特許第6393546号(P6393546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393546相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法及び微細パターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393546
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法及び微細パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20180910BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20180910BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20180910BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20180910BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   B82Y40/00
   B82Y30/00
   H01L21/30 502D
   H01L21/312 A
【請求項の数】10
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2014-153199(P2014-153199)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2015-46590(P2015-46590A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2017年4月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-159898(P2013-159898)
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】松宮 祐
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 武広
(72)【発明者】
【氏名】宮城 賢
(72)【発明者】
【氏名】前橋 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】太宰 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】内海 義之
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−078828(JP,A)
【文献】 特開2013−068882(JP,A)
【文献】 特開2008−036491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
B82Y 30/00
H01L 21/027
H01L 21/312
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、中性化膜からなる層を形成する工程と、
前記中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、
当該ブロックコポリマーを含む層をアニールする工程と、
を有する相分離構造を含む構造体の製造方法であって、
前記Pブロック、前記Pブロック、及び前記中性化膜のそれぞれの表面自由エネルギーを、(分散成分(d)0.5,極性成分(p)0.5)の座標平面上に、
前記Pブロックの点A((dP0.5,(pP0.5)、
前記Pブロックの点B((dP0.5,(pP0.5)、
前記中性化膜の点N((dP0.5,(pP0.5)、で示したとき、
前記中性化膜の点Nは、
前記相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合には、
線分ABを3:7に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあり、
前記相分離構造が、基板に対して垂直配向したラメラ構造である場合には、
線分ABの中点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.6倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあり、又は、
前記相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合には、
線分ABを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることを特徴とする相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項2】
前記座標平面上に、前記中性化膜の点Nは、線分ABを3:7に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあって、
前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積分率をPブロックよりも小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するPマトリックスシリンダー構造を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項3】
前記座標平面上に、前記中性化膜の点Nは、線分ABの中点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.6倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあって、
前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積分率を同程度にすることにより、Pブロックからなる相とPブロックからなる相とが交互に積層された基板に対して垂直配向したラメラ構造を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項4】
前記座標平面上に、前記中性化膜の点Nは、線分ABを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあって
前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積分率をPブロックよりも小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するPマトリックスシリンダー構造を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項5】
前記座標平面上において、線分ANの長さは、前記線分ABの長さの0.1倍以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項6】
前記PブロックとPブロックは、下記一般式(a0−1)で表される構成単位から成るブロック、ポリメチルメタクリレートのブロック及びポリスチレンのブロックからなる群から選択される少なくとも2種のブロックの組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【化1】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。Vは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表し、複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。]
【請求項7】
前記中性化膜からなる層を形成する工程の後に、ガイドパターンを形成する工程を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項8】
トップコート材料を、前記ブロックコポリマーを含む層上に塗布してトップコート膜を形成する工程を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造された、相分離構造を含む構造体から少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を有することを特徴とする、パターン形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパターン形成方法によってパターンを形成する工程と、前記パターンをマスクとして用い、前記支持体のエッチングを行う工程を有する、微細パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法及び微細パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する試みが始まっている。(例えば、特許文献1参照。)。
ブロックコポリマーの相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ケミカルエピタキシープロセスでは、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有する、表面処理剤を含む中性化膜、を基板表面に所定のパターンで配置する。この基板表面に配置された中性化膜のパターン(ガイドパターン)により、相分離構造の各相の配向が制御される。このため、所望の相分離構造を形成させるためには、中性化膜を、ブロックコポリマーの周期に合わせて配置することが重要となる。
【0004】
ブロックコポリマーとしては、スチレンの繰返し単位からなるブロックと、メタクリル酸メチルの繰返し単位からなるブロックと、のブロックコポリマー(PS−b−PMMA)が広く検討されており、PS−b−PMMAは、13nm程度までの微細パターンの形成に適用可能な材料であると言われている。
そして、現在では、さらなる微細寸法のパターン形成を実現し得る材料として、Si含有ブロックコポリマーを用いたパターン形成方法についての検討も行われている。このSi含有ブロックコポリマーにより形成されるブロックコポリマー層は、その表面エネルギーが低い。そのため、ブロックコポリマーの自己組織化においては、該ブロックコポリマー層の表面状態のコントロールが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−36491号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、Si含有ブロックコポリマーを含む層を良好に相分離させることができ、良好なパターンを形成することができる相分離構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、支持体上に、中性化膜からなる層を形成する工程と、前記中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、当該ブロックコポリマーを含む層をアニールする工程と、を有する相分離構造を含む構造体の製造方法であって、前記Pブロック、前記Pブロック、及び前記中性化膜のそれぞれの表面自由エネルギーを、(分散成分(d)0.5,極性成分(p)0.5)の座標平面上に、前記Pブロックの点A((dP0.5,(pP0.5)、前記Pブロックの点B((dP0.5,(pP0.5)、前記中性化膜の点N((dP0.5,(pP0.5)、で示したとき、前記中性化膜の点Nは、前記相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合線分ABを3:7に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内、前記相分離構造が、ラメラ構造である場合、線分ABの中点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.6倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内、又は、前記相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合、線分ABを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることを特徴とする相分離構造を含む構造体の製造方法である。
【0009】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の製造方法により製造された相分離構造を含む構造体から少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を有することを特徴とする、パターン形成方法である。
【0010】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様のパターン形成方法により形成されたパターンをマスクとして支持体のエッチングを行う工程を有する、微細パターン形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明は、Si含有ブロックコポリマーを含む層を良好に相分離させることができ、良好なパターンを形成することができる相分離構造体の製造方法を提供することができる。
【0012】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものを意味する。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図2】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図3】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図4】本発明の実施形態例を説明する図である。
図5】本発明の実施形態例を説明する図である。
図6】本発明の実施形態例を説明する図である。
図7】本発明の実施形態例を説明する図である。
図8】本発明における接触角を説明する図である。
図9】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図10】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図11】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
図12】本発明の第一の態様の実施形態例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪相分離構造を含む構造体の製造方法≫
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法は、支持体上に、中性化膜からなる層を形成する工程と、前記中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、当該ブロックコポリマーを含む層をアニールする工程と、を有する。
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法について、図面(図9を参照。)を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
[支持体上に、中性化膜からなる層を形成する工程]
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法においては、まず、支持体上に、中性化膜からなる層(以下、単に「中性化膜」又は「下地剤からなる層」ということがある)を形成する。
【0016】
<支持体>
図9中、支持体1は、その表面上にブロックコポリマーを含む溶液を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機化合物からなる基板などが挙げられる。
また、本発明において用いられる支持体1の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板1は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものまで多様に用いることができる。
【0017】
また、支持体1の表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。このとき用いられる有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、該感受性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、ブロックコポリマーからなるパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、該パターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、ブリューワサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
【0018】
支持体に中性化膜からなる層2を形成する前に、支持体1の表面は、予め洗浄されていてもよい。支持体表面を洗浄することにより、下地剤の塗布が良好に行える場合がある。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。
【0019】
<中性化膜からなる層(中性化膜)>
本発明において用いる中性化膜は、前記Pブロック、前記Pブロック、及び前記中性化膜のそれぞれの表面自由エネルギーを、(分散成分の平方根(d)0.5,極性成分の平方根(p)0.5)の座標平面上に、前記Pブロックの点A(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、前記Pブロックの点B(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、前記中性化膜の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、前記中性化膜の点Nが、以下に説明する所定の範囲内にあることを特徴とする。
【0020】
本発明において、表面自由エネルギー(以下、「SFE」と記載することがある。)の測定方法は特に限定されない。SFEの測定方法としては、たとえば、超純水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセリン等との接触角を測定して表面自由エネルギーを求める方法が挙げられる。
本発明における接触角とは、中性化膜上においた液滴の表面と中性化膜面との交点において、液滴に引いた接線と固体面とのなす角で、液を含む側の角を接触角と言う。中性化膜表面が液体に濡れると新たに固体−液体の界面が生じ、固体表面の液体が作る接触角をθとすると図5のように、固体の表面張力γ、液体の表面張力γ、固体−液体の界面張力γSLとの間にはYoungの式γ=γ+γcosθ‥‥(1)が成立する。
【0021】
Dupreの式より液体と固体間の付着仕事(自由エネルギー)をWSLとすると
SL=γ+γ−γSL‥‥(2)と表される。
(1)式を(2)式に代入するとYoung−Dupreの式、
SL=γ(1+cosθ)‥‥(3)が得られる。
SLが大きくなるほど濡らしやすく、θ=0のとき濡れ拡張を生じ液体は完全に固体表面を湿らす。この原理を用いた固体の表面エネルギーを求める式がいくつか提出されている。
【0022】
また、Wuの式では、固体の表面自由エネルギーの分散成分をγ、固体の表面自由エネルギーの極性成分をγ、液体の表面自由エネルギーの分散成分をγ、液体の表面自由エネルギーの極性成分をγとすると、
γSL=γ+γ−4γγ/(γ+γ)−4γγ/(γ+γ)と表される。
さらに、Kitazaki−Hataの式では、固体の表面自由エネルギーの水素結合成分をγ、液体の表面自由エネルギーの水素結合成分をγとすると、
γSL=γ+γ−2(γ−γ)1/2−2(γ−γ1/2−2(γγ1/2と表される。以上のように固体の表面エネルギーの各成分は表面張力の異なる2種の液体による接触角を測定することにより求めることができる。
本発明においては上記のように、Young−Dupreの式に基づく測定方法、Wuの理論に基づく測定方法、Kitazaki−Hataの式、さらには、Kaelble,Owens,北崎の理論に基づく測定方法、酸−塩基理論に基づく測定方法等を採用できる。
本発明においては、上記の中でも、Wuの理論に基づく測定方法を用いて表面自由エネルギーを算出する方法が好ましい。
なお、前記Pブロック及び前記Pブロックそれぞれの表面自由エネルギーを、(分散成分の平方根(d)0.5,極性成分の平方根(p)0.5)の座標平面上に、前記Pブロックの点A(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、前記Pブロックの点B(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)として示すためのSFEも同様にして算出することができる。この場合の接触角は「ホモポリマー膜上においた液滴の表面とホモポリマー膜面との交点において、液滴に引いた接線と固体面とのなす角で液を含む側の角」となる。ここで、ホモポリマーとは、Pブロックの構成単位のみからなるポリマーまたはPブロックの構成単位のみからなるポリマーをいう。接触角測定用のホモポリマー膜に含まれる各ホモポリマーの質量平均分子量は使用するブロックコポリマーの分子量や各ブロックの分子量にあわせて適宜設定すればよく、例えば1000以上である。
また、中性化膜とホモポリマー膜のいずれの接触角を測定する場合も膜厚は特に限定されず、例えば25nm〜50nmである。
【0023】
中性化膜からなる層2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、中性化膜を形成するための下地剤をスピンコート、スピンナーを用いる等の従来公知の方法により基板1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、中性化膜からなる層2を形成できる。下地剤については後述する。
塗膜の乾燥方法としては、中性化膜に含まれる有機溶剤を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。
ベーク温度は、80〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、120〜250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30〜500秒間が好ましく、60〜240秒間がより好ましい。
中性化膜からなる層2を支持体1表面に設けることによって支持体1の表面が中性化され、その上層に設けるブロックコポリマーからなる層3のうち、特定のブロックからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。その結果、ブロックコポリマーを含む層3の相分離によって、基板表面に対して自在に配向されたシリンダー構造、ラメラ構造、ドット構造、ジャイロイド構造、球分散構造等を形成することが可能となる。
【0024】
中性化膜からなる層をベークした後、必要に応じて、溶剤等のリンス液を用いてリンスすることにより、下地剤層中の未架橋部分(非基板相互作用部分)等を洗浄する工程を含んでいてもよい。当該洗浄工程により、未架橋部分等を除去できるため、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造やシリンダー構造からなる相分離構造を形成しやすくなる。なお、リンス液は未架橋部分を溶解するものであればよく、PGMEA、PGME、EL等の溶剤や市販のシンナー液等を用いることができる。また、洗浄工程後は、リンス液を揮発させるために80〜150度程度のポストベークを行ってもよい。
【0025】
[中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程]
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法は、前記中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程を含む。
【0026】
<ブロックコポリマー>
本発明においてブロックコポリマーとは、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーであり、各ブロックは、同種の構成単位のみが結合した部分構成成分である。ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類が好ましい。
【0027】
本発明においては、ブロックコポリマーを構成する(PとPの)ブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する(PとPの)ブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。容易に選択的に除去可能な組み合わせとしては、エッチング選択比が1よりも大きい、1種又は2種以上のブロックとが結合したブロックコポリマーが挙げられる。
本発明において「ブロックコポリマーの周期」とは、相分離構造が形成された際に観察される相構造の周期を意味し、互いに非相溶である各相の長さの和である。ブロックコポリマーの周期は、該ブロックコポリマーの分子1つ分の長さに相当する。
ブロックコポリマーの周期は、重合度N、及び、フローリー−ハギンズ(Flory−Huggins)の相互作用パラメータχ、などの固有重合特性によって決まる。すなわち、「χN」が大きくなるほど、ブロックコポリマーにおける異なるブロック間の相互反発は大きくなる。このため、χN>10(以下「強度分離限界点」という)のときには、ブロックコポリマーにおける異種類のブロック間の反発が大きく、相分離が起こる傾向が強くなる。そして、強度分離限界点においては、ブロックコポリマーの周期は、およそN2/3χ1/6となる。つまり、ブロックコポリマーの周期は、分子量Mnと、異なるブロック間の分子量比と、に相関する重合度Nに比例する。従って、用いるブロックコポリマーの組成及び総分子量を調整することにより、ブロックコポリマーの周期を容易に調節することができる。
【0028】
ブロックコポリマーとしては、例えば、芳香族基を有する構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;芳香族基を有する構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;芳香族基を有する構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。
以下、かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位(特に一般式(a0−1)で表される構成単位)のブロックをPブロックとして、その他の構成単位をPブロックとして本発明を説明するが、PブロックとPブロックとの組み合わせはこれに限定されない。
【0029】
{一般式(a0−1)で表される構成単位から成るPブロック}
一般式(a0−1)で表される構成単位から成るPブロックについて説明する。下記に一般式(a0−1)を示す。
【0030】
【化1】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。Vは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表し、複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。]
【0031】
前記式(a0−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0032】
前記式(a0−1)中、Rにおける1価の炭化水素基は、炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8である。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
における1価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましく、1価の脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)であることがより好ましい。
前記アルキル基として、より具体的には、鎖状の脂肪族炭化水素基(直鎖状または分岐鎖状のアルキル基)、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基、エチル基又はイソブチル基がより好ましく、エチル基又はイソブチル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜5が好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基又はtert−ブチル基であることが最も好ましい。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0033】
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0034】
における1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基としては、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0035】
前記式(a0−1)中、Vにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
における2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0036】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0037】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0038】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0039】
以下に、前記式(a0−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0040】
【化2】
【0041】
ブロックコポリマー中、Pブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位となる場合の当該構成単位の割合は、後述のその他の構成単位の分子量にもよるが、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、0.1〜50モル%が好ましく、0.5〜40モル%がより好ましく、1〜30モル%がさらに好ましい。Pブロックの構成単位の割合を好ましい下限値以上とすることによって、相分離がより起こりやすくなる。一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
ブロックの構成単位の割合が、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1〜9モル%であると、ラメラ状の相分離構造が得られやすく、一方、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは12〜30モル%、さらに好ましくは12〜27モル%であると、シリンダー状の相分離構造が得られやすい。
【0042】
また、Pブロックとして一般式(a0−1)で表される構成単位以外の構成単位と、Pブロックとして、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位を選択する場合、Pブロックの構成単位の割合(モル比)は、後述する各相分離構造における体積分率に基づき適宜設定すればよく、Pブロックの構成単位の割合(モル比)も同様である。ブロックコポリマー中、Pブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位以外の構成単位からなる場合の当該構成単位の割合は、後述のその他の構成単位の分子量にもよるが、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、0.1〜50モル%が好ましく、0.5〜40モル%がより好ましく、1〜30モル%がさらに好ましい。
ブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位以外の構成単位からなる場合のPブロックとしては、後述のスチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロック、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロック等が挙げられる。
【0043】
{他の構成単位から成るPブロック}
本発明においてブロックコポリマーは、Pブロック以外のPブロックを有する。
ブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位となる場合のPブロック以外のブロックとしては、スチレン又はスチレンの誘導体から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロック、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロック等が挙げられる。
【0044】
スチレンの誘導体としては、たとえば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、トリメチルシリルスチレン、4−ビニルベンジルクロリド、1−ビニルナフタレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニル−2−ピロリドン、9−ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0045】
(α置換)アクリル酸は、アクリル酸、又は、アクリル酸におけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0046】
(α置換)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、又は、アクリル酸エステルにおけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アントラセン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アントラセン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらのなかでも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましい。
【0047】
シロキサン又はその誘導体としては、たとえば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0048】
上記のなかでも、Pブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位となる場合のPブロック以外のブロックとしては、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックが好ましい。Pブロックが一般式(a0−1)で表される構成単位以外の構成単位からなる場合の、Pブロック以外のブロックとしては、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロック、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロック等が挙げられる。なかでも、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロック、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックが好ましい。
【0049】
ブロックコポリマー中、Pブロックを構成する構成単位以外の構成単位の割合は、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、10〜99.5モル%が好ましく、15〜99モル%がより好ましく、20〜98モル%がさらに好ましい。
ブロックを構成する構成単位以外の構成単位として、(α置換)アクリル酸、又は、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を用いる場合、(α置換)アクリル酸、又は、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の割合(両方を有する場合はその合計の割合)は、該ブロックコポリマーを構成する全構成単位に対し、10〜99モル%が好ましく、15〜99モル%がより好ましく、20〜98モル%がさらに好ましい。
ブロックを構成する構成単位以外の構成単位の割合を上記範囲内とすることにより、Pブロックとのバランスをとることができる。
【0050】
本発明で用いられるブロックコポリマーは、PブロックとPブロックを有するものであり、これらの組み合わせとしては、(B1):式(a0−1)で表される構成単位から成るブロック((a0−1)ブロック)、(B2):スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位から成るブロック、(B3):(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位から成るブロックからなる群より選ばれる2種のブロックであることが好ましく、特に(B1)と(B3)のブロックコポリマー、または(B2)と(B3)のブロックコポリマー、がより好ましい。
【0051】
かかるブロックコポリマーとして、具体的には、(a0−1)ブロックとポリメチルメタクリレートのブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとポリスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとアクリル酸から誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとアクリル酸メチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとアクリル酸エチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとアクリル酸t−ブチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとメタクリル酸から誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとメタクリル酸メチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとメタクリル酸エチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとメタクリル酸t−ブチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、ポリスチレンのブロックとメタクリル酸メチルから誘導される構成単位から成るブロックとを有するブロックコポリマー、ポリスチレンのブロックとポリトリメチルシリルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリメタクリル酸メチルのブロックとポリトリブチルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリメタクリル酸メチルのブロックとポリトリメチルシリルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、等が挙げられる。
本発明においては、特に、(a0−1)ブロックとポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート)のブロックとを有するブロックコポリマー、(a0−1)ブロックとポリスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリスチレンのブロックとポリメタクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリスチレンのブロックとポリトリメチルシリルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリメタクリル酸メチルのブロックとポリトリブチルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、ポリメタクリル酸メチルのブロックとポリトリメチルシリルスチレンのブロックとを有するブロックコポリマー、を用いることが好ましい。
【0052】
ブロックコポリマーの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、1000〜150000が好ましく、3000〜100000がより好ましく、5000〜80000がさらに好ましい。
ブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
ブロックコポリマーが形成できるパターンサイズの周期は、5〜120nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。
【0053】
・有機溶剤
ブロックコポリマー溶液(ブロックコポリマーを含有する組成物)に用いられる有機溶剤としては、前記ブロックコポリマーを溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などが挙げられる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
【0054】
また、PGMEAと極性溶媒とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶媒との相溶性等を考慮して適宜決定すればよく、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶媒としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶媒としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶媒としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、ブロックコポリマー溶液中の有機溶剤として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶媒との混合溶剤と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
【0055】
ブロックコポリマー溶液には、上記のブロックコポリマー及び有機溶剤以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、たとえば、後述の中性化膜からなるパターンの性能を改良するための付加的樹脂、支持体への塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物などを適宜含有させることができる。
【0056】
ブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を、中性化膜からなる層2の上に形成する方法としては特に限定されるものではなく、例えば、ブロックコポリマーを含有する組成物を、中性化膜からなる層2の上に塗布して形成することができる。塗布の方法としては、下地剤と同様のものが挙げられる。
本発明においては、ブロックコポリマーを含む層3の厚さは、相分離が起こるために十分な厚みであればよく、当該厚さの下限値としては、特に限定されないが、形成される相分離構造の構造周期サイズ、ナノ構造体の均一性等を考慮すると、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
【0057】
[ブロックコポリマーを含む層をアニールさせる工程]
ブロックコポリマーを含む層3の相分離は、ブロックコポリマーを含む層3が形成された、中性化膜からなる層2を備えた支持体1をアニール(熱処理)し、後工程におけるブロックコポリマーの選択除去によって基板表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造を形成させる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。一般的には、180〜270℃で30〜3600秒間(60分)熱処理を行うことが好ましく、例えば、ブロックコポリマーが、POSS−PMMA(Mw:40k−20k)の場合もこの範囲で適用できる。
また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0058】
<相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合>
本発明において、「Pマトリックスシリンダー構造」とは、Pブロックが円柱の形態をとり、周期的に円柱が並び、その周囲にPブロックがマトリックスを形成している構造をいう。
前記相分離構造がPマトリックスシリンダー構造である場合、前記中性化膜の点Nは、例えば、図1に示すように、前記Pブロックの点A(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)と前記Pブロックの点B(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)とからなる、線分ABを3:7に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることが好ましい。但し、各ブロックの座標は正の値である(以下、本明細書において同じ)。
【0059】
図1中、楕円Eの短径(2b)は、線分ABの0.4倍の長さであり、楕円Eの長径(2a)は、線分ABの3倍の長さである。
本発明において、中性化膜の点Nは、長径(2a)が、線分ABの0.5〜2.8倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることが好ましく、線分ABの0.5〜2.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがより好ましく、線分ABの0.75〜2倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがさらに好ましく、線分ABの0.75〜1.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることが特に好ましい。また、本発明において、中性化膜の点Nは、楕円Eの短径(2b)上にあることがより好ましい。
【0060】
本発明において、中性化膜の点Nが上記範囲内にあると、中性化膜とPブロックとの親和性が向上すると考えられるため、基板に対してPブロックの円柱が垂直配向したPマトリックスシリンダー構造を有する相分離構造を形成しやすくなると考えられる。
【0061】
本発明において、前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積分率をPブロックよりも小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するPマトリックスシリンダー構造を形成させることが好ましい。
より具体的には、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積割合が、Pブロック:Pブロック=80:20〜70:30の範囲であることが好ましい。
【0062】
<相分離構造が、ラメラ構造である場合>
前記相分離構造が、ラメラ構造である場合、例えば、図2に示すように、中性化膜の点Nは、線分ABの中点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.6倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることが好ましい。
本発明において、中性化膜の点Nは、長径(2a)が、線分ABの0.5〜2.8倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることが好ましく、線分ABの0.5〜2.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがより好ましく、線分ABの0.75〜2倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがさらに好ましく、線分ABの0.75〜1.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることが特に好ましい。また、本発明において、中性化膜の点Nは、楕円Eの短径(2b)上にあることがより好ましい。
【0063】
本発明において、中性化膜の点Nが上記範囲内にあると、中性化膜とPブロックとの親和性と、中性化膜とPブロックとの親和性とが均衡すると考えられるため、基板に対して垂直配向したラメラ構造を有する相分離構造を形成しやすくなると考えられる。
【0064】
本発明において、前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積分率を同程度にすることにより、Pブロックからなる相とPブロックからなる相とが交互に積層されたラメラ構造を形成させることが好ましい。
より具体的には、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積割合が、Pブロック:Pブロック=60:40〜40:60の範囲であることが好ましい。
【0065】
<相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合>
本発明において、「Pマトリックスシリンダー構造」とは、Pブロックが円柱の形態をとり、周期的に円柱が並び、その周囲にPブロックがマトリックスを形成している構造をいう。
前記相分離構造が、Pマトリックスシリンダー構造である場合、例えば、図3に示すように、中性化膜の点Nは、線分ABを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることが好ましい。
本発明において、中性化膜の点Nは、長径(2a)が、線分ABの0.5〜2.8倍の長さである楕円EBが囲む範囲内にあることが好ましく、線分ABの0.5〜2.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがより好ましく、線分ABの0.75〜2倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることがさらに好ましく、線分ABの0.75〜1.5倍の長さである楕円Eが囲む範囲内にあることが特に好ましい。また、本発明において、中性化膜の点Nは、楕円Eの短径(2b)上にあることがより好ましい。
【0066】
本発明において、中性化膜の点Nが上記範囲内にあると、中性化膜とPブロックとの親和性が向上すると考えられるため、基板に対してPブロックの円柱が垂直配向したPマトリックスシリンダー構造を有する相分離構造を形成しやすくなると考えられる。
【0067】
本発明において、前記ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積分率をPブロックよりも小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するPマトリックスシリンダー構造を形成させることが好ましい。
より具体的には、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積割合が、Pブロック:Pブロック=20:80〜30:70の範囲であることが好ましい。
【0068】
本発明において、前記座標平面上での線分ANの長さは、前記線分ABの長さの0.1倍以上であることが好ましい。線分ANの長さが前記線分ABの長さの0.1倍以上である、即ち中性化膜とPブロックとの表面自由エネルギーに差を設けることにより、垂直に配向した相分離構造を形成するために最適なものとすることができる。
また同様に、前記座標平面上での線分BNの長さは、前記線分ABの長さの0.1倍以上であることが好ましい。線分BNの長さが前記線分ABの長さの0.1倍以上である、即ち中性化膜とPブロックとの表面自由エネルギーに差を設けることにより、垂直に配向した相分離構造を形成するために最適なものとすることができる。
【0069】
<下地剤>
前記中性化膜の点Nが、上記の各楕円の範囲となるような中性化膜からなる層を形成するための下地剤としては、例えば以下の樹脂成分を含有している下地剤であることが好ましい。
・樹脂成分(A)
樹脂成分(A)は、(I)表面自由エネルギーを調整するための構成単位を有していることが好ましく、さらに(II)基板相互作用基を有する構成単位を有していることがより好ましい。(II)の構成単位は、基板(支持体)側と相互作用(密着・架橋等)するための構成単位であるため、表面自由エネルギーへの寄与は小さいと考えられる。
本明細書および本特許請求の範囲において「樹脂成分」とは、分子量が1000以上の重合体を意味する。重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
・表面自由エネルギーを調整するための構成単位(I)
構成単位(I)としては、例えば、前記PブロックまたはPブロックを構成する構成単位として挙げたものと同様である。具体的に、一般式(ba0−1)〜(ba0−2)で表される構成単位が挙げられる。
【0070】
[一般式(ba0−1)で表される構成単位]
一般式(ba0−1)で表される構成単位(以下、「構成単位(ba0−1)」という。)について説明する。
下記に一般式(ba0−1)を示す。
【0071】
【化3】
[式(ba0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rはハロゲン原子、または酸素原子、ハロゲン原子、もしくはケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状またはこれらの組み合わせによる有機基であり、nは0〜5の整数である。]
【0072】
式(ba0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0073】
式(ba0−1)中、Rはハロゲン原子、または酸素原子、ハロゲン原子、もしくはケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状またはこれらの組み合わせによる有機基である。
のハロゲン原子として、好ましくはフッ素原子、塩素原子、または臭素原子であり、フッ素原子がより好ましい。
の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、部分的または完全にフッ素化されたアルキル基(以下、フッ素化アルキル基ということがある)や、前記アルキル基の炭素原子がケイ素原子や酸素原子に置換されているアルキルシリル基、アルキルシリルオキシ基、アルコキシ基であってもよい。なお、部分的にフッ素化されたアルキル基とは、水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にフッ素化されたアルキル基とは、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。
としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、炭素数1〜4のフッ素化アルキル基、炭素数1〜6のアルキルシリル基、炭素数1〜6のアルキルシリルオキシ基又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
置換基を有さない炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、が挙げられ、なかでもRとしてはt−ブチル基であることが特に好ましい。
炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、イソプロポキシ基等が好ましい。
炭素数1〜10のアルキルシリル基としては、トリアルキルシリル基またはトリアルキルシリルアルキル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリル-n-プロピル基等が好適に挙げられる。
炭素数1〜10のアルキルシリルオキシ基としては、トリアルキルシリルオキシ基またはトリアルキルシリルオキシアルキル基が好ましく、トリメチルシリルオキシ基、トリメチルシリルオキシメチル基、トリメチルシリルオキシエチル基、トリメチルシリルオキシ-n-プロピル基等が好適に挙げられる。
【0074】
式(ba0−1)中、nは0〜5の整数である。本願において、nは0〜3であることが好ましい。なお、1以上であると、下地剤表面の自由エネルギーを調整することが容易となるので好ましい。
【0075】
以下に、式(ba0−1)で表される構成単位の具体例としては、前記スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位や、以下の式で示される構成単位が挙げられる。以下の式中、Rは前記同様である。
【0076】
【化4】
【0077】
(A)成分が含有する構成単位(ba0−1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(ba0−1)の割合は、特に限定されず、(A)成分を構成する全構成単位に対し、5〜99モル%が好ましい。
【0078】
[一般式(ba0−2)で表される構成単位]
一般式(ba0−2)で表される構成単位(以下、「構成単位(ba0−2)」という。)について説明する。
以下に一般式(ba0−2)で表される構成単位を示す。
【0079】
【化5】
[式(ba0−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは酸素原子、フッ素原子、ケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状またはこれらの組み合わせによる有機基である。]
【0080】
式(ba0−2)中、Rは前記同様である。
式(ba0−2)中、Rについての説明は前記式(ba0−1)中のRと同様である。
中でも式(ba0−2)中のRの有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基であってもよい。
また、Rがケイ素原子を含む場合はさらに、Rがかご型シルセスキオキサン構造を含む有機基であってもよい。つまり式(ba0−2)は、前記構成単位(a0−1)であってもよく、前記構成単位(a0−1)として具体的に前記構成単位(a0−1−1)が好ましい。
【0081】
以下に、式(ba0−2)で表される構成単位の具体例としては、前記(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位や、以下の式で示される構成単位が挙げられる。以下の式中、Rは前記同様である。
【0082】
【化6】
【0083】
(A)成分が含有する構成単位(ba0−2)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(ba0−2)の割合は、特に限定されず、(A)成分を構成する全構成単位に対し、5〜99モル%が好ましい。
【0084】
・基板相互作用基を有する構成単位(II)
構成単位(II)としては、例えば、前記(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位や、基板相互作用基を有する構成単位(ba0−3)が挙げられる。
【0085】
{基板相互作用基}
(A)成分は、基板相互作用基を有することが好ましく、これにより(A)成分を含有する下地剤と基板とが相互作用し、強固な膜(下地剤からなる層)が基板上に形成される結果、該下地剤からなる層の上で、ブロックコポリマーからなる層が良好に相分離すると考えられる。
本発明において「基板相互作用基」とは、基板と化学的又は物理的相互作用をすることが可能な基であって、基板の種類に応じて適宜選択することができる。基板と該基板相互作用基との相互作用の種類としては、共有結合性相互作用、イオン結合性相互作用、水素結合性相互作用、静電相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス力結合等が挙げられる。
基板相互作用基として具体的には、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アジド基、アミノ基又はトリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられ、中でもカルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基又はトリアルコキシシリル基が好ましい。トリアルコキシシリル基中のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0086】
また、本発明において、基板相互作用基は、ラクトン含有環式基、後述の式(ba0−3−1’−r1)〜(ba0−3−1’−r2)で表される基、エーテル含有環式基、シクロオクタトリエニル基も好適に挙げられる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
基板相互作用基としてのラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(lc−r−1)〜(lc−r−7)で表される基が挙げられる。以下、「*」は結合手を表す。
【0087】
【化7】
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
【0088】
前記一般式(lc−r−1)〜(lc−r−7)中、A”は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。Ra’21はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。
Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0089】
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子またはアルキル基である。
【0090】
本発明においては、上記のなかでも、(lc−r−1)又は(lc−r−2)で表される基であることが好ましい。
【0091】
下記に一般式(lc−r−1)〜(lc−r−7)で表される基の具体例を挙げる。
【0092】
【化8】
【0093】
本発明において、ラクトン含有環式基としては、上記のなかでも、(r−lc−1−1)〜(r−lc−1−7)、(r−lc−2−1)〜(r−lc−2−13)で表される基が好ましく、(r−lc−1−1)〜(r−lc−1−7)で表される基が特に好ましい。
【0094】
また、式(ba0−3−1’−r1)又は(ba0−3−1’−r2)で表される基板相互作用基を以下に示す。
【0095】
【化9】
[式(ba0−3−1’−r1)中、Ra’201は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、nは1〜3の整数である。式(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は前記同様で、アルキル基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。式中、*は結合手を示す。]
【0096】
一般式(ba0−3−1’−r1)又は(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、nは1〜3の整数である。Ra’201における炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i―プロピル基、2−メチルプロピル基、l−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0097】
一般式(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は前記同様で、アルキル基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環構造としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0098】
また、基板相互作用基としての、「エーテル含有環式基」とは、環状の炭化水素の炭素が酸素で置換された構造(環状エーテル)を含有する環式基を意味する。具体的には、下記式(e−1)〜(e−2)で表されるものが好ましい。
【0099】
【化10】
[式中、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1〜5の整数であり、n”は0〜3の整数である。]
【0100】
なお、上述の基板相互作用基が、エーテル含有環式基又はシクロオクタトリエニル基である場合、基板相互作用に加えて、架橋反応も進行しやすいため、下地剤層が厚膜化しやすくなると考えられる。
【0101】
構成単位(ba0−3)としては、下記一般式(ba0−3−1)〜(ba0−3−4)で表される構成単位が好ましい。
【0102】
【化11】
[式中、Rは前記同様であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Y01は2価の連結基であり、Y02は2価の連結基であり、Y03は単結合または2価の連結基であり、X01〜X04は前記基板相互作用基である。]
【0103】
前記式中、Y01の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよく、芳香環を有しない2価の炭化水素基;ヘテロ原子を含み、芳香環を有しない2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0104】
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0105】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
【0106】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
【0107】
(ヘテロ原子を含む2価の連結基)
前記Y01の「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む二価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−NH−C(=O)−、=N−、一般式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−、−C(=O)−O−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい二価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
01が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でY01における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましい。
【0108】
上記のなかでも、Y01の2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基、又はエステル結合(−C(=O)−O−)、−S(=O)結合)、エーテル結合を含む2価の連結基が好ましい。
【0109】
式中、X01はカルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、トリアルコキシシリル基、アジド基、ラクトン含有環式基、後述の式(ba0−3−1’−r1)〜(ba0−3−1’−r2)で表される基、エーテル含有環式基であることが好ましい。トリアルコキシシリル基中のアルコキシ基は前記同様であって、トリアルコキシシリル基としてはトリメトキシシリル基が好ましい。
01が前述の式(ba0−3−1’−r1)〜(ba0−3−1’−r2)で表される基となる場合、構成単位(ba0−3−1)は下記式(ba0−3−1’)で表される構成単位であることが好ましい。
【0110】
【化12】
[式(ba0−3−1’)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Va201は2価の連結基であり、X201は酸素原子又は硫黄原子であり、Ra201は前記一般式(ba0−3−1’−r1)又は(ba0−3−1’−r2)のいずれかで表される基である。]
【0111】
式(ba0−3−1’)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であって、前記同様である。
式(ba0−3−1’)中、Va201は2価の連結基である。
【0112】
Va201の2価の連結基としてはY01の2価の連結基と同様であり、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましく、特に直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。Va201が直鎖状のアルキレン基である場合は炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜6であることがより好ましい。
【0113】
式(ba0−3−1’)中、X201は酸素原子又は硫黄原子であり、Ra201は一般式(ba0−3−1−r1’)又は(ba0−3−1−r2’)のいずれかで表される基である。
式(ba0−3−2)中、Y02は2価の連結基であって、前記Y01の2価の連結基と同様である。
02として好ましくはカルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、トリアルコキシシリル基、アジド基、ラクトン含有環式基である。X02のトリアルコキシシリル基は、前記X01のトリアルコキシシリル基と同様である。
式(ba0−3−3)中、Y03は単結合または2価の連結基であって、2価の連結基となる場合、前記Y01の2価の連結基と同様である。
03としては、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アジド基、アミノ基、トリアルコキシシリル基、エーテル含有環式基が好ましい。
式(ba0−3−4)中、X04としては、カルボキシ基、シクロオクタトリエニル基が好ましい。
【0114】
以下に構成単位(ba0−3)の具体例を示す。式中、Rは前記同様であり、RもRと同様の定義である。
【0115】
【化13】
【0116】
【化14】
【0117】
【化15】
【0118】
構成単位(ba0−3)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分中、構成単位(ba0−3)の割合は、特に限定されず、(A)成分を構成する全構成単位に対し、20モル%以下であることが好ましく、1〜10モル%であることがより好ましく、1〜5モル%であることが特に好ましい。上記範囲とすることで基板密着性が向上させることができる。
【0119】
樹脂成分(A)は、構成単位(ba0−1)及び構成単位(ba0−3)を有する共重合体、構成単位(ba0−2)及び構成単位(ba0−3)を有する共重合体、又は構成単位(ba0−1)、構成単位(ba0−2)及び構成単位(ba0−3)を有する共重合体であることが好ましい。
【0120】
(A)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜200000が好ましく、1500〜200000がより好ましく、2000〜150000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、後述するような有機溶剤に十分に溶解するため、基板への塗布性に優れ、この範囲の下限値以上であると、ポリマーの製造安定性に優れ、かつ基板への塗布性に優れた組成物となる。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0121】
(A)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
【0122】
中性化膜からなる層を形成するための下地剤において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
下地剤中、(A)成分の含有量は、中性化膜からなる層の所望の膜厚等に応じて適宜調整すればよい。
【0123】
[有機溶剤;(S)成分]
中性化膜からなる層を形成するための下地剤は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ともいう)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には下地剤の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0124】
[ガイドパターン形成工程]
本発明の第一の態様における相分離構造を含む構造体の製造方法においては、[支持体(基板)上に、前記中性化膜(下地剤)からなる層を形成する工程]の後、[前記中性化膜からなる層の上に、Pブロックと、前記Pブロックの構成単位とは異なる他の構成単位から成るPブロックとが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程]の前に、中性化膜からなる層2上にパターンが形成されたガイドパターンを予め設けてもよい。これにより、ガイドパターンの形状・表面特性に応じた相分離構造の配列構造制御が可能となる。例えば、ガイドパターンがない場合にはランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、基板表面にレジスト膜の溝構造を導入することにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理でガイドパターンを導入してもよい。またガイドパターンの表面が、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を備えることにより、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造やシリンダー構造からなる相分離構造を形成しやすくすることもできる。
【0125】
具体的には、例えば、基板表面上又は中性化膜が形成された基板表面上に、後述の感光性樹脂組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なガイドパターンを形成することができる。
また、ガイドパターンの形成において、ナノインプリントリソグラフィにより、ガイドパターンを形成してもよい。ナノインプリントリソグラフィでは、所望のパターンが形成されたモールドを、表面に樹脂層等ナノインプリント材料が形成された基体に押し付けて、必要に応じて加熱や露光等を行い樹脂層を硬化した後に、モールドを剥離することでガイドパターンを形成することができる。
【0126】
ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、基板表面に形成されるブロックコポリマーを含む層の厚み以上であることが好ましい。ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、例えば、ガイドパターンを形成するレジスト組成物(感光性樹脂組成物)を塗布して形成されるレジスト膜の膜厚によって適宜調整することができる。
【0127】
また、ガイドパターンが形成された基板表面上にブロックコポリマーの溶液が流し込まれた後、相分離を起こすために、熱処理がなされる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性と耐熱性に優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
【0128】
[感光性樹脂組成物]
本発明において、ガイドパターンを形成する工程において用いる感光性樹脂組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する感光性樹脂組成物であることが好ましく、従来公知のものを適宜使用できる。例えば、国際公開第2012/046770号パンフレット、国際公開第2012/169620号パンフレット、特許第5227846号公報、特許第5225555号公報等が挙げられる。
また、ナノインプリントによるガイドパターン形成方法に用いられるナノインプリント材料としては、例えば、特開2007−072374、特開2007−329276、特開2008−246876に記載のシリコン系化合物含有材料や、当該シリコン系化合物のかわりにアクリル樹脂等を用いた有機材料等が挙げられる。
【0129】
[トップコート層形成工程]
本発明においては、加熱により極性が変化し、かつ、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御するトップコート材料を、前記ブロックコポリマーを含む層上に塗布してトップコート膜を形成することが好ましい。[トップコート層形成工程]は、前記ブロックコポリマーを含む層をアニールさせる工程の前に行うことが好ましい。
前記ブロックコポリマーを含む層上に、該トップコート材料を用いてトップコート膜を設けることにより、該層の表面状態を良好にコントロールでき、より安定に相分離させることができる。
本実施形態において、トップコート膜の形成は、たとえば、前記ブロックコポリマーを含む層2上に、該トップコート材料を、スピンナー等を用いて塗布することにより実施できる。該塗布の後、ベーク処理を行ってもよい。その際、加熱温度を80〜280℃とすることが好ましく、加熱時間を10〜600秒間とすることが好ましい。
層2上に形成されるトップコート膜の厚さは、2〜500nmであることが好ましく、より好ましくは厚さ5〜200nmであり、さらに好ましくは厚さ10〜100nmであ。トップコート膜の厚さが前記の好ましい範囲内にあることで、外部環境の影響を充分に遮断することができ、相分離がより良好に起こりやすくなる。
トップコート材料には、後述のトップコート材料を用いることができる。
【0130】
≪パターン形成方法≫
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の製造方法により製造された、相分離構造を含む構造体から少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を有するパターン形成方法である。
【0131】
[相分離構造を含む構造体から少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程]
前記ブロックコポリマーを含む層3のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相3aを選択的に除去することにより、パターンを形成してもよい。
なお、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、後の工程で選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるブロックをPブロックという。例えば、シルセスキオキサン−ポリメチルメタクリレート(POSS−PMMA)ブロックコポリマーを含む層を相分離した後、当該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、POSSがPブロックであり、PMMAがPブロックである。
次いで、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層のうち、Pブロックからなる相中のブロックの少なくとも一部を選択的に除去(低分子量化)する。予めPブロックの一部を選択的に除去することにより、現像液に対する溶解性を高められる結果、Pブロックからなる相がPブロックからなる相よりも選択的に除去しやすくなる。
【0132】
このような選択的除去処理は、Pブロックに対しては影響せず、Pブロックを分解除去し得る処理であれば、特に限定されるものではなく、樹脂膜の除去に用いられる手法の中から、PブロックとPブロックの種類に応じて、適宜選択して行うことができる。また、基板表面に予め中性化膜が形成されている場合には、当該中性化膜もPブロックからなる相と同様に除去される。このような除去処理としては、例えば、酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、熱分解処理、及び化学分解処理等が挙げられる。
【0133】
また、[トップコート層形成工程]を含む場合、トップコート膜を除去せずに、相2aの選択的除去の操作を行ってもよいが、これに限定されず、トップコート膜を除去した後に該選択的除去の操作を行ってもよい。このうち、トップコート膜を除去した後に、ブロックからなる相の選択的除去の操作を行うことは、トップコート膜を均一に除去できる点で好ましい。
トップコート膜の除去は、トップコート材料の種類等に応じて適宜行うことができる。トップコート膜の除去は、トップコート材料の溶媒を、トップコート膜に塗布する方法により実施できる。トップコート材料の溶媒については、後述の、トップコート材料の溶媒と同様のものが挙げられる。
【0134】
上記の様にしてブロックコポリマーからなる層3の相分離によりパターン3bを形成させた基板は、そのまま使用することもできるが、さらに熱処理を行うことにより、基板上の高分子ナノ構造体の形状を変更することもできる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0135】
≪トップコート材料≫
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法において、用いることが好ましいトップコート材料について説明する。
本発明においてトップコート材料とは、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)を有する高分子化合物と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤と、を含有することを特徴とする、トップコート材料(以下「トップコート材料(1)」ともいう)である。
また、本発明のトップコート材料は、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する高分子化合物、を含有することを特徴とする、トップコート材料(以下「トップコート材料(2)」ともいう)であってもよい。
【0136】
<トップコート材料(1)>
トップコート材料(1)は、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)を有する高分子化合物と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤と、を含有する。
【0137】
(高分子化合物)
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)を有する。
構成単位(Tc1)を有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに維持することができる。
「加熱により極性が変化する構成単位」とは、加熱により構造が変わり、極性基の露出状態が変化する繰返し単位をいう。たとえば、開環構造が加熱により脱水縮合して環構造を形成するのに伴い、極性基の露出状態が変化する繰返し単位などが挙げられる。
極性基としては、たとえば−COO、−SO、−NH;カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。
【0138】
構成単位(Tc1)としては、たとえば、下記の化学式で表される構成単位が挙げられる。
化学式(Tc1−1)で表される構成単位は、塩基性成分の存在下、加熱により極性が増大する構成単位である。化学式(Tc1−2)で表される構成単位は、加熱により極性が減少する構成単位である。
【0139】
【化16】
【0140】
高分子化合物が有する構成単位(Tc1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc1)として、加熱により極性が増大する構成単位、又は、加熱により極性が減少する構成単位のいずれを選択すべきか、については、ブロックコポリマーの種類や、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーの程度などによって適宜決定される。
構成単位(Tc1)のなかでも、前記の化学式(Tc1−1)で表される構成単位、又は、化学式(Tc1−2)で表される構成単位を用いることが好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc1)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましく、40〜80モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc1)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに容易に維持できる。
【0141】
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、構成単位(Tc1)以外の構成単位を有していてもよい。
構成単位(Tc1)以外の構成単位としては、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)、ガラス転移温度(Tg)を調整する構成単位(Tc3)等が挙げられる。
【0142】
・構成単位(Tc2)
構成単位(Tc2)としては、後述の<トップコート材料(2)>のなかで説明する構成単位(Tc2)と同様である。
高分子化合物が有する構成単位(Tc2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc2)のなかでも、後述の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、一般式(Tc2−1)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−2)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
高分子化合物が構成単位(Tc2)を有する場合、高分子化合物中の構成単位(Tc2)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc2)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。
【0143】
トップコート材料(1)中、構成単位(Tc1)を有する高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、少なくとも構成単位(Tc1)を有する重合体であり、該構成単位(Tc1)に加えて、構成単位(Tc2)を有する共重合体であることが好ましい。
かかる共重合体の中でも好ましくは、前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、後述の一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、後述の一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体等が挙げられる。
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物の好適な具体例としては、後述の<トップコート材料(2)>のなかで例示する高分子化合物の好適な具体例と同様のものが挙げられる。
【0144】
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜30000が最も好ましい。前記の好ましい範囲内とすることによって、溶媒に対する溶解性がより良好となる。
該高分子化合物の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜6.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜4.0が最も好ましい。
【0145】
高分子化合物は、各構成単位を誘導するモノマーを、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
トップコート材料(1)中、高分子化合物の含有量は、形成しようとするトップコート膜厚等に応じて調整すればよい。トップコート材料(1)中、高分子化合物の濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜7質量%である。
【0146】
(表面エネルギー制御剤)
トップコート材料(1)は、前記構成単位(Tc1)を有する高分子化合物に加えて、前述した≪相分離構造を含む構造体の製造方法≫における、前記ブロックコポリマーを含む層、の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤を含有する。
表面エネルギー制御剤を含有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーが適度な高さとなるように制御できる。
【0147】
表面エネルギー制御剤としては、たとえば、加熱によりトップコート材料中の高分子化合物間及び高分子化合物内で化学結合を形成する成分(架橋剤)が挙げられる。
表面エネルギー制御剤として、具体的には、ジアミン、トリアミン等の架橋剤が挙げられ、なかでもジアミン又はトリアミンを用いることがより好ましく、ジアミンを用いることが特に好ましい。
【0148】
表面エネルギー制御剤として好適な具体例を以下に示す。
【0149】
【化17】
【0150】
トップコート材料(1)中、表面エネルギー制御剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(1)中、表面エネルギー制御剤の含有量は、前記高分子化合物100質量部に対して2〜500質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましい。
表面エネルギー制御剤の含有量が好ましい下限値以上であれば、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。一方、好ましい上限値以下であれば、成膜性がより良好となる。
【0151】
(任意成分)
トップコート材料(1)には、前述した高分子化合物及び表面エネルギー制御剤の他に、さらに所望により混和性のある添加剤などを含有させることができる。
・溶媒
トップコート材料(1)は、前述した高分子化合物及び表面エネルギー制御剤を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、水、アンモニア水(好ましくは10〜50質量%)、メタノール、アンモニア水とメタノールとの混合溶剤、水とメタノールとの混合溶剤、アンモニア水とエタノールとの混合溶剤等が挙げられる。
【0152】
<トップコート材料(2)>
トップコート材料(2)は、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する高分子化合物、を含有する。
【0153】
(高分子化合物)
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、加熱により極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する。
・構成単位(Tc1)
構成単位(Tc1)としては、前述の<トップコート材料(1)>のなかで説明した構成単位(Tc1)と同様である。
高分子化合物が有する構成単位(Tc1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc1)として、加熱により極性が増大する構成単位、又は、加熱により極性が減少する構成単位のいずれを選択すべきか、については、ブロックコポリマーの種類や、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーの程度などによって適宜決定される。
構成単位(Tc1)のなかでも、前記の化学式(Tc1−1)で表される構成単位、又は、化学式(Tc1−2)で表される構成単位を用いることが好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc1)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましく、40〜80モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc1)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、相分離のときに、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに容易に維持できる。
【0154】
・構成単位(Tc2)
構成単位(Tc2)は、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位である。
構成単位(Tc2)を有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーが適度な高さとなるように制御できる。
【0155】
構成単位(Tc2)としては、前記構成単位(Tc1)を有する高分子化合物の極性を調整できるものであればよく、下記の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0156】
【化18】
[式中、x1は、0又は1である。Rはフッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。x2は、0〜4の整数である。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。Rは、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。yは、0〜3の整数である。Rは、置換基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。Rにおける置換基は、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基である。]
【0157】
前記式(Tc2−1)中、x1は、0又は1である。
x2は、0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは1である。
【0158】
前記式(Tc2−1)中、Rは、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。Rにおける炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましく、1価の脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)であることがより好ましい。
前記アルキル基として、より具体的には、鎖状の脂肪族炭化水素基(直鎖状または分岐鎖状のアルキル基)、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0159】
鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、環状の脂肪族炭化水素基は、それぞれフッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい。すなわち、該脂肪族炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。又は、該脂肪族炭化水素基のメチレン基(−CH−)が酸素原子(−O−)又はカルボニル基(−C(=O)−)で置換されていてもよい。
【0160】
における1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基としては、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい。すなわち、該芳香族炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。又は、該芳香族炭化水素基のメチレン基(−CH−)が酸素原子(−O−)又はカルボニル基(−C(=O)−)で置換されていてもよい。
【0161】
前記の式(Tc2−2)、式(Tc2−3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。複数のRは、それぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0162】
前記式(Tc2−2)中、Rは、前記式(Tc2−1)中のRと同様のものが挙げられる。
yは、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0163】
前記式(Tc2−3)中、Rは、置換基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。
における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
における置換基は、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、前記式(Tc2−1)中のRと同様のものが挙げられる。
【0164】
以下に、前記式(Tc2−1)で表される構成単位の具体例を示す。
式中、R11は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R11における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。下記化学式中、波線は「くさび型結合」と「破線結合」の両方を意味する。
【0165】
【化19】
【0166】
以下に、前記式(Tc2−2)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
式中、R12は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R12における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0167】
【化20】
【0168】
以下に、前記式(Tc2−3)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
式中、R13は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R13における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0169】
【化21】
【0170】
高分子化合物が有する構成単位(Tc2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc2)のなかでも、前記の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、一般式(Tc2−1)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−2)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc2)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc2)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。
【0171】
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、構成単位(Tc1)及び構成単位(Tc2)以外の構成単位を有していてもよい。
構成単位(Tc1)及び構成単位(Tc2)以外の構成単位としては、ガラス転移温度(Tg)を調整する構成単位(Tc3)等が挙げられる。
【0172】
トップコート材料(2)中、構成単位(Tc1)と構成単位(Tc2)とを有する高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、少なくとも構成単位(Tc1)と構成単位(Tc2)とを有する共重合体である。
かかる共重合体として、具体的には、前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体、等が挙げられる。これらの中でも、前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体がより好ましい。
【0173】
以下に、トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物の好適な具体例を示す。
式中、R、R、R及びyは、前記式(Tc2−1)〜(Tc2−3)中のR、R、R及びyとそれぞれ同様である。式中、Rαは、前記式(Tc2−2)、(Tc2−3)中のRと同様である。
式中、R1a及びR1bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−1)中のRと同様である。
2a及びR2bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−2)中のRと同様である。
及びyは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−2)中のyと同様である。
3a及びR3bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−3)中のRと同様である。
【0174】
【化22】
【0175】
【化23】
【0176】
【化24】
【0177】
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜30000が最も好ましい。前記の好ましい範囲内であれば、溶媒に対して充分な溶解性がある。
該高分子化合物の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜6.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜4.0が最も好ましい。
【0178】
高分子化合物は、各構成単位を誘導するモノマーを、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
トップコート材料(2)中、高分子化合物の含有量は、形成しようとするトップコート膜厚等に応じて調整すればよい。トップコート材料(2)中、高分子化合物の濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜7質量%である。
【0179】
(任意成分)
トップコート材料(2)には、前述した高分子化合物の他に、さらに所望により混和性のある添加剤、たとえば、前記表面エネルギー制御剤などを含有させることができる。
・溶媒
トップコート材料(2)は、前述した高分子化合物を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、水、アンモニア水(好ましくは10〜50質量%)、メタノール、アンモニア水とメタノールとの混合溶剤、水とメタノールとの混合溶剤、アンモニア水とエタノールとの混合溶剤等が挙げられる。
【0180】
≪微細パターン形成方法≫
本発明の第三の態様は、前記第二の態様のパターン形成方法により形成したパターンをマスクとして、基板のエッチングを行うエッチング工程を有する微細パターン形成方法である。
[エッチング工程]
エッチング工程は、前記相分離構造により形成されたパターンをマスクとして基板のエッチングを行う工程である。
エッチングの方法は特に限定されるものではないが、ドライエッチングが好ましく、酸素(O)プラズマエッチング、またはCFガス、CHFガス、Ar/CFガスを用いたエッチングを用いることが効率の点からより好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが好ましい。
【0181】
ドライエッチングの条件は特に限定されるものではなく、前記相分離構造により形成されたパターンの材料や基板表面からの高さに応じて適宜決定することができる。たとえば、酸素プラズマ処理を用いる場合、酸素プラズマ処理時の圧力は、1.33〜66.5Pa(10〜50mtorr)が好ましく、13.3〜26.6Pa(100〜200mtorr)がより好ましい。また、酸素プラズマ処理時のプラズマ出力は、5〜500Wが好ましく、5〜50Wがより好ましい。また、酸素プラズマ処理時の処理時間は、1〜100秒が好ましく、2〜60秒がより好ましい。また、酸素プラズマ処理の温度は、−30〜300℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、最も好ましくは室温(5〜40℃)である。酸素プラズマ処理に用いるプラズマ装置は、特に限定されず、たとえば、サウスベイ社製(South Bay Technology,USA)のPE−2000プラズマエッキャー(Plasma etcher)などを用いることができる。
【実施例】
【0182】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0183】
・中性化膜
下記モノマー(1)〜(7)を表1〜2に示すモル比(ただし、モノマー(2)、(3)を含む下地剤については(2)、(3)由来の構成単位が分離できないため仕込みのモル比を記載する。)で合成して樹脂1〜12を調製し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に樹脂1〜12をそれぞれ溶解させ、固形分濃度1.0質量%の下地剤1〜12を調製した。下記モノマー(5)において、Rはイソブチル基である。
【0184】
【化25】
【0185】
【表1】
【0186】
【表2】
【0187】
≪表面自由エネルギーの測定及び算出≫
上記下地剤(以下、「中性化膜」ともいう)1〜12及び下記ブロックコポリマーのPOSS構造含有構成単位のブロック(以下、「Aブロック」ということがある。)、メタクリル酸メチルのブロック(以下、「Bブロック」ということがある。)、ポリスチレンのブロック(以下、「Cブロック」ということがある。)、ポリトリメチルシリルスチレンのブロック(以下、「Dブロック」ということがある。)、及びポリt−ブチルスチレンのブロック(以下、「Eブロック」ということがある。)について、水及びジヨードメタンに対する接触角を多機能統合解析ソフトウェア「FAMAS」(協和界面科学株式会社製)を用いて測定し、さらに同ソフトウェアにより、Wu理論に基づく方法で表面自由エネルギーを算出した。なお、接触角測定に際し、A〜Eブロックの測定に用いた具体的なポリマーは、POSS構造含有構成単位(下記式(BCP)−1におけるモル比:mの構成単位)のみからなる分子量7000のホモポリマー、メタクリル酸メチル構成単位(下記式(BCP)−1におけるモル比:lの構成単位)のみからなる分子量7000のホモポリマー(PMMA)、スチレン構成単位(下記式(BCP)−2におけるモル比lの構成単位)のみからなる分子量7000のホモポリマー(ポリスチレン)、下記式(BCP)−2におけるモル比:lの構成単位)のみからなる分子量7000のホモポリマー(PMMA)であった。接触角測定用のホモポリマー膜を形成するための樹脂溶液は樹脂固形分濃度1質量%(溶剤はメチルアミルケトン)であった。各中性化膜及び各ホモポリマー膜の膜厚はいずれも約25nmとして接触角を測定した。
その結果をSFE−Wu d(分散成分)、SFE−Wu p(極性成分)として下記表3に示す。単位はmJ/mである。また、SFE−Wu d及びSFE−Wu pの各数値の平方根を、それぞれSQRT−d及びSQRT−pとして下記表3に併記する。単位は(mJ/m1/2である。
【0188】
【表3】
【0189】
上記結果に基づき、図4に示す座標平面上に、分散成分の平方根SQRT−d(分散成分の平方根(d)0.5)を横軸に、極性成分の平方根SQRT−p(極性成分の平方根(p)0.5)を縦軸にとり、A〜Bブロック、下地剤1〜8について座標をとった。
その結果、Aブロックの点A(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:0.0)、Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.5、極性成分の平方根:4.0)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、下地剤(中性化膜)の点Nは、線分ABを3:7に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあるものは、下地剤7(図4中の実施例1)及び8(図4中の実施例2)であった。
下地剤1〜6(図4中の比較例1〜6)は該楕円の範囲からは外れていた。
【0190】
・ブロックコポリマー
下記化学式(BCP)−1で表され、構成単位の割合(モル比)の異なるブロックコポリマー(1)及びブロックコポリマー(2)と、下記化学式(BCP)−2で表され、構成単位の割合(モル比)の異なるブロックコポリマー(3)及びブロックコポリマー(4)とをそれぞれ用いた。
【0191】
【化26】
【0192】
ブロックコポリマー(1):シリンダー状の相分離構造を形成(周期L=20nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は20000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=74/26であった。
ブロックコポリマー(1)と2−ヘプタノンとを含有する、ブロックコポリマー(1)の固形分濃度1.0質量%の2−ヘプタノン溶液を調整し、ブロックコポリマー(1)含有組成物とした。
【0193】
ブロックコポリマー(2):ラメラ状の相分離構造を形成(周期L=20nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は20000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=95/5であった。
ブロックコポリマー(2)と2−ヘプタノンとを含有する、ブロックコポリマー(2)の固形分濃度1.0質量%の2−ヘプタノン溶液を調整し、ブロックコポリマー(2)含有組成物とした。
【0194】
ブロックコポリマー(3):シリンダー状の相分離構造を形成(周期L=24nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は35000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=75/25であった。
ブロックコポリマー(3)とPGMEAとを含有する、ブロックコポリマー(3)の固形分濃度2.0質量%のPGMEA溶液を調整し、ブロックコポリマー(3)含有組成物とした。
【0195】
ブロックコポリマー(4):ラメラ状の相分離構造を形成(周期L=51nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は110000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=55/45であった。
ブロックコポリマー(4)とPGMEAとを含有する、ブロックコポリマー(4)の固形分濃度2.0質量%のPGMEA溶液を調整し、ブロックコポリマー(4)含有組成物とした。
【0196】
ブロックコポリマー(5):下記化学式(BCP)−3で表されるブロックコポリマー(5)を用いてラメラ状の相分離構造を形成(周期L=37nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は62000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=34/66であった。
ブロックコポリマー(5)とPGMEAとを含有する、ブロックコポリマー(5)の固形分濃度2.0質量%のPGMEA溶液を調整し、ブロックコポリマー(5)含有組成物とした。
【0197】
【化27】
【0198】
ブロックコポリマー(6):下記化学式(BCP)−4で表されるブロックコポリマー(5)を用いてシリンダー状の相分離構造を形成(周期L=48nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は96000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=66/34であった。
ブロックコポリマー(6)とPGMEAとを含有する、ブロックコポリマー(6)の固形分濃度2.0質量%のPGMEA溶液を調整し、ブロックコポリマー(6)含有組成物とした。
【0199】
【化28】
【0200】
ブロックコポリマー(7):下記化学式(BCP)−5で表されるブロックコポリマー(5)を用いてシリンダー状の相分離構造を形成(周期L=45nm)した。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は96000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.02であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m=75/25であった。
ブロックコポリマー(7)とPGMEAとを含有する、ブロックコポリマー(7)の固形分濃度2.0質量%のPGMEA溶液を調整し、ブロックコポリマー(7)含有組成物とした。
【0201】
【化29】
【0202】
・トップコート(TC)材料
TC材料(2−1):下記化学式(TC)−1で表される高分子化合物と、溶媒(アンモニア水:メタノール=1:3(質量比)の混合溶剤)と、を含有する該高分子化合物1.5質量%溶液。
【0203】
【化30】
化学式(TC)−1で表される高分子化合物:GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は13400、分子量分散度(Mw/Mn)は2.7であった。また、13C−NMRにより求められた各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=60/16/24であった。
【0204】
≪パターンの形成≫
以下に示す各例の方法により、ブロックコポリマー(1)〜(7)を含む層を相分離させて、相分離構造を含む構造体を製造し、該構造体から、メタクリル酸メチル由来の構成単位のブロックからなる相を選択的に除去し、パターンをそれぞれ形成した。その後、得られたパターン断面の形状を観察した。そして、ウェーハ表面に対して垂直方向に配向したラメラ状又はシリンダー状の相分離パターンが形成されているか否か、を評価した。
【0205】
(実施例1〜2、比較例1〜6)
200度60秒間のベーク(dehydration bake)処理をした後の8インチのシリコンウェーハ上に、下記表4に示す下地剤からなる層をそれぞれ20nmの厚さで塗布し、230℃で60秒間のベーク処理をした。その後、PGMEAを用いて未架橋部分を除去するためリンス処理を行い、乾燥させるため90度60秒間のポストベークを行った。続いて、下地剤からなる層上(比較例1〜6、実施例1〜2)にブロックコポリマー(1)含有組成物をスピンコート(回転数:1500rpm、60秒間)し、110℃で60秒間のベーク処理を行い、膜厚18nmのブロックコポリマー(1)を含む層を形成した。
該ブロックコポリマー(1)を含む層上には、TC材料(2−1)を塗布し、膜厚57nmのトップコート膜を形成した。
次いで、該ブロックコポリマー(1)を含む層を、大気雰囲気下、180℃で1時間の熱アニールによって相分離させ、アンモニア水:メタノール=1:3(質量比)の混合溶剤を用いてトップコート膜を除去して、相分離構造を含む構造体を得た。
【0206】
その後、TCA−3822(商品名、東京応化工業社製)を用いて、該構造体に対して酸素プラズマ処理(200sccm、40Pa、200W、30秒間、40℃)を行い、該構造体から、メタクリル酸メチル由来の構成単位のブロックからなる相を選択的に除去し、パターンを形成した。
走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:SU8000、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、得られたパターン断面の形状を観察したところ、ウェーハ表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状の相分離パターンが確認できた。
【0207】
(実施例3〜4、比較例7〜8)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(2)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変えた他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例3〜4ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離パターンが確認できた。
Aブロックの点A(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:0.0)、Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.5、極性成分の平方根:4.0)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例3,4における下地剤(中性化膜)の点Nは、線分ABを5:5に内分する点Oを中心とし、短軸は線分AB上にあって、短径は線分ABの長さの0.4倍であり、長径は線分ABの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあり(図5中の実施例3〜4)、図5に示すように比較例7〜8における各下地剤(中性化膜)の点Nはその楕円の範囲から外れていた。
【0208】
(実施例5〜6)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(3)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変え、さらにTC材料(2−1)を使用しないかわりに窒素気流下で、180℃600秒の熱アニール処理をした他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例5〜6ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状の相分離パターンが確認できた。
Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.5、極性成分の平方根:4.0)、Cブロックの点C(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:2.2)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例5,6における下地剤(中性化膜)の点Nは、図6に示したとおり、線分BCを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分BC上にあって、短径は線分BCの長さの0.4倍であり、長径は線分BCの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあった。
【0209】
(実施例7)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(4)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変え、さらにTC材料(2−1)を使用しないかわりに窒素気流下で、240℃600秒の熱アニール処理をした他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例7ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離パターンが確認できた。
Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.5、極性成分の平方根:4.0)、Cブロックの点C(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:2.2)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例7における下地剤(中性化膜)の点Nは、図7に示したとおり、線分BCを5:5に内分する点Oを中心とし、短軸は線分BC上にあって、短径は線分BCの長さの0.4倍であり、長径は線分BCの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることが確認できた。
【0210】
(実施例8)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(5)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変え、さらにTC材料(2−1)を使用しないかわりに窒素気流下で、240℃600秒の熱アニール処理をした他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例8ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離パターンが確認できた。
Dブロックの点D(分散成分の平方根:6.2、極性成分の平方根:0.0)、Cブロックの点C(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:2.2)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例8における下地剤(中性化膜)の点Nは、図10に示したとおり、線分DCを5:5に内分する点Oを中心とし、短軸は線分DC上にあって、短径は線分DCの長さの0.4倍であり、長径は線分DCの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあることが確認できた。
【0211】
(実施例9)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(6)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変え、さらにTC材料(2−1)を使用しないかわりに窒素気流下で、240℃600秒の熱アニール処理をした他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例9ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状の相分離パターンが確認できた。
Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.4、極性成分の平方根:4.0)、Eブロックの点E(分散成分の平方根:6.1、極性成分の平方根:0.9)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例9における下地剤(中性化膜)の点Nは、図11に示したとおり、線分BEを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分BE上にあって、短径は線分BEの長さの0.4倍であり、長径は線分BEの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあった。
【0212】
(実施例10)
ブロックコポリマー(1)含有組成物をブロックコポリマー(7)含有組成物とし、下地剤を表4に示すものに変え、さらにTC材料(2−1)を使用しないかわりに窒素気流下で、240℃600秒の熱アニール処理をした他は上記と同様にして、パターン形成を行ったところ、実施例10ではウェーハ表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状の相分離パターンが確認できた。
Bブロックの点B(分散成分の平方根:5.4、極性成分の平方根:4.0)、Cブロックの点C(分散成分の平方根:6.4、極性成分の平方根:2.2)、各下地剤(中性化膜)の点N(分散成分の平方根(dP0.5,極性成分の平方根(pP0.5)、で示したとき、実施例10における下地剤(中性化膜)の点Nは、図12に示したとおり、線分BCを7:3に内分する点Oを中心とし、短軸は線分BC上にあって、短径は線分BCの長さの0.4倍であり、長径は線分BCの長さの3倍である楕円Eが囲む範囲内にあった。
【0213】
【表4】
【0214】
上記結果に示したとおり、本願発明の下地剤を用いた場合、ブロックコポリマーの相分離構造を形成でき、良好な垂直パターンを形成することができた。
【符号の説明】
【0215】
1…支持体、2…中性化膜からなる層、3…ブロックコポリマーを含む層、3a…Pブロックからなる相、3b…Pブロックからなる相
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12