(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システムが、前記第1の前駆体と前記第2の前駆体が前記チャンバの前記処理領域へ送られるまで、前記第1の前駆体と前記第2の前駆体を互いに流動的に分離された状態に維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記第1のアクセスが、前記チャンバの最上部の近く、又は前記チャンバの最上部に位置づけされており、前記第2のアクセスが前記チャンバの側面部の近く、又は前記チャンバの側面部に位置づけされている、請求項1または2に記載のシステム。
前記ガス分配アセンブリは、前記チャンバ内部の前記処理領域の最上部、又は前記処理領域の上に位置づけされている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
前記ガス分配アセンブリは上方プレートと下方プレートとを備え、前記上方プレートと前記下方プレートは互いに結合されて、前記プレート間の容積を画定し、前記プレートの結合は、前記上方プレートと前記下方プレートとを通る第1の流体チャネルと、前記容積から前記下方プレートを通る流体のアクセスを提供するように構成された、前記下方プレートを通る第2の流体チャネルと、を提供し、前記第1の流体チャネルは、前記プレート間の容積と前記第2の流体チャネルとから流動的に分離されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
前記容積は、前記チャンバの前記第2のアクセスに流動的に結合された前記ガス分配アセンブリの側面を介して流動的にアクセス可能である、請求項5に記載のシステム。
前記チャンバは、前記第1の遠隔プラズマシステムから前記チャンバの前記第1のアクセスを介して、また前記ガス分配アセンブリの前記第1の流体チャネルを介して、前記チャンバの前記処理領域の中へ第1の前駆体を供給するように構成されている、請求項5または6に記載のシステム。
前記チャンバは、前記第2の前駆体を、前記第2の遠隔プラズマシステムから前記チャンバの前記第2のアクセスを介して前記チャンバの中へ、前記上方プレートと前記下方プレートとの間に画定された前記容積の中へ、そして前記ガス分配アセンブリの前記第2の流体チャネルを介して前記チャンバの前記処理領域の中へ供給するように構成されている、請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
前記ガス分配アセンブリは、前記ガス分配アセンブリの前記上方プレートを通る前記第2の前駆体の流れを防止するように構成される、請求項5から8のいずれか一項に記載のシステム。
前記第1の遠隔プラズマシステムと、前記第2の遠隔プラズマシステムは、高周波プラズマユニット、容量結合プラズマユニット、誘導結合プラズマユニット、マイクロ波プラズマユニット、及びトロイダルプラズマユニットから成る群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
前記第1の遠隔プラズマシステムと、前記第2の遠隔プラズマシステムは、10Wと10kWの間の電力レベル、または10kWより大きい電力レベルで作動するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
前記第1の遠隔プラズマシステムは、前記第1の前駆体の組成に基づいて選択された第1の電力レベルで作動するように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
前記第2の遠隔プラズマシステムは、前記第2の前駆体の組成に基づいて選択された第2の電力レベルで作動するように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
前記システムは、互いに異なる電力レベルで第1の遠隔プラズマユニットと、前記第2の遠隔プラズマユニットとを作動させるように構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴に同じ数字の参照名が振られている場合がある。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、ダッシュ記号と、類似の構成要素を区別する第2のラベルにより、参照ラベルに従って区別することができる。第1の参照ラベルのみが本明細書において使用されている場合、この説明は、第2の参照ラベルに関わらず、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素及び/又は特徴のすべてに適用可能である。
【0014】
本発明の手法は、改善された流体供給機構を提供する半導体処理のためのシステムを含む。特定の乾式エッチング法は、遠隔プラズマシステムを用いて、処理チャンバの中へラジカル流体種を供給することを含む。例示の方法は、本明細書の特許請求の範囲、及び説明に反しない範囲において、参照によってその全体が本願に組み込まれる同一出願人による2012年4月4日出願の特許出願第13/439079号明細書に記載されている。幾つかのラジカル種を含みうる乾式エッチャント調合法を使用する際は、異なる流体から生成されたラジカル種が、遠隔プラズマチャンバと別々に相互作用しうる。例えば、エッチング用の前駆体の流体は、フッ素含有前駆体、及び水素含有前駆体を含むことができる。遠隔プラズマシステムのプラズマキャビティ、及び処理チャンバへの分配構成要素をコーティングする、又は内張りして、反応性ラジカルから保護することができる。例えば、アルミニウムのプラズマキャビティを、フッ素ラジカルからキャビティを守る酸化物又は窒化物でコーティングすることができる。しかしながら、前駆体が水素ラジカルも含有する場合、水素種により酸化アルミニウムがアルミニウムに変換される、又はアルミニウムに還元される可能性があり、その時にフッ素がアルミニウムと直接反応して、例えばフッ化アルミニウム等の望ましくない副産物が生じる場合がある。
【0015】
従来の手法では、定期的なメンテナンスと、構成要素の交換によって望ましくない副作用に対処してきたが、本発明のシステムは、処理チャンバの中への流体の流れ経路を分離してラジカル前駆体を供給することによって、この必要を満たすものである。別々に前駆体の流体を送るようにそれぞれ構成された2以上の遠隔プラズマシステムを用いることによって、各システムを送られる流体に基づいて別々に保護することができる。発明者は意外にも、別々の遠隔プラズマシステムを介して前駆体種を供給することによって、各流体の特定の解離、及びプラズマ特性を調整することができ、これにより、エッチングの性能が改善されることを確認している。したがって、本明細書で説明したシステムは、化学特性の調節の点で柔軟性が改善されている。これらの利点、及びその他の利点を下に詳しく説明する。
【0016】
残りの開示内容は、本発明の手法を利用した特定のエッチングプロセスを規定通りに識別するものであるが、システム及び方法は、記載されたチャンバで起こりうる堆積及び洗浄プロセスに等しく適用可能であることは、容易に理解できることである。したがって、この手法は、エッチングプロセスのみに限定されるものと考えるべきではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による、堆積、エッチング、ベーキング、及び/又は硬化チャンバの処理ツール100の一実施形態の上部平面図である。図面では、FOUP(前面開口型統一ポッド)102の対により基板(例:規定直径の半導体ウェハ)が供給され、この基板をロボットアーム104が受け、タンデム式処理チャンバ109a〜cの基板処理区域108a〜fのうちの一つの中に配置する前に、低圧保持領域106の中に置くことができる。第2のロボットアーム110を使用して、保持領域106から処理チャンバ108a〜fまで基板を搬送し、戻すことができる。
【0018】
タンデム式処理チャンバ109a〜cの基板処理区域108a〜fには、基板又は膜をその上に堆積させる、アニールする、硬化させる及び/又はエッチングする一又は複数のシステム構成要素が含まれうる。例示の膜は流動性誘電体であってよいが、処理ツールで多数の種類の膜を形成する又は処理することができる。一構成では、処理チャンバ(例:108c〜d及び108e〜f)のタンデム式処理区域の2つの対を使用して、基板上に誘電材料を堆積させることができ、タンデム式処理区域の第3の対(例:108a〜b)を使用して、堆積した誘電体をアニールすることができる。別の構成では、処理チャンバのタンデム式処理区域の2つの対(例:108c〜d及び108e〜f)は、基板上の誘電膜の堆積及びアニールの両方を行うように構成することができ、タンデム式処理区域の第3の対(例:108a〜b)を使用して、堆積した膜を紫外線又は電子ビームにより硬化させることができる。さらに別の構成では、タンデム式処理区域の3つの対(例:108a〜f)は全て、基板上に誘電膜を堆積及び硬化させる、又は堆積した膜に特徴をエッチングするように構成することができる。
【0019】
さらに別の構成では、タンデム式処理区域の2つの対(例:108c〜d及び108e〜f)を使用して、誘電体の堆積及び紫外線による硬化又は電子ビームによる硬化の両方を行うことができ、タンデム式処理区域の第3の対(例:108a〜b)を使用して、誘電膜をアニールすることができる。加えて、一又は複数のタンデム式処理区域108a〜fは処理チャンバとして構成することができ、湿式処理チャンバ、又はドライ処理チャンバであってよい。これらのプロセスチャンバは、湿気を含む大気中で誘電膜を加熱することを含むことができる。したがって、システム100の実施形態は、堆積した誘電膜上に湿式及びドライアニールの両方を行うための、湿式処理用タンデム式処理区域108a〜bと、アニール用タンデム式処理区域108c〜dを含むことができる。当然ながら、システム100においては、誘電膜の堆積、エッチング、アニール、及び硬化チャンバのさらなる構成が考えられる。
【0020】
図2は、処理チャンバ内部の区分プラズマ生成領域を有する例示のプロセスチャンバ区域200の断面図である。膜(例:シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又はオキシ炭化ケイ素)のエッチング中に、プロセスガスは、ガス注入口アセンブリ205を通って第1のプラズマ領域215の中へ流れることができる。遠隔プラズマシステム(RPS)201は第1のガスを処理することができ、第1のガスは次に、ガス流入口アセンブリ205を通って移動し、第2のRPS202が第2のガスを処理することができ、第2のガスは次に、プロセスチャンバ200の側面流入口を通って移動する。流入口アセンブリ205は、第2のチャネル(図示せず)がRPS201を迂回しうる2つの異なるガス供給チャネルを含むことができる。本発明の実施形態において、ある例では、RPSを介する第1のチャネルはプロセスガス用に使用可能であり、RPSを迂回する第2のチャネルは処理ガス用に使用可能である。RPS201内部の第1のプラズマ領域215に入る前に、プロセスガスを励起させることができる。上に基板支持体255が配置された冷却板203、面板217、シャワーヘッド225、及び基板支持体265を、本発明の実施形態にしたがって示す。面板217は、最上部が狭く、底部に向けて拡張して広くなっているピラミッド形、円錐形、又は同様の別の構造物であってよい。面板217は図示したように、さらに平坦で、プロセスガスを分配するために使用される複数の貫通チャネル(図示せず)を含んでいてよい。図示した面板(又は導電性の最上部)217とシャワーヘッド225の間には絶縁リング220があるため、シャワーヘッド225に対して面板217にAC電位を印加することができる。絶縁リング220を面板217とシャワーヘッド225の間に位置決めすることができ、これにより、第1のプラズマ領域に容量結合されたプラズマ(CCP)を形成することが可能になる。バッフル(図示せず)を第1のプラズマ領域215にさらに位置づけして、ガス注入口アセンブリ205を通って領域に流れる流体に影響を与えることができる。
【0021】
例示の構成は、面板217によって第1のプラズマ領域215から分離されたガス供給領域の中に開口しているガス注入口アセンブリ205を含むことにより、ガス/種が面板217の孔を介して第1のプラズマ領域215へ流れる。構造特徴、及び動作特徴は、第1プラズマ領域215から、供給領域、ガス注入口アセンブリ205、流体供給システム210の中へのプラズマの大量逆流を防止するように選択することができる。構造特徴は、プラズマの逆流を止める面板217の開孔の寸法と断面形状の選択を含むことができる。動作特徴は、シャワーヘッド225を通るプラズマの流れを一方向に維持する、ガス供給領域と第1のプラズマ領域215との圧力差を維持することを含みうる。
【0022】
前駆体、例えばフッ素含有前駆体等の流体は、本明細書に記載されたシャワーヘッドの実施形態によって処理領域233の中へ流れることができる。プラズマ領域215のプロセスガスから引き出された励起種は、シャワーヘッド225の開孔を通って移動し、シャワーヘッドの分離した部分から処理領域233の中へ流れる追加の前駆体と反応しうる。処理領域233にはわずかなプラズマしか存在しない、又はプラズマは全く存在しない可能性がある。前駆体の励起誘導体は、基板の上の領域で、そして時々は基板上で結合して、本願において基板上の構造をエッチングする、又は基板上の種を除去することができる。
【0023】
第1のプラズマ領域215において流体を直接励起させるか、RPSユニット201及び202のいずれか又は両方で流体を励起させるかのいずれか又は両方を行うことにより、幾つかの利点が得られる。流体から引き出された励起種の濃度は、第1のプラズマ領域215のプラズマのために、処理領域233内部で上昇しうる。この上昇は、第1のプラズマ領域215のプラズマの位置による結果でありうる。処理領域233は、遠隔プラズマシステム(RPS)201よりも第1のプラズマ領域215により近く位置づけすることができ、これにより励起種が他のガス分子、チャンバの壁、及びシャワーヘッド表面と衝突することによって励起状態を離脱する時間が縮小する。
【0024】
プロセスガスから引き出された励起種の濃度の均一性も、処理領域233内部で上がりうる。これは、処理領域233の形により類似しうる第1のプラズマ領域215の形に起因しうる。RPS201、202に発生した励起種は、シャワーヘッド225のエッジ近辺の開孔を通過するために、シャワーヘッド225の中央近辺の開孔を通過する種よりも長い距離を移動することができる。距離がより長いために励起種の励起状態が低下する場合があり、例えば基板のエッジ近辺の成長速度が遅くなりうる。第1のプラズマ領域215で流体を励起させることで、RPS201を通って流れる流体のこの変化を軽減することができる。
【0025】
処理ガスをRPS201、202で励起させることができ、励起状態でシャワーヘッド225を処理領域233まで通過させることができる。あるいは、第1の処理領域に電源を投入して、プラズマガスを励起させるか、RPSからすでに励起されたプロセスガスをさらに励起させることができる。プラズマは処理領域233で生成されるが、プラズマは処理領域において生成されなくてもよい。一例では、処理ガス又は前駆体の励起は、RPS201、202の処理ガスを励起させて、処理領域233において互いに反応させることからのみであってよい。
【0026】
処理システムはさらに、面板217及び/又はシャワーヘッド225へ電力を供給して、第1のプラズマ領域215又は処理領域233にプラズマを生成する処理チャンバに電気的結合された電源240を含むことができる。電源は、実施されるプロセスにより、チャンバに調節可能な量の電力を送るように構成することができる。
【0027】
流体前駆体に加えて、供給を助けるキャリアガスを含む、様々な時点に様々な目的で導入されるその他のガスも存在しうる。チャンバの壁、基板、堆積膜、及び/又は堆積中の膜から不必要な種を除去するために、処理ガスを導入することができる。処理ガスはプラズマにおいて励起させて、その後にチャンバ内部の残留物含有量を低減する又は除去するために使用することができる。その他の本発明の実施形態では、処理ガスをプラズマなしで使用することができる。処理ガスが水蒸気を含む時は、質量流量計(MFM)、注入バルブ、又は市販の水蒸気発生器を使用して送ることができる。処理ガスは、RPSユニットを介してか、RPSユニットを迂回してかのいずれかで、第1の処理領域から導入することができ、第1のプラズマ領域でさらに励起させることができる。
【0028】
さらなるデュアルチャネルシャワーヘッド、及びこの処理システムとチャンバは、本明細書の特許請求の範囲、及び説明に反しない範囲において、参照によってその全体が本願に組み込まれる同一出願人による2011年10月3日出願の特許出願第13/251714号明細書にさらに詳しく記載されている。
【0029】
処理チャンバ区域200で使用されるガス分配アセンブリ225は、デュアルチャネルシャワーヘッド(DCSH)と呼ばれ、本明細書の
図3A〜3Dに記載される実施形態に詳しく示される。デュアルチャネルシャワーヘッドにより、誘電材料の流動性のある堆積、及び作動中の前駆体と処理流体との分離を可能にすることができる。シャワーヘッドはあるいは、エッチングプロセスに用いることができ、これにより、反応ゾーン外のエッチング液を処理領域の中へ送る前に分離し、相互との相互作用、そしてチャンバ構成要素との相互作用を制限することができる。
【0030】
図3A〜3Dのシャワーヘッドを全体的に参照する。前駆体は、最初に第1のマニホールド320、又は上方プレート、及び第2のマニホールド325、又は下方プレートによってシャワーヘッド300において画定されるシャワーヘッド内部容積327の中に導入することによって、処理領域の中へ導入することができる。マニホールドは、複数の開孔を画定する孔開きプレートであってよい。通常第2の前駆体を呼ばれるシャワーヘッド内部容積327の前駆体は、下方プレートに形成された開孔375を介して処理領域233の中に流れ込む295ことができる。この流路は、チャンバの残りのプロセスガスから分離させることができ、前駆体が基板255と下方プレート325の底部との間に画定される処理領域233の中に入るまで、反応していない状態、又はほぼ反応していない状態に保たれる。あるいは、第2のRPS202を使用して、第2の前駆体のラジカル種を励起させる、又は生じさせることができる。これらのラジカル種を、第1の開孔360を通って流れうる第1の前駆体の他のラジカル種と分離した状態に維持することができる。処理領域233に入ると、2つの前駆体は互いに、そして処理ガスと反応しうる。第2の前駆体は、本明細書のシャワーヘッドの実施形態に示すチャネル322等のシャワーヘッドに形成された側面チャネルを通って、シャワーヘッド300で画定されたシャワーヘッド内部容積327の中に導入されうる。第1の前駆体ガスは、RPSユニットからのラジカル、又は第1のプラズマ領域で生成されたプラズマからのラジカルを含むプラズマ状態にあってよい。加えて、プラズマは処理領域で生成されうる。
【0031】
図3Aは、ガス分配アセンブリ300の上面概略図である。使用において、ガス分配システム300は、システムを通って形成されたガス開孔軸が、基板支持体(
図2の基板支持体265を参照)の平面に直交しうる、又はほぼ直交しうるようなほぼ水平の向きを有することができる。
図3Bは、ガス分配アセンブリ300の底面斜視図である。
図3Cは、ガス分配アセンブリ300の底面図である。
図3Dは、
図3Cの線A−Aに沿って切り取ったガス分配アセンブリ300の例示の実施形態の断面図である。
【0032】
図3A〜3Dを参照すると、ガス分配アセンブリ300は概して、環状本体340、上方プレート320、及び下方プレート325を含む。環状本体340は、内径に位置づけされる環状内壁301と、外径に位置づけされる環状外壁305と、上面315、及び下面310を有するリングであってよい。上面315及び下面310は、環状本体340の厚さを画定する。導管350を環状本体340に形成することができ、冷却流体を環状本体340の外周周囲に延在するチャネル内部に流すことができる。あるいは、加熱要素351を、シャワーヘッドアセンブリを加熱するのに使われるチャネルを通って延在させてもよい。
【0033】
一又は複数の凹部及び/又はチャネルは、
図3Dに示すものを含む本開示の実施形態において示すように、環状本体に形成されうる、又は環状本体によって画定されうる。環状本体は、環状内壁301において上面に形成された上方凹部303と、下面に形成された第1の下方凹部302とを含むことができる。環状本体は、第1の下方凹部302の下及び第1の下方凹部302から半径方向上向きの下面310に形成された第2の下方凹部304も含みうる。
図3Dに示すように、内側の流体チャネル306を上面315に画定することができ、上方凹部303の半径方向内向きに環状本体に位置づけすることができる。内側の流体チャネル306の形状は環状であり、環状本体340周囲の全長において形成されうる。本開示の実施形態では、上方凹部303の底部は内側の流体チャネル306(図示せず)の外壁と交差する。内側の流体チャネルは、少なくとも部分的に第2の下方凹部304の半径方向外向きであってもよい。複数のポート312は、内側の流体チャネルの内壁に画定することができ、また環状本体340の環状内壁301にも画定されうる。ポート312により、内側の流体チャネルと、上方プレート320と下方プレート325との間に画定された内部容積327との間のアクセスを得ることができる。ポートは、特定の間隔を置いたチャネルの外周周囲で画定することができ、上方プレートと下方プレートとの間に画定された容積327全域にわたる流体の分配を促進することができる。ポート312間の間隔は一定であってよい、又は異なる場所で変化して、容積内への流体の流れに影響を与えるものであってよい。第1の流体チャネル306の半径方向の内壁及び外壁の高さは同じであってよい、又は異なっていてよい。例えば、内壁は外壁よりも高く形成することができ、これにより、内側の流体チャネルの流体の分配が影響され、第1の流体チャネルの内壁の上を流体が流れることが回避される又はほぼ回避される。
【0034】
図3Dを再び参照すると、外側の流体チャネル308は、内側の流体チャネル306の半径方向外向きに環状本体に位置づけされた上面315に画定されうる。外側の流体チャネル308は環状であり、内側の流体チャネル306から半径方向外向きに、内側の流体チャネル306と同心に位置づけすることができる。外側流体チャネル308を第1の上方凹部303の半径方向外向きに位置づけすることにより、外側流体チャネル308が上方プレート320によってカバーされないようにすることもできる、又は図示したように、第1の上方凹部303の半径方向内向きに位置づけすることにより、上方プレート320が外側流体チャネル308をカバーするようにすることができる。第2の複数のポート314は、内側の流体チャネル306の外壁と、外側の流体チャネル308の内壁を画定する環状本体340の一部において画定されうる。第2の複数のポート314は、チャネル周囲において所定の間隔を置いて位置づけして、外側の流体チャネル308周囲の幾つかの場所において内側の流体チャネル306に流動的なアクセスを提供することができる。作動中に、前駆体は、プロセスチャンバの外から環状本体340の側面に位置づけされる供給チャネル322まで流れることができる。この供給チャネル322は、処理チャンバの第2のアクセスを介して第2のRPS202と流動的に連結していてよい。流体は、外側の流体チャネル308の中へ、第2の複数のポート314を通って内側の流体チャネル306の中へ、第1の複数のポート312を通って上方プレートと下方プレートとの間に画定される内部容積327の中へ、そして下部プレート325に位置づけされた第3の開孔375を通って流れることができる。このように、上記のやり方で供給される流体は、流体が別々に下方プレート325から出るまで、開孔360を通って第1のプラズマ領域の中へ送られるすべての流体から分離させる、又はほぼ分離させることができる。
【0035】
上方プレート320は円盤状本体であってよく、第1の上方凹部303において環状本体340と結合させることができる。上方プレート320はしたがって、第1の流体チャネル306をカバーして、第1の流体チャネル306の最上部からの流体の流れを防止する、又はほぼ防止することができる。上方プレートの直径は、上方凹部303の直径と嵌合するように選択することができ、上方プレートは、上方プレートを貫通して形成された複数の第1の開孔360を備えることができる。第1の開孔360は、上方プレート320の底面を超えて延在することができ、これにより任意の数の隆起した円筒本体(図示せず)が形成される。隆起した円筒本体同士の間には隙間がありうる。
図3Aからわかるように、第1の開孔360を、最外部の第1の開孔360の中央を通って描かれた仮想線により、例えば六辺の多角形であってよい多角形の形態が画定される、又はほぼ画定されるように、上方プレート320の多角形パターンで配置することができる。
【0036】
下方プレート325は、
図3Cで特に見られるように、下方プレート325を貫通して形成された任意の数の第2の開孔365と、第3の開孔375を有する円盤状本体を有することができる。下方プレート325は複数の厚さを有することができ、画定された部分の厚さは上方プレート320の中央の厚さよりも厚く、本発明の実施形態では、上方プレート320の厚さの少なくとも約2倍である。下方プレート325は、第1の下方凹部302において、環状本体340の環状内壁301の直径と嵌合する直径も有しうる。例えば、第2の開孔365は、上方プレート320まで円筒本体が延在しているため、下方プレート325によって画定されうる。これにより、互いに流動的に分離された第1の開孔と第2の開孔との間にチャネルを形成することができ、これは第1の流体チャネルと呼ぶことができる。加えて、上方プレートと下方プレートとの間に形成された容積327を、第1の開孔と第2の開孔との間に形成されたチャネルから流動的に分離させることができる。このように、第1の開孔360を通って流れる流体は第2の開孔365を通って流れ、プレートとプレートの間の内部容積327内の流体は第3の開孔375を通って流れ、流体は、第2の開孔又は第3の開孔のいずれかを通って下方プレート325から出るまで、互いに流動的に分離している。第3の開孔375を、下方プレート325を介して内部容積327から延在する第2の流体チャネルと呼ぶことができる。この分離により、反応ゾーンに到達する前にラジカル前駆体が第2の前駆体と接触することを防止することを含む多数の利点が得られる。ガスの相互作用を防止することによって、反応が所望される処理領域へ到達する前のチャンバ内部での反応を最小限に抑えることができる。
【0037】
第2の開孔365を、上述したように、第1の開孔360のパターンと直線に並んだパターンで配置することができる。一実施形態において、上方プレート320と下方プレート325が互いに重なって位置決めされた場合、第1の開孔360と第2の開孔365の軸は直線に並ぶ。本発明の実施形態では、上方プレート及び下方プレートは互いに結合させる、又は互いに直接接着させることができる。いずれの場合にも、第1の開孔と第2の開孔が直線に並んで、上方プレートと下方プレートを通るチャネルが形成されるように、プレートを結合させることができる。複数の第1の開孔360と、複数の第2の開孔365は互いに平行する、又はほぼ平行するそれぞれの軸を有することができ、例えば開孔360と365は同心であってよい。あるいは、複数の第1の開孔360と複数の第2の開孔365は、互いに約1〜30度の角度に配置されたそれぞれの軸を有することができる。下方プレート325の中央には、第2の開孔365があってもよく、なくてもよい。
【0038】
図3Dを再び参照すると、分離チャネル324の対は、環状本体340に形成されうる。分離チャネル324の対のうちの一方を上方プレート320に画定することができ、分離チャネル324の対の他方を環状本体340の下面310に画定することができる。あるいは、
図3Aに示すように、分離チャネル324の対のうちの一つを、環状本体340の上面315に画定することができる。分離チャネルの対は互いに垂直方向に直線に並んでいてよく、本発明の実施形態では、直線上に垂直方向に並んでいてよい。あるいは、分離チャネルの対は、垂直方向に直線に並んだ状態からいずれかの方向にずれていてよい。チャネルは、本発明の実施形態において、Oリング等の分離障壁に場所を提供しうる。
【0039】
本発明の手法による処理チャンバ400の簡略化された概略図である
図4を参照する。チャンバ400は、前述したすべての構成要素を含むことができ、チャンバの処理領域433に半導体基板455を収納するように構成することができる。基板455は、図示したように、ペデスタル465に位置づけすることができる。処理チャンバ400は、2つの遠隔プラズマシステム(RPS)401、402を含むことができる。第1のRPSユニット401は、チャンバ400の第1のアクセス405に流動的に結合させることができ、第1のアクセス405を介してチャンバ400の中へ第1の前駆体を送るように構成することができる。第2のRPSユニット402は、チャンバ400の第2のアクセス410に流動的に結合させることができ、第2のアクセス410を介してチャンバ400の中へ第2の前駆体を送るように構成することができる。第1のプラズマユニット401及び第2のプラズマユニット402は、同じ又は異なるプラズマシステムであってよい。例えば、片方又は両方のシステムが、RFプラズマシステム、CCPプラズマチャンバ、ICPプラズマチャンバ、トロイダルプラズマシステムを含む磁気生成プラズマシステム、マイクロ波プラズマシステム等、又はプラズマを形成することができる、又はそうでない場合にシステムにおいて分子を励起させる、及び/又は解離させることができる種類のその他任意のシステムであってよい。システムは、第1の前駆体及び第2の前駆体がチャンバ400の処理領域433に送られるまで、第1の前駆体及び第2の前駆体を互いに流動的に分離された状態に維持するように構成することができる。第1のアクセス405は、処理チャンバ400の最上部の近く、又はチャンバの最上部に位置づけすることができ、第2のアクセス410は、チャンバ400の側面部の一つの近く、又はそれに沿って位置づけすることができる。
【0040】
チャンバ400はさらに、チャンバ内部にガス分配アセンブリ425を含むことができる。前述したデュアルチャネルシャワーヘッドの態様と類似していて良いガス分配アセンブリ425は、チャンバ400内部の処理領域433の最上部、又は処理領域433の上に位置づけすることができる。ガス分配アセンブリ425は、第1の前駆体及び第2の前駆体の両方を、チャンバ400の処理領域433の中へ送るように構成することができる。
図4の例示のシステムはデュアルチャネルシャワーヘッドを含むが、当然ながら、処理領域433へ到達する前に第1及び第2の前駆体を流動的に分離された状態に維持する代替の分配アセンブリを用いることができる。例えば、穴あきプレートと、プレートの下の管を用いることができるが、効率が落ちる、又は記載されたデュアルチャネルシャワーヘッドのような処理の均一性が得られないその他の構成で作動させることができる。
【0041】
ガス分配アセンブリ425は、前述したように、上方プレート420と下方プレート423を含むことができる。プレートを互いに結合させて、プレート間の容積427を画定することができる。上方プレートと下方プレートを通る第1の流体チャネル440と、下方プレート423を通る第2の流体チャネル445を提供するように、プレートを結合させることができる。形成されたチャネルを、下方プレート423を介して容積427から流動的にアクセスできるように構成することができ、第1の流体チャネル440を、複数のプレートと、第2の流体チャネル445との間の容積427から流動的に分離させることができる。容積427は、前述したチャネル322等のガス分配アセンブリ425の側面を介して流動的にアクセス可能である。ガス分配アセンブリのこの部分を、RPSユニット402がそれを介して第2の前駆体を送ることができるチャンバの第2のアクセス410に流動的に結合させることができる。
【0042】
チャンバは、第1の前駆体を、チャンバの第1のアクセス405を介して、第1のRPSユニット401からチャンバの処理領域433へ送るように構成することができる。第1の前駆体を次に、ガス分配アセンブリ425の第1の流体チャネル440を介して送ることができる。チャンバはさらに、チャンバ400の第2のアクセス410を介して、第2のRPS402からチャンバの中へ第2の前駆体を供給するように構成することができる。第2の前駆体は、アクセス410を介して、ガス分配アセンブリ425の中へ流すことができる。第2の前駆体は、ガス分配アセンブリを介して、上方プレートと下方プレートとの間に画定された容積427の中へ流した後に、ガス分布アセンブリ425の下方プレート423の第2の流体チャネル445を介して処理領域433の中へ流すことができる。上方プレート420と下方プレート423の結合と構成から、アセンブリを、第2の前駆体のアセンブリ425の上方プレート420を通る流れを防止するように構成することができる。これは、前述したアセンブリの開孔が直線に並んでいるためでありうる。
【0043】
RPSユニット401、402のプラズマキャビティと、チャンバのアクセス405、410につながるすべての機械的結合は、RPSユニット401、402を通って流れるように選択された第1の前駆体と第2の前駆体に基づく物質でできていてよい。例えば、特定のエッチング工程において、フッ素含有前駆体(例:NF
3)を、例えばRPSユニット401等の第1のRPSユニット及び第2のRPSユニットのいずれかを介して流すことができる。RPSユニット401でプラズマが形成されると、分子はラジカルイオンに解離しうる。RPSユニット401が変質していないアルミニウムでできている場合、フッ素ラジカルはキャビティの壁と反応し、フッ化アルミニウム等の副産物を形成しうる。したがって、RPSユニット401を、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウムであってよい第1の物質、又は第1の前駆体が相互作用を起こさない別の物質で形成することができる。RPSユニット401の物質は、第1の前駆体の組成に基づいて選択することができ、特に前駆体がチャンバの構成要素と相互作用しないように選択することができる。
【0044】
同様に、第2のRPSユニット402は、第2の前駆体に基づいて選択された第2の物質でできていてよい。本発明の実施形態では、第1の物質及び第2の物質は異なる物質であってよい。例えば、水素含有前駆体を第2のRPS402を介して流した場合、プラズマが形成され、解離した水素ラジカルがRPS402のプラズマキャビティと相互作用を起こす場合がある。チャンバが同様に例えば酸化アルミニウムでできている場合、水素ラジカルが酸化物と相互作用を起こし、保護コーティングが剥離する場合がある。したがって、RPSユニット402は、第2の前駆体が相互作用を起こさないアルミニウム、又は別の物質等の第1の物質とは異なる第2の物質でできていてよい。これもガス分配アセンブリまで延在していてよく、上方プレート420の上面は第1のRPSで使用されるのと同じ物質でできている、又はそれでコーティングされており、上方プレート420の下面と、下方プレート423の上面は第2のRPSで使用される同じ物質でできている、又はそれでコーティングされている。上記コーティング又は物質の選択により、経時的な機器の劣化を改善することができる。したがって、ガス分配アセンブリのプレートはそれぞれ、一又は複数の物質でできた複数のプレートを含むことができる。
【0045】
作動中に、RPSユニット401、402のいずれか、あるいは両方を使用してユニット内部にプラズマを生じさせて、第1の前駆体及び/又は第2の前駆体を少なくとも部分的にイオン化することができる。フッ素含有前駆体と、水素含有前駆体を用いた一例では、水素含有前駆体を第1のRPSユニット401を介して流すことができ、フッ素含有ラジカルを第2のRPSユニット402を介して流すことができる。上記構成は、ラジカル種の移動距離に基づくものであってよい。例えば、処理領域433への経路は、第1のRPSユニット401よりも短い場合がある。水素ラジカルは半減期が短いために、フッ素ラジカルよりも速く再結合しうるため、水素含有ラジカルを短い経路を介して流すことができる。加えて、前述したように、ラジカル種を長持ちさせる、継続させる、又は強化するために、チャンバ400の領域のガス分配アセンブリ425の上でプラズマを形成することができる。しかしながら、本発明のその他の構成では、水素含有前駆体を第2のRPSユニット402を介して流すことができる。
【0046】
RPSユニット401、402は、様々な実施形態において、約10W以下〜約10又は15kW以上の電力レベルで作動することができる。発明者は、各RPSユニットの電力及びプラズマプロファイルを、使用する特定の前駆体に対して調整できる本発明の手法のさらなる利点を有利に確定している。例えば、続けてフッ素含有前駆体、及び水素含有前駆体の例において、ある従来のシステムでは、解離が必要な前駆体が両方、同じRPSユニットを通って流れる必要がある。上述したプラズマキャビティとRPSユニットの潜在的な劣化に加え、前駆体の両方にとって有益なプラズマプロファイルは利用可能ではない場合がある。続けてこの例においては、NF
3を含むフッ素含有前駆体を、RPSユニットの比較的低い電力レベルで処理することができる。100W、200W、400W未満〜1000W以上の電力レベルでRPSを作動させることによって、前駆体は粒子を完全にイオン化せず、NF及びNF
2種も含む個々のラジカルを含む低い度合いまで解離することが可能である。さらに、水素含有前駆体を処理するRPSユニットは、完全な解離が所望されうる場合、はるかに高い電力レベルで作動させることができる。したがって、RPSユニットを最大約1000W以上で、また最大約10kW以上で作動させることができる。例示の処理システムで適用されるRF周波数は、異なる実施形態において、約500kHz未満の低いRF周波数、約10MHz〜15MHzの高いRF周波数、又は約1GHz以上のマイクロ波周波数であってよい。このように、第1のRPSユニット401は、第1の前駆体の組成に基づいて選択された第1の電力レベルで作動するように構成することができ、第2のRPSは、第2の前駆体の組成に基づいて選択された第2の電力レベルで作動するように構成することができる。2つのRPSユニット401、402を、互いに異なる電力レベルで作動するように構成することができる。上記の構成は、その他の変更の中でもとりわけ別々の電源、又は分離した電源を必要としうる。
【0047】
RPSユニットのうちの一方を作動させ、他方を作動させないことによって、さらなる柔軟性を得ることができる。例えば、フッ素含有前駆体を、前駆体に基づいて低いレベルであってよい電力レベルで作動するように構成された第1のRPSユニット401を介して流すことができる。水素含有前駆体を、分子前駆体が処理領域433へ流れるようにプラズマが形成されない第2のRPSユニット402を介して流すことができる。第1の前駆体と、第2の前駆体がガス分配アセンブリ425を別々に出た時に第1の前駆体と第2の前駆体の相互作用が起こる可能性があり、RPSユニット401で少なくとも部分的にラジカル化されている第1の前駆体が第2の前駆体の一部をイオン化する可能性があり、この場合、システムの電力効率が改善されうる。当然ながら、これらの実施例に基づき、多数の態様を、様々な作動特性に基づく本発明の手法の実施形態において反転させる、又は変更することができる。
【0048】
本発明をより理解し認識するために、本発明の実施形態による、特にシリコン選択エッチングであるエッチングプロセスのフロー図である
図5を参照する。当然ながら、この手法を同様に堆積プロセスに用いることができる。シリコンは非結晶質、結晶質、又は多結晶(この場合は普通ポリシリコンと呼ばれる)であってよい。第1の工程の前に、構造をパターン付基板に形成することができる。この構造は、シリコン、及び酸化シリコンの別々の露出領域を有することができる。前の堆積及び形成プロセスは、同じチャンバで行われていても、行われていなくてもよい。異なるチャンバで行われた場合、基板は上述したようにシステムへ転送することができる。
【0049】
第1の前駆体、例えば水素含有前駆体を、工程510において基板の処理領域とは別に、第1のプラズマ領域の中へ流すことができる。別々のプラズマ領域を本明細書では遠隔プラズマ領域と呼ばれる場合があり、処理チャンバとは違うモジュール、又は処理チャンバ内部の区画部分の中にあってよい。一般的に言えば、水素含有前駆体を第1のプラズマ領域の中へ流してプラズマ内で励起させることができ、水素含有前駆体は、H
2、NH
3、炭化水素等から選択された少なくとも一つの前駆体を含むことができる。第2の前駆体、例えば三フッ化窒素、又は別のフッ素含有前駆体の流れを、工程520において第2の遠隔プラズマシステムの中へ導入して、プラズマ内で励起させることができる。第1のプラズマシステム、及び第2のプラズマシステムを前述したように任意のやり方で作動させることができ、本発明の実施形態では、水素含有前駆体とフッ素含有前駆体を代替のRPSユニットを介して流すことができる。加えて、遠隔プラズマシステムのうちの一方のみを本発明の実施形態において作動させることができる。三フッ化窒素の流動率を水素の流動率に対して遅くして、簡単に定量化される高い原子流動率H:Fを実現することができる。その他のフッ素供給源を使用して、三フッ化窒素を補強する、又は置換することができる。一般に、フッ素含有前駆体を第2の遠隔プラズマ領域に流すことができ、フッ素含有前駆体は、原子フッ素、二原子フッ素、三フッ化臭素、三フッ化塩素、三フッ化窒素、フッ化水素、フッ素化炭化水素、六フッ化硫黄、二フッ化キセノンからなる群から選択される少なくとも一つの前駆体を含む。
【0050】
第1の前駆体及び第2の前駆体の遠隔プラズマ領域に形成されたプラズマ廃液を次に、工程530において基板処理領域の中へ別々に流し、基板処理領域へ組み込むことができる。パターン化基板を選択的にエッチングすることにより、露出した酸化シリコンの少なくとも、又は約70倍の比率で露出したシリコンを除去することができる。この手法には、シリコンのエッチング選択性を高めるために、フッ素(F)に対する水素(H)の高い原子流量比の維持が含まれうる。幾つかの前駆体はフッ素と水素を両方含むことができ、この場合、本明細書に記載される原子流量比を計算する時に、すべての構成物の原子流動率が含まれる。水素の量の優位性により、パターン化基板上の露出面を水素終端しやすくなりうる。本明細書に記載された条件下で、水素終端は、シリコン表面でのみ準安定原子でありうる。三フッ化窒素又はその他のフッ素含有前駆体のフッ素によりシリコン表面の水素が置換され、表面から剥離してシリコンを取り除く揮発性残留物ができる。他の露出した物質に存在する結合エネルギーが強いために、フッ素は他の水素終端面の水素を置換することができない場合がある(及び/又は他の露出した物質を除去する揮発性残留物ができない可能性がある)。
【0051】
一例では、約15:1以上のガス流量比(H
2:NF
3)、又は一般論として、約10:1以上の原子流量比により、約70:1以上のエッチング選択性(シリコン:酸化シリコン、又はシリコン:窒化シリコン)が得られることがわかっている。エッチング選択性(シリコン:酸化シリコン、又はシリコン:窒化シリコン)は、本発明の実施形態において、約100:1以上、約150:1以上、約200:1以上、約250:1以上、又は約300:1以上であってもよい、又はこれらの範囲のうちの任意の範囲の間、又はこれらの範囲のうちの任意の範囲内であってもよい。パターン化基板には、タングステン、窒化チタン、又はその他の金属が露出した領域も存在する場合があり、露出した金属領域と呼ぶことができる。エッチング選択性(シリコン:露出した金属領域)は、本発明の実施形態では、約100:1以上、約150:1以上、約200:1以上、約250:1以上、約500:1以上、約1000:1以上、約2000:1以上、又は約3000:1以上であってよい。反応性化学種が基板処理領域から取り除かれ、次に基板が処理領域から取り除かれる。
【0052】
本明細書に記載されるように、大流量の水素含有前駆体が存在することにより、シリコン、酸化シリコン及び窒化シリコンが処理のほとんどの過程において水素終端面が確実に維持される。フッ素含有前駆体及び/又は水素含有前駆体はさらに、He、N
2、Ar等の一又は複数の比較的不活性なガスを含むことができる。不活性ガスを使用して、プラズマの安定性を改善する、及び/又は液状の前駆体を遠隔プラズマ領域まで送ることができる。異なるガスの流動率及び流量比を使用して、エッチング速度及びエッチング選択性を制御することができる。一実施形態では、フッ素含有ガスは、流動率が約1〜30sccm(立方センチメートル/分)のNF
3と、流動率が約500〜5000sccmのH
2と、流動率が約0〜3000sccmのHeと、流動率が約0〜3000sccmのArを含む。本発明の実施形態では、原子流量比H:Fを高く維持して、酸化シリコン上への固体残留物の形成を減らす、又はなくすことができる。固体残留物の形成により、酸化シリコンの一部が消費されるため、エッチングプロセスのシリコン選択性が低下しうる。原子流量比H:Fは、この手法の実施形態では、約25(すなわち25:1)以上、約30:1以上、又は約40:1以上であってよい。
【0053】
前駆体を流動的に分離した状態に維持することで、腐食、またRPSシステムとのその他の相互作用を減らす、又はなくすことができる。上述したように、ガス分配アセンブリを含むRPSユニット及び分配構成要素は、送られる前駆体に基づいて選択され、したがってイオン化前駆体と機器との間の反応を防止するように選択された物質でできていてよい。
【0054】
本発明の実施形態では、遠隔プラズマ領域から基板処理領域まで通過する間に、イオンサプレッサーを使用して、プラズマ廃液からのイオンをフィルタリングすることができる。イオンサプレッサーは、プラズマ生成領域から基板まで移動しているイオン的に帯電した種を減らす又はなくすように機能する。荷電されていない中性種及びラジカル種は、イオンサプレッサーの開口部を通過して基板において反応しうる。基板周囲の反応領域からイオン的に荷電した種を完全に除去することが必ずしも望ましい目的でないことに留意されたい。多くの場合、エッチング及び/又は堆積プロセスを行うためには、基板に到達するのにイオン種が必要である。これらの場合、イオンサプレッサーにより、プロセスを支援するレベルで、反応領域のイオン種の濃度を制御しやすくなる。本発明の実施形態では、ガス分配アセンブリの上方プレートはイオンサプレッサーを含むことができる。
【0055】
エッチングプロセスの間の基板の温度は、0℃超であってよい。基板の温度はあるいは、約20℃以上、及び約300℃以下であってよい。この基板の温度範囲の上限値において、シリコンのエッチング速度は低下しうる。この基板の温度範囲の下限値において、酸化シリコンと窒化シリコンのエッチングが始まりうるため、選択性が低下しうる。本発明の実施形態では、本明細書に記載されたエッチングの間の基板の温度は、約30℃以上、及び約200℃以下、又は約40℃以上、及び約150℃以下であってよい。基板の温度は、本発明の実施形態において、100℃未満、約80℃以下、約65℃以下、又は約50℃以下であってよい。
【0056】
データはさらに、(所定の水素:フッ素原子比に対して)シリコンのエッチング速度の上昇をプロセス圧の関数として示す。しかしながら、約50:1のH:Fの原子流動率に対し、1Torrを超える圧力の上昇により、選択性が低下し始めうる。これは、2以上のフッ素含有廃液の混合の確率が高いことが原因と考えられる。エッチングプロセスでは次に、酸化シリコン、窒化シリコン、及び他の物質の除去が開始される。基板処理領域内の圧力は、本発明の実施形態において、約10Torr以下、約5Torr以下、約3Torr以下、約2Torr以下、約1Torr以下、又は約750mTorr以下であってよい。本発明の実施形態において、十分なエッチング速度を確保するためには、圧力は約0.05Torr以上、約0.1Torr以上、約0.2Torr以上、又は約0.4Torr以上であってよい。さらなる実施例、プロセスパラメータ、及び作動ステップは、本明細書に記載された供給機構と反しない範囲で、前に組み込まれた特許出願第13/439079号明細書に含まれている。
【0057】
上述の説明では、説明の目的のために、本発明の様々な実施形態の理解を促すために、多数の詳細が記載されてきた。しかしながら、特定の実施形態をこれらの詳細の幾つかの詳細なしで、又は更なる詳細と共に実行することができることが当業者には明らかとなるであろう。
【0058】
幾つかの実施形態を開示したが、当然ながら当業者には、本発明の実施形態の主旨から逸脱することなく、様々な変更例、代替構造物、及び同等物を使用することができることが理解されるだろう。加えて、任意の数の周知のプロセス、及び要素は、本発明が不必要に曖昧にならないように記載していない。したがって上記の記載により、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0059】
値の範囲が付与されているところでは、文脈上そうでないと明示されていない限り、当然ながら、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されている。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意の小さい範囲、そしてその記載範囲のその他任意の記載された又は介在する値も含まれる。これら小さい範囲の上限値及び下限値は、その範囲に個々に含まれ、又はその範囲から除外される場合があり、小さい範囲に限界値のいずれかが含まれる、どちらも含まれない、又は両方が含まれる各範囲もこの手法に含まれ、記載された範囲において任意に具体的に除外された限界値に依存する。記載された範囲に一又は複数の限界値が含まれるところでは、これらの含有限界値のいずれか、又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0060】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明示しない限り複数の指示物を含む。したがって、例えば、「開孔」を参照した時は複数の上記開孔を含み、「プレート」を参照した時は、一又は複数のプレート及び当業者に周知のそれらの同等物他への参照を含む。
【0061】
また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という単語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用された場合、記載された特徴、整数、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図しているが、一又は複数のその他の特徴、整数、構成要素、ステップ、作動、又はグループの存在、又は追加を除外するものではない。