(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る電力制御装置を有する車両の電気系統を示す図である。この図において、電力制御装置1は、中央制御部10および制御部11〜13を主要な構成要素とする。中央制御部10は、電圧センサ14およびアクセルポジションセンサ15の出力を参照し、オルタネータ21および制御部11〜13を制御する。電圧センサ14は、二次電池22の電圧を検出して出力する。アクセルポジションセンサ15は、エンジン20の出力を調整する図示しないアクセルペダルのポジション(位置)を検出して出力する。
【0016】
エンジン20は、例えば、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等のレシプロエンジンまたはロータリーエンジン等によって構成され、図示しないスタータモータによって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し車両に推進力を与えるとともに、オルタネータ21を駆動して電力を発生させる。オルタネータ21は、エンジン20によって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、二次電池22を充電する。二次電池22は、例えば、鉛蓄電池等によって構成され、オルタネータ21によって充電され、負荷26〜28に電力を供給する。
【0017】
制御部11は、中央制御部10と破線で示す通信線によって接続され、中央制御部10の制御に基づいて負荷26を制御する。スイッチ16は、負荷26を動作または停止させるときに操作されるスイッチである。半導体スイッチ23は、制御部11によってオン/オフ制御され、二次電池22から負荷26に供給される電力を制限する。負荷26は、例えば、デフォッガ、シートヒータ、ミラーヒータ、または、ヒーテッドウインドウ等のヒータによって構成され、半導体スイッチ23から供給される電力によって発熱し、対象物の温度を上昇させる。
【0018】
制御部12は、中央制御部10と破線で示す通信線によって接続され、中央制御部10の制御に基づいて負荷27を制御する。スイッチ17は、負荷27を動作または停止させるときに操作されるスイッチである。半導体スイッチ24は、制御部12によってオン/オフ制御され、二次電池22から負荷27に供給される電力を制限する。負荷27は、例えば、デフォッガ、シートヒータ、ミラーヒータ、または、ヒーテッドウインドウ等のヒータによって構成され、半導体スイッチ24から供給される電力によって発熱し、対象物の温度を上昇させる。
【0019】
制御部13は、中央制御部10と破線で示す通信線によって接続され、中央制御部10の制御に基づいて負荷28を制御する。スイッチ18は、負荷28を動作または停止させるときに操作されるスイッチである。半導体スイッチ25は、制御部13によってオン/オフ制御され、二次電池22から負荷28に供給される電力を制限する。負荷28は、例えば、デフォッガ、シートヒータ、ミラーヒータ、または、ヒーテッドウインドウ等のヒータによって構成され、半導体スイッチ25から供給される電力によって発熱し、対象物の温度を上昇させる。
【0020】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の動作について説明する。以下では、
図2および
図3を参照して、本実施形態の動作について説明した後、
図4を参照して
図1に示す実施形態において実行される処理の詳細について説明する。
【0021】
なお、本実施形態では、中央制御部10は、所定の制御時間を単位として負荷の制御を行う。より詳細には、中央制御部10は、
図2に示す区間T1〜T2、T2〜T3、T3〜T4、・・・を単位として制御を実行する。なお、負荷26〜28はヒータであり、電力を制限する制御に対する応答が比較的遅いことから、制御に対するある程度の応答が得られる時間を確保するためと、中央制御部10と制御部11〜13との間の通信時間を確保する目的から、これらの制御時間は、例えば、30秒〜1分程度に設定することができる。もちろん、これ以外の時間に設定してもよい。
【0022】
中央制御部10は、負荷26〜28が単体で動作する場合には、制御部11〜13に対して電力の制限を行わないように制御する(デューティが100%になるように制御する)。また、負荷26〜28が複数同時に動作する場合には、
図2(C)および
図2(D)に示すように、中央制御部10は、制御部11〜13に対して負荷に供給する電力を制限するとともに、制限の割合が時間的に変化するように制御する。さらに、負荷26〜28が複数同時に動作する場合において、回生動作が発生した場合には、制限を一時的に解除することで、負荷26〜28に供給する電力を増加させ、ユーザが不満を感じることを防止する。
【0023】
より詳細には、例えば、
図2に示すように、時刻T0においてエンジン20が始動され、
図2(B)に示すように区間T0〜T1の間において、スイッチ16が運転者によって操作され、負荷26への電力の供給が指示されたとする。制御部11は、スイッチ16が操作されたことを検出し、中央制御部10に対してスイッチ16が操作されたことを、通信線を介して通知する。
【0024】
中央制御部10は、制御部11からの通知によりスイッチ16が操作されたことを検出し、そのとき、他の負荷27,28に対する動作の要求はなく、負荷26に対してのみ動作の要求がなされていることから、制御部11に対して、負荷26に制限なしに電力を供給するように指示する。
【0025】
制御部11は、半導体スイッチ23を所定の周期でオン/オフすることで、二次電池22から負荷26に供給される電力をPWM(Pulse Width Modulation)により、デューティを変化させることで調整する。いまの例では、中央制御部10から、電力の制限なしに供給することが指示されているので、中央制御部10は、デューティが100%になるように制御する。すなわち、制御部11は半導体スイッチ23のオン/オフの制御を行わず、オンの状態を維持させる。これにより、
図2(C)に示すように、区間T1〜T2では、負荷26への電力の供給が100%の状態になる。
【0026】
つぎに、中央制御部10は、区間T1〜T2の間において、他のスイッチ17,18が操作されていないことから、制御部11に対してその後の区間T2〜T3も制限なしに電力を供給するように指示する。制御部11は、中央制御部10からの指示に基づいて、区間T2〜T3では、負荷26に供給する電力の制限を行わず、100%の供給を行う。この結果、
図2(C)に示すように、区間T2〜T3では、負荷26に供給される電力は100%の状態となる。
【0027】
つぎに、
図2(B)に示すように、区間T2〜T3の間において、運転者がスイッチ17を操作したとすると、制御部12は、これを検出し、中央制御部10に対してスイッチ17が操作されたことを通知する。中央制御部10は、この通知を受け、負荷26,27の2つが動作状態になることを知る。2つ以上の負荷が動作状態になった場合、中央制御部10は、前述したように、負荷に供給する電力を制限する動作を実行する。
図2の例では、新たに動作状態になった負荷27に対しては、供給される電力が時間の経過とともに増加するように制御するとともに、負荷26に対しては、供給される電力が時間の経過とともに減少するように制御する。より詳細には、
図2(D)に示すように、負荷27に供給される電力は、区間T3〜T4では20%、区間T4〜T5では40%、区間T5〜T6では60%、区間T6〜T7では80%と増加するように制御部11に対して指示し、負荷27に供給される電力は、区間T3〜T4では80%、区間T4〜T5では60%、区間T5〜T6では40%、区間T6〜T7では20%と減少するように、制御部12に対して指示する。
【0028】
このような指示を受けた制御部11,12は、負荷26,27に供給する電力を半導体スイッチ23,24のスイッチングのデューティを制御することで調整する。より詳細には、
図3(A)に示すように、制御部11は、区間T2〜T3(
図2に示す区間T2〜T3に対応する区間)では、スイッチング動作を行わず、負荷26に流れる電流が継続する状態となるようにする(オンの状態を維持する)ことで、100%の割合で電力を供給しているが、区間T3〜T4では、半導体スイッチ23のオンの時間をスイッチング周期の80%とすることで、負荷26への電力の供給を80%に制限する。また、
図3(B)に示すように、制御部12は、区間T2〜T3では、半導体スイッチ24をオフの状態にすることで、負荷27に流れる電流が0となるようにすることで、電力を供給しない状態としているが、区間T3〜T4では、半導体スイッチ24のオンの時間をスイッチング周期の20%とすることで、負荷27への電力の供給を20%に制限する。なお、
図3では、半導体スイッチ23と半導体スイッチ24が同期してオン/オフする状態が示されているが、制御部11,12は、独立して動作し、また、これらの動作は同期する必要はないことから、例えば、スイッチングのタイミングが異なったり、あるいはスイッチング周期が異なったりしてもよい。なお、半導体スイッチ23〜25のスイッチング周波数としては、例えば、数十Hz程度とすることができる。もちろん、これよりも高い周波数でスイッチングすることもできるが、電磁輻射等によるノイズの影響が周波数の増加に伴って大きくなったり、負荷26,27のインピーダンス成分の影響が大きくなったりするので、数十Hz程度に設定することが望ましい。
【0029】
以上の処理により、区間T3〜T4では負荷26には80%、負荷27には20%の割合で電力が供給され、区間T4〜T5では負荷26には60%、負荷27には40%の割合で電力が供給され、区間T5〜T6では負荷26には40%、負荷27には60%の割合で電力が供給され、区間T6〜T7では負荷26には20%、負荷27には80%の割合で電力が供給される。そして、T7以降は、負荷26に供給される電力は減少から増加に転じ、負荷27に供給される電力は増加から減少に転じ、区間T7〜T8では負荷26には40%、負荷27には60%の割合で電力が供給される。
【0030】
そして、
図2(A)に示すように、区間T8〜T10において、車両の回生が実行されたとする。ここで、回生とは、車両の減速時または降坂時に、オルタネータ21の発電電圧を高く設定(例えば、通常時の13.5Vよりも高い15Vに設定)することで、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して、二次電池22に蓄積することをいう。なお、15Vは一例であって、これ以外の電圧であってもよい。回生が実行されている場合には、二次電池22の端子電圧が上昇した状態であり、また、エンジン20からオルタネータ21へのエネルギの供給も殆どない状態であることから、中央制御部10は、
図2(C)および
図2(D)に示すように、負荷26,27への電力の供給の制限を一時的に解除する。この結果、回生が実行されている区間T8〜T10では、半導体スイッチ23,24は、オンの状態を継続するように制御される。前述のように、回生動作中は、二次電池22の端子電圧が上昇することから、負荷26,27に供給される電力は通常時に比較して高い状態となる。
【0031】
時刻T10において回生が終了すると、それ以降の区間では、区間T7〜T8に続く動作が継続して実行される。すなわち、区間T10〜T11では負荷26には60%、負荷27には40%の割合で電力が供給され、区間T11〜T12では負荷26には80%、負荷27には20%の割合で電力が供給され、区間T12〜T13では負荷26には60%、負荷27には40%の割合で電力が供給され、区間T13〜T14では負荷26には40%、負荷27には60%の割合で電力が供給される。
【0032】
そして、区間T13〜T14の間において、スイッチ16がオフの状態にされると、制御部11はこれを検出し、中央制御部10に通知する。中央制御部10は、スイッチ16がオフの状態にされたことから、負荷26に対する電力の供給を停止するように制御部11に指示する。この結果、制御部11は、半導体スイッチ23がオフを継続する状態にするので、
図2(C)に示すように時刻T14以降は負荷26に対する電力の供給は0%の状態となる。また、負荷27のみが動作中であることから、中央制御部10は、制御部12に対して、負荷27に対する電力の制限を解除するように指示する。この結果、制御部12は、半導体スイッチ24がオンの状態を継続するように制御するので、時刻T14以降は、負荷26に対する電力の供給は100%の状態となる。
【0033】
以上に説明したように、本発明の実施形態では、複数の負荷が同時に動作する場合には、負荷に供給される電力を制限するようにしたので、二次電池22の充電容量が減少したり、エンジン20の負荷が増加して燃費性能が低下したりすることを防止できる。また、回生時には、制限を一時的に解除するようにしたので、負荷への電力の供給量を増加することで、負荷の動作を加速させ、運転者等のユーザが不満を感じることを防止できる。また、負荷に供給する電力を制限する方法として、
図2に示すように、一方の負荷への電力の供給が減少する場合には、他方の負荷への電力の供給が増加する方法を採用したことから、負荷26,27の消費電力が略同じである場合には、負荷26,27に供給されるトータルの電力は、
図2(E)に示すように、回生時を除いては略一定の状態となることから、供給電力の変動を抑制することができる。なお、回生時には、
図2(E)に示すように、負荷26,27に対して通常時以上の電力(100%以上の電力)が供給されることになる。
【0034】
また、本実施形態では、新たにオンの状態とされた負荷に対しては、電力を徐々に供給するようにしている。例えば、負荷26〜28がヒータである場合、ヒータは温度に応じて抵抗が増加することから、ヒータへの電力を供給開始した当初は、ヒータ自体の抵抗が低い状態にあるので、大きな電流(突入電流)がヒータに供給される。本実施形態では、前述したように、新たにオンの状態にされた負荷に対しては、20%、40%、・・・と、供給電力を徐々に増加させるので、このような突入電流を減少させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、負荷26〜28のそれぞれに対して制御部11〜13を設け、これらの制御部11〜13に対して中央制御部10が指示を行うようにした。この結果、制御部11〜13は、独立して動作を行うことから、例えば、特許文献1に開示された技術のように、スイッチ間でのタイミングを同期する必要がなくなるため、制御を簡易化することができる。また、特許文献1の技術では、デューティ出力が交互に出力されるので、負荷の数が複数になると、各負荷に供給される電力は負荷の数に応じて減少する。しかし、本実施形態では、制御部11〜13は独立して動作することから、例えば、負荷26〜27の全てに対して100%の割合で電力を供給することもできる。
【0036】
また、特許文献1に開示された技術は、デューティ出力を交互に出力するために、一方の負荷をONの状態にしている間は他方の負荷をOFF(供給電力を0)の状態にするため、デューティ比のON/OFFする変化量が大きい場合には、例えば、モータでは回転のバタつきやランプではちらつきなどが生じてしまうので適用できる負荷が限定されてしまう。本実施形態では、負荷に供給する電力を制限するが、複数の負荷を並行して動作するようにしているので、モータやランプに適用してもバタつきやちらつきが生じることがない。本実施形態では、例えば、スイッチング周波数を負荷毎に独立して設定することができるので、ちらつきが生じないヒータではスイッチング周波数を低く設定し、ちらつきが生じるランプではスイッチング周波数を高く設定することができる。
【0037】
なお、以上の実施形態では、負荷26,27の2つが同時に動作する場合を例に挙げて説明したが、例えば、負荷26〜28の3つが同時に動作することも可能である。その場合、新たに動作する負荷については、
図2(D)に示すように、20%から動作を開始し、その後は増加と減少を繰り返すようにすればよい。
【0038】
つぎに、
図4を参照して、
図1に示す実施形態において実行される処理の詳細について説明する。
図4に示す処理は、例えば、所定の周期(例えば、
図2に示す区間に対応する周期)で実行される。
図4に示すフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0039】
ステップS10では、中央制御部10は、負荷26〜28のスイッチ16〜18がオンの状態にされたか否かを判定し、オンの状態にされたと判定した場合(ステップS10:Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10:No)には処理を終了する。例えば、スイッチ16がオンの状態にされたと制御部11から通知を受けた場合には、Yesと判定してステップS11に進む。
【0040】
ステップS11では、中央制御部10は、オンの状態の負荷の数は1であるか否かを判定し、1である場合(ステップS11:Yes)にはステップS12に進み、それ以外の場合(ステップS11:No)にはステップS15に進む。例えば、スイッチ16のみがオンの状態にされている場合には、Yesと判定してステップS12に進む。
【0041】
ステップS12では、中央制御部10は、負荷への供給電力を100%に設定する。いまの例では、中央制御部10は、制御部11に対して負荷26への供給電力を100%に設定するように指示する。この結果、制御部11は、半導体スイッチ23がオンの状態を維持するように制御するので、負荷26には100%の割合で電力が供給される。
【0042】
ステップS13では、中央制御部10は、負荷26〜28のスイッチ16〜18がオフの状態にされたか否かを判定し、オフの状態にされたと判定した場合(ステップS13:Yes)には処理を終了し、それ以外の場合(ステップS13:No)にはステップS14に進む。例えば、スイッチ16がオフの状態にされたと制御部11から通知を受けた場合には、Yesと判定して処理を終了する。
【0043】
ステップS14では、中央制御部10は、負荷26〜28のスイッチ16〜18がオンの状態にされたか否かを判定し、オンの状態にされたと判定した場合(ステップS14:Yes)にはステップS15に進み、それ以外の場合(ステップS14:No)にはステップS12に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。例えば、スイッチ17が新たにオンの状態にされたと制御部12から通知を受けた場合には、Yesと判定してステップS15に進む。
【0044】
ステップS15では、中央制御部10は、オンの状態の負荷の数は2以上であるか否かを判定し、2以上である場合(ステップS15:Yes)にはステップS16に進み、それ以外の場合(ステップS15:No)にはステップS11に戻って前述の場合と同様の処理を実行する。例えば、スイッチ17が新たにオンの状態にされたとすると、2つの負荷のスイッチがオンの状態にされているので、Yesと判定してステップS16に進む。
【0045】
ステップS16では、中央制御部10は、回生中であるか否かを判定し、回生中である場合(ステップS16:Yes)にはステップS17に進み、それ以外の場合(ステップS16:No)にはS19に進む。例えば、中央制御部10は、アクセルポジションセンサ15からの出力を参照し、走行中にアクセルが戻された場合には、減速時または降坂時であると判定し、オルタネータ21の発電電圧が高くなるように設定して、回生動作を行うが、このような回生動作を実行している場合にはYesと判定してステップS17に進む。
【0046】
ステップS17では、中央制御部10は、動作中の全ての負荷への電力の供給の制限を解除する。より詳細には、例えば、負荷26,27が動作中である場合に、回生動作が実行されたときには、中央制御部10は、制御部11,12に対して、負荷26,27に供給する電力の制限を解除するように指示する。その結果、制御部11,12は、半導体スイッチ23,24がオンの状態を維持するように制御するので、負荷26,27に供給される電力がともに100%またはそれ以上になる。
【0047】
ステップS18では、中央制御部10は、回生が終了したか否かを判定し、終了したと判定した場合(ステップS18:Yes)にはステップS19に進み、それ以外の場合(ステップS18:No)にはステップS17に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS19では、中央制御部10は、負荷26〜28に供給される電力を所定のパターンで制限する。より詳細には、負荷26,27が動作中である場合には、例えば、
図2(C)および
図2(D)に示すように、一方が増加する場合に他方が減少するとともに、双方を加算した値が100%になるようなパターンに設定する。
【0049】
ステップS20では、中央制御部10は、所定の時間が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS20:Yes)にはステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS20:No)には同様の処理を繰り返す。例えば、
図2に示す区間T1〜T2、T2〜T3、・・・のそれぞれに対応する時間が経過した場合には、Yesと判定してステップS21に進む。
【0050】
ステップS21では、中央制御部10は、負荷26〜28のスイッチ16〜18がオフの状態にされたか否かを判定し、オフの状態にされたと判定した場合(ステップS21:Yes)にはステップS15に戻って前述の場合と同様の処理を実行し、それ以外の場合(ステップS21:No)にはステップS22に進む。例えば、スイッチ16がオフの状態にされたと制御部11から通知を受けた場合には、Yesと判定してステップS15に進み、それ以外の場合にはステップS22に進む。
【0051】
ステップS22では、中央制御部10は、負荷26〜28のスイッチ16〜18がオンの状態にされたか否かを判定し、オンの状態にされたと判定した場合(ステップS22:Yes)にはステップS23に進み、それ以外の場合(ステップS22:No)にはステップS24に進む。例えば、スイッチ18がオンの状態にされたと制御部11から通知を受けた場合には、Yesと判定してステップS23に進み、それ以外の場合にはステップS24に進む。
【0052】
ステップS23では、中央制御部10は、その時点において、オンの状態になっている負荷の数を再確認する。例えば、負荷26,27がオンの状態になっている場合に、ステップS22において、負荷28がオンの状態にされたと判定したときは、オンの状態にされている負荷の数は“3”であると判定する。
【0053】
ステップS24では、中央制御部10は、その時点においてオンの状態にされている負荷の出力を制限するパターンを変更する処理を実行する。より詳細には、負荷26,27の2つが動作中である場合に、区間T1〜T2において負荷26に80%、負荷27に20%の割合で電力が供給されるパターンである場合には、区間T2〜T3に示す負荷26に60%、負荷27に40%の割合で電力が供給されるパターンに変更する。そして、ステップS16に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。
【0054】
以上の処理によれば、例えば、区間T0〜T1において、負荷26のスイッチ16がオンの状態にされると、ステップS10でYesと判定され、ステップS11に進む。ステップS11では、負荷26だけがオンであるのでYesと判定されてステップS12に進み、区間T1〜T2では、負荷26に100%の電力が供給される。そして、区間T2〜T3においてスイッチ17がオンの状態にされると、ステップS14でYesと判定されてステップS15に進む。このとき、動作中の負荷は負荷26,27の2つであるので、ステップS15では、Yesと判定されてステップS16に進む。ステップS16において、回生中でない場合には、Noと判定されステップS19に進み、中央制御部10は、制御部11,12に対して負荷26,27への電力供給を所定のパターンで制限させ、ステップS20で所定の時間が経過するまで待機し、ステップS22では負荷のスイッチが新たにオンの状態にされたか判定し、新たにオンの状態にされた負荷が存在する場合にはステップS23でオンの状態の負荷数を再確認し、ステップS24ではその時点においてオンの状態となっている負荷の制限のパターンを変更してステップS16に戻って同様の処理を繰り返す。この結果、
図2(C)および
図2(D)に示すように、負荷26,27に供給される電力が所定のパターンに従って増減される。なお、このような状態において、回生動作が実行された場合には、ステップS16においてYesと判定してステップS17に進み、回生が終了するまで、全ての負荷に対する電力供給の制限を解除する。また、このような動作中において、負荷26のスイッチ16がオフの状態にされた場合には、ステップS21においてYesと判定してステップS15に進む。このとき、オン状態の負荷は負荷27だけであるので、ステップS15ではNoと判定して11に進む。ステップS11では、動作中の負荷は負荷27だけであるので、Yesと判定してステップS12に進む。ステップS12では、負荷27に供給される電力が100%の状態にされる。そして、負荷27のスイッチ17がオフの状態になった場合には、ステップS13においてYesと判定して処理を終了する。
【0055】
以上の処理によれば、前述した動作を実現することができる。
【0056】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、
図2では、負荷26,27の2つだけが動作する場合を例に挙げて説明したが、負荷26〜28の3つが動作するようにしてもよい。その場合、例えば、3つ目の負荷28が動作開始した場合には、供給する電力を、例えば、20%に設定し、その後は、増減する動作を繰り返すようにすればよい。なお、その場合、3つの負荷26〜28に供給される電力の和は、これらの消費電力が等しいときでも、
図2(E)に示すように一定とはならないが、負荷26〜28に供給される電力を制限しない場合に比較して、消費電力を抑制することができる。
【0057】
また、
図2に示す例では、負荷26,27に供給する電力の和が100%になるようにパターンを設定したが、例えば、電力の和が110〜190%のいずれかの値になるように設定してもよい。また、
図2の例では、負荷26,27の双方に対して同様のパターンを適用するようにしたが、優先度が高い方の制限が小さくなるようにしてもよい。例えば、負荷26の優先順位が高い場合には、負荷26は40%から100%の間で制限を行い、負荷27は0%から60%の間で制限を行うようにしてもよい。
【0058】
また、負荷が3つ以上存在する場合であって、負荷の数が偶数である場合には2つずつの組を作って、そのそれぞれに対して一方が増加し、他方が減少するパターンを適用することで、電力の総和の変動が小さくなるようにしてもよい。また、負荷の数が奇数である場合には2つずつの組と、残りの1つに分割し、前者に対しては前述のように一方が増加し、他方が減少するパターンを適用することで、電力の総和の変動が小さくなるようにすることができる。あるいは、動作中の負荷に供給するトータルの電力を設定し、負荷に供給される電力の総和が設定された値になるように、供給する電力のパターンを設定するようにしてもよい。例えば、3つの負荷に供給する電力の総和を150%とした場合に、ある区間では30%、80%、および、40%とし、つぎの区間では40%、60%、および、50%となるようにし、続く区間では異なるパターンとし、電力の総和が150%になるパターンの繰り返しとしてもよい。
【0059】
また、
図2に示す例では、回生時には供給される電力の制限を行わないようにしたが、例えば、二次電池22の充電率が目標値よりも低い場合には、動作中の全ての負荷に対して、一律に80%程度の制限をすることで、充電率の増加を促進させるようにしてもよい。また、回生の発生頻度が低く、負荷に供給される電力が十分でない場合には、電力の制限を一時的に解除したり、あるいは、オルタネータ21の発生電圧を一時的に高くしたりすることで、負荷に供給される電力を増加させるようにしてもよい。
【0060】
また、
図2に示すような予め決まったパターンに基づいて、負荷に供給する電力を制御するのではなく、例えば、
図5に示すように乱数に基づいて制御するようにしてもよい。
図5の例では、2つの負荷26,27が同時に動作している場合には、例えば、中央制御部10は、20〜80の間の乱数を区間毎に発生して、制御部11,12に供給する。制御部11,12は、中央制御部10から供給された値に対応するデューティになるように、半導体スイッチ23,24を制御する。この結果、
図5(C)および
図5(D)に示すように、回生時以外では、負荷26,27に供給される電力は、アトランダムに変化する。このような制御では、中央制御部10が発生する乱数の中央値(20〜80の場合には50)に対応する電力が負荷26,27に平均すると供給されることになる。このような制御によれば、中央制御部10は、
図2に示すようにパターンに基づいた制御を行う必要がなくなるので、制御を簡易化することができる。特に、動作中の負荷の個数が増減する場合に、
図2の例では負荷の個数に応じて制御を変更する必要があるが、
図5の例では、負荷の個数に拘わらず実行する処理は同じである(乱数を発生するのみである)ので、処理を簡略化することができる。また、負荷の優先順位に応じて、発生する乱数の範囲を変更することで、各負荷に供給する電力を調整することができる。より詳細には、優先順位が高い負荷26を制御する制御部11に対しては、50〜100の範囲の乱数を供給し、優先順位が低い負荷27を制御する制御部12に対しては、優先順位が高い負荷よりも供給電力が小さくなる範囲の乱数、例えば、0〜50の範囲の乱数を供給するようにすることができる。なお、このような制御の場合には、
図5(E)に示すように、供給される電力の総和は一定ではなく、変動することになる。また、
図6は
図5に示す処理を実現するためのフローチャートである。なお、
図6において
図4と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6では
図4と比較すると、ステップS19の処理がステップS30に置換され、また、ステップS24の処理が省略されている。それ以外は
図4と同様である。
図6のフローチャートでは、ステップS30において、中央制御部10は、動作中の負荷に対応する制御部に対して所定の範囲の乱数を発生して供給する。この結果、制御部は、供給された乱数に対応するデューティにて半導体スイッチを制御する。これにより、
図5の動作を実現することができる。
【0061】
また、以上の実施形態では、車両が回生動作中である場合には、供給する電力の制限を行わないようにしたが、例えば、車両が加速中である場合には、電力の制限を一層強めるようにしてもよい。具体的には、通常の場合に比較して電力の制限が10〜50%程度大きくなるように設定してもよい。また、以上の実施形態では、車両が回生動作中以外に、複数の負荷に供給する電力を制限するようにしたが、例えば、加速時のみに複数の負荷に供給する電力を制限するようにしてもよい。
【0062】
また、
図1に示す実施形態では、負荷26〜28の3つと制御部11〜13の3つを有するようにしたが、これらが3つ以外(2つまたは4つ以上)であってもよい。
【0063】
また、以上の実施形態では、
図3に示すように、半導体スイッチ23,24は同期して動作するようにしたが、これらは必ずしも同期して動作する必要はなく、これらが異なるタイミングで動作するようにしてもよい。また、
図3の例では、スイッチング周波数は同じになるように設定しているが、これらが異なるように設定してもよい。例えば、インピーダンス成分の値が大きい負荷の場合や、電磁輻射が大きい負荷の場合にはスイッチング周波数を低く設定するようにしてもよい。また、
図3の例では、各区間の始端と終端が一致するようにしたが、これらは必ずしも一致する必要はなく、異なるタイミングで動作を開始/終了するようにしてもよい。そのような構成によれば、中央制御部10と制御部11〜13の通信回線のディレイの存在が無視できるので、通信回線および通信回路として速度が遅いものを使用できるので、製造コストを低減することができる。
【0064】
また、
図1に示す実施形態では、二次電池22の1つだけを用いるようにしたが、複数の二次電池を用いるようにしてもよい。その場合には、負荷に対して電力を供給する二次電池からの出力に対して、制限を行うようにすればよい。また、
図1に示す実施形態では、二次電池22の出力が直接負荷26〜28に供給されるようにしたが、DC/DCコンバータを介して負荷26〜28に電力を供給するようにしてもよい。なお、その場合には、回生時であっても二次電池22の端子電圧は一定であることから、必要に応じてDC/DCコンバータの出力を昇圧するようにしてもよい。