特許第6392646号(P6392646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392646
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】キノコ含有ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20180910BHJP
   A23L 19/00 20160101ALN20180910BHJP
【FI】
   A23L23/00
   !A23L19/00 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-237732(P2014-237732)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-96793(P2016-96793A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 あや
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠介
【審査官】 竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−186857(JP,A)
【文献】 特開2004−242600(JP,A)
【文献】 特開2000−060476(JP,A)
【文献】 特表2001−516224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 23/00−25/10
A23L 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離包装された2種類のソースからなり、該2種類のソースを混合して喫食状態にするキノコ含有ソースにおいて、上記2種類のソースが下記(1)及び(2)のソースであるキノコ含有ソース。
(1)キノコ具材を含み、品温105℃以上の条件で加熱処理されたソース
(2)キノコペーストを含み、品温100℃未満の条件で加熱処理されたソース
【請求項2】
上記(1)のソースのソース部の塩分濃度が、該(1)のソースと上記(2)のソースとの混合ソースのソース部の塩分濃度より0.2質量%以上低い請求項1に記載のキノコ含有ソース。
【請求項3】
上記(1)のソースのソース部の塩分濃度が1質量%以下である請求項1又は2に記載のキノコ含有ソース。
【請求項4】
上記(2)のソースのソース部の塩分濃度が10〜25質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載のキノコ含有ソース。
【請求項5】
上記(2)のソースのソース部の水分活性が0.92以下である請求項1〜4の何れか1項に記載のキノコ含有ソース。
【請求項6】
上記(1)のソースと上記(2)のソースとの質量比が、前者:後者=95:5〜50:50である請求項1〜5の何れか1項に記載のキノコ含有ソース。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材としてキノコを含有するキノコ含有ソースに関し、詳細には、分離包装された2種類のソースからなり、該2種類のソースを混合して喫食状態にするキノコ含有ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
キノコ類は、独特の香り、旨み、食感を有し、種々の料理にそのまま又は風味づけのために粉砕や抽出されて利用されている。ソースにおいても、しいたけ、マッシュルーム、エリンギ等のキノコ類がよく用いられている。また近年では、カレー、具入りスープ、パスタソース等の種々のキノコ具材入りのソースが、調理済みで容器内に密封してレトルト処理されて市販されている。レトルト処理されたキノコ具材入りソースは、長期保存が可能であり、湯せんや電子レンジで加熱するだけで手軽に喫食できるようになっている。しかしながら、キノコ風味のソースを殺菌のために加熱、特にレトルト殺菌のような高熱処理すると、キノコの風味が無くなってしまい、臭みが感じられ、ソースとの調和に乏しいものとなっていた。そのため、キノコ独特の香り、旨み、食感を良好に保持し、しかも長期保存性を有するキノコ含有ソースが切望されている。
【0003】
特許文献1には、非乾燥キノコ類と粒度1mm以下の乾燥キノコ類とを、重量比で1:3〜20:1の割合で含み、水分活性が0.94未満であるキノコ含有ソースが開示されている。しかしこのキノコ含有ソースは、乾燥キノコを粉砕して用いるため乾物臭さがある。
また特許文献2には、100℃以下で殺菌され、pH4.0以下に調整されているキノコ加工品を含有するスープなどのレトルト食品が開示されている。しかしこのレトルト食品は、主として、電子レンジなどで加熱調理したときのキノコ加工品の型崩れの防止を図ったものであり、キノコの食感や風味を高め、レトルト臭のような風味低下の防止技術については不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−067476号公報
【特許文献2】特開2001−186857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、長期間の保存が可能で、2種類のソースを混合するだけで、キノコ具材の食感とキノコの香り及び旨みとが感じられ且つソースとしてのバランスの良い喫食状態となり、喫食する際に加熱しても斯かる特長が失われないキノコ含有ソースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、種々検討した結果、キノコ含有ソースを、キノコ具材を含むソースとキノコペーストを含むソースとの2種類のソースに分け、喫食前は互いに混ざり合わないように別個独立した状態とし、喫食する際に両ソースを混合する形態とすることが、長期保存性と食感、香り、旨みなどとを両立させるのに有効であることを見出した。そしてさらに検討した結果、キノコ具材を含むソースをレトルト殺菌処理し、キノコペーストを含むソースを低温加熱殺菌処理することにより、上記目的を達成するキノコ含有ソースが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0007】
即ち本発明は、分離包装された2種類のソースからなり、該2種類のソースを混合して喫食状態にするキノコ含有ソースにおいて、上記2種類のソースが下記(1)及び(2)のソースであることを特徴とするキノコ含有ソースを提供するものである。
(1)キノコ具材を含み、品温105℃以上の条件で加熱処理されたソース
(2)キノコペーストを含み、品温100℃未満の条件で加熱処理されたソース
【発明の効果】
【0008】
本発明のキノコ含有ソースは、長期間の保存が可能で、長期間保存しても依然として、キノコ具材の食感とキノコの香り、旨みが感じられ、且つソースとしてのバランスもよい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のキノコ含有ソースを構成する上記(1)及び(2)のソースはソース部を有している。ソース部は、ソースにおける常温(25℃)で流動性を有している部分であり、水分が主体の液状物又は流動物である。上記(1)及び(2)のソースから固形物を取り除くとソース部が得られる。尚、上記(1)のソースに含まれるキノコ具材は固形物であるから、上記(1)のソースは、ソース部に加えて固形物を必ず含んでいるのに対し、上記(2)のソースに含まれるキノコペーストは流動物であるから、上記(2)のソースには、固形物を含まずにソース部のみからなる形態が含まれ、該形態の場合は、上記(2)のソース自体がソース部である。
【0010】
本発明で用いるソース部の原材料としては、例えば、水、牛乳、塩、砂糖、卵、生クリーム;トマトや玉ねぎなどの野菜類やエンドウなどの豆類のペースト;野菜類や豆類のピューレ状物(固形物が残存しないものに限る);しょうゆ、酢、ブイヨン、コンソメなどの調味料類などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ソース部には、原材料の他に必要に応じて、酸味料、乳化剤、増粘剤、安定剤、着色料など、従来からソースの原材料として用いられている添加剤を用いることができ、ソースの種類に応じて適宜選択することができる。
【0011】
上記(1)のソースは、キノコ具材と含む。キノコ具材は、具材の一種である。本発明において「具材」とは、塊状の固形物を意味し、好ましくは最小長が0.8cm以上、さらに好ましくは1.2cm以上、最大長が8cm以下、さらに好ましくは6cm以下、より好ましくは4cm以下のものである。本発明でいう具材には、小麦粉などの粉末、原料ペーストなどの流動物やソース部に溶解するものなどは含まれない。
【0012】
上記(1)のソースに含まれるキノコ具材は、食品として喫食されるキノコであればよく、シイタケ、マイタケ、エノキタケ、ナメコ、マッシュルーム、シメジ、ポルチーニ、エリンギ等を例示でき、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。キノコ具材は生のまま用いても良く、生のキノコを乾燥させた乾物を用いても良く、乾物の場合は通常、水戻ししてから用いる。
【0013】
上記(1)のソース中におけるキノコ具材の含有量は、キノコ含有ソースの種類等によって適宜選択すれば良く、特に制限されないが、通常、該ソースの全質量に対して、好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜25質量%である。
【0014】
上記(1)のソースには、本発明において特に重要な効果(キノコ具材の食感、キノコの香り、旨みなど)を妨げない限りにおいて、キノコ具材以外の他の具材、例えば、肉類、魚介類、野菜類などを含有させてもよい。
【0015】
上記(1)のソースは、キノコ具材等の具材及びソース部の原材料を用いて、キノコ含有ソースの種類に応じた公知の製造方法によって製造することができる。そうして製造された上記(1)のソースは、品温105℃以上の条件で加熱処理される。この加熱処理は、いわゆるレトルト殺菌処理であり、製造直後の上記(1)のソースを缶、パウチ等の密封可能な容器に充填し、該容器を密封した後に実施される。上記(1)のソースの加熱処理が品温105℃以下の条件で行われた場合には、殺菌が不十分となり、品質低下のおそれがある。上記(1)のソースの加熱処理時の品温は、好ましくは110〜130℃、さらに好ましくは115〜125℃である。また、上記(1)のソースの加熱処理時間は、好ましくは10〜60分、さらに好ましくは15〜45分、より好ましくは20〜35分間である。
【0016】
上記(1)のソースは、キノコ具材の食感を維持する観点から、塩分濃度が低いことが好ましい。具体的には、上記(1)のソースのソース部の塩分濃度S1は、該(1)のソースと上記(2)のソースとの混合ソース、即ち喫食状態のソースのソース部の塩分濃度S12より0.2質量%以上低いことが好ましい。つまり、塩分濃度S12−塩分濃度S1の値が0.2質量%以上であることが好ましい。塩分濃度S12−塩分濃度S1の値は、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。
【0017】
同様の観点から、上記(1)のソースのソース部の塩分濃度は、1質量%以下であることが好ましく、特に0.8質量%未満が好ましく、実質的に塩分を含まない状態であってもよい。ここで、「実質的に塩分を含まない」とは、上記(1)のソースの原材料として塩を配合しないという意味であり、原材料中に含まれている塩分は対象外である。
【0018】
上記(2)のソースは、キノコペーストを含む。キノコペーストは、粉砕や磨砕等の手段によってキノコをすりつぶして得られる流動物であり、固形物ではない。キノコペーストには、水分を含み柔らかく滑らかな練りものの形態が含まれる。キノコペーストの原料となるキノコは、上記(1)のソースにおいてキノコ具材として利用可能なものを用いることができ、また、生のキノコでもよく乾物のキノコでもよいが、好ましいのは生のキノコである。生のキノコをすりつぶして得られるキノコペーストは通常、練りものである。上記(1)のソースにおいてキノコ具材として用いるキノコと、上記(2)のソースにおいてキノコペーストとして用いるキノコとは、通常、種類は同じであるが、異なっていても良い。
【0019】
上記(2)のソース中におけるキノコペーストの含有量は、キノコ含有ソースの種類等によって適宜選択すれば良く、特に制限されないが、通常、該ソースの全質量に対して、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%である。
【0020】
尚、上記(2)のソースは、キノコ具材を実質的に含まないことが好ましい。ここで「キノコ具材を実質的に含まない」とは、キノコペーストの製造工程上、不可避的に混入するキノコの破片については、本発明の効果が認められる限り、キノコ具材とはしないとの意味である。また、上記(2)のソースは、キノコ具材以外の具材を含んでも構わないが、後述するように、低温加熱殺菌処理を行うものであるため、キノコ具材以外の具材も含まないことが好ましく、固形物を含まずにソース部のみからなることが好ましい。
【0021】
上記(2)のソースは、キノコペースト及びソース部の原材料を用いて、キノコ含有ソースの種類に応じた公知の製造方法によって製造することができる。そうして製造された上記(2)のソースは、品温100℃未満の条件で加熱処理される。この加熱処理は、いわゆる低温加熱殺菌処理であり、製造直後の上記(2)のソースを缶、パウチ等の密封可能な容器に充填し、該容器を密封した後に実施される。上記(2)のソースの加熱処理が品温100℃以上の条件で行われた場合には、キノコ具材の食感とキノコの香り、旨みが低下するおそれがある。上記(2)のソースの加熱処理時の品温は、好ましくは60〜95℃、さらに好ましくは65〜90℃、より好ましくは68〜85℃である。また、上記(2)のソースの加熱処理時間は、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上程度である。
【0022】
上記(2)のソースは、キノコペーストの香りと旨みを維持する観点から、塩分濃度が高いことが好ましい。具体的には、上記(2)のソースのソース部の塩分濃度は、好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、より好ましくは10〜25質量%である。斯かる塩分濃度を達成するため、上記(2)のソースには通常、原材料として塩を配合する。
【0023】
また、上記(2)のソースは、キノコペーストの香りと旨みを維持する観点から、水分活性(Aw)が低いことが好ましい。具体的には、上記(2)のソースのAwは、好ましくは0.92以下、さらに好ましくは0.90以下、より好ましくは0.88以下である。
【0024】
上述したように、上記(1)及び(2)のソースはそれぞれ個別に製造、密封されており、使用前は、分離包装され別個独立の状態にある。分離包装の形態は、上記(1)のソースと上記(2)のソースとを混ざり合わさずに収納し得る形態であれば良く、例えば、袋、容器などの収納具を2つ用い、その2つのうちの一方に上記(1)のソースを収納し、他方に上記(2)のソースを収納する形態が挙げられる。また、分離包装の別の形態として、内部がシール、チャック構造、仕切り板などによって2室に分離された収納具を用い、該2室のうちの一方に上記(1)のソースを収納し、他方に上記(2)のソースを収納する形態が挙げられる。
【0025】
本発明のキノコ含有ソースを喫食する際には、上記(1)のソースと上記(2)のソースとを混合する。この混合ソースはそのまま喫食することが可能であるが、加熱してから喫食してもよい。喫食のための加熱は、上記(1)のソースと上記(2)のソースとを混合する前に、それぞれ個別に加熱してもよく、両ソースの混合後にその混合ソースを加熱してもよい。特に好ましい喫食のための加熱は、上記(2)のソースは加熱を行わずに、上記(1)のソースのみを加熱する方法であり、その場合、上記(1)のソースは、喫食に適した温度よりも若干高い温度とするのが好ましい。上記(2)のソースは塩分濃度を高めてあるため、衛生上は加熱する必要が無く、また、これを加熱するとキノコの香りや旨みが損なわれるおそれがあるためである。このように、上記(1)のソースと上記(2)のソースとでは、喫食のための加熱の条件が異なる場合があることから、両ソースの分離包装の形態は、内部が2室に分離された収納具を1つ用いる形態よりも、2つの収納具を用いて個別包装する形態が好ましい。
【0026】
上記(1)のソースと上記(2)のソースとを混合する際の混合質量比は、それらの混合ソース、即ち本発明のキノコ含有ソースの用途等に応じて適宜調整すればよく特に制限されないが、例えばキノコ含有ソースをパスタソースとして用いる場合は、上記(1)のソース:上記(2)のソース=95:5〜50:50とすることが好ましく、90:10〜60:40とすることがさらに好ましい。即ち、両ソースを混合する際には、上記(1)のソースは上記(2)のソースと同量か、又は上記(2)のソースよりも多量であることが好ましい。キノコ含有ソースにおいて、上記(2)のソースの含有比率が低すぎると、キノコの香り、旨みとのバランスが崩れやすくなり、逆に、上記(2)のソースの含有比率が高すぎると、キノコ含有ソースの塩分濃度やAwの調製が困難になる。
【0027】
上記(1)のソースと上記(2)のソースとを混合する際の混合質量比を前記特定範囲とする観点から、混合前の分離包装された状態において、上記(1)のソースと上記(2)のソースとの質量比は、前者:後者=95:5〜50:50であることが好ましく、90:10〜60:40とすることがさらに好ましい。
【0028】
上記(1)のソースと上記(2)のソースとの混合ソース、即ち本発明のキノコ含有ソースのソース部の塩分濃度は、好ましくは1〜2.8質量%、さらに好ましくは1.2〜2質量%である。ソース部の塩分濃度が低いと、ソース全体の味が薄く感じられ、キノコの香り、旨みとのバランスが崩れやすくなる。逆にソース部の塩分濃度が高いと、塩辛いと感じられるようになる。
【0029】
本発明のキノコ含有ソースの用途としては、パスタソース、ステーキソース等のソース類の他、シチュー、カレー、スープ、あん、たれ、ドレッシングなどが例示できる。本発明のキノコ含有ソースを適用可能なソース類は、具材としてキノコを含有するソース類であれば種類は制限されるものではなく、例えば、ミートソース、トマトソース、クリームソース、カルボナーラ、和風ソースなどが挙げられる。特に、クリームソース、カルボナーラ、和風ソースは、キノコの風味と相性が良いため、本発明のキノコ含有ソースの用途として好適である。また、本発明のキノコ含有ソースを、それ単独で喫食せずに、パスタ、パン、ご飯などの主食部にかける、和える、混ぜる等して喫食する場合、上記(1)のソースと上記(2)のソースとを予め混合してからその混合ソースを主食部に適用してもよいが、上記(1)のソース、上記(2)のソースの順で順次主食部に適用すると、キノコ具材の食感とキノコの香り、旨みが一層引き立つため、好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1〜11〕
上記(1)のソースとして、表1及び表2に示す配合のキノコクリームソースを製造し、パウチ袋に封入後、表1及び表2の加熱温度(加熱処理時の品温)で20分間加熱処理(レトルト殺菌処理)した。また別途、上記(2)のソースとして、表1及び表2に示す配合のキノコペーストソースを製造し、パウチ袋に封入後、表1及び表2の加熱温度(加熱処理時の品温)で20分間加熱処理(低温加熱殺菌処理)した。こうして、分離包装された2種類のソースからなるキノコ含有ソースを製造した。
【0032】
〔比較例1〜3〕
上記キノコクリームソース及び/又は上記キノコペーストソースの殺菌処理の際の加熱温度を表1及び表2のように変更した以外は実施例1と同様にして、分離包装された2種類のソースからなるキノコ含有ソースを製造した。
【0033】
〔実施例12〜20〕
水と塩の量以外は変更せず、上記キノコクリームソース及び/又は上記キノコペーストソースの塩分濃度を表3のように変更した以外は実施例4と同様にして、分離包装された2種類のソースからなるキノコ含有ソースを製造した。
【0034】
〔評価試験〕
各実施例及び比較例について、上記キノコクリームソース90gと上記キノコペーストソース10gとを混合し、混合ソースとしてのキノコ含有ソースを調製した。この混合ソースについて、キノコ具材の食感及びソースの風味を下記基準により評点した。その結果(ハネラー10名の平均点)を表1〜表3に示す。尚、表2及び表3には実施例4の結果を再掲する。
【0035】
<キノコ具材の食感の評価基準>
5点:キノコの存在感が十分に感じられ、キノコとソースの一体感が十分あり、極めて良好である。
4点:キノコの存在感が感じられ、キノコとソースに一体感があり、良好である。
3点:キノコの存在感がやや感じられ、キノコとソースの一体感がほどほどにある。
2点:キノコの存在感があまり感じられず、キノコとソースのバランスが不良である。
1点:キノコの存在感がほとんど感じられず、キノコとソースのバランスが極めて不良である。
【0036】
<ソースの風味の評価基準>
5点:キノコの香り、旨みが十分に感じられ、極めて良好である。
4点:キノコの香り、旨みが感じられ、良好である。
3点:キノコの香り、旨みがやや感じられる。
2点:キノコの香り、旨みがあまり感じられず、不良である。
1点:キノコの香り、旨みがほとんど感じられず、極めて不良である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表1及び表2に示す通り、各実施例は各比較例に比して、キノコ具材の食感及びソースの風味に優れていた。比較例1は、上記(1)のソースの加熱処理時の品温が100℃であって105℃以上ではないため、各実施例に比して低評価となった。また比較例2は、上記(2)のソースの加熱処理時の品温が100℃であって100℃未満ではないため、各実施例に比して低評価となった。また比較例3は、比較例1及び2の加熱条件の両方を満たしているため、各実施例に比して低評価となった。
【0041】
尚、上記(1)のソースと(2)のソースのようにソースを分けず、実施例1と同じ配合の材料を一度に配合してソースを製造し、120℃で20分間加熱処理(レトルト殺菌処理)した場合、キノコ具材の食感の評価は2.5点、ソースの風味は1.3点であった。このことから、喫食前においてキノコ具材を含むソースとキノコペーストを含むソースとに分離しておくことの有効性が明らかである。
【0042】
表3に示す通り、実施例14は、上記(1)のソースの塩分濃度が1.5質量%であって1質量%を超えているため、他の実施例に比してやや低評価となった。また実施例15は、混合ソースのソース部の塩分濃度と上記(1)のソースのソース部の塩分濃度との差が0.1質量%であって0.2質量%以上ではなく、且つ上記(2)のソースのソース部の塩分濃度が2質量%であって10〜25質量%の範囲外であるため、他の実施例に比してやや低評価となった。また実施例16、17及び20は、上記(2)のソースのソース部の塩分濃度が6質量%、8質量%、28質量%であって10〜25質量%の範囲外であるため、他の実施例に比してやや低評価となった。