特許第6392954号(P6392954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6392954-曲面構造の電池セル収納用トレイ 図000002
  • 特許6392954-曲面構造の電池セル収納用トレイ 図000003
  • 特許6392954-曲面構造の電池セル収納用トレイ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392954
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】曲面構造の電池セル収納用トレイ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   H01M2/10 L
   H01M2/10 Y
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-157056(P2017-157056)
(22)【出願日】2017年8月16日
(62)【分割の表示】特願2016-516861(P2016-516861)の分割
【原出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-204486(P2017-204486A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0116908
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハン・チュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソグ・ジン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウー・シン
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−150021(JP,A)
【文献】 特開2011−70998(JP,A)
【文献】 特開2004−103472(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/062662(WO,A1)
【文献】 特開2012−151110(JP,A)
【文献】 特表2005−501385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0083496(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0308282(US,A1)
【文献】 特開2009−176714(JP,A)
【文献】 特開2008−66289(JP,A)
【文献】 特開2009−110832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板本体と、
前記平板本体から陥没した構造となっており、装着される電池セルの曲面構造に符合する曲面が形成されている1つ以上のリブを含む基底平面、及び前記基底平面を平板本体と連結する側壁で構成されている、1つ以上の電池セル装着部と、
を含み、
前記リブは、前記基底平面と対面する第1平面、及び前記第1平面に対向する第1曲面で構成されており、前記第1平面と第1曲面のそれぞれの両端が互いに連結されている構造からなることを特徴とする、電池セルトレイ。
【請求項2】
2つ以上のリブを含んでおり、前記リブは互いに離隔していることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項3】
前記側壁は平板本体から延長形成されており、 基底平面は側壁から延長形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項4】
前記側壁は平板本体に結合されており、 基底平面は側壁から延長形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項5】
前記側壁は平板本体に結合されており、 基底平面は側壁に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項6】
前記電池セル装着部は、
電池セルの本体の形状に対応する収納空間が形成されている電池セル本体装着部と、
前記電池セル本体装着部の一部から電極リードの突出方向に延長形成されている電極リード装着部と、
で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項7】
前記側壁のうち1つ以上の側壁には開口が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項8】
前記側壁のうち1つ以上の側壁には1つ以上の陥没部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【請求項9】
隣接配列されている2つ以上の電池セル装着部間に形成されている側壁のうち1つ以上の側壁には、互いに対面する位置で陥没部が互いに連通していることを特徴とする、請求項1に記載の電池セルトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返しの充放電が可能な二次電池を収納する電池セルトレイに関するものであり、より詳細には、曲面構造の電池セルの寸法安定性を向上させることができるように、曲面構造の電池セル収納部が形成されている電池セルトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
IT(Information Technology)技術の目覚しい発達に伴い、様々な携帯型情報通信機器の拡散により、21世紀は、時間と場所にとらわれずに高品質の情報サービスが可能な「ユビキタス社会」に発展している。このようなユビキタス社会への発展のベースには、リチウム二次電池が重要な位置を占めている。
【0003】
最近は、電子デバイスのデザイン自体が需要者の製品選択において非常に重要な要素として作用し、消費者の好みによって電子デバイスがますます小型化、薄型化していく趨勢である。これによって、電子デバイスの内部空間の不必要な浪費を最小化するために、リチウム二次電池も、小型化、薄型化が要求されており、リチウム二次電池の形状も、電子デバイスの形状に応じて多様に具現される必要がある。最近、フレキシブル(flexible)電池を含め、曲がった形状の電池に対する需要が高まっている。
【0004】
これと関連して、韓国公開特許第2012−0082808号公報には、曲がった形状の電池が開示されている。しかし、韓国公開特許第2012−0082080号公報は、電子デバイスの内部に装着される曲面構造の電池を開示しているだけで、曲がった形状の電池が有する問題点については全く開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2012−0082808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の発明者らは、曲がった形状のパウチ型電池は、外部衝撃による曲率変形が発生する問題があることを確認した。このような問題点は寸法安定性を低下させることによって、電子デバイスの内部への装着を難しくするという問題があった。これは、最終的に、良品率を低下させる原因となる。
【0007】
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決するために、外部衝撃から曲率が変形する現象を防止し、寸法安定性を向上させて曲がった形状の電池セルの良品率を改善することができるように、曲面構造の電池セル収納部を含む電池セルトレイを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による電池セルトレイは、
平板本体;及び
前記平板本体から陥没した構造となっており、装着される電池セルの曲面(curved surface)構造に符合する曲面が成形されている基底面、及び前記基底面を平板本体と連結する側壁で構成されている、1つ以上の電池セル装着部;
を含むことを特徴とすることができる。
【0009】
本発明の他の側面による電池セルトレイは、
平板本体;及び
前記平板本体から陥没した構造となっており、装着される電池セルの曲面構造に符合する曲面が形成されている1つ以上のリブ(rib)を含む基底平面、及び前記基底平面を平板本体と連結する側壁で構成されている、1つ以上の電池セル装着部;
を含むことを特徴とすることができる。
【0010】
用語「連結」は、「結合」又は「締結」と「延長」を全て含む意味として使用することができ、「結合」又は「締結」は、前記基底面と前記平板本体が締結構造または締結部材を用いて1つになることを意味し、「延長」は、前記基底面と前記平板本体が射出成形などで作製されて一体化されていることを意味するものと理解することができる。以下、本明細書において、互いに分離されている部材の結合は、当業界に公知となっている結合方式、例えば、結合突起と結合溝の締結方式、ボルト締結方式、スライディング締結方式などによって行うことができる。
【0011】
用語「成形」は、曲面が下記のリブのように独立した部材によって形成されるものではなく、例えば、射出成形の方法で、基底面自体が曲面を有するように作られることを意味するものと理解することができる。
【0012】
前記曲面構造の電池セルは、
電解質;
正極、負極及び分離膜の積層面が曲面(curved surface)を含む電極積層体;
前記電極積層体の電極タブと接続される電極リード;及び
前記曲面に対応する曲面が形成されている収納部に前記電解質と電極積層体を内蔵し、前記電極リードが外部に露出した状態で開口部が密封されている電池ケース;を含むパウチ型電池セルであり得る。
【0013】
前記電池ケースは、金属層と樹脂層を含むラミネートシートからなることができる。具体的に、前記ラミネートシートはアルミニウムラミネートシートであり得る。前記ラミネートシートの電池ケースは、陥没構造の収納部と前記収納部から延びている外郭部とからなる下部ケース、及び前記下部ケースと熱融着によって結合する上部ケースからなることができる。場合によって、前記上部ケースは、陥没構造の収納部、及び前記収納部から延びている外郭部からなっていてもよい。前記上部ケースと前記下部ケースは互いに分離されていてもよく、上部ケースと下部ケースの一部が互いに連結されていてもよい。
【0014】
前記ラミネートシートの電池ケースは、金属缶構造の電池ケースに比べて形状自由度に優れている反面、外部衝撃に対する機械的剛性が低く、スプリングバック現象が発生しやすい。そこで、本出願の発明者らは、スプリングバック現象を防止し、外部衝撃による曲率変形を防止するために、電池セルの曲面構造に符合する曲面構造の電池セル装着部が形成されている電池セルトレイを考案した。
【0015】
前記電池ケースの収納部は、完成したパウチ型電池セルの収納部に対応し、開口部を密封した領域は、完成したパウチ型電池セルにおいて前記収納部の外郭に形成されていてもよい。前記密封領域を、以下では、外周密封部と定義することができる。
【0016】
非制限的な実施例において、前記電池ケースにおいて1つ以上の外周密封部は、収納部の外側壁に向かって折り曲げられていてもよい。具体的に、電極リードが外部に露出している外周密封部を除いた、1つ以上の外周密封部が収納部の外側壁に向かって折り曲げられていてもよい。より具体的に、前記電極リードは、非折り曲げ外周密封部に向かって折り曲げられていてもよい。
【0017】
前記リブは、トレイと分離されている独立した構造物であって、当業界に公知となっている結合方法を用いて前記基底平面に結合することができる。
【0018】
非制限的な実施例において、前記リブは、前記基底平面と対面する第1平面、及び前記第1平面に対向する第1曲面で構成されており、前記第1平面と第1曲面のそれぞれの両端が互いに連結されている構造からなるものであってもよい。前記リブは、射出成形で作製された構造物であってもよく、前記第1平面を含む第1部材と、前記第1曲面を含む第2部材との結合によって作製された構造物であってもよい。
【0019】
非制限的な実施例において、前記電池セルトレイは2つ以上のリブを含んでいてもよく、前記リブは互いに離隔していてもよい。
【0020】
非制限的な実施例において、前記側壁は平板本体から延長形成されていてもよく、前記基底面または基底平面は側壁から延長形成されていてもよい。
【0021】
非制限的な実施例において、前記側壁は平板本体に結合されていてもよく、前記基底面または基底平面は側壁から延長形成されていてもよい。
【0022】
非制限的な実施例において、前記側壁は平板本体に結合されていてもよく、前記基底面または基底平面は側壁に結合されていてもよい。
【0023】
前記側壁のうち1つ以上の側壁には、1つ以上の陥没部が形成されていてもよい。前記陥没部は、電池セル装着部に収納されている電池セルの装着及び着脱を容易にする余裕空間を提供することによって工程性を向上させることができるという利点がある。また、隣接配列されている2つ以上の電池セル装着部間に形成されている側壁のうち1つ以上の側壁には、互いに対面する位置で陥没部が互いに連通していてもよい。前記連通した陥没部は、隣接する電池セル装着部に収納されているそれぞれの電池セルの装着及び着脱を容易にする余裕空間を提供することができる。
【0024】
非制限的な実施例において、前記側壁のうち1つ以上の側壁には開口が形成されていてもよい。
【0025】
非制限的な実施例において、前記電池セルトレイには、1つの電池セル装着部が形成されていてもよく、この場合、1つの電池セル装着部が形成されているそれぞれの電池セルトレイは、サブ(sub)トレイとして区分して定義することができ、前記サブトレイは、互いに結合して、2つ以上の電池セル装着部を含む電池セルトレイを完成することができる。もちろん、2つ以上の電池セル装着部を含む電池セルトレイが射出成形などによって作製されてもよい。
【0026】
前記電池セル装着部は、電池セルの本体の形状に対応する収納空間が形成されている電池セル本体装着部;及び前記電池セル本体装着部の一部から電極リードの突出方向に延長形成されている電極リード装着部;で構成されていてもよい。
【0027】
前記電池セルトレイは、外部衝撃を緩和できる弾性素材からなることができる。また、前記電池セルトレイは、電気絶縁性の高分子素材からなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の非制限的な実施例に係る曲がった形状の電池セルの模式的な斜視図である。
図2】本発明の非制限的な実施例に係る電池セルトレイの模式的な斜視図である。
図3図1の電池セルが図2の電池セルトレイに装着された状態を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の非制限的な実施例に係る図面を参照して本発明をさらに詳述するが、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0030】
図1には、本発明の非制限的な実施例に係る曲がった形状の電池セルの斜視図が模式的に示されている。これを参照すると、曲がった形状の電池セル100は、ラミネートシートからなるパウチ型電池ケースの収納部150に電解質と電極積層体を収納した状態で開口部を密封することによって完成する。4つの外周密封部131,132,133,134のうち、電極リード111,112が露出している外周密封部134を除いた、3つの外周密封部131,132,133は側面140に向かって折り曲げられている。電極リード111,112は、非折り曲げ外周密封部134から外部に露出している。
【0031】
図2には、本発明の非制限的な実施例に係る電池セルトレイの斜視図が模式的に示されており、図3には、図1の電池セルが図2の電池セルトレイに装着された状態を模式的に示した斜視図が示されている。
【0032】
図2を参照すると、電池セルトレイ200は、平板本体210、及び平板本体210から陥没している電池セル装着部220で構成されている。電池セル装着部220は、基底平面221、及び平板本体210から基底平面221に延びている側壁222で構成されている。基底平面221には、第1曲面と第1平面を含み、第1曲面と第1平面の両端が互いに連結されている2つのリブ230が装着されている。側壁222のうち1つの側壁には陥没部222Aが形成されており、陥没部222Aと対面し、電池セル装着部220間に形成されている側壁には、陥没部が連通している開口Zが形成されている。Y領域は電池セル本体装着部であり、X領域は電極リード装着部である。電極リード装着部Xは、電池セル本体装着部Yの一部から電極リードの突出方向に延長形成されている。図3を参照すると、電池セル本体装着部Yと電極リード装着部Xからなる電池セル装着部220には、図1の電池セル100が装着されている。
【0033】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、外部衝撃による曲率変形を防止できるので、寸法安定性が向上した曲面構造の電池セルを提供することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0035】
100 電池セル
111,112 電極リード
131,132,133,134 外周密封部
140 側面
150 収納部
200 電池セルトレイ
210 平板本体
220 電池セル装着部
221 基底平面
222 側壁
222A 陥没部
230 リブ
X 電極リード装着部
Y 電池セル本体装着部
Z 開口
図1
図2
図3