形成されない領域に該分割予定ラインが位置するように、該基板を分割して得られるデバイスチップの仕上げ厚みに対応する深さの該溝を形成し、該バリア部形成ステップでは、該仕上げ厚みに対応する深さの該バリア部を形成することを特徴とするウェーハの製造方法が提供される。
【0011】
本発明のウェーハの製造方法において、該デバイス形成ステップでは、第一デバイスを囲繞する該溝形成ステップで形成される第一溝と、第二デバイスを囲繞する該溝形成ステップで形成される第二溝との間において該基板上にTEGを形成することが好ましい。
【0013】
また、本発明によれば、前記ウェーハの製造方法を用いるデバイスチップの製造方法であって、該配線層形成ステップを実施した後、該基板を個々の該デバイスと該デバイスをそれぞれ囲繞するバリア部とを備えたデバイスチップへと分割する分割ステップと、を備えたことを特徴とするデバイスチップの製造方法が提供される。
【0014】
本発明のデバイスチップの製造方法において、該基板を該仕上げ厚みに薄化する薄化ステップを更に備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のウェーハは、各デバイスを囲むバリア部を備えているので、加工に伴う物理的又は熱的なダメージが加わっても、バリア部より内側(デバイス側)の領域に配線層の剥離や基板の欠けが進行することはない。よって、配線層の剥離や基板の欠けに起因するデバイスの不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は、本実施形態に係るウェーハを模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、ウェーハの表面側を模式的に示す平面図である。
図2図2(A)は、本実施形態に係るウェーハを模式的に示す断面図であり、図2(B)は、変形例に係るウェーハを模式的に示す断面図である。
図3図3(A)は、デバイス形成ステップを模式的に示す断面図であり、図3(B)は、溝形成ステップを模式的に示す断面図であり、図3(C)は、バリア部形成ステップにおいて拡散防止膜が形成される様子を模式的に示す断面図である。
図4図4(A)は、バリア部形成ステップにおいてバリア部材が充填される様子を模式的に示す断面図であり、図4(B)は、配線層形成ステップを模式的に示す断面図であり、図4(C)は、分割ステップにおいて配線層等の一部が除去される様子を模式的に示す断面図である。
図5図5(A)は、分割ステップにおいて分割溝が形成される様子を模式的に示す断面図であり、図5(B)は、分割ステップにおいてウェーハが薄化される様子(薄化ステップ)を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るウェーハの構成例について説明する。図1(A)は、本実施形態に係るウェーハを模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、ウェーハの表面側を模式的に示す平面図であり、図2(A)は、ウェーハを模式的に示す断面図である。
【0018】
図1(A)に示すように、本実施形態のウェーハ11は、円盤状の基板13を含み、その表面(上面)側は、中央のデバイス領域と、デバイス領域を囲む外周余剰領域とに分けられている。基板13は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる半導体基板である。デバイス領域は、格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)15でさらに複数の領域に区画されており、各領域にはIC等のデバイス17aが形成されている。
【0019】
各デバイス17aの周りには、図1(B)に示すように、平面視において各デバイス17aを囲むバリア部19が設けられている。バリア部19は、基板13の表面側に設けられた溝13a(図3(B)参照)にバリア部材19a(図4(A)参照)を充填して形成されている。また、バリア部19は、基板13の表面からデバイスチップの仕上げ厚みに至る深さに形成されている。
【0020】
隣接する2個のデバイス(第一デバイスと第二デバイス)17aを囲むバリア部19の間には、試験用の素子であるTEG(Test Elements Group)17bが形成されている。すなわち、TEG17bは、バリア部(第一バリア部)19とバリア部(第二バリア部)19との間に位置するストリート15上に設けられている。このように、TEG17bをストリート15上に配置することで、デバイス17aの形成領域を確保してデバイスチップの取り数を最大化できる。
【0021】
図2(A)に示すように、基板13の表面側には、デバイス17aやTEG17bを覆う配線層21が設けられている。配線層21は、デバイス17aに含まれる素子を繋ぐ配線や、配線間を絶縁する層間絶縁膜等を含む。配線層21の上面には、デバイス17aや配線層21を保護するパッシベーション23が形成されている。
【0022】
なお、図2(A)では、バリア部19を、パッシベーション23の上面から測定したデバイスチップの仕上げ厚みTに達する深さに形成している。これにより、デバイスチップの周囲の広い範囲をバリア部19で覆うことができ、分割の際にデバイスチップの側面で発生する欠け(クラック)の伸長を抑制できる。その結果、デバイスチップの破損や抗折強度の低下を適切に防止できる。
【0023】
また、図2(A)に示すように、デバイスチップとなる領域の周囲を拡散防止膜18で覆うと好ましい。これにより、デバイス17aに金属等の不純物が進入するのを防止できる。この効果は、例えば、プラズマエッチングを利用してウェーハ11を分割するプラズマダイシングのように、デバイスチップの側面にゲッタリング機能を持つ歪みが形成されない分割方法を採用する場合に、特に有用である。
【0024】
ただし、バリア部19の深さは、図2(A)に示す態様に限定されない。図2(B)は、変形例に係るウェーハ11を模式的に示す断面図である。図2(B)に示すように、バリア部19を、デバイスチップの仕上げ厚みTに達しない所定の深さに形成することもできる。
【0025】
このように、本実施形態に係るウェーハ11は、各デバイス17aを囲むバリア部19を備えるので、加工に伴う物理的又は熱的なダメージが加わっても、バリア部19より内側(デバイス17a側)の領域に配線層21の剥離や基板13の欠けが進行することはない。よって、配線層21の剥離や基板13の欠けに起因するデバイス17aの不良を防止できる。
【0026】
また、本実施形態に係るウェーハ11では、バリア部19を、デバイスチップの仕上げ厚みTに達する深さに形成しているので、デバイスチップの周囲の広い範囲をバリア部19で覆うことができ、分割の際にデバイスチップの側面で発生する欠けの伸長をより適切に抑制できる。その結果、デバイスチップの破損や抗折強度の低下を適切に防止できる。さらに、拡散防止膜18によって、デバイス17aへの金属等の不純物の進入を防ぐことができる。
【0027】
次に、ウェーハの製造方法及びデバイスチップの製造方法について説明する。本実施形態に係るウェーハの製造方法は、デバイス形成ステップ(図3(A)参照)、溝形成ステップ(図3(B)参照)、バリア部形成ステップ(図3(C)、図4(A)参照)、及び配線層形成ステップ(図4(B)参照)を含む。
【0028】
また、本実施形態に係るデバイスチップの製造方法は、上述したウェーハの製造方法の各ステップに加え、分割ステップ(図4(C)、図5(A)、図5(B)参照)を含んでいる。なお、本実施形態の分割ステップには、基板13を薄く加工する薄化ステップが含まれている。
【0029】
本実施形態に係るウェーハの製造方法では、まず、基板13上に複数のデバイス17aを形成するデバイス形成ステップを実施する。図3(A)は、デバイス形成ステップを模式的に示す断面図である。デバイス形成ステップでは、基板13に対して成膜、熱処理、エッチング等の各種処理を施し、図3(A)に示すように、ストリート15で区画された複数の領域にトランジスタ等の素子を含むデバイス17aを形成する。
【0030】
また、ストリート15と重なる領域には、TEG17bを形成する。このTEG17bは、後の溝形成ステップで形成される2つの溝(第一溝と第二溝)13aで挟まれる領域に形成される。なお、本実施形態では、デバイス17aとともにTEG17bを形成しているが、TEG17bは必ずしも形成されなくて良い。
【0031】
デバイス形成ステップを実施した後には、デバイス17aの周りを囲む複数の溝13aを形成する溝形成ステップを実施する。図3(B)は、溝形成ステップを模式的に示す断面図である。溝形成ステップでは、後のバリア部形成ステップで形成されるバリア部19に対応した深さの溝13aをエッチング(フォトエッチング)等の方法で形成する。
【0032】
すなわち、本実施形態では、図3(B)に示すように、デバイスチップの仕上げ厚みT(図2(A)参照)に達する深さの複数の溝13aを形成する。ただし、図2(B)に示すように、デバイスチップの仕上げ厚みTに達しない深さのバリア部19を形成する場合には、デバイスチップの仕上げ厚みTに達しない深さの溝13aを形成すれば良い。
【0033】
このように形成される複数の溝13aにより、各デバイス17aの周りは囲まれる。また、上述のように、TEG17bは、隣接する2個のデバイス17aを囲む2つの溝13aで挟まれた領域に位置付けられる。なお、溝13aは、底に向かって幅の狭くなるテーパー形状に形成されることが好ましい。
【0034】
例えば、バリア部19を酸化ケイ素(SiO)等の材料で形成(成膜)する場合に、溝13aの幅を一定(ストレート形状)にすると、溝13aの下部をバリア部材19aで埋める前に溝13aの上部に位置する開口が閉じられてしまう。その結果、バリア部19は中空に形成されることになる。
【0035】
これに対して、溝13aを、底に向かって幅の狭くなるテーパー形状に形成すれば、溝13a開口が閉じられる前に溝13aの下部をバリア部材19aで十分に埋めることができる。このように、バリア部19が中空に形成されるのを防ぐためには、溝13aをテーパー形状に形成することが好ましい。
【0036】
溝形成ステップを実施した後には、バリア部19を拡散防止膜18とともに形成するバリア部形成ステップを実施する。図3(C)は、バリア部形成ステップにおいて拡散防止膜18が形成される様子を模式的に示す断面図であり、図4(A)は、バリア部形成ステップにおいてバリア部材19aが充填される様子を模式的に示す断面図である。
【0037】
バリア部形成ステップでは、まず、図3(C)に示すように、不純物となる金属等の拡散を防ぐ拡散防止膜18を、溝13aを含む基板13の表面側に形成する。拡散防止膜18は、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属を用いたスパッタ等の方法で形成される。
【0038】
具体的には、例えば、30nm程度の厚みのタンタル膜と、20nm程度の厚みの窒化タンタル(TaN)膜との積層体を、拡散防止膜18として用いると良い。また、チタン膜と、窒化チタン(TiN)膜との積層体を拡散防止膜18として用いることもできる。
【0039】
溝13aを含む基板13の表面側に拡散防止膜18を形成した後には、溝13aの内部にバリア部材19aを充填する。バリア部材19aとしては、例えば、酸化ケイ素(SiO)を用いることができる。具体的には、例えば、プラズマCVD等の方法で、溝13aを含む基板13の表面側に酸化ケイ素を堆積する。
【0040】
上述のように、溝13aをテーパー形状にしておくことで、溝13aの内部にバリア部材19aを適切に充填できる。溝13aの内部にバリア部材19aを充填した後には、CMP等の方法でバリア部材19aの上面側を平坦化し、エッチング(フォトエッチング)等の方法でバリア部材19a及び拡散防止膜18を部分的に除去する。
【0041】
具体的には、溝13a以外の領域を被覆しているバリア部材19a及び拡散防止膜18を除去する(図4(B)参照)。これにより、各デバイス17aを囲み、デバイスチップの仕上げ厚みTに達する深さのバリア部19を拡散防止膜18とともに形成できる。
【0042】
バリア部形成ステップを実施した後には、デバイス17a及びTEG17bを覆う配線層21を形成する配線層形成ステップを実施する。図4(B)は、配線層形成ステップを模式的に示す断面図である。配線層形成ステップでは、例えば、スパッタ、エッチング等の各種処理を実施して、デバイス17aに含まれる素子の電極等に接続された複数の配線を形成する。
【0043】
また、配線間を絶縁する層間絶縁膜等を形成する。配線や層間絶縁膜等を含む配線層21を形成した後には、配線層21の上面を覆うパッシベーション23を形成する。以上のステップで、図1(A)、図1(B)、及び図2(A)に示すウェーハ11を製造できる。
【0044】
上述したウェーハの製造方法を用いるデバイスチップの製造方法では、配線層形成ステップを実施した後に、ウェーハ11を複数のデバイスチップへと分割する分割ステップを実施する。
【0045】
図4(C)は、分割ステップにおいて配線層21等の一部が除去される様子を模式的に示す断面図であり、図5(A)は、分割ステップにおいて分割溝が形成される様子を模式的に示す断面図であり、図5(B)は、分割ステップにおいてウェーハ11が薄化される様子(薄化ステップ)を模式的に示す断面図である。
【0046】
本実施形態の分割ステップでは、まず、図4(C)に示すように、ストリート15を被覆する配線層21等を除去する。具体的には、例えば、ウェーハ11の表面側にレーザービームを照射して、ストリート15と重なるパッシベーション23、配線層21、TEG17b等をアブレーションで除去する。なお、レーザービームを照射する前には、パッシベーション23の上面にレーザー加工用の保護膜25を形成しておくと良い。
【0047】
ストリート15を被覆するパッシベーション23、配線層21、TEG17b等を除去した後には、図5(A)に示すように、ストリート15に沿う分割溝13bを仕上げ厚みTに至る深さに形成する。この分割溝13bは、例えば、上述した保護膜25をマスクとして用いるプラズマエッチング等の方法で形成できる。
【0048】
分割溝13bを形成した後には、図5(B)に示すように、基板13の裏面(下面)側を研削してウェーハ11を仕上げ厚みTまで薄くするとともに、複数のデバイスチップ31へと分割する(薄化ステップ)。なお、保護膜25は、分割溝13bの形成後に除去しておくと良い。以上のステップで、複数のデバイスチップ31を製造できる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、プラズマエッチング等の方法を用いた分割溝13bの形成と、研削による薄化とを組み合わせて、ウェーハ11を複数のデバイスチップ31へと分割しているが、本発明の分割ステップはこれに限定されない。
【0050】
例えば、切削ブレードを用いる切削や、レーザービームの照射によるアブレーション等を利用してウェーハ11(基板13)を分割しても良い。また、基板13に吸収され難い波長のレーザービームを集光してストリート15に沿う改質層を形成した後に、外力を付与して複数のデバイスチップ31へと分割することもできる。
【0051】
また、上記実施形態では、バリア部19とともに拡散防止膜18を形成しているが、必ずしも拡散防止膜18を形成しなくて良い。なお、拡散防止膜18は、金属による汚染への対策として極めて有用である。
【0052】
その他、上記実施形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0053】
11 ウェーハ
13 基板
13a 溝
13b 分割溝
15 ストリート(分割予定ライン)
17a デバイス
17b TEG
18 拡散防止膜
19 バリア部
19a バリア部材
21 配線層
23 パッシベーション
25 保護膜
31 デバイスチップ
図1
図2
図3
図4
図5