(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして先端側の前記導体を露出させた電線先端部を備えた被覆電線と、前記電線先端部の圧着接続を許容するクローズドバレル型の圧着部を備えた圧着端子とを、前記圧着部で前記電線先端部を圧着して接続する接続構造体の製造方法であって、
帯状に形成されたキャリアに対して、該キャリアの短手方向に沿って前記圧着端子の前記圧着部が連結されるとともに、前記キャリアの長手方向に所定間隔を隔てて複数の前記圧着端子が連結されて端子連結帯が構成され、
前記圧着部を圧着する圧着箇所に搬送された前記圧着端子を前記端子連結帯における前記キャリアから分離するとともに、前記圧着端子を前記キャリアから分離したキャリアカット手段が分離後に前記圧着部の開口を閉塞しない位置に回避するキャリアカット工程と、
前記キャリアから分離された、前記圧着箇所にある前記圧着端子に対して前記被覆電線を移動させて、少なくとも前記電線先端部を前記圧着部に挿入する電線挿入工程と、
前記電線先端部が挿入された、前記圧着箇所にある前記圧着部を圧着して圧着接続する圧着工程とを、この順で行う
接続構造体の製造方法。
導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記導体を露出させた電線先端部を備えた被覆電線と、前記電線先端部の圧着接続を許容するクローズドバレル型の圧着部を備えた圧着端子とを、前記圧着部で前記電線先端部を圧着して接続する接続構造体の製造装置であって、
帯状に形成されたキャリアに対して、該キャリアの短手方向に沿って前記圧着端子の前記圧着部が連結されるとともに、前記キャリアの長手方向に所定間隔を隔てて複数の前記圧着端子が連結されて端子連結帯が構成され、
前記圧着部を圧着する圧着箇所に搬送された前記圧着端子を前記端子連結帯における前記キャリアから分離するとともに、分離後に前記圧着部の開口を閉塞しない位置に回避するキャリアカット手段と、
前記キャリアから分離された、前記圧着箇所にある前記圧着端子に対して前記被覆電線を移動させて、少なくとも前記電線先端部を前記圧着部に挿入する電線挿入手段と、
前記電線先端部が挿入された、前記圧着箇所にある前記圧着部を圧着して圧着接続する圧着手段とを備え、
前記キャリアカット手段で前記キャリアから分離するとともに、分離された前記圧着端子の前記圧着部に対して、前記被覆電線を移動させて少なくとも前記電線先端部を挿入し、
前記電線先端部が挿入された、前記圧着箇所にある前記圧着部を前記圧着手段で圧着して圧着接続する
接続構造体の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、クローズドバレル型の圧着部で導体部分を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体を効率よく製造する接続構造体の製造方法
、及び接続構造体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、導体を絶縁被覆で被覆し、先端側の前記絶縁被覆を剥がして先端側の前記導体を露出させた電線先端部を備えた被覆電線と、前記電線先端部の圧着接続を許容するクローズドバレル型の圧着部を備えた圧着端子とを、前記圧着部で前記電線先端部を圧着して接続する接続構造体の製造方法であって、帯状に形成されたキャリアに対して、該キャリアの短手方向に沿って前記圧着端子の前記圧着部が連結されるとともに、前記キャリアの長手方向に所定間隔を隔てて複数の前記圧着端子が連結されて端子連結帯が構成され、前記圧着部を圧着する圧着箇所に搬送された前記圧着端子を前記端子連結帯における前記キャリアから分離するとともに、前記圧着端子を前記キャリアから分離したキャリアカット手段が分離後に前記圧着部の開口を閉塞しない位置に回避するキャリアカット工程と、前記キャリアから分離された、前記圧着箇所にある前記圧着端子に対して前記被覆電線を移動させて、少なくとも前記電線先端部を前記圧着部に挿入する電線挿入工程と、前記電線先端部が挿入された、前記圧着箇所にある前記圧着部を圧着して圧着接続する圧着工程とを、この順で行うことを特徴とする。
【0010】
上記圧着端子は、断面中空形状の圧着部を有するクローズドバレル型の端子であり、一対構成した端子組における他方の端子の接続部との接続を許容する接続部を有する接続端子、あるいは圧着部のみで構成する端子であることを含む。
【0011】
この発明により、クローズドバレル型の圧着部で導体部分を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体を効率よく製造することができる。
詳述すると、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、分離後に前記圧着部の開口を閉塞しない位置に回避するキャリアカット手段によって端子連結帯から分離した、前記圧着箇所にある前記圧着端子に対して前記被覆電線を移動させて、圧着端子の、前記圧着部に被覆電線を挿入して圧着することで、例えば、鋳造等の方法でそれぞれを単独で製造する圧着端子を用いる場合と比較して、被覆電線を挿入する圧着端子を効率よく供給できる。このため、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、接続構造体を効率よく製造することができる。
【0012】
また、帯状に形成されたキャリアに対して、オープンバレル型である圧着部を有する圧着端子が、キャリアの長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された端子連結帯の場合、キャリアに対する圧着端子の連結方向と、圧着部への被覆電線の挿入方向とが異なる。このため、例えば、端子連結帯からの圧着端子を分離する際の分離手段が、圧着部への被覆電線の挿入に支障することなく、圧着部への被覆電線の挿入と、端子連結帯からの圧着端子の分離とを同時に行うことができる。
【0013】
これに対して、クローズドバレル型である圧着部がキャリアに連結された端子連結帯では、キャリアに対する圧着端子の連結方向と、圧着部への被覆電線の挿入方向とが同方向となるため、端子連結帯からの圧着端子を分離する際の分離手段が、クローズドバレル型の圧着部への被覆電線の挿入に支障することとなる。加えて、被覆電線を挿入したクローズドバレル型の圧着部を、分離手段によって被覆電線を損傷することなく端子連結帯から分離することも困難である。
【0014】
しかしながら、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、端子連結帯から分離した、前記圧着箇所にある前記圧着端子に対して前記被覆電線を移動させて、前記圧着部に被覆電線を挿入して圧着するため、分離手段が圧着部への被覆電線の挿入に支障することなく、接続構造体を効率よく製造することができる。
【0015】
従って、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、クローズドバレル型の圧着部で導体部分を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体を効率よく製造することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記圧着端子は、ボックス部と、該ボックス部の後方で、所定の長さのトランジション部を介して配置された前記圧着部とが一体に構成されるとともに、前記キャリアカット工程において、前記圧着端子における前記ボックス部又はトランジション部を保持した前記保持手段が掴み直すことなく、接続構造体の排出まで行うまで行うことができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記被覆電線と前記圧着端子とを圧着して接続した前記接続構造体を不良と判定すると切断する不良品除去工程を行うことができる。
【0018】
この発明の態様として、所定位置に配置された前記被覆電線の先端側の前記絶縁被覆を剥がして前記電線先端部を構成する被覆ストリップ工程を、前記キャリアカット工程より先に行うことができる。
【0019】
この発明により、接続構造体をさらに、効率よく製造することができる。
詳述すると、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、所定位置に配置された被覆電線の先端側の絶縁被覆を剥がして電線先端部を構成する被覆ストリップ工程を、キャリアカット工程より先に行う、つまり一旦被覆電線を所定配置に配置すると、導体が露出する電線先端部を構成するとともに、その後の一連の工程を行うことができる。
【0020】
これにより、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、例えば、ストリップする被覆電線を一旦、所定位置にセットするだけで、その後の工程を連続して行うことができる。このため、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、接続構造体をさらに、効率よく製造することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記絶縁被覆における前記圧着部への前記電線先端部の挿入長さに応じた所定位置に目印をマーキングするマーキング工程を、前記被覆ストリップ工程と前記キャリアカット工程との間に行い、前記圧着工程後に、前記目印を用いて、前記圧着部への前記電線先端部の圧着状態を検査する検査工程を行うことができる。
【0022】
上記圧着状態を検査するとは、例えば、クローズドバレル型の圧着部に対する電線先端部の挿入長さ、つまり所定位置まで電線先端部を挿入できているか否かの検査、圧着部に挿入できずに折り返されて圧着部から出ている素線の有無の検査、あるいは圧着部に対して被覆電線が曲がって圧着されているか否かの検査など、導電性や耐久性等の接続構造体の品質に係る事項に関する検査を行うことを示している。
また、上記検査は、目視による検査や、例えば、画像処理やセンサ等による検出に基づく機械的な検査を含むものとする。
【0023】
この発明により、導電性や耐久性等などを確実に得ることができる高品質な接続構造体を製造することができる。
詳しくは、例えば、被覆ストリップ工程によって絶縁被覆を剥がす際、絶縁被覆の先端と導体の先端とに位置ズレが生じることがある。このため、被覆ストリップ工程前にマーキング工程を行う場合、絶縁被覆の先端からの長さに基づいて所定位置を決定することで、被覆ストリップ工程後の目印の位置が所望する位置とは異なる位置となり、圧着部に対する電線先端部の挿入長さが不足して、安定した導電性を確保した接続構造体を製造できないおそれがある。
【0024】
これに対して、被覆ストリップ工程後にマーキング工程を行うことで、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、電線先端部の先端からの長さに基づいて所定位置を決定することができるため、所望する位置に正確に目印をマーキングすることができる。
【0025】
そして、圧着工程後に、マーキング工程でマーキングされた目印を用いて、圧着部への電線先端部の圧着状態を検査するため、例えば、クローズドバレル型の圧着部に対する所定位置まで電線先端部を挿入できていない、あるいは、圧着部への電線先端部の挿入時に、導体を構成する素線の一部が引っ掛かって折り返された状態で圧着されているなどの導電性が低下する要因となる不具合を、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、絶縁被覆にマーキングされた目印を用いることで容易に判別することができる。
【0026】
さらに、圧着部に対して被覆電線が曲がって圧着されているなどの耐久性が低下する要因となる不具合を、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、絶縁被覆にマーキングされた目印を用いることで容易に判別することができる。
したがって、接続構造体の製造方法、及び接続構造体の製造装置は、導電性や耐久性等などが確実に得ることができる高品質な接続構造体を製造することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記導体を、アルミ系材料で構成するとともに、少なくとも前記圧着部を、銅系材料で構成することができる。
上記銅系材料は、銅、銅合金等で構成することができ、また、アルミ系材料で構成する導体は、アルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の芯線や素線を撚った撚線で構成することができる。
【0028】
この発明により、銅線による導体を有する被覆電線に比べて軽量化を図るとともに、安定した導電性を有する接続構造体を効率よく製造することができる。
ところで、被覆電線の導体に従来用いられていた銅系材料をアルミニウムあるいはアルミニウム合金などのアルミ系材料に置き換え、そのアルミ系材料製の導体を圧着端子に圧着した場合においては、端子材料の錫めっき、金めっき、銅合金等の貴な金属との接触により、卑な金属であるアルミ系材料が腐食される現象、すなわち電食が問題となることがある。
【0029】
なお、電食とは、貴な金属と卑な金属とが接触している部位に水分が付着すると、腐食電流が生じ、卑な金属が腐食、溶解、消失等する現象である。この現象により、圧着端子の圧着部に圧着されたアルミ系材料製の導体が腐食、溶解、消失し、やがては電気抵抗が上昇する。その結果、十分な導電機能を果たせなくなるという問題があった。
【0030】
これに対して、クローズドバレル型の圧着部における開口を、別体のシール部材によってシールする、あるいは加締めることによって封止することで、接続構造体の製造方法は、圧着部の内部への水分に侵入に対する止水性を容易に確保することができる。このため、接続構造体の製造方法は、銅系材料による導体を有する被覆電線に比べて軽量化を図りながら、いわゆる電食を防止する接続構造体を製造することができる。
従って、接続構造体の製造方法は、被覆電線の導体を構成する金属種によらず、軽量化を図って、安定した導電性を確保できる接続構造体を製造することができる。
【0031】
またこの発明は、上述した接続構造体の製造方法で製造した接続構造体を複数本束ねるとともに、前記接続構造体における圧着端子を、コネクタハウジング内に装着したワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明により、安定した導電性を確保するとともに、効率よく製造された接続構造体によって、良好な導電性を確保したワイヤーハーネスを構成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、クローズドバレル型の圧着部で導体部分を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体を効率よく製造する接続構造体の製造方法
、及び接続構造体の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、本実施形態における接続構造体1について、
図1から
図4を用いて詳しく説明する。
なお、
図1は接続構造体1を説明する説明図を示し、
図2は圧着部230における溶接について説明する説明図を示し、
図3は端子連結帯300、及び被覆電線100における上方からの平面図を示し、
図4は
図3中のA−A矢視断面図を示している。さらに、
図1(a)は接続構造体1の前方上方視からの外観斜視図を示し、
図1(b)は接続構造体1を構成する被覆電線100及び圧着端子200の前方上方視からの外観斜視図を示している。
【0035】
また、
図1中において、矢印Xは前後方向を示し(以下「前後方向X」とする)、矢印Yは幅方向を示している(以下、「幅方向Y」とする)。さらに、前後方向Xにおいて、後述するボックス部210側(
図1中の左側)を前方とし、ボックス部210に対して後述する被覆電線100側(
図1中の右側)を後方とする。加えて、
図1中の上側を上方とし、
図1中の下側を下方とする。
【0036】
接続構造体1は、
図1(a)に示すように、被覆電線100と圧着端子200とを圧着接続して構成している。
被覆電線100は、
図1(b)に示すように、複数のアルミニウム素線101aを束ねたアルミニウム芯線101を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆102で被覆して構成している。例えば、アルミニウム芯線101は、断面が0.75mm
2となるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0037】
さらに、被覆電線100は、先端から前後方向Xに所定の長さだけ絶縁被覆102を剥がしてアルミニウム芯線101を露出させることで電線先端部103を構成している。加えて、被覆電線100における絶縁被覆102の上方側表面には、電線先端部103の先端から所定の長さの位置において、被覆電線100の周方向に略線状の目印104を設けている。なお、目印104については、後ほど詳しく説明する。
【0038】
圧着端子200は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、メス型端子であり、前後方向Xの前方から後方に向かって、図示省略するオス型端子のオスタブの挿入を許容するボックス部210と、ボックス部210の後方で、所定の長さのトランジション部220を介して配置された圧着部230とを一体に構成している。
【0039】
この圧着端子200は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部210と後方視略O型の圧着部230とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、圧着部230を溶接して構成したクローズドバレル型の端子である。
【0040】
ボックス部210は、
図1及び
図2に示すように、底面部211の前後方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部212の一方を、他方の端部に重なり合うように折り曲げて、前後方向Xの前方側から見て略矩形の倒位の中空四角柱体で構成されている。
【0041】
さらに、ボックス部210の内部には、底面部211における前後方向Xの前方側を延設して、前後方向Xの後方に向かって折り曲げて形成され、挿入されるオス型端子の挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片213を備えている(
図4参照)。
【0042】
圧着部230は、
図1、
図2及び
図4に示すように、絶縁被覆102を圧着する被覆圧着部231と、電線先端部103を圧着する導体圧着部232と、導体圧着部232より前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させた封止部233とを一体にして構成している。
【0043】
この圧着部230は、
図2に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を被覆電線100の外径と略同等、もしくは被覆電線100の外径より僅かに大きい内径で被覆電線100の外周を包囲するように丸めるとともに、丸めた端部230a,230b同士を突き合わせて前後方向Xの溶接個所W1に沿って溶接して後方視略O型に形成している。換言すると、圧着部230は、幅方向Yにおける断面形状を閉断面形状に形成している。
【0044】
さらに、圧着部230の封止部233は、
図2及び
図4に示すように、圧着部230の前後方向Xの前端を閉塞するように幅方向Yの溶接個所W2に沿って溶接して封止している。
つまり、圧着部230は、前後方向Xの前端、及び端部230a,230b同士を溶着して閉塞して、前後方向Xの後方に開口を有する略筒状に形成している。
【0045】
このような圧着端子200が、圧着端子200の幅方向Yを長手方向とする略帯状のキャリア250に複数連結して端子連結帯300を構成している。より詳しくは、端子連結帯300は、
図3及び
図4に示すように、平面視において、圧着端子200の長手方向である前後方向Xに対して、キャリア250の長手方向と直交する短手方向が略一致するように、圧着端子200における圧着部230の後方下端がキャリア250に連結されている。そして、端子連結帯300は、キャリア250の長手方向に所定の間隔を隔てて複数の圧着端子200を連結している。
【0046】
この端子連結帯300は、略平板状の銅合金条を打ち抜き加工して略帯状のキャリア250と平面展開した端子形状部分とが連結した形状に形成された銅合金条における端子形状部分を立体的な端子形状に曲げ加工することで、圧着端子200を複数連結した状態を構成している。
【0047】
このような端子連結帯300における圧着端子200に被覆電線100を圧着接続して接続構造体1を製造する製造装置10、及び接続構造体1を製造する製造工程について、
図5から
図9を用いて詳しく説明する。
【0048】
なお、
図5は製造装置10における上方からの平面図を示し、
図6は製造工程の動作のフローチャートを示し、
図7は圧着工程部15におけるキャリアカット工程を説明する説明図を示し、
図8は圧着工程部15における電線挿入工程を説明する説明図を示し、
図9は圧着工程部15における圧着工程を説明する説明図を示している。
また、
図6では詳細な図示を省略しているが、製造工程の動作において、後述する搬送工程部17によって被覆電線100及び接続構造体1を次工程に搬送する搬送工程が、各工程間において行われるものとする。
【0049】
また、
図7(a)はキャリアカット工程における第1段階の断面図を示し、
図7(b)はキャリアカット工程における最終段階の断面図を示し、
図8(a)は電線挿入工程における断面図を示し、
図8(b)は電線挿入工程における側面図を示し、
図9(a)は圧着工程における第1段階の断面図を示し、
図9(b)は圧着工程における最終段階の断面図を示している。さらに、
図7から
図9において、要部を明確にするため、圧着端子200におけるボックス部210の図示を省略している。
【0050】
まず、接続構造体1を製造する製造装置10は、
図5に示すように、先端検出工程部11と、被覆ストリップ工程部12と、マーキング工程部13と、検査工程部14と、圧着工程部15と、不良品除去工程部16とをこの順番で配置して構成している。なお、製造装置10には、先端検出工程部11から不良品除去工程部16までの間を移動可能に構成し、被覆電線100及び接続構造体1を搬送する搬送手段である搬送工程部17を備えている。
【0051】
先端検出工程部11は、接触センサなどで構成し、搬送された被覆電線100の先端の位置を検出する機能を有している。
被覆ストリップ工程部12は、例えば、上下二分割された断面略V字状の被覆除去刃型(図示省略)や被覆除去刃型を所定の方向に移動させる移動機構(図示省略)などで構成し、搬送された被覆電線100の先端から所定の長さの絶縁被覆102を取り除いてアルミニウム芯線101を露出させる機能を有している。
【0052】
マーキング工程部13は、塗料タンク(図示省略)や塗料を噴出する噴出口(図示省略)などで構成し、被覆電線100における所定の位置に対して塗料を噴出して目印をマーキングする機能を有している。
検査工程部14は、イメージセンサー(図示省略)などで構成し、搬送された被覆電線100における先端近傍を上方から撮像して画像データを取得するとともに、撮像した画像データに基づいて被覆電線100における先端近傍の状態を検出する機能を有している。
【0053】
圧着工程部15は、端子連結帯300を搬送する搬送機構(図示省略)、ボックス部210を保持する保持機構(図示省略)、圧着部230を圧着する圧着刃型41(
図9参照)、端子連結帯300から圧着端子200を分離する分離刃型40(
図7参照)、及び圧着刃型41や分離刃型40を所定の方向に移動させる移動機構(図示省略)などで構成している。この圧着工程部15は、端子連結帯300を搬送する機能と、搬送された端子連結帯300から圧着端子200を分離する機能と、圧着部230に挿入された被覆電線100を圧着する機能とを有している。
【0054】
なお、圧着刃型41は、
図9に示すように、上下二分割された上刃型41a及び下刃型41bで構成され、上下方向で組み合わせた際、圧着状態における圧着部230の外形形状に応じた内面形状に形成されている。
また、分離刃型40は、
図7に示すように、圧着端子200における圧着部230の開口を部分的に閉塞するような断面略矩形であって、端子連結帯300のキャリア250が挿通するスリット部40aを有する形状に形成されている。
【0055】
不良品除去工程部16は、被覆電線100を切断する切断刃型(図示省略)、及び切断刃型を所定の方向に移動させる移動機構(図示省略)などで構成し、圧着状態などが不良と判定された接続構造体1における被覆電線100を切断する機能を有している。
【0056】
搬送工程部17は、被覆電線100を保持する保持機構(図示省略)や、保持機構を移動する移動機構(図示省略)などで構成し、被覆電線100を保持する機能と、保持した被覆電線100を各工程に搬送する機能と、前後方向Xに被覆電線100を搬送する機能とを有している。なお、搬送工程部17は、後述する電線セット工程において被覆電線100の先端を検出すると、製造装置10から接続構造体1を排出するまで被覆電線100を掴み直すことなく搬送するものとする。
【0057】
引き続き、このような製造装置10を用いて接続構造体1を製造する製造工程の動作について説明する。
製造工程を開始すると、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、搬送方向C1に被覆電線100を移動させて先端検出工程部11に搬送する。
【0058】
そして、製造装置10は、
図6に示すように、前後方向Xにおける製造装置10に対する被覆電線100の位置を決定する電線セット工程を開始する(ステップS21)。詳しくは、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、先端検出工程部11が被覆電線100の先端を検出するまで被覆電線100の前後方向Xにおける前方、すなわち先端検出工程部11に向けて被覆電線100を移動させる。
【0059】
先端検出工程部11が被覆電線100の先端を検出すると、搬送工程部17は、製造装置10に対する前後方向Xの位置を維持したまま搬送方向C2に被覆電線100を移動させて被覆ストリップ工程部12に搬送する。
【0060】
被覆ストリップ工程部12に被覆電線100が搬送されると、製造装置10は、
図6に示すように、被覆電線100の絶縁被覆102を剥ぎ取る被覆ストリップ工程を開始する(ステップS22)。詳しくは、製造装置10の指示により被覆ストリップ工程部12は、搬送工程部17により固定された被覆電線100に向けて移動するとともに、被覆電線100の先端から所定の長さの位置を被覆除去刃型で挟持する。
【0061】
その後、被覆ストリップ工程部12は、被覆電線100から離間する方向に移動することで、絶縁被覆102の一部を被覆除去刃型で剥ぎ取ってアルミニウム芯線101を露出させて電線先端部103を形成する。絶縁被覆102を剥ぎ取ると、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、製造装置10に対する前後方向Xの位置を維持したまま搬送方向C3に被覆電線100を移動させてマーキング工程部13に搬送する。
【0062】
マーキング工程部13に被覆電線100が搬送されると、製造装置10は、
図6に示すように、絶縁被覆102に目印104を塗布するマーキング工程を開始する(ステップS23)。詳しくは、製造装置10の指示によりマーキング工程部13は、電線先端部103の先端から前後方向Xへ所定の長さの位置を検出し、当該位置において、被覆電線100の周方向に塗料を塗布して目印104を形成する。
【0063】
なお、電線先端部103からの所定の長さの位置は、圧着部230に被覆電線100を挿入した際、圧着部230の内部後端に対応する絶縁被覆102の位置とする。
絶縁被覆102に目印104を形成すると、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、製造装置10に対する前後方向Xの位置を維持したまま搬送方向C4に被覆電線100を移動させて検査工程部14に搬送する。
【0064】
検査工程部14に被覆電線100が搬送されると、製造装置10は、
図6に示すように、被覆ストリップの状態を検出するストリップミス検出工程を開始する(ステップS24)。詳しくは、製造装置10の指示により検査工程部14は、
図5に示すように、被覆電線100の先端近傍を撮像して画像データとして取得するとともに、取得した画像データをもとに絶縁被覆102の剥ぎ取り状態、あるいは電線先端部103におけるアルミニウム芯線101のばらけ具合などを検出する。
【0065】
この際、製造装置10は、絶縁被覆102が所望する長さ除去されていない、換言すると電線先端部103が所望する長さでないなどの不具合がある場合、当該被覆電線100を排除する。一方、絶縁被覆102の剥ぎ取り状態が正常であるなど不具合がない場合、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、製造装置10に対する前後方向Xの位置を維持したまま搬送方向C5に被覆電線100を移動させて圧着工程部15に搬送する。
【0066】
圧着工程部15に被覆電線100が搬送されると、製造装置10は、
図6に示すように、端子連結帯300から圧着端子200を分離するキャリアカット工程を開始する(ステップS25)。詳しくは、製造装置10の指示により圧着工程部15は、
図7(a)に示すように、圧着工程部15の内部に端子連結帯300を搬送するとともに、圧着端子200の圧着部230の開口と被覆電線100とが対向するように端子連結帯300を搬送する。
【0067】
この際、圧着工程部15は、分離刃型40のスリット部40aに端子連結帯300のキャリア250を挿通するようにして搬送する。その後、圧着工程部15は、ボックス部210を保持したのち、
図7(b)に示すように、分離方向F1に分離刃型40を移動させるとともに、スリット部40aでキャリア250を分離方向F1に押圧する。これにより、圧着工程部15は、端子連結帯300からキャリア250をせん断するように切断して圧着端子200とキャリア250とを分離する。
【0068】
圧着端子200とキャリア250とが分離すると、製造装置10は、
図6に示すように、圧着端子200に被覆電線100を挿入する電線挿入工程を開始する(ステップS26)。詳しくは、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図8(a)に示すように、前後方向Xにおける前方に向けて所定の距離だけ被覆電線100を移動させて、ボックス部210が保持された圧着端子200における圧着部230に被覆電線100を挿入する。
【0069】
この際、搬送工程部17は、圧着部230の径方向中心に対して被覆電線100の径方向中心を合わせる、あるいは別体で構成したガイド部材などを介して、圧着部230の径方向中心に対して被覆電線100の径方向中心が略一致するように被覆電線100を圧着部230に挿入する。
【0070】
なお、圧着端子200の圧着部230に対して、被覆電線100の電線先端部103が正常に挿入された場合、
図8(b)に示すように、被覆電線100の目印104は、圧着部230の内部に位置するようになる。
【0071】
圧着部230に被覆電線100が挿入されると、製造装置10は、
図6に示すように、ボックス部210が保持された圧着端子200と被覆電線100とを圧着する圧着工程を開始する(ステップS27)。詳しくは、製造装置10の指示により圧着工程部15は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、圧着方向F2に移動させた圧着刃型41で圧着部230を挟持するようにして加締めて、電線先端部103と導体圧着部232とを導通可能に圧着接続するとともに、被覆圧着部231を加締めて接続構造体1を構成する。その後、圧着工程部15は、ボックス部210の保持を解放する。
【0072】
端子連結帯300から分離した圧着端子200と被覆電線100とを圧着接続すると、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、搬送方向C6に接続構造体1を移動させて検査工程部14に搬送する。
【0073】
検査工程部14に接続構造体1が搬送されると、製造装置10は、
図6に示すように、接続構造体1の圧着状態が正常であるか否かを判定する検査工程を開始する(ステップS28)。詳しくは、製造装置10の指示により検査工程部14は、接続構造体1の圧着部230近傍を撮像して画像データとして取得するとともに、取得した画像データをもとに圧着部230における圧着状態の良否を検出する。
【0074】
例えば、画像データから圧着部230の割れの有無を検出し、割れがある場合、圧着不良であると判定する。あるいは、圧着部230から目印104が露出している場合、圧着部230に対する被覆電線100の挿入長さが短く、電線先端部103が導体圧着部232に到達していない状態で圧着された圧着不良と判定する。もしくは、圧着状態における圧着部230の高さまたは/及び幅を検出するとともに、それぞれの所定の値と比較して圧着状態の良否を判定する。
【0075】
接続構造体1の圧着状態が正常であれば(ステップS29:Yes)、製造装置10は、接続構造体1が正常品であると判定し、接続構造体1を製造装置10から排出する排出工程を開始する(ステップS30)。詳しくは、製造装置10の指示により搬送工程部17は、搬送方向C7に接続構造体1を移動させて完成品として製造装置10から所定の場所に排出する。
【0076】
一方、接続構造体1の圧着状態が不良であれば(ステップS29:No)、製造装置10の指示により搬送工程部17は、
図5に示すように、搬送方向C8に接続構造体1を移動させて不良品除去工程部16に搬送する。
【0077】
接続構造体1を不良品除去工程部16に搬送すると、製造装置10は、当該接続構造体1を正常品と分別して除去する不良品除去工程を開始する(ステップS31)。詳しくは、製造装置10の指示より不良品除去工程部16は、
図5に示すように、搬送工程部17により固定された被覆電線100に向けて移動するとともに、接続構造体1の先端から所定の長さの位置における被覆電線100を切断刃型で切断して、圧着状態における圧着端子200を分離する。
【0078】
その後、搬送工程部17は、圧着端子200が切断された被覆電線100を搬送方向C9に移動させて正常品とは異なる場所に分別して排出する。
圧着状態の良否に基づいて分別した接続構造体1を所定の場所に排出するとともに、全ての圧着端子200と被覆電線100との圧着接続を完了すると、製造装置10は、製造工程を終了する。
【0079】
このようにして製造した接続構造体1は、例えば、
図10に示すように、複数本束ねるとともに、圧着端子200をコネクタハウジング3の内部に装着されることでワイヤーハーネス2を構成する。
なお、
図10は、ワイヤーハーネス2とワイヤーハーネス4との接続対応状態の外観斜視図を示し、
図10中においてワイヤーハーネス4を二点鎖線で図示している。
【0080】
より詳しくは、ワイヤーハーネス2は、複数本の接続構造体1と、メス型コネクタハウジング3とで構成されている。
メス型コネクタハウジング3は、圧着端子200を長手方向Xに沿って装着可能な複数のキャビティを内部に有して、幅方向Yにおける断面形状が略矩形状のボックス形状に形成している。このようなメス型コネクタハウジング3の内部に対して、上述した圧着端子200で構成した複数の接続構造体1を長手方向Xに沿って装着してワイヤーハーネス2を構成する。
【0081】
このワイヤーハーネス2が雌雄嵌合するワイヤーハーネス4は、メス型コネクタハウジング3に対応するオス型コネクタハウジング5を備え、メス型コネクタハウジング3と同様に、圧着端子を装着可能な複数の開口を内部に有して、幅方向Yにおける断面形状が略矩形状であって、メス型コネクタハウジング3に対して凹凸対応して接続可能に形成している。
【0082】
このようなオス型コネクタハウジング5の内部に対して、図示を省略するオス型の圧着端子で構成した接続構造体1を長手方向Xに沿って装着してワイヤーハーネス4を構成する。
そして、メス型コネクタハウジング3とオス型コネクタハウジング5とを嵌合することで、ワイヤーハーネス2とワイヤーハーネス4とを接続する。
【0083】
以上のような動作を実現する接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、クローズドバレル型の圧着部230で電線先端部103を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体1を効率よく製造することができる。
【0084】
詳述すると、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、端子連結帯300から分離した圧着端子200に対して被覆電線100を挿入して圧着することで、例えば、鋳造等の方法でそれぞれを単独で製造する圧着端子を用いる場合と比較して、被覆電線100を挿入する圧着端子200を効率よく供給できる。このため、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、接続構造体1を効率よく製造することができる。
【0085】
また、帯状に形成されたキャリアに対して、オープンバレル型である圧着部を有する圧着端子が、キャリアの長手方向に所定間隔を隔てて複数配置された端子連結帯の場合、キャリアに対する圧着端子の連結方向と、圧着部への被覆電線100の挿入方向とが異なる。このため、例えば、端子連結帯からの圧着端子を分離する際の分離刃型40が、圧着部への被覆電線100の挿入に支障することなく、圧着部への被覆電線100の挿入と、端子連結帯からの圧着端子の分離とを同時に行うことができる。
【0086】
これに対して、クローズドバレル型である圧着部230がキャリア250に連結された端子連結帯300では、キャリア250に対する圧着端子200の連結方向と、圧着部230への被覆電線100の挿入方向とが同方向となるため、端子連結帯300からの圧着端子200を分離する際の分離刃型40が、クローズドバレル型の圧着部230への被覆電線100の挿入に支障することとなる。加えて、被覆電線100を挿入したクローズドバレル型の圧着部230を、分離刃型40によって被覆電線100を損傷することなく端子連結帯300から分離することも困難である。
【0087】
しかしながら、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、端子連結帯300から分離した圧着端子200に対して被覆電線100を挿入して圧着するため、分離刃型40が圧着部230への被覆電線100の挿入に支障することなく、接続構造体1を効率よく製造することができる。
【0088】
従って、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、クローズドバレル型の圧着部230で電線先端部103を確実に圧着して、安定した導電性を有する接続構造体1を効率よく製造することができる。
【0089】
また、被覆ストリップ工程を、キャリアカット工程より先に行うことにより、接続構造体1をさらに、効率よく製造することができる。
詳述すると、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、所定位置に配置された被覆電線100の先端側の絶縁被覆102を剥がして電線先端部103を構成する被覆ストリップ工程を、キャリアカット工程より先に行う、つまり一旦被覆電線100を所定配置に配置すると、アルミニウム芯線101が露出する電線先端部103を構成するとともに、その後の一連の工程を行うことができる。
【0090】
これにより、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、例えば、ストリップする被覆電線100を一旦、所定位置にセットするだけで、その後の工程を連続して行うことができる。このため、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、接続構造体1をさらに、効率よく製造することができる。
【0091】
またマーキング工程を、被覆ストリップ工程とキャリアカット工程との間に行い、圧着工程後に検査工程を行うことにより、導電性や耐久性等などを確実に得ることができる高品質な接続構造体1を製造することができる。
詳しくは、例えば、被覆ストリップ工程によって絶縁被覆102を剥がす際、絶縁被覆102の先端とアルミニウム芯線101の先端とに位置ズレが生じることがある。このため、被覆ストリップ工程前にマーキング工程を行う場合、絶縁被覆102の先端からの長さに基づいて所定位置を決定することで、被覆ストリップ工程後の目印104の位置が所望する位置とは異なる位置となり、圧着部230に対する電線先端部103の挿入長さが不足して、安定した導電性を確保した接続構造体1を製造できないおそれがある。
【0092】
これに対して、被覆ストリップ工程後にマーキング工程を行うことで、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、電線先端部103の先端からの長さに基づいて所定位置を決定することができるため、所望する位置に正確に目印104をマーキングすることができる。
【0093】
そして、圧着工程後に、マーキング工程でマーキングされた目印104を用いて、圧着部230への電線先端部103の圧着状態を検査するため、例えば、クローズドバレル型の圧着部230に対する所定位置まで電線先端部103を挿入できていない、あるいは、圧着部230への電線先端部103の挿入時に、アルミニウム芯線101を構成するアルミニウム素線101aの一部が引っ掛かって折り返された状態で圧着されているなどの導電性が低下する要因となる不具合を、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、絶縁被覆102部にマーキングされた目印104を用いることで容易に判別することができる。
【0094】
さらに、圧着部230に対して被覆電線100が曲がって圧着されているなどの耐久性が低下する要因となる不具合を、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、絶縁被覆102部にマーキングされた目印104を用いることで容易に判別することができる。
したがって、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、導電性や耐久性等などが確実に得ることができる高品質な接続構造体1を製造することができる。
【0095】
また、被覆電線100の導体を、アルミニウム合金で構成するとともに、圧着部230を銅合金で構成することにより、銅線による導体を有する被覆電線に比べて軽量化を図るとともに、安定した導電性を有する接続構造体1を効率よく製造することができる。
【0096】
さらに、クローズドバレル型の圧着部230における前方開口を封止部233によって封止するとともに、圧着状態における被覆圧着部231が絶縁被覆102を押圧することで、接続構造体1の製造方法は、圧着部230の内部への水分に侵入に対する止水性を容易に確保することができる。このため、接続構造体1の製造方法は、銅合金による導体を有する被覆電線100に比べて軽量化を図りながら、いわゆる電食を防止する接続構造体1を製造することができる。
従って、接続構造体1の製造方法は、被覆電線100の導体を構成する金属種によらず、軽量化を図って、安定した導電性を確保できる接続構造体1を製造することができる。
【0097】
また、上述した接続構造体1の製造方法で製造した複数の接続構造体1を束ねるとともに、接続構造体1における圧着端子200を、メス型コネクタハウジング3内に装着したことにより、安定した導電性を確保するとともに、効率よく製造された接続構造体1によって、良好な導電性を確保したワイヤーハーネス2を構成することができる。
【0098】
なお、上述の実施形態において、被覆電線100における芯線をアルミニウム合金としたが、これに限定せず、黄銅等の銅合金製の芯線、アルミニウム合金の外周面を銅合金で被覆した芯線、あるいは導電性を有する適宜の金属線で構成した芯線などとしてもよい。
また、圧着端子200を黄銅等の銅合金としたが、これに限定せず、圧着端子200をアルミニウム合金、あるいは導電性を有する適宜の金属などで構成してもよい。
【0099】
また、圧着端子200をメス型の圧着端子としたが、これに限定せず、メス型の圧着端子に対して前後方向Xに嵌合するオス型の圧着端子であってもよい。あるいは、ボックス部210ではなく略U字状あるいは環状の平板などであってもよい。もしくは、圧着部230のみで構成した圧着端子200であってもよい。
【0100】
また、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めた端部230a,230b同士を突き合わせて溶着して圧着部230を形成したが、これに限定せず、重ね合わせた端部230a,230bを溶着して一体にした閉断面形状の圧着部であってもよい。
また、圧着部230を円筒状に形成したが、これに限定せず、被覆電線100を挿入可能な閉断面形状であれば適宜の形状としてもよい。例えば、別の圧着部230のA−A矢視断面図を示す
図11のように、被覆圧着部231の直径と導体圧着部232の直径とが異なる段付き形状の圧着部230としてもよい。
【0101】
また、圧着部230の前端に封止部233を形成したが、これに限定せず、圧着部230の前端を別部材でシールしてもよい。あるいは、
図11(a)に示すように、導体圧着部232より前方端部を略平板状に押し潰すとともに、幅方向Yに沿って略凹状に押圧した凹溝233aを一体的に形成した封止部233としてもよい。
【0102】
もしくは、
図11(b)に示すように、導体圧着部232より前方端部を略波型状に押し潰して、幅方向Yに沿って複数形成した凹溝233bによって封止した封止部233としてもよい。あるいは、
図11(c)に示すように、ほぞ232cとほぞ溝232dとを備え、導体圧着部232より前方端部を押し潰すとともに、ほぞ233cをほぞ溝233dに嵌合した封止部233としてもよい。なお、封止部233を設けず長手方向Xの両端が開口した圧着部としてもよい。
【0103】
また、圧着端子200における圧着部230の後方下端とキャリア250とを連結して端子連結帯300を構成したが、これに限定せず、圧着部230の後方端における任意の箇所、あるいはボックス部210の前方端における任意の箇所とキャリア250とを連結して端子連結帯300を構成してもよい。もしくは、圧着部230のみで構成した圧着端子の場合、圧着部230における前方端、あるいは後方端における任意の箇所とキャリア250とを連結して端子連結帯300を構成してもよい。
【0104】
また、絶縁被覆102に塗料を塗布した目印104としたが、これに限定せず、レーザーによって絶縁被覆102の表面を変色させた目印、あるいは絶縁被覆102に貼り付けたシールなどによる目印としてもよい。なお、目印は、1つだけでなく、例えば前後方向Xに複数備えていてもよい。
【0105】
また、圧着部230の内部後端に対応する位置に目印104を設けたが、これに限定せず、正常な圧着状態において圧着部230の後端から露出する位置に目印104を設けてもよい。さらに、複数の目印104を設けてもよい。この際、
図6のステップS29の検査工程において、外部から確認できる目印104の位置や数によって圧着状態を検査するようにしてもよい。例えば、被覆電線100を圧着部230に挿入した際、一方が圧着部230の内部に位置して、他方が圧着部230から露出する位置にそれぞれ目印104を設けた場合、ステップS29の検査工程において、目印104が2つとも検出されると、圧着部230に対する被覆電線100の挿入長さが不足していると判定し、目印104が2つとも検出できなければ、圧着部230に対して被覆電線100を挿入しすぎていると判定できる。
【0106】
また、電線セット工程を先端検出工程部11で行い、被覆ストリップ工程を被覆ストリップ工程部12で行ったが、これに限定せず、電線セット工程と被覆ストリップ工程とを同一装置を用いてこの順番で行ってもよい。
また、搬送工程が各工程間において行われるとしたが、これに限定せず、製造装置10の構成に応じて適宜のタイミングで行われるようにしてもよい。例えば、先端検出工程部11で先端の位置を検出した被覆電線100に対して、被覆ストリップ工程部12が移動して被覆ストリップ工程を行う構成の場合、電線セット工程と被覆ストリップ工程との間における搬送工程を不要にしてもよい。
また、被覆ストリップ工程をキャリアカット工程より前に行ったが、被覆ストリップ工程を電線挿入工程より前に行ってもよい。
【0107】
また、検査工程部14において、画像データによる圧着状態の検査を行ったが、これに限定せず、目視による圧着状態の検査などであってもよい。
また、検査工程部14において、搬送された被覆電線100を上方から撮像した画像データに基づいて検査したが、これに限定せず、搬送された被覆電線100を正面視で撮像した画像データに基づいて検査する構成であってもよい。
【0108】
また、ストリップミス検出工程において、絶縁被覆102の剥ぎ取り状態、アルミニウム芯線101のばらけ具合などを検査したが、これに限定せず、電線先端部103の露出長さや、目印104の位置なども検査対象としてもよい。
【0109】
また、圧着工程部15において、キャリアカット工程(
図6のステップS25)、電線挿入工程(
図6のステップS26)、及び圧着工程(
図6のステップS27)を、適宜の方法によって連動して行うようにしてもよい。
例えば、キャリアカット工程を開始すると、分離刃型40(
図7参照)の移動に連動して圧着刃型41が移動開始し、端子連結帯300から圧着端子200が分離すると、電線挿入工程を開始して圧着部230に被覆電線100を挿入し、被覆電線100が挿入されると圧着部230の圧着が開始するようにしてもよい。これにより、端子連結帯300からの圧着端子200の分離と、圧着部230への被覆電線100の圧着とをより効率よく行うことができる。
【0110】
また、圧着工程部15において、圧着端子200の上下方向から分離刃型40によって端子連結帯300から圧着端子200を分離するとともに、圧着刃型41によって圧着部230に被覆電線100を圧着したが、これに限定せず、圧着端子200の幅方向Yから分離刃型40によって端子連結帯300から圧着端子200を分離するとともに、圧着刃型41によって圧着部230に被覆電線100を圧着してもよい。
【0111】
この場合においても、被覆電線100を損傷することなく、端子連結帯300からの圧着端子200の分離と、圧着部230への被覆電線100の圧着とをより効率よく行うことができる。
【0112】
また、圧着工程部15において、ボックス部210を保持したが、これに限定せず、圧着端子200における任意の箇所、例えば、トランジション部220などを保持するようにしてもよい。
あるいは、圧着部230を圧着刃型41で保持するようにしてもよい。具体的には、キャリアカット工程(
図6のステップS25)において、端子連結帯300の圧着端子200における圧着部230を、圧着刃型41で軽く挟み込んで保持する。
【0113】
この状態において、分離刃型40を分離方向F1に移動させて、製造装置10は、端子連結帯300をキャリア250と圧着端子200とに分離する。その後、圧着部230を圧着刃型41で保持したまま、製造装置10は、電線挿入工程(
図6のステップS26)を開始して、圧着部230に被覆電線100を挿入する。そして、圧着工程(
図6のステップS27)において、製造装置10は、圧着部230を圧着刃型41で挟持するように加締めて圧着端子200と被覆電線100とを導通可能に圧着する。
【0114】
これにより、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、ボックス部210を保持した場合に比べて、キャリアカット工程に伴う圧着部230の位置の変動や、トランジション部220近傍の変形などを抑制することができる。すなわち、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、圧着部230を所定の位置により確実に留まらせることができる。このため、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、電線挿入工程において、電線先端部103が圧着部230の開口端部に接触するなどの不具合を防止することができる。
【0115】
さらに、ボックス部210を保持する保持機構を不要にすることができるため、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、圧着工程部15をより簡素な構成にすることができ、かつキャリアカット工程から圧着工程までをより効率よく行うことができる。加えて、圧着部230のみで構成した圧着端子であっても、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、キャリア250から分離した圧着部230を、所定の位置で容易に保持し続けることができる。
【0116】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の導体は、実施形態のアルミニウム芯線101に対応し、
以下同様に、
キャリアの短手方向は、前後方向Xに対応し、
キャリアの長手方向は、幅方向Yに対応し、
キャリアカット工程は、ステップS25に対応し、
電線挿入工程は、ステップS26に対応し、
圧着工程は、ステップS27に対応し、
被覆ストリップ工程は、ステップS22に対応し、
マーキング工程は、ステップS23に対応し、
検査工程は、ステップS28に対応し、
キャリアカット手段は、圧着工程部15、及び分離刃型40に対応し、
電線挿入手段は、搬送工程部17に対応し、
圧着手段は、圧着工程部15、及び圧着刃型41に対応し、
被覆ストリップ手段は、被覆ストリップ工程部12に対応し、
マーキング手段は、マーキング工程部13に対応し、
検査手段は、検査工程部14に対応し、
コネクタハウジングは、メス型コネクタハウジング3、及びオス型コネクタハウジング5に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0117】
例えば、別の接続構造体1の製造装置10における平面図を示す
図12のように、被覆電線100における前後方向Xの両端に圧着端子200が圧着可能な製造装置10であってもよい。なお、
図12において搬送工程部17の図示を省略している。
【0118】
より詳しくは、製造装置10は、被覆電線100を切断する機能及び絶縁被覆102を剥ぎ取る機能を有した切断除去工程部18と、被覆電線100の一端側に対するマーキング工程部13f、検査工程部14f、及び圧着工程部15fと、被覆電線100の他端側に対するマーキング工程部13r、検査工程部14r、及び圧着工程部15rと、不良品の圧着端子200を切断する不良品除去工程部16rとで構成している。
【0119】
なお、マーキング工程部13f、検査工程部14f、圧着工程部15f、マーキング工程部13r、検査工程部14r、圧着工程部15r、及び不良品除去工程部16rは、上述した実施形態と同様の構成のため詳細な説明を省略する。
【0120】
このような製造装置10は、搬送方向C11に搬送された被覆電線100の絶縁被覆102を切断除去工程部18で剥ぎ取ったのち、上述の実施形態と同様に、搬送方向C12、搬送方向C13、及び搬送方向C14の順に被覆電線100を搬送しながら、マーキング工程部13f、検査工程部14f、及び圧着工程部15fによって被覆電線100における前後方向Xの一端に圧着端子200を圧着接続する。
【0121】
その後、製造装置10は、一端に圧着端子200が圧着接続された被覆電線100を、搬送方向C15に移動させて検査工程部14fに搬送するとともに、検査工程部14fで圧着端子200の圧着状態を検査したのち、搬送方向C16に被覆電線100を移動させて切断除去工程部18に搬送する。
【0122】
切断除去工程部18に被覆電線100が搬送されると、製造装置10は、前後方向Xに所定の長さだけ被覆電線100を搬送したのち、切断除去工程部18によって圧着端子200が圧着されていない被覆電線100の他端側を切断する。
【0123】
その後、製造装置10は、上述の実施形態と同様に、搬送方向C18、搬送方向C19、及び搬送方向C20の順に被覆電線100を搬送しながら、マーキング工程部13r、検査工程部14r、及び圧着工程部15rによって被覆電線100の他端側に圧着端子200を圧着接続して、前後方向Xの両端に圧着端子200が圧着接続された接続構造体1を構成する。
【0124】
そして、製造装置10は、搬送方向C21に接続構造体1を移動させて、検査工程部14rにおいて他端側の圧着端子200の圧着状態を検査したのち、搬送方向C22に接続構造体1を移動させて、検査結果に応じて不良品除去工程部16rに搬送する、あるいは製造装置10から排出する。
このように被覆電線100の両端に圧着端子200を圧着接続する製造装置10は、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0125】
また、例えば、別の接続構造体1の製造装置10における平面図を示す
図13のように、端子連結帯300から圧着端子200を分離するキャリアカット工程を、独立したキャリアカット工程部15aで行う製造装置10としてもよい。
【0126】
より詳しくは、製造装置10は、先端検出工程部11と、被覆ストリップ工程部12と、マーキング工程部13と、検査工程部14と、圧着工程部15bと、不良品除去工程部16とをこの順番で配置して備えるとともに、先端検出工程部11から圧着工程部15bの並びに対して並置されたキャリアカット工程部15aを備えている。さらに、製造装置10は、上述の実施例と同様、搬送工程部17を備えている。
なお、先端検出工程部11と、被覆ストリップ工程部12と、マーキング工程部13と、検査工程部14と、不良品除去工程部16と、搬送工程部17とは、上述した実施形態と同様の構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0127】
キャリアカット工程部15aは、搬送された端子連結体300から圧着端子200を分離する機能を有している。
圧着工程部15bは、キャリアカット工程部15aから所定の搬送手段で搬送された圧着端子200に対して、アルミニウム芯線101を露出させた被覆電線100を挿入する機能と、圧着部230と被覆電線100とを圧着する機能とを有している。
【0128】
このような製造装置10は、被覆電線100からアルミニウム芯線101を露出させて圧着可能な状態にする工程と、端子連結帯300から圧着端子200を分離する工程とを並行して行うことができる。このため、接続構造体1の製造方法、及び接続構造体1の製造装置10は、効率よく接続構造体1を製造することができる。