(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交流電流の向きおよび前記コンデンサの端子間電圧を検出して、前記変換回路を前記第1のモードまたは前記第2のモードで動作させる制御回路を、更に備える、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(全体構成)
まず、本実施形態に係るモータ駆動装置を備えるインホイールモータシステム1について、図面を参照して説明する。インホイールモータシステム1は車輪を備える様々な移動体で使用可能であるが、本実施形態では道路を走行する車両に使用されているとして以下に説明する。
図1は、インホイールモータシステム1の構成を示す図である。
【0016】
インホイールモータシステム1は、車輪に内蔵されたモータであるインホイールモータ10を備え、インホイールモータ10を回転させることで車両を移動させる。インホイールモータシステム1は車両の車体側および車輪側に実装される。そして、インホイールモータシステム1は、車体側と車輪側との間で電力Pを無線で伝送(送受信)する。
【0017】
電力Pは、車体側コイル5A,5B,5Cと車輪側コイル6A,6B,6Cの間で、磁界を用いた共振現象を利用した方式で無線伝送される。インホイールモータ10が力行動作をしている時には、必要な電力Pが車体側から車輪側へ無線伝送される。また、インホイールモータ10が回生動作をしている時(例えば車両の減速時等)には、回生電力が車輪側から車体側へと無線伝送される。インホイールモータシステム1は、車両の車体側と車輪側との電力Pの伝送を、ワイヤ(有線)を使わずに無線で行う。そのため、インホイールモータシステム1は、ワイヤが切断されて電力Pが伝送できなくなるというリスクがなく、信頼性を向上させることができる。
【0018】
ここで、電力の伝送の方式としては、車輪がサスペンションの動きにより車体と相対変位しても十分な給電が可能であるものが好ましい。例えば、一般に電磁共鳴方式または磁界共振結合方式と呼ばれる方式を選択することができる。磁界共振結合は、電磁誘導とは異なり、一次側(車体側)と二次側(車輪側)の共振周波数を同じにした回路トポロジーである。少しの位置ずれでも十分な電力Pの伝送ができなくなる電磁誘導方式とは異なり、磁界共振結合方式は、コイルのQ(
図1の例では車体側コイル5A,5B,5C、車輪側コイル6A,6B,6CのQ)が高ければ、結合係数が低下しても高い伝送効率で電力Pを伝送できることが知られている。
【0019】
また、磁界共振結合方式を用いることにより、
図2に示されるように、路面から車輪側への電力Pの無線伝送(路面からの給電)が可能である。
図2では、電源21とコイル20は路面に埋め込まれている。なお、
図2では、車体側コイル5A,5B,5Cのうちの1つを車体側コイル5として示し、車輪側コイル6A,6B,6Cのうちの1つを車輪側コイル6として示している。ここで、
図2の電源21、コイル20の構成は、それぞれ後述するバッテリ2、車体側コイル5と同じであってもよい。また、
図2の他の要素については
図1と同じ符号を付しており、後に
図1を参照して説明するので、ここでは言及しない。
【0020】
再び
図1を参照して、インホイールモータシステム1の構成について説明する。以下では、インホイールモータ10が力行動作をすることを前提に説明する。
図1に示されるように、インホイールモータシステム1は、インホイールモータ10と、変換回路9A,9B,9Cと、車輪側共振コンデンサ7A,7B,7Cと、車輪側コイル6A,6B,6Cと、車体側コイル5A,5B,5Cと、車体側共振コンデンサ4A,4B,4Cと、車体側変換部3と、コンデンサ12と、バッテリ2と、制御回路13A,13B,13Cと、を備える。
【0021】
ここで、インホイールモータシステム1は、車体側コイル5A,5B,5Cと車輪側コイル6A,6B,6Cとの間にある仮想境界線BDを境に、車体側(一次側)と車輪側(二次側)とに分かれる。本実施形態のモータ駆動装置は、インホイールモータシステム1を構成する要素のうち、インホイールモータ10を除く車輪側(二次側)の要素で構成される。つまり、本実施形態のモータ駆動装置は、変換回路9A,9B,9Cと、車輪側共振コンデンサ7A,7B,7Cと、車輪側コイル6A,6B,6Cと、制御回路13A,13B,13Cと、を備える。
【0022】
図1に示されるように、変換回路9A,9B,9C、車輪側共振コンデンサ7A,7B,7C、車輪側コイル6A,6B,6C、車体側コイル5A,5B,5C、車体側共振コンデンサ4A,4B,4C、制御回路13A,13B,13Cは、それぞれ同じ構成の要素が3つ並列に配置されている。本実施形態において、インホイールモータ10は多相モータ(具体的には三相モータ)であって、インホイールモータ10は各相の駆動信号を、変換回路9A,9B,9Cのそれぞれから受け取る。そのため、3つの変換回路9A,9B,9Cが並列に配置されており、変換回路9A,9B,9Cが駆動信号を生成するために必要な機能ブロックも同じく並列に配置されている。つまり、インホイールモータシステム1は、インホイールモータ10の相と同じ数だけ、インホイールモータ10の駆動信号を生成するために必要な機能ブロックを並列に備える。本実施形態のモータ駆動装置のこのような構成は、接続するモータの種類の変化に柔軟に対応可能である。例えば、二相モータと接続する場合には、必要な機能ブロックを2つ並列に備えることで対応可能である。
【0023】
以下では、車体側コイル5および車輪側コイル6だけでなく、変換回路9A,9B,9Cのうちの1つを変換回路9、車輪側共振コンデンサ7A,7B,7Cのうちの1つを車輪側共振コンデンサ7、車体側共振コンデンサ4A,4B,4Cのうちの1つを車体側共振コンデンサ4、制御回路13A,13B,13Cのうちの1つを制御回路13として説明する。このとき、制御回路13によって制御される変換回路9と、車輪側共振コンデンサ7と、車輪側コイル6とが、車輪側で接続されているとする。また、車体側コイル5と、車体側共振コンデンサ4とが車体側で接続されているとする。なお、インホイールモータシステム1が備える変換回路9A,9B,9Cの全てを含む上位の機能ブロックを変換部として適宜説明で用いる。変換部は、インホイールモータ10が有する相の数の変換回路9を備えて構成される。また、インホイールモータシステム1が備える制御回路13A,13B,13Cの全てを含む上位の機能ブロックを制御部として適宜説明で用いる。制御部は、変換回路9と同数の制御回路13を備えて構成される。
【0024】
インホイールモータ10は、車輪のハブ内部に設けられたモータである。本実施形態において、インホイールモータ10は三相モータである。
【0025】
変換回路9は、スイッチとコンデンサで構成された交流−交流変換器であって、インホイールモータ10の交流の駆動信号を生成する。本実施形態において、変換回路9は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)をスイッチとして備える。
図1に示されるように、例えば変換回路9Aは、車輪側コイル6A(本発明のコイルに対応)と車輪側コンデンサ11A(本発明のコンデンサに対応)との間に直列に設けられたスイッチQ
1A,Q
4A(本発明の第1のスイッチに対応)と、車輪側コイル6Aの端子間に設けられたスイッチQ
2A,Q
3A(本発明の第2のスイッチに対応)と、を備える。変換回路9B,9Cも変換回路9Aと構成は同じである。そこで、以下では、変換回路9A,9B,9Cを特に区別せずに、スイッチQ
1〜Q
4と車輪側コンデンサ11を備える変換回路9として説明する。なお、変換回路9の制御の詳細については後述する。
【0026】
車輪側共振コンデンサ7、車体側共振コンデンサ4は、それぞれ車輪側コイル6、車体側コイル5を共振させるために挿入される。車輪側コイル6、車体側コイル5は、無線で電力Pを伝送するアンテナとして機能する。
【0027】
車体側変換部3は、バッテリ2からの直流電圧を交流電圧に変換して車体側コイル5に出力する。コンデンサ12は直流電圧の安定化のために設けられる。また、バッテリ2は車両に備えられた二次電池であって、本実施形態では鉛蓄電池である。ここで、車体側変換部3では、3レベル(例えば、+E[V]、0[V]、−E[V])をとる波形を生成してもよい。
【0028】
本実施形態において、インホイールモータシステム1は、制御回路13の前記の制御に用いるために、電流検出器、電圧検出器を備える。電流検出器は、例えば電流センサーであって、車輪側コイル6の電流(本発明の交流電流に対応)を検出し、検出値を制御回路13に出力する。つまり、制御回路13は、車輪側コイル6の電流の大きさ、および向きを取得することができる。電圧検出器は、例えば電圧センサーであって、車輪側コンデンサ11の端子間電圧を検出し、検出値を制御回路13に出力する。つまり、制御回路13は、車輪側コンデンサ11の端子間電圧を取得することができる。
【0029】
また、制御回路13は、信号MRTに含まれるインホイールモータ10の回転数等の情報も取得する。制御回路13は、例えばインホイールモータ10の回転数等の情報から、適切なインホイールモータ10の駆動信号(後述する所望するインホイールモータ10の駆動信号)を演算で求めてもよい。そして、取得した情報の少なくとも一部に基づいて、制御回路13は、変換回路9のスイッチQ
1〜Q
4がオン状態またはオフ状態であるように制御する。本実施形態において、制御回路13は、スイッチQ
1,Q
4がオン状態のときには、スイッチQ
2,Q
3をオフ状態とし、スイッチQ
2,Q
3がオン状態のときには、スイッチQ
1,Q
4をオフ状態とするが、制御の詳細については後述する。本実施形態に係るモータ駆動装置は、制御回路13を車輪側に備えることにより、例えばコイル6の交流電流の向きおよびコンデンサ11の端子間電圧に基づいて、大きなタイムラグ(例えば車体−車輪間の信号の伝送遅延等)を生じることなく、変換回路9のスイッチQ
1〜Q
4を制御することができる。
【0030】
さらに、インホイールモータシステム1では、車体側と車輪側との間でインホイールモータ10の駆動に関する信号を無線で通信してもよい。例えば、制御回路13から、インホイールモータ10の回転数を含む信号MRTが、車体側の制御部に無線で送信されてもよい。このとき、車体側の制御部は、例えば車輪側のインホイールモータ10の回転数およびトルク指令値に応じて、車体側の変換器を制御できる。なお、無線通信の方式としては、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、や無線LANの規格等を用いることが可能である。
【0031】
以上に説明したインホイールモータシステム1の構成要素は、例えば
図3に示すような態様で車両に実装される。
図3は、車両の内部の一部を拡大した図であり、金属の枠で覆われた車体部分(紙面左側)と1つの車輪(紙面右側)とが示されている。車体部分には、ほぼ中央部分にユニットP1が配置され、ユニットP1より車輪側にユニットP2が配置されている。また、車輪側には、車体に近い部分にユニットP3が配置され、車輪に近い部分にユニットP4が配置されている。なお、
図3ではバッテリ2の図示を省略している。
【0032】
ここで、
図3のユニットP2は車体側コイル5であり、ユニットP1は車体側コイル5とバッテリ2を除く車体側の構成要素(コンデンサ12、車体側変換部3、車体側共振コンデンサ4)を含む。また、
図3のユニットP3は車輪側コイル6であり、ユニットP4は車輪側コイル6を除く車輪側の構成要素(インホイールモータ10、変換回路9、車輪側共振コンデンサ7、制御回路13)を含む。なお、ユニットP1、ユニットP4は例示した全ての構成要素を含まないといけないわけではなく、少なくとも一部を含めばよい。
【0033】
(制御手法の詳細)
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)、および
図5(b)は、一部を等価回路に置き換えたインホイールモータシステム1の車輪側(二次側)の部分構成図であって、電流の向きを示す矢印が示されている。このうち
図4(a)、
図4(b)は変換回路の動作モードのうち第1のモードを説明する図である。また、
図5(a)、
図5(b)は変換回路の動作モードのうち第2のモードを説明する図である。なお、電流ILはインホイールモータ10に流れる電流を模式的に示している。
【0034】
インホイールモータ10が力行動作をしている時には、車輪側(二次側)は車輪側コイル6によって電力を受け取る。このとき、車輪側コイル6および車輪側共振コンデンサ7を電流源Isとして扱うことが可能である。ただし、電流源Isからの電流は交流であって、電流は
図4(a)の向き(以下、第1の向きとする)と、第1の向きとは反対の
図4(b)の向き(以下、第2の向きとする)がある。
【0035】
図4(a)のように、制御回路13が制御信号によって変換回路9のスイッチQ
1,Q
4(本発明の第1のスイッチに対応)をオン状態に、スイッチQ
2,Q
3(本発明の第2のスイッチに対応)をオフ状態にする。すると、車輪側コンデンサ11が充電または放電されて、端子間電圧Vcが変化する。
図4(b)でも、制御回路13が
図4(a)と同じようにスイッチQ
1,Q
4をオン状態に、スイッチQ
2,Q
3をオフ状態にすると、車輪側コンデンサ11が充電または放電されて、端子間電圧Vcが変化する。ただし、
図4(b)の端子間電圧Vcの変化は、
図4(a)の端子間電圧Vcの変化と符号が逆になる。
図4(a)および
図4(b)では、電流源Isからの電流、すなわち車輪側コイル6に伝送された交流電力に基づく交流電流は、車輪側コイル6および車輪側コンデンサ11を流れており、変換回路9は第1のモードで動作している。このとき、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcを変化させることができる。
【0036】
一方、
図5(a)のように、制御回路13が制御信号によって変換回路9のスイッチQ
2,Q
3(本発明の第2のスイッチに対応)をオン状態に、スイッチQ
1,Q
4(本発明の第1のスイッチに対応)をオフ状態にする。すると、電流源Isからの電流が短絡する経路ができて、端子間電圧Vcが維持される。
図5(b)でも、制御回路13が
図5(a)と同じようにスイッチQ
2,Q
3をオン状態に、スイッチQ
1,Q
4をオフ状態にすると、電流源Isからの電流が短絡する経路ができて、端子間電圧Vcが維持される。ただし、
図5(b)の電流の向きは、
図5(a)の電流の向きと反対である。
図5(a)および
図5(b)では、電流源Isからの電流、すなわち車輪側コイル6に伝送された交流電力に基づく交流電流は、車輪側コンデンサ11を介さずに車輪側コイル6を流れており、変換回路9は第2のモードで動作している。このとき、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcを維持することができる。
【0037】
ここで、変換回路9は、インホイールモータ10の駆動信号を、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcに基づいて生成する。上述のように、制御回路13は、車輪側コイル6の電流の大きさ、および向き、車輪側コンデンサ11の端子間電圧、信号MRTに含まれるインホイールモータ10の回転数を取得する。そして、取得した情報の少なくとも一部に基づいて、制御回路13は、変換回路9の動作モードである第1のモードと第2のモードとを切り替える。制御回路13は、端子間電圧Vcを変化させるまたは変化させない(維持する)ことで、所望するインホイールモータ10の駆動信号を生成することが可能である。
【0038】
例えば、車輪側コイル6の電流の向きが第1の向きであるとする。そして、第1のモード(スイッチQ
1,Q
4がオン状態)にすると(
図4(a)参照)、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcが大きくなるとする。制御回路13は、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcが所望の電圧よりも小さいと判定する場合、第1のモードに切り替えることで、端子間電圧Vcを所望の電圧に近づける。また、制御回路13は、端子間電圧Vcが所望の電圧となったと判定する場合、第2のモード(スイッチQ
2,Q
3がオン状態)に切り替えることで(
図5(a)参照)、端子間電圧Vcを維持する。また、制御回路13は、車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcが所望の電圧よりも大きい判定する場合、車輪側コイル6の電流の向きが第2の向きとなってから第1のモードに切り替えることで(
図4(b)参照)、端子間電圧Vcを所望の電圧に近づける。このように、制御回路13は、車輪側コイル6の電流の向きおよび車輪側コンデンサ11の端子間電圧Vcに基づいて、変換回路9の2つの動作モードを切り替えるという簡単な制御によって端子間電圧Vcを所望の電圧として、変換回路9に所望のモータ駆動装置を生成させることが可能である。このとき、例えば複雑な演算処理等を行うための演算回路が必要とされるわけではなく、制御回路13の回路規模が抑えられる。
【0039】
そして、本実施形態において、変換回路9は、スイッチQ
1〜Q
4と車輪側コンデンサ11で構成された交流−交流変換器である。したがって、インホイールモータ10の駆動信号の生成に、直流電力を介さないため、大容量のコンデンサ(例えば、電解コンデンサ)は不要である。
【0040】
図6(a)、
図6(b)は変換回路9が生成したインホイールモータ10の駆動信号についてのシミュレーション結果の例を示すものである。
図6(a)では、トルク電流iq(q軸電流)と磁化電流id(d軸電流)の時間変化が示されている。
図6(a)によると、約0.005秒経過後に磁化電流idがほぼゼロになり、id=0制御に従った効率的なインホイールモータ10の運転が実行されている。また、
図6(b)では、三相のインホイールモータ10の各相の電流iu,iv,iwの時間変化が示されている。
図6(b)によると、制御回路13が変換回路9を第1のモード、または第2のモードで動作させることにより、適切な相電流を得られることがわかる。
【0041】
ここで、
図7を参照して、比較例のモータ駆動装置を備えるインホイールモータシステム1Aを示しながら、本実施形態のモータ駆動装置の効果について説明する。なお、
図1と同じ要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
比較例のモータ駆動装置を備えるインホイールモータシステム1Aは、モータ用変換部39を除けば、モータの相ごとに並列配置された構成をとらない。例えば、車体側コイル5と車輪側コイル6は1組だけである。そして、比較例のモータ駆動装置は、車輪側コイル6からの交流電力を直流電力に変換する車輪側変換部8と、その直流電力から三相のインホイールモータ10の駆動信号へと変換するモータ用変換部39を備える。そのため、比較例のモータ駆動装置は、大容量の平滑コンデンサ31を備える。
【0043】
ここで、比較例のモータ駆動装置の制御回路13は、本実施形態のモータ駆動装置の制御部(制御回路13A,13B,13Cの全てを含む上位の機能ブロック)に対応する。また、比較例のモータ駆動装置の車輪側変換部8、平滑コンデンサ31、およびモータ用変換部39を含む部分が、本実施形態の変換部(変換回路9A,9B,9Cの全てを含む上位の機能ブロック)に対応する。
【0044】
本実施形態のモータ駆動装置では、上述の通り、変換回路9が交流−交流変換を行うため、大容量のコンデンサ(比較例のモータ駆動装置の平滑コンデンサ31)は不要である。また、本実施形態のモータ駆動装置は、スイッチ(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の数が比較例よりも多くなるが、大容量のコンデンサが不要であることから、全体としての回路面積の削減効果が期待できる。さらに、本実施形態のモータ駆動装置の変換回路9は、交流電力を直流電力に変換することがないため、変換効率がよい。このように、本実施形態のモータ駆動装置によれば、小型で変換効率のよいモータ駆動装置を実現することができる。そして、小型であるため、本実施形態のモータ駆動装置は、設置できるスペースがホイール内部に限定されているインホイールモータのモータ駆動装置に適している。
【0045】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、上述の実施形態において、モータ駆動装置はインホイールモータ10を駆動するが、インホイールモータ10に限られず各種のモータに適用可能である。また、上述の実施形態において、モータ駆動装置は、変換回路9と、車輪側共振コンデンサ7と、車輪側コイル6と、制御回路13と、を備えるが、このうち変換回路9以外の一部(例えば制御回路13)を含まない構成であってもよい。