特許第6392349号(P6392349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392349
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】印刷画像
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20180910BHJP
   B42D 25/23 20140101ALI20180910BHJP
   B42D 25/24 20140101ALI20180910BHJP
   B42D 25/26 20140101ALI20180910BHJP
   B42D 25/29 20140101ALI20180910BHJP
   B42D 25/378 20140101ALI20180910BHJP
【FI】
   B41M3/14
   B42D25/23
   B42D25/24
   B42D25/26
   B42D25/29
   B42D25/378
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-535357(P2016-535357)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公表番号】特表2016-534901(P2016-534901A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014002036
(87)【国際公開番号】WO2015024619
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】13004179.1
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】クライン,シルケ
(72)【発明者】
【氏名】モンターク,ハイデマリー
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/013871(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0072739(US,A1)
【文献】 特開2001−106937(JP,A)
【文献】 特表2004−520472(JP,A)
【文献】 特表2009−503207(JP,A)
【文献】 特開2001−354909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/00−3/18
B42D 15/00−15/08
B42D 25/00−25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の少なくとも2つの領域ユニットからなり、該領域ユニットのそれぞれがフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、印刷画像であって、第1のフレーク状エフェクト顔料であって、該第1のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ、該第1のフレーク状エフェクト顔料は非金属性無機材料を含む外層を有する、該第1のフレーク状エフェクト顔料を、第1の領域ユニットが含むこと、および第2のフレーク状エフェクト顔料であって、該第2のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第2のフレーク状エフェクト顔料は有機表面改質剤を含む外層を有し、かつ有機表面改質剤を含む外層下の該第2のフレーク状エフェクト顔料が、非金属性無機材料を含む層を有する、該第2のフレーク状エフェクト顔料を、第2の領域ユニットが含むことを特徴とする、前記印刷画像。
【請求項2】
第1のおよび第2の領域ユニットが、互いに直接的に隣接していることを特徴とする、請求項1に記載の印刷画像。
【請求項3】
有機表面改質剤が、有機官能性シロキサンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷画像。
【請求項4】
有機官能性シロキサンが、フルオロアルキル基およびアミノアルキル基を含有することを特徴とする、請求項3に記載の印刷画像。
【請求項5】
第1のおよび第2のフレーク状エフェクト顔料が、ただ単に、外層が第2のフレーク状エフェクト顔料上の有機表面改質剤を含むことだけにより、異なることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷画像。
【請求項6】
第1のおよび第2のフレーク状エフェクト顔料が、パール光沢顔料、干渉顔料、金属性エフェクト顔料または光学的可変性顔料であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷画像。
【請求項7】
第1のおよび/または第2のフレーク状エフェクト顔料が、磁気特性、電気伝導性または発光特性もまた、有することを特徴とする、請求項に記載の印刷画像。
【請求項8】
レーザーマーキングを有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷画像。
【請求項9】
レーザーマーキングが、第1のおよび/または第2の領域ユニットにあることを特徴とする、請求項に記載の印刷画像。
【請求項10】
基板が、紙、ボール紙、壁紙、ティッシュペーパー材料、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、木材、織物材料、または上記の材料の2もしくは3以上を含む複合材であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷画像。
【請求項11】
紙が、紙幣用紙であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷画像。
【請求項12】
請求項1に記載の印刷画像の、製造方法であって、第1のフレーク状エフェクト顔料であって、該第1のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第1のフレーク状エフェクト顔料は非金属性無機材料を含む外層を有する、該第1のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第1の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第1の領域ユニットを形成し、凝固させること、ならびに、第2のフレーク状エフェクト顔料であって、該第2のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第2のフレーク状エフェクト顔料は有機表面改質剤を含む外層を有し、かつ有機表面改質剤を含む外層下の該第2のフレーク状エフェクト顔料が、非金属性無機材料を含む層を有する、該第2のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第2の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第2の領域ユニットを形成し、凝固させることを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、第1のおよび第2の領域ユニットが互いに直接的に隣接して、基板に適用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
第2のエフェクト顔料の外層が、有機官能性シロキサンを含むことを特徴とする、請求項1または1に記載の方法。
【請求項15】
有機官能性シロキサンが、フルオロアルキル基およびアミノアルキル基を含有するシロキサンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第1のおよび/または第2の印刷インクが、スクリーン印刷インク、グラビア印刷インク、フレキソ印刷インクまたは凹版印刷インクであることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1のおよび/または第2の領域ユニットが、レーザーマーキングを備えることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
製品上の、修飾要素としての、機能的要素としての、またはセキュリティ特徴としての、請求項1〜1のいずれか一項に記載の印刷画像の、使用。
【請求項19】
製品が、紙幣、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、ラベル、包装材または印章であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の印刷画像(printed image)に、特に、フレーク状エフェクト顔料を含み、かつ顕著な艶消し/光沢効果を呈する印刷画像に、このタイプの印刷画像の製造方法に、およびこのタイプの印刷画像の、特には装飾的なまたはセキュリティ目的のための、使用に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾的な用品、例えば、高品質な物品の包装、文房具製品など、または特にはさまざまなセキュリティ印刷製品もまた、長年、注意を引くことを意図する顕著な光学的効果を作り出すために、高質な印象を備えている。この目的のために必要とされる印刷インクは、多くの場合、パール光沢顔料または金属性エフェクト顔料を含んでおり、これは、視野角を以って変化もし得る、かすかに光る光学的外観のために、かかる適用に特に好適なようである。
【0003】
特にはセキュリティ印刷製品の場合において、製品をコピー可能としないようにし、ひいては偽造に対するセキュリティを高めるために、かかるエフェクト顔料により達成され得る光学的効果がまた、機能的特性、例えば電気伝導性または磁気的な配列能力などが、増加的にならびに追加的に組み合わされる。
【0004】
高い生産性および市場で確立した方法のおかげで、印刷工程は、製造に安価である高品質の量産製品の製造に特に適している。
そのため、装飾要素またはかかる要素が印刷工程での単純な方法で製造され得るという、機能的および/または装飾的なセキュリティ特徴の開発において、重要さを増している。
【0005】
特に注目すべきは、従来の印刷工程で、多様な基板に適用され得る、高度に光沢性の表面である。セキュリティ特徴として用いられる場合、高度に光沢性の表面は少なくとも、他の非光学的機能もまた有するべきである。高度に光沢性の表面部分は好ましくは、他のまたは同じ色の、例えばグラフィックパターンの形態において、非光沢性であるかまたは弱く光沢性のみである表面部分との組み合わせで用いられる。
【0006】
表面の光沢の強さは、対応する表面の反射率により記載され得る。電磁放射に暴露された表面の反射率は原則的に、現象反射、散乱および屈折により決定される。理想的には、最高の反射率は、−非指向性の散乱または反射の割合がほぼない−入射直進光が事実上完全に反射する場合に達成され、例えば、高度に研磨された金属表面の、または理想的な平面基板上、例えばガラスシート上などに、気相から堆積される金属層の、ミラー効果の場合において観測される。
【0007】
表面での電磁放射の反射率は、指向性に反射された光強度の、入射直進光の強度に対する割合として定義される。現象学的な用語において、表面の指向的反射は光沢効果として、非指向性拡散反射は艶消し効果として、認識されている。物理的用語において、光沢は、表面上に注ぐ光の、指向性に反射された割合と拡散的に反射した割合の比率として定義される。
【0008】
平面状の非金属性表面において、指向性入射光は、反射されるだけでなく、屈折されもする。反射率の大きさは、入射角に、および屈折率の差異に依存し、すなわち反射率は、一定の入射角での非金属表面の屈折率が増加すると共に、増加する。
【0009】
エフェクト顔料を含む表面層において高い反射率を達成するためには、エフェクト顔料自体が高度に平面状である顔料面および際立ったフレーク状を有していなければならず、かつ層において、基板表面に平行に配列されなければならない。反射位置に存在する顔料が多いほど、達成される反射率および金属性様相を有する光沢性外観は、より高度となる。
【0010】
顔料においていわゆるリーフィング効果を作り出す、表面改質を有する適用媒体の表面に、より良好な光沢を作り出すために通常は提供される金属顔料を以って、最良の反射値が達成される。この最終顔料コーティングにより、用いられる結合剤によりもはや完全には湿潤せず、かつ適用される湿潤膜において浮遊しようとする、結果物としての顔料、および層表面を以って配列がもたらされる。金属顔料の場合において頻繁に、これらのエフェクト顔料の親水性/疎油性の表面の性質をもたらすステアリン酸を用いて、リーフィング効果を達成するために頻繁に用いられる。このようにして被覆された金属顔料は一般に、自動車塗料で用いられる。
【0011】
反対の効果は、分枝または不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸などが、ステアリン酸の代わりに用いられる表面処理で達成され得、これは非リーフィング効果を作り出す。この処理により、顔料表面が親油性となる。これらの非リーフィング顔料は、従来の塗料結合剤により良好に湿潤させて、塗料またはインクに組み込まれ得る。
【0012】
金属顔料は、リーフィンググレード(ゴールドブロンズ、亜鉛顔料)としてのみであるか、またはリーフィングおよびノンリーフィンググレード(アルミニウム顔料)としてかのいずれかで、市場で利用可能である。
【0013】
金属顔料を含む層により作り出される反射効果は、視野角に依存する。この効果のための有益な量は、「メタリックトラベル」または明度フロップとして知られ、いわゆるフロップインデックスである。単純な光沢測定機器が固定された角度(20°、60°または85°)における光沢を決定するのに対し、フロップインデックスは15°、45°および110°における明度値(CIELABシステムにおけるL値)により特徴づけられる。反射角から開始しての、反射における変化は、この広範囲の視野角にわたって考慮される。フロップインデックス(flop index)は:
【数1】
で定義される。
【0014】
吸収顔料を含む単色層の場合において、フロップインデックスはゼロに等しく、金属顔料を含む非常に高い反射率を有する層の場合において、フロップインデックスは15〜17である。
【0015】
非金属性表面を有するエフェクト顔料、例えば、金属化合物、特には金属酸化物で、または金属酸化物もしくは酸化物水和物、例えば天然のもしくは合成の雲母、ホウケイ酸、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化チタンフレークなどの1つまたは2つ以上の層で被覆された気体で、被覆された金属顔料などもまた、角度依存性反射挙動を呈する。これらの顔料は、例えば商品名Meoxal(登録商標)、Iriodin(登録商標)、Phoenix(登録商標)、Pyrisma(登録商標)、Miraval(登録商標)、Firemist(登録商標)、Colorstream(登録商標)、Colorcrypt(登録商標)およびXirallic(登録商標)の下で、商業的に利用可能である。
【0016】
非金属表面を呈する、かかるエフェクト顔料は、外側の外被膜として例えば、有機ケイ素化合物、例えばフッ素基を含むシラン類(EP 1203794; EP1203795; US 7,160,374)またはポリシロキサン類(US 4,544,415; WO 96/32446)などで、通常は後被覆されて、天気安定性を高め、かつ、それにもかかわらず、カラー層または着色されるプラスチックコンポーネントへの、エフェクト顔料の十分に良好な配向/カップリングを達成する。
【0017】
これらの顔料が官能化されたシラン類/シロキサン類で被覆される場合、驚くべきことにそれらは同様に、粉体コーティング適用におけるリーフィング効果を呈するところ、これは、より高度な明度から、ならびに被覆された表面での指向性散乱の増加から明らかである。散乱が増加するため、被覆されていないエフェクト顔料を含む粉体コーティング層と比較して、このようにして顔料塗布された粉体コーティング層は、光沢が減少する。
【0018】
印刷インクにおける使用に関し、印刷インクにおける使用のために意図されるエフェクト顔料は通常、印刷インクへのエフェクト顔料の、安定、均質かつ沈降なしの取り込みを単純化する、表面改質を、仮にそうであったとしても、単に受けるだけであるため、集約的な調査は、リーフィング効果をもたらし得る非金属表面を有するエフェクト顔料の表面処理に関し、現在まで実行されてきていない。
【発明の概要】
【0019】
本発明の目的は、非金属性表面層を有するエフェクト顔料を印刷工程で使用するに際し、印刷画像であって、理想的には互いに顕著に異なる光沢および艶消し効果のために用いられる顔料の材料組成物なしで、可能であるならば同時に該印刷画像の少なくとも1つの非光学的機能を存在させて、対応する艶消し効果と、組み合わせることができる、非常に高度な光沢を、少なくとも部分領域において有する、前記印刷画像を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、上記の印刷画像の製造方法を提供することにある。
加えて、本発明のさらなる目的は、このようにして製造された印刷画像の使用を提唱することにある。
【0021】
本発明の目的は、基板上の少なくとも2つの領域ユニットからなり、該領域ユニットのそれぞれがフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、印刷画像であって、第1のフレーク状エフェクト顔料、該第1のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ、該第1のフレーク状エフェクト顔料は非金属性無機材料を含む外層を有する、を、第1の領域ユニットが含み、かつ第2のフレーク状エフェクト顔料、該第2のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第2のフレーク状エフェクト顔料は有機表面改質剤を含む外層を有する、を、第2の領域ユニットが含む、前記印刷画像により達成される。
【0022】
加えて、本発明の目的は、上記の印刷画像の製造方法であって、第1のフレーク状エフェクト顔料であって、該第1のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第1のフレーク状エフェクト顔料は非金属性無機材料を含む外層を有する、該第1のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第1の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第1の領域ユニットを形成し、凝固させ、かつ、第2のフレーク状エフェクト顔料であって、該第2のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第2のフレーク状エフェクト顔料は有機表面改質剤を含む外層を有する、該第2のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第2の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第2の領域ユニットを形成し、凝固させる、前記方法により達成される。
【0023】
加えて、本発明の目的はまた、製品上の、修飾要素としての、機能的要素としての、またはセキュリティ特徴としての、上記の印刷画像の使用により達成される。
本発明の意味における印刷画像は、慣用の印刷工程により、基板に適用された、基板上の固体で、2次元のコーティングである。
【0024】
本発明による印刷画像はまた、それぞれがフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含み、かつ互いに区別可能な、少なくとも2つの領域ユニットを有する。本発明によると、少なくとも2つの領域ユニットは、それらが互いに異なる、反射率、またはフロップインデックスを少なくとも有する点で、光学的に互いに区別可能である。この違いは光学的に裸眼に可視の艶消し/光沢効果により、現象的に明らかであり、ここで領域ユニットの1つは艶消し効果を有し、かつ他方の領域ユニットは際立った光沢効果を有する。
【0025】
加えて、少なくとも2つの領域ユニットはまた、互いに異なる色印象、ならびに同一であるかまたは異なる機能性、例えば真性または直接導電性、磁性または磁化可能な特性、IRおよび/またはUV吸収特性あるいは発光特性(蛍光発光、燐光またはエレクトロルミネセンス)などを、有し得る。
【0026】
本発明による印刷画像は、フレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む少なくとも2つの領域ユニットを有するが、このタイプの3つまたは4つ以上の領域ユニットもまた有し得る。これらの領域ユニットの少なくとも2つは互いに異ならなければならず、すなわち、少なくとも、上記のそれぞれのフロップインデックスにおける差異を有さなければならない。これらの2つの領域ユニットは好ましくは、基板上で互いに直接的に隣接して、または見るときに、裸眼で同時に登録され得るよう、互いに近くに配置される。
【0027】
第1のおよび第2の領域ユニットはまた、例えば、本発明による印刷画像上で交互に連続して繰り返されるか、または互いに内側から外側へ、星状または環状形状で交互に配置され得る。
【0028】
印刷画像のグラフィックデザインは、互いに区別できる上記のタイプの少なくとも2つの領域ユニットを印刷画像が有する限り、いかなる制限をも受けない。
【0029】
もちろん、基板全体が本発明による印刷画像で被覆される必要はない。本発明の目的のためには、それぞれの基板の部分領域のみが本発明による印刷画像を備えることで十分である。
【0030】
上記のそれぞれの少なくとも2つの領域ユニットは、フレーク状エフェクト顔料を含む。
ここでは、第1の領域ユニットは、フレーク状エフェクト顔料であって、被覆された支持フレークをベースにし、かつ非金属性無機材料を含む外層を有する、該フレーク状エフェクト顔料を含む。
【0031】
適切な支持フレークは、ここでは、エフェクト顔料の製造に通常用いられる全て公知のフレーク状支持材料、すなわち金属性および非金属性支持フレークである。
しかし好ましくは、透明または半透明の支持フレークが用いられる。例えばフィロケイ酸塩、特に合成または天然の雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、SiOフレーク(x≦2.0;好ましくはx=2)、Alフレーク、TiOフレーク、合成または天然の酸化鉄フレーク、黒鉛フレーク、液晶ポリマー(LCPs(liquid crystal polymers))、ホログラフィック顔料、BiOClフレークまたは該フレークの混合物が、好適である。金属フレークはとりわけ、アルミニウム、チタン、銅、鋼鉄または銀から、好ましくはアルミニウムまたはチタンからなり得る。ここで金属フレークは、対応する処理により不動態化され得る。
【0032】
好ましいのは、合成または天然の雲母、ガラスフレーク、SiOフレークおよびAlフレークを、特には合成のまたは天然の雲母フレーク、ガラスフレークおよびAlフレークを含むフレークである。
【0033】
フレーク状エフェクト顔料支持体は、片方または両方の表面(フレークのトップおよび底部)上で、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ素化物、金属窒化物、金属酸化窒化物またはそれらの材料の混合物を含む、1つまたは2つ以上の透明、半透明または不透明な層で被覆されている。支持フレークは好ましくは、これらの層により包囲されている。本発明によると、支持フレーク上の外層が、該非金属性材料から選択される、非金属性無機材料からなるということは必須である。
【0034】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ素化物、金属窒化物、金属酸化窒化物層またはそれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)であっても、または高屈折率(屈折率≧1.8;好ましくは≧2.0)であってもよい。好適な金属酸化物および金属酸化物水和物は、当業者に公知の全ての金属酸化物または金属酸化物水和物、例えば酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特にルチルやアナターゼ改質での二酸化チタン、酸化チタン水和物および上述した材料の混合物または混合酸化物、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石など、などである。
【0035】
用いられ得る金属亜酸化物は、例えば亜酸化チタンである。中間層に用いられ得る適切な金属は、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金であり、適切な金属フッ素化物は、例えばフッ素化マグネシウムである。用いられ得る金属窒化物または金属酸化窒化物は、例えば金属チタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの窒化物または酸化窒化物である。好ましくは金属酸化物、金属、金属フッ素化物および/または金属酸化物水和物層、非常に好ましくは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物層が、基板上に適用され、ここで金属酸化物、金属フッ素化物および/または金属酸化物水和物層が外層に対し選択される。特に好ましいのは、アルミニウム、ケイ素、鉄、スズおよびチタンの酸化物および/または酸化物水和物または上述の少なくとも2つの混合酸化物または混合物である。
【0036】
高屈折率および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ素化物層を含む多層構造がまた存在し得、ここで高屈折率および低屈折率の層は好ましくは互い違いである。特に好ましいのは、高屈折率の層(屈折率≧1.8)および低屈折率の層(屈折率<1.8)を含む層パッケージであり、ここで1つまたは2つ以上のこれらの層パッケージが支持フレークに適用され得る。高屈折率および低屈折率層の順序は、ここでは、支持フレークの材料に適用させて、後者をまた多層構造に組み込み得る。
【0037】
また、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ素化物、金属窒化物、金属酸化窒化物層を、着色剤または他の成分と混合またはドープしてもよい。好適な着色剤または他の成分は、例えば、無機着色顔料、例えば着色された金属酸化物など、例えば、マグネタイト、酸化クロム、または着色顔料、例えばベルリンブルー、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナール青などであり、好適なドーピング成分は、例えばイットリウム、マグネシウム、アルミニウムまたはアンチモンなどの、元素である。
【0038】
本発明によると、被覆された支持フレーク上の外層は非金属性無機材料からなる。上述した材料のうち、特には、ルチルならびにアナターゼ修飾の両方での二酸化チタン、任意の可能な結晶修飾の鉄(III)酸化物、ならびにTiOおよびFe、もしくはFeもまた、の混合物または混合酸化物は、外層がいわゆる光学的に活性な層、すなわち層が顔料の干渉および/または吸収色に独立した寄与をさせ得る、屈折率および層厚さを有する層である場合、外層に特に好適である。
【0039】
しかし、外層が、通常は当該技術分野において化学安定性を改善するために、および/または適用媒体への顔料の組み込みを単純化するために、エフェクト顔料に適用される、いわゆる無機の後被覆からなる場合、外層に好ましい材料は、SiO、Al、ZrO、Ceまたはそれらの酸化物水和物である。顔料の干渉および/または吸収色に独立的に寄与させないように、このタイプの後被覆は数ナノメートルのみの層の厚さにおいて適用される。
【0040】
上述の材料を含む層を含むエフェクト顔料は、それらのマストーン、通常は強い干渉色に関し、多大なる色多様性を呈し、多くの場合において干渉色(光学的可変性挙動)における角度依存性変化を呈し得る。
上記の構造の顔料は、それらの具体的な構造に依存して、パール光沢顔料、干渉顔料、金属性エフェクト顔料または光学的可変性顔料として当該技術分野で知られている。
【0041】
第1の領域ユニットに関する本発明によって好ましく用いられるエフェクト顔料は、以下の構造(A)、(B)または(C)を有し、ここで表現TiO/Feは、混合物として、または混合酸化物としてTiOおよびFeを含む層、例えば擬板チタン石を示す。括弧中の酸化物は任意である。二酸化チタンのルチル化のために、好ましくは、二酸化スズ層が二酸化チタン層の下に適用される。
(A):
基体フレーク+(SiO)+TiO(ルチル)
基体フレーク+(SiO)+SiO+TiO(ルチル)
基体フレーク+(SiO)+TiO(ルチル)+SiO+TiO(ルチル)
基体フレーク+(SiO)+TiO(アナターゼ)+SiO+TiO(アナターゼ)
基体フレーク+(SiO)+TiO/Fe+SiO+TiO+TiO/Fe
基体フレーク+(SiO)+TiO/Fe+SiO+TiO/Fe
基体フレーク+(SiO)+Fe
基体フレーク+(SiO)+Fe+SiO+TiO
【0042】
特に好ましいのは以下の構造を有するエフェクト顔料である:
(B):
雲母またはAlフレーク+(SnO)+TiO
雲母またはAlフレーク+Fe
雲母またはAlフレーク+Fe(Mgでドープされた)
雲母またはAlフレーク+Fe
雲母またはAlフレーク+Fe+SiO+TiO
雲母またはAlフレーク+Fe(Alでドープされた)+SiO+TiO
雲母またはAlフレーク+TiO/Fe
雲母またはAlフレーク+(SnO)+TiO+SiO+TiO
雲母またはAlフレーク+TiO/Fe
雲母またはAlフレーク+TiO/Fe+SiO+TiO
雲母またはAlフレーク+TiO/Fe+SiO+TiO/Fe
雲母またはAlフレーク+TiO/Fe+SiO+SnO+TiO+TiO/Fe

雲母またはAlフレーク+TiO/Fe+SiO+TiO+TiO/Fe
雲母またはAlフレーク+(SnO)+TiO+SiO+TiO/Fe
雲母またはAlフレーク+TiFe
【0043】
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+Fe
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO
ガラスフレークまたはSiOフレーク+SiO+TiO
ガラスフレークまたはSiOフレーク+SiO+TiO+SiO
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO+SiO+TiO
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO/Fe
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO/Fe+SiO+TiO
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO/Fe+SiO+TiO/Fe
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO/Fe+SiO+TiO+TiO/Fe
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiO+SiO+TiO/Fe
ガラスフレークまたはSiOフレーク+(SiO)+TiFe
【0044】
特に好ましいのは以下の構造を有するエフェクト顔料である:
(C):
Alフレーク+TiO/Fe+SiO+TiO
Alフレーク+TiO/Fe+SiO+TiO+TiO/Fe
Alフレーク+TiO/Fe+SiO+SnO+TiO+TiO/Fe
Alフレーク+SnO+TiO/Fe+SiO+SnO+TiO+TiO/Fe
Alフレーク+Fe
Alフレーク+Fe(Mgでドープされた)
Alフレーク+Fe+SiO+TiO
Alフレーク+Fe(Alでドープされた)+SiO+TiO
【0045】
さまざまな層の材料組成に起因して、上述したエフェクト顔料は頻繁に、光学的に際立った効果、例えば干渉色、吸収色または光学的可変性効果などを有するだけでなく、さらに磁性、磁化可能性、および、適切な材料選択の場合においては任意に、ドーピングおよび層厚さ、真性もしくは直接導電性、IR吸収性もしくはUV吸収性または、さまざまな条件下においては、発光特性もまた、有し得る。
【0046】
金属酸化物、水酸化物および/また酸化物水和物を含む層は好ましくは、湿式化学法により、対応する支持フレークに適用され、ここで、基体の包囲をもたらすエフェクト顔料の製造のために開発された湿式化学コーティング法が使用され得る。湿式化学適用後、物質は酸化物、水酸化物および/また酸化物水和物の形態になり得る。
【0047】
被覆された生成物を次いで分離し、洗浄し、乾燥し好ましくはか焼する。湿式化学適用の場合において、形成された酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物は、これにより対応する酸化物および/または混合酸化物に変換される。乾燥は50〜150℃の温度で通常は≧10分、任意に6〜18時間で行われ得る。
か焼は、250〜1000℃、好ましくは400〜950℃の温度で、通常0.5〜3時間行われ得る。
【0048】
使用されるエフェクト顔料は、そのサイズに関し、印刷工程に好適でなければならないので、用いられるエフェクト顔料のサイズは、本発明による印刷画像に重大であるのみである。それゆえ長さまたは幅の伸長は、通常は1〜200μmの範囲であり、特には1〜150μmの範囲、および特に好ましくは5〜60μmの範囲である。顔料の厚さは、通常は、0.05〜5μmであり、特に0.1〜4.5μmである。顔料の形状ファクター(アスペクト比:径の、厚さに対する比)は、少なくとも2であり、特に5〜300の範囲であり、特に好ましくは20〜200の範囲である。用いられる印刷工程に依存して、エフェクト顔料の対応するサイズは、問題のない印刷が可能であるように、当該技術によって選択される。
【0049】
本発明により、第1の領域ユニットに用いられるエフェクト顔料は、問題なく印刷インクに組み入れることができ、かつ本発明による印刷画像のそれぞれの部分においてリーフィング特性を有さないことができ、すなわち、それらは自体を、印刷層においてランダムな分布で配置し、それらの表面において優先方向に(preferentially)ではない。
【0050】
本発明による印刷画像の第2の領域ユニットは、エフェクト顔料であって、被覆された支持フレークをベースにし、かつ有機表面改質剤を含む外層を有する、該エフェクト顔料(第2のエフェクト顔料)を含む。支持フレークの、およびそれら上に配置された第1のコーティングのタイプは、第1の領域ユニットに使用される第1のエフェクト顔料の構造とは、いかようにも異ならない。全ての上述の支持フレーク、コーティング材料および層順序は、同様に使用され得る。
【0051】
第2の領域ユニットに使用される第2のフレーク状エフェクト顔料はまた、有機改質剤を含む外層の直下に、非金属性無機材料を含む層を有する。
【0052】
第2の領域ユニットに用いられる顔料を有し、有機改質剤を含む外層以外には、これらは好ましくは、第1の領域ユニットに用いられるエフェクト顔料とは、タイプおよび組成において、実質的な差異を呈しない。しかし、光学的、および任意に機能的特性が両方の領域ユニットにおいて互いに異なるエフェクト顔料を使用すること、すなわち例えば、異なる機能特性を有する同色の第1のおよび第2のエフェクト顔料、または異なる色の第1のおよび第2のエフェクト顔料が用いられる場合はまた、有利であり得る。
【0053】
しかし、本発明の特に好ましい態様において、第1のおよび第2のエフェクト顔料は、単に第2のフレーク状エフェクト顔料上の有機表面改質剤を含む外層により、異なるに過ぎない。これは、吸収色、存在する場合には干渉色および任意に、角度依存性の異なる干渉色のための光学的可変性効果が2つのエフェクト顔料において対応すること、そうでなければこれらが材料、層順序および厚さならびに粒径に関して同一であることを意味する。存在する任意の機能的特性もまた、対応する。したがって、第1のおよび第2の領域ユニットはここでは、異なるフロップインデックスにより表現される、2つの領域ユニットの異なる反射率により、単に異なるにすぎない。
【0054】
第2のエフェクト顔料のための外層として使用されるコーティングは、好ましくは、有機表面改質剤として有機官能性シロキサンを含む層である。これらは単独で、または有機官能性シランを有する混合物中に存在し得る。
【0055】
特にはオリゴおよび/またはポリシロキサンである、有機官能性シロキサンが、官能基として、一級または二級のアミノ基およびフルオロアルキル基、特にはアミノアルキル基およびフルオロアルキル基を含有する場合には、特に有利であると証明された。これらは、シロキサン混合物中の異なるシロキサン上に分離して存在し得るが、好ましくは1つおよび同一のシロキサン分子またはオリゴまたはポリシロキサン分子上に存在する。
【0056】
フルオロアルキル基の、アミノ基、特にアミノアルキル基に対するモル比は、ここでは1:2〜5:1、好ましくは2:1〜5:1および特には3:1〜5:1である。
【0057】
C1〜C4アミノアルキル基を含有する、特にC1〜C2アミノアルキル基を含有するオリゴまたはポリシロキサンが、ここでは好ましい。フルオロアルキル基を含有する好ましいオリゴまたはポリシロキサンは、C1〜C20、特にC1〜C10、特に好ましくはC2〜C6のフルオロアルキル基を含有する。しかし、C2〜6フルオロアルキル基、好ましくはパーフッ素化基、および同時にC1〜C2アミノアルキル基を含有するオリゴまたはポリシロキサンが、特に好ましい。後者は、任意にさらにまたアルコキシ基、好ましくはメトキシまたはエトキシ基および/または水酸基を含有してもよい。特に好ましいのは、好ましくは上に記載された、フルオロアルキル基およびアミノアルキル基および顔料表面に結合するための少なくとも1つの水酸基を含有するオリゴまたはポリシロキサンの使用である。
【0058】
第2の領域ユニットのために使用されるエフェクト顔料の外側コーティングにおいて、有機官能基のいくつかまたは全てが潜在的な非金属性無機表面に結合するために反応し得る。シロキサンはシラノール基(Si−OH)を介してここでエフェクト顔料の表面と化学的に結合し、ここでSi−O−エフェクト顔料カップリングが起こる。アミノアルキル基および同時にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが選択される場合、2次元および3次元のシロキサンネットワークが次いで、架橋に起因して顔料表面上に形成され、化学、熱および機械抵抗性コーティングが生じる。
【0059】
アミノアルキル基が、コーティング操作におけるシロキサンの水溶性を促進するのに対し、フルオロアルキル基は顔料の表面エネルギーを非常に大いに低減させる。
【0060】
このようにして処理されたエフェクト顔料は、等しく良好な親水性および疎油性を呈し、そのために、基板の印刷後に慣用の結合剤中にリーフィング効果が観察され得、すなわちいまだに湿潤な印刷層の表面にエフェクト顔料が蓄積し、自体をそこに、基板に平行に配列する。それゆえ、顕著に増加した反射が、このようにして印刷された領域ユニットの表面に発生する。
【0061】
しかし、これらのエフェクト顔料の低い表面エネルギーのために、印刷される材料における着色された結合剤の高い湿潤挙動もまた、促進される。同時に、対応する印刷インクにおける結合剤およびエフェクト顔料の著しい分離は、驚くべきことに観測されないため、従来の印刷工程を、問題なく実行することができる。
【0062】
本発明によって使用されるシランおよびシロキサンは例えば、商品名Dynasylan(登録商標)(Evonik)の下で、商業的に利用可能である。特に好ましいのは、Dynasylan(登録商標)F8261(1H,1H,2H,2H−パーフッ素化オクチルトリエトキシシラン)の、Dynasylan(登録商標)AMEO(アミノプロピルトリメトキシシラン)もしくはDynasylan DAMO(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)との混合物、またはDynasylan(登録商標)F8815の単独使用である。後者が特に好ましい。
【0063】
エフェクト顔料の表面への、表面改質剤の適用は、好適な混合器中でエフェクト顔料および希釈されていない表面改質剤を単純に混合することにより行われることができるが、好ましくは、50℃より上の温度で溶媒に溶解された表面改質剤とともに、エフェクト顔料を混合することにより行われる。好適な溶媒は有機溶媒、水またはそれらの混合物である。好ましいのは水の使用である。有機被覆の適用に必要な反応時間は少なくとも5分であるが、好ましくは10〜90分の時間で行われる。しかし必要な場合、反応時間は所望されるように延長され得る。被覆された顔料は、その後、当該技術分野において通常である方法により、例えばろ過、乾燥および篩い分けにより、処理および分離される。
【0064】
この方法で被覆された顔料は、≦50mN/m、好ましくは≦20mN/mの表面エネルギーを有する。特に、≦10mN/mの表面エネルギーを有するエフェクト顔料が好ましい。
有機表面改質剤を含む、適用された外層の厚さは、2〜5nmの範囲である。
【0065】
本発明による印刷画像の第1のおよび第2の領域ユニットは、好ましくは、フレーク状エフェクト顔料として、上述したフレーク状エフェクト顔料を専ら含み、さらなる他のエフェクト顔料を含まない。
【0066】
しかし、有機または無機の起源であり得る、顔料様充填剤および/または吸収着色剤は、2つの領域ユニットの所望の反射挙動が著しく妨げられない限り、必要ならば、本発明による印刷画像の第1のおよび第2の領域ユニットに同様に存在し得る。
【0067】
本発明による印刷画像の第1のおよび第2の領域ユニットに用いられ得る結合剤は、印刷インクにおいて慣用である従来の結合剤である。例えば、ニトロセルロースベース、ポリアミドベース、アクリルベース、ポリビニルブチラールベース、PVCベース、PURベースまたはそれらの好適な混合物の印刷インクのための結合剤が用いられ得る。しかし、UV硬化ベース(フリーラジカルにより、またはカチオン的に硬化)における結合剤は特に適切であり、それゆえ好ましい。
【0068】
本発明による印刷画像が印刷インクにより、従来の印刷工程で基板に適用されるということは言うまでもない。印刷インクは好ましくはスクリーン印刷インク、グラビア印刷インク、フレキソ印刷インクまたは凹版印刷インクである。
【0069】
印刷インクは通常は、溶媒もまた含む。これらは有機溶媒および/または水であり得る。環境保護および適用上観点から、ここでは水溶性の印刷インクが好ましい。有機溶媒は、分枝および非分枝のアルコール、芳香族化合物およびアルキルエステル、例えばエタノール、1−メトキシプロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチルまたはトルエンなどであり得る。しかし、特に好ましいのは、溶媒含量が少なくまたは実質的に含まない、すでに上述されたようなUV硬化印刷インクである。
【0070】
本発明に従って用いられる結合剤およびフレーク状エフェクト顔料とは別に、対応する印刷インクはまた、従来のさらなる成分、例えば補助剤および/または添加物などを含み得る。これらは当該技術分野に従って用いられ、通常は印刷インクに用いられる材料とは異ならない。ここで、例えば、湿潤剤、潤滑油、ブロッキング防止剤、接着促進剤、乾燥促進剤および光開始剤の言及がなされ得る。
【0071】
当該補助剤が固体である場合および印刷インクにおいて存在する場合、それらはまた、一般にエフェクト顔料および結合剤に加えて、基板上に印刷インクの凝固後の対応する領域ユニット上に存在する。これは、当然印刷インクにおいて用いられる全ての溶媒に適用されるわけではなく、それは印刷インクの凝固の間、蒸発するかまたは他の方法で取り除かれる。それゆえ、本発明による印刷画像のそれぞれの領域ユニットにおけるエフェクト顔料の重量割合はまた、使用されるそれぞれの印刷インクにおいてよりも高く、凝固された印刷層または印刷画像に基づき1〜40重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲である。
【0072】
本発明に従って用いられる基板は、通常は印刷され得る材料を含む。例示として、紙、ボール紙、壁紙、ティッシュ材、ポリマー(ポリマー体または膜として)、金属(金属体または箔として)、セラミック、ガラス、木材、織物材料または上述の材料の2もしくは3以上を含む複合材、例えば紙の層を含有する積層の言及がなされ得る。被覆され、光沢のおよび/もしくはサテンの(satinised)紙、または下塗層で被覆された紙および膜を用いることもまた可能である。有価文書および紙幣、特に好ましくは紙幣用紙の製造に通常は用いられる、特殊紙およびポリマー膜が、特に好適である。それらの組成は当業者に公知であるので、ここではこの点の詳細を述べる必要はない。比較的薄い印刷層厚さの場合、印刷基板が幾分滑らかな表面を有する場合、特に有利であることが証明された。
【0073】
全体として、結合剤、用いられる任意の溶媒の量およびタイプならびに印刷基板は、意図されたリーフィング効果が第2の領域ユニットで形成できるように、互いに適合させる。この目的を達成するために、まだ湿っている印刷層の好適な層厚さ、基板上の湿った印刷インクの比較的に長い乾燥時間、および基板の好適な表面品質が必要である。非常に吸着的な基板もまた、厚い層厚さの湿った印刷層の場合において用いられ得る一方で、薄い層厚さを製造するのみの印刷工程は、より滑らかな表面および、可能な限りで、UV硬化結合剤の使用が、必要である。それぞれの条件の選択は、印刷分野の専門家の知識に基づき、進歩性を必要としない。
【0074】
適用された印刷層の湿潤層の厚さは、発明によると、3〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲であり、これはそれぞれ約1〜150μm、または3〜80μmの乾燥層の厚さに対応する。
【0075】
本発明の特に好ましい態様において、本発明による印刷画像はさらに、レーザーマーキングを有する。これはそれぞれの場合に用いられるエフェクト顔料の材料成分および用いられるレーザー装置に依存して、印刷画像における除去されたマーキングまたは印刷画像における濃い黒のレーザーマーキングからなる。驚くべきことに、第2の領域ユニットのエフェクト顔料上の有機表面コーティングは、レーザー照射下のエフェクト顔料の吸収挙動を損なわせない。
【0076】
レーザー除去の場合、レーザーで照射された領域における顔料層全体は、基板そのものが変色されずに基板から除去される。
【0077】
濃いレーザーマーキングの場合において、レーザーを受けるポイントにおけるエフェクト顔料は、レーザーパラメーター設定に依存して、完全に維持されるか、または代替的には完全にもしくは部分的にのみ印刷画像から除去されるかであるが、ここで、全ての場合において、印刷基板の濃い着色が、基板の加熱によりさらに生じる。
【0078】
ここでレーザーマーキングは、領域ユニットの1つのみにか、または同時に両方の領域ユニット上にも、位置し得る。それは好ましくは両方の領域ユニットにわたる、まとまったマーキングとして配置される。ここでは、それぞれの領域ユニットの反射率に全体的に独立した、シームレスで、均質で、高コントラストなマーキングが、生じる。
【0079】
好適なレーザーは、固体レーザー、例えば、1064nm、532nmおよび355nmの波長を有するYAG/NdVOレーザーなど、または9.1μm、9.3μmおよび10.6μmの波長を有するガスレーザー(例えばCOレーザー)であり得る。
【0080】
本発明はまた、印刷画像の製造方法であって、第1のフレーク状エフェクト顔料であって、該第1のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第1のフレーク状エフェクト顔料は非金属性無機材料を含む外層を有する、該第1のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第1の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第1の領域ユニットを形成し、凝固させること、ならびに、第2のフレーク状エフェクト顔料であって、該第2のフレーク状エフェクト顔料は被覆された支持フレークをベースにし、かつ該第2のフレーク状エフェクト顔料は有機表面改質剤を含む外層を有する、該第2のフレーク状エフェクト顔料および結合剤を含む、第2の印刷インクを、基板に適用して、印刷画像の第2の領域ユニットを形成し、凝固させる、前記方法に関する。
【0081】
用いられる印刷インクは通常は、共通の印刷工程で用いられる印刷インクであるが、但し、第1の領域ユニットのための印刷インクは、被覆された支持フレークをベースとし、かつ非金属製無機材料を含む外層を有する第1のフレーク状エフェクト顔料を含み、および第2の領域ユニットのための第2の印刷インクは、同様に被覆された支持フレークをベースとし、かつ有機表面改質剤を含む外層を有する第2のフレーク状エフェクト顔料を含む。
【0082】
官能化されていない、および有機的に官能化されたフレーク状エフェクト顔料、およびさらなる従来の印刷インク成分は、既に上で議論された。この点におけるコメントは同様にここで適用する。必要な、色供与およびエフェクト供与顔料、ならびに全ての追加的な粘度決定量の溶媒以外の、全ての慣用の印刷インク成分を既に含む、印刷インキビヒクルは一般に、即時使用の形態で、それぞれの製造者により提供されている。本発明によると、特に好ましいのは、UV硬化性であり、それゆえ低い溶媒含有量のみを有するか全く含まない印刷インクの使用である。
【0083】
さまざまなフレーク状エフェクト顔料で着色される第1のおよび第2の領域ユニットのためのそれぞれの印刷インクは、本発明によると、従来の印刷工程により基板に適用される。ここで好適な印刷工程は、特に、スクリーン印刷工程、グラビア印刷工程、フレキソ印刷工程または凹刻印刷工程(ペースト状印刷インクを用い、厚い層厚さを有する特別なグラビア印刷工程)である。他の従来の印刷工程もまた、意図されたリーフィングエフェクトが印刷画像の第2領域ユニットにおいて確立することができるように、結合剤、溶媒および基板の相互作用に関して上記の条件を充足し得る限り、同様に用いられ得る。
【0084】
スクリーン印刷工程が、特に好ましくは用いられる。
印刷インクは、当該技術分野に従って、被覆され凝固される基板に対して適用される。ここで凝固作業は物理的な乾燥工程であり得るが、好ましくは熱および/またはUV光の供給により支援される。UV硬化系が、特に好ましくは用いられる。
【0085】
従来の印刷工程は自体、既にある程度は、印刷された表面に対して平行である顔料の機械的に開始された配向を事前特定する。第1の印刷インクにおいて第1の領域ユニットに用いられる第1のフレーク状エフェクト顔料は結果として既に、基板の表面に対して実質的に平行に配列する。しかし、エフェクト顔料は印刷インクにおいて、および湿式印刷層において均質に分布されるので、この配列は印刷される層全体量にわたって起こる。
【0086】
しかし、上記の、有機表面改質剤でのコーティングにより、第2の領域ユニットのための第2の印刷インクに用いられる第2のフレーク状エフェクト顔料を、追加的に印刷された、未だに湿潤な層に到達しようとさせるが、それを結合系から離さないようにである。そこではそれらは、自体を基板に平行に配列する。そのため、有機表面コーティングで被覆された非常に多数のフレーク状エフェクト顔料は、第1の領域ユニットにおいてなど、被覆されていない顔料の印刷における場合よりも、反射位置における印刷画像の表面に、配置され、反射角で観測される。
【0087】
特に好ましくは、本発明に従って用いられたフルオロアルキル官能化およびアミノアルキル官能化のオリゴシロキサン類またはポリシロキサン類の場合における2次元および3次元のシロキサンネットワークの形成は、表面における顔料の不適切な機械的耐摩耗性から多くの場合明らかである、エフェクト顔料の従来のリーフィングコーティングの、さもなければ根本的な不利を克服する。そのため、印刷層の高度な化学的、機械的および熱的耐性と同時に、有機的に官能化された顔料を含む印刷層の反射角の増加が、反射率で観測され得る。反射角の外側では、ほんのわずかな顔料のみが表面に平行に配列せず、反射角の外側の検出方向に反射し得るので、この印刷層は被覆されていない顔料を含む印刷層よりも濃く、すなわち、第1の印刷インクで印刷された本発明による印刷画像の第1の領域ユニットよりも濃く現れる。
【0088】
第1のおよび第2の印刷インクはそれぞれの場合において、直接的に互いに隣接してか、または裸眼で観察されるときに本発明による印刷画像の第1のおよび第2の領域ユニットが同時に登録されることができるよう、互いから小さく分離して、基板に適用される。第1のまたは第2の印刷インクから形成される複数の領域ユニットもまた、基板に適用され得ることは言うまでもない。
【0089】
本発明による印刷画像のグラフィックデザインは、上記の第1のおよび第2の領域ユニットが存在し、それらの光学的なおよび任意に機能的特性において、しかし少なくとも異なる反射率、またはフロップインデックスで存在し理解され得る限りこの程度には制限されない。この目的のために、それぞれの領域ユニットはこの差別化が可能であるくらい十分に大きくなければならない。これは一般に数平方ミリメートルのそれぞれの印刷領域の大きさからの場合であり、例えば約4mmからである。従来の印刷工程が用いられ得る限り、実質的に印刷された領域ユニットの大きさの上限はない。
【0090】
本発明の好ましい態様において、第1のおよび/または第2の領域ユニットは、印刷層の凝固後に、さらにレーザーマーキングを受ける。
【0091】
有機表面改質は非常に薄い層厚さを有するに過ぎないので、既に上記したように、第2の領域ユニットにおける第2のエフェクト顔料の有機表面改質は、エフェクト顔料のレーザー吸収能力を妨げない。
【0092】
それゆえ、レーザーマーキングのために通常用いられるレーザー装置を任意に用いて、本発明による印刷画像の第1のおよび/または第2の領域ユニットに、除去可能であるか、または黒色レーザーマーキングにまでも濃色であり得る、レーザーマーキングを適用し得る。しかし、レーザーマーキングは好ましくは少なくとも、第1のおよび第2の領域ユニットの部分にわたって延伸し、ここでは第1、第2の領域ユニットの間で定量的に差異が無いことが明らかである、単一のマーキングが得られ得る。
【0093】
本発明はまた修飾要素として、機能的要素としてまたは製品上のセキュリティ特徴として上に記載された印刷画像の使用に関する。ここでそれぞれの使用の主な目的は各場合に使用されるフレーク状エフェクト顔料の性質および構造により決定される。基板や生成物は単に従来の印刷工程を用いる印刷能力の特性を通して制限される。しかし使用の全ての可能な系における共通の特徴は、層がまた各場合において非光学的機能を有するか否か、およびいずれの色の組み合わせをそれぞれのエフェクト顔料が示すかに関係なく、本発明による印刷画像の第1のおよび第2の部分領域の反射率に関して異なる外観である。
【0094】
領域ユニットの異なる反射率は、本発明による印刷画像の顕著な艶消し/光沢効果から明白であり、ここで第1の領域ユニットはかなりより艶消しの光学的印象を有し、第2の領域ユニットは高度に光沢のある光学的印象を有する。ここで第1の領域ユニットの光学的印象は印刷インク、すなわち印刷画像のこの部分、それ自身の中、におけるフレーク状エフェクト顔料を使用して製造された従来の印刷画像の光学的印象に対応し、第2の部分領域との比較の可能性なく、使用される顔料の型に依存して、容易にまた、「光沢がある」と認められ得る。
【0095】
本発明による印刷画像は特に好ましくはセキュリティ製品のデザインのために、すなわち紙幣、小切手、クレジットカード、株券、パスポート、身分証明書、運転免許証、入場券、収入印紙、ラベル、包装材、印章(seal)のために用いられる。特に好ましいのは、特に、用いられるエフェクト顔料の非光学的機能的な特徴、および/または上記のレーザーマーキングがまた光学的特徴に加えて存在する場合には、紙幣印刷のための使用である。
【0096】
本発明による印刷画像により、従来の印刷工程により製造され得、様々な非光学特性を組み合わせられ得、および最も単純な態様においては、視覚的におよび構造において互いに異なるエフェクト顔料を用いる必要なく、汎用の様式で用いられ得る、顕著な艶消し/光沢効果が達成可能となる。非金属性エフェクト顔料を用いる従来技術においては、強い光沢効果は大抵、非常に大きな粒子径のエフェクト顔料の場合に達成されるのみであり、それは通常は印刷工程における使用に好適ではないが、本発明による印刷画像は、中程度の、およびより小さい粒子径のエフェクト顔料の場合においてでさえ、既に部分領域に顕著な光沢効果をもたらし得る。
【0097】
実施例を参照して、本発明が以下に説明されるが、それに限定されることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1図1は、本発明による印刷画像のデザイン例を示す図である。
図2図2は、本発明による印刷画像のデザイン例を示す図である。
図3図3は、本発明による印刷画像のデザイン例を示す図である。
図4図4は、本発明による印刷画像のデザイン例を示す図である。
図4a図4aは、図4の線A−Bに沿った横断面を示す図である。
図5図5は、本発明による印刷画像のデザイン例を示す図である。
図5a図5aは、図5の線A−Bに沿った横断面を示す図である。
【0099】
例1:
有機表面改質
1000gのColorcrypt(登録商標)Intaglio Gold(Merck KGaAからの製品)を加熱可能なミキサー中で、100gの水で前もって湿らせる。35gのDynasylan(登録商標)F8815(Evonic)を加え、次いで100gの2.5%アンモニア溶液を加える。バッチを60℃で30分間混合し、120℃で水を取り除く。続いて生成物を63μmのメッシュ幅を用いて篩い分ける。
【0100】
例2
有機表面改質
それぞれ150gのColorcrypt(登録商標)M Silver、Colorcrypt(登録商標)M GoldおよびColorcrypt(登録商標)M Bronze(Merck KGaAからの製品)を水1.5Lに懸濁し、撹拌しながら55℃に加熱する。塩酸を用いてpH4に合わせ、用いた顔料に基づき6.68重量%のDynasylan(登録商標)F8815(Evonic)が18分間にわたり滴下で加え、混合物をさらに30分間撹拌する。22分間にわたり水酸化ナトリウム溶液を用いてpH8に合わせ、混合物をさらに60分間撹拌する。ろ過後、150℃で生成物から水を除き、40μmのメッシュ幅を用いて篩い分ける。
【0101】
例1および2で表面改質されたエフェクト顔料の表面エネルギーは、22〜24℃でKruess DAS 100測定機器を用いて、測定液体である水、1,2−ジヨードメタン、ベンジルアルコールおよび1,2−ペンタンジオ−ルを用いて「液滴」法により決定される。滴5μLをKruess「DAS3」、リリース1.7.1制御および評価ソフトウェアにより半自動的に顔料層上に配置し、滴と顔料層表面の間の接触角度を測定する。評価は上述のソフトウェアによるOwens, Wendt, Rabel and Kaelble(OWRK)法により行われる。
【0102】
被覆された顔料に対して決定された総表面エネルギーは、48〜58mN/mから、表面改質実行後に<10mN/m(表1)にまで大幅な削減を示し、ここで総表面エネルギーの極性画分はシロキサンオリゴマーコーティングにより実質的に完全に除去され、分散画分のみが残る(表2)。
(ここでMにより示される全てのエフェクト顔料は、磁化可能である。)
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
例3:
印刷された層の製造

15重量%のColorcrypt(登録商標)M Gold(表面改質または未処理)
85重量%のスクリーン印刷結合剤、例えばWEILBURGER UV363030

未処理のまたは表面改質された顔料をそれぞれの場合において穏やかな条件下で別々にスクリーン印刷結合剤中で撹拌し、64Tスクリーンを使用した紙基板上に互いに並んで位置する2つの領域ユニット上に印刷する。その後UV結合剤をHoenleUVランプを用いて架橋する。
【0106】
Colorcrypt(登録商標)M Silver、Colorcrypt(登録商標)M BronzeまたはColorcrypt(登録商標)Intaglio Goldを含む印刷インクを、同様に印刷する。15°、45°および110°の測定角度θでの印刷層の明度値L*は、BykGardner BykMac 色計測器により決定され、フロップインデックス(flop index)は以下のように計算される。
【数2】
【0107】
表3は、被覆された、および被覆されていない顔料を含む印刷された層の明度フロップに対するフロップインデックスを示し、ここで、結合剤および被覆された顔料の好適な組み合わせの場合、フロップインデックスが著しく増加することが明らかとなっている。
【0108】
フロップインデックスにおいて最も大きな増加を有する最適な結合剤はフロップインデックスが8−11(純粋な金属顔料はフロップインデックス15−17を有する)のフロップインデックス(複数)を有するWEILBURGER UV 363030およびG&D UV 4800であり、ここで、顔料Colorcrypt(登録商標)M GoldおよびBronzeは最も大きな効果を示す。
【0109】
【表3】
【0110】
測定角度θが15°すなわち反射角から15°離れた明度L15°は、BykGardner BykMac色測定機器(表4)を用いて決定される。被覆された顔料を含む印刷された層は現実の反射角から15°離れた角度でさえ被覆されていない顔料を含む印刷された層より顕著により高い明度値を有することが見出され、ここで結合剤WEILBURGER UV 363030およびG&D UV 4800は再びここで最も大きい増加を示す。
【0111】
【表4】
【0112】
例4
レーザー印刷された層
それぞれの場合において非処理の、または表面改質された顔料で交互に提供された、任意の所望のデザイン(図1〜5参照)で、例3に従って印刷された多領域の印刷画像を、表5に示されたレーザー条件下で、NdVOレーザー(1064nm、12W)を用いてレーザーする。
レーザーマーキングは、それらによりレーザーマーキングにおける不均質性または相違が明らかになることなく、未処理の顔料で印刷された、より艶消しされた印刷領域、ならびに表面改質された顔料で印刷された金属光沢を有する印刷領域の両方を覆う。次にレーザーマーキングは異なる反射率を有する印刷領域にわたって完全に均質で、シームレスで、かつ一様な結合を作り出す(図4)。
【0113】
レーザーの選択は近IR領域に限定されず、UV領域(355nm)または遠IR領域(10.6μm)への市販のレーザーにもまた及ぶ。
【表5】
【0114】
COレーザー(10.6μm、30Wレーザー、周波数25kHz)がNdVOレーザーの代わりに用いられる場合、例えば、レーザー出力30〜60%において、1000〜3000mm/sの速さで除去が行われる。顔料層の除去なしでの基板の暗い着色は20%の出力において、例えば1000mm/sの速さで、30%のレーザー出力において、1500〜2000mm/sの速さで、または70〜80%のレーザー出力において、2500〜4000mm/sの速さで行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図5a