(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392457
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ABS系樹脂組成物及びそれから製造された成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 25/12 20060101AFI20180910BHJP
C08L 55/02 20060101ALI20180910BHJP
C08L 77/12 20060101ALI20180910BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20180910BHJP
F24F 6/06 20060101ALI20180910BHJP
F24F 7/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L55/02
C08L77/12
C08K5/17
F24F6/06
F24F7/00
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-528554(P2017-528554)
(86)(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公表番号】特表2018-507920(P2018-507920A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】KR2016012976
(87)【国際公開番号】WO2017082663
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0159379
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、スン‐チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ、ス‐キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン‐リョン
【審査官】
松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−073753(JP,A)
【文献】
特開2003−238503(JP,A)
【文献】
特開平10−102043(JP,A)
【文献】
特開2010−096437(JP,A)
【文献】
米国特許第06825270(US,B1)
【文献】
特開2000−191877(JP,A)
【文献】
特開2000−163630(JP,A)
【文献】
特表2003−506551(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00819729(EP,A1)
【文献】
特開2004−217784(JP,A)
【文献】
特開2001−302890(JP,A)
【文献】
特開2001−329132(JP,A)
【文献】
特開2008−222902(JP,A)
【文献】
特開平03−072555(JP,A)
【文献】
特開2011−240513(JP,A)
【文献】
特開平07−124433(JP,A)
【文献】
特開2011−033338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
F24F 6/00 − 6/18
F24F 7/00 − 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂22.5〜50重量%と、
(b)スチレン−アクリロニトリル樹脂47.5〜75重量%と、
(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂1〜6重量%と、
(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤1.5〜3重量%と
を含む、樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物の重量%は、(a)、(b)、(c)および(d)成分の合計重量に対するものである樹脂組成物。
【請求項2】
前記(b)スチレン−アクリロニトリル樹脂は、スチレン55〜80重量%及びアクリロニトリル20〜45重量%を含む単量体混合物から重合され、
前記スチレン−アクリロニトリル樹脂の重量%は、前記スチレンおよび前記アクリロニトリルの合計重量に対するものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、ASTM D257に従い測定した表面固有抵抗が2×109Ω以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、反応性末端を有するポリアミドと反応性末端を有するポリエーテルとの縮重合生成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤は、アルキル基の炭素数が13個〜15個である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂組成物は、難燃剤、抗菌剤、滴下防止剤、滑剤、充填剤、安定剤、顔料及び染料からなる群から選択された1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(a)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂22.5〜50重量%、(b)スチレン−アクリロニトリル樹脂47.5〜75重量%、(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂1〜6重量%、及び(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤1.5〜3重量%を押出機に投入し、バレル温度180℃〜220℃で混合及び押出するステップを含み、
前記樹脂組成物の重量%は、(a)、(b)、(c)および(d)成分の合計重量に対するものである
樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂組成物から製造された、成形品。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂組成物から製造された加湿器のディスク、空気洗浄器のディスク、加湿器のディスクアセンブリ、または空気洗浄器のディスクアセンブリを含み、
前記ディスクアセンブリは、平行に結合されている複数のディスクを含む
製品。
【請求項10】
前記製品は、加湿器、空気清浄機、または加湿器兼用空気清浄機である、請求項9に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互引用〕
本出願は、2015年11月13日付けの韓国特許出願第10−2015−0159379号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本記載は、加湿量が豊富であり、変形が少ないためエアワッシャー(air washer、空気洗浄器)や加湿器のディスク(disk)に適したABS系樹脂組成物及びそれから製造された成形品に関し、より詳細には、ABS系樹脂及びSAN系樹脂とポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂及びエトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤を含むことによって、加湿量が豊富で、変形が少ないためエアワッシャーや加湿器のディスクに適したABS系樹脂組成物及びそれから製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の超音波加湿器の水分粒子のサイズは1〜5μmであるのに比べて、エアワッシャー加湿器の水分粒子のサイズは0.3μm以下で、超音波加湿器に比べて飛散する水分粒子のサイズが小さいため、水分粒子が遠くまで飛散し、室内空気中に浮遊する粒子を捕捉するクリーナー(cleaner)の役割も同時に行うことによって、室内空気を浄化する利点により、超音波加湿器を代替している実情である。しかし、エアワッシャー加湿器は、超音波振動ではなく空気によって水分が飛散するため、その加湿効率が非常に低い。このような加湿量の低効率性を補完するために、直径が大きく、薄いディスクを複数枚使用して表面積を最大限広げ、ディスクの表面に凹凸を形成して表面積を最大限高めようとする試みがなされている。
【0004】
エアワッシャーのディスクは、ディスクの表面に水分を吸着した後、空気によって水分が飛散しなければならない。このような目的を達成するために、ディスクの素材として親水性樹脂を使用すると、水分吸着は良好であるが、樹脂が水分を吸収して膨潤されるため、ディスクが変形する欠点がある。また、膨潤による変形を防止するために疎水性樹脂を使用する場合、膨潤による変形の防止は可能であるが、表面の水分吸着率が低いため加湿量が低下するという問題がある。このような問題点を補完するために、疎水性樹脂に膠のような親水性樹脂をコーティングする方法が用いられているが、使用時間が経過するにつれて、親水性樹脂が脱落して浮遊物を形成し、ディスクの表面が汚れ、加湿器を汚染させるだけでなく加湿効率が低下して、消費者の満足度が低下するという問題がある。
【0005】
したがって、加湿量が豊富であると共に、水分によってディスクが変形しない樹脂の開発が要求されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本登録特許第2850457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本記載は、衝撃強度及び流動性に優れると共に、加湿量に優れ、変形が少ない、エアワッシャー(air washer)や加湿器などのディスク(disk)に適したABS系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本記載は、前記のABS系樹脂組成物から製造される成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本記載によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本記載は、(a)ビニルシアン化合物−共役ジエン系ゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂22.5〜50重量%;(b)芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂47.5〜75重量%;(c)ポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂1〜6重量%;及び(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤1.5〜3重量%;を含むことを特徴とするABS系樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本記載は、前記のABS系樹脂組成物から製造される成形品を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本記載によれば、疎水性樹脂であるABS系樹脂及び芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂と親水性であるポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂及びエトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤を含むことによって、衝撃強度及び流動性に優れると共に、加湿量に優れ、変形が少ないためエアワッシャーや加湿器などのディスクの用途に適した樹脂組成物及びそれから製造された成形品を提供する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本記載のABS系樹脂組成物は、(a)ビニルシアン化合物−共役ジエン系ゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂22.5〜50重量%;(b)芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂47.5〜75重量%;(c)ポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂1〜6重量%;及び(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤1.5〜3重量%;を含むことを特徴とし、この範囲内で、衝撃強度及び流動性に優れると共に加湿量に優れ、変形が少ないためエアワッシャーや加湿器などのディスクに適したABS系樹脂組成物を提供する効果がある。
【0015】
本記載のABS系樹脂は、ビニルシアン化合物−共役ジエンゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂を意味する。
【0016】
他の例として、前記(a)ビニルシアン化合物−共役ジエン系ゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂は、25〜40重量%、または25〜35重量%であってもよく、この範囲内で、流動性及び衝撃強度などの機械的物性のバランスに優れ、曲げ特性に優れるため、変形が少ないという効果がある。
【0017】
前記(a)ビニルシアン化合物−共役ジエン系ゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂は、一例として、平均粒径2500Å〜3500Åの共役ジエン系ゴム状重合体40〜70重量%に芳香族ビニル化合物18〜48重量%、及びビニルシアン化合物6〜24重量%をグラフト重合させた共重合体樹脂であってもよく、この範囲内で、流動性及び衝撃強度などの機械的物性のバランスに優れ、曲げ特性に優れるため、変形が少ないという効果がある。
【0018】
他の例として、前記(b)芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂は、55〜70重量%、または60〜70重量%であってもよく、この範囲内で、流動性及び衝撃強度などの機械的物性のバランスに優れ、曲げ特性に優れるため、変形が少ないという効果がある。
【0019】
前記(b)芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂は、一例として、芳香族ビニル化合物55〜80重量%または60〜75重量%、及びビニルシアン化合物20〜45重量%または25〜40重量%を含んでもよい。
【0020】
前記ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びエタクリロニトリルからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0021】
前記共役ジエン系ゴム状重合体は、一例として、ブタジエンゴム質共重合体、ブタジエン−スチレンゴム質共重合体、及びイソプレンゴム質重合体からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0022】
前記芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、及びビニルトルエンからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0023】
他の例として、前記(c)ポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂は、1.5〜5.5重量%または2〜4.5重量%であってもよく、この範囲内で、加湿量が多く、曲げ特性に優れるため、変形量が少ないという効果がある。
【0024】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(以下、ABSという)樹脂とコンパウンディングして射出する際、ABS樹脂の表面に層状に分散、すなわち、層状分散型アロイ(alloy)を形成する。ABS樹脂の表面に位置したポリエーテルエステルアミド樹脂は、表面親水性を高めて加湿量を高めるだけでなく、表面に移行するエトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤を捕捉することによって、表面親水度を持続させる効果がある。しかし、ポリエーテルエステルアミド樹脂は、ABS樹脂の表面に層状にストレッチングされて分散しているため、過量使用すると、水中で水分を吸収して膨潤されるため、ディスクの変形を大きくして曲げ特性が低下する。したがって、表面親水度の持続性及び曲げ特性に優れた効果を得るためには、ポリエーテルエステルアミド樹脂がABS系樹脂組成物中に本記載による範囲内で含まれなければならない。
【0025】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、一例として、ASTM D257に従い測定した表面固有抵抗が2×10
9Ω以下であってもよく、この範囲内で、優れた加湿効果を有することができる。
【0026】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、一例として、反応性末端を有するポリアミドと反応性末端を有するポリエーテルとの縮重合生成物であってもよく、具体例として、両側末端にカルボン酸基を有するポリアミドと、ビスフェノールとのエチレンオキシド付加物が重合され、融点が100℃〜260℃、または186℃〜204℃であってもよい。
【0027】
前記(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、親水性樹脂であって、芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂の親水度が高いほど相溶性が良くなるもので、前記芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂中のビニルシアン化合物の含量が高いほど、親水度が増加するようになり、ポリエーテルエステルアミド樹脂との相溶性が良くなることで、表面に位置するポリエーテルエステルアミド樹脂とABS樹脂との剥離現象が減少し、衝撃強度は上昇するが、親水性であるポリエーテルエステルアミド樹脂がABS樹脂の内部にさらに多く位置するため、表面親水性はむしろ減少してしまい、加湿性が低下する。
【0028】
逆に、前記芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂中のビニルシアン化合物の含量が低いと、ABS樹脂の親水度が減少して、ポリエーテルエステルアミド樹脂との相溶性が低下するため、表面剥離現象が起こり、衝撃強度が低下するが、ポリエーテルエステルアミド樹脂がABS樹脂と分離されやすいため表面にさらに多く位置するため、表面親水度が増加して加湿性が良くなる。したがって、ABS樹脂の親水性は、ポリエーテルエステルアミド樹脂との剥離現象、衝撃強度、加湿性などを考慮しなければならない。
【0029】
他の例として、前記(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤は1.7〜2.5重量%であってもよく、この範囲内で、変形が少なく、加湿量に優れると共に、表面べたつき現象が発生しないため、優れた商品価値を有するという効果がある。
【0030】
前記(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤は、一例として、アルキルの炭素数が13個〜15個であってもよい。
【0031】
前記ABS系樹脂組成物は、一例として、難燃剤、抗菌剤、滴下防止剤、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、UV安定剤、衝撃補強剤、充填剤、無機物添加剤、安定剤、顔料及び染料からなる群から選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0032】
前記ABS系樹脂組成物は、一例として、加湿器(LAW−A049AS、LG電子)に直径(円の直径)215mm、厚さ1.6mmのディスク(disc;円板)46枚を装着し、6時間測定した加湿量が400cc/hr以上、または400〜500cc/hrであってもよい。
【0033】
前記ABS系樹脂組成物は、一例として、直径215mm、厚さ1.6mmのディスクを90°、180°、270°、及び360°となる地点をそれぞれ表示した後、常温で水槽に168時間浸漬させた後に測定した各地点での変形量が1.0mm以下、0.8mm以下、または0.1〜0.8mmであってもよい。
【0034】
本記載において、常温は、当該技術分野で認定される通常の常温範囲であれば特に制限されず、一例として、22℃〜25℃、具体例として23℃であってもよい。
【0035】
本記載のABS系樹脂組成物の製造方法は、(a)ビニルシアン化合物−共役ジエン系ゴム状重合体−芳香族ビニル化合物共重合体樹脂22.5〜50重量%;(b)芳香族ビニル化合物−ビニルシアン化合物共重合体樹脂47.5〜75重量%;(c)ポリエーテルエステルアミド(Polyether ester amide)樹脂1〜6重量%;及び(d)エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤1.5〜3重量%;を押出機に投入し、バレル温度180℃〜220℃で混合及び押出するステップを含むことを特徴とする。前記押出機は、一例として、二軸押出機であってもよく、この場合、混練性に優れるという効果がある。
【0036】
本記載は、前記樹脂組成物を含んで製造される成形品を提供し、前記成形品は、一例として、射出成形品であってもよく、好ましくはディスクであり、より好ましくは、複数個のディスクが並列に配置されたディスクアセンブリであり、最も好ましくは、エアワッシャーのディスク、加湿器のディスク、空気清浄機のディスクなどであってもよい。
【0037】
前記ディスクアセンブリは、複数個のディスクがシャフトや支持体で並列結合された結合体であれば、ディスクユニットなど、この技術分野で他の名称で使用されるものもいずれも含む。
【0038】
本記載の製品は、前記樹脂組成物で製造されたディスク又はディスクアセンブリを含むことを特徴とする。
【0039】
前記製品は、エアワッシャー、加湿器、空気清浄機、加湿器兼用エアワッシャー、加湿器兼用空気清浄機、またはエアワッシャー空気清浄機などであってもよい。
【0040】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0041】
[実施例]
実施例1〜3及び比較例1〜3
下記の表1に示した成分を、その記載された含量でスーパーミキサーに投入して混練した後、二軸押出機を用いて、バレル温度200℃で溶融混練させた後、押出加工(ペレタイザーを使用)してペレットを得た。このペレットを射出機から射出して、物性テストのための試片として使用した。
【0042】
前記実施例及び比較例で使用した原料物質は、次の通りである。
【0043】
*A(ABSグラフト共重合体):ゴム含量が60重量%であるLG化学のDP270
*B(SAN樹脂):アクリロニトリルが27重量%含まれたLG化学の92HR
*C(ポリエーテルエステルアミド):Arkema社のMH2030(融点200℃、ASTM D257に従い測定した表面固有抵抗1×10
7Ω)
*D(エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤):CECA Arkema社のNoroplast 832
[試験例]
前記実施例1〜3及び比較例1〜3で収得した樹脂組成物ペレットを射出して試片を製造し、これを用いて加湿量、変形量、衝撃強度及び流動性を測定した。測定結果を下記表1にまとめた。
【0044】
測定方法
*加湿量:直径215mm、厚さ1.6mmのエアワッシャーディスクが46枚装着されたLG電子の加湿器(モデル:LAW−A049AS)で6時間実験して、加湿量を測定した。
【0045】
*変形量:ディスクを90°、180°、270°、360°となる地点にそれぞれ4ポイントを表示し、ディスクを水槽に168時間浸漬させた後、各地点の変形を測定した。
【0046】
*衝撃強度(1/8″ notched、23℃、kgf・cm/cm):ASTM D256に準拠して測定した。
【0047】
*流動性(g/10分):ASTM D1238に準拠して220℃、10kgの条件で測定した。
【0049】
前記表1に示したように、本記載の実施例1〜3は、衝撃強度及び流動性に優れると共に、加湿量に優れ、変形量が少ないという効果があった。
【0050】
反面、エトキシ化アルキルアミン系帯電防止剤が含まれていない比較例1は、流動性が低下し、変形量が急激に大きくなり、ポリエーテルエステルアミド樹脂が含まれていない比較例2は、流動性及び加湿量が低下し、ポリエーテルエステルアミド樹脂が過量含まれた比較例3は、加湿量が増加したが、変形量が非常に大きくなった。