【文献】
久保田紀久枝ほか,食品学−食品成分と機能性、第2版補訂,株式会社東京化学同人,2011年 4月25日,222〜225頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
卵かけご飯は、手軽で栄養価が高く、おいしいため、近年では、家庭のみならず飲食店でも提供されるようになっており、卵かけご飯用の調味料が市販される等、人気のあるメニューとなっている。
卵かけご飯のおいしさは卵のコクと風味が米飯に付与されることにより得られ、一般的には、生卵または生卵黄に醤油等の調味料を加えて溶いた溶き卵を米飯に上掛けする、あるいは米飯と混ぜて食される。
【0003】
卵かけご飯には、安全性の観点から新鮮な生卵しか用いることができない。さらに生卵は割れやすい。また、卵黄のみを用いて卵かけご飯を得ようとすると卵白が余ってしまう。よって、取り扱いのよさ、手軽さに欠ける。
したがって、卵かけご飯が手軽に食べられる、米飯に絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有する加工品に対する潜在的なニーズがある。
【0004】
液全卵、液卵黄等は、生産時に均質化処理がなされて流動性が高いさらっとした状態であるため、米飯に上掛けする、米飯と混ぜる等した際に、米飯の下に液溜まりができやすく、生卵黄のとろっとした食感にも乏しい。さらに保存性も劣る。
保存性を考慮すれば、卵加工品の凍結は必須であり、既存のものとして、凍結卵黄、凍結全卵等がある。これら凍結品は、卵の凍結変性によってぼってりとした状態となり、色も白濁していて、物性、外観とも卵かけご飯に適するものではない。
卵の凍結変性を抑制したものとして、食塩や糖を添加した加塩卵黄、加糖卵黄等があるが、食塩や糖を大量に含有するため味が濃く、卵かけご飯に適する風味ではない。
したがって、凍結しても生卵黄の風味を損なわずに適度なとろみと外観を有する卵加工品は、提供されてこなかった。
【0005】
卵黄を含有する加工品として、
特許文献1には、生の卵黄風味を持った中性領域の水中油型乳化液状調味料が記載されており、
特許文献2には、常温で長期保存可能な生風味を保持したペースト状の卵黄組成物が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0013】
<本発明の特徴>
本発明は、
卵かけご飯ソースに対して、卵黄、卵白、水分、食用油脂、ナトリウムを特定量含有し、さらに卵黄と卵白を特定の割合で含有させて製造することにより、
米飯に絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有し、さらに意外にも、生卵黄の鮮やかな色味が付与されることに特徴を有する。
【0014】
<卵かけご飯ソース>
本発明の卵かけご飯ソースとは、炊飯米に上掛けするあるいは混ぜる等して喫食される、卵黄を含有する、流動性を保持した食品である。
【0015】
<水分含有量>
本発明の卵かけご飯ソースにおける水分含有量は、50%以上75%以下であり、55%以上70%以下がよい。
水分含有量が前記範囲より少ないと、流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものとはならない。また、生卵黄の鮮やかな色味を得難い。
水分含有量が前記範囲より多いと、流動性が高いさらっとした状態となり、米飯に上掛けする、米飯と混ぜる等した際に流れ落ちて液溜まりとなりやすく、米飯と絡みやすいものとはならない。また、鮮やかな色味は有するが、生卵黄の風味ととろっとした食感に乏しく、また、水っぽい食味となって卵かけご飯として好ましい食味も得難い。
【0016】
<水を添加する方法>
本発明の卵かけご飯ソースに水を添加する方法としては、清水を配合してもよく、または水分を含有する食品素材、例えば、卵黄、卵白、含水した液糖、醤油、出汁等の水分を含む調味料等でもよい。
【0017】
<液卵黄>
本発明の卵かけご飯ソースに用いる液卵黄は、一般的に流通しているものであれば特に限定されない。
液卵黄に用いる卵黄としては、例えば、鶏卵を割卵して得られる生卵黄をはじめ、当該生卵黄にストレーナー等によるろ過、加熱等による殺菌、凍結、リゾ化、超臨界二酸化炭素による脱コレステロール化、食塩又は糖類等の混合等の1種又は2種以上の処理を施したものを挙げることができる。
本発明の液卵黄に用いる卵黄は、鳥卵由来の通常食品に用いられるものであればよい。
鳥卵としては、鶏、ウズラ、アヒル、鴨等があるが、一般的に流通している鶏卵を用いるとよい。
【0018】
<液卵黄含有量>
液卵黄の含有量は、固形分換算で18%以上40%以下であり、20%以上40%以下がよく、さらに20%以上34%以下とするとよい。
液卵黄の含有量が前記範囲より少ないと、生卵黄のとろっとした食感が得難い。また、生卵黄の風味に乏しく、卵かけご飯として好ましい食味を得難い。
液卵黄の含有量が前記範囲より多いと、流動性が低くぼってりとした状態となり、米飯に絡みづらく、生卵黄のとろっとした食感が得られない。
【0019】
<卵白>
本発明の卵かけご飯ソースに用いる卵白とは、鶏等鳥類の卵を割卵し卵黄を分離したものであり、工業的に得られるもの、これを殺菌、凍結、乾燥、濃縮または希釈、特定の成分、例えばリゾチームやアビジンを除去等の1種又は2種以上の処理を施したものを挙げることができる。また、効果に影響を及ぼさない程度に卵黄やその他の卵由来の成分を含んでいても差し支えない。
本発明においては、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有する観点から、液卵白を用いるとよい。
液卵白には、凍結卵白を解凍したもの、乾燥卵白を水戻ししたものも含む。
【0020】
<卵白含有量>
卵白の含有量は、固形分換算で1%以上4%以下であり、1.3%以上3.5%以下がよく、さらに1.6%以上3.5%以下がよい。
卵白含有量が前記範囲より少ないと、流動性が高くさらっとしたものとなり、米飯に上掛けする、米飯と混ぜる等した際に流れ落ちて米飯の下で液溜まりとなり、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものとはならない。また、白濁して生卵黄の鮮やかな色味を得難く、卵かけご飯として好ましい外観を得難い。
卵白含有量が前記範囲より多いと、ゲル化が起こって均一な状態とならず、米飯に絡みにくく、生卵黄のとろっとした食感を有するものとはならない。また、生卵黄の鮮やかな色味も得難い。
【0021】
<液卵黄と卵白の含有割合>
本発明においては、米飯に絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有し、さらに生卵黄の鮮やかな色味を付与する観点から、液卵黄と卵白を一定の割合で含有することが重要である。
具体的には、液卵黄と卵白の含有割合が生換算で1.5:1〜6:1であり、さらに1.7:1〜4.5:1であるとよい。
液卵黄の含有割合が前記範囲より少ないと、卵白の一部がゲル化して均質なものとならず、さらに白濁しやすくなるため、生卵黄のとろっとした食感と鮮やかな色味を有するものを得難い。
液卵黄の含有割合が前記範囲より多いと、流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みにくく、生卵黄のとろっとした食感を得難い。
【0022】
<食用油脂>
本発明における卵かけご飯ソースに用いる食用油脂は、常温(15℃〜25℃)で液体であり、食用に適するものであればいずれのものでもよい。
このような食用油としては、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、紅花油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、魚油、卵黄油(ただし、液卵黄由来のものは含まない)等の動植物油、又はこれらの精製油(サラダ油)、及びMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリドのように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる食用油等が挙げられる。
これらの食用油脂は、1種で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
<食用油脂含有量>
食用油脂含有量は10%以下であり、さらに5%以下であるとよいが、生卵黄の風味がより豊かなソースを得る観点から、さらに1%以下とするとよい。
油脂含有量が前記範囲より多いと、粘度が上昇して米飯に絡みやすい状態とはならず、生卵黄のとろっとした食感も得難い。また、鮮やかな色味も損なわれやすくなり、生卵黄の風味も感じにくいものとなる。
【0024】
<ナトリウム>
本発明において、ナトリウムを特定量含有すると、米飯に絡みやすいものが得られることに加え、卵かけご飯ソースの白濁が抑制されて、生卵黄の鮮やかな色味を付与することが可能となる。
ナトリウムとして使用されるものとしては、例えば、ナトリウム塩由来でもよく、ナトリウムを含有する食品素材由来でもよい。
ナトリウム塩としては、例えば、食塩、グルタミン酸ナトリウム等、ナトリウムを含有する食品素材としては、醤油、味噌等が挙げられる。
【0025】
<ナトリウム含有量>
ナトリウムの含有量は、0.3%以上1.5%以下であり、さらに0.4%以上1%以下がよい。
ナトリウムの含有量が前記範囲より少ないと、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を得難い。また、生卵黄の鮮やかな色味にも乏しいものとなる。
ナトリウムの含有量が前記範囲より多いと、塩味が強くなって生卵黄の風味が損なわれ、卵かけご飯ソースとして好ましい食味が得られない。
【0026】
<その他原料>
本発明の卵かけご飯ソースには、本発明の必須原料である液卵黄、卵白、水以外の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
具体的には、例えば、砂糖、食酢、醤油、核酸系旨味調味料、柑橘果汁、ケチャップ等の各種調味料、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳清蛋白等の乳類、各種スパイスオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸化デンプンなどの乳化剤、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、各種ペプチド、胡椒、山椒等の香辛料、pH調整剤、日持向上剤、保存料、香料、色素などが挙げられる。
【0027】
<卵かけご飯ソースの製造方法>
本発明の卵かけご飯ソースは、本発明の必須原料である液卵黄、卵白、ナトリウム及びその他の配合原料を混合して均質な卵含有混合液を得る均質化工程と、得られた卵含有混合液を所定の温度で殺菌処理を施す加熱殺菌工程と、凍結工程を経て製される。
【0028】
<均質化工程>
均質化工程は、配合原料を混合して均質な卵含有混合液を得る工程である。
均質化は、プロペラ式撹拌機等の通常に用いられる撹拌機を用いればよく、必要に応じてストレーナー等を用いて行えばよい。
【0029】
<加熱殺菌工程>
加熱殺菌は、均質化工程で得られた卵含有混合液に対し、危害菌を死滅または減少させ、そのまま安全に喫食できる状態とし、かつ、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感と鮮やかな色味を維持できるように施す。
具体的には、卵かけご飯ソースの中心品温が61℃以上80℃以下、さらに63℃以上75℃以下となるように加熱処理を施すとよく、あるいはこれらと同程度の加熱処理を施すとよい。
加熱温度が前記範囲より低いと、米飯に絡みやすく生卵黄のとろっとした食感を得られず、また、危害菌を十分に減少させることができないため、そのまま安全に喫食することができない。
加熱温度が前記範囲より高いと、卵黄及び卵白の変性によって流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みやすく生卵黄のとろっとした食感を得難い。
また、白濁しやすく、生卵黄の鮮やかな色味も得難い。
加熱時間は、中心品温70℃で1分相当の加熱処理が確保でき、かつ、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、高温の時には短時間、低温の時には長時間となる。
具体的には1分以上120分以下で加熱処理するとよい。
加熱殺菌は、常法によって行えばよく、容器に充填してから施すとよい。
【0030】
<凍結工程>
凍結工程は、加熱殺菌を施した卵含有混合液を凍結する工程である。
通常、凍結を行うと、卵黄を多く含有するものは解凍後に流動性が乏しいぼってりとした状態となりやすいが、本発明においては、水分、卵黄及び卵白を特定量含有することによって、凍結後に解凍しても米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を保つことを可能としている。
凍結工程において、卵かけご飯ソースの保存性の観点から、凍結温度は−18℃以下であり、さらに−20℃以下がよい。
凍結は、卵かけご飯ソースが容器に充填された状態で施し、そのまま流通させることもできる。
【0031】
<粘度>
本発明の卵かけご飯ソースの品温20℃における粘度は、0.1Pa・s以上10Pa・s未満であり、0.5Pa・s以上8Pa・s以下がよい。
粘度が前記範囲より低いと、流動性が高くさらっとした状態となり、米飯に上掛けしても流れ落ちて米飯の下で液溜まりとなり、米飯と絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものとはならない。
粘度が前記範囲より高いと、流動性に乏しいぼってりとした状態となって米飯と絡みづらく、生卵黄のとろっとした食感も得難い。
粘度の測定には、卵かけご飯ソースを解凍して品温20℃としたものを用いる。
解凍方法は、自然解凍、流水解凍等、常法によればよく、特に限定されない。
【0032】
<全光線透過率>
本発明の卵かけご飯ソースが有する鮮やかな色味は、全光線透過率によって表すことができる。
具体的には、卵かけご飯ソースの全光線透過率が20%以上であり、25%以上となるとよい。
全光線透過率が前記範囲より低いと、白濁して鮮やかな色味に乏しくなり、米飯に上掛けする、あるいは米飯と混ぜた際に卵かけご飯として好ましい外観を得難い。
全光線透過率の上限は、卵かけご飯ソースとして不自然でない外観が得られれば特に限定されないが、50%以下がよい。
【0033】
なお、本発明において、全光線透過率は、清水の全光線透過率に対する値であり、サンプルへの平行入射光束に対する拡散成分を含む透過光束の割合である。
本発明におけるサンプルの全光線透過率は(%)は、対照である清水の透過率を100%とした場合のサンプルの透過率(%)を示す。
具体的には、全光線透過率は、積分球式光電光度法を用いた濁度測定により、波長390nm、光路長5mmで得られた数値であり、濁度測定器(型名「WA2000N」、日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
全光線透過率の測定には、卵かけご飯ソースを解凍して品温20℃としたものを用いる。
解凍方法は、自然解凍、流水解凍等、常法によればよく、特に限定されない。
【0034】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【0035】
[実施例1]
表1の配合割合に準じ、混合タンクに液卵黄、液卵白、醤油、食塩、トレハロース、及び清水を投入して均質になるまで撹拌・混合した後、30メッシュのストレーナーでろ過を行った(均質化工程)。
得られた卵含有混合液350gを、内寸240mm×280mmのナイロン袋に充填し、68℃で30分間殺菌した後(加熱殺菌工程)、−30℃で急速凍結し(凍結工程)、−30℃で18時間保存して、卵かけご飯ソースを製した。
【0036】
実施例2、3及び比較例1〜3、5の卵かけご飯ソースは、表1の配合割合に準じ、実施例1と同様の方法で製した。
【0037】
[比較例4]
表1の配合割合に準じ、殺菌温度を85℃とした以外は実施例1と同様の方法で、卵かけご飯ソースを製した。
【0038】
[試験例1]
<粘度の測定>
卵かけご飯ソースの粘度は、BH形粘度計(東機産業株式会社製、型番:BHII形)を用い、品温20℃、回転数20rpm、
400mPa・s未満:ローターNo.1、
400mPa・s以上1600mPa・s未満:ローターNo.2、
1600mPa・s以上4000mPa・s未満:ローターNo.3、
4000mPa・s以上8000mPa・s:ローターNo.4、
8000mPa・s以上16000mPa・s以上:ローターNo.5、
16000mPa・s以上:No.6、
を用いて、5回転目の示度により求めた値である。
卵かけご飯ソースは、常温(15〜25℃)の流水で解凍し、品温20℃としたものを測定に供した。
【0039】
[試験例2]
<全光線透過率の測定>
卵かけご飯ソースを厚さ5mmの石英セルに入れ、清水を対照とした全光線透過率を濁度測定器(型名「WA2000N」、日本電色工業株式会社製)を用いて、積分球式光電光度法により測定した(波長390nm、光路長5mm)。
卵かけご飯ソースは、常温(15〜25℃)の流水で解凍し、品温20℃としたものを測定に供した。
【0041】
<水分含有量>
表1より、水分を50%以上75%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものであった。
また、水分を55%以上70%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例1、3)は、より米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有しており、生卵黄の鮮やかな色味も好ましいものであった。
水分を前記範囲より少なく含有する卵かけご飯ソース(比較例5)は、流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みにくく、生卵黄のとろっとした食感も有するものではなかった。
水分を前記範囲より多く含有する卵かけご飯ソース(比較例1〜3)は、殺菌処理後に一部ゲル化しており、均質なものが得られなかった。
また、白濁が見られ、生卵黄の鮮やかな色味が得られなかった。
【0042】
<液卵黄含有量>
表1より、液卵黄を固形分換算で18%以上40%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感と鮮やかな色味を有するものであった。
また、液卵黄を固形分換算で20%以上34%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例3)は、生卵黄の風味ととろっとした食感が際立ち、鮮やかな色味も好ましいものであった。
液卵黄を前記範囲より少なく含有する卵かけご飯ソース(比較例1〜3)は、生卵黄の風味ととろっとした食感に乏しく、卵かけご飯として好ましくなかった。
液卵黄を前記範囲より多く含有する卵かけご飯ソース(比較例5)は、凍結工程後、解凍した際の粘度が非常に高く、流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みにくく、生卵黄のとろっとした食感は得られなかった。
【0043】
<卵白含有量>
卵白を固形分換算で1%以上4%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感と鮮やかな色味を有していた。
卵白を1.6%以上3.5%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例3)は、より米飯に絡みやすく、生卵黄とろっとした食感と鮮やかな色味が好ましいものであった。
卵白を前記範囲より少なく含有する卵かけご飯ソース(比較例2)は、加熱殺菌処理後に一部がゲル化して分離し均質なものが得られず、流動性が高くさらっとしたものとなって米飯の下で液溜まりとなり、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものではなかった。
また、白濁して生卵黄の鮮やかな色味に乏しく、卵かけご飯ソースとして好ましいものではなかった。
卵白を前記範囲より多く含有する卵かけご飯ソース(比較例3)は、加熱殺菌処理後に一部がゲル化して分離し、均質なものが得られなかった。
また、米飯に絡みにくく、白濁して生卵黄の鮮やかな色味にも乏しいものであった。
【0044】
<液卵黄と卵白の含有割合>
液卵黄と卵白の含有割合が生換算で1.5:1〜6:1である卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯と絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有し、生卵黄の鮮やかな色味も有するものであった。
また、液卵黄と卵白の含有割合が生換算で1.7:1〜4.5:1である卵かけご飯ソース(実施例3)は、米飯と絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有し、生卵黄の鮮やかな色味が好ましいものであった。
液卵黄の含有割合が前記範囲より少ない卵かけご飯ソース(比較例3)は、卵白が一部ゲル化して均質なものが得られず米飯に絡みにくいものであった。
液卵黄の含有割合が前記範囲より多い卵かけご飯ソース(比較例2)は、流動性が高くさらっとしたものとなって米飯の下で液溜まりとなり、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感を有するものではなかった。
また、一部がゲル化して分離し、均質なものが得られなかった。
【0045】
<食用油脂含有量>
食用油脂の含有量が10%以下である卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯と絡みやすく、生卵黄の風味ととろっとした食感を有し、生卵黄の鮮やかな色味も有するものであった。
また、食用油脂の含有量が5%以下である卵かけご飯ソース(実施例1、3)は、生卵黄の風味が際立ち、生卵黄の鮮やかな色味も好ましいものであった。
食用油脂含有量が前記範囲より多い卵かけご飯ソース(比較例5)は流動性に乏しいぼってりとした状態となり、米飯に絡みにくく、生卵黄のとろっとした食感を得難いものであった。
また、生卵黄の風味と鮮やかな色味にも乏しいものであった。
【0046】
<ナトリウム含有量>
ナトリウムを0.3%以上1.5%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯に絡みやすく、生卵黄の鮮やかな色味を有するものであった。
また、ナトリウムを0.4%以上1%以下含有する卵かけご飯ソース(実施例2、3)は、生卵黄の鮮やかな色味に優れるものであった。
【0047】
<加熱殺菌温度>
加熱殺菌温度が61℃以上80℃以下である卵かけご飯ソース(実施例1〜3)は、米飯に絡みやすく、生卵黄のとろっとした食感と鮮やかな色味を有するものであった。
加熱殺菌温度が80℃を超える卵かけご飯ソース(比較例4)は、卵白の一部が凝固して分離しており、均質なものが得られなかった。