特許第6392913号(P6392913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392913研磨組成物およびアミノシランを用いて処理された研削剤粒子の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392913
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】研磨組成物およびアミノシランを用いて処理された研削剤粒子の使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180910BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20180910BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20180910BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   H01L21/304 621B
   H01L21/304 622B
   C09G1/02
   C09K3/14 550Z
   C09K3/14 550D
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-17502(P2017-17502)
(22)【出願日】2017年2月2日
(62)【分割の表示】特願2014-226224(P2014-226224)の分割
【原出願日】2008年9月19日
(65)【公開番号】特開2017-123467(P2017-123467A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】60/974,328
(32)【優先日】2007年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グルムバイン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ショウチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シン,パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】ディサード,ジェフリー
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−162533(JP,A)
【文献】 特表2006−524918(JP,A)
【文献】 特開2006−321978(JP,A)
【文献】 特開2006−196508(JP,A)
【文献】 特開2006−147993(JP,A)
【文献】 国際公開第01/057919(WO,A1)
【文献】 特開平08−045934(JP,A)
【文献】 米国特許第04364746(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09G 1/02
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を化学的機械的に研磨する方法であって、
(i)(a)液体キャリアーと、
(b)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、研磨組成物中の1wt%のシリカ粒子当たり150ppmから500ppmのアミノシラン化合物を用いて処理された表面を有する湿式プロセスシリカ粒子を含む、研削剤と、
(c)4〜8のpHと、
を含む化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程、
(ii)該基材に対して該研磨組成物を動かす工程、ならびに、
(iii)該基材を磨くために、該基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程であって、該基材が酸化ケイ素の少なくとも1つの層または窒化ケイ素の少なくとも1つの層を含み、そして該酸化ケイ素または窒化ケイ素の少なくとも一部分が該基材を磨くために該基材から除去される工程、
を含んで成り、そして
該処理されたシリカ粒子が15mV〜40mVのゼータ電位を有する、方法。
【請求項2】
該研磨組成物が4.02〜6.06のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該アミノシラン化合物がプロピル含有アミノシラン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該プロピル含有アミノシラン化合物がトリアルコキシシラン化合物をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該アミノシラン化合物が、アミノプロピルトリアルコキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ジエチルアミノメチルトリアルコキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリアルコキシシラン、3−(N−スチリルメチル)−2−アミノエチルアミノプロピルトリアルコキシシラン、(2−N−ベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(トリアルコキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビス(メチルジアルコキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)尿素、ビス(3−(トリアルコキシシリル)プロピル)−エチレンジアミン、およびビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基材を化学的機械的に研磨する方法であって、
(i)(a)液体キャリアーと、
(b)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、利用可能なシラノールの表面被覆率が4%〜50%であるようにアミノシラン化合物を用いて処理された表面を有する湿式プロセスシリカ粒子を含む、研削剤と、
(c)のpHと、
を含む化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程、
(ii)該基材に対して該研磨組成物を動かす工程、ならびに、
(iii)該基材を磨くために、該基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程であって、該基材が酸化ケイ素の少なくとも1つの層または窒化ケイ素の少なくとも1つの層を含み、そして該酸化ケイ素または窒化ケイ素の少なくとも一部分が該基材を磨くために該基材から除去される工程、
を含んで成り、そして
該処理されたシリカ粒子が15mV〜40mVのゼータ電位を有する、方法。
【請求項7】
該利用可能なシラノールの表面被覆率が4%〜30%である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該アミノシラン化合物がプロピル含有アミノシラン化合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
該プロピル含有アミノシラン化合物がトリアルコキシシラン化合物をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
該アミノシラン化合物が、アミノプロピルトリアルコキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ジエチルアミノメチルトリアルコキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリアルコキシシラン、3−(N−スチリルメチル)−2−アミノエチルアミノプロピルトリアルコキシシラン、(2−N−ベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(トリアルコキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビス(メチルジアルコキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)尿素、ビス(3−(トリアルコキシシリル)プロピル)−エチレンジアミン、およびビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基材の表面を研磨(例えば、平坦化)するための組成物および方法は、当該分野ではよく知られている。(研磨スラリー、CMPスラリー、およびCMP組成物としてまた知られている)研磨組成物は、典型的には、水溶液中に研削材を含み、そして表面と、研磨組成物で飽和させた研磨パッドとを接触させることによって、表面に適用される。典型的な研削材は、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化スズ等の金属酸化物粒子を含む。米国特許第5、527、423号明細書は、例えば、表面と、水媒体中に高純度の微細金属酸化物粒子を含む研磨組成物とを接触させることによって、金属層を化学的機械的に研磨する方法を記載する。研磨組成物は、典型的には、研磨パッド(例えば、研磨布またはディスク)とともに使用される。好適な研磨パッドは、米国特許第6、062、968号明細書、米国特許第6、117、000号明細書、および開放した多孔質ネットワークを有する焼結ポリウレタン研磨パッドの使用を開示する米国特許第6、126、532号明細書、および表面織地またはパターンを有する固体研磨パッドの使用を開示する米国特許第5、489、233号明細書中に記載されている。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハーは、典型的には、その上に複数のトランジスターが形成されているケイ素またはガリウムヒ素等の基材を含む。トランジスターは、基材および基材上の層におけるパターニング領域によって、基材に、化学的かつ物理的に接続されている。トランジスターおよび層は、いくつかの形態の酸化ケイ素(SiO)から主としてなる層間絶縁膜(ILD)によって分離されている。トランジスターは、周知のマルチレベルの相互接続の使用を通じて相互に接続されている。典型的なマルチレベルの相互接続は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、アルミニウム銅(Al−Cu)、アルミニウムケイ素(Al−Si)、銅(Cu)、タングステン(W)、ドープされたポリケイ素(ポリ−Si)、および種々のそれらの組み合わせ、の材料の1種または2種以上からなる積み重なった薄膜からなる。さらに、トランジスターまたはトランジスターの群は、多くの場合、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、および/またはポリケイ素等の絶縁材を用いて充填されたトレンチの使用を通じて、相互に隔離されている。
【0003】
化学的機械的研磨は、機器製造の種々のステージの間に、金属層または薄膜の表面を平坦化するために使用される。公知のCMP組成物の多くは、限定された目的のために好適である。しかし、従来のCMP組成物は、ウェハー製造中に使用される絶縁体材料に関して、受け入れ難い研磨速度および選択性のレベルを示す傾向がある。さらに、多くのCMP組成物は、下地膜に不充分な膜除去特性を示すか、または不充分な製造収率となる有害な膜腐食を生じる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集積回路機器の技術が進歩するにつれて、進歩した集積回路に必要なレベルの性能を達成するために、従来の材料は新しくかつ異なる方法において使用される。特に、窒化ケイ素および酸化ケイ素は、新しくかつさらに複雑な機器設定を達成するために種々の組み合わせにおいて使用される。一般的に、構造的な複雑さおよび性能特性は、異なる用途によって変わる。特別な機器のための研磨ニーズに合うようにCMPの間に、種々の層(例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素)の除去速度を調整でき、または除去速度を合せることができる方法および組成物への継続した要求がある。本発明は、そうした改善された研磨方法および組成物を提供する。本発明のこれらのおよび他の利点、ならびにさらなる発明の特徴は、本明細書中に提供された本発明の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基材を化学的機械的に研磨する方法を提供し、この方法は、(i)(a)液体キャリアー、(b)液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物を含む。)、および(c)ホスホン酸およびホウ素を含む酸からなる群から選択された酸を含む、化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程、(ii)基材に対して研磨組成物を動かす工程、ならびに(iii)基材を磨くために、基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程、を含む。
【0006】
本発明はまた、基材を化学的機械的に研磨する方法を提供し、この方法は、(i)(a)液体キャリアー、および(b)液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、第四級アミノシラン化合物、ダイポーダル(dipodal)アミノシラン化合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む。)を含む、化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程、(ii)基材に対して研磨組成物を動かす工程、ならびに(iii)基材を磨くために、基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程、を含む。
【0007】
本発明は、(a)液体キャリアー、(b)液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物を含む。)、および(c)ホスホン酸およびホウ素を含む酸からなる群から選択された酸を含む、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物をさらに提供する。
【0008】
本発明は、(a)液体キャリアー、および(b)液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、第四級アミノシラン化合物、ダイポーダルアミノシラン化合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたアミノシラン化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む。)を含む、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物をさらに提供する。
【0009】
本発明はまた、液体キャリアー、および液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物を含み、ここで、処理された研削剤粒子は、2%〜50%である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する。)を含む、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、化学的機械的研磨組成物、ならびに基材を化学的機械的に研磨する方法を提供する。研磨組成物は、(a)液体キャリアー、および(b)液体キャリアー中に懸濁された研削剤(ここで、研削剤は、アミノシラン化合物、ダイポーダルアミノシラン化合物等のアミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、スルホニウムシラン化合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む。)を含む。この組成物はまた、ホスホン酸およびホウ素を含む酸からなる群から選択された酸を含むことができる。さらに、この組成物は、処理された研削剤粒子を含むことができ、この粒子は、2%〜50%である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する。この方法は、基材と、化学的機械的研磨組成物とを接触させる工程、基材に対して研磨組成物を動かす工程、および基材を磨くために、基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程、を含む。
【0011】
研磨方法はさらに、基材と研磨パッド(例えば、研磨表面)とを接触させることを含むことができ、研磨パッドは、基材と研磨パッドとの間の研磨組成物と共に、基材に対して動かされる。研磨パッドは、その多くが当該技術分野で知られている任意の好適な研磨パッドであることができる。好適な研磨パッドは、例えば、織られた布研磨パッドおよび不織の研磨パッドを含む。さらに、好適な研磨パッドは、様々な、密度、硬度、厚さ、圧縮性、圧縮で反発する能力(ability to rebound upon compression)、および圧縮係数を有する任意の好適なポリマーまたはポリマーの組み合わせを含むことができる。好適なポリマーは、例えば、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共生成製品、およびそれらの混合物を含む。
【0012】
研磨パッドは、研磨パッドの研磨表面上または内側に固定された研削粒子を含むことができ、または研磨パッドは、固定された研削粒子がないか、または実質的にないことができる。研削材が固定された研磨パッドは、接着、バインダー、セラマー(ceramer)、樹脂、またはその同類のものによって研磨パッドの研磨表面に付着させられた研削粒子を有するパッド、または、例えば、ポリウレタン分散体を含む研削剤を含浸させた繊維バット等の、研磨パッドに一体部分を形成するように研磨パッド内に含浸された研削剤を含む。
【0013】
研磨パッドは、任意の好適な形状を有することができ。例えば、研磨パッドは、円形であることができ。そして、使用する場合に、典型的には、パッドの表面によって規定された平面に垂直な軸周りに回転的な動きを有するであろう。研磨パッドは、その表面が研磨表面として機能する円筒型であることができ、そして、使用する場合に、典型的にはシリンダーの中心軸周りの回転的な動きを有するであろう。研磨パッドは、エンドレスベルトの形態であることができ、使用の場合には、典型的には研磨される刃先に対して直線の動きを有するであろう。研磨パッドは、任意の好適な形を有することができ、そして、使用の場合に、平面または半円に沿った往復または軌道的な動きを有するであろう。多くの他の変化形は、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0014】
研磨組成物は、望ましくは、液体キャリアー(例えば、水)中に懸濁された研削剤を含む。研削剤は、典型的には粒状形態である。好ましくは、研削剤は、シリカ粒子、特にコロイドシリカ粒子を含むか、から本質的に成るか、またはから成る。コロイドシリカ粒子は、湿式プロセスを介して調製され、そして典型的には非凝集の、個々に離散した粒子であり、一般的に球形であるか、またはほぼ球形であるが、他の形(例えば、一般的に楕円形の、正方形、または長方形断面を有する形)を有することができる。そうした粒子は、典型的には発熱または炎加水分解プロセスを経て調製され、そして凝集した一次粒子の鎖状構造であるフュームド粒子と構造的に異なる。
【0015】
好ましくは、コロイドシリカは、沈殿し、または縮合重合されたシリカであり、ゾルゲル法によって、またはシリケートイオン交換によって等の、当業者に公知の任意の方法を使用して調製できる。縮合重合されたシリカ粒子は、典型的にはSi(OH)を縮合させて実質的に球状粒子を生成させることによって調製される。前駆体Si(OH)は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解によって、または水性シリケート溶液の酸性化によって得ることができる。そうした研削粒子は、米国特許第5、230、833号明細書に従って調製でき、またはEKA CHEMICALSからのBINDZIL50/80、30/310、および40/130製品、Fuso PL−I、PL−2、PL−3、およびPL−3H製品、およびNalco1034A、1050、2327、および2329製品、ならびにDuPont、Bayer、Applied Research、Nissan Chemical (SNOWTEX 製品)、およびClariantから入手可能である他の類似の製品等の種々の市販されている製品のいずれかとして得ることができる。
【0016】
粒子の粒径は、粒子を包含する最も小さい球の直径である。研削粒子は、任意の好適な粒径を有することができる。研削粒子は、5nm以上(例えば、10nm以上、15nm以上、20nm以上、または30nm以上)の平均粒径を有する。研削粒子は、150nm以下(例えば、130nm以下、80nm以下、50nm以下、または30nm以下)の平均粒径を有することができる。従って、研削粒子は、10nm〜150nm(例えば、20nm〜130nm、15nm〜100nm、20nm〜80nm、または20nm〜60nm)の平均粒径を有することができる。
【0017】
任意の好適な量の研削剤は、研磨組成物中に存在できる。典型的には、0.01wt%以上(例えば、0.05wt%以上)の研削剤は、研磨組成物中に存在できるであろう。さらに典型的には、0.1wt%以上(例えば、0.2wt%以上、0.3wt%以上、0.6wt%以上、1wt%以上、または2wt%以上)研削剤は、研磨組成物中に存在できるであろう。研磨組成物中の研削剤の量は、典型的には30wt%以下であろうし、さらに典型的には、20wt%以下(例えば、15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下、3wt%以下、または2wt%以下)であろう。好ましくは、研磨組成物中の研削剤の量は、0.01wt%〜20wt%であり、そしてさらに好ましくは、0.05wt%〜15wt%(例えば、0.1wt%〜10wt%、0.1wt%〜4wt%、0.1wt%〜3wt%、0.1wt%〜2wt%、または0.2wt%〜2wt%)である。
【0018】
研削剤は、少なくとも1種の、シラン化合物、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、またはスルホニウムシラン化合物を用いて処理される。好適なシラン化合物は、第1アミノシラン、第2アミノシラン、第3級アミノシラン、第四級アミノシラン、およびダイポーダルアミノシランを含む。アミノシラン化合物は、アミノプロピルトリアルコキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ジエチルアミノメチルトリアルコキシシラン、(N、N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリアルコキシシラン)、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノプロピルトリアルコキシシラン、(2−N−ベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン)、トリアルコキシシリルプロピル−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(トリアルコキシシリルエチル)ベンジル−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロライド、(ビス(メチルジアルコキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)尿素、ビス(3−(トリアルコキシシリル)プロピル)−エチレンジアミン、およびビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミン等の任意の好適なアミノシランであることができる。上記アミノシラン化合物中のアルコキシ基は、ハロゲン化物、アミンおよびカルボキシレート等の他の加水分解可能基によって置換できる。好ましくは、このシランは、ダイポーダルまたはトリポーダルである。シラン化合物の選択は、研磨される基材のタイプに部分的に依存する。
【0019】
好ましくは、処理された研削剤粒子は、未処理の研削剤粒子と同じであるか、またはわずかに大きい粒子を有する。処理された研削剤粒子における粒径のなんらかの増加は、好ましくは未処理の粒子の粒径の2倍以下(例えば、未処理の粒子の粒径の1.7倍以下、未処理の粒子の粒径の1.4倍以下、または未処理の粒子の粒径の1.2倍以下)である。例えば、処理された研削剤粒子は、5nm以上の平均粒径(例えば、10nm以上、15nm以上、20nm以上、または30nm以上)を有する。処理された研削剤粒子は、150nm以下(例えば、130nm以下、80nm以下、50nm以下、または30nm以下)の平均粒径を有することができる。従って、処理された研削剤粒子は、10nm〜150nm(例えば、20nm〜130nm、15nm〜100nm、20nm〜80nm、または20nm〜60nm)の平均粒径を有することができる。
【0020】
その多くが当業者に知られている研削剤を処理する任意の好適な方法を使用できる。例えば、研削剤は、研磨組成物の他の成分と混合する前に、アミノシラン化合物を用いて処理でき、またはアミノシランおよび研削剤は、研磨組成物のいくらかまたは全ての他の成分に同時に加えることができる。
【0021】
粒子が処理されるシランが、粒子上の全ての利用できるシラノール部位を覆わないことが好ましい。典型的には、処理された研削剤粒子は、2%以上(例えば、4%以上、8%以上)である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する。処理された研削剤粒子は、好ましくは50%以下(例えば、30%以下、20%以下、または10%以下)である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する。好ましくは、処理された研削剤粒子は、2%〜50%である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する(例えば、2%〜30%、2%〜20%、または4%〜15%)。表面シラノール濃度は、シリカでの5SiOH/nmの典型的な値およびシリカのBET表面積を使用して、見積もることができる。
【0022】
アミノシラン化合物は、任意の好適な量で研磨組成物中に存在できる。典型的には、研磨組成物は、30ppm以上(例えば、50ppm以上、100ppm以上、200ppm以上、300ppm以上、400ppm以上、または500ppm以上)のアミノシラン化合物を含む。研磨組成物は、好ましくは、2000ppm以下(例えば、1000ppm以下、800ppm以下、または600ppm以下)のアミノシラン化合物を含む。好ましくは、研磨組成物は、50ppm〜2000ppm(例えば、100ppm〜1000ppm、200ppm〜800ppm、250ppm〜700ppm、または275ppm〜600ppm)のアミノシラン化合物を含む。
【0023】
粒子のゼータ電位は、粒子の周りのイオンの電荷と、バルク溶液(例えば、液体キャリアーおよびそこに溶解された任意の他の成分)の電荷との違いをいう。研削剤がシリカである場合、研削剤がアミノシラン化合物を用いて処理される前に、研削剤は、2〜3のpHにおいて0のゼータ電位を有する。アミノシラン化合物を用いて処理した後で、処理された研削剤粒子は、正の電荷、従って正のゼータ電位を有する。典型的には、処理された研削剤粒子は、5mV以上(例えば、10mV以上、15mV以上、20mV以上、25mV以上、または30mV以上)のゼータ電位を有する。処理された研削剤粒子は、好ましくは、50mV以下(例えば、45mV以下、40mV以下、または35mV以下)のゼータ電位を有する。好ましくは、処理されたコロイドシリカ粒子は、5mV〜50mV(例えば、10mV〜45mV、15mV〜40mV、または20mV〜40mV)のゼータ電位を有する。
【0024】
液体キャリアーは、研磨される(例えば、平坦化される)好適な基材の表面への研削剤および任意選択的な任意の添加物の適用を促進するために使用される。液体キャリアーは、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、水、およびそれらの混合物を含む任意の好適なキャリアー(例えば、溶媒)であることができる。好ましくは、液体キャリアーは水、さらに好ましくは脱イオン水を含み、水、さらに好ましくは脱イオン水から本質的に成り、または水、さらに好ましくは脱イオン水から成る。
【0025】
研磨組成物はまた、任意の好適な酸であることができる酸を含むことができる。使用される酸は、研磨される基材のタイプに、部分的による。例えば、酸は、フタル酸、硝酸、ホウ酸等のホウ素を含む酸、または1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(例えば、DEQUEST2010)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(例えば、DEQUEST2000)、リン酸等のリンを含む酸、またはそれらの組み合わせであることができる。酸は、研磨組成物中に、任意の好適な量で存在できる。典型的には、研磨組成物は、10ppm以上(例えば、20ppm以上、30ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、150ppm以上、300ppm以上、または500ppm以上)の酸を含む。研磨組成物は、好ましくは、3000ppm以下(例えば、2000ppm以下、1500ppm以下、または1000ppm以下)の酸を含む。好ましくは、研磨組成物は、10ppm〜3000ppm(例えば、20ppm〜2000ppm、30ppm〜1500ppm、50ppm〜1000ppm、または100ppm〜1000ppm)の酸を含む。好ましい酸は、研磨組成物のpHに部分的による。
【0026】
研磨組成物はまた、任意選択的には、酸化剤を含むことができ、基材の1種または2種以上の材料が研磨組成物を用いて研磨されるために好適な任意の酸化剤であることができる。好ましくは、酸化剤は、ブロメート、ブロマイト、クロレート、クロライト、過酸化水素、ハイポクロライト、アイオデート、ヒドロキシルアミン塩、モノペルオキシサルフェート、モノペルオキシサルファイト、モノペルオキシホスフェート、モノペルオキシハイポホスフェート、モノペルオキシピロホスフェート、有機ハロオキシ化合物、パーアイオデート、パーマンガネート、ペルオキシ酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。酸化剤は、任意の好適な量で研磨組成物中に存在できる。典型的には、研磨組成物は、0.01wt%以上(例えば、0.02wt%以上、0.1wt%以上、0.5wt%以上、または1wt%以上)の酸化剤を含む。研磨組成物は、好ましくは、20wt%以下(例えば、15wt%以下、10wt%以下、または5wt%以下)の酸化剤を含む。好ましくは、研磨組成物は、0.01wt%〜20wt%(例えば、0.05wt%〜15wt%、0.1wt%〜10wt%、0.3wt%〜6wt%、または0.5wt%〜4wt%)の酸化剤を含む。
【0027】
研磨組成物、特に液体キャリアー中に溶解された任意の成分を有する液体キャリアーは、任意の好適なpHを有することができる。研磨組成物は、9未満(例えば、8以下、7以下、6以下、5以下、4.5以下、または4以下)のpHを有することができる。研磨組成物は、1以上(例えば、1.5以上、3以上、4以上、5以上、7以上、または8以上)のpHを有することができる。pHは、例えば、1〜7(例えば、1.5〜6、1.5〜5、または2〜4)であることができる。pHは、例えば、3〜8(例えば、3.5〜6、または4.5〜6.5)であることができる。pHは、例えば、7〜9(例えば、7.5〜8.5)であることができる。
【0028】
研磨組成物のpHは、任意の好適な手段によって達成でき、そして/または維持できる。さらに具体的に言うと、研磨組成物はさらに、pH調整剤、pH緩衝剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。pH調整剤は、任意の好適なpH調整化合物を含むことができ、任意の好適なpH調整化合物から本質的に成ることができ、または任意の好適なpH調整化合物から成ることができる。例えば、pH調整剤は、研磨組成物の酸であることができる。pH緩衝剤は、任意の好適な緩衝剤、例えば、ホスフェート、アセテート、ボレート、スルホネート、カルボキシレート、アンモニウム塩、アミノ酸、およびその同類のものであることができる。緩衝剤の能力は、そのpKa、(酸解離定数の負の対数)および濃度等の因子に依存する。最適な緩衝では、緩衝剤が、研磨組成物のpHの1単位以内のpKaを有することが好ましい。研磨組成物は、そうした量が、研磨組成物の所望のpHを、例えば、本明細書中で説明した範囲内に到達させ、そして/または維持するのに充分であるという条件で、任意の好適な量のpH調整剤および/またはpH緩衝剤を含むことができる。
【0029】
研磨組成物が、低い伝導度を有することは好ましい。伝導度は、電気を移動させる能力を記述する物質特性である。電解溶液において、電流は、酸、塩基および塩等の溶液中のイオンによって運ばれる。研磨組成物における伝導度は、好ましくは1500μS/cm以下(例えば、900μS/cm以下、600μS/cm以下、または300μS/cm以下)である。研磨組成物における伝導度は、好ましくは、30μS/cm以上(例えば、60μS/cm以上、100μS/cm以上)である。好ましくは、研磨組成物における伝導度は、30μS/cm〜1500μS/cm(例えば、30μS/cm〜900μS/cm、60μS/cm〜600μS/cm)である。
【0030】
研磨組成物は、任意選択的に、腐食防止剤(すなわち、膜形成剤)を含む。腐食防止剤は、任意の好適な腐食防止剤を含むことができ、任意の好適な腐食防止剤から本質的に成ることができ、または任意の好適な腐食防止剤から成ることができる。好ましくは、腐食防止剤は、アゾール化合物である。研磨組成物中で使用される腐食防止剤の量は、典型的には、研磨組成物の全重量に基づいて、0.0001wt%〜3wt%(好ましくは0.001wt%〜2wt%)である。
【0031】
研磨組成物は、任意選択的に、キレートまたは錯化剤を含む。錯化剤は、除去される基材層の除去速度を高めるか、またはケイ素研磨における微量の金属汚染物質を除去する任意の好適な化学添加物である。好適なキレートまたは錯化剤は、例えば、カルボニル化合物(例えば、アセチルアセトネートおよびその同類のもの)、単純なカルボキシレート(例えば、アセテート、アリールカルボキシレート、およびその同類のもの)、1つまたは2つ以上のヒドロキシル基を含むカルボキシレート(例えば、グリコレート、ラクテート、グルコネート、没食子酸およびそれらの塩、およびその同類のもの)、ジ、トリ、およびポリカルボキシレート(例えば、オキサレート、シュウ酸、フタレート、シトレート、スクシネート、タータレート、マレート、エデテート(例えば、EDTA2カリウム)、それらの混合物、およびその同類のもの)、1つまたは2つ以上のスルホン基および/またはホスホン基を含むカルボキシレート、およびその同類のものを含むことができる。好適なキレートまたは錯化剤はまた、例えば、ジ、トリ、またはポリアルコール(例えば、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸、およびその同類のもの)、ならびにアミン含有化合物(例えば、アンモニア、アミノ酸、アミノアルコール、ジ、トリ、およびポリアミン、およびその同類のもの)を含むことができる。キレートまたは錯化剤の選択は、除去される基材層のタイプによるであろう。
【0032】
当然のことながら、前記の化合物の多くは、塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩、またはその同類のもの)、酸の形態中に、または部分的な塩として、存在できる。例えば、シトレートは、クエン酸、およびクエン酸のモノ塩、ジ塩、およびトリ塩を含む;フタレートは、フタル酸、およびフタル酸のモノ塩(例えば、カリウム水素フタレート)およびジ塩を含む;パークロレートは、対応する酸(すなわち、過塩素酸)、およびこの酸の塩を含む。さらに、ある化合物または試薬は、1より多い機能を果たすことができる。例えば、いくつかの化合物は、キレート剤および酸化剤(例えば、ある硝酸第二鉄およびその同類のもの)の両方として機能できる。
【0033】
研磨組成物は、任意選択的に、1種または2種以上の他の添加物をさらに含む。そうした添加物は、1種または2種以上のアクリルサブユニット(例えば、ビニルアクリレートおよびスチレンアクリレート)を含むアクリレート、およびそれらの、ポリマー、コポリマー、およびオリゴマー、ならびにそれらの塩を含む。
【0034】
研磨組成物は、界面活性剤および/または粘度上昇剤および凝固剤(例えば、ウレタンポリマー等の、例えば、ポリマーのレオロジー制御剤)を含むレオロジー制御剤を含むことができる。好適な界面活性剤は、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、それらの混合物、およびその同類のものを含むことができる。好ましくは、研磨組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポリエーテル部分を含む。好適な非イオン性界面活性剤のある例は、エチレンジアミンポリオキシエチレン界面活性剤である。研磨組成物中での界面活性剤の量は、典型的には、0.0001wt%〜1wt%(好ましくは0.001wt%〜0.1wt%、およびさらに好ましくは、0.005wt%〜0.05wt%)である。
【0035】
研磨組成物は、消泡剤を含むことができる。消泡剤は、任意の好適な消泡剤を含むことができ、任意の好適な消泡剤から本質的に成ることができ、または任意の好適な消泡剤から成ることができる。好適な消泡剤は、ケイ素系およびアセチレンジオール系消泡剤を含むがこれらに限られない。研磨組成物中での消泡剤の量は、典型的には、10ppm〜140ppmである。
【0036】
研磨組成物は、殺生剤を含むことができる。殺生剤は、任意の好適な殺生剤、例えば、イソチアゾリノン殺生剤を含むことができ、任意の好適な殺生剤、例えばイソチアゾリノン殺生剤から本質的に成ることができ、または任意の好適な殺生剤、例えばイソチアゾリノン殺生剤から成ることができる。研磨組成物中での殺生剤の量は、典型的には1〜50ppm、好ましくは10〜20ppmである。
【0037】
研磨組成物は、好ましくはコロイド的に安定である。コロイドの用語は、液体キャリアー中における粒子の懸濁液をいう。コロイド安定性は、時間の経過に伴うその懸濁液の持続性をいう。研磨組成物が、100mlの目盛り付きのシリンダーに入れられ、そして2時間放置され、かつ混合されない場合の、研磨組成物における粒子の初期濃度(g/mlを単位とする[C])で割った、目盛り付きのシリンダーの底50mlにおける粒子の濃度(g/mlを単位とする[B])と、目盛り付きのシリンダーの上部50mlにおける粒子の濃度(g/mlを単位とする[T])との間の差が0.5以下(すなわち、{[B]−[T]}/[C]<0.5)である場合、研磨組成物は、コロイド的に安定と考えられる。好ましくは、([B]−[T])/[C]の値は、0.3以下であり、さらに好ましくは、0.1以下であり、またさらに好ましくは、0.05以下であり、そして最も好ましくは、0.01以下である。
【0038】
研磨組成物は、その多くが当業者に公知である任意の好適な技術によって調製できる。研磨組成物は、バッチまたは連続的プロセスにおいて調製できる。一般的に、研磨組成物は、それらの成分を任意の順番で混合することにより調製できる。「成分」の用語は、本明細書中で使用される場合、個々の成分(例えば、液体キャリアー、研削剤、酸等)、および成分(例えば、水、処理された研削剤、界面活性剤等)の任意の組み合わせを含む。
【0039】
研磨組成物は、液体キャリアー、および任意選択的に研削剤および/または他の添加物を含む1つのパッケージシステムとして供給できる。あるいは、酸化剤等の成分のいくつかは、乾燥形態で、または液体キャリアー中での溶液または分散体としてのいずれかで第1の容器で供給でき、そして研削剤および他の添加物等の残りの成分は、第2の容器または複数の他の容器で供給できる。他の2つの容器、または3つまたは4つ以上の容器、研磨組成物の成分の組み合わせは、当業者の知識の範囲内である。
【0040】
研削剤等の固体成分は、乾燥形態で、または液体キャリアー中の溶液としてのいずれかで1つまたは2つ以上の容器中に置かれることができる。さらに、第1の、第2の、または他の容器中の成分が、異なるpH値を有すること、またあるいは実質的に類似の、または同一までものpH値を有することが好適である。研磨組成物の成分は、相互に部分的にまたは完全に別々に供給でき、そして、例えば、エンドユーザーによって、使用の直前(例えば、使用前の1週間以内、使用前の1日以内、使用前の1時間以内、使用前の10分以内、または使用前の1分以内)に混合できる。
【0041】
研磨組成物はまた、使用前に、適当な量の液体キャリアーで希釈することを目的とする濃縮物として供給できる。そうした態様では、それぞれの成分が、適当な量の液体キャリアーを用いた濃縮物の希釈で、それぞれの成分について、上記に記載した適当な範囲内の量で研磨組成物中に存在できるような量で、研磨組成物濃縮物は、液体キャリアーおよび任意選択的に他の成分を含むことができる。例えば、濃縮物が適当な体積の液体キャリアー(例えば等体積の液体キャリアー、2等体積の液体キャリアー、3等体積の液体キャリアー、または4等体積の液体キャリアー、それぞれ)で希釈された場合に、それぞれの成分がそれぞれの成分について上記で説明した範囲内の量で研磨組成物内に存在するであろうように、研磨組成物中におけるそれぞれの成分について上記に記載した濃度の2倍(例えば、3倍、4倍、または5倍)であるような量で、それぞれの成分は濃縮物中に存在できる。さらに、当業者によって理解されるであろうように、ポリエーテルアミンおよび研削剤等の他の好適な添加物が、濃縮物中において、少なくとも部分的にもしくは完全に溶解し、または懸濁することを確かにするために、濃縮物は、最終の研磨組成物中に存在する適当な量の液体キャリアーを含む。
【0042】
基材を研磨する本発明の方法は、化学的機械的研磨(CMP)装置と組み合わせた使用に特に適している。典型的には、装置は、使用時には動いていて、そして軌道の、直線の、または巡回する、動きから生じる速度を有しているプラテン、プラテンと接触しており、そして動作時にはプラテンと共に動く研磨パッド、および研磨パッドの表面と接触し、そして研磨パッドの表面に対して動くことによって、研磨される基材を保持する搬送器具(carrier)を含む。基材の研磨は、基材が本発明の研磨パッドおよび(一般的に基材と研磨パッドとの間に配置されている)研磨組成物と接触して配置されて、基材を研磨するために基材の少なくとも一部分を摩耗させるように、研磨パッドが基材に対して動くことで生じる。
【0043】
望ましくは、CMP装置はさらに、その多くが当該技術分野で知られているin situ研磨終点検出システムを含む。加工対象物の表面から反射された光または他の放射を分析することによる研磨工程の検査および監視のための技術は、当該技術分野で知られている。望ましくは、研磨されている基材に関する研磨工程の進行の検査または監視は、研磨終了点の決定、すなわち、特定の基材に関して研磨工程をいつ終了するかの決定を可能にする。そうした方法は、例えば米国特許第5、196、353号明細書、米国特許第5、433、651号明細書、米国特許第5、609、511号明細書、米国特許第5、643、046号明細書、米国特許第5、658、183号明細書、米国特許第5、730、642号明細書、米国特許第5、838、447、米国特許第5、872、633号明細書、米国特許第5、893、796号明細書、米国特許第5、949、927号明細書、および米国特許第5、964、643号明細書に記載されている。
【0044】
研磨は、表面を磨くための表面の少なくとも一部分の除去をいう。研磨は、ゴージ(gouges)、クレート(crates)、穴(pits)、およびその同類のものを除去することによって低下した表面粗さを有する表面を提供するために行うことができるが、しかし、研磨はまた平面セグメントの交差によって特徴付けられる平面形状を導入または回復するために行うことができる。
【0045】
本発明の方法を使用して研磨される基材は、任意の好適な基材であることができる。好適な基材は、平面パネルディスプレイ、集積回路、メモリーまたはハードディスク、金属、層間絶縁(ILD)機器、半導体、微小電気機械システム、強誘電体、および磁気ヘッドを含むがこれらに限られない。基材は、複数の層、例えば、絶縁層、導電性層を含むことができる。絶縁層は、金属酸化物、多孔質金属酸化物、ガラス、有機ポリマー、フッ素化有機ポリマー、または任意の他の好適なhigh−κもしくはlow−κ絶縁層であることができる。絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせを含むことができ、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせから成ることができ、または酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせから本質的に成ることができる。酸化ケイ素は、その多くが当業者に知られている任意の好適な酸化ケイ素であることができる。好適なタイプの酸化ケイ素は、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、プラズマ助長テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)、熱酸化物、未ドープシリケートガラス、炭素ドープ酸化ケイ素(CDO)、フッ素ドープ酸化ケイ素(FSG)および高密度プラズマ(HDP)酸化物を含むがこれらに限られない。基材は、少なくとも1つの追加の絶縁層をさらに含むことができる。少なくとも1つの追加の絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせを含むことができ、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせから成ることができ、または酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせから本質的に成ることができる。基材は、金属層をさらに含むことができる。金属層は、その多くが当該技術分野で知られている、例えば、タングステン等の任意の好適な金属を含むことができ、例えば、タングステン等の任意の好適な金属をから本質的に成ることができ、また例えば、タングステン、タンタル、チタン、ルテニウム、銅、アルミニウム等の任意の好適な金属をから成ることができる。
【0046】
本発明の方法は、酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含む基材を研磨するのに特に有用である。酸化ケイ素の層は、100Å/分以上(例えば、300Å/分以上、400Å/分以上、500Å/分以上、600Å/分以上、または800Å/分以上)の速度で除去できる。酸化ケイ素の層は、5000Å/分以下(例えば、3000Å/分以下、2000Å/分以下、1000Å/分以下、800Å/分以下、または500Å/分以下)の速度で除去できる。従って、酸化ケイ素の層は、200Å/分〜5000Å/分(例えば、300Å/分〜2000Å/分、600Å/分〜5000Å/分、400Å/分〜1500Å/分、500Å/分〜1000Å/分、または500Å/分〜800Å/分)の速度で基材から除去できる。
【0047】
本発明の方法はまた、窒化ケイ素の少なくとも1つの層を含む基材を研磨するのに特に有用である。窒化ケイ素層は、100Å/分以上(例えば、300Å/分以上、400Å/分以上、500Å/分以上、600Å/分以上、または800Å/分以上)の速度で除去できる。窒化ケイ素層は、3000Å/分以下(例えば、2000Å/分以下、1500Å/分以下、1000Å/分以下、800Å/分以下、または500Å/分以下)の速度で除去できる。従って、窒化ケイ素層は、100Å/分〜3000Å/分(例えば、100Å/分〜2000Å/分、100Å/分〜1500Å/分、200Å/分〜1500Å/分、300Å/分〜1000Å/分、または500Å/分〜800Å/分)の速度で基材から除去できる。
【0048】
基材は、窒化ケイ素の少なくとも1つの層および酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含むことができ、ここで酸化ケイ素の層は、窒化ケイ素の層に比較して、選択的に除去され、窒化ケイ素の層は、酸化ケイ素の層に比較して、選択的に除去され、または窒化ケイ素の層は、酸化ケイ素の層と比較して、類似の速度で除去される。
【0049】
以下の例は、本発明をさらに具体的に示すが、もちろん、発明の範囲をいかなる様式においても制限するものと解されるべきではない。以下の例中のすべてのデータは、28kPa(4psi)の研磨押し力で、IC1000パッドおよび1.6インチウェハーを使用するLogitech研磨機で生成した。
【実施例】
【0050】
例1
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物のpHによる酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0051】
TEOSウェハー、BPSGウェハー、および窒化ケイ素ウェハーを、10種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。それぞれの研磨組成物は、300ppmのアミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理した1wt%のコロイドシリカを含んだ。研磨組成物1A〜1Jでは、アミノプロピルトリエトキシシランを30分間水と混合し、次にシリカを加え、そして生じた分散体を2時間攪拌した。研磨組成物1G〜1Jでは、シランの添加の前にpHを4に調整した。なんら追加の硝酸を含まない研磨組成物1Aおよび1Gを除いて、それぞれの研磨組成物のpHを、次に硝酸を用いてターゲットpHに調整した。それぞれの研磨組成物のpHを表1に示す。
【0052】
TEOSおよびBPSGウェハーの両者での酸化ケイ素の除去速度(Å/分)、ならびに窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表1に示す。
表1
【表1】
【0053】
表1に示されたデータから明らかなように、研磨組成物のpHは、酸化ケイ素および窒化ケイ素の両方の研磨速度を変えるように調整できる。
【0054】
例2
この例は、酸およびアミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物のpHによる酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0055】
TEOSウェハーおよび窒化ケイ素ウェハーを、22種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物2A〜2Mは、300ppmのアミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理した1wt%のコロイドシリカ(50nm)を含んだ。研磨組成物2N〜2Qは、1wt%の未処理のコロイドシリカを含んだ。研磨組成物2R〜2Vは、250ppmのビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンを用いて処理された1wt%のコロイドシリカ(35nm)、1%過酸化水素、および下記表2中に示されたpHを調整するために使用された硝酸を含んだ。それぞれの研磨組成物のpHおよびそれぞれの組成物に加えられた酸のタイプおよび量を表2に示す。
【0056】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)および窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表2に示す。
表2
【表2】
【0057】
表2に示されたデータから明らかなように、研磨組成物のpHは、酸化ケイ素または窒化ケイ素のいずれかを選択的に除去するように、幾つかの異なる酸を使用して調整できる。
【0058】
例3
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物のpHおよび酸濃度による、酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0059】
TEOSウェハーおよび窒化ケイ素ウェハーを、15種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物のそれぞれは、300ppmのアミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理した1wt%のコロイドシリカを含んだ。研磨組成物3A〜3DのpHを、シランの添加の前に9に調整し、そして研磨組成物3E〜3OのpHを、シランの添加の前に、7.5に調整した。それぞれの研磨組成物の最終のpHおよびそれぞれの組成物に加えられた1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(DEQUEST2010)の量を表3に示す。
【0060】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)および窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表3に示す。
表3
【表3】
【0061】
表3に示されたデータから明らかなように、発明の研磨組成物のpHは、酸化ケイ素または窒化ケイ素のいずれかを選択的に除去するように、異なる濃度の酸を使用して調整できる。
【0062】
例4
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子およびリンを含む酸を含む研磨組成物による酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0063】
TEOSウェハーおよび窒化ケイ素ウェハーを、4種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物のそれぞれは、800ppmのアミノアルキルシロキサンを用いて処理した3wt%のコロイドシリカを含んだ。pHを2.2に調整するために研磨組成物4Aおよび4Cに硝酸を加えた。それぞれの研磨組成物のpHおよびそれぞれの組成物に加えられた酸のタイプおよび量を表4に示す。
【0064】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)および窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表4に示す。
表4
【表4】
【0065】
表4に示されたデータから明らかなように、研磨組成物中で使用されるpHおよび酸のタイプは、酸化ケイ素または窒化ケイ素のいずれかを選択的に除去するように、調整できる。
【0066】
例5
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物による、酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0067】
TEOSウェハーおよび窒化ケイ素ウェハーを、12種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物のそれぞれは、アミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理したコロイドシリカおよび1000ppmの1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(DEQUEST2010)を含んだ。それぞれの組成物に加えられたアミノプロピルトリエトキシシランおよびコロイドシリカの量およびそれぞれの組成物のpHを表5に示す。
【0068】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)および窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表5に示す。
表5
【表5】
【0069】
表5に示されたデータから明らかなように、アミノプロピルトリエトキシシランの量が少なくとも500ppmの濃度まで増加するにつれて、酸化ケイ素の除去速度は増加した。アミノプロピルトリエトキシシランの濃度は、窒化ケイ素の除去速度に比較的ほとんど影響しなかった。研磨組成物中でコロイドシリカの濃度が増加するにつれて、酸化ケイ素の除去速度および窒化ケイ素の除去速度の両者は増加した。
【0070】
例6
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたシリカ粒子を含む研磨組成物による酸化ケイ素および窒化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0071】
TEOSウェハーおよび窒化ケイ素ウェハーを、18種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物のそれぞれは、アミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理した3wt%シリカおよび1500ppmの1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(DEQUEST2010)を含んだ。粒子のゼータ電位に加えて、それぞれの組成物に加えられたシリカ粒子のタイプおよびアミノプロピルトリエトキシシランの量を表6に示す。
【0072】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)および窒化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表6に示す。
表6
【表6】
【0073】
表6に示されたデータから明らかなように、ゾルゲル法を使用して合成されたコロイドシリカ粒子およびシリケートイオン交換を使用して合成された46nm、50nm、および80nmのコロイドシリカ粒子の処理は、酸化ケイ素基材の研磨において効果的であったが、一方、フュームドシリカ粒子は、酸化ケイ素基材の研磨においてあまり効果的でなかった。充分な濃度のアミノシランが粒子を処理するために使用された場合、32nmのコロイドシリカ粒子は、酸化ケイ素基材の研磨において効果的であった。
【0074】
例7
この例は、アミノシラン化合物を用いて処理されたシリカ粒子を含む研磨組成物による酸化ケイ素の除去速度への効果を示す。
【0075】
TEOSウェハーを、7種の異なる研磨組成物を用いて研磨した。研磨組成物のそれぞれは、硝酸を用いて5.1のpHに調整され、そして、アミノプロピルトリエトキシシランを用いて処理したコロイドシリカを含んだ。それぞれの組成物に加えられたコロイドシリカの量を表7に示す。
【0076】
酸化ケイ素の除去速度(Å/分)を、それぞれの研磨組成物について決定し、そして結果を表7に示す。
表7
【表7】
【0077】
表7に示されたデータから明らかなように、コロイドシリカの量が2wt%のコロイドシリカに増加するまで、酸化ケイ素の除去速度は、増加した。
【0078】
例8
この例は、種々の量のアミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物における平均粒径および処理された粒子上の利用できるシラノールの表面被覆率を示す。
【0079】
研磨組成物のそれぞれを、例5に記載されたように調製した。それぞれの組成物に加えられたアミノプロピルトリエトキシシランおよびコロイドシリカの量およびそれぞれの組成物のpHを表8に示す。処理された粒子のサイズを、5日後にMalvern HS3000を使用して測定した。スラリーを遠心分離し、そしてアミノシラン上の第1級アミンを、6−アミノキノリル−N−ヒドロキシスクシンイミジルカルバミン酸(6−aminoquinoly−N−hydroxysuccinimidyl carbamate)(水により作られたAccQ Tag)を用いて誘導し、そして逆相HPLCを使用して定量化することにより、分離物(centrate)を分析することによって、溶液中に残されたシランを5日後に測定した。研磨組成物に加えられたシランの量から処理後の溶液中に残ったシランの量を引いた差として、処理された粒子上のシランの量を計算した。表面被覆率を、処理された粒子の表面上のシランの量を粒子表面のシラノールで割り、そしてパーセンテージとして表わした。シリカのBET表面積(117m/g)を測定すること、および1nm当り5シラノールのコロイドシリカの典型的なシラノール密度を使用することによって、粒子の表面上のシラノールの数を決定した。
【0080】
平均粒径、粒子上のシランの量、および粒子の表面被覆率を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表8に示す。
表8
【表8】
【0081】
表8に示されたデータから明らかなように、アミノプロピルトリエトキシシランの量がシリカの量に対して増加するにつれて、粒子上の表面被覆率パーセントは増加した。粒径は、より低いシラン濃度において比較的安定なままであったが、しかしシリカの量に対してより高いシランレベルで増加した。
【0082】
例9
この例は、種々の量のアミノシラン化合物を用いて処理されたコロイドシリカ粒子を含む研磨組成物における、処理された粒径および粒子の表面上のシラノールの数で割った加えられたシランの値による、酸化ケイ素の除去速度への影響を示す。
【0083】
研磨組成物のそれぞれは、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを用いて処理した0.3%のコロイドシリカ(45nm)、100ppmのホウ酸を含み、そして硝酸を用いて3.5のpHに調整された。それぞれの組成物に加えられたビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンの量を表9に示す。ゼータ電位および処理された粒子のサイズをMalvern HS3000を使用して測定した。組成物を遠心分離し、そして陽イオンモードでLCマス分析法を使用して分離物を分析することによって、溶液中に残ったシランの量を、2ヵ月後に測定した。処理された粒子上のシランの量を、研磨組成物に加えられたシランの量から処理後に溶液中に残ったシランの量を差し引いた差として計算した。表面被覆率は、粒子表面上のシラノールで割った処理された粒子の表面上のシランの量であり、そしてパーセンテージで表わされる。シリカ(87m/g)のBET表面積を測定することおよびコロイドシリカで、1nm当り5シラノールの典型的なシラノール密度を使用することによって、粒子の表面上のシラノールの数を決定した。
【0084】
ゼータ電位、平均粒径、表面被覆率、および酸化ケイ素の除去速度を、それぞれの研磨組成物で決定し、そして結果を表9に示す。
表9
【表9】
【0085】
表9に示されたデータから明らかなように、粒子上の表面被覆率のパーセントが5%に増加するにつれて、酸化ケイ素の除去速度は、急速に増加し、そして次に、表面被覆率のパーセントが5%から32%に増加した場合に、比較的高いレベルで実質的に変化しないままであり、次に粒子上の表面被覆率のパーセントが増加するにつれて、低下し始めた。平均粒径は、200ppm以下のシラン濃度において、比較的安定(例えば、45%の表面被覆率のパーセント)であったが、より高いシラン濃度においては、増加し始めた。
(態様)
(態様1)
基材を化学的機械的に研磨する方法であって、
(i)(a)液体キャリアーと、
(b)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む、研削剤と、
(c)ホスホン酸およびホウ素を含む酸からなる群から選択された酸と、
を含む化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程、
(ii)該基材に対して該研磨組成物を動かす工程、ならびに、
(iii)該基材を磨くために、該基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程、
を含んで成る、方法。
(態様2)
該研削剤が、コロイドシリカ粒子である、態様1の方法。
(態様3)
該研削剤の表面が、アミノプロピル基を含むアミノシラン化合物を用いて処理されている、態様1の方法。
(態様4)
該基材が、該基材を磨くために、該基材から除去される窒化ケイ素の少なくとも1つの層を含む、態様1の方法。
(態様5)
該研磨組成物が、1.5〜5のpHを有する。態様4の方法。
(態様6)
該酸が、アミノトリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸から成る群から選択される、態様4の方法。
(態様7)
該基材が、該基材を磨くために該基材から除去される酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含む、態様1の方法。
(態様8)
該基材が、窒化ケイ素をさらに含み、そして該酸化ケイ素が、該窒化ケイ素に比較して、該基材から選択的に除去される、態様7の方法。
(態様9)
該研磨組成物が、3.5〜6のpHを有する、態様7の方法。
(態様10)
基材を化学的機械的に研磨する方法であって、
(i)(a)液体キャリアーと、
(b)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、第四級アミノシラン化合物、ダイポーダルアミノシラン化合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む、研削剤と、
を含む化学的機械的研磨組成物と、基材とを接触させる工程と、
(ii)該基材に対して該研磨組成物を動かす工程と、
(iii)該基材を磨くために、該基材の少なくとも一部分を摩耗させる工程と、
を含んで成る、方法。
(態様11)
該研削剤が、コロイドシリカ粒子である、態様10の方法。
(態様12)
該研磨組成物が、7〜9のpHを有する、態様10の方法。
(態様13)
該基材が、該基材を磨くために該基材から除去される酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含む、態様10の方法。
(態様14)
(i)液体キャリアー、
(ii)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む、研削剤と、
(iii)ホスホン酸およびホウ素を含む酸からなる群から選択された酸と、
を含んで成る、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物。
(態様15)
該研削剤の表面が、アミノプロピル基を含むアミノシラン化合物を用いて処理されている、態様14の研磨組成物。
(態様16)
該研磨組成物が、4〜7のpHを有する、態様14の研磨組成物。
(態様17)
該ホスホン酸が、アミノトリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸からなる群から選択される、態様14の研磨組成物。
(態様18)
該研磨組成物が、1.5〜5のpHを有する、態様14の研磨組成物。
(態様19)
(i)液体キャリアーと
(ii)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、第四級アミノシラン化合物、ダイポーダルアミノシラン化合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物粒子を含む、研削剤と、
を含んで成る、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物。
(態様20)
該研削剤が、コロイドシリカである、態様19の研磨組成物。
(態様21)
該研磨組成物が、1500μS/cm以下の伝導度を有する、態様19の研磨組成物。
(態様22)
(i)液体キャリアーと、
(ii)該液体キャリアー中に懸濁された研削剤であって、アミノシラン化合物、ホスホニウムシラン化合物、およびスルホニウムシラン化合物から成る群から選択された化合物を用いて処理された表面を有する金属酸化物を含み、そして該処理された研削剤粒子は、2%〜50%である利用可能なシラノールの表面被覆率を有する、研削剤と、
を含んで成る、基材を研磨するための化学的機械的研磨組成物。
(態様23)
該研磨組成物が、4〜7のpHを有する、態様22の研磨組成物。
(態様24)
該研磨組成物のpHを緩衝できる化合物をさらに含む、態様22の研磨組成物。
(態様25)
該金属酸化物粒子が、コロイドシリカ粒子である、態様22の研磨組成物。