(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止部材の底面から前記第2の電極部と前記第2の導線との第3の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第2の外部端子と前記第2の導線との第4の接触点までの高さよりも低く、
前記封止部材の底面から前記第3の電極部と前記第3の導線との第5の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第3の外部端子と前記第3の導線との第6の接触点までの高さよりも低く、
前記封止部材の底面から前記第4の電極部と前記第4の導線との第7の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第4の外部端子と前記第4の導線との第8の接触点までの高さよりも低い請求項10に記載のホールセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の電子機器の薄型化、高機能化に伴い、より薄型で、かつ磁界を正確に検出することが可能なホールセンサが求められている。上述した特許文献1の磁気センサにおいて、磁気センサを薄型化すると、磁界検出の正確さが低下するという問題が生じうる。以下その理由について説明する。
図1は、本発明に係るホールセンサの課題を説明するための図である。ホールセンサ400は、ホール素子310と、その周囲に配置された電源端子となるリード端子325及び接地電位に接続されたリード端子327を備えている。ホール素子310上に設けられた各電極部と各リード端子は導線343で接続されており、各リード端子及びホール素子310はモールド樹脂350で固定されている。リード端子325、327は、ハンダ(半田)370を介して配線基板450の配線パターン451に接続されている。なお、符号440は絶縁層を示している。
【0005】
磁気センサを薄型化するためには、ワイヤーボンディングのトップの高さをできるだけ低くする必要がある。しかし、上述した特許文献1の磁気センサは、ホール素子の方がリード端子よりも高い位置にあるので、ワイヤーが撓んだり、トップの高さが低くなるようなワイヤーボンディングをしたときに導線がホール素子の基板のエッジに接触しやすいという問題があった。導線が基板のエッジに接触すると、導線と基板の接触点と電極部を通るリーク電流が発生する。リーク電流が発生すると、それがホール素子の駆動電流に見えてしまう。リーク電流は、ホール素子の駆動電流のオフセット電流にみえてしまう。駆動電流のオフセット電流は、ホール素子のオフセット電圧として見えるため、磁気を正確に検出することができなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、薄型で、かつ磁気を正確に検出できるホールセンサ及びレンズモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1);
半絶縁性の基板と、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部と、前記感磁部と接続する複数の電極部とを有
し、前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていないホール素子と、前記ホール素子の周囲に配置された複数の外部端子と、前記複数の電極部の各電極部と前記複数の外部端子の各外部端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の導線と、前記ホール素子の前記感磁部、前記複数の導線、及び、前記各外部端子の少なくとも一部を覆う封止部材とを備え、前記各外部端子は、前記複数の導線の各導線と接続している第2面と、前記第2面とは反対側の第1面とを有し、前記第1面は、前記封止部材の底面から露出しており、
前記ホール素子の厚みは、前記外部端子の厚みよりも薄く、前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の
接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の
接触点までの高さよりも低
くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくいホールセンサである。
【0008】
(2);(1)において、前記各外部端子は、前記封止部材の側面から露出している。
(3);(1)又は(2)において、前記複数の外部端子のうちの少なくとも1つの外部端子は、前記第2面において段差を有しており、前記複数の外部端子は、前記段差を境に、前記段差を有する前記各外部端子の前記ホール素子に近い側に第1の部位を有し、前記ホール素子に遠い側に第2の部位を有し、前記封止部材の底面から前記第1の部位における前記第2面までの高さは、前記封止部材の底面から前記第2の部位における前記第2面までの高さよりも低く、前記各導線は、前記段差を有する前記各外部端子の前記第2の部位における前記第2面で接続している。
(4);基板と、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部と、前記感磁部と接続する複数の電極部とを有するホール素子と、前記ホール素子の周囲に配置された複数の外部端子と、前記複数の電極部の各電極部と前記複数の外部端子の各外部端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の導線と、前記ホール素子の前記感磁部、前記複数の導線、及び、前記各外部端子の少なくとも一部を覆う封止部材とを備え、前記各外部端子は、前記複数の導線の各導線と接続している第2面と、前記第2面とは反対側の第1面とを有し、前記第1面は、前記封止部材の底面から露出しており、前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の接触点までの高さよりも低く、前記複数の外部端子のうちの少なくとも1つの外部端子は、前記第2面において段差を有しており、前記複数の外部端子は、前記段差を境に、前記段差を有する前記各外部端子の前記ホール素子に近い側に第1の部位を有し、前記ホール素子に遠い側に第2の部位を有し、前記封止部材の底面から前記第1の部位における前記第2面までの高さは、前記封止部材の底面から前記第2の部位における前記第2面までの高さよりも低く、前記各導線は、前記段差を有する前記各外部端子の前記第2の部位における前記第2面で接続しているホールセンサである。
【0009】
(
5);(3)
又は(4)において、前記封止部材の底面から前記第1の部位における前記第2面までの高さは、前記封止部材の底面から前記各電極部までの高さよりも低い。
(
6);(3)
〜(5)のいずれかにおいて、前記段差は、前記ホール素子を囲む周上に設けられている。
(
7);(1)〜(
6)のいずれかにおいて、前記基板の前記複数の電極部が設けられた面とは反対側の面に設けられた絶縁層を更に備え、前記絶縁層は、前記封止部材の底面から露出している。
【0010】
(
8);(1)〜(
7)のいずれかにおいて、前記複数の外部端子は、第1から第4の外部端子を含み、前記第1から第4の外部端子は、前記第1の外部端子と前記第3の外部端子とを結ぶ仮想直線と前記第2の外部端子と前記第4の外部端子とを結ぶ仮想直線が平面視で交差するように配置されており、前記ホール素子の前記基板は平面視で長方形であり、かつ、平面視で、前記ホール素子の前記基板の4つの頂点は、前記第1の外部端子と前記第2の外部端子の間の領域、前記第2の外部端子と前記第3の外部端子の間の領域、前記第3の外部端子と前記第4の外部端子の間の領域及び前記第4の外部端子と前記第1の外部端子の間の領域に配置されている。
【0011】
(
9);
半絶縁性の基板、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部、及び、電極部を有
し、前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていないホール素子と、前記ホール素子の周囲に配置された外部端子と、前記電極部と前記外部端子とを接続する導線と、前記ホール素子の感磁部、前記導線、及び、前記外部端子の前記導線が接続される第2面を覆う封止部材と、を備え、前記外部端子は、前記第2面とは反対側の第1面が前記封止部材の底面から露出しており、
前記ホール素子の厚みは、前記外部端子の厚みよりも薄く、前記封止部材の底面から前記電極部と前記導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記外部端子と前記導線との第2の接触点までの高さよりも低
くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくいホールセンサである。
【0012】
(
10);(
9)において、前記電極部は、第1から第4の電極部を有し、前記外部端子は、第1から第4の外部端子を有し、前記導線は、前記第1から第4の電極部と前記第1から第4の外部端子とをそれぞれ接続する第1から第4の導線を有し、前記封止部材の底面から前記第1の電極部と前記第1の導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第1の外部端子と前記第1の導線との第2の接触点までの高さよりも低い。
(
11);(
10)において、前記封止部材の底面から前記第2の電極部と前記第2の導線との第3の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第2の外部端子と前記第2の導線との第4の接触点までの高さよりも低く、前記封止部材の底面から前記第3の電極部と前記第3の導線との第5の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第3の外部端子と前記第3の導線との第6の接触点までの高さよりも低く、前記封止部材の底面から前記第4の電極部と前記第4の導線との第7の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記第4の外部端子と前記第4の導線との第8の接触点までの高さよりも低い。
【0013】
(
12);(
9)〜(
11)のいずれかにおいて、前記ホール素子は、前記基板がGaAs基板であり、前記基板の前記電極部が設けられた面とは反対側の面に絶縁層をさらに有し、前記電極部は前記感磁部と接続され、前記絶縁層は、前記封止部材の底面から露出している。
【0014】
(
13);(
9)〜(
12)のいずれかに記載のホールセンサと、磁石が取り付けられたレンズホルダと、前記ホールセンサの前記外部端子からの出力信号に基づいて、前記磁石を移動させる駆動コイルと、を備えるレンズモジュールである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、薄型で、かつ磁気を正確に検出できるホールセンサ及びレンズモジュールを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
【0018】
<実施形態1>
図2(a)乃至(c)は、本発明に係るホールセンサの実施形態1を説明するための構成図で、
図2(a)は
図2(b)におけるA−A線断面図、
図2(b)は
図2(a)の平面図、
図2(c)は
図2(a)の底面図、
図3は
図2(a)乃至(c)に示したホールセンサの全体斜視図を示している。なお、Gaは表面のハーフエッチング、Gbは裏面のハーフエッチングの施された部分を示している。
本実施形態1のホールセンサ100は、ホール素子10と複数のリード端子21a乃至21d(第1〜第4の外部端子)と複数の導線31a乃至31d(第1〜第4の導線)と封止部材50とを備えている。
【0019】
ホール素子10は、基板11と、この基板11上(又は基板11内)に設けられた感磁部12と、この感磁部12と接続する複数の電極部13a乃至13d(第1〜第4の電極部)とを有している。なお、
図2(a)においては、感磁部12が基板11上に設けられている場合について拡大図で示している。
また、複数のリード端子21a乃至21dは、ホール素子10の周囲、つまり、封止部材50の底面に沿ってホール素子10の四隅を取り囲むようにして配置されている。また、上面視で、ホールセンサ100の四隅領域に配置されてもよい。
【0020】
また、複数の導線31a乃至31dは、複数の電極部13a乃至13dの各電極部13a乃至13dのそれぞれと複数のリード端子21a乃至21dの各リード端子21a乃至21dのそれぞれとを電気的に接続する。
また、封止部材50は、ホール素子10と複数のリード端子21a乃至21dと複数の導線31a乃至31dとを覆う。
また、各リード端子21a乃至21dは、前記各導線31a乃至31dと接続している第2面M2と、この第2面M2とは反対側の第1面M1とを有し、この第1面M1は、封止部材50の底面Eから露出している。
【0021】
また、封止部材50の底面Eから各電極部13a乃至13dと各導線31a乃至31dとの第1の接触点aまでの高さh1は、封止部材50の底面Eから各リード端子21a乃至21dと各導線31a乃至31dとの第2の接触点bまでの高さh2よりも低くなるように構成されている。また、ホールセンサは直方形状であり、直方形上の長辺を含む側面Sからの断面視で、隣接する外部端子間のスペースに、ホール素子が含まれるように配置されている。なお、小型化の観点から、ホール素子は、上面視で、直方形状のホールセンサの辺に対して、45度傾けて配置してもよい。その場合、直方形上の長辺を含む側面Sからの断面視で、隣接する外部端子間のスペースに、高さ方向においてホール素子が含まれるように配置される。
【0022】
つまり、封止部材50の底面Eから第1の接触点aまでの高さh1と、封止部材50の底面Eから第2の接触点bまでの高さh2との関係は、h1<h2の関係を有している。
本実施形態1のホールセンサは、h1<h2の関係を有しているので、ホール素子の基板11のエッジに導線31a乃至31dが接触しにくく、リーク電流が発生しにくい。これにより、薄型で、かつ磁気を正確に検出できるホールセンサを実現することができる。
なお、本実施形態1のホールセンサは、リード端子のエッジと導線の接触が発生しやすい構造となるが、リード端子のエッジタッチに関しては、同電位のリード端子に導線が2カ所接続された状態となるだけであるので、特に問題は無い。本実施形態1において、高さh1と高さh2の関係としては、h1は、0.2×h2以上h2未満であることが好ましい。より好ましくは、0.4×h2以上h2未満であり、さらに好ましくは、0.4×h2以上0.99×h2以下である。さらに、h1は、0.4×h2以上0.95×h2以下でもよい。
【0023】
また、各リード端子21a乃至21dは、封止部材50の側面Sから露出している。つまり、封止部材50の側面Sからリード端子21a乃至21dが露出しているので、リード端子21a乃至21dの底面に露出している部分(底面電極)の他、側面に露出している部分(側面電極)を使って実装可能である。特に、全体の厚さの中での側面電極の割合を高くすることが可能であるので、実装が容易となる。また、リード端子と半田の接触が悪く導通が取れなくなるということが少なくなり、実装信頼性が高い。さらに、半田実装後の外観検査における視認性が向上し、半田付けが問題なくできているか容易に確認できる。
【0024】
また、複数のリード端子21a乃至21dのうちの少なくとも1つのリード端子21a乃至21dのいずれかには、第2面M2で段差Dを有している。つまり、リード端子に段差がついている。リード端子21a乃至21dの全てのリード端子で第2面M2に段差Dを有することが好ましい。
また、複数のリード端子21a乃至21dは、段差Dを境に、段差Dを有する各リード端子21a乃至21dのホール素子10に近い側に第1の部位N1を有し、ホール素子10に遠い側に第2の部位N2を有し、封止部材50の底面Eから第1の部位N1における第2面M2までの高さp1は、封止部材50の底面Eから第2の部位N2における第2面M2までの高さp2よりも低く構成されている。
【0025】
つまり、封止部材50の底面Eから第1の部位N1における第2面M2までの高さp1と、封止部材50の底面Eから第2の部位N2における第2面M2までの高さp2との関係は、p1<p2の関係を有している。また、各導線31a乃至31dは、段差(D)を有する各リード端子21a乃至21dの第2の部位N2における第2面M2で接続されている。
このような構成により、導線がリード端子のエッジに接触して断線してしまうことを抑制することが可能である。
【0026】
リード端子21aの第2面M2に複数の段差がある場合は、ホール素子10に最も近い段差を段差Dとし、段差Dを境に、ホール素子10に近い側を第1の部位N1、ホール素子10に遠い側を第2の部位N2とする。リード端子21b乃至21dについても同様である。リード端子21a乃至21dの第2面M2に形成されている段差Dは、封止部材50で封止されている。
また、封止部材50の底面Eから第1の部位N1における第2面M2までの高さp1は、封止部材50の底面Eから各電極部13a乃至13dまでの高さh1よりも低く構成されている。
【0027】
つまり、封止部材50の底面Eから第1の部位N1における第2面M2までの高さp1と、封止部材50の底面Eから第2の部位N2における第2面M2までの高さp2と、封止部材50の底面Eから各電極部13a乃至13dまでの高さh1との関係は、p1<h1<p2の関係を有している。
このような構成により、導線がリード端子のエッジに接触して断線しまうことをより抑制することが可能である。
ところで、一般に、ホール素子10を所定の位置に載置する際にはコレットが使用され、また、ホール素子の電極部とリード端子をワイヤーボンディングする際にはキャピラリが使用される。このような構成により、ホール素子の載置時にコレットがリード端子に接触してしまうことを防ぐことが可能となる。また、ワイヤーボンディング時にキャピラリがリード端子に接触してしまうことを防ぐことが可能である。
【0028】
また、ホール素子10を中心とした楕円形又は多角形の周上に段差Dが設けられている。つまり、段差は、ホール素子を囲む周上に設けられている。コレットやキャピラリの先端は、楕円形状や多角形状であることが多いので、段差Dも楕円形状や多角形状にした方が良いため、楕円形状又は多角形状に段差Dを設けるような構成になっている。
コレットやキャピラリの先端は、特に円形状であることが多いので、コレットやキャピラリの接触を防ぐために、ホール素子10を中心とした円周上に段差Dを設けることが好ましい。
【0029】
また、複数の導線31a乃至31dは、複数の電極部13a乃至13dが第1回目のボンディングであり、複数のリード端子21a乃至21dが第2回目のボンディングとなるようにワイヤーボンディングされている。
このように、低い方から高い方にワイヤーボンディングするので、エッジ接触が起きにくくなる。これにより、ホール素子とリード端子の間の距離を短くしてもエッジ接触が起きにくくなる。これにより、ホール素子とリード端子の間の距離を短くすることが可能となり、小型化が可能となる。
【0030】
あるいは、複数の導線31a乃至31dは、複数のリード端子21a乃至21dが第1回目のボンディングであり、複数の電極部13a乃至13dが第2回目のボンディングとなるようにワイヤーボンディングされている。
このように、高い方から低い方にワイヤーボンディングするので、ワイヤーボンディングの頂点を低くすることができ、薄型化が可能となる。
また、基板11の複数の電極部13a乃至13dが設けられた面とは反対側の面に設けられた絶縁層40を更に備えている。この絶縁層40は、封止部材50の底面Eから露出している。絶縁層40を設けることの効果は、実施形態2で説明する。
【0031】
本実施形態1において、絶縁層40としては、絶縁樹脂層、絶縁シートなどが挙げられる。絶縁層40としては、ホール素子の抵抗よりも高い抵抗であればよい。例えば、絶縁層40の体積抵抗率が10
8〜10
20(Ω・cm)であることが好ましい。より好ましくは、絶縁層40の体積抵抗率が10
10〜10
18(Ω・cm)である。絶縁層40が数mm四方で、厚み数μmの場合、絶縁層40の抵抗は、10
10〜10
18(Ω)となり、ホール素子の抵抗は、通常、約10
9Ω以下であるため、十分な絶縁性がある。
絶縁層40は、その成分として、例えば、エポキシ系の熱硬化型樹脂と、フィラーとしてシリカ(SiO
2)とを含むことがより好ましい。絶縁層40は、ホール素子10の裏面、つまり、感磁部12を有する面の反対側の面に接しており、この絶縁層40によってホール素子10の裏面が覆われている。ホール素子10の裏面全体が絶縁層40により覆われていることが、リーク電流の発生の抑制の観点から好ましい。絶縁層40のうち、ホール素子10の裏面を覆っている部分の厚さは、フィラーサイズで決まり、例えば、5μm以上である。
【0032】
ホール素子10は、例えば、ホール素子などの磁電変換素子である。ホール素子10は、例えば、半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11と、このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる感磁部(活性層)12と、感磁部12に電気的に接続する電極部13a乃至13dとを有している。感磁部12は、例えば、平面視で十字(クロス)型であり、クロスの4つの先端部上にそれぞれ電極13a乃至13dが設けられている。平面視で向かい合う一対の電極13a、13cが感磁部12に電流を流すための入力端子であり、電極13a、13cを結ぶ線と平面視で直交する方向で向かい合う他の一対の電極13b、13dが感磁部12から電圧を出力するための出力端子である。ホール素子10の厚さを薄くするためには、基板11の感磁部(活性層)12が設けられている面とは反対側の面を研磨すればよい。
【0033】
ホールセンサ100は、アイランドレス構造であり、外部との電気的接続を得るための複数のリード端子21a乃至21dを有している。
図2(b)に示すように、リード端子21a乃至21dは、ホール素子10の周囲、例えば、ホールセンサ100の四隅近傍に配置されている。例えば、リード端子21aとリード端子21cとがホール素子10を挟んで対向するように配置されている。また、リード端子21bとリード端子21dとがホール素子10を挟んで対向するように配置されている。さらに、リード端子21aとリード端子21cとを結ぶ直線(仮想線)と、リード端子21bとリード端子21dとを結ぶ直線(仮想線)とが平面視で交差するように、リード端子21乃至21dはそれぞれ配置されている。
【0034】
つまり、複数のリード端子は、第1から第4のリード端子を含み、第1から第4のリード端子は、第1のリード端子と第3のリード端子とを結ぶ仮想直線と第2のリード端子と第4のリード端子とを結ぶ仮想直線が平面視で交差するように配置されている。
リード端子21a乃至21dは、例えば、銅(Cu)などの金属からなる。また、リード端子21a乃至21dは、その面側又は裏面の一部がエッチング(すなわち、ハーフエッチング)されていてもよい。
なお、図示しないが、リード端子21a乃至21dの表面で(
図2(a)における上面側)、導線31a乃至31dで接続されるリード端子21a乃至21dの表面には、Agめっきが施されていることが電気的接続の観点から好ましい。
【0035】
また、リード端子21a乃至21dの表面及び裏面には、外装めっき層60に代えて、ニッケル(Ni)−パラジウム(Pd)−金(Au)などのめっきが施されていてもよい。ホールセンサであるが、アイランドレスのため、磁性体であるNiめっき膜の影響を受けにくいため実施が可能となる。
導線31a乃至31dは、ホール素子10が有する電極部13a乃至13dと、リード端子21a乃至21dをそれぞれ電気的に接続する導線であり、例えば、金(Au)からなる。
図2(b)に示すように、導線31aは、リード端子21aと電極部13aとを接続し、導線31bはリード端子21bと電極部13bとを接続している。また、導線31cはリード端子21cと電極部13cとを接続し、導線31dは、リード端子21dと電極13dとを接続している。
【0036】
封止部材50は、ホール素子10と、リード端子21a乃至21dの少なくとも表面側、つまり、導線と接続する側の面と、導線31a乃至31dとを樹脂封止で覆って保護している。封止部材50は、例えば、エポキシ系の熱硬化型樹脂からなり、リフロー時の高熱に耐えられるようになっている。なお、封止部材50と絶縁層40は、例えば、同じエポキシ系の熱硬化型樹脂の場合でも、その材料は互いに異なる。例えば、含有する成分が異なる、又は、含有する成分が同一であっても含有比が異なる。
また、
図2(c)に示すように、ホールセンサ100の底面側、つまり、配線基板に実装する側では、各リード端子21a乃至21dの裏面の少なくとも一部と、絶縁層40の少なくとも一部とが、封止部材50からそれぞれ露出している。
【0037】
また、外装めっき層60は、封止部材50から露出しているリード端子21a乃至21dの裏面に形成されている。外装めっき層60は、例えば、スズ(Sn)などからなる。
このような構成により、ホールセンサ100を用いて磁気(磁界)を検出する場合は、例えば、リード端子21aを電源電位(+)に接続するとともに、リード端子21cを接地電位(GND)に接続して、リード端子21aからリード端子21cに電流を流す。そして、リード端子21b,21d間の電位差V1−V2(ホール出力電圧VH)を測定する。ホール出力電圧VHの大きさから磁界の大きさを検出し、ホール出力電圧VHの正負から磁界の向きを検出する。
すなわち、リード端子21aは、ホール素子10に所定電圧を供給する電源用リード端子である。リード端子21cは、ホール素子10に接地電位を供給する接地用リード端子である。リード端子21b,21dは、ホール素子10のホール起電力信号を取り出す信号取出用リード端子である。
【0038】
図4(a),(b)は、具体的なホール素子の構成図で、
図4(a)は断面図、
図4(b)は上面図を示している。ただし、導線は図示されていない。図中符号Gaは表面のハーフエッチング、Gbは裏面のハーフエッチングの施された部分を示している。なお、
図2(a)における断面図は
図2(b)のA−A線断面図を示しているが、
図4(a)の断面図は
図4(b)のB−B線断面図を示している。
図4(a),(b)に示したホールセンサは、コレットとの接触がなるべく少なくなるように設計されたリード端子が用いられており、リード端子の表面がハーフエッチングされている。つまり、コレットが干渉するエリアがハーフエッチングされている。
【0039】
図4(b)に示したホールセンサのホール素子は、
図2(b)に示したホールセンサのホール素子に対し45度回転して配置されている。すなわち、
図4(b)に示したホールセンサのホール素子は平面視で長方形であり、かつ、その長方形の4つの頂点がそれぞれリード端子21aとリード端子21bの間の領域、リード端子21bとリード端子21cの間の領域、リード端子21cとリード端子21dの間の領域、リード端子21dとリード端子21aの間の領域に配置されるように、ホール素子が配置されている。
このような向きにホール素子を配置することで、ホールセンサ全体を小型化することが可能になる。ただし、このようにホール素子を配置すると、ホール素子の載置時にコレットがリード端子に接触しやすくなるので、リード端子21a乃至21dの第2面M2に段差Dを設けることが好ましい。なお、上記の長方形には正方形が含まれる。
【0040】
本実施形態1では、ホール素子10と封止部材50の底面Eとの間にホール素子10を載置するための金属製のアイランドが無いアイランドレス構造を中心に説明したが、ホール素子10と封止部材50の底面Eとの間にアイランドを設けてもよい。また、そのアイランドは、接地用リード端子21cと電気的に接続していてもよい。ただし、薄型化の観点から、ホール素子10と封止部材50の底面Eとの間にアイランドを設けないことが好ましい。
また、本実施形態1では、封止部材50の底面Eから第1の接続点aまでの高さh1が各電極部13a乃至13dで全て等しい場合を例に説明したが、封止部材50の底面Eから第1の接続点aまでの高さh1は電極部13a乃至13dで異なっていてもよい。また、同様に、封止部材50の底面Eから第2の接続点bまでの高さh2が各リード端子21a乃至21dで異なっていても良い。1本の共通の導線に接続する電極部とリード端子を一つのユニットとした場合に、少なくとも一つのユニットで高さh1<高さh2を満たしていればよい。ただし、全てのユニットで高さh1<高さh2を満たしていることが好ましい。
【0041】
図5(a),(b)は、本実施形態1のホールセンサのリードフレームを示す図である。
図5(a)は表面図、
図5(b)は裏面図である。リードフレームは各ホールセンサのリード端子となる部分が金属板で連なった構造となっている。図中符号Hは穴部を示しており、ハッチング部分はハーフエッチング領域を示している。点線で囲まれた領域は、1つのホールセンサで使用される領域であり、また、点線と点線の間の領域はダイシング時にダイシングの歯が通過する領域である。
本実施形態1のホールセンサの製造方法は、基材の一方の面に複数のリード端子が形成されたリードフレームを準備する工程と、基材の一方の面の複数のリード端子で囲まれる領域に、絶縁層を介してリード端子の厚みよりも薄いホール素子を載置する工程と、ホール素子が有する複数の電極部と複数のリード端子とを複数の導線でそれぞれ電気的に接続する工程と、ホール素子が載置された面側を封止部材で封止する工程と、封止部材及び絶縁層から基材を分離する工程とを有し、基材を分離する工程では、ホール素子の複数の電極部を有する面の反対側の面に絶縁層を残している。なお、具体的な製造方法は、ホール素子の厚み以外は上述した特許文献1と同様である。
リードフレームを準備する工程では、
図5(a),(b)で示すリードフレームが使用されても良い。つまり、複数のリード端子が有する面のうち、基材と接触する面とは反対側の面に段差Dを設けられたリードフレームを使用してもよい。
【0042】
<実施形態2>
以下に、実施形態2について説明する。本実施形態2においては、ホールセンサ100が完成した後に、例えば、図示しないが配線基板を用意し、この配線基板の一方の面にホールセンサ100を実装する。この実装工程では、例えば、各リード端子21a乃至21dのうち、封止部材50から露出し、かつ外装めっき層60で覆われている裏面を、ハンダ(図示せず)を介して配線基板の配線パターン(図示せず)に接続する。このハンダ付けは、例えば、リフロー方式で行うことができる。リフロー方式は、配線パターン上にハンダペーストを塗布(すなわち、印刷)し、その上に外装めっき層60が重なるように配線基板上にホールセンサ100を配置し、この状態でハンダペーストに熱を加えてハンダを溶かす方法である。実装工程を経て、ホールセンサ100と、ホールセンサ100が取り付けられる配線基板と、ホールセンサ100の各リード端子21a乃至21dを配線基板の配線パターンに電気的に接続するハンダとを備えたホールセンサ装置が完成する。
【0043】
このような構成により、以下のような効果を奏する。つまり、アイランドレス構造のホールセンサ100において、ホール素子10の裏面は絶縁層40で覆われている。これにより、ホールセンサ100を配線基板に取り付ける際に、例えば、電源電位に接続されるリード端子(すなわち、電源端子)21a下からホール素子10の下方までハンダがはみ出した場合でも、ホール素子10(半導体)とハンダ(金属)との間でショットキー接合が形成されることを防ぐことができ、このショットキー接合の順方向(すなわち、金属から半導体に向かう方向)に電流が流れることを防ぐことができる。
例えば、電源端子21a→導線31a→電極部13a→感磁部12→電極部13c→導線31c→リード端子21cの方向に電流を流した場合でも、ハンダからホール素子10へリーク電流が流れることを防ぐことができる。これにより、オフセット電圧の発生を抑え、磁界を正確に検出することが可能となる。
【0044】
<実施形態3>
以下に、実施形態3について説明する。上述した本実施形態1及び2においては、ホール素子10の裏面を覆う絶縁層40として、絶縁ペーストを用いる場合について説明した。しかしながら、本実施形態3において、絶縁層40は、絶縁ペーストに限定されるものではない。絶縁層40として、例えば、ダイアタッチフィルム、つまり、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの粘着層を用いてもよい。
このような構成により、以下のような効果を奏する。つまり、ホール素子10の裏面を覆う絶縁層として、ダイアタッチフィルムの粘着層を用いる。これにより、絶縁ペーストの塗布工程を省くことができるので、工程数の削減に寄与することができる。
【0045】
<実施形態4>
本実施形態のレンズモジュールは、ホールセンサと、磁石が取り付けられたレンズホルダと、ホールセンサの外部端子からの出力信号であるホール起電力信号に基づいて、磁石を移動させる駆動コイルと、を備える。本実施形態のホールセンサは、薄型で、かつ、磁気を正確に検出することができるため、レンズモジュールを小型化することができ、また、正確な位置検出を行うことが可能となる。レンズホルダに取り付けられた磁石の磁場を、本実施形態のホールセンサで検知し、検知した出力信号に基づいて、駆動コイルに駆動電流を流すことにより、オートフォーカス制御や手振れ補正制御を精度良く行うことができる。また、本実施形態のホールセンサは、薄型化しているため、ホールセンサ内部のホール素子と、磁石との位置を近づけることが可能となり、より精度のよい磁気検知が可能である。
【0046】
以上のように、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の他の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。