(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エジェクタは、前記合流部分の近傍において直線状に延びる前記第1ガス供給路の直線状部分と、当該直線状部分に対して角度を成して交わり当該直線状部分に接続される前記戻し路の末端部分により形成されている、請求項1または2記載の基板処理装置。
前記処理室排気路は前記処理室に設けられた排気口に接続され、前記戻し路は前記処理室排気路から分岐しており、前記第2状態において前記処理室の前記排気口から排気された前記カップ外の前記処理室内のガスは、前記排気切替機構を介して前記戻し路に流入する、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0016】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0017】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚のウエハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0018】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0019】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0020】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0021】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0022】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0023】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0024】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0025】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0026】
次に、処理ユニット16の概略構成について
図2を参照して説明する。
図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
【0027】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0028】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0029】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウエハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
【0030】
処理流体供給部40は、ウエハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0031】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0032】
[第1実施形態]
次に、
図3を参照して第1実施形態に係る処理ユニット16の構成について詳細に説明する。
【0033】
処理ユニット16内には、処理流体供給部40として、薬液ノズル41、リンスノズル42および溶剤ノズル43を備える。薬液ノズル41は、洗浄用またはウエットエッチング用の薬液を供給する。リンスノズル42は、リンス液として例えば純水(DIW)を供給する。リンス液は、静電破壊防止のために、超低濃度の導電性イオンを含む純水であってもよい。溶剤ノズル43は、リンス液(純水)と相溶性があり、リンス液より表面張力が低く、かつ、リンス液より揮発性が高い溶剤、ここではIPA(イソプロピルアルコール)を供給する。薬液ノズル41、リンスノズル42および溶剤ノズル43は、共通のノズルアーム44の先端部に支持されている。ノズルアーム44は、駆動部45により、昇降、および鉛直軸線周りに旋回することができ、これにより上記のノズル41〜43が、
図3に示すウエハW中央部真上の処理位置と、回収カップ50の半径方向外側の待避位置(図示せず)との間を移動することができる。
【0034】
図3には、チャンバ20の天井部に設けられたFFU21の構造が
図2よりも詳細に示されている。FFU21は、ダクト211を有する。ダクト211の上流端211aは、基板処理システム1が設置されているクリーンルーム内の空間に開口している。ダクト211の他端(
図3の左端)の下面は開口しており、当該開口の下方にパーティクル除去用のフィルタ、ここではULPAフィルタ212が設けられている。ダクト211内には、上流側から順に、ファン213およびダンパ(流量調整弁)214が設けられている。ファン213の回転数調整およびダンパ214の開度調整の一方または両方を実行することにより、ダクト211内を流れるエア(ガス)の流量を調節することができる。ダクト211の上流端211aから取り込まれたクリーンルーム内のエアがULPAフィルタ212を通って、チャンバ20の内部空間22に流入する。ULPAフィルタ212は、通過するエアからパーティクルを除去して当該エアを清浄化する。
【0035】
チャンバ20内の回収カップ50の上方に、整流板23が設けられている。整流板23は、多数の孔が形成された平板(パンチングプレート)からなる。整流板23により、チャンバ20の内部空間22が、整流板23の上方のバッファ空間24と、整流板23の下方の処理空間25とに区画される。整流板23は、ULPAフィルタ212からバッファ空間24内に流入してきたエアの流れの水平方向分布を所望の形態に調節する。
【0036】
回収カップ50の排気口52には、排気路53が接続されている。排気路53は、工場排気系(図示せず)に直接接続されるか、あるいは排気ポンプ若しくはエジェクタ(いずれも図示せず)を介して工場排気系(EXH)のダクトに接続されている。チャンバ20の下部側壁には排気口54が設けられている。排気口54には、排気路55が接続されている。排気路55の下流端は、合流点56において、排気路53に接続されている。排気口52および排気路53を介して、回収カップ50内の雰囲気が排出される。排気口54および排気路55を介して、回収カップ50の外側のチャンバ20内(特に処理空間25下部)の雰囲気が排気される。以下、本明細書において排気口52,54を区別するため、前者をカップ排気口52、後者をチャンバ排気口54と呼ぶことにする。また、排気路53,55を区別するため、前者をカップ排気路53、後者をチャンバ排気路55と呼ぶことにする。
【0037】
上述したようにカップ排気口52を介して回収カップ50内の雰囲気が吸引され、
且つ、チャンバ排気口54を介して回収カップ50の外側の処理空間25内の雰囲気が吸引されているため、整流板23から下向きに流出するエアの流れは、回収カップ50内および回収カップ50の半径方向外側の空間内に向かって流れる。
【0038】
回収カップ50内に流入したエア(ガス)は、回収カップ50内に設けられた仕切壁により形成される流路に沿ってカップ排気口52に向かって流れる。このガスの流れは、ウエハWに供給された後にウエハWから飛散した処理液のミストがウエハWの周りを漂いウエハWに再付着することを防止するため、処理液のミストを適正に排液口51に導く等の役割を果たす。ウエハWの周囲の気流が適正なものとなるように、カップ排気口52からのガスの排気流量は所定範囲内に維持される。
【0039】
処理空間25内をチャンバ排気口54に向けて流れてチャンバ排気口54から排出されるエア(ガス)の流れは、ウエハWに供給された処理液に由来する雰囲気が回収カップ50の半径方向外側の領域に滞留することを防止する。
【0040】
カップ排気口52およびカップ排気路53を通って流れるガスの流量を制御するため、カップ排気路53にダンパ(流量調整弁)57が設けられている。チャンバ排気口55およびチャンバ排気路55を通って流れるガスの流量を制御するため、チャンバ排気路55にダンパ(流量調整弁)58が設けられている。
【0041】
なお、
図3ではチャンバ排気口54が一箇所のみ表示されているが、複数のチャンバ排気口54がチャンバ20の下部側壁(例えば回収カップ50に関して180度反対の位置)に設けられていてもよい。この場合、各チャンバ排気口54に接続されたチャンバ排気路55は三方弁60の上流側で合流し、これら複数のチャンバ排気路の合流点と三方弁60との間にダンパ58が設けられる。
【0042】
チャンバ排気路55から戻し路59が分岐している。分岐部には三方弁60が設けられている。三方弁60を切り替えることにより、チャンバ排気路55を通って三方弁60に流入してきたガスを、そのまま戻し路59には流さない第1状態と、戻し路59に流す第2状態とを切り替えることができる。戻し路59およびチャンバ排気路55(戻し路59の分岐点よりも下流側)にそれぞれ開閉弁を設けることにより、上記の三方弁60と同様の切替機能を実現することも勿論可能である。
【0043】
処理ユニット16には、さらに、ドライエア供給部80が設けられている。ドライエア供給部80は、当業者には周知のドライエア製造装置(例えば背景技術の項で述べた形式のもの)からなるドライエア供給源81と、ドライエア供給源81とFFU21のダクト211とを接続するドライエア供給路82と、ドライエア供給路82に上流側から順に介設されたファン83、ダンパ(流量調整弁)84およびエジェクタ85とを有している。ファン83の回転数の調整およびダンパ84の開度の調整の少なくとも一方を実行することにより、ドライエア供給路82を流れるドライエアの流量を調節することができる。ドライエア供給路82は、ダクト211のダンパ214よりも下流側の位置215において、ダクト211に接続されている。
【0044】
FFU21のファン213およびダンパ214、並びにドライエア供給部80のファン83およびダンパ84の動作を制御することにより(ダンパの開閉および開度調整、ファンの運転/運転停止および回転数調整など)、FFU21からガス(エア)が所望の流量でチャンバ20に供給される第1供給状態と、ドライエア供給部80からドライエアが所望の流量でチャンバに供給される第2供給状態とを切り替えることができる。すなわち、ファン83,213およびダンパ84,214は、チャンバ内へ供給されるガスを切り替える供給ガス切替機構をなす。
【0045】
エジェクタ85には、戻し路59が接続されている。三方弁60がチャンバ排気路55と戻し路59とを連通させているときにドライエア供給路82にドライエアを流すと、ドライエアがエジェクタ85にとっての駆動流として作用し、戻し路59内にあるガスを吸引する。ドライエアは戻し路59内にあるガスと混合されてダクト211内に流入する。三方弁60がチャンバ排気路55と戻し路59とを連通させていないときにドライエア供給路82にドライエアを流すと、ドライエアのみがダクト211内に流入する。後述するように、ドライエア供給路82からエアをダクト211内に流入させるときには、ダクト211内を位置215に向けて上流側から流れてくるエアは無い。ドライエア供給路82からダクト211内に流入したエアは、ダクト211を下流側に向けて流れ、ULPAフィルタ212を通過してチャンバ20の内部空間22内に流入する。
【0046】
次に処理ユニット16にて行われる一連の工程について説明する。以下の各工程は制御装置4の制御の下で自動的に実行される。
【0047】
まず、未処理のウエハWが、基板搬送装置17のアーム(
図1参照)により処理ユニット16内に搬入し、このウエハWは
図3に示すように
基板保持機構30により保持される。
【0048】
<薬液処理工程>
薬液ノズル41がウエハWの中央部の真上に位置する。ウエハWが鉛直軸線周りに回転させられ、ウエハWの中央部に薬液ノズル41が薬液(例えばDHF、SC−1等の洗浄用薬液、あるいはウエットエッチング用の薬液)を供給する。薬液は、遠心力により広がり、ウエハWの上面の全域が薬液の液膜により覆われる。反応生成物を含む薬液は、ウエハWの外周縁から半径方向外側に飛散する。飛散した薬液は回収カップ50により回収される。
【0049】
このとき、処理ユニット16に関連するガスの流れは以下の通りである。まず、ファン213が予め定められた回転数で回転し、また、ダンパ214が予め定められた開度に調整される。これにより、ダクトの上流端211aの開口部からダクト211内にクリーンルーム内のエアが取り込まれる。エアはULPAフィルタ212を通って、チャンバ20の内部空間に流入する。
【0050】
このとき、カップ排気口52およびカップ排気路53が陰圧の工場排気系(若しくはイジェクタ若しくは排気ポンプ)に接続され、これにより、回収カップ50の内部空間が吸引される。これにより、FFU21から供給された清浄空気のダウンフローが、回収カップ50の上部開口部から回収カップ50内に取り込まれる。回収カップ50内に適切な気流が形成されるように、ダンパ57の開度が調整される。ダンパ57の開度は、カップ排気口52から排出されてカップ排気路53を通って流れる排気の流量が例えば0.4m
3/min(立方メートル毎分)となるように調整される。
【0051】
また、このとき三方弁60は前述した第1状態となっている。従って、チャンバ排気口54およびチャンバ排気路55も陰圧の工場排気系(若しくはイジェクタ若しくは排気ポンプ)に接続され、処理空間25が吸引されるようになっている。FFU21から供給された清浄エアのダウンフローは、処理空間25のうちの回収カップ50の半径方向外側の空間26を通ってチャンバ排気路55に流入する。これにより、空間26内に、ウエハWから飛散した処理液のミスト等の望ましくない雰囲気が滞留することが防止され、処理空間25内が清浄に維持される。
【0052】
この工程では、処理結果に大きな影響を及ぼす回収カップ50の排気が適正に行われることが空間26の清浄度よりも重要である。空間26については、そこに問題となるような滞留が生じなければよい。従って、限られた吸引力を有効利用する観点から、チャンバ排気路55を流れる排気の流量は比較的小さめ(例えばカップ排気路53を通って流れる排気の流量よりも小さい例えば0.1m
3/min)となるように、ダンパ58の開度が調整される。
【0053】
このとき、FFU21からチャンバ20内に供給される清浄エアの供給流量は、チャンバ20内を概ね常圧に維持するため、カップ排気路53からの排気流量とチャンバ排気路55からの排気流量の和と概ね等しくなるように調整される。すなわち、清浄エアの供給流量は、例えば0.5m
3/minである。なお、処理の種類によりチャンバ20内を陽圧にしたい場合と陰圧にしたい場合がありうる。陽圧にしたい場合には、上記供給流量が上記排気流量の和よりもやや大きくなるようにし、陰圧にしたい場合には、上記供給流量が上記排気流量の和よりもやや小さくなるようにする。
【0054】
本明細書において、上記の薬液処理工程での処理ユニット16に関連するガスの給気および排気の状態を、通常給排気状態とも呼ぶ。
【0055】
<リンス工程>
薬液処理工程の終了後、引き続きウエハWを回転させたまま、(薬液の供給は停止している)リンスノズル42からリンス液例えば純水をウエハWの中心部に供給して、ウエハWの表面に残留した薬液および反応生成物を洗い流すリンス処理を行う。このリンス工程を実行している間も引き続き通常給排気状態が維持される。
【0056】
<IPA置換工程>
リンス工程の終了後、引き続きウエハWを回転させたまま、(リンス液の供給は停止している)溶剤ノズル43からIPAをウエハWの中心部に供給して、ウエハWの表面に存在するリンス液をIPAで置換するIPA置換処理を行う。このIPA置換処理を実行している間も引き続き通常給排気状態が維持される。
【0057】
<乾燥工程>
IPA置換工程の終了後、(IPAの供給は停止している)引き続きウエハWを回転させたまま(好ましくは回転数を増し)、ウエハWの乾燥を行う。以上により一枚のウエハWに対する一連の処理が終了する。処理済みのウエハWは、基板搬送装置17により処理ユニットから搬出される。
【0058】
乾燥工程においては、IPAの気化により温度が下がったウエハW表面への結露を防止するために、
内部空間22内の雰囲気の湿度(露点)を低下させることが好ましい。この目的のため、チャンバ20内の雰囲気を高湿度雰囲気(クリーンルーム空気の湿度と概ね同じであるか、あるいは処理液の影響によりクリーンルーム空気の湿度より高い湿度の雰囲気)から低湿度雰囲気に置換する。遅くとも乾燥工程の開始時点(すなわち、遅くともウエハW上へのIPAの供給が停止された時点)において、チャンバ20の
内部空間22内の湿度が十分に低下していることが好ましい。従って、乾燥工程の開始前、すなわちIPA置換工程の実行中に、上記通常給排気状態を終了し、低湿度雰囲気への雰囲気置換を開始することが好ましい。なお、雰囲気置換の開始は上記のタイミングが好ましいのであるが、これに限定されるものではなく、乾燥工程の開始と同時あるいはやや後であってもよい。
【0059】
以下にチャンバ20内の雰囲気を低湿度雰囲気に移行させるとともに低湿度雰囲気に維持するための手順について説明する。この手順は、低湿度化段階と、低湿度維持段階とを含んでいる。
【0060】
<低湿度化段階>
まず、
図5に示すように、FFU21のファン213を停止するとともにダンパ214を閉じ、ダクト211内へのクリーンルーム空気の取り込みを停止する。これと概ね同時に、それまで停止していたドライエア供給部80のファン83を起動するとともにそれまで閉じていたダンパ84を開き、ドライエア供給部80からダクト211内へドライエアの供給を開始する。これにより、チャンバ20内にドライエアが供給されるようになる。ドライエアの供給流量は、薬液処理工程におけるFFU21からの清浄エアの供給流量と同じ(例えば0.5m
3/min)でよい。また、三方弁60の状態およびダンパ57、58の開度も薬液処理工程時と同じでよい。従って、カップ排気路53を介した排気流量は例えば0.4m
3/minとなり、チャンバ排気路55を介した排気流量は例えば0.1m
3/minとなる。 上記のようなガスの流れを形成することにより、チャンバ20内および回収カップ50内にあった高湿度のエアは、低湿度のドライエアに置換されてゆく。
【0061】
<低湿度維持段階>
チャンバ20の処理空間25が所望の低湿度となったら、
図6に示すように、その低湿度を経済的に維持するための低湿度維持段階に移行する。すなわち、三方弁60を前述した第2状態に移行させる。カップ排気路53のダンパ57の状態は低湿度化段階と同じに維持する。なお、チャンバ排気路55のダンパ58の開度は、後述する排気流量を実現させるための必要性に応じて変更することができる。チャンバ20の処理空間25が所望の低湿度となったことは、例えば処理空間25内に設けた湿度センサ(図示せず)により検出することができる。あるいは、処理空間25を所望の湿度にするために必要な低湿度化段階の実行時間を実験により予め把握しておき、実際の処理時にはこの把握された実行時間の経過をもって、処理空間25が所望の低湿度となったものとみなしてもよい。また、上記の所望の低湿度の具体的な値は、予め実験により求めることができる。上記の所望の低湿度とは、例えば、ウエハWのパターンの倒壊あるいはウエハWの表面へのウォーターマークの発生を確実に防止することができるような湿度である。
【0062】
上記の操作を行うことにより、チャンバ排気路55を介して排出されたチャンバ20内のガス(エア)は、戻し路59に向かうようになる。エジェクタ85には、ドライエア供給部80から供給されたドライエアが流れているため、エジェクタ85内に戻し路59内にあるエアが引き込まれてドライエアの流れと合流し、ダクト211内に供給される。ダクト211内に供給されたエアは、ULPAフィルタ212を通ってチャンバ20内に供給される。このとき、チャンバ排気路55を介して排出されたエアがパーティクルを含んでいたとしても、パーティクルはULPAフィルタ212により除去される。
【0063】
低湿度維持段階において、カップ排気路53の排気流量を低湿度化段階と同じ0.4m
3/minとし(前述した理由によりカップ排気路53の排気流量は変更しないことが好ましい)、チャンバ排気路55から戻し路59へ向かう排気流量を低湿度化段階と同じ0.1m
3/minとしたとする。ここで、チャンバ排気路55からカップ排気路53に向かう排気流量はゼロである。すなわち、低湿度化段階で捨てられていた0.1m
3/min分のドライエアが再利用されることになる。従って、このとき、チャンバ20内を概ね常圧に維持するために必要なドライエア供給部80からのドライエアの供給流量は0.4m
3/minでよく、この値は低湿度化段階における0.5m
3/minよりも20%も低い値である。
【0064】
なお、乾燥工程の終了後、処理済みのウエハWを搬出するまでの間の適当なタイミングで、低湿度維持段階を終了して通常給排気状態に戻す。
【0065】
上記実施形態によれば、高湿度雰囲気から低湿度雰囲気への移行にあたり、低湿度化段階を実行した後に低湿度維持段階を実行することにより、迅速な雰囲気置換と経済的な運用を両立することができる。すなわち、チャンバ20内が高湿度である場合には、比較的大流量で新鮮なドライエアをチャンバ内に供給することにより、速やかにチャンバ20内の雰囲気を低湿度雰囲気に置換することを可能としている。一方、チャンバ20内が十分に低湿度になった後は、新鮮なドライエアの供給量を下げても低湿度雰囲気を維持する上で問題はないので、チャンバ20内に供給したドライエアの一部をリサイクルして、高価かつ工場用力に負担を掛けるドライエアの使用量を削減している。
【0066】
上記実施形態では、ドライエア供給路82の下流端をダクト211に接続したが、これには限定されない。ドライエア供給路82の下流端をチャンバ20のバッファ空間24に接続してもよい。但し、この場合には、上記低湿度維持段階にチャンバ排気口54から排出されるエアに含まれるパーティクルがチャンバ20に戻されることを防止するために
、三方弁60とエジェクタ85との間の戻し路59
に、フィルタを設けることが望ましい。または、エジェクタ85とバッファ空間24との間のドライエア供給路82に、フィルタを設けることが望ましい。
【0067】
図7を参照して第1実施形態の第1変形例について説明する。
図7において、
図3の実施形態と同一部材には同一符号を付し、これら同一部材についての重複説明は省略する。以下に
図3の実施形態に対する相違点につき説明する。
【0068】
第1変形例では、ドライエア供給部80か
らエジェクタ85が除去されている。ドライエア供給
部80の下流端は、チャンバ20のバッファ空間24に接続されている。戻し路59は、位置27において、チャンバ20の処理空間25に接続されている。位置27は、チャンバ排気口54よりも高い位置にある。位置27は、例えば、回収カップ50の上端よりもやや高い位置に設けることができる。戻し路59には、ファン61およびフィルタ62(例えばULPAフィルタ)が順次介設されている。
【0069】
通常給排気状態におけるガスの流れは
図4に示したものと同じである。以下に、低湿度化段階および低湿度維持段階のガスの流れについて説明する。
【0070】
低湿度化段階では、FFU21のファン213が停止されるとともにダンパ214が閉じられ、ダクト211内へのクリーンルーム空気の取り込みが停止されている。ドライエア供給部80からチャンバ20のバッファ空間24にドライエアが供給され、このドライエアは整流板23を通って処理空間25内に流入する。ドライエアの供給流量は、薬液処理工程におけるFFU21からの清浄エアの供給流量と同じ0.5m
3/minでよい。また、三方弁60の状態およびダンパ57、58の開度も薬液処理工程時と同じにされ、カップ排気路53を介した排気流量は0.4m
3/minとなり、チャンバ排気路55を介した排気流量は0.1m
3/minとなる。上記のようなガスの流れを形成することにより、チャンバ20内および回収カップ50内にあった高湿度のエアは、低湿度のドライエアに置換されてゆく。
【0071】
低湿度維持段階に移行する際には。三方弁60を前述した第2状態に移行させ、ファン61を動作させる。これにより、空間26内のガスが、チャンバ排気口54からチャンバ排気路55に排出され、三方弁60および戻し路59を経て処理空間25内に戻されるようになる。チャンバ排気路55のダンパ58の開度は、戻し路59を流れるガスの流量が所望の値となるように、必要に応じて変更することができる。カップ排気路53のダンパ57の状態は低湿度化段階と同じに維持する。チャンバ排気路55を介して排出されたエアに含まれるパーティクルはフィルタ62により除去される。
【0072】
この第1変形例においても、低湿度維持段階において、カップ排気路53の排気流量を低湿度化段階と同じ0.4m
3/minとし、チャンバ排気路55から戻し路59へ向かう排気流量を低湿度化段階と同じ0.1m
3/minとする。ここで、チャンバ排気路55からカップ排気路53に向かう排気流量はゼロである。すなわち、
図3に示す実施形態と同様に、低湿度化段階で捨てられていた0.1m
3/min分のドライエアが再利用されることになる。従って、このとき、チャンバ20内を概ね常圧に維持するために必要なドライエア供給部80からのドライエアの供給流量は0.4m
3/minでよく、この値は低湿度化段階における0.5m
3/minよりも20%も低い値である。
【0073】
上記の第1変形例においても、迅速な雰囲気置換と経済的な運用を両立することができる。第1変形例においては、戻し路59がドライエア供給
部80と接続されていないので、低湿度維持段階において戻し路59を通って流れるガスの流量を任意の値に調整することが容易である。
【0074】
図3に示す実施家形態では、戻し路59が三方弁60を介してチャンバ排気路55から分岐していたが、これには限定されない。
図8に示すように、チャンバ排気路55と戻し路59が分離されていてもよい。
図8に示す第2変形例では、チャンバ排気路55は専用のチャンバ排気口54Aに接続され、戻し路59は専用のチャンバ排気口54Bに接続される。チャンバ排気路55にはダンバ58Aおよび開閉弁60Aが設けられ、戻し路59にはダンバ58Bおよび開閉弁60Bが設けられている。
図8において、
図3の実施形態と同一部材には同一符号を付し、これら同一部材についての重複説明は省略する。この第2変形例では、開閉弁60Aを開き開閉弁60Bを閉じることにより
図3の実施形態における第1状態と実質的に等価な状態を実現することができ
る。さらに、開閉弁60Aを閉じて開閉弁60Bを開くことにより
図3の実施形態における第2状態と実質的に等価な状態を実現することができる。
【0075】
図3に示す実施形態では、ドライエア供給路82がFFU21のダクト211に接続されていたが、これには限定されない。
図9に示すように、ドライエア供給路82をチャンバ20のバッファ空間24に接続してもよい。この場合、チャンバ排気路55を介して排出されたエアに含まれるパーティクルを除去するために、戻し路59にフィルタ62(例えばULPAフィルタ)を設けることが好ましい。
図9に示す第3変形例においても、迅速な雰囲気置換と経済的な運用を両立することができる。
【0076】
次に、
図10を参照してエジェクタ85の好適な一実施形態について説明する。エジェクタ85として、流体機器メーカーから供給される独立した部品としてのエジェクタを使用することができるが、ここでは簡潔な構造のエジェクタを用いる。
【0077】
図10に示すように、エジェクタ85は、ドライエア供給路82と戻し路59との合流部分により形成されている。ドライエア供給路82は角形断面のダクトからなり、戻し路59も角形断面のダクトからなる。ドライエア供給路82は上記合流部分の近傍において上流側から下流側に向かって直線状に延びている。ドライエア供給路82の直線状に延びる部分に対して戻し路59が接続されている。ドライエア供給路82の直線状に延びる部分に対して戻し路59は所定の角度、ここでは90度の角度を成して交差している。ドライエア供給路82の側壁に、戻し路59の断面形状に相当する開口86が形成されている。
【0078】
図11に示すように、ドライエア供給路82内の開口86の近傍をドライエアDAが流れると、ドライエアDAの流れにより戻し路59内のガスRA1(チャンバ20内から排出されたエア)が引き込まれ(矢印RA2を参照)、戻し路59内の開口86の近傍に陰圧領域Nが生じる。この陰圧領域Nに戻し路59内のガスが流れ込むことにより、戻し路59内に開口86に向かうガスの流れRA1が生じる。
【0079】
開口86の面積を調節するために、弁装置87が設けられている。弁装置87は、弁体87aと、弁体87aを駆動する弁アクチュエータ87bとを有する。弁体87aは剛性の高い板状体から構成することが好ましい。弁装置87は、例えばゲートバルブである。開口86の面積を大きくすると、陰圧領域Nが大きくなるので、ガスの流れRA1の流量が増大する。一方、開口86の面積を小さくするとガスの流れRA1の流量が減少する。弁体87aは
図10の上下方向に移動することにより開口86の面積を変化させる。しかしながら、
図11では、動作原理の説明をより容易にするため、弁体87aが水平方向(左右方向)に移動するものとして描かれている。
【0080】
ドライエア供給路82内の開口86よりも下流側の空間(すなわち開口86とチャンバ20との間の空間)の圧力を測定する圧力計88が設けられている。弁アクチュエータ87bは、圧力計88の測定値に基づいて、弁コントローラ89により制御される。詳細には、弁コントローラ89の上位コントローラである制御装置4(
図1参照)から弁コントローラ89に圧力計88の測定値の目標値が与えられている。弁コントローラ89は上記目標値に対する上記測定値の偏差がゼロとなるように、弁アクチュエータ87bを制御して開口86の面積を変化させる。弁コントローラ89は制御装置4の一部であってもよい。
【0081】
図10および
図11に記載したドライエア供給路82と戻し路59との合流部分により形成されているエジェクタ85に弁装置87を設けることにより、エジェクタ85自体の構造が非常に簡潔であるにも関わらず(単に2つのダクトを連結しただけ)、戻し路59を流れるガスの流量を安定的に一定の値に維持することができる。このため、チャンバ20の内圧を一定に維持することができる。
【0082】
チャンバ20の内圧は、チャンバ20へのガスの総供給量とチャンバ20からのガスの総排出量との差分に応じて変動する。このため、戻し路59を流れるガスの流量が変動したとしても、上記差分は変化しないため、チャンバ20の内の圧力は変動しないように思えるかもしれない。しかしながら、ガス(エア)が圧縮性流体であるため、戻し路59を流れるガスの流量の増減に伴うチャンバ20からのガスの排出量の増減とチャンバ20へのガスの流入量の増減との間に時間差が生じる。このため、戻し路59を流れるガスの流量が変化するとチャンバ20の内の圧力が変化してしまうので、戻し路59を流れるガスの流量は可能な限り一定の値に維持することが好ましい。
【0083】
図11に示すように、圧力計88はドライエア供給路82と戻し路59との合流位置よりもやや下流側の位置におけるドライエア供給路82内の圧力を検出するように設けるのがよい。この位置の圧力は、戻し路59を流れるガスの流量の変動に応じて敏感に変動するので、この位置の圧力測定結果に基づいて弁装置87の開度を制御することにより、戻し路59を流れるガスの流量をより確実に一定に維持することができる。
【0084】
なお、
図3などに示したダンパ58を用いても戻し路59を流れるガスの流量を調節することは可能である。しかしながら、弁装置87を用いて
図11に示した陰圧領域Nの大きさを変更した方が、戻し路59を流れるガスの流量をより正確かつより高レスポンスで調節することができる。このため、チャンバ20内の圧力変動がより生じ難くなる。
【0085】
[第2実施形態]
次に
図12および
図13を参照して処理ユニット16の第2実施形態について説明する。
図12において、
図3の実施形態と同一部材には同一符号を付し、これら同一部材についての重複説明は省略する。図示の便宜上、
図12にはノズル41〜43、ノズルアーム44および駆動部45が表示されていないが、これらの部材は実際には処理ユニット16に設けられている。以下に
図3の実施形態に対する相違点につき説明する。
【0086】
図3と
図12とを比較すればわかるように、チャンバ排気路55のダンパ58が三方弁の下流側に移設されている。また、戻し路59はドライエア供給路82に合流しておらず、戻し路59およびドライエア供給路82はそれぞれの接続点216、215においてダクト211に接続されている。
【0087】
回収カップ50の周囲を囲むようにガス処理部90が設けられている。ガス処理部90は平面視で回収カップ50を囲む概ねC字形(あるいはU字形)の形状を有する。チャンバ20の側壁のC字の切れ目の部分に対応する位置にウエハ搬出入口(図示せず)が設けられている。これにより、ガス処理部90により処理ユニット16に対するウエハの搬出入が妨げられないようになっている。
【0088】
図13に示すように、ガス処理部90は、ハウジング91と、ハウジング91内に上から順に配置されたケミカルフィルタ92、シリカゲル層(除湿剤層)93およびペルチェ素子集合体(加熱要素)94を有している。ハウジング91の天井壁95には開口95aが設けられている。ハウジング91の底壁96からハウジング91内に排気管97が挿入されている。排気管97はペルチェ素子集合体94の一部を貫通してシリカゲル層93の底部まで延びている。なお、排気管97はハウジング91に1本のみ(2本以上でもよいが)設けられており、排気管97が設けられてない部分においては、断面で見て、シリカゲル層93の下面全体がペルチェ素子集合体94の上面全体に接触している。排気管97はチャンバ排気路55に接続されている。
【0089】
ケミカルフィルタ92は、ケミカルフィルタ92を通るガス(エア)から、ULPAフィルタで除去することができない分子状汚染物質(例えばアンモニア分子)を除去する。シリカゲル層93は、シリカゲル層93を通るガス(エア)から、水分を除去する。ペルチェ素子集合体94は、シリカゲル層93を加熱することにより水分を吸着したシリカゲルを再生する。
【0090】
上述した点以外は、
図3の実施形態(第1実施形態)と
図12の実施形態(第2実施形態)の構成は同じである。
【0091】
この第2実施形態におけるガスの流れについて以下に説明する。前述した薬液処理工程、リンス工程およびIPA置換工程(IPA置換工程の前半のみでもよい)を行っているときには、FFU21のファン213が回転することによりダクト211内に取り込まれたクリーンルーム内のエアが、ULPAフィルタ212を通ってチャンバ20内に供給される。チャンバ20内に供給されたエアの一部は回収カップ50内を通ってカップ排気路53から排出される。
【0092】
チャンバ20内に供給されたガス(エア)の残りの部分は、ガス処理部90に流入し、ガス処理部90で分子状汚染物質および水分が除去され、チャンバ排気路55に流出する。チャンバ排気路55に流出したガスすなわち清浄化および除湿されたエアは、三方弁60を経て、戻し路59に流入する(チャンバ排気路55の三方弁60の下流側には流れない。)。すなわちULPAフィルタ212を通ってチャンバ20内に供給されるガスは、クリーンルームから取り込まれたエアと、清浄化および除湿されたエアとの混合ガスとなる。この混合ガス(エア)の湿度は、クリーンルームから取り込まれたエアよりも低い。このため、乾燥工程時に必要となる低湿度雰囲気への移行を迅速に行うことが可能となる。
【0093】
乾燥工程の実行開始時あるいはその前若しくはその後に、チャンバ20内の雰囲気を低湿度に移行しかつ低湿度に維持するときには、FFU21のファン213が停止されるとともに
ダンパ214が閉じられ、ドライエア供給部80からダクト211を介してチャンバ20内にドライエアが供給される。チャンバ20内に供給されたエアの一部は回収カップ50内を通ってカップ排気路53から排出される。チャンバ20内に供給されたガス(エア)の残りの部分は、ガス処理部90に流入し、ガス処理部90で分子状汚染物質および水分が除去され、チャンバ排気路55に流出する。チャンバ排気路55に流出したガスすなわち清浄化および除湿されたエアは、三方弁60を経て、戻し路59に流入する(チャンバ排気路55の三方弁60の下流側には流れない。)。すなわちチャンバ20内に供給されるガスは、ドライエア供給部80から供給されたドライエアと、清浄化および除湿されたエアとの混合ガスとなる。
【0094】
チャンバ20内には処理液等に由来する水分が漂っているため、チャンバ20内に供給されたガスの湿度は、チャンバ20内で増大する可能性が高い。しかしながら、この水分はガス処理部90で除去されるため、チャンバ排気路55および戻し路59を介してリサイクルされるガスをドライエア供給部80から供給されたドライエアと混合しても、その混合ガスの湿度は、ドライエア供給部80から供給されたドライエアの湿度と大きな差異は無い。すなわち、この第3実施形態によれば、ドライエアをリサイクルしたとしても、チャンバ20内の湿度を、非常に低いレベルに維持することができる。
【0095】
シリカゲル層
93を構成するシリカゲルを再生する場合には、三方弁60を切り替えて、ガス処理部90からチャンバ排気路55に流出したガスが、戻し路59には流れずチャンバ排気路55の下流側に流れるようにする。この状態でペルチェ素子集合体
94に通電して、シリカゲル層
93を加熱してシリカゲル層
93から水分を除去する。除去された水分は、チャンバ排気路55およびカップ排気路53を経て、工場排気系に廃棄される。このような再生処理は、例えば、1枚のウエハの処理が終了した後に次のウエハの処理が開始するまでの間、あるいはある製造ロットのウエハの処理が終了した後、次の製造ロットのウエハの処理が開始されるまでの間に行うことができる。
【0096】
上記実施形態は、乾燥工程時にチャンバ20内の雰囲気を調整するためにドライエア供給部80が低湿度(低露点)ガスであるドライエアを供給するものであった。これに代えて、乾燥工程時にチャンバ20内の雰囲気を調整するために低酸素ガス例えば窒素ガスを供給する構成も採用することができる。この場合、ドライエア供給部80を窒素ガス供給部にすれば(すなわち単にドライエア供給源81から供給されるガスを窒素ガスにすれば)、その他の部分の装置構成は同一でよい。また、ドライエアに代えて窒素ガスを使用する点を除けば、装置の動作もドライエアを使用している場合と同一でよい。つまり上記説明文において、ドライエアを窒素ガスと読み替え、湿度を酸素濃度と読み替えることにより、窒素ガスを利用した実施形態の構成、作用、効果について理解することができる。なお、工業的に使用される窒素ガス中に含まれる水分量は、FFU21に供給される清浄エアと比較して大幅に低いため、窒素ガスは、低湿度ガスと見なすこともできる。
【0097】
上記基板処理システム1により処理される被処理基板は、半導体ウエハWに限らず、ガラス基板、セラミック基板等の任意の基板とすることができる。