特許第6392354号(P6392354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392354太陽電池電極形成用組成物及びこれによって製造された電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392354
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】太陽電池電極形成用組成物及びこれによって製造された電極
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20180910BHJP
   H01B 1/16 20060101ALI20180910BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20180910BHJP
   C03C 8/18 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   H01B1/16 A
   H01L31/04 264
   C03C8/18
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-542642(P2016-542642)
(86)(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公表番号】特表2016-532278(P2016-532278A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】KR2014008510
(87)【国際公開番号】WO2015037933
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0110718
(32)【優先日】2013年9月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ソク ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,トン ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン キ
(72)【発明者】
【氏名】キム,クン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン−チェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,リク−チョル
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ヨン チェ
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−531863(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0192671(US,A1)
【文献】 特開2014−049743(JP,A)
【文献】 特開2010−184852(JP,A)
【文献】 特開平02−293344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00− 1/24
H01B 5/00− 5/16
C03C 1/00−14/00
H01L31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉末;ガラスフリット;及び有機ビヒクル;を含み、
前記ガラスフリットは、ガラス転移温度が100℃〜300℃であり、
熱重量・示差熱(TG−DTA)の分析の際、DTA曲線上に発熱ピークが表れる開始温度が200℃〜400℃であることを特徴とする太陽電池電極形成用組成物。
【請求項2】
前記ガラスフリットは有鉛ガラスフリットであることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項3】
前記ガラスフリットは、Pb−Bi−Te−O系ガラスフリット及びAg−V−Pb−O系ガラスフリットのうち一つ以上を含む、請求項1または2に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項4】
前記Pb−Bi−Te−O系ガラスフリットは、酸化鉛(PbO)10重量%〜70重量%、酸化ビスマス(Bi)1重量%〜20重量%、及び酸化テルル(TeO)10重量%〜70重量%を含み、
前記Ag−V−Pb−O系ガラスフリットは、酸化銀(Ag)10重量%〜60重量%、酸化バナジウム(V)10重量%〜40重量%、及び酸化鉛(PbO)10重量%〜60重量%を含むことを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項5】
前記ガラスフリットは、酸化ケイ素(SiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化バナジウム(V)、酸化リン(P)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ホウ素(B)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuOまたはCuO)、酸化アンチモン(Sb、SbまたはSb)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ヒ素(As)、酸化コバルト(CoOまたはCo)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マンガン(MnO、MnまたはMn)、酸化ネオジム(Nd)、酸化タングステン(WO)、酸化クロム(Cr)及び酸化アルミニウム(Al)からなる群から選ばれた1種以上の金属酸化物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項6】
前記銀粉末60重量%〜95重量%;前記ガラスフリット0.5重量%〜20重量%;及び前記有機ビヒクル1重量%〜30重量%;を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項7】
前記ガラスフリットは、平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項8】
前記組成物は、分散剤、揺変剤、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤及びカップリング剤からなる群から選ばれる添加剤を1種以上さらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池電極形成用組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項の太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池電極形成用組成物及びこれによって製造された電極に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光のフォトン(photon)を電気に変換させるpn接合の光電効果を用いて電気エネルギーを発生させる。太陽電池においては、半導体ウエハーまたはpn接合を有する基板の上・下面にそれぞれ前面電極と後面電極が形成されている。太陽電池は、半導体ウエハーに入射した太陽光によってpn接合の光電効果が誘導され、これによって発生した各電子が電極を介して外部に流れる電流を提供する。このような太陽電池の電極は、電極用ペースト組成物の塗布、パターニング及び焼成によってウエハーの表面に形成されうる。
【0003】
太陽電池の効率は、パラメータの開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、及び曲線因子(Fill Factor(F.F.))で決まる。開放電圧(Voc)は、回路が開放された状態、すなわち、無限大のインピーダンスがかかった状態で光を受けたときに太陽電池の両端に形成される電位差である。同種接合(homojunction)の場合を例に挙げて説明すると、得られる開放電圧(Voc)の最大値は、p型半導体とn型半導体との仕事関数(work function)の差として与えられる。前記仕事関数は、半導体のバンドギャップによって決定されるので、バンドギャップが大きい材料を使用すると概して高い開放電圧が得られる。短絡電流密度(Jsc)は、回路が短絡された状態、すなわち、外部抵抗がない状態で光を受けたときに表れる逆方向(負の値)の電流密度である。前記短絡電流密度は、まずは入射光の強度と波長分布(spectral distribution)で決まる。しかし、前記入射光の強度と波長が一定の時、短絡電流密度は、光吸収によって励起された電子と正孔が再結合(recombination)による損失をせずに、どれほど効果的に電池の内部から外部回路側に送られるかに依存する。このとき、再結合による損失は、太陽電池の材料の内部および/または界面間で起こり得る。
【0004】
したがって、太陽電池の変換効率を改善するために、開放電圧と短絡電流密度に優れた太陽電池電極形成用組成物の開発が至急に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、開放電圧と短絡電流密度が高い太陽電池電極形成用組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、変換効率及び曲線因子値に優れた太陽電池電極形成用組成物を提供することである。
【0007】
本発明の上述した目的及びその他の目的は、下記で説明する本発明によって達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの観点は、銀粉末;ガラスフリット;及び有機ビヒクル;を含み、前記ガラスフリットは、ガラス転移温度が約100℃〜約300℃であり、熱重量・示差熱(TG−DTA)の分析時、DTA曲線上に発熱ピークが表れる開始温度が約200℃〜約400℃である太陽電池電極形成用組成物に関する。
【0009】
前記ガラスフリットは、有鉛ガラスフリット(leaded glass frit)であってもよい。
【0010】
前記ガラスフリットは、Pb−Bi−Te−O系ガラスフリット及びAg−V−Pb−O系ガラスフリットのうち一つ以上を含んでもよい。
【0011】
前記Pb−Bi−Te−O系ガラスフリットは、酸化鉛(PbO)約10重量%〜約70重量%、酸化ビスマス(Bi)約1重量%〜約20重量%、及び酸化テルル(TeO)約10重量%〜約70重量%を含み、前記Ag−V−Pb−O系ガラスフリットは、酸化銀(AgO)約10重量%〜約60重量%、酸化バナジウム(V)約10重量%〜約40重量%、及び酸化鉛(PbO)約10重量%〜約60重量%を含んでもよい。
【0012】
前記ガラスフリットは、酸化ケイ素(SiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化バナジウム(V)、酸化リン(P)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ホウ素(B)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuOまたはCuO)、酸化アンチモン(Sb、SbまたはSb)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ヒ素(As)、酸化コバルト(CoOまたはCo)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マンガン(MnO、MnまたはMn)、酸化ネオジム(Nd)、酸化タングステン(WO)、酸化クロム(Cr)及び酸化アルミニウム(Al)からなる群から選ばれた1種以上の金属酸化物をさらに含んでもよい。
【0013】
前記太陽電池電極形成用組成物は、銀粉末約60重量%〜約95重量%;前記ガラスフリット約0.5重量%〜約20重量%;及び前記有機ビヒクル約1重量%〜約30重量%を含んでもよい。
【0014】
前記ガラスフリットは、平均粒径(D50)が約0.1μm〜約10μmであってもよい。
【0015】
前記組成物は、分散剤、揺変剤、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤及びカップリング剤からなる群から選ばれる添加剤を1種以上さらに含んでもよい。
【0016】
本発明の他の観点である太陽電池電極は、前記太陽電池電極形成用組成物によって形成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極は、開放電圧と短絡電流密度が高いので、変換効率及び曲線因子値に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池の構造を簡略に示した概略図である。
図2】ガラスフリットの熱重量・示差熱(TG−DTA)の分析によって得られたDTA曲線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[太陽電池電極形成用組成物]
本発明は、銀粉末;ガラスフリット;及び有機ビヒクルを含む太陽電池電極形成用組成物に関する。前記ガラスフリットは、ガラス転移温度が約100℃〜約300℃であり、熱重量・示差熱(TG−DTA)分析において、DTA曲線上に発熱ピークが表れる開始温度が約200℃〜約400℃である。
【0020】
本発明の各形態に係る太陽電池電極形成用組成物で製造された太陽電池電極は、開放電圧と短絡電流密度が高いので、変換効率及び曲線因子値に優れる。以下では、本発明を詳細に説明する。
【0021】
(A)銀粉末
本発明の太陽電池電極形成用組成物は、導電性粉末として銀(Ag)粉末を使用する。前記銀粉末は、ナノサイズまたはマイクロサイズの粒径を有する粉末、例えば、数十ナノメートル〜数百ナノメートルサイズの銀粉末、数マイクロメートル〜数十マイクロメートルサイズの銀粉末であってもよく、2種以上の互いに異なるサイズを有する銀粉末を混合したものであってもよい。
【0022】
銀粉末は、粒子の形状が球状、板状、無定形であってもよい。
【0023】
銀粉末の平均粒径(D50)は、具体的には約0.1μm〜約10μmであり、より具体的には約0.5μm〜約5μmであってもよい。前記平均粒径は、銀粉末をイソプロピルアルコール(IPA)に超音波で25℃で3分間分散させた後、粒子径分布測定装置1064LD(CILAS社製)を使用して測定した。平均粒子径が前記範囲内であると、組成物の接触抵抗および線抵抗を低減できる。
【0024】
銀粉末は、組成物全体の重量に対して約60重量%〜約95重量%で含まれてもよい。前記範囲であると、抵抗の増加によって変換効率が低下することを防止することができる。具体的に、銀粉末は、約70重量%〜約90重量%で含まれてもよい。
【0025】
(B)ガラスフリット
ガラスフリットは、電極ペーストの焼成工程中に接触抵抗を低減するために、反射防止膜をエッチングし、銀粒子を溶融させ、エミッター領域に銀結晶粒子を生成させることができる。また、導電性粉末とウエハーとの間の接着力を向上させ、焼結時に軟化することによって焼成温度を低下させることができる。
【0026】
太陽電池の効率または曲線因子を増加させるために太陽電池の面積を増加させると、太陽電池の接触抵抗が高くなり得る。そのため、pn接合(pn junction)に対する被害を最小化すると同時に、直列抵抗を最小化しなければならない。また、異なる面抵抗のウエハーを使用することによって焼成温度の変動幅が大きくなるので、広い焼成温度でも熱安定性を十分に確保できるガラスフリットを使用することが好ましい。
【0027】
本発明のガラスフリットは、低融点ガラスフリットであってもよい。低融点結晶性ガラスフリットは、ガラス転移温度が約100℃〜約300℃でありうる。
【0028】
前記ガラスフリットは、熱重量・示差熱(TG−DTA)分析において、DTA曲線に発熱ピークが表れる開始温度が約200℃〜約400℃でありうる。前記開始温度は、最初の発熱ピークが見られる温度を意味する。前記発熱ピークは、一つ以上であってもよく、DTA曲線上に複数の発熱ピークが見られる場合、約200℃〜約400℃の範囲で最初の発熱ピークが表れ得る。図2は、本発明の一実施形態に係るガラスフリットのDTA曲線グラフであって、DTA曲線上に発熱ピークが表れる開始温度が283.5℃である例を示したものである。
【0029】
前記熱重量・示差熱(TG−DTA)分析は、ガラスフリットを昇温速度20℃/minで600℃まで昇温するときに表れるDTA曲線上の発熱または吸熱ピークを通じて吸熱及び発熱温度をそれぞれ測定することができる。
【0030】
前記ガラスフリットは、例えば、有鉛ガラスフリット(leaded glassfrit)であってもよく、この場合、優れた変換効率を確保することができる。
【0031】
前記ガラスフリットは、例えば、低融点結晶性ガラスフリットであってもよく、この場合、リボンとの接着力を確保することができる。
【0032】
前記ガラスフリットは、例えば、Pb−Bi−Te−O系ガラスフリットであってもよい。前記Pb−Bi−Te−O系ガラスフリットは、酸化鉛(PbO)約10重量%〜約70重量%、酸化ビスマス(Bi)約1重量%〜約20重量%、及び酸化テルル(TeO)約10重量%〜約70重量%を含んでもよい。一具体例として、前記Pb−Bi−Te−O系ガラスフリットは、酸化鉛(PbO)約25重量%〜約50重量%、酸化ビスマス(Bi)約5重量%〜約20重量%、及び酸化テルル(TeO)約35重量%〜約65重量%を含んでもよい。具体例では、前記酸化鉛(PbO)と前記酸化テルル(TeO)の重量比が約1:1.3〜約1:2であってもよい。前記範囲であると、優れた変換効率及びリボンとの接着力を確保できる。
【0033】
他の例を挙げると、前記ガラスフリットは、Ag−V−Pb−O系ガラスフリットであってもよい。前記Ag−V−Pb−O系ガラスフリットは、酸化銀(AgO)約10重量%〜約60重量%、酸化バナジウム(V)約10重量%〜約40重量%、及び酸化鉛(PbO)約10重量%〜約60重量%を含んでもよい。一具体例として、前記Ag−V−Pb−O系ガラスフリットは、酸化銀(AgO)約20重量%〜約45重量%、酸化バナジウム(V)約10重量%〜約30重量%、及び酸化鉛(PbO)約40重量%〜約60重量%を含んでもよい。具体例では、前記酸化銀(AgO)と前記酸化バナジウム(V)の重量比は約1.5:1〜約3:1であってもよい。前記範囲では、優れた変換効率及びリボンとの接着力を確保できる。
【0034】
前記ガラスフリットは、酸化ケイ素(SiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化バナジウム(V)、酸化リン(P)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ホウ素(B)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuOまたはCuO)、酸化アンチモン(Sb、SbまたはSb)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ヒ素(As)、酸化コバルト(CoOまたはCo)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マンガン(MnO、MnまたはMn)、酸化ネオジム(Nd)、酸化タングステン(WO)、酸化クロム(Cr)及び酸化アルミニウム(Al)からなる群から選ばれた1種以上の金属酸化物をさらに含んでもよい。
【0035】
前記ガラスフリットは、当技術分野において既知である方法を用いて前述金属酸化物によって製造されてもよい。例えば、金属酸化物を既定の比率で混合し、混合はボールミル(ball mill)またはプラネタリーミル(planetary mill)を使用して行ってもよい、混合物を約900℃〜約1300℃の条件で溶融させてから、約25℃に急冷し、このようにして得られた結果物をディスクミル(disk mill)、またはプラネタリーミルなどによって粉砕しガラスフリットが得られる。
【0036】
前記ガラスフリットは、平均粒径(D50)が約0.1μm〜約10μmであってもよい。前記範囲内であると、抵抗をさらに低下させることができる。
【0037】
また、前記ガラスフリットは、組成物全体の重量を基準にして約0.5重量%〜約20重量%で含まれてもよく、具体的には、約0.5重量%〜約5重量%で含まれてもよい。前記範囲内では、導電性粉末とウエハーとの間の接着力を向上させ、焼結時に軟化することによって焼成温度をさらに低下させることができる。
【0038】
前記ガラスフリットの形状は、球状または無定形であってもよい。
【0039】
(C)有機ビヒクル
有機ビヒクルは、太陽電池電極形成用組成物の無機成分との機械的混合を通じて、ペースト組成物に印刷に適した粘度及びレオロジー的特性を付与する。
【0040】
前記有機ビヒクルは、太陽電池電極形成用組成物に使用される公知の有機ビヒクルであってもよい。前記有機ビヒクルは、バインダー樹脂及び溶媒などを含んでもよい。
【0041】
前記バインダー樹脂としては、アクリレート系またはセルロース系樹脂などを使用してもよい。例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、アルキド樹脂、フェノール系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、キシレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、木材ロジン(rosin)またはアルコールのポリメタクリレートなどを使用してもよいが、これに制限されることはない。
【0042】
前記溶媒としては、へキサン、トルエン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジブチルカルビトール(ジエチレングリコールジブチルエーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類の溶媒、ブチルカルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、へキシレングリコール、テルピネオール(Terpineol)、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、γ―ブチロラクトン、エチルラクテート、3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル―モノイソブチレート(テキサノール、Texanol)などを単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0043】
前記有機ビヒクルの配合量は、組成物全体の重量に対して約1重量%〜約30重量%であってもよい。前記範囲であると、十分な接着強度と優れた印刷適性を確保できる。
【0044】
(D)添加剤
本発明の太陽電池電極形成用組成物は、上述した構成要素の他に、流動特性、工程特性及び安定性を向上させるために、必要に応じて通常の添加剤をさらに含んでもよい。前記添加剤としては、分散剤、揺変剤、可塑剤、粘度安定化剤、消泡剤、顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤、カップリング剤などを単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0045】
前記添加剤の含量は、必要に応じて適宜変更されてもよい。例えば、前記添加剤は、組成物全体の重量に対して約0.1重量%〜約5重量%で添加されてもよいが、これに制限されることはない。前記範囲内であると、ガラスフリットの物性をさらに向上させることができる。
【0046】
[太陽電池電極及びこれを含む太陽電池]
本発明の他の観点は、前記太陽電池電極形成用組成物によって形成された電極及びこれを含む太陽電池に関する。図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池の構造を示したものである。
【0047】
図1を参照すると、p層101及びエミッターとしてのn層102を含むウエハー100または基板上には、前記太陽電池電極形成用組成物を印刷して焼成することによって後面電極210及び前面電極230を形成することができる。例えば、太陽電池電極形成用組成物をウエハーの後面に印刷・塗布した後、約200℃〜約400℃の温度で約10秒〜約60秒間乾燥し、後面電極のための事前準備段階を行うことができる。また、ウエハーの前面に太陽電池電極形成用組成物を印刷した後で乾燥し、前面電極のための事前準備段階を行うことができる。その後、約400℃〜約950℃、具体的に約850℃〜約950℃で約30秒〜約50秒間焼成する焼成過程を行うことによって前面電極及び後面電極を形成することができる。
【0048】
以下では、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、これら各実施例は、説明の目的のためのものに過ぎず、本発明を制限するためのものと解釈してはならない。
【実施例】
【0049】
実施例1
下記の表1の組成で金属酸化物を混合し、900℃〜1300℃で溶融及び焼結過程を経て平均粒径(D50)が1.0μmであるガラスフリットIを製造した。前記ガラスフリットIは、ガラス転移温度が280℃であり、熱重量・示差熱(TG−DTA)の測定時、DTA曲線上において302℃で最初の発熱ピークを有する。
【0050】
有機バインダーとしてエチルセルロース(Dow chemical company、STD4)0.2重量%を、溶媒であるブチルカルビトール(Butyl Carbitol)5重量%に60℃で十分に溶解した後、平均粒径が1.2μmである球状の銀粉末(Dowa Hightech CO.LTD、AG−2.5−11F)89重量%、ガラスフリットI 1重量%、添加剤として可塑剤Benzoflex 9−88(Eastman社)3重量%、分散剤BYK102(BYK−chemie)0.7重量%及び揺変剤Thixatrol ST(Elementis co.)1.1重量%を投入して均一にミキシングした後、3ロール混練機で混合・分散させることによって太陽電池電極形成用組成物を製造した。
【0051】
物性評価方法
曲線因子、短絡電流密度、開放電圧、及び変換効率:P型の多結晶ウエハーを酸または塩基でテクスチャリング(texturing)し、リン(P)を拡散させることによってN―タイプのエミッターを形成した。その後、PECVD工程を通じて窒化ケイ素系反射防止膜が形成された太陽電池用ウエハーの前面に上記で製造された太陽電池電極形成用組成物で一定のパターンをスクリーン印刷により印刷した後、これを赤外線乾燥炉で乾燥した。その後、ウエハーの後面にアルミニウムペーストを印刷した後、これを同一の方法で乾燥した。前記過程で形成されたセルをベルト型焼成炉で400℃〜900℃で30秒〜50秒間焼成し、このようにして得られたセルに対しては、太陽電池効率測定装備(Pasan社、CT−801)を用いて曲線因子(F.F.)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び変換効率(Eff.%)を測定し、その測定結果を下記の表1に示した。
【0052】
ガラスフリットの熱重量・示差熱(TG−DTA)測定:EXSTAR社のアルミニウムパン(aluminium pan)(P/N SSC515D001)及びEXSTAR 6200を用いて、ガラスフリットを昇温速度20℃/minで600℃まで昇温しながらDTA曲線上に表れる発熱ピークの温度を測定し、その測定結果を下記の表1に示した。
【0053】
実施例2〜8及び比較例1〜3
下記の表2及び表3の組成で太陽電池電極形成用組成物を製造したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で製造した。実施例2〜8及び比較例1〜5で使用したガラスフリットI〜Vの組成、ガラス転移温度及び熱重量・示差熱(TG−DTA)の分析時、最初の発熱ピークが表れる開始温度は、下記の表1に示されている。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
前記表2及び表3に示すように、ガラス転移温度が100℃〜300℃の範囲で低融点を有しながら、発熱ピークが表れる開始温度が200℃〜400℃であるガラスフリット(I及びII)を使用した実施例の場合は、ガラス転移温度の範囲が本発明に含まれるとしても、200℃〜400℃に発熱ピークが見られないガラスフリット(III)を使用した比較例1及びガラス転移温度が300℃を超える高融点のガラスフリット(IV及びV)を使用した比較例2〜3に比べて変換効率及び曲線因子値に優れることが分かる。
【0058】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1
図2