特許第6391535号(P6391535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391535
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】冷媒熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/03 20060101AFI20180910BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20180910BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F28D1/03
   F28F3/04 B
   F28D9/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-116447(P2015-116447)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-3175(P2017-3175A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 正人
(72)【発明者】
【氏名】冨山 靖司
(72)【発明者】
【氏名】寺島 巌
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−057900(JP,A)
【文献】 特許第4383448(JP,B2)
【文献】 特開2000−081289(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0120672(US,A1)
【文献】 特開2014−109408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/03
F28D 3/00 − 9/04
F28F 3/00 − 3/14
F25B 39/00 − 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された中空容器と、該中空容器の内部下側に配置され、表裏面に複数の凹凸部が形成されたプレートを積層して、第1の冷媒が流れる複数本の第1熱交換流路及び第2の冷媒が流れる複数本の第2熱交換流路を形成するプレート重合体と、
該プレート重合体の上方の前記中空容器の内部空間に配置され、前記第1の冷媒を前記プレート重合体に供給する供給管と、該供給管から供給された第1の冷媒を前記プレート重合体内を流通する第2の冷媒と熱交換して排出する排出管とを備え、
前記プレート重合体の前記プレートの下側は、前記中空容器の内壁面に近接して沿って半円形状に形成され、前記プレートの上側は、前記半円形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有して偏平状に形成されている冷媒熱交換器であって、
前記プレート重合体の上部には、プレート積層方向に延びて前記第2の冷媒が導入される第2導入孔が設けられ、前記プレート重合体の下部には、プレート積層方向に延びて前記第2の冷媒が導出される第2導出孔が設けられ、
各々の前記第2熱交換流路は、プレート積層方向視において、前記第2導入孔から下方へ進むに従って前記プレートの側部側へ直線状に延びる凝縮流路と、屈曲部を介して前記凝縮流路に接続されて下方へ進むに従って前記第2導出孔側へ直線状に延びる排出流路と、を含み
各々の前記第1熱交換流路は、プレート積層方向視において、前記第2導出孔から上方へ進むに従って前記プレートの幅方向端部側に延びるように形成されており、
前記凝縮流路の延びる方向の傾き角度は、前記排出流路の延びる方向の傾き角度よりも小さく、
前記第2導入孔と該第2導入孔の下方の前記第2導出孔との間に、前記複数本の第2熱交換流路の前記凝縮流路が上下に並んで配置された
ことを特徴とする冷媒熱交換器。
【請求項2】
前記プレート重合体は、隣接するプレートの夫々に形成された前記凹凸部同士を接触すると、隣接する凹凸部の凸部間の谷及び凹部内の溝によって、対応する前記第1熱交換流路及前記第2熱交換流路が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒熱交換器。
【請求項3】
前記プレートに形成された前記第2導入孔の下方には、該第2導入孔から供給される第2冷媒の下方への移動を規制するための規制凹凸部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを構成する冷凍機などに用いられる冷媒熱交換器に関し、特に、気体又は液体等の同じ形態又は異なる形態の物質間で伝熱を行うプレート式の冷媒熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷媒熱交換器は、特許文献1に記載されているように、筒状に形成された中空容器(文献ではタンク)の下側の内部空間にプレート重合体(文献ではプレーロパッケージ)が設けられている。プレート重合体は互いに隣接して配設された複数のプレート(文献では熱交換プレート)を備えている。複数のプレートは、垂直方向に配設され、内部空間に対して実質的に開いて媒体がタンクの下部空間から上向きに上部空間まで循環可能に構成された第1のプレート間空間と、内部空間に対して閉じており流体を循環させて媒体を気化可能にする第2のプレート間空間とが形成されている。プレートの上部には、気化した媒体を排出可能な出口流路が形成されている。中空容器の上部には、気化した媒体を排出するための出口が設けられている。
【0003】
プレートは、上側から下方に向かって上部、中間部、下部を含んで構成され、各部分には、山と谷とから成る波形のしわが形成されている。プレート同士の間の実際の熱交換は中間部及び下部を介して行われる。中間部の波形のしわは、中間部の異なる部分で様々な方向に延びる。波形のしわは、互いに隣接するプレートの波形のしわが中間部全体にわたって互いに交差するように延びている。このように延びる波形のしわによって、プレートの剛性が強化されると同時に、流体から媒体への効率的な伝熱が確実に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4383448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の冷媒熱交換器は、プレートの側端部が中空容器の内壁面に沿って配置されているので、プレートと中空容器の内壁面との間の隙間が小さくなって、中空容器を小型化することができる。しかしながら、プレートに形成された波型のしわは、複雑である。またプレートの中央部には、プレートの積層方向に沿って延びる板状の分散部材が挿着されている。このため、プレート重合体の構造がより複雑化し、製造コストが増大する虞がある。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、簡素な構成を有したプレートを備えて製造コストの増大を抑制可能な冷媒熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態に係わる冷媒熱交換器は、
筒状に形成された中空容器と、該中空容器の内部下側に配置され、表裏面に複数の凹凸部が形成されたプレートを積層して、第1の冷媒が流れる第1熱交換流路及び第2の冷媒が流れる第2熱交換流路を形成するプレート重合体と、
該プレート重合体の上方の前記中空容器の内部空間に配置され、前記第1の冷媒を前記プレート重合体に供給する供給管と、該供給管から供給された第1の冷媒を前記プレート重合体内を流通する第2の冷媒と熱交換して排出する排出管とを備え、
前記プレート重合体の前記プレートの下側は、前記中空容器の内壁面に近接して沿って半円形状に形成され、前記プレートの上側は、前記半円形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有して偏平状に形成されている冷媒熱交換器であって、
前記プレート重合体の上部には、プレート積層方向に延びて前記第2の冷媒が導入される第2導入孔が設けられ、前記プレート重合体の下部には、プレート積層方向に延びて前記第2の冷媒が導出される第2導出孔が設けられ、
前記第2熱交換流路は、プレート積層方向視において、前記第2導入孔から下方へ進むに従って前記プレートの側部側へ延びて屈曲し、下方へ進むに従って前記第2導出孔側へ延びるように形成され、
前記第1熱交換流路は、プレート積層方向視において、前記第2導出孔から上方へ進むに従って前記プレートの幅方向端部側に延びるように形成されている。
【0008】
上記冷媒熱交換器によれば、第2熱交換流路は、プレート積層方向視において、第2導入孔から下方へ進むに従ってプレートの側部側へ延びて屈曲し、下方へ進むに従って第2導出孔側へ延びるように形成され、第1熱交換流路は、プレート積層方向視において、第2導出孔から上方へ進むに従ってプレートの幅方向端部側に延びるように形成されている。このため、第1熱交換流路及び第2熱交換流路の構造は、ともに単純に構成されている。よって、冷媒熱交換器の構造を簡素化し、且つ製造コストの増大を抑制可能な冷媒熱交換器を提供することができる。
【0009】
また、幾つかの実施形態に係る冷媒熱交換器によれば、
前記プレート重合体は、隣接するプレートの夫々に形成された凹凸部同士を接触すると、隣接する凹凸部の凸部間の谷及び凹部内の溝によって、対応する前記第1熱交換流路及前記第2熱交換流路が形成されるように構成される。
【0010】
この場合、プレート同士を積層する際に、凹凸部同士を接触すると、隣接する凹凸部の凸部間の谷及び凹部内の溝によって、対応する前記第1熱交換流路及前記第2熱交換流路が形成されるので、冷媒熱交換器の製造をより容易化することができる。
【0011】
また、幾つかの実施形態に係る冷媒熱交換器によれば、
前記第2熱交換流路は、下方へ進むに従って前記プレートの側部側へ直線状に延びる凝縮流路と、下方へ進むに従って前記第2導出孔側へ直線状に延びる排出流路とを有し、
前記凝縮流路の延びる方向の傾き角度は前記排出流路の延びる方向の傾き角度よりも小さくなるように構成されている。
【0012】
この場合、凝縮流路の延びる方向の傾き角度が排出流路の延びる方向の傾きよりも小さくなるよう構成されているので、導入孔から供給される第2の冷媒の流れが、最初は遅くし、後半は速くすることができる。従って、第2の冷媒から第1の冷媒への伝熱効果を高めることができるとともに、冷却された第2の冷媒を迅速に第2導出孔に流すことができる。よって、伝熱効率の高い冷媒熱交換器を提供することができる。
【0013】
また、幾つかの実施形態に係る冷媒熱交換器によれば、
前記プレートに形成された前記第2導入孔の下方には、該第2導入孔から供給される第2冷媒の下方への移動を規制するための規制凹凸部が形成されているように構成される。
【0014】
この場合、プレートに形成された第2導入孔の下方に、該第2導入孔から供給される第2冷媒の下方への移動を規制する規制凹凸部を形成することで、これらのプレートを重ねると、一方側のプレートの規制凹凸部と他方側のプレートの規制凹凸部とが接触して、第2導入孔の下方に円弧状の壁を形成する。このため、第2導入孔から供給される第2冷媒の下方への移動を規制することができ、第2導入孔から供給される第2の冷媒の流れを強制的にプレートの幅方向外側へ移動させることができる。このため、第2冷媒が第2導入孔から下方へ流れて第2導出孔に流入するような伝熱効率の低い流を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、簡素な構成を有したプレートを備えて製造コストの増大を抑制可能な冷媒熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器を示し、同図(a)は熱交換器の側面図であり、同図(b)は同図(a)のI−I矢視に相当する断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るNH導入管を示し、同図(a)はNH導入管の側面図であり、同図(b)はNH導入管の底面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るプレートの正面図である。
図4図3のプレートを表裏反転させた状態のプレートの正面図である。
図5】他の実施形態に係るNH導入管を示し、同図(a)はNH導入管の側面図であり、同図(b)はNH導入管の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。ただし、この実施形態として記載されている又は図示されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、本実施形態では、冷媒熱交換器として気化したCOを液化するためのCO液化器を例として説明する。
【0018】
冷媒熱交換器1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、シェルアンドプレート式熱交換器を構成し、一次冷媒であるNH冷媒液と二次冷媒であるCO冷媒ガスとを熱交換し、NH冷媒がCO冷媒から吸熱して気化し、CO冷媒が液化するように構成される。
【0019】
冷媒熱交換器1は、断面が円形の筒形状を有する中空容器5と、中空容器5の内部下側に収容されたプレート重合体10と、プレート重合体10の上方の中空容器5の内部空間5aに配置され、NH冷媒液をプレート重合体10に供給するNH供給管30と、NH供給管30から供給されたNH冷媒液がプレート重合体10内を流通するCOガス冷媒と熱交換したNHガスを排出するNH排出管40とを備える。
【0020】
プレート重合体10は、板状の多数のプレート11が重ね合されて側面視において略楕円状に形成されている。プレート重合体10の詳細については後述する。中空容器5の軸方向一端側の側壁5c上部の幅方向一方側にはNH導入口31が形成され、NH導入口31にはNH供給管30が挿着されている。NH供給管30は、NH導入口31に挿着されたNH導入管32と、NH導入管32の先端に接続されたNH散布管33とを有してなる。
【0021】
NH散布管33は、中空容器5の上壁5bに沿って略平行に配置されている。NH散布管33は、図2(a)及び図2(b)に示すように、NH導入管32から屈曲して延びる短軸散布管33aと、短軸散布管33aの端部から屈曲して延びる長軸散布管33bとを有して構成される。短軸散布管33a及び長軸散布管33bの下面には、下方へ向いて形成された多数の細径の散布孔33cが散布管軸方向に2列に形成されている。
【0022】
中空容器5の一端側の側壁5cの上部には、図1(a)及び図1(b)に示すように、NH導出口41が形成され、NH導出口41にNH排出管40が挿着されている。NH排出管40は中空容器5の軸心方向に沿って中空容器5の他端側の側壁5dの内面の近傍位置まで延び、NH排出管40の他端部に開口部40aが形成されている。このため、気化されたNH冷媒ガスは開口部40aを介してNH排出管40から流出する。
【0023】
中空容器5の一方の側壁5cの中央部にはCO導入口50が設けられ、CO導入口50にCO導入管51が挿入されている。CO導入管51は、プレート重合体10の内部に形成されたCO導入孔13に連通している。
【0024】
また、CO導入管51の下方の中空容器5の一方側の側壁5cには、CO導出口53が形成され、CO導出口53にCO導出管54が挿着されている。CO導出管54は、プレート重合体10の内部に形成されたCO導出孔15に連通している。
【0025】
プレート重合体10を構成するプレート11は、板金(例えば、ステンレス鋼板)製であり、図1(b)及び図3に示すように、中空容器5の軸方向視において、中空容器5の軸心Sを通る水平線Hに対して上下方向に非対称に形成されている。即ち、中空容器5の軸心Sよりも下側のプレート11aは、中空容器5の軸心Sよりも下方の位置を中心とした曲率半径を有して中空容器5の内壁面5eに近接して沿って半円形状に形成される。また、中空容器5の軸心Sよりも上側のプレート11bは、中空容器5の軸心Sを中心として曲率半径よりも大きな曲率半径を有して偏平状(半楕円形状)に形成されている。
【0026】
プレート重合体10を構成する多数のプレート11の夫々には、図3及び図4に示すように、表裏面に複数の凹凸部17が形成されている。プレート重合体10は、図3に示すプレート11'と図4に示すプレート11''とを1枚おきに積層して構成される。図4に示すプレート11''は、図3に示すプレート11'を表裏反転させたものである。よって、図4に示すプレート11''は、図3に示すプレート11'と同様の構成であるので、図4に示すプレート11''は図3に示すプレート11'と同一態様部分について同一符号を附して説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、プレート11'の幅方向中央上部には円形状に開口するCO導入孔13が設けられ、プレート11'の幅方向中央下部には円形状に開口するCO導出孔15が設けられている。
【0028】
凹凸部17は、プレート11'の表面の右側下部を除いた部分に斜め右側上方へ傾斜(約25度の傾斜角度)して直線状に延びる複数の凹部18と、プレート11'の右側下部に形成されて凹部18よりも大きな傾斜角度(約60度)を有して斜め右側上方へ直線状に延びる複数の凸部19とを有してなる。複数の凹部18は、所定間隔を有して互いに平行に形成され、複数の凸部19は、所定間隔を有して互いに平行に形成されている。
【0029】
図3に示すプレート11'の裏側に図4に示すプレート11''を重ねると、これらプレート11'、11''の表裏面に2つの独立した第1熱交換流路21及び第2熱交換流路22が形成される。第1熱交換流路21は、図3に示すプレート11'の表面側に形成され、CO導出孔15から上方へ進むに従ってプレート11'の幅方向右側端部側へ延びる。この第1熱交換流路21は、隣接する凹凸部17の凸部19間の谷によって形成されるとともに、凹部18内の溝によって形成される。このため、第1熱交換流路21は、プレート11'の幅方向一方側から他方側に斜め上方へ向く方向の流路として形成されている。
【0030】
一方、第2熱交換流路22は、図4に示すプレート11''の表面側に形成され、CO導入孔13から下方へ進むに従ってプレート11''の右側部側及び左側部側へ延びて屈曲し、下方へ進むに従ってCO導出孔15側へ延びるように構成される。この第2熱交換流路22は、図4に示すプレート11''の凹部18の底面側へ突出する突出部18a間の谷及び図3に示す凸部19間の谷によって形成されるとともに、図3に示すプレート11'の凹部18の底面側へ突出する突出部18a間の谷及び図4に示すプレート11'の凸部19管の谷によって形成される。
【0031】
第2熱交換流路22は、下方へ進むに従ってプレート11''の側部側へ直線状に延びる凝縮流路22aと、下方へ進むに従ってCO導出孔15側へ直線状に延びる排出流路22bとを有して構成される。また、凝縮流路22aの延びる方向の傾き角度は排出流路22bの延びる方向の傾き角度よりも小さくなるように構成されている。このため、CO導入孔13から供給されるCOガス冷媒の流れは、最初は遅くなり、その後は速くなるようにすることができる。従って、COガス冷媒からNH冷媒液への伝熱効果を高めることができるとともに、冷却されたCO冷媒液を迅速にCO導出孔15に流すことができる。よって、伝熱効率の高い冷媒熱交換器1を提供することができる。
【0032】
また、図3に示すプレート11'に形成されたCO導入孔13の下方にはCO導入孔13から供給されるCOガス冷媒の下方への移動を規制するための規制凹凸部20'が形成されている。規制凹凸部20'は、CO導入孔13の下部の外周を囲むように円弧状に形成されている。この規制凹凸部20'は、プレート11'の裏側から見ると凸状に形成されている。
【0033】
また、図4に示すプレート11''に形成されたCO導入孔13の下方には規制凹凸部20''が形成されている。この規制凹凸部20''は、CO導入孔13の下部の外周を囲むように円弧状に形成され、プレート11''の表側から見ると凸状に形成されている。これらのプレート11'、11''を重ねると、図3に示すプレートの規制凹凸部20'の底部と図4に示すプレート11''の規制凹凸部20''とが接触して、CO導入孔13の下方に円弧状の壁が形成される。このため、CO導入孔13から供給されるCOガス冷媒の下方への移動を規制することができる。したがって、CO導入孔13から供給されるCOガス冷媒の流れを強制的にプレート11'、11''の幅方向外側へ移動させることができ、伝熱効率の低下を未然に防止することができる。
【0034】
これらのプレート11'、11''は、積層された状態で複数のプレート11'、11''の外周を溶接等で接続して一体化される。凹凸部17は、プレス加工によって形成される。
【0035】
このように構成された冷媒熱交換器1は、CO導入管51から供給されるCOガス冷媒がプレート11'、11''の第2熱交換流路22を流れ、その間に第1熱交換流路21を流れるNH液冷媒と熱交換してCO冷媒液となって第2熱交換流路22を介してCO導出管54から流出する。
【0036】
このように、冷媒熱交換器1によれば、第2熱交換流路22は、プレート積層方向視において、CO導入管51から下方へ進むに従ってプレート11'、11''の幅方向端部側へ延びて屈曲し、下方へ進むに従ってCO導出孔15側へ延びるように構成され、第1熱交換流路21は、プレート積層方向視において、CO導出孔15から上方へ進むに従ってプレート11'、11''の幅方向端部側に延びるように構成されている。このため、第1熱交換流路21及び第2熱交換流路22の構造は、ともに単純な構成である。よって、冷媒熱交換器1の構造を簡素化し、且つ製造コストの増大を抑制可能な冷媒熱交換器1を提供することができる。
【0037】
また、隣接するプレート11'、11''同士を積層する際に、隣接する凹凸部17の凸部19間の谷及び凹部18内の溝によって、第1熱交換流路21及第2熱交換流路22が形成されるので、冷媒熱交換器1の製造をより容易化することができる。
【0038】
なお、前述した実施形態では、NH散布管33は、NH導入管32から屈曲して延びる短軸散布管33aと、短軸散布管33aの端部から屈曲して延びる長軸散布管33bとを有して構成されるものを示したが(図2(b)参照)、図5(a)及び図5(b)に示すように、長軸散布管33bをプレート重合体10の軸方向長さと略同じ長さを有するものとし、長軸散布管33bの長手方向中間部にNH導入管32に連通してNH液冷媒を供給可能な連通管35を接続してもよい。このように構成すると、プレート重合体10にNH液冷媒をより均一に供給することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 冷媒熱交換器
5 中空容器
5a 内部空間
5b 上壁
5c、5d 側壁
5e 内壁面
10 プレート重合体
11、11'、11'' プレート
11a 下側のプレート
11b 上側のプレート
13 CO導入孔
15 CO導出孔
17 凹凸部
18 凹部
18a 突出部
19 凸部
20 規制凹凸部
21 第1熱交換流路
22 第2熱交換流路
22a 凝縮流路
22b 排出流路
30 NH供給管
31 NH導入口
32 NH導入管
33 NH散布管
33a 短軸散布管
33b 長軸散布管
35 連通管
40 NH排出管
40a 開口部
41 NH導出口
50 CO導入口
51 CO導入管
53 CO導出口
54 CO導出管
H 水平線
S 軸心
図1
図2
図3
図4
図5