(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被処理体の凹部を充填する方法であって、該被処理体は、半導体基板及び該半導体基板上に設けられた絶縁膜を備え、前記凹部は、前記絶縁膜を貫通して前記半導体基板の内部まで延在しており、該方法は、
前記凹部を画成する壁面に沿って、実質的に不純物を含まない半導体材料の第1の薄膜を形成する工程と、
前記被処理体を容器の内側においてアニールすることにより、前記凹部の底に向けて移動させた前記第1の薄膜の半導体材料から前記半導体基板の結晶に応じたエピタキシャル領域を形成する工程と、
前記凹部の前記壁面に残留している前記第1の薄膜をエッチングする工程と、
前記エピタキシャル領域を気相ドーピングする工程と、
前記凹部を画成する壁面に沿って、実質的に不純物を含まない半導体材料の第2の薄膜を形成する工程と、
前記被処理体を前記容器の内側においてアニールすることにより、前記凹部の底に向けて移動させた前記第2の薄膜の半導体材料からエピタキシャル領域を更に形成する工程と、
前記凹部の前記壁面に残留している前記第2の薄膜、及び前記エピタキシャル領域を気相ドーピングする工程と、
を備える、方法。
前記第2の薄膜及び前記エピタキシャル領域を気相ドーピングする前記工程の後に、前記凹部の前記壁面に残留している前記第2の薄膜をエッチングする工程を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウェハの表面に設けられる凹部は、絶縁膜を貫通し、この絶縁膜の下地となる半導体基板の内部まで延在するように形成されることがある。このような凹部は、絶縁膜及び半導体基板のエッチングによって形成される。本願発明者は、かかる凹部の底部に向けて半導体材料を移動させて当該半導体材料から半導体基板の結晶に応じたエピタキシャル領域を形成することにより当該凹部を充填する技術を研究している。
【0006】
半導体材料が凹部の側壁及び底壁に凹部を閉塞しないように堆積され、この半導体材料に対して固相エピタキシャル成長が行われることによってエピタキシャル領域が凹部に形成される。エピタキシャル領域を形成するこのようなの工程が繰り返し行われることによって凹部においてエピタキシャル領域が拡大される。半導体材料に不純物が含まれない場合、エピタキシャル領域への不純物の添加はGPDによって行われることができるが、GPDによって不純物が添加されたエピタキシャル領域の表面上に、引き続く工程によって更に半導体材料からエピタキシャル成長が行われると、この工程までに形成されるエピタキシャル領域には、この工程以前の工程においてGPDによって既に添加された不純物が含まれることとなる。不純物を含むエピタキシャル領域は、不純物を含まないエピタキシャル領域よりもエッチングレートが増加するので、エピタキシャル領域の形成後にエピタキシャル成長が行われずに側壁に残った半導体材料をエッチングによって除去する際には、エピタキシャル領域にもエッチングによるダメージが生じるおそれがある。従って、半導体材料のエピタキシャル成長によって凹部を充填する技術では、凹部に充填されたエピタキシャル領域が受けるエッチングによる影響を低減させることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、被処理体の凹部を充填する方法が提供される。被処理体は、半導体基板及び該半導体基板上に設けられた絶縁膜を備える。凹部は、絶縁膜を貫通して半導体基板の内部まで延在している。この方法は、(a)凹部を画成する壁面に沿って、実質的に不純物を含まない半導体材料の第1の薄膜を形成する工程と、(b)被処理体を容器の内側においてアニールすることにより、凹部の底に向けて移動させた第1の薄膜の半導体材料から半導体基板の結晶に応じたエピタキシャル領域を形成する工程(以下、「第1工程」という)と、(c)凹部の壁面に残留している第1の薄膜をエッチングする工程(以下、「第2工程」という)と、(d)エピタキシャル領域を気相ドーピングする工程(以下、「第3工程」という)と、(e)凹部を画成する壁面に沿って、実質的に不純物を含まない半導体材料の第2の薄膜を形成する工程(以下、「第4工程」という)と、(f)被処理体を容器の内側においてアニールすることにより、凹部の底に向けて移動させた第2の薄膜の半導体材料からエピタキシャル領域を更に形成する工程(以下、「第5工程」という)と、(h)凹部の壁面に残留している第2の薄膜、及びエピタキシャル領域を気相ドーピングする工程(以下、「第6工程」という)と、を備えることができる。
【0008】
一実施形態において、第1の薄膜を構成する半導体材料及び第2の薄膜を構成する半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、又はシリコンゲルマニウムであってもよい。一実施形態において、第1の薄膜及び第2の薄膜は、アモルファス半導体膜であってもよく、例えば、アモルファス状態のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であってもよく、この場合に、半導体基板は、単結晶半導体基板又は多結晶半導体基板であってもよく、例えば、単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板であってもよい。一実施形態においては、第1の薄膜及び第2の薄膜は、多結晶半導体膜であってもよく、例えば、多結晶のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であってもよく、この場合に、半導体基板は、単結晶半導体基板であってもよく、例えば、単結晶シリコン基板であってもよい。
【0009】
上記方法では、第3工程において気相ドーピングによって不純物がエピタキシャル領域に添加された後に、このエピタキシャル領域上に第4工程及び第5工程において更にエピタキシャル領域が形成される。第5工程が行われた時点でのエピタキシャル領域では、第3工程において添加された不純物を含むので、実質的に不純物を含まないエピタキシャル領域(第3工程が行われない場合)と比較して、エッチングレートが高い。従って第5工程に引き続いて第2の薄膜をエッチングにより除去する工程が行われれば、不純物を含むエピタキシャル領域もエッチングによる影響を受ける可能性がある。上記方法によれば、第5工程の後に第2の薄膜がエッチングによって除去される前に、第6工程において気相ドーピングによって第2の薄膜にも不純物が添加される。不純物を含む第2の薄膜では、実質的に不純物を含まない半導体材料の薄膜(第6工程が行われない場合)と比較して、エッチングレートは高い。従って、第6工程で第2の薄膜にも不純物が添加され、エピタキシャル領域のエッチングレートだけでなく第2の薄膜のエッチングレートも増加するので、第6工程が行われた時点において、エピタキシャル領域と第2の薄膜との間においてエッチングレートの差が維持されることとなり、よって、第6工程に引き続き第2の薄膜をエッチングによって除去する工程が行われても、エピタキシャル領域に対するエッチングによる影響を回避することができる。すなわち、エピタキシャル領域を残したまま、第2の薄膜を選択的に除去することが可能となる。
【0010】
一実施形態では、エピタキシャル領域を形成する工程は、第1の圧力に設定された容器の内側で被処理体をアニールすることができ、エピタキシャル領域を更に形成する工程は、第2の圧力に設定された容器の内側で被処理体をアニールすることができ、第1の圧力及び第2の圧力は、1.3×10
2Pa以下の圧力であることができる。従って、第1の圧力及び第2の圧力が上記範囲にあるので、アニールによるマイグレーションを第1の薄膜の半導体材料及び第2の薄膜の半導体材料に生じさせることができる。
【0011】
一実施形態では、第2の薄膜及びエピタキシャル領域を気相ドーピングする工程(第6工程)の後に、凹部の壁面に残留している第2の薄膜をエッチングする工程(以下、「第7工程」という)を更に備えることができる。一実施形態において、第3工程〜第7工程を含むシーケンスが繰り返し実行されてもよい。従って、エピタキシャル成長に寄与せずに残された第2の薄膜が、第2の薄膜及びエピタキシャル領域を気相ドーピングする第6工程の後ににおいて、除去される。
【0012】
別の一態様においては、上述した方法の実施に用いることが可能な処理装置が提供される。この処理装置は、容器とガス供給部と加熱装置と制御装置とを備える。ガス供給部は、実質的に不純物を含まない半導体材料の第1の薄膜を形成する第1のガス、実質的に不純物を含まない半導体材料の第2の薄膜を形成する第2のガス、第1の薄膜をエッチングする第3のガス、及び気相ドーピングに用いる第4のガスを容器の内側に供給するよう構成される。加熱装置は、容器の内側の空間を加熱する。制御部は、ガス供給部、及び加熱装置を制御する。制御部は、ガス供給部に第1のガスを容器の内側に供給させる第1の制御を実行し、第1の制御の実行後に、加熱装置に容器の内側の空間を加熱させる第2の制御を実行し、第2の制御の実行後に、ガス供給部に第3のガスを容器の内側に供給させる第3の制御を実行し、第3の制御の実行後に、ガス供給部に第4のガスを容器の内側に供給させる第4の制御を実行し、第4の制御の実行後に、ガス供給部に第2のガスを容器の内側に供給させる第5の制御を実行し、第5の制御の実行後に、加熱装置に容器の内側の空間を加熱させる第6の制御を実行し、第6の制御の実行後に、ガス供給部に第4のガスを容器の内側に供給させる第7の制御を実行することができる。
【0013】
一実施形態において、第1のガス及び第2のガスは、原料ガス、即ち、シリコン含有ガス、ゲルマン含有ガス、又はシリコン含有ガスとゲルマン含有ガスの混合ガスを含んでいてもよい。一実施形態において、第3のガスは、Cl
2、HCl、F
2、Br
2、及びHBrのうち一種以上を含んでいてもよい。一実施形態において、第4のガスは、ホスフィン(PH
3)、ジボラン(B
2H
6)、三塩化ホウ素(BCl
3)、又はアルシン(AsH
3)を含んでいてもよい。
【0014】
上記の処理装置によれば、第2の制御の実行によって第1の薄膜の半導体材料のエピタキシャル領域が形成され、第4の制御における気相ドーピングによってエピタキシャル領域に不純物が添加された後に、このエピタキシャル領域上に第5の制御の実行及び第6の制御の実行によって更に第2の薄膜の半導体材料のエピタキシャル領域が形成される。第6の制御が実行された時点でのエピタキシャル領域では、第4の制御によって添加された不純物を含むので、実質的に不純物を含まないエピタキシャル領域(第4の制御が実行されない場合)と比較して、エッチングレートが高い。従って第6の制御の実行に引き続いて第2の薄膜をエッチングにより除去する制御が実行されれば、不純物を含むエピタキシャル領域もエッチングによる影響を受ける可能性がある。上記の処理装置によれば、第6の制御の実行後に第2の薄膜がエッチングによって除去される前に、第7の制御が実行され気相ドーピングによって第2の薄膜にも不純物が添加される。不純物を含む第2の薄膜では、実質的に不純物を含まない半導体材料の薄膜(第7の制御が実行されない場合)と比較して、エッチングレートは高い。従って、第7の制御によって第2の薄膜にも不純物が添加され、エピタキシャル領域のエッチングレートだけでなく第2の薄膜のエッチングレートも増加するので、第7の制御が実行された時点において、エピタキシャル領域と第2の薄膜との間においてエッチングレートの差が維持されることとなり、よって、第7の制御の実行に引き続き第2の薄膜をエッチングによって除去する制御が実行されても、エピタキシャル領域に対するエッチングによる影響を回避することができる。すなわち、エピタキシャル領域を残したまま、第2の薄膜を選択的に除去することが可能となる。
【0015】
一実施形態では、容器の内側の空間を減圧する排気装置を更に備えることができ、制御部は、排気装置を更に制御することができ、第2の制御において、排気装置に容器の内側の空間の圧力を第1の圧力に設定させ、且つ、加熱装置に容器の内側の空間を加熱させることができ、第6の制御において、排気装置に容器の内側の空間の圧力を第2の圧力に設定させ、且つ、加熱装置に容器の内側の空間を加熱させることができ、第1の圧力及び第2の圧力は、1.3×10
2Pa以下の圧力であることができる。従って、第1の圧力及び第2の圧力が上記範囲にあるので、加熱によるマイグレーションを第1の薄膜の半導体材料及び第2の薄膜の半導体材料に生じさせることができる。
【0016】
一実施形態では、ガス供給部は、第2の薄膜をエッチングする第5のガスを容器の内側に更に供給するよう構成されていることができ、制御部は、第7の制御の実行後に、ガス供給部に第5のガスを容器の内側に供給させる第8の制御を更に実行することができる。一実施形態において、制御部は、第4の制御〜第8の制御を含むシーケンスを繰り返し実行してもよい。一実施形態において、第5のガスは、Cl
2、HCl、F
2、Br
2、及びHBrのうち一種以上を含有するガスであり得る。従って、エピタキシャル成長に寄与せずに残された第2の薄膜が、第7の制御の実行後において除去される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、半導体材料のエピタキシャル成長によって凹部を充填する技術において、凹部に充填されたエピタキシャル領域が受けるエッチングによる影響を低減させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0020】
図1は、一実施形態に係る凹部を充填する方法を示す流れ図である。また、
図2は、
図1に示す方法の実施前の初期状態、及び、当該方法の各工程の実行後の被処理体を例示する断面図であり、
図3及び
図4は、
図1に示す方法の各工程の実行後の被処理体を例示する断面図である。
図1に示す方法MTは、被処理体の凹部において半導体材料をエピタキシャル成長させることによって、当該凹部を充填する方法である。
【0021】
方法MTの適用前の初期状態において、被処理体(以下、「ウェハW」ということがある)は、
図2の(a)に示す構成を備える。ウェハWは、半導体基板SBと絶縁膜IFとを備える。半導体基板SBは、単結晶半導体基板又は多結晶半導体基板であり、例えば、単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板である。絶縁膜IFは、半導体基板SB上に設けられている。絶縁膜IFは、上面TWを備える。絶縁膜IFは、例えば、酸化シリコン(SiO
2)又は窒化シリコン(Si
3N
4)から構成されている。
【0022】
ウェハWには、トレンチ又はホール(コンタクトホール等)といった凹部DRが形成されている。凹部DRは、上面TWから絶縁膜IFを膜厚方向に貫通しており、更に半導体基板SBの内部まで延在している。凹部DRは、例えば、190nm〜210nm程度の深さ、40nm〜50nm程度の幅を備えることができる。凹部DRは、側壁面SW、及び底面BWなどによって画成される。側壁面SWは、凹部DRを側方から画成し、底面BWは、凹部DRを下方から画成する。側壁面SWは、面DSを含む。面DSは、半導体基板SBにおいて凹部DRを側方から画成する。この凹部DRは、絶縁膜IFの上にマスクを形成し、この絶縁膜IFと半導体基板SBとをエッチングすることによって、形成することができる。
【0023】
図2の(a)に示すウェハWに対して、方法MTでは、工程ST1、工程ST2、工程ST3、工程ST4、工程ST5、工程ST6及び工程ST7が実行される。また、一実施形態では、工程ST4〜工程ST7を含むシーケンスSQが繰り返されてもよい。また、一実施形態では、工程ST8が更に実行されてもよい。工程ST8は、シーケンスSQに含まれる。
【0024】
方法MTの実施に用いることが可能な処理装置の実施形態について説明する。
図5は、
図1に示す方法の実施に用いることが可能な処理装置10を概略的に示す図である。
図5に示す処理装置10は、容器12、内管14、外管16、マニホールド18、支持リング20、蓋体22、ボートエレベータ24、ウエハボート26、断熱体28、ヒータ30、ガス導入管32、排気口34、パージガス供給管36、排気管38、バルブ40、排気装置42、制御部100、及びガス供給部GFを備える。
【0025】
容器12は、二重管構造を備える。容器12の長手方向は、垂直方向に向いている。容器12は、略円筒形状を有する反応管である。容器12は、内管14及び外管16を備える。内管14及び外管16は、耐熱性及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0026】
内管14は、略円筒形状を備える。内管14は、上端及び下端を含んでおり、これら上端及び下端は開放されている。外管16は、内管14を覆うように内管14と略同軸に設けられている。外管16と内管14との間には一定の間隔が設けられている。外管16の上端は閉塞されており、外管16の下端は開放されている。外管16の下方には、マニホールド18が設けられている。
【0027】
マニホールド18は、筒状に形成されており、例えば、ステンレス鋼(SUS)から構成されている。マニホールド18は、外管16の下端と気密に接続されている。マニホールド18の内壁には、支持リング20が一体に形成されている。支持リング20は、マニホールド18の内壁から内側に突出している。支持リング20は、内管14を支持している。マニホールド18の下方には、蓋体22が設けられている。
【0028】
蓋体22は、ボートエレベータ24に接続されており、ボートエレベータによって上下動可能に構成されている。ボートエレベータ24によって蓋体22が上昇すると、マニホールド18の下方側(即ち、炉口部分)が閉鎖される。ボートエレベータ24によって蓋体22が下降すると、マニホールド18の下方側(即ち、炉口部分)が開口される。蓋体22上には、ウエハボート26が載置されている。
【0029】
ウエハボート26は、例えば、石英から構成される。ウエハボート26は、複数のウェハWを垂直方向に所定の間隔をおいて支持するよう構成されている。
【0030】
容器12の周囲には、容器12を取り囲むように、断熱体28が設けられている。断熱体28の内壁面には、ヒータ30(加熱装置)が設けられている。ヒータ30は、例えば、抵抗発熱体から構成されており、容器12の内側の空間を加熱する。ヒータ30により、容器12の内側の空間が所定の温度に加熱され、容器12の内側の空間に収容されたウェハWが加熱される。
【0031】
マニホールド18の側面には、一以上のガス導入管32が接続されている。ガス導入管32は、例えば、支持リング20より下方においてマニホールド18の側面に接続されている。ガス導入管32によって構成されるガスラインは、容器12の内側に連通している。
【0032】
ガス導入管32には、ガス供給部GFが接続されている。ガス供給部GFは、一実施形態においては、ガスソースGS1,GS2,GS3,GS4,GS5、バルブV11,V21,V21,V22,V31,V32,V41,V42,V51,V52、及び、マスフローコントローラといった流量制御器FC1,FC2,FC3,FC4,FC5を備える。ガスソースGS1は、バルブV11、流量制御器FC1、及びバルブV12を介して、ガス導入管32に接続されている。ガスソースGS2は、バルブV21、流量制御器FC2、及びバルブV22を介して、ガス導入管32に接続されている。ガスソースGS3は、バルブV31、流量制御器FC3、及びバルブV32を介して、ガス導入管32に接続されている。ガスソースGS4は、バルブV41、流量制御器FC4、及びバルブV42を介して、ガス導入管32に接続されている。ガスソースGS5は、バルブV51、流量制御器FC5、及びバルブV52を介して、ガス導入管32に接続されている。
【0033】
ガス供給部GFは、特に、実質的に不純物を含まない半導体材料の第1の薄膜TF1を形成する第1のガス、実質的に不純物を含まない半導体材料の第2の薄膜TF2を形成する第2のガス、第1の薄膜TF1をエッチングする第3のガス、気相ドーピング(GPD;Gas Phase Doping)に用いる第4のガス、及び第2の薄膜TF2をエッチングする第5のガス、を容器12の内側に供給するよう構成される。第1のガスは、後述する工程ST1において利用され、第2のガスは、工程ST5において利用される。第3のガスは、後述する工程ST3において利用される。第4のガスは、後述する工程ST4及び工程ST7のGPD等において利用される。第5のガスは、後述する工程ST8において利用される。
【0034】
ガスソースGS1は、第1のガスと第2のガスとに含まれる原料ガスのソースである。ガスソースGS1は、シリコン含有ガス、ゲルマン含有ガス、又は、シリコン含有ガスとゲルマン含有ガスの混合ガスのソースであることができる。具体的には、ガスソースGS1は、工程ST1及び工程ST5において形成される薄膜がシリコンから構成される場合には、シリコン含有ガスのソースである。シリコン含有ガスは、モノシランガス、ジシランガス、又はアミノシラン系ガスであることができる。ガスソースGS1は、工程ST1及び工程ST5において形成される薄膜がゲルマニウムから構成される場合には、モノゲルマンといったゲルマン含有ガスのソースである。ガスソースGS1は、工程ST1及び工程ST5において形成される薄膜がシリコンゲルマニウムから構成される場合には、上述したシリコン含有ガス及びゲルマン含有ガスの混合ガスのソースであることができる。
【0035】
ガスソースGS2は、第4のガスである不純物源のガスのソースである。不純物としては、例えば、ヒ素(As)、ボロン(B)、又はP(リン)が例示される。不純物源のガスとしては、例えば、ホスフィン(PH
3)、ジボラン(B
2H
6)、三塩化ホウ素(BCl
3)、又はアルシン(AsH
3)が用いられることができる。
【0036】
ガスソースGS3は、添加ガスのソースである。このような添加ガスとしては、C
2H
4ガス、N
2Oガス、NOガス、又はNH
3ガスが例示される。なお、添加ガスには、C
2H
4ガス、N
2Oガス、NOガス、及びNH
3ガスのうち一以上のガスを用いることが可能である。
【0037】
ガスソースGS4は、アニールにおいて用いられ得る不活性ガスのソースである。このような不活性ガスとしては、水素ガス(H
2ガス)又は窒素ガス(N
2ガス)等が例示されることができる。
【0038】
ガスソースGS5は、工程ST3において用いられる第3のガス、及び工程ST8において用いられる第5のガス、に含まれるエッチングガスのソースである。このようなエッチングガスとしては、Cl
2、HCl、F
2、Br
2、及びHBrのうち一種以上を含有するガスを用いることが可能である。なお、エッチングガスには、絶縁膜IF及びエピタキシャル領域EPRに対して、後述する第1の薄膜TF1及び第2の薄膜TF2を選択的にエッチングすることが可能なガスであれば、任意のガスを用いることが可能である。
【0039】
図5に示すように、マニホールド18の側面には容器12の内側のガスを排気する排気口34が設けられている。排気口34は、支持リング20より上方に設けられており、容器12の内側の内管14と外管16との間に形成された空間に連通している。よって、内管14で発生する排ガス等は、内管14と外管16との間の空間を通って排気口34に流れるようになっている。
【0040】
マニホールド18には、パージガス供給管36が接続されている。パージガス供給管36は、排気口34の下方において、マニホールド18に接続されている。パージガス供給管36には、パージガス供給源が接続されており、パージガス供給源からパージガス供給管36を介してパージガス、例えば、窒素ガスが容器12の内側に供給される。
【0041】
排気口34には、排気管38が気密に接続されている。排気管38には、排気管38の上流側から、バルブ40、及び真空ポンプといった排気装置42が介設されている。バルブ40は、排気管38の開度を調整して、容器12の内側の圧力を所定の圧力に制御する。排気装置42は、容器12の内側の空間を減圧する装置である。排気装置42は、排気管38を介して容器12の内側のガスを排気するとともに、容器12の内側の圧力を調整する。なお、排気管38には、トラップ、スクラバー等が介設されていてもよく、処理装置10は、容器12から排気された排ガスを、無害化した後に、処理装置10外に排気するように構成されていてもよい。
【0042】
処理装置10は、処理装置10の各部の制御を実行する制御部100を備えている。
図6に制御部100の構成を示す。
図6に示すように、制御部100は、主制御部110、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、流量制御部125、及びバルブ制御部126を備えている。制御部100は、特に、ガス供給部GF、ヒータ30、及び排気装置42を制御する。
【0043】
主制御部110には、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、流量制御部125、バルブ制御部126等が接続されている。
【0044】
操作パネル121は、表示画面及び操作ボタンを備え、オペレータの操作指示を主制御部110に伝達する。操作パネル121は、主制御部110からの様々な情報を表示画面に表示する。
【0045】
温度センサ(群)122は、容器12の内側、ガス導入管32の内側、排気管38の内側等の各部の温度を測定し、その測定値を主制御部110に通知する。圧力計(群)123は、容器12の内側、ガス導入管32の内側、排気管38の内側等の各部の圧力を測定し、その測定値を主制御部110に通知する。
【0046】
ヒータコントローラ124は、ヒータ30を個別に制御するものであり、主制御部110からの指示に応答して、ヒータ30に通電してヒータ30を加熱する。ヒータコントローラ124は、ヒータ30の消費電力を個別に測定して、主制御部110に通知する。
【0047】
流量制御部125は、ガス供給部GFの流量制御器FC1〜FC5を制御して、ガス導入管32に流すガスの流量を主制御部110から指示された量に設定する。流量制御部125は、実際に流れたガスの流量を測定して、主制御部110に通知する。バルブ制御部126は、各バルブの開度を主制御部110から指示された値に制御する。
【0048】
主制御部110は、レシピ記憶部111と、ROM112と、RAM113と、I/Oポート114と、CPU115と、これらを相互に接続するバス116とを備える。
【0049】
レシピ記憶部111には、セットアップ用レシピと複数のプロセス用レシピとが記憶されている。処理装置10の製造当初は、セットアップ用レシピのみが格納される。セットアップ用レシピは、各処理装置に応じた熱モデル等を生成する際に実行されるものである。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行うプロセス毎に用意されるレシピであり、例えば容器12へのウェハWのロードから、処理済みのウェハWをアンロードするまでの、各部の温度の変化と、容器12の内側の圧力変化と、ガスの供給の開始及び停止のタイミングと、ガスの供給量とを含む様々な条件等を規定する。
【0050】
ROM112は、EEPROM、フラッシュメモリ、及びハードディスクなどから構成され、CPU115の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。RAM113は、CPU115のワークエリア等として機能する。
【0051】
I/Oポート114は、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、流量制御部125、及びバルブ制御部126等に接続され、データや信号の入出力を制御する。
【0052】
CPU115は、主制御部110の中枢を構成し、ROM112に記憶された制御プログラムを実行し、操作パネル121からの指示に従って、レシピ記憶部111に記憶されているレシピ(プロセス用レシピ)に沿って、処理装置10の動作を統括的に制御する。すなわち、CPU115は、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、流量制御部125等に容器12の内側、ガス導入管32の内側、及び、排気管38の内側の各部の温度、圧力、流量等を測定させ、この測定データに基づいて、ヒータコントローラ124、流量制御部125、バルブ制御部126等に制御信号等を出力し、上記各部がプロセス用レシピに従うように制御する。バス116は、各部の間で情報を伝達する。
【0053】
以下、このような処理装置10を用いて実施することが可能な上述の方法MTを、再び
図1〜
図4を参照して説明する。
【0054】
一実施形態の方法MTでは、まず、
図1に示す工程ST1が実行される。工程ST1では、
図2の(b)に示すように、実質的に不純物を含まない第1の薄膜TF1が形成される。実質的に不純物を含まない、とは、不純物を全く含まないか、又は、不純物を含んでいたとしても本実施形態の効果においては不純物を全く含まない場合と同等の効果が奏される程度である、ことを意味する。
【0055】
第1の薄膜TF1は、アモルファス半導体膜であることができ、例えば、アモルファス状態(非晶質)のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であることができ、この場合に、半導体基板SBは、単結晶半導体基板又は多結晶半導体基板であってもよく、例えば、単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板であることができる。第1の薄膜TF1は、多結晶半導体膜であることもでき、例えば、多結晶のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であることができ、この場合に、半導体基板SBは、単結晶半導体基板であることができ、例えば、単結晶シリコン基板であることができる。
【0056】
第1の薄膜TF1は、凹部DRを閉塞しないように、凹部DRを画成する壁面に沿って形成される。第1の薄膜TF1は、側壁面SW、底面BW、及び上面TWに沿って形成される。第1の薄膜TF1は、側壁面SW、底面BW、及び上面TWに直接的に形成されることができる。第1の薄膜TF1の膜厚は、例えば、10nm〜13nm程度の膜厚に設定される。工程ST1における第1の薄膜TF1の形成時には、第1の薄膜TF1に不純物を含有させない。
【0057】
工程ST1では、第1の薄膜TF1の形成のために、ウェハWを収容した容器12の内側に第1のガスが供給される。第1のガスは、原料ガス、即ち、シリコン含有ガス、ゲルマン含有ガス、又はシリコン含有ガスとゲルマン含有ガスの混合ガスを含む。工程ST1では、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定され、また、容器12の内側の温度が所定の温度に設定される。工程ST1では、原料ガスは、例えば、50sccm〜5000sccm程度の範囲内の流量で容器の内側に供給される。工程ST1では、容器12の内側の圧力は、例えば、1.0×10
−1Torr(13Pa)〜10Torr(1.3×10
3Pa)程度の範囲内の圧力に設定され、容器12の内側の温度は、例えば、300℃〜700℃程度の範囲内の温度に設定される。
【0058】
第1のガスは、添加ガスを更に含んでいてもよい。添加ガスは、例えば、C
2H
4ガス、N
2Oガス、NOガス、及びNH
3ガスのうち一以上のガスを含み得る。工程ST1では、添加ガスの流量は、例えば、5sccm〜1000sccm程度の範囲内の流量に設定される。なお、第1のガスは、ガスソースGS2によって供給される不純物源のガスを含まない。
【0059】
工程ST1を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第1の制御)を実行する。第1の制御において、制御部100は、ガス供給部GFに第1のガスを容器12の内側に供給させる。具体的には、第1の制御において、制御部100は、ガスソースGS1から容器12の内側に所定流量の原料ガスが供給されるよう、バルブV11、流量制御器FC1、バルブV12を制御し、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。工程ST1において、添加ガスを用いる場合には、制御部100は、ガスソースGS3から容器12の内側に所定流量の添加ガスが供給されるよう、バルブV31、流量制御器FC3、バルブV32を制御することができる。
【0060】
工程ST1に続く
図1に示す工程ST2では、
図2の(c)に示すように、第1の薄膜TF1の半導体材料からエピタキシャル領域EPRが形成される。工程ST2では、ウェハWを容器12の内側においてアニールすることにより、凹部DRの底に向けて移動させた第1の薄膜TF1の半導体材料から、エピタキシャル領域を形成する。具体的に、工程ST2では、マイグレーションが生じて第1の薄膜TF1の半導体材料が凹部DRの底に向けて移動され、移動した半導体材料が半導体基板SBの結晶構造に応じた結晶構造を有するよう、固相エピタキシャル成長によってエピタキシャル領域を成長する。
【0061】
工程ST2では、第1の圧力に設定された容器12の内側においてウェハWがアニールされる。具体的には、工程ST2において、ウェハWを収容した容器12の内側の温度が所定温度に設定される。例えば、容器12の内側の温度は300〜600℃程度の範囲内の温度に設定される。工程ST2では、容器12の内側の圧力が第1の圧力に設定される。第1の圧力は、例えば、1.0×10
−10Torr以上(1.3×10
−8Pa以上)の圧力である。第1の圧力は、例えば、1.0Torr以下(1.3×10
2Pa以下)の圧力である。なお、工程ST2においては、水素ガス又は窒素ガス等の不活性ガスが容器の内側に供給されてもよい。
【0062】
工程ST2を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第2の制御)を実行する。第2の制御において、制御部100は、第1の制御の実行後に、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させる。より詳細には、第2の制御において、制御部100は、第1の制御の実行後に、排気装置42に容器12の内側の空間の圧力を第1の圧力に設定させ、且つ、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させる。具体的には、第2の制御において、制御部100は、容器12の内側の圧力が第1の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。不活性ガスを用いる場合には、制御部100は、ガスソースGS4から容器12の内側に所定流量の不活性ガスが供給されるよう、バルブV41、流量制御器FC4、バルブV42を制御する。
【0063】
工程ST2に続く
図1に示す工程ST3では、
図3の(a)に示すように、エピタキシャル領域EPRを構成せずに側壁面SWに残留している第1の薄膜TF1がエッチングされて除去される。工程ST3では、ウェハWを収容した容器12の内側に第3のガスが所定の流量で供給される。第3のガスは、Cl
2、HCl、F
2、Br
2、及びHBrのうち一種以上を含有し得る。第3のガスの流量は、例えば、10sccm〜5000sccm程度の範囲内の流量である。工程ST3では、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定され、容器の内側の温度が所定の温度に設定される。工程ST3における容器12の内側の圧力は、例えば、1.0×10
−10Torr(1.3×10
−8Pa)〜1.0×10
2Torr(1.3×10
4Pa)程度の範囲内の圧力であり、工程ST3における容器の内側の温度は、例えば、200℃〜700℃程度の範囲内の温度である。第3のガスによる第1の薄膜TF1のエッチングレートは、第3のガスによるエピタキシャル領域EPRのエッチングレートよりも高い。従って、工程ST3の結果、
図3の(a)に示すように、エピタキシャル領域EPRを残したまま、第1の薄膜TF1を選択的に除去することが可能となる。
【0064】
工程ST3を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第3の制御)を実行する。第3の制御において、制御部100は、第2の制御の実行と後述の第4の制御の実行との間に、ガス供給部GFに第3のガスを容器12の内側に供給させる。具体的には、第3の制御において、制御部100は、第2の制御の実行と後述の第4の制御の実行との間で、ガスソースGS5から容器12の内側に所定流量の第3のガスが供給されるよう、バルブV51、流量制御器FC5、バルブV52を制御し、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。
【0065】
なお、工程ST2において行われるアニールによって、側壁面SWにある第1の薄膜TF1の残部が多結晶となっている領域を含む場合が考えられるが、このように第1の薄膜TF1の残部が多結晶の領域を含有する場合であっても、このような多結晶の領域のほうがエピタキシャル領域EPRよりもエッチングレートは高いので、工程ST3で行われるエッチングによって、エピタキシャル領域EPRを残したまま、多結晶の領域を含む第1の薄膜TF1の残部を選択的に除去することが可能である。
【0066】
工程ST3に続く
図1に示す工程ST4では、エピタキシャル領域EPRに対しGPDを行い、
図3の(b)に示すように、エピタキシャル領域EPRの表面に不純物がドープされて、不純物濃度が比較的に高いドーピング層SF1がエピタキシャル領域EPRの表面に形成される。
【0067】
工程ST4では、GPDを行うために、ウェハWを収容した容器12の内側に第4のガスが供給される。第4のガスは、不純物源のガスのソースである。不純物としては、例えば、ヒ素(As)、ボロン(B)、又はP(リン)が例示される。不純物源のガスとしては、例えば、ホスフィン(PH
3)、ジボラン(B
2H
6)、三塩化ホウ素(BCl
3)、又はアルシン(AsH
3)が用いられ得る。工程ST4では、不純物源のガス(第4のガス)は、例えば、5sccm〜5000sccm程度の範囲内の流量に設定される。工程ST4では、容器12の内側の圧力は、例えば、1.0×10
−1Torr(13Pa)〜10Torr(1.3×10
3Pa)程度の範囲内の圧力に設定され、容器12の内側の温度は、例えば、300℃〜700℃程度の範囲内の温度に設定される。
【0068】
工程ST4を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第4の制御)を実行する。第4の制御において、制御部100は、第3の制御の実行後に、ガス供給部GFに第4のガスを容器12の内側に供給させる。具体的には、第4の制御において、制御部100は、第3の制御の実行後に、ガスソースGS2から容器12の内側に所定流量の不純物源のガスが供給されるよう、バルブV21、流量制御器FC2、バルブV22を制御し、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。
【0069】
工程ST4に続く
図1に示す工程ST5では、
図3の(c)に示すように、実質的に不純物を含まない第2の薄膜TF2が形成される。第2の薄膜TF2は、アモルファス半導体膜であることができ、例えば、アモルファス状態(非晶質)のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であることができ、この場合に、半導体基板SBは、単結晶半導体基板又は多結晶半導体基板であってもよく、例えば、単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板であることができる。第2の薄膜TF2は、多結晶半導体膜であることもでき、例えば、多結晶のシリコン膜、ゲルマニウム膜、又はシリコンゲルマニウム膜であることができ、この場合に、半導体基板SBは、単結晶半導体基板であることができ、例えば、単結晶シリコン基板であることができる。第2の薄膜TF2は、凹部DRを閉塞しないよう、凹部DRを画成する面に沿って形成される。第2の薄膜TF2は、工程ST4においてエピタキシャル領域EPRの表面に形成されたドーピング層SF1の上に形成され、ドーピング層SF1に接する。第2の薄膜TF2の膜厚は、例えば、10nm〜13nm程度の膜厚に設定される。工程ST5における第2の薄膜TF2を形成する処理は、工程ST1における第1の薄膜TF1の形成する処理と同様であり、第1のガスと同様の第2のガスが用いられる。工程ST5における第2の薄膜TF2の形成時には、工程ST1にける第1の薄膜TF1の形成時と同様に、第2の薄膜TF2に不純物を含有させない。
【0070】
工程ST5を処理装置10を用いて実行する場合には、上述した第1の制御と同様の第5の制御が、制御部100によって実行される。第5の制御において、制御部100は、第4の制御の実行後に、ガス供給部GFに第2のガスを容器12の内側に供給させる。
【0071】
工程ST5に続く
図1に示す工程ST6では、
図4の(a)に示すように、第2の薄膜TF2の半導体材料からエピタキシャル領域EPRが更に形成される。工程ST6では、ウェハWを容器12の内側においてアニールすることにより、凹部DRの底に向けて移動させた第2の薄膜TF2の半導体材料から、エピタキシャル領域を更に形成する。具体的に、工程ST6では、マイグレーションが生じて第2の薄膜TF2の半導体材料が凹部DRの底に向けて移動され、移動した半導体材料が既に存在しているエピタキシャル領域EPRの結晶構造と同じ結晶構造を有するよう、固相エピタキシャル成長によってエピタキシャル領域を更に成長する。これにより、凹部DRにおいてエピタキシャル領域EPRが拡大される。工程ST6において行われるアニールによって、ドーピング層SF1に含まれる不純物がエピタキシャル領域EPRの内部に拡がる。
【0072】
工程ST6では、第2の圧力に設定された容器12の内側においてウェハWがアニールされる。具体的には、工程ST6において、ウェハWを収容した容器12の内側の温度が所定温度に設定される。例えば、容器12の内側の温度は300〜600℃程度の範囲内の温度に設定される。工程ST6では、容器12の内側の圧力が第2の圧力に設定される。第2の圧力は、例えば、1.0×10
−10Torr以上(1.3×10
−8Pa以上)の圧力である。第2の圧力は、例えば、1.0Torr以下(1.3×10
2Pa以下)の圧力である。なお、工程ST6においては、水素ガス又は窒素ガス等の不活性ガスが容器の内側に供給されてもよい。
【0073】
工程ST6を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第6の制御)を実行する。第6の制御において、制御部100は、第5の制御の実行後に、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させる。より詳細には、第6の制御において、制御部100は、第5の制御の実行後に、排気装置42に容器12の内側の空間の圧力を第2の圧力に設定させ、且つ、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させる。具体的には、第6の制御において、制御部100は、容器12の内側の圧力が第2の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。不活性ガスを用いる場合には、制御部100は、ガスソースGS4から容器12の内側に所定流量の不活性ガスが供給されるよう、バルブV41、流量制御器FC4、バルブV42を制御する。
【0074】
工程ST6に続く
図1に示す工程ST7では、エピタキシャル領域EPRを構成せずに側壁面SWに残された第2の薄膜TF2の残部とエピタキシャル領域EPRとに対しGPDを行い、
図4の(b)に示すように、第2の薄膜TF2の残部の表面に不純物がドープされて、不純物濃度が比較的に高いドーピング層SF2が第2の薄膜TF2の残部の表面を覆うように形成され、更に、エピタキシャル領域EPRの表面に不純物がドープされて、不純物濃度が比較的に高いドーピング層SF3がエピタキシャル領域EPRの表面を覆うように形成される。工程ST7によって、エピタキシャル領域EPRの表面にはドーピング層SF3が形成され、エピタキシャル領域EPRの内部にはドーピング層SF1が含まれている。
【0075】
工程ST7では、GPDを行うために、ウェハWを収容した容器12の内側に第4のガスが供給される。工程ST7では、不純物源のガス(第4のガス)は、例えば、5sccm〜5000sccm程度の範囲内の流量に設定される。工程ST7では、容器12の内側の圧力は、例えば、1.0×10
−1Torr(13Pa)〜10Torr(1.3×10
3Pa)程度の範囲内の圧力に設定され、容器12の内側の温度は、例えば、300℃〜700℃程度の範囲内の温度に設定される。
【0076】
工程ST7を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第7の制御)を実行する。第7の制御において、制御部100は、第6の制御の実行後に、ガス供給部GFに第4のガスを容器12の内側に供給させる。具体的には、第7の制御において、制御部100は、第6の制御の実行後に、ガスソースGS2から容器12の内側に所定流量の不純物源のガスが供給されるよう、バルブV21、流量制御器FC2、バルブV22を制御し、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。
【0077】
工程ST7に続く
図1に示す工程ST8では、
図4の(c)に示すように、エピタキシャル領域EPRを構成せずに側壁面SWに残留している第2の薄膜TF2がエッチングされる。工程ST8では、ウェハWを収容した容器12の内側に第5のガスが所定の流量で供給される。第5のガスは、工程ST3の第3のガスと同様であり、Cl
2、HCl、F
2、Br
2、及びHBrのうち一種以上を含有し得る。第5のガスの流量は、例えば、10sccm〜5000sccm程度の範囲内の流量である。工程ST8では、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定され、容器の内側の温度が所定の温度に設定される。工程ST8における容器12の内側の圧力は、例えば、1.0×10
−10Torr(1.3×10
−8Pa)〜1.0×10
2Torr(1.3×10
4Pa)程度の範囲内の圧力であり、工程ST8における容器の内側の温度は、例えば、200℃〜700℃程度の範囲内の温度である。
【0078】
ドーピング層SF2を有する第2の薄膜TF2を第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートは、ドーピング層SF1及びドーピング層SF3を有するエピタキシャル領域EPRを第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートよりも高い。従って、工程ST8の結果、
図4の(c)に示すように、エピタキシャル領域EPR(ドーピング層SF3を除く)を残したまま、第2の薄膜TF2を選択的に除去することが可能となる。ドーピング層SF3は、工程ST8の実行によって、除去される。
【0079】
なお、工程ST6の結果、エピタキシャル領域EPRはドーピング層SF1を含むので不純物を含有し、側壁面SWにある第2の薄膜TF2の残部は実質的に不純物を含有しない。不純物を含有するエピタキシャル領域EPRを第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートは、実質的に不純物を含有しないエピタキシャル領域EPRを第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートよりも高くなり、第2の薄膜TF2を第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートに近いものとなる。従って、工程ST6の後、工程ST7を行わずに、第2の薄膜TF2を第5のガスでエッチングする場合、不純物を含有するエピタキシャル領域EPRも第5のガスによってエッチングされる可能性が生じる。しかし、方法MTでは、工程ST6の後に工程ST7を行って、第2の薄膜TF2のエッチング前にGPDによって第2の薄膜TF2に不純物を添加する。不純物が添加された第2の薄膜TF2を第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートは、実質的に不純物を含有しない第2の薄膜TF2を第5のガスでエッチングする場合のエッチングレートよりも高い。従って、エピタキシャル領域EPRのエッチングレートだけでなく第2の薄膜TF2のエッチングレートも不純物を含有することによって共に増加するので、工程ST7が行われた時点でエピタキシャル領域EPRと第2の薄膜TF2との間においてエッチングレートの差が維持される。
【0080】
工程ST8を処理装置10を用いて実行する場合には、制御部100は以下に説明する制御(第8の制御)を実行する。第8の制御において、制御部100は、第7の制御の実行後に、ガス供給部GFに第5のガスを容器12の内側に供給させる。具体的には、第8の制御において、制御部100は、第7の制御の実行後に、ガスソースGS5から容器12の内側に所定流量の第5のガスが供給されるよう、バルブV51、流量制御器FC5、バルブV52を制御し、容器12の内側の圧力が所定の圧力に設定されるよう、排気装置42を制御し、容器12の内側の空間の温度が所定の温度に設定されるよう、ヒータ30を制御する。
【0081】
なお、工程ST6において行われるアニールによって、側壁面SWにある第2の薄膜TF2の残部が多結晶となっている領域を含む場合が考えられるが、このように第2の薄膜TF2の残部が多結晶の領域を含有する場合であっても、このような多結晶の領域のほうがエピタキシャル領域EPRよりもエッチングレートは高いので、工程ST8で行われるエッチングによって、ドーピング層SF2を有しており多結晶の領域を含む第2の薄膜TF2の残部を選択的に除去することが可能である。
【0082】
工程ST8に続く
図1に示す工程STaでは、終了条件が満たされるか否かが判定される。終了条件は、工程ST4、工程ST5、工程ST6、工程ST7、及び工程ST8を含むシーケンスSQの繰り返しが所定回数に至っているときに満たされるものと判定される。なお、所定回数は1回以上の回数である。工程STaにおいて、終了条件が満たされないと判定されると、シーケンスSQが再び実行される。一方、工程STaにおいて終了条件が満たされると判定されると、方法MTは終了する。
【0083】
上記した処理装置10によれば、制御部100は、工程ST2の第2の制御を実行することによって第1の薄膜TF1の半導体材料のエピタキシャル領域EPRを形成し、工程ST4の第4の制御におけるGPDによってエピタキシャル領域EPRに不純物を添加した後に、このエピタキシャル領域EPR上に工程ST5の第5の制御の実行及び工程ST6の第6の制御の実行によって更に第2の薄膜TF2の半導体材料のエピタキシャル領域を形成する。工程ST6の第6の制御が実行された時点でのエピタキシャル領域EPRでは、工程ST4の第4の制御によって添加された不純物を含むので、実質的に不純物を含まないエピタキシャル領域(工程ST4の第4の制御が実行されない場合)と比較して、エッチングレートは高い。従って、制御部100が、エピタキシャル成長されずに側壁面SWに残る第2の薄膜TF2をエッチングにより除去する制御を、工程ST6の第6の制御の実行に引き続いて実行すれば、不純物を含むエピタキシャル領域EPRもエッチングによる影響を受ける可能性がある。制御部100は、工程ST6の第6の制御の実行後に側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部をエッチングによって除去する前に、工程ST7の第7の制御を実行しGPDによって側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部にも不純物を添加し、ドーピング層SF2を形成する。不純物(ドーピング層SF2)を含む第2の薄膜TF2では、実質的に不純物を含まない半導体材料の薄膜(工程ST7の第7の制御が制御部100によって実行されない場合)と比較して、エッチングレートは高い。従って、側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部にも工程ST7の第7の制御によって不純物が添加されることにより、エピタキシャル領域EPRのエッチングレートだけでなく側壁面SWに残る第2の薄膜TF2のエッチングレートも増加するので、制御部100が工程ST7の第7の制御を実行した時点において、エピタキシャル領域EPRと側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部との間においてエッチングレートの差が維持されることとなり、よって、側壁面SWに残る第2の薄膜TF2をエッチングによって除去する制御を制御部100が第7の制御の実行に引き続き実行しても、エピタキシャル領域EPR(ドーピング層SF3を除く)に対するエッチングによる影響を十分に回避することができる。すなわち、エピタキシャル領域EPR(ドーピング層SF3を除く)を残したまま、側壁面SWに残る第2の薄膜TF2を選択的に除去することが可能となる。
【0084】
更に、上記したように、処理装置10は、容器12の内側の空間を減圧する排気装置42を備える。制御部100は、排気装置42を制御することができる。制御部100は、工程ST2の第2の制御において、排気装置42に容器12の内側の空間の圧力を第1の圧力に設定させ、且つ、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させ、工程ST6の第6の制御において、排気装置42に容器12の内側の空間の圧力を第2の圧力に設定させ、且つ、ヒータ30に容器12の内側の空間を加熱させる。第1の圧力及び第2の圧力は、例えば、1.3×10
2Pa以下の圧力である。従って、工程ST2の第2の制御において用いられる第1の圧力が、例えば、1.3×10
2Pa以下の圧力であるので、工程ST2の第2の制御において行われる加熱(アニール)によるマイグレーションを、第1の薄膜TF1の半導体材料に生じさせることができる。工程ST6の第6の制御において用いられる第2の圧力が、例えば、1.3×10
2Pa以下の圧力であるので、工程ST6の第6の制御において行われる加熱(アニール)によるマイグレーションを、第2の薄膜TF2の半導体材料に生じさせることができる。
【0085】
また、上記した方法MTによれば、工程ST4においてGPDによって不純物がエピタキシャル領域EPRに添加されドーピング層SF1が形成された後に、このエピタキシャル領域EPR上に(具体的には、ドーピング層SF1上に)工程ST5及び工程ST6において更にエピタキシャル領域が形成される。工程ST6が行われた時点でのエピタキシャル領域EPRでは、工程ST4において添加された不純物(ドーピング層SF1)を含むので、実質的に不純物を含まないエピタキシャル領域(工程ST4が行われない場合)と比較して、エッチングレートが高い。従ってエピタキシャル成長されずに側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部をエッチングにより除去する工程が工程ST6に引き続いて行われれば、不純物(ドーピング層SF1)を含むエピタキシャル領域EPRもエッチングによる影響を受ける可能性がある。方法MTによれば、工程ST6の後に側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部がエッチングによって除去される前に、工程ST7においてGPDによって側壁面SWに残る第2の薄膜TF2の残部にも不純物が添加されドーピング層SF2が形成される。不純物(ドーピング層SF2)を含む第2の薄膜TF2では、実質的に不純物を含まない半導体材料の薄膜(工程ST7が行われない場合)と比較して、エッチングレートは高い。従って、工程ST7で第2の薄膜TF2にも不純物が添加され、エピタキシャル領域EPRのエッチングレートだけでなく第2の薄膜TF2のエッチングレートも増加するので、工程ST7が行われた時点において、エピタキシャル領域EPRと第2の薄膜TF2との間においてエッチングレートの差が維持されることとなり、よって、側壁面SWに残る第2の薄膜TF2を工程ST7に引き続きエッチングによって除去する工程が行われても、エピタキシャル領域EPR(ドーピング層SF3を除く)に対するエッチングによる影響を回避することができる。すなわち、エピタキシャル領域EPR(ドーピング層SF3を除く)を残したまま、側壁面SWに残る第2の薄膜TF2を選択的に除去することが可能となる。
【0086】
更に、上記したように、工程ST2では、第1の圧力に設定された容器12の内側でウェハWをアニールすることができ、工程ST6では、第2の圧力に設定された容器12の内側でウェハWをアニールすることができ、第1の圧力及び第2の圧力は、例えば、1.3×10
2Pa以下の圧力であることができる。従って、第1の圧力及び第2の圧力が、例えば、1.3×10
2Pa以下にあるので、アニールによるマイグレーションを第1の薄膜TF1の半導体材料及び第2の薄膜TF2の半導体材料に生じさせることができる。
【0087】
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置及び詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。従って、特許請求の範囲及びその精神の範囲から来る全ての修正及び変更に権利を請求する。