(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392886
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】電池モジュール用パワー端子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 2/30 20060101AFI20180910BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20180910BHJP
H01M 2/34 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
H01M2/30 C
H01M2/10 M
H01M2/34 B
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-554674(P2016-554674)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-507459(P2017-507459A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】KR2015000697
(87)【国際公開番号】WO2015133727
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2017年7月21日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0025863
(32)【優先日】2014年3月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キョンヒョン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ソンジュ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジェジュン・ソル
(72)【発明者】
【氏名】ブム・チェ
【審査官】
井原 純
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0116446(KR,A)
【文献】
国際公開第2013/015380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01M 2/10
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールの入出力のためのパワー端子を含むパワー端子アセンブリであって、
外側に突出しているパワー端子と、
前記パワー端子と結合されており、少なくとも一側に締結用第1貫通口が形成されている絶縁性本体と、
前記絶縁性本体が装着される装着溝が形成されており、絶縁性本体の第1貫通口に機械的に結合される第2貫通口が形成されており、電池モジュールの外部ケースに装着されるブラケットと、
前記パワー端子が貫通する貫通溝が形成されており、少なくとも一側端部には前記絶縁性本体の第1貫通口に機械的に結合される第3貫通口が形成されているバスバーと、
一側端部は前記パワー端子と接続され、他側端部は電池モジュールの内部のメイン端子と接続される接続ケーブルと、
を含むことを特徴とする、パワー端子アセンブリ。
【請求項2】
前記パワー端子の外周面にはねじ山が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項3】
前記第1貫通口、第2貫通口、及び第3貫通口は、互いに連通するように対応する位置に形成されており、ボルト及びナットによって機械的に結合されることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項4】
前記パワー端子と絶縁性本体はインサート射出成形によって一体に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項5】
前記接続ケーブルの両端部には接続用リング端子が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項6】
前記接続ケーブルの一側端部の接続用リング端子は、前記パワー端子に締結された状態で、前記絶縁性本体とバスバーとの間に装着されていることを特徴とする、請求項5に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項7】
前記接続ケーブルの一側端部の接続用リング端子は、前記バスバーの一面に溶接されていることを特徴とする、請求項6に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項8】
前記絶縁性本体には、ブラケットの方向に1つ以上の突出部が形成されており、前記ブラケットには、前記突出部が挿入される1つ以上の挿入部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項9】
前記絶縁性本体の一側及び対向側の部位にそれぞれ第1貫通口が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項10】
前記絶縁性本体の第1貫通口の部位には締結構造の保護のための側壁が突出していることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項11】
前記ブラケットには、電池モジュールの外部ケースに装着されるための1つ以上の締結口が角部位に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー端子アセンブリ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のパワー端子アセンブリを含んでいることを特徴とする、電池モジュール。
【請求項13】
前記電池モジュールは、正極パワー端子アセンブリ及び負極パワー端子アセンブリを含んでいることを特徴とする、請求項12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
請求項12に記載の電池モジュールを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、家庭用電源装置、公共施設電源装置、大型商店用電源装置、非常用電源装置、電算室電源装置、携帯用電源装置、医療設備電源装置、消火設備電源装置、警報設備電源装置、避難設備電源装置、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車であることを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール用パワー端子アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使用されており、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−In HEV)などの動力源としても注目されている。
【0003】
また、電気を貯蔵しておき、必要な時点に安定的に電力系統に再び供給する電力貯蔵装置に関する技術が開発されている。電力貯蔵装置は、電力需要が少ないときにエネルギーを貯蔵し、過負荷又は非常時に電力を供給する装置であって、電力品質及びエネルギー利用効率を向上させる効果を提供している。特に、家庭用電力貯蔵装置及び産業用又は商業用中型電力貯蔵装置は、スマートグリッド技術と結び付いて市場規模が急成長している。
【0004】
一方、電池モジュールが所定の装置乃至デバイスで要求される出力及び容量を提供するためには、多数の電池セルを直列又は並列方式で電気的に接続して電池モジュールを構成しなければならず、電池モジュールの容量が大きくなるほど、拡張性が容易であり、且つ安定した構造を維持できなければならない。
【0005】
また、前記のような電池モジュールを直列又は並列に連結して中大型電池パックを構成することによって、高出力大容量を要求するデバイスに前記中大型電池パックが装着されて電源を供給している。
【0006】
一般に、電池モジュールの一側にパワー端子が形成されており、このような電池モジュールを積層配列した後、電池モジュールのパワー端子を直列又は並列に連結して中大型電池パックを製造する。
【0007】
しかし、電池モジュールのうち一部の電池モジュールの誤作動、故障による交換、検査、及び電池モジュールの連結の拡張などにより、電池モジュールの連結及び分離が容易な構造が要求されている。すなわち、電池モジュールの安定した接続構造を維持しながらも、電池モジュールの連結及び分離が容易な構造の技術に対する必要性が高い実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0009】
具体的に、本発明の目的は、電池モジュールの安定した接続構造を維持しながらも、電池モジュールの連結及び分離が容易な電池モジュール用パワー端子アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するための本発明に係るパワー端子アセンブリは、
電池モジュールの入出力のためのパワー端子を含むパワー端子アセンブリであって、
外側に突出しているパワー端子と、
前記パワー端子と結合されており、少なくとも一側に締結用第1貫通口が形成されている絶縁性本体と、
前記絶縁性本体が装着される装着溝が形成されており、絶縁性本体の第1貫通口に機械的に結合される第2貫通口が形成されており、電池モジュールの外部ケースに装着されるブラケットと、
前記パワー端子が貫通する貫通溝が形成されており、少なくとも一側端部には前記絶縁性本体の第1貫通口に機械的に結合される第3貫通口が形成されているバスバーと、
一側端部は前記パワー端子と接続され、他側端部は電池モジュールの内部のメイン端子と接続される接続ケーブルと、
を含む構造で構成されてもよい。
【0011】
すなわち、本発明に係るパワー端子アセンブリは、電池モジュールの外部ケースに装着されて、安定した構造で電池モジュールの入出力が可能であり、機械的な組立構造によって電池モジュール間の電気的接続が容易な構造となっている。
【0012】
また、パワー端子を形成する部品をモジュール化することによって、電池モジュールに組み立てられる他の部品とは別途の生産が可能であり、異なる構造の電池モジュールにも適用できるので、拡張性が容易な構造となっている。
【0013】
一具体例において、前記パワー端子の外周面にはねじ山が形成されていてもよい。すなわち、ねじ山が形成された構造によって、所定の接続部材によって様々な形態で電池モジュール間の連結が可能であり、連結構造の安定性を向上させるためのナットの結合も可能である。
【0014】
前記絶縁性本体の第1貫通口、ブラケットの第2貫通口、及びバスバーの第3貫通口は、互いに連通するように対応する位置に形成されていてもよく、ボルト及びナットによって機械的に結合される構造であってもよい。
【0015】
このとき、第1貫通口、第2貫通口、及び第3貫通口は、2つ以上の多数で形成されて、多数の部位で結合をなすことによって組立安定性を向上させることができる。
【0016】
前記パワー端子と絶縁性本体は一体に結合された構造で形成されてもよく、例えば、インサート射出成形によって一体に結合されている構造であってもよい。
【0017】
前記接続ケーブルの両端部には接続用リング端子が形成されていてもよい。
【0018】
このような、接続ケーブルの一側端部の接続用リング端子は、前記パワー端子に締結されて電気的に接続された状態で、前記絶縁性本体とバスバーとの間に装着されている構造であってもよい。
【0019】
また、前記接続ケーブルの一側端部の接続用リング端子を前記バスバーの一面に溶接することによって、リング端子の遊動を防止し、安定した接続状態を維持するようにする構造からなることができる。
【0020】
一方、前記ブラケットに絶縁性本体が装着された構造を強固にするために、前記絶縁性本体には、ブラケットの方向に1つ以上の突出部が形成されていてもよく、前記ブラケットには、前記突出部が挿入される1つ以上の挿入部が形成されていてもよい。したがって、組立過程で前記突出部が挿入部に挿入されることによって、絶縁性本体がブラケットに定位置で安定的に装着される構造をなすことができる。
【0021】
前記絶縁性本体の一側及び対向側の部位には、それぞれ第1貫通口が形成されていてもよい。具体的に、パワー端子が形成されている部位を中心に一側端部部位及びその対向側端部部位にそれぞれ第1貫通口が形成された構造からなることができる。
【0022】
前記絶縁性本体の第1貫通口の部位には、締結構造の保護のための側壁がパワー端子の突出方向に突出している構造であってもよい。
【0023】
前記ブラケットには、電池モジュールの外部ケースに装着されるための1つ以上の締結口が角部位に形成されてもよい。一例として、前記ブラケットは、矩形状のプレート構造で形成されてもよく、4つの角部位にそれぞれ締結口が形成されることで、電池モジュールの外部ケースにボルトなどで結合される構造であってもよい。
【0024】
本発明はまた、パワー端子アセンブリを含んでいる電池モジュールを提供する。
【0025】
このような電池モジュールは、正極パワー端子アセンブリ及び負極パワー端子アセンブリを含むことができ、前記電池モジュールの外部ケースにおける一側に前記正極パワー端子アセンブリ及び負極パワー端子アセンブリが結合されている構造からなることができる。
【0026】
本発明はまた、前記電池モジュールを含むデバイスを提供し、前記デバイスは、具体的に、家庭用電源装置、公共施設電源装置、大型商店用電源装置、非常用電源装置、電算室電源装置、携帯用電源装置、医療設備電源装置、消火設備電源装置、警報設備電源装置、避難設備電源装置、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車であってもよいが、これに限定されない。
【0027】
このようなデバイスの構造及び作製方法は当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に係るパワー端子アセンブリの斜視図である。
【
図3】バスバーと接続ケーブルの構造に関する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0030】
図1には、本発明の一実施例に係るパワー端子アセンブリの斜視図が示されており、
図2には、
図1の後面を示す斜視図が示されている。
【0031】
図1及び
図2を参照すると、パワー端子アセンブリ100は、パワー端子110、絶縁性本体120、ブラケット130、バスバー140、及び接続ケーブル150を含む構造で構成されている。
【0032】
パワー端子110は、絶縁性本体120とインサート射出成形によって一体型に結合されており、絶縁性本体120から外側に突出している外周面にはねじ山が形成されている。
【0033】
絶縁性本体120は、パワー端子110が突出している部位を中心に上側端部部位及び下側端部部位にそれぞれ第1貫通口が形成されている。また、第1貫通口の部位には、締結構造を保護するための側壁124がパワー端子110の突出方向に突出している。
【0034】
ブラケット130は、絶縁性本体120が装着される装着溝134が形成されており、絶縁性本体120の第1貫通口に機械的に結合される第2貫通口が形成されている。そして、電池モジュール(図示せず)の外部ケースに装着するための締結口136が形成されている。具体的に、ブラケット130は、矩形状のプレート構造で形成されており、4つの角部位にそれぞれ締結口136が形成されていることで、電池モジュールの外部ケースにボルトなどで結合される構造からなっている。
【0035】
また、絶縁性本体120には、ブラケット130の方向に2つの線状突出部126が形成されており、ブラケット130には、線状突出部126がそれぞれ挿入される2つの挿入部138が穿孔されている。したがって、これらの組立過程において、線状突出部126がそれぞれ挿入部138に挿入されることによって、絶縁性本体120がブラケット130に定位置で安定的に装着される構造からなっている。
【0036】
バスバー140は、パワー端子110が貫通する貫通溝142が形成されており、両側端部部位には、絶縁性本体120の第1貫通口に機械的に結合される第3貫通口が形成されている。
【0037】
一方、絶縁性本体120、ブラケット130、及びバスバー140が組み立てられたとき、絶縁性本体120の第1貫通口、ブラケット130の第2貫通口、及びバスバー140の第3貫通口は、互いに連通するように対応する位置に形成され、ボルト162及びナット164によって機械的に結合される構造で形成されている。
【0038】
図3には、バスバー及び接続ケーブルの構造に関する斜視図が示されている。
【0039】
図3を
図1と共に参照すると、接続ケーブル150の両側端部には接続用リング端子152,154がそれぞれ形成されており、一側端部のリング端子152はパワー端子110と接続され、他側端部のリング端子154は電池モジュールの内部のメイン電源と接続される。パワー端子110と接続される接続ケーブル150のリング端子152は、パワー端子110に締結されて電気的に接続された状態で、絶縁性本体120とバスバー140との間に装着されている。
【0040】
このとき、パワー端子110に接続されるリング端子152は、遊動を防止し、安定した接続状態を維持するように、バスバー140の一面に溶接によって結合されている。
【0041】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上で説明したように、本発明に係るパワー端子アセンブリは、電池モジュールの外部ケースに装着されて、安定した構造で電池モジュールの入出力が可能な構造で形成されており、機械的な組立構造によって電池モジュール間の電気的接続が容易である。
【0043】
また、パワー端子を形成する部品をモジュール化することによって、電池モジュールに組み立てられる他の部品とは別途の生産が可能であり、異なる構造の電池モジュールにも適用できるので、拡張性が容易であるという効果を提供する。
【符号の説明】
【0044】
100 パワー端子アセンブリ
110 パワー端子
120 絶縁性本体
124 側壁
126 線状突出部
130 ブラケット
134 装着溝
136 締結口
138 挿入部
140 バスバー
150 接続ケーブル
152、154 接続用リング端子
162 ボルト
164 ナット