(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率をndとしたとき、ndが1.30以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学系。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願第1発明の光学系、光学装置及び光学系の製造方法について説明する。
本願第1発明の光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜が設けられており、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでおり、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群とを有し、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第3bレンズ群がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、以下の条件式(1−1)を満足することを特徴とする。
(1−1) 1.70<|fR/fF|<5.00
ただし、
fR:無限遠物体合焦時の前記第1レンズ群から前記第3aレンズ群までの合成焦点距離fF:無限遠物体合焦時の前記第3bレンズ群と前記第3bレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの合成焦点距離
【0015】
上記のように本願第1発明の光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群とを有し、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動する。この構成により、本願第1発明の光学系は小型軽量化と優れた結像性能を達成することができる。
【0016】
また、上記のように本願第1発明の光学系は、前記第3bレンズ群がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動、即ちレンズシフトする。この構成により、手ぶれ等に起因する像ぶれの補正、即ち防振を行うことができる。
【0017】
条件式(1−1)は、第1レンズ群から第3aレンズ群までの合成焦点距離と、第3bレンズ群と第3bレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの合成焦点距離との比の適切な範囲を規定するものである。なお、第3bレンズ群よりも像側にレンズが存在しない場合には、「fF:第3bレンズ群の焦点距離」として条件式(1−1)の対応値を計算するものとする。本願第1発明の光学系は、条件式(1−1)を満足することにより、小型化を図りながら、球面収差とコマ収差を良好に補正でき、優れた結像性能を得ることができる。
【0018】
本願第1発明の光学系の条件式(1−1)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群から第3aレンズ群までの合成屈折力が相対的に小さくなる。これにより、第1レンズ群から第3aレンズ群で発生する球面収差とコマ収差が補正不足になるため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−1)の上限値を4.75とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−1)の上限値を4.25とすることがより好ましい。
【0019】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−1)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群から第3aレンズ群までの合成屈折力が相対的に大きくなる。これにより、第1レンズ群から第3aレンズ群でコマ収差が多大に発生してしまいため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−1)の下限値を1.71とすることがより好ましい。
以上の構成により、小型で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有する光学系を実現することができる。
【0020】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜が設けられており、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでいることを特徴とする。この構成により、本願第1発明の光学系は、物体からの光が光学面で反射されることによって生じるゴーストやフレアをより低減させることができ、高い結像性能を達成することができる。
【0021】
また、本願第1発明の光学系は、前記反射防止膜は多層膜であり、前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、前記多層膜を構成する層のうちの最も表面側の層であることが望ましい。この構成により、前記ウェットプロセスを用いて形成された層と空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0022】
また、本願第1発明の光学系は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率をndとしたとき、ndが1.30以下であることが望ましい。この構成により、前記ウェットプロセスを用いて形成された層と空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0023】
また、本願第1発明の光学系は、前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、像面側から見て凹形状のレンズ面であることが望ましい。第1レンズ群、第2レンズ群及び第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0024】
また、本願第1発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0025】
また、本願第1発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第2レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0026】
また、本願第1発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0027】
また、本願第1発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0028】
また、本願第1発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内の物体側から4番目のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0029】
また、本願第1発明の光学系は、前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、物体側から見て凹形状のレンズ面であることが望ましい。第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0030】
また、本願第1発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0031】
また、本願第1発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0032】
また、本願第1発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第2レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0033】
なお、本願第1発明の光学系における反射防止膜は、ウェットプロセスに限られず、ドライプロセス等によって形成してもよい。この場合、反射防止膜は屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることが好ましい。この構成により、反射防止膜をドライプロセス等によって形成した場合でも、反射防止膜をウェットプロセスによって形成した場合と同様の効果を得ることができる。なお、屈折率が1.30以下となる層は、多層膜を構成する層のうちの最も表面側の層であることが好ましい。
【0034】
また、本願第1発明の光学系は、以下の条件式(1−2)を満足することが望ましい。
(1−2) −1.60<βr×(1−βs)<−0.85
ただし、
βs:前記シフトレンズ群の横倍率
βr:前記シフトレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの横倍率
【0035】
条件式(1−2)は、シフトレンズ群の光軸と直交する方向への移動量に対する像の光軸と直交する方向への移動量である、所謂ブレ係数の適切な範囲を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−2)を満足することにより、球面収差、コマ収差及び像面湾曲を良好に補正でき、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0036】
本願第1発明の光学系の条件式(1−2)の対応値が上限値を上回ると、シフトレンズ群の移動量に対する像の移動量が相対的に小さくなる。これにより、球面収差とコマ収差が補正不足になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−2)の上限値を−0.95とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−2)の上限値を−1.00とすることがより好ましい。
【0037】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−2)の対応値が下限値を下回ると、シフトレンズ群の移動量に対する像の移動量が大きくなり過ぎる。これにより、コマ収差と像面湾曲が悪化してしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−2)の下限値を−1.55とすることがより好ましい。
【0038】
また、本願第1発明の光学系は、前記第3aレンズ群が正レンズと負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第3aレンズ群において球面収差とコマ収差を良好に補正でき、本願第1発明の光学系のさらなる高性能化を図ることができる。特に、前記第3aレンズ群が正の屈折力を有する構成とすることがより望ましい。
【0039】
また、本願第1発明の光学系は、前記第3bレンズ群が、物体側から順に、正レンズと負レンズとの接合レンズと、負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第3bレンズ群において球面収差を良好に補正することができ、第3レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、レンズシフト時の光学性能の劣化をより良好に抑えることができる。
【0040】
また、本願第1発明の光学系は、前記第3aレンズ群の物体側又は像側に開口絞りを有することが望ましい。この構成により、本願第1発明の光学系の屈折力配置を、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第3レンズ群という対称型に近付けて、像面湾曲と歪曲収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系はさらなる高性能化を図ることができる。
【0041】
また、本願第1発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、前記第3aレンズ群と、前記第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成され、以下の条件式(1−3)を満足することが望ましい。
(1−3) −0.45<f3a/f3bc<0.40
ただし、
f3a:前記第3aレンズ群の焦点距離
f3bc:無限遠物体合焦時の前記第3bレンズ群と前記第3cレンズ群の合成焦点距離
【0042】
条件式(1−3)は、第3aレンズ群の焦点距離と、第3bレンズ群と第3cレンズ群の合成焦点距離との比の適切な範囲を規定するものである。本願の光学系は、条件式(1−3)を満足することにより、球面収差とコマ収差、及びレンズシフト時のコマ収差の変動を良好に補正できる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0043】
本願第1発明の光学系の条件式(1−3)の対応値が上限値を上回ると、第3aレンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第3aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差が補正不足になってしまう。また、第3bレンズ群と第3cレンズ群の屈折力が相対的に大きくなる。このため、レンズシフト時にコマ収差の変動を抑えることができなくなり、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−3)の上限値を0.35とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−3)の上限値を0.30とすることがより好ましい。
【0044】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−3)の対応値が下限値を下回ると、第3aレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第3aレンズ群単体で球面収差とコマ収差が多大に発生してしまう。また、第3bレンズ群と第3cレンズ群の屈折力が相対的に小さくなる。このため、レンズシフト時にコマ収差が補正不足になってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−3)の下限値を−0.40とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−3)の下限値を−0.35とすることがより好ましい。
【0045】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が最も像側に負レンズを有することが望ましい。この構成により、第1レンズ群単体で球面収差が発生することを抑え、第1レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0046】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、以下の条件式(1−4)を満足することが望ましい。
(1−4) 1.40<f1a/f1b<2.05
ただし、
f1a:前記第1aレンズ群の焦点距離
f1b:前記第1bレンズ群の焦点距離
【0047】
条件式(1−4)は、第1aレンズ群と第1bレンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−4)を満足することにより、第1aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0048】
本願第1発明の光学系の条件式(1−4)の対応値が上限値を上回ると、第1aレンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第1aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差が補正不足になってしまう。また、第1bレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、合焦時に球面収差の変動を抑えることができなくなるため、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−4)の上限値を2.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−4)の上限値を1.95とすることがより好ましい。
【0049】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−4)の対応値が下限値を下回ると、第1aレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1aレンズ群単体で球面収差とコマ収差が多大に発生してしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−4)の下限値を1.45とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−4)の下限値を1.50とすることがより好ましい。
【0050】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が、物体側から順に、保護ガラスと、正レンズと、正レンズと、負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第1aレンズ群において球面収差を良好に補正することができる。これにより、本願の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0051】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1bレンズ群が、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと正レンズとの接合レンズで構成されていることが望ましい。この構成により、第1bレンズ群において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0052】
また、本願第1発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が以下の条件式(1−5)を満足する少なくとも1枚の正レンズを有することが望ましい。
(1−5) 90<νdp
ただし、
νdp:前記第1aレンズ群中の前記正レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
【0053】
条件式(1−5)は、第1aレンズ群中の正レンズの硝材のアッベ数を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−5)を満足することにより、第1レンズ群単体で軸上色収差と倍率色収差が発生することを抑えることができる。
【0054】
本願第1発明の光学系の条件式(1−5)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群単体で軸上色収差と倍率色収差が多大に発生し、本願第1発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0055】
また、本願第1発明の光学系は、前記第2レンズ群が複数の負レンズを有し、前記複数の負レンズのうちで最も像側に配置された負レンズが以下の条件式(1−6)を満足することが望ましい。
(1−6) ndn<1.65
ただし、
ndn:前記第2レンズ群中の前記複数の負レンズのうちで最も像側に配置された前記負レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対する屈折率
【0056】
条件式(1−6)は、第2レンズ群中の複数の負レンズのうちで最も像側に配置された負レンズの硝材の屈折率を規定するものである。本願の光学系は、条件式(1−6)を満足することにより、第2レンズ群単体で倍率色収差が発生することを抑えることができる。
【0057】
本願第1発明の光学系の条件式(1−6)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群単体で倍率色収差が多大に発生し、本願第1発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0058】
また、本願第1発明の光学系は、前記第2レンズ群が複数の負レンズを有し、前記複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された負レンズが以下の条件式(1−7)を満足することが望ましい。
(1−7) 49.7<νdn
ただし、
νdn:前記第2レンズ群中の前記複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された前記負レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
【0059】
条件式(1−7)は、第2レンズ群中の複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された負レンズの硝材のアッベ数を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−7)を満足することにより、第2レンズ群単体で軸上色収差が発生することを抑えることができる。
【0060】
本願第1発明の光学系の条件式(1−7)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群単体で軸上色収差が多大に発生し、本願第1発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0061】
また、本願第1発明の光学系は、以下の条件式(1−8)を満足することが望ましい。
(1−8) −3.00<f1/f2<−2.00
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0062】
条件式(1−8)は、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−8)を満足することにより、合焦時にコマ収差の変動を抑え、また第1レンズ群単体で球面収差が発生することを抑えることができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図ることができる。
【0063】
本願第1発明の光学系の条件式(1−8)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が相対的に小さくなる。このため、第1レンズ群がテレ比、即ち本願第1発明の光学系の全長を焦点距離で割った値を小さくすることに寄与できなくなり、本願第1発明の光学系の全長が大きくなってしまう。また、第2レンズ群の屈折力が相対的に大きくなるため、合焦時にコマ収差の変動を抑えることができなくなり、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−8)の上限値を−2.15とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−8)の上限値を−2.30とすることがより好ましい。
【0064】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−8)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1レンズ群単体で球面収差が多大に発生してしまう。また、第2レンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、合焦時の第2レンズ群の移動量が多大になってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−8)の下限値を−2.85とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−8)の下限値を−2.70とすることがより好ましい。
【0065】
また、本願第1発明の光学系は、前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、正レンズと負レンズとの接合レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第2レンズ群においてコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0066】
また、本願第1発明の光学系は、以下の条件式(1−9)を満足することが望ましい。
(1−9) 0.10<f/f12<0.85
ただし、
f:前記光学系の焦点距離
f12:無限遠物体合焦時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の合成焦点距離
【0067】
条件式(1−9)は、本願第1発明の光学系の焦点距離と第1レンズ群と第2レンズ群の合成焦点距離との比の適切な範囲を規定するものである。本願第1発明の光学系は、条件式(1−9)を満足することにより、第1レンズ群及び第2レンズ群で発生するコマ収差と倍率色収差を良好に補正することができる。これにより、本願第1発明の光学系は、さらなる高性能化を図ることができる。
【0068】
本願第1発明の光学系の条件式(1−9)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1レンズ群及び第2レンズ群でコマ収差が多大に発生してしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−9)の上限値を0.55とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−9)の上限値を0.53とすることがより好ましい。
【0069】
一方、本願第1発明の光学系の条件式(1−9)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第1レンズ群及び第2レンズ群で発生する倍率色収差が補正不足になるため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−9)の下限値を0.20とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1−9)の下限値を0.30とすることがより好ましい。
【0070】
また、本願第1発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、前記第3aレンズ群と、前記第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成されていることが望ましい。この構成により、第3aレンズ群で球面収差とコマ収差を補正することができ、第3cレンズ群で球面収差を補正することができる。したがって、第3レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。また、第3bレンズ群の少なくとも一部をシフトレンズ群としたことで、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0071】
本願第1発明の光学装置は、上述した構成の光学系を有することを特徴とする。これにより、小型で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有する光学装置を実現することができる。
【0072】
本願第1発明の光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する光学系の製造方法であって、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むようにし、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群とを有するようにし、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動するようにし、前記第3bレンズ群がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにし、前記光学系が以下の条件式(1−1)を満足するようにすることを特徴とする。これにより、小型で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有する光学系を製造することができる。
(1−1) 1.70<|fR/fF|<5.00
ただし、
fR:無限遠物体合焦時の前記第1レンズ群から前記第3aレンズ群までの合成焦点距離fF:無限遠物体合焦時の前記第3bレンズ群と前記第3bレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの合成焦点距離
【0073】
次に、本願第2発明の光学系、光学装置及び光学系の製造方法について説明する。
本願第2発明の光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜が設けられており、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでおり、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第3レンズ群の一部がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、以下の条件式(2−1)を満足することを特徴とする。
(2−1) −1.60<βr×(1−βs)<−0.85
ただし、
βs:前記シフトレンズ群の横倍率
βr:前記シフトレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの横倍率
【0074】
上記のように本願第2発明の光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第3レンズ群の一部がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動する。この構成により、本願第2発明の光学系は小型軽量化と優れた結像性能を達成することができる。
【0075】
また、上記のように本願第2発明の光学系は、前記第3レンズ群の一部がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動する。この構成により、手ぶれ等に起因する像ぶれの補正、即ち防振を行うことができる。
【0076】
条件式(2−1)は、シフトレンズ群の光軸と直交する方向への移動量に対する像の光軸と直交する方向への移動量である、所謂ブレ係数の適切な範囲を規定するものである。本願第2発明の光学系は、条件式(2−1)を満足することにより、球面収差、コマ収差及び像面湾曲を良好に補正でき、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0077】
本願第2発明の光学系の条件式(2−1)の対応値が上限値を上回ると、シフトレンズ群の移動量に対する像の移動量が相対的に小さくなる。これにより、球面収差とコマ収差が補正不足になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−1)の上限値を−0.95とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−1)の上限値を−1.00とすることがより好ましい。
【0078】
一方、本願第2発明の光学系の条件式(2−1)の対応値が下限値を下回ると、シフトレンズ群の移動量に対する像の移動量が大きくなり過ぎる。これにより、コマ収差と像面湾曲が悪化してしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−1)の下限値を−1.55とすることがより好ましい。
以上の構成により、諸収差を良好に補正し、かつレンズシフト時の光学性能の劣化を抑えた光学系を実現することができる。
【0079】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜が設けられており、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでいることを特徴とする。この構成により、本願第2発明の光学系は、物体からの光が光学面で反射されることによって生じるゴーストやフレアをより低減させることができ、高い結像性能を達成することができる。
【0080】
また、本願第2発明の光学系は、前記反射防止膜は多層膜であり、前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、前記多層膜を構成する層のうちの最も表面側の層であることが望ましい。この構成により、前記ウェットプロセスを用いて形成された層と空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0081】
また、本願第2発明の光学系は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率をndとしたとき、ndが1.30以下であることが望ましい。この構成により、前記ウェットプロセスを用いて形成された層と空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0082】
また、本願第2発明の光学系は、前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、像面側から見て凹形状のレンズ面であることが望ましい。第1レンズ群、第2レンズ群及び第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0083】
また、本願第2発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0084】
また、本願第2発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第2レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0085】
また、本願第2発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0086】
また、本願第2発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0087】
また、本願第2発明の光学系は、前記像面側から見て凹形状のレンズ面は、前記第3レンズ群内の物体側から4番目のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第3レンズ群における光学面のうち、像面側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0088】
また、本願第2発明の光学系は、前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、物体側から見て凹形状のレンズ面であることが望ましい。第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0089】
また、本願第2発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0090】
また、本願第2発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側レンズ面であることが望ましい。第1レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0091】
また、本願第2発明の光学系は、前記物体側から見て凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群内のレンズの物体側レンズ面であることが望ましい。第2レンズ群における光学面のうち、物体側から見て凹形状のレンズ面では反射光が発生しやすい。このため、斯かるレンズ面に反射防止膜を形成することで、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0092】
なお、本願第2発明の光学系における反射防止膜は、ウェットプロセスに限られず、ドライプロセス等によって形成してもよい。この場合、反射防止膜は屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることが好ましい。この構成により、反射防止膜をドライプロセス等によって形成した場合でも、反射防止膜をウェットプロセスによって形成した場合と同様の効果を得ることができる。なお、屈折率が1.30以下となる層は、多層膜を構成する層のうちの最も表面側の層であることが好ましい。
【0093】
また、本願第2発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成され、前記第3bレンズ群が前記シフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動することが望ましい。この構成により、第3aレンズ群で球面収差とコマ収差を補正することができ、第3cレンズ群で球面収差を補正することができる。したがって、第3レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。また、第3bレンズ群をシフトレンズ群としたことで、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0094】
また、本願第2発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成され、前記第3aレンズ群が正レンズと負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第3aレンズ群において球面収差とコマ収差を良好に補正でき、本願第2発明の光学系のさらなる高性能化を図ることができる。特に、前記第3aレンズ群が正の屈折力を有する構成とすることがより望ましい。
【0095】
また、本願第2発明の光学系は、前記シフトレンズ群が、物体側から順に、正レンズと負レンズとの接合レンズと、負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、シフトレンズ群において球面収差を良好に補正することができ、第3レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、レンズシフト時の光学性能の劣化をより良好に抑えることができる。
【0096】
また、本願第2発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成され、前記第3aレンズ群の物体側又は像側に開口絞りを有することが望ましい。この構成により、本願第2発明の光学系の屈折力配置を、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第3レンズ群という対称型に近付けて、像面湾曲と歪曲収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系はさらなる高性能化を図ることができる。
【0097】
また、本願第2発明の光学系は、前記第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群と、第3cレンズ群とから構成され、前記第3bレンズ群が前記シフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動し、以下の条件式(2−2)を満足することが望ましい。
(2−2) −0.45<f3a/f3bc<0.40
ただし、
f3a:前記第3aレンズ群の焦点距離
f3bc:無限遠物体合焦時の前記第3bレンズ群と前記第3cレンズ群の合成焦点距離
【0098】
条件式(2−2)は、第3aレンズ群の焦点距離と、シフトレンズ群である第3bレンズ群と第3cレンズ群の合成焦点距離との比の適切な範囲を規定するものである。本願の光学系は、条件式(2−2)を満足することにより、球面収差とコマ収差、及びレンズシフト時のコマ収差の変動を良好に補正できる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0099】
本願第2発明の光学系の条件式(2−2)の対応値が上限値を上回ると、第3aレンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第3aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差が補正不足になってしまう。また、シフトレンズ群と第3cレンズ群の屈折力が相対的に大きくなる。このため、レンズシフト時にコマ収差の変動を抑えることができなくなり、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−2)の上限値を0.35とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−2)の上限値を0.30とすることがより好ましい。
【0100】
一方、本願第2発明の光学系の条件式(2−2)の対応値が下限値を下回ると、第3aレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第3aレンズ群単体で球面収差とコマ収差が多大に発生してしまう。また、シフトレンズ群と第3cレンズ群の屈折力が相対的に小さくなる。このため、レンズシフト時にコマ収差が補正不足になってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−2)の下限値を−0.40とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−2)の下限値を−0.35とすることがより好ましい。
【0101】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が最も像側に負レンズを有することが望ましい。この構成により、第1レンズ群単体で球面収差が発生することを抑え、第1レンズ群全体において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0102】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、以下の条件式(2−3)を満足することが望ましい。
(2−3) 1.40<f1a/f1b<2.05
ただし、
f1a:前記第1aレンズ群の焦点距離
f1b:前記第1bレンズ群の焦点距離
【0103】
条件式(2−3)は、第1aレンズ群と第1bレンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願の光学系は、条件式(2−3)を満足することにより、第1aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0104】
本願第2発明の光学系の条件式(2−3)の対応値が上限値を上回ると、第1aレンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第1aレンズ群単体で発生する球面収差とコマ収差が補正不足になってしまう。また、第1bレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、合焦時に球面収差の変動を抑えることができなくなるため、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−3)の上限値を2.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−3)の上限値を1.95とすることがより好ましい。
【0105】
一方、本願第2発明の光学系の条件式(2−3)の対応値が下限値を下回ると、第1aレンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1aレンズ群単体で球面収差とコマ収差が多大に発生してしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−3)の下限値を1.45とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−3)の下限値を1.50とすることがより好ましい。
【0106】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が、物体側から順に、保護ガラスと、正レンズと、正レンズと、負レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第1aレンズ群において球面収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0107】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1bレンズ群が、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと正レンズとの接合レンズで構成されていることが望ましい。この構成により、第1bレンズ群において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0108】
また、本願第2発明の光学系は、前記第1レンズ群が、物体側から順に、第1aレンズ群と、第1bレンズ群とから構成され、前記第1aレンズ群と前記第1bレンズ群との空気間隔が、前記第1レンズ群中の空気間隔のうちで最大であり、前記第1aレンズ群が以下の条件式(2−4)を満足する少なくとも1枚の正レンズを有することが望ましい。
(2−4) 90<νdp
ただし、
νdp:前記第1aレンズ群中の前記正レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
【0109】
条件式(2−4)は、第1aレンズ群中の正レンズの硝材のアッベ数を規定するものである。本願の光学系は、条件式(2−4)を満足することにより、第1レンズ群単体で軸上色収差と倍率色収差が発生することを抑えることができる。
【0110】
本願第2発明の光学系の条件式(2−4)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群単体で軸上色収差と倍率色収差が多大に発生し、本願第2発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0111】
また、本願第2発明の光学系は、前記第2レンズ群が複数の負レンズを有し、前記複数の負レンズのうちで最も像側に配置された負レンズが以下の条件式(2−5)を満足することが望ましい。
(2−5) ndn<1.65
ただし、
ndn:前記第2レンズ群中の前記複数の負レンズのうちで最も像側に配置された前記負レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対する屈折率
【0112】
条件式(2−5)は、第2レンズ群中の複数の負レンズのうちで最も像側に配置された負レンズの硝材の屈折率を規定するものである。本願第2発明の光学系は、条件式(2−5)を満足することにより、第2レンズ群単体で倍率色収差が発生することを抑えることができる。
【0113】
本願第2発明の光学系の条件式(2−5)の対応値が上限値を上回ると、第2レンズ群単体で倍率色収差が多大に発生し、本願第2発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0114】
また、本願第2発明の光学系は、前記第2レンズ群が複数の負レンズを有し、前記複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された負レンズが以下の条件式(2−6)を満足することが望ましい。
(2−6) 49.7<νdn
ただし、
νdn:前記第2レンズ群中の前記複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された前記負レンズの硝材のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
【0115】
条件式(2−6)は、第2レンズ群中の複数の負レンズのうちで最も物体側に配置された負レンズの硝材のアッベ数を規定するものである。本願第2発明の光学系は、条件式(2−6)を満足することにより、第2レンズ群単体で軸上色収差が発生することを抑えることができる。
【0116】
本願第2発明の光学系の条件式(2−6)の対応値が下限値を下回ると、第2レンズ群単体で軸上色収差が多大に発生し、本願第2発明の光学系の光学性能が悪化してしまうため好ましくない。
【0117】
また、本願第2発明の光学系は、以下の条件式(2−7)を満足することが望ましい。
(2−7) −3.00<f1/f2<−2.00
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0118】
条件式(2−7)は、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願第2発明の光学系は、条件式(2−7)を満足することにより、合焦時にコマ収差の変動を抑え、また第1レンズ群単体で球面収差が発生することを抑えることができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図ることができる。
【0119】
本願第2発明の光学系の条件式(2−7)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が相対的に小さくなる。このため、第1レンズ群がテレ比、即ち本願第2発明の光学系の全長を焦点距離で割った値を小さくすることに寄与できなくなり、本願第2発明の光学系の全長が大きくなってしまう。また、第2レンズ群の屈折力が相対的に大きくなるため、合焦時にコマ収差の変動を抑えることができなくなり、高い光学性能を得ることができなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−7)の上限値を−2.15とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−7)の上限値を−2.30とすることがより好ましい。
【0120】
一方、本願第2発明の光学系の条件式(2−7)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1レンズ群単体で球面収差が多大に発生してしまう。また、第2レンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、合焦時の第2レンズ群の移動量が多大になってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−7)の下限値を−2.85とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−7)の下限値を−2.70とすることがより好ましい。
【0121】
また、本願第2発明の光学系は、前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、正レンズと負レンズとの接合レンズとから構成されていることが望ましい。この構成により、第2レンズ群においてコマ収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図りながら、合焦時の光学性能の劣化を抑えることができる。
【0122】
また、本願第2発明の光学系は、以下の条件式(2−8)を満足することが望ましい。
(2−8) 0.10<f/f12<0.85
ただし、
f:前記光学系の焦点距離
f12:無限遠物体合焦時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の合成焦点距離
【0123】
条件式(2−8)は、本願第2発明の光学系の焦点距離と第1レンズ群と第2レンズ群の合成焦点距離との比の適切な範囲を規定するものである。本願第2発明の光学系は、条件式(2−8)を満足することにより、第1レンズ群及び第2レンズ群で発生するコマ収差と倍率色収差を良好に補正することができる。これにより、本願第2発明の光学系は、さらなる高性能化を図ることができる。
【0124】
本願第2発明の光学系の条件式(2−8)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力が相対的に大きくなり、第1レンズ群及び第2レンズ群でコマ収差が多大に発生してしまうため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−8)の上限値を0.55とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−8)の上限値を0.53とすることがより好ましい。
【0125】
一方、本願第2発明の光学系の条件式(2−8)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力が相対的に小さくなり、第1レンズ群及び第2レンズ群で発生する倍率色収差が補正不足になるため好ましくない。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−8)の下限値を0.20とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2−8)の下限値を0.30とすることがより好ましい。
【0126】
本願第2発明の光学装置は、上述した構成の光学系を有することを特徴とする。これにより、諸収差を良好に補正し、かつレンズシフト時の光学性能の劣化を抑えた光学装置を実現することができる。
【0127】
本願第2発明の光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する光学系の製造方法であって、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むようにし、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第2レンズ群が光軸に沿って移動するようにし、前記第3レンズ群の一部がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにし、前記光学系が以下の条件式(2−1)を満足するようにすることを特徴とする。これにより、諸収差を良好に補正し、かつレンズシフト時の光学性能の劣化を抑えた光学系を製造することができる。
(2−1) −1.60<βr×(1−βs)<−0.85
ただし、
βs:前記シフトレンズ群の横倍率
βr:前記シフトレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの横倍率
【0128】
以下、本願第1及び第2発明の数値実施例に係る光学系を添付図面に基づいて説明する。
(第1及び第2発明の第1実施例)
図1は、本願第1及び第2発明の第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0129】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0130】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0131】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0132】
本実施例に係る光学系は、第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の像面側レンズ面(面番号24)と、第3レンズ群G3の両凸形状の正レンズL36の物体側レンズ面(面番号27)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0133】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群(防振レンズ群)として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
なお、像面I上には、CCDやCMOS等で構成された不図示の撮像素子が配置される。これは後述する各実施例においても同様である。
【0134】
以下の表1に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、Bfはバックフォーカス(フィルタFLと像面Iとの光軸上の距離)を示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えた光学面の順番、rは曲率半径、dは面間隔(第n面(nは整数)と第n+1面との間隔)、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、絞りSは開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。また、空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。
【0135】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、2ωは画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは本実施例に係る光学系の全長(第1面から像面Iまでの光軸上の距離)、dnは第n面と第n+1面との可変の間隔をそれぞれ示す。なお、βは撮影倍率、d0は物体から第1面までの距離を示す。
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面と焦点距離を示す。
[条件式対応値]には、第1及び第2発明の本実施例に係る光学系の各条件式の対応値を示す。
【0136】
ここで、表1に掲載されている焦点距離f、曲率半径r及びその他の長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0137】
(表1)第1及び第2発明の第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 208.5821 17.50 1.43385 95.25
4 -1176.6338 45.00
5 180.4147 18.00 1.43385 95.25
6 -380.1711 3.00
7 -348.9527 6.00 1.61266 44.46
8 384.9936 90.00
9 67.5463 4.00 1.79500 45.31
10 46.6351 15.00 1.49782 82.57
11 1089.9704 可変
12 -1616.0869 2.50 1.77250 49.62
13 118.0496 3.35
14 -285.3999 3.50 1.84666 23.80
15 -87.3702 2.40 1.51823 58.82
16 63.6357 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 84.6009 8.00 1.48749 70.31
19 -63.3175 0.60
20 -66.2548 1.90 1.84666 23.80
21 -116.1778 5.00
22 433.7902 3.50 1.84666 23.80
23 -123.0826 1.90 1.59319 67.90
24 51.3275 3.60
25 -293.4310 1.90 1.75500 52.34
26 110.9976 4.00
27 130.2260 3.50 1.77250 49.62
28 -326.0207 0.10
29 67.6197 4.50 1.64000 60.20
30 -391.1361 1.90 1.84666 23.80
31 276.0025 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.88
2ω 6.27
Y 21.60
TL 396.95
Bf 71.551
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.003 -0.173
d0 ∞ 2201.931
d11 19.530 34.930
d16 36.219 20.820
Bf 71.551 71.575
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 179.9884
2 12 -67.9431
3 18 163.6612
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 322.0136
fR = -760.8459
f = 392.0028
f1 = 179.9884
f1a = 355.6752
f1b = 194.3600
f2 = -67.9431
f12 = 1030.4247
f3a = 125.9727
f3bc = -760.8459
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51823
νdn = 58.82
βs = -4.8884
βr = -0.2490
(1−1) |fR/fF| = 2.3628
(1−2) βr×(1−βs) = -1.4664
(1−3) f3a/f3bc = -0.1656
(1−4) f1a/f1b = 1.8300
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.51823
(1−7) νdn = 58.82
(1−8) f1/f2 = -2.6491
(1−9) f/f12 = 0.3804
(第2発明)
f = 392.0028
f1 = 179.9884
f1a = 355.6752
f1b = 194.3600
f2 = -67.9431
f12 = 1030.4247
f3a = 125.9727
f3bc = -760.8459
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51823
νdn = 58.82
βs = -4.8884
βr = -0.2490
(2−1) βr×(1−βs) = -1.4664
(2−2) f3a/f3bc = -0.1656
(2−3) f1a/f1b = 1.8300
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.51823
(2−6) νdn = 58.82
(2−7) f1/f2 = -2.6491
(2−8) f/f12 = 0.3804
【0138】
図2(a)、及び
図2(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図3は、本願第1及び第2発明の第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図3におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.40mmである。
【0139】
各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)における収差をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。コマ収差図は、各像高Yにおけるコマ収差を示す。なお、後述する各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0140】
ここで、本実施例に係る光学系においてゴーストやフレアが発生する原因について説明する。
図30は、本実施例に係る光学系に入射した光線が第1番目の反射面と第2番目の反射面で反射して像面Iにゴーストやフレアを形成する様子の一例を示す図である。
図30において、物体側からの光線BMが図示のように光学系に入射すると、光線BMの一部は第3レンズ群G3における両凸形状の正レンズL36の物体側レンズ面(面番号27、ゴーストやフレアとなる反射光が生じる第1番目の反射面)で反射され、さらに第3レンズ群G3における両凹形状の負レンズL34の像面側レンズ面(面番号24、ゴーストやフレアとなる反射光が生じる第2番目の反射面)で再度反射され、最終的に像面Iに到達してゴーストやフレアを発生させてしまう。なお、前記第1番目の反射面は像面側から見て凹形状のレンズ面、前記第2番目の反射面は像面側から見て凹形状のレンズ面である。
そこで本実施例に係る光学系は、斯かるレンズ面に広い波長範囲で広い入射角の光線に対応した反射防止膜を形成することで、反射光の発生を抑え、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0141】
(第1及び第2発明の第2実施例)
図4は、本願第1及び第2発明の第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0142】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。 第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0143】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0144】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0145】
本実施例に係る光学系は、第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の像面側レンズ面(面番号24)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0146】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表2に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0147】
(表2)第1及び第2発明の第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 205.7091 17.50 1.43385 95.25
4 -1134.8251 45.00
5 173.6014 18.00 1.43385 95.25
6 -417.4854 3.07
7 -374.6983 6.00 1.61266 44.46
8 347.6771 90.00
9 66.1559 4.00 1.79500 45.31
10 45.7808 15.00 1.49782 82.57
11 874.9561 可変
12 -2545.8867 2.50 1.77250 49.62
13 114.9779 3.35
14 -271.4306 3.50 1.84666 23.80
15 -87.3926 2.40 1.51823 58.82
16 63.5469 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 87.7161 7.60 1.48749 70.31
19 -64.5076 1.20
20 -66.7841 1.90 1.84666 23.80
21 -116.0392 5.00
22 325.4187 3.50 1.84666 23.80
23 -134.7294 1.90 1.59319 67.90
24 52.9625 3.60
25 -331.8219 1.90 1.75500 52.34
26 98.9972 4.00
27 117.6253 3.50 1.77250 49.62
28 -402.3365 0.10
29 67.6197 4.50 1.64000 60.20
30 -391.1361 1.90 1.84666 23.80
31 264.8450 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 391.99
FNO 2.88
2ω 6.29
Y 21.63
TL 397.00
Bf 71.300
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 391.991 -0.174
d0 ∞ 2203.000
d11 18.344 33.670
d16 37.438 22.112
Bf 71.300 71.300
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 179.8867
2 12 -67.1696
3 18 160.1914
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 331.5552
fR = -976.6517
f = 391.9914
f1 = 179.8867
f1a = 354.4332
f1b = 193.1145
f2 = -67.1696
f12 = 1088.5976
f3a = 129.0469
f3bc = -976.6517
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51823
νdn = 58.82
βs = -4.6800
βr = -0.2526
(1−1) |fR/fF| = 2.9457
(1−2) βr×(1−βs) = -1.4349
(1−3) f3a/f3bc = -0.1321
(1−4) f1a/f1b = 1.8354
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.51823
(1−7) νdn = 58.82
(1−8) f1/f2 = -2.6781
(1−9) f/f12 = 0.3601
(第2発明)
f = 391.9914
f1 = 179.8867
f1a = 354.4332
f1b = 193.1145
f2 = -67.1696
f12 = 1088.5976
f3a = 129.0469
f3bc = -976.6517
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51823
νdn = 58.82
βs = -4.6800
βr = -0.2526
(2−1) βr×(1−βs) = -1.4349
(2−2) f3a/f3bc = -0.1321
(2−3) f1a/f1b = 1.8354
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.51823
(2−6) νdn = 58.82
(2−7) f1/f2 = -2.6781
(2−8) f/f12 = 0.3601
【0148】
図5(a)、及び
図5(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図6は、本願第1及び第2発明の第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図6におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.40mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0149】
(第1及び第2発明の第3実施例)
図7は、本願第1及び第2発明の第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0150】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0151】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0152】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0153】
本実施例に係る光学系は、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL15の像面側レンズ面(面番号11)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0154】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表3に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0155】
(表3)第1及び第2発明の第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 207.0795 17.50 1.43384 95.26
4 -1127.5309 44.90
5 175.9698 18.00 1.43384 95.26
6 -397.2708 3.07
7 -360.2396 6.00 1.61266 44.46
8 353.1837 90.00
9 66.4844 4.00 1.79500 45.32
10 45.9182 15.00 1.49782 82.54
11 1114.1067 可変
12 2992.5492 2.50 1.75500 52.34
13 118.0399 3.35
14 -241.6942 3.50 1.84668 23.83
15 -86.4136 2.40 1.53996 59.52
16 64.2643 可変
17(絞りS) ∞ 1.50
18 90.0336 7.60 1.48749 70.43
19 -63.8039 1.20
20 -65.9768 1.90 1.84668 23.83
21 -114.8763 5.00
22 300.3587 3.50 1.84668 23.83
23 -128.0558 1.90 1.59319 67.94
24 53.9004 3.10
25 -347.5421 1.90 1.75500 52.33
26 94.5337 4.19
27 118.3533 3.50 1.77250 49.68
28 -384.3825 0.10
29 67.4622 4.50 1.64000 60.14
30 -340.4206 1.90 1.84668 23.83
31 246.6417 6.50
32 ∞ 1.50 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.89
2ω 6.28
Y 21.63
TL 396.91
Bf 74.220
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.000 -0.173
d0 ∞ 2203.010
d11 18.503 33.773
d16 38.179 22.909
Bf 74.220 73.906
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 179.1160
2 12 -67.4099
3 18 162.8784
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 332.9301
fR = -963.3744
f = 392.0000
f1 = 179.1160
f1a = 358.2095
f1b = 190.5264
f2 = -67.4099
f12 = 1061.9447
f3a = 131.3711
f3bc = -963.3744
νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
ndn = 1.53996
νdn = 59.52
βs = -4.9878
βr = -0.2361
(1−1) |fR/fF| = 2.8936
(1−2) βr×(1−βs) = -1.4135
(1−3) f3a/f3bc = -0.1364
(1−4) f1a/f1b = 1.8801
(1−5) νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
(1−6) ndn = 1.53996
(1−7) νdn = 59.52
(1−8) f1/f2 = -2.6571
(1−9) f/f12 = 0.3691
(第2発明)
f = 392.0000
f1 = 179.1160
f1a = 358.2095
f1b = 190.5264
f2 = -67.4099
f12 = 1061.9447
f3a = 131.3711
f3bc = -963.3744
νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
ndn = 1.53996
νdn = 59.52
βs = -4.9878
βr = -0.2361
(2−1) βr×(1−βs) = -1.4135
(2−2) f3a/f3bc = -0.1364
(2−3) f1a/f1b = 1.8801
(2−4) νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
(2−5) ndn = 1.53996
(2−6) νdn = 59.52
(2−7) f1/f2 = -2.6571
(2−8) f/f12 = 0.3691
【0156】
図8(a)、及び
図8(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図9は、本願第1及び第2発明の第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、図におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.43mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0157】
(第1及び第2発明の第4実施例)
図10は、本願第1及び第2発明の第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0158】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0159】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0160】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0161】
本実施例に係る光学系は、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の像面側レンズ面(面番号13)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0162】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表4に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0163】
(表4)第1及び第2発明の第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 210.9074 17.50 1.43384 95.26
4 -1135.2477 44.90
5 173.4175 18.00 1.43384 95.26
6 -413.8140 3.07
7 -375.4223 6.00 1.61266 44.46
8 358.4435 90.00
9 66.9574 4.00 1.79500 45.32
10 46.1708 15.00 1.49782 82.54
11 1030.2823 可変
12 10236.2589 2.50 1.77250 49.68
13 110.7581 3.35
14 -289.4383 3.50 1.84668 23.83
15 -96.1712 2.40 1.51680 63.88
16 65.0724 可変
17(絞りS) ∞ 1.50
18 86.8540 7.60 1.48749 70.43
19 -62.9408 1.20
20 -65.5511 1.90 1.84668 23.83
21 -118.4244 5.00
22 300.3217 3.50 1.84668 23.83
23 -128.4546 1.90 1.59319 67.94
24 53.9974 3.10
25 -348.7023 1.90 1.75500 52.33
26 93.3844 4.19
27 119.2828 3.50 1.77250 49.68
28 -375.3153 0.10
29 68.1234 4.50 1.64000 60.14
30 -426.6037 1.90 1.84668 23.83
31 243.3294 6.50
32 ∞ 1.50 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.89
2ω 6.28
Y 21.63
TL 396.91
Bf 74.220
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.000 -0.174
d0 ∞ 2203.010
d11 18.503 33.773
d16 38.179 22.909
Bf 74.220 74.374
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 179.5793
2 12 -68.1638
3 18 164.8495
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 330.4625
fR = -882.8393
f = 392.0002
f1 = 179.5793
f1a = 354.4299
f1b = 193.6583
f2 = -68.1638
f12 = 1047.8286
f3a = 131.2421
f3bc = -882.8393
νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
ndn = 1.51680
νdn = 63.88
βs = -5.0707
βr = -0.2339
(1−1) |fR/fF| = 2.6715
(1−2) βr×(1−βs) = -1.4202
(1−3) f3a/f3bc = -0.1487
(1−4) f1a/f1b = 1.8302
(1−5) νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
(1−6) ndn = 1.51680
(1−7) νdn = 63.88
(1−8) f1/f2 = -2.6345
(1−9) f/f12 = 0.3741
(第2発明)
f = 392.0002
f1 = 179.5793
f1a = 354.4299
f1b = 193.6583
f2 = -68.1638
f12 = 1047.8286
f3a = 131.2421
f3bc = -882.8393
νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
ndn = 1.51680
νdn = 63.88
βs = -5.0707
βr = -0.2339
(2−1) βr×(1−βs) = -1.4202
(2−2) f3a/f3bc = -0.1487
(2−3) f1a/f1b = 1.8302
(2−4) νdp = 95.26(L11), 95.26(L12)
(2−5) ndn = 1.51680
(2−6) νdn = 63.88
(2−7) f1/f2 = -2.6345
(2−8) f/f12 = 0.3741
【0164】
図11(a)、及び
図11(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図12は、本願第1及び第2発明の第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図12におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.43mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0165】
(第1及び第2発明の第5実施例)
図13は、本願第1及び第2発明の第5実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0166】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0167】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0168】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0169】
本実施例に係る光学系は、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の像面側レンズ面(面番号6)と、第1レンズ群G1の両凹形状の負レンズL13の物体側レンズ面(面番号7)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0170】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表5に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0171】
(表5)第1及び第2発明の第5実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 237.4785 15.50 1.43385 95.25
4 -1507.8850 45.00
5 198.3323 19.00 1.43385 95.25
6 -342.1796 3.00
7 -327.8324 6.00 1.61266 44.46
8 772.9939 93.00
9 70.7391 5.40 1.79952 42.09
10 47.9832 16.00 1.49782 82.57
11 1681.9346 可変
12 -2709.1390 3.00 1.77250 49.62
13 136.3998 3.50
14 -487.1729 4.00 1.84666 23.80
15 -108.0510 2.50 1.51742 52.20
16 59.4298 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 228.1074 5.25 1.59319 67.90
19 -85.4981 0.60
20 -124.4314 1.90 2.00069 25.46
21 -295.5719 3.85
22 294.4912 3.30 1.84666 23.80
23 -171.7558 1.90 1.59319 67.90
24 54.4393 4.05
25 -281.8305 1.90 1.69680 55.52
26 152.6451 2.94
27 104.2002 3.00 1.77250 49.62
28 -1538.2155 0.10
29 71.9218 4.80 1.57957 53.74
30 -155.3605 1.90 1.84666 23.80
31 1092.5548 11.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 391.99
FNO 2.88
2ω 6.27
Y 21.60
TL 399.38
Bf 70.081
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 391.990 -0.172
d0 ∞ 2203.007
d11 16.500 31.900
d16 40.401 25.001
Bf 70.081 70.033
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 177.7760
2 12 -73.1720
3 18 187.9179
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 393.5513
fR = 1215.0131
f = 391.9899
f1 = 177.7760
f1a = 340.8186
f1b = 201.6693
f2 = -73.1720
f12 = 774.8291
f3a = 204.7509
f3bc = 1215.0131
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51742
νdn = 52.20
βs = -5.2108
βr = -0.1912
(1−1) |fR/fF| = 3.0873
(1−2) βr×(1−βs) = -1.1872
(1−3) f3a/f3bc = 0.1685
(1−4) f1a/f1b = 1.6900
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.51742
(1−7) νdn = 52.20
(1−8) f1/f2 = -2.4296
(1−9) f/f12 = 0.5059
(第2発明)
f = 391.9899
f1 = 177.7760
f1a = 340.8186
f1b = 201.6693
f2 = -73.1720
f12 = 774.8291
f3a = 204.7509
f3bc = 1215.0131
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.51742
νdn = 52.20
βs = -5.2108
βr = -0.1912
(2−1) βr×(1−βs) = -1.1872
(2−2) f3a/f3bc = 0.1685
(2−3) f1a/f1b = 1.6900
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.51742
(2−6) νdn = 52.20
(2−7) f1/f2 = -2.4296
(2−8) f/f12 = 0.5059
【0172】
図14(a)、及び
図14(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第5実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図15は、本願第1及び第2発明の第5実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図15におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.68mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0173】
(第1及び第2発明の第6実施例)
図16は、本願第1及び第2発明の第6実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0174】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0175】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL23との接合負レンズとからなる。
【0176】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0177】
本実施例に係る光学系は、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22の物体側レンズ面(面番号14)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0178】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表6に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0179】
(表6)第1及び第2発明の第6実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.50
3 217.9147 15.50 1.43385 95.25
4 -2272.2650 45.00
5 191.4672 18.50 1.43385 95.25
6 -388.7337 3.24
7 -366.9736 6.00 1.61266 44.46
8 692.0557 90.02
9 65.4296 5.20 1.80610 40.97
10 45.0727 15.00 1.49782 82.57
11 760.0090 可変
12 2386.5723 2.50 1.81600 46.59
13 64.7944 6.50
14 -159.3202 4.50 1.80809 22.74
15 -67.3666 2.00 1.61772 49.81
16 -4529.1486 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 128.3829 8.00 1.59319 67.90
19 -58.5025 0.60
20 -58.7397 1.90 1.79504 28.69
21 -122.7539 5.79
22 -216.6393 3.30 1.84666 23.80
23 -61.9303 1.90 1.59319 67.90
24 59.0225 3.00
25 728.9238 1.90 1.81600 46.59
26 93.0674 4.00
27 141.2086 3.00 1.77250 49.62
28 -1505.6719 0.15
29 69.4894 4.80 1.74320 49.26
30 -136.7089 1.90 1.84666 23.80
31 672.4408 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.88
2ω 6.27
Y 21.60
TL 400.00
Bf 71.300
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.000 -0.173
d0 ∞ 2200.000
d11 17.463 31.763
d16 37.536 23.236
Bf 71.300 71.260
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 172.5113
2 12 -69.4949
3 18 175.8293
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 315.0175
fR = -754.0300
f = 391.9996
f1 = 172.5113
f1a = 329.5860
f1b = 194.9749
f2 = -69.4949
f12 = 859.4613
f3a = 130.1736
f3bc = -754.0300
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.61772
νdn = 49.81
βs = -4.6014
βr = -0.2704
(1−1) |fR/fF| = 2.3936
(1−2) βr×(1−βs) = -1.5148
(1−3) f3a/f3bc = -0.1726
(1−4) f1a/f1b = 1.6904
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.61772
(1−7) νdn = 49.81
(1−8) f1/f2 = -2.4824
(1−9) f/f12 = 0.4561
(第2発明)
f = 391.9996
f1 = 172.5113
f1a = 329.5860
f1b = 194.9749
f2 = -69.4949
f12 = 859.4613
f3a = 130.1736
f3bc = -754.0300
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.61772
νdn = 49.81
βs = -4.6014
βr = -0.2704
(2−1) βr×(1−βs) = -1.5148
(2−2) f3a/f3bc = -0.1726
(2−3) f1a/f1b = 1.6904
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.61772
(2−6) νdn = 49.81
(2−7) f1/f2 = -2.4824
(2−8) f/f12 = 0.4561
【0180】
図17(a)、及び
図17(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第6実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図18は、本願第1及び第2発明の第6実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図18におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.35mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0181】
(第1及び第2発明の第7実施例)
図19は、本願第1及び第2発明の第7実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0182】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0183】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0184】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0185】
本実施例に係る光学系は、第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の像面側レンズ面(面番号24)と、第3レンズ群G3の両凸形状の正レンズL36の物体側レンズ面(面番号27)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0186】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表7に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0187】
(表7)第1及び第2発明の第7実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.00
3 205.8380 17.50 1.43385 95.25
4 -3344.1817 45.00
5 195.7037 18.50 1.43385 95.25
6 -339.8777 3.00
7 -326.8303 6.00 1.61266 44.46
8 717.5240 90.00
9 66.8199 5.00 1.79952 42.09
10 45.8756 14.00 1.49782 82.57
11 533.8513 可変
12 -1418.6433 2.50 1.80100 34.92
13 69.1598 5.00
14 -669.4067 4.50 1.84666 23.80
15 -70.8153 2.00 1.69680 55.52
16 269.4654 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 111.8330 8.00 1.59319 67.90
19 -67.7933 0.60
20 -69.4674 1.90 1.79504 28.69
21 -144.5287 7.60
22 -307.1811 3.30 1.84666 23.80
23 -70.7922 1.90 1.59319 67.90
24 58.1065 3.00
25 2403.0294 1.90 1.75500 52.34
26 93.8065 4.00
27 118.1336 3.00 1.77250 49.62
28 -440.5940 0.10
29 66.8592 4.80 1.77250 49.62
30 -269.8337 1.90 1.84666 23.80
31 146.9087 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.93
2ω 6.27
Y 21.60
TL 400.89
Bf 71.811
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 391.998 -0.174
d0 ∞ 2203.000
d11 17.408 32.808
d16 37.666 22.266
Bf 71.811 71.696
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 179.2995
2 12 -71.1930
3 18 172.8661
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 309.4988
fR = -531.9883
f = 391.9977
f1 = 179.2995
f1a = 329.8985
f1b = 210.3126
f2 = -71.1930
f12 = 993.1645
f3a = 123.9352
f3bc = -531.9883
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69680
νdn = 55.52
βs = -5.1022
βr = -0.2482
(1−1) |fR/fF| = 1.7189
(1−2) βr×(1−βs) = -1.5148
(1−3) f3a/f3bc = -0.2330
(1−4) f1a/f1b = 1.5686
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.69680
(1−7) νdn = 55.52
(1−8) f1/f2 = -2.5185
(1−9) f/f12 = 0.3947
(第2発明)
f = 391.9977
f1 = 179.2995
f1a = 329.8985
f1b = 210.3126
f2 = -71.1930
f12 = 993.1645
f3a = 123.9352
f3bc = -531.9883
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69680
νdn = 55.52
βs = -5.1022
βr = -0.2482
(2−1) βr×(1−βs) = -1.5148
(2−2) f3a/f3bc = -0.2330
(2−3) f1a/f1b = 1.5686
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.69680
(2−6) νdn = 55.52
(2−7) f1/f2 = -2.5185
(2−8) f/f12 = 0.3947
【0188】
図20(a)、及び
図20(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第7実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図21は、本願第1及び第2発明の第7実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図21におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.35mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0189】
(第1及び第2発明の第8実施例)
図22は、本願第1及び第2発明の第8実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0190】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0191】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0192】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、両凹形状の負レンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と両凹形状の負レンズL38との接合レンズとからなる。
【0193】
本実施例に係る光学系は、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の像面側レンズ面(面番号6)と、第1レンズ群G1の両凹形状の負レンズL13の物体側レンズ面(面番号7)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0194】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表8に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0195】
(表8)第1及び第2発明の第8実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.50
3 232.9803 15.50 1.43385 95.25
4 -1439.6122 45.00
5 181.4353 18.50 1.43385 95.25
6 -403.8411 3.27
7 -381.3927 6.00 1.61266 44.46
8 616.0014 91.44
9 68.9182 5.40 1.80610 40.97
10 47.0662 15.50 1.49782 82.57
11 783.4341 可変
12 -1054.8550 2.50 1.80100 34.92
13 73.2883 5.00
14 -1414.1001 4.50 1.84666 23.80
15 -76.6008 2.00 1.69100 54.93
16 209.5153 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 158.0460 8.00 1.59319 67.90
19 -62.8829 0.60
20 -64.4824 1.90 1.79504 28.69
21 -131.7441 7.60
22 -544.1422 3.30 1.84666 23.80
23 -78.4731 1.90 1.59319 67.90
24 60.2986 4.15
25 -1406.4760 1.90 1.75500 52.34
26 91.4315 4.00
27 97.5172 3.00 1.77250 49.62
28 -457.9700 0.50
29 73.3485 4.80 1.74400 44.81
30 -160.3113 1.90 1.84666 23.80
31 190.4630 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.88
2ω 6.28
Y 21.63
TL 400.00
Bf 71.30
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.000 -0.173
d0 ∞ 2200.000
d11 15.740 31.040
d16 35.300 20.000
Bf 71.300 71.300
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 177.9658
2 12 -72.7082
3 18 181.1444
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 332.3433
fR = -1237.2508
f = 392.0000
f1 = 177.9658
f1a = 326.9111
f1b = 208.4317
f2 = -72.7082
f12 = 870.7966
f3a = 145.4495
f3bc = -1237.2508
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69100
νdn = 54.93
βs = -3.8225
βr = -0.3086
(1−1) |fR/fF| = 3.7228
(1−2) βr×(1−βs) = -1.4881
(1−3) f3a/f3bc = -0.1176
(1−4) f1a/f1b = 1.5684
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.69100
(1−7) νdn = 54.93
(1−8) f1/f2 = -2.4477
(1−9) f/f12 = 0.4502
(第2発明)
f = 392.0000
f1 = 177.9658
f1a = 326.9111
f1b = 208.4317
f2 = -72.7082
f12 = 870.7966
f3a = 145.4495
f3bc = -1237.2508
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69100
νdn = 54.93
βs = -3.8225
βr = -0.3086
(2−1) βr×(1−βs) = -1.4881
(2−2) f3a/f3bc = -0.1176
(2−3) f1a/f1b = 1.5684
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.69100
(2−6) νdn = 54.93
(2−7) f1/f2 = -2.4477
(2−8) f/f12 = 0.4502
【0196】
図23(a)、及び
図23(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第8実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図24は、本願第1及び第2発明の第8実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図24におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.35mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0197】
(第1及び第2発明の第9実施例)
図25は、本願第1及び第2発明の第9実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時のレンズ配置を示す断面図である。
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。なお、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には開口絞りSが備えられており、第3レンズ群G3と像面Iとの間にはフィルタFLが備えられている。
【0198】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1aレンズ群G1aと、正の屈折力を有する第1bレンズ群G1bとから構成されている。
第1aレンズ群G1aは、物体側から順に、保護フィルタガラスFLGと、両凸形状の正レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、両凹形状の負レンズL13とからなる。なお、保護フィルタガラスFLGは、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をしており、実質的に屈折力を有していない。
第1bレンズ群G1bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15との接合レンズからなる。
【0199】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合負レンズとからなる。
【0200】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、負の屈折力を有する第3bレンズ群G3bと、正の屈折力を有する第3cレンズ群G3cとから構成されている。
第3aレンズ群G3aは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32とからなる。
第3bレンズ群G3bは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL35とからなる。
第3cレンズ群G3cは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL36と、両凸形状の正レンズL37と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL38との接合レンズとからなる。
【0201】
本実施例に係る光学系は、第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22の物体側レンズ面(面番号14)に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0202】
以上の構成の下、本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う。なお、合焦時、開口絞りSの位置は像面Iに対して固定である。また、本実施例に係る光学系の近距離物体合焦時の撮影距離は2.6mである。
本実施例に係る光学系では、第3レンズ群G3における第3bレンズ群G3bをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むようにシフトさせることにより防振を行う。
以下の表9に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0203】
(表9)第1及び第2発明の第9実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 1200.3704 5.00 1.51680 63.88
2 1199.7897 1.50
3 223.9540 15.50 1.43385 95.25
4 -5879.6456 45.00
5 188.6739 18.50 1.43385 95.25
6 -344.9762 3.24
7 -334.2849 6.00 1.61266 44.46
8 1087.7540 90.02
9 66.7379 5.20 1.80610 40.97
10 45.7359 15.00 1.49782 82.57
11 678.5295 可変
12 -1447.2643 2.50 1.80100 34.92
13 63.6827 5.00
14 -302.0700 4.50 1.84666 23.80
15 -62.4763 2.00 1.69100 54.93
16 764.0825 可変
17(絞りS) ∞ 2.00
18 125.7848 8.00 1.59319 67.90
19 -59.6174 0.60
20 -60.3570 1.90 1.79504 28.69
21 -122.9210 5.79
22 -208.0839 3.30 1.84666 23.80
23 -61.6159 1.90 1.59319 67.90
24 57.2685 3.00
25 880.2836 1.90 1.81600 46.59
26 100.1330 4.00
27 123.7087 3.00 1.77250 49.62
28 1021.0401 0.15
29 75.9029 4.80 1.74320 49.26
30 -107.4055 1.90 1.84666 23.80
31 -5070.3090 9.00
32 ∞ 2.00 1.51680 63.88
33 ∞ Bf
像面 ∞
[各種データ]
f 392.00
FNO 2.88
2ω 6.27
Y 21.60
TL 400.00
Bf 71.300
無限遠物体合焦時 近距離物体合焦時
f又はβ 392.000 -0.173
d0 ∞ 2200.000
d11 17.726 32.026
d16 38.772 24.472
Bf 71.300 71.381
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 172.5113
2 12 -69.4949
3 18 175.8293
[条件式対応値]
(第1発明)
fF = 308.6113
fR = -645.0699
f = 391.9996
f1 = 172.5113
f1a = 318.0791
f1b = 203.8595
f2 = -69.4949
f12 = 859.4613
f3a = 126.0854
f3bc = -645.0699
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69100
νdn = 54.93
βs = -5.1901
βr = -0.2447
(1−1) |fR/fF| = 2.0902
(1−2) βr×(1−βs) = -1.5150
(1−3) f3a/f3bc = -0.1955
(1−4) f1a/f1b = 1.5603
(1−5) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(1−6) ndn = 1.69100
(1−7) νdn = 54.93
(1−8) f1/f2 = -2.4824
(1−9) f/f12 = 0.4561
(第2発明)
f = 391.9996
f1 = 172.5113
f1a = 318.0791
f1b = 203.8595
f2 = -69.4949
f12 = 859.4613
f3a = 126.0854
f3bc = -645.0699
νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
ndn = 1.69100
νdn = 54.93
βs = -5.1901
βr = -0.2447
(2−1) βr×(1−βs) = -1.5150
(2−2) f3a/f3bc = -0.1955
(2−3) f1a/f1b = 1.5603
(2−4) νdp = 95.25(L11), 95.25(L12)
(2−5) ndn = 1.69100
(2−6) νdn = 54.93
(2−7) f1/f2 = -2.4824
(2−8) f/f12 = 0.4561
【0204】
図26(a)、及び
図26(b)はそれぞれ、本願第1及び第2発明の第9実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、及び近距離物体合焦時の諸収差図である。
また、
図27は、本願第1及び第2発明の第9実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時にレンズシフトした際のコマ収差図である。なお、
図27におけるシフトレンズ群の光軸と直交する方向へのシフト量は1.35mmである。
各収差図より、本実施例に係る光学系は諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0205】
ここで、本願第1及び第2発明の実施形態に係る光学系に用いられる反射防止膜(多層広帯域反射防止膜とも言う)について説明する。
図31は、反射防止膜の膜構成の一例を示す図である。この反射防止膜101は7層からなり、レンズ等の光学部材102の光学面に形成される。第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。また、この第1層101aの上に更に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。さらに、この第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、この第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。またさらに、この第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、この第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。
【0206】
そして、このようにして形成された第6層101fの上に、ウェットプロセスによりフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる第7層101gが形成されて本実施形態の反射防止膜101が形成される。第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、原料を混合することにより得られたゾルを、加水分解・重縮合反応などにより流動性のないゲルとし、このゲルを加熱・分解して生成物を得る方法であり、光学薄膜の作製においては、光学部材の光学面上に光学薄膜材料ゾルを塗布し、乾燥固化によりゲル膜とすることで膜を生成することができる。なお、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ないで固体膜を得る方法を用いるようにしてもよい。
【0207】
このように、この反射防止膜101の第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最上層である第7層101gは、フッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより以下の手順で形成されている。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にシリコンアルコキシドを加えたものをスピンコート法により塗布することにより、第7層101gとなるフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる層を形成する。フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の式(a)に示す。
【0208】
(a) 2HF+Mg(CH3COO)2→MgF2+2CH3COOH
【0209】
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。この光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。このようなゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmの粒子が空隙を残して堆積することにより第7層101gが形成される。
【0210】
このようにして形成された反射防止膜101を有する光学部材の光学的性能について
図32に示す分光特性を用いて説明する。
【0211】
本願第1及び第2発明の実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材(レンズ)は、以下の表10に示す条件で形成されている。ここで表10は、基準波長をλとし、基板(光学部材)の屈折率が1.62、1.74及び1.85について反射防止膜101の各層101a(第1層)〜101g(第7層)の光学膜厚をそれぞれ求めたものである。なお、表10では、酸化アルミニウムをAl2O3、酸化チタンと酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、フッ化マグネシウムとシリカの混合物をMgF2+SiO2とそれぞれ表している。
【0212】
(表10)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1
第7層 MgF2+SiO2 1.26 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.62 1.74 1.85
【0213】
図32は、表10において基準波長λを550nmとして反射防止膜101の各層の光学膜厚を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を表している。
【0214】
図32から、基準波長λを550nmで設計した反射防止膜101を有する光学部材は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率を0.2%以下に抑えられることが判る。また、表10において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜101を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、
図32に示す基準波長λが550nmの場合とほぼ同等の分光特性を有する。
【0215】
次に、本反射防止膜の変形例について説明する。この反射防止膜は5層からなり、表10と同様、以下の表11で示される条件で基準波長λに対する各層の光学膜厚が設計される。本変形例では、第5層の形成に前述のゾル−ゲル法を用いている。
【0216】
(表11)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1
第5層 MgF2+SiO2 1.26 0.275λ 0.269λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.043λ
第3層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.217λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.066λ
第1層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.290λ
基板の屈折率 1.46 1.52
【0217】
図33は、表11において、基板の屈折率が1.52及び基準波長λを550nmとして各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示している。
図33から本変形例の反射防止膜は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率が0.2%以下に抑えられることがわかる。なお、表11において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、
図33に示す分光特性とほぼ同等の特性を有する。
【0218】
図34は、
図33に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。なお、
図33、
図34には表11に示す基板の屈折率が1.46の反射防止膜を有する光学部材の分光特性が図示されていないが、基板の屈折率が1.52とほぼ同等の分光特性を有していることは言うまでもない。
【0219】
また比較のため、
図35に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜した反射防止膜の一例を示す。
図36は、表11と同じ基板の屈折率1.52に以下の表12で示される条件で構成される反射防止膜を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示す。また、
図36は、
図35に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。
【0220】
(表12)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1
第7層 MgF2 1.39 0.243λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.119λ
第5層 Al2O3 1.65 0.057λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.220λ
第3層 Al2O3 1.65 0.064λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ
第1層 Al2O3 1.65 0.193λ
基板の屈折率 1.52
【0221】
図32〜
図34で示される本願第1及び第2発明の実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材の分光特性を、
図35および
図36で示される従来例の分光特性と比較すると、本実施形態に係る反射防止膜はいずれの入射角においてもより低い反射率を有し、しかもより広い帯域で低い反射率を有することが良くわかる。
【0222】
次に、本願第1及び第2発明の第1実施例から第9実施例に、上記表10および表11に示す反射防止膜を適用した例について説明する。
【0223】
本願第1及び第2発明の第1実施例の光学系において、
第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の屈折率は、
表1に示すように、
nd=1.59319であり、
第3レンズ群G3の両凸形状の正レンズL36の屈折率は、
nd=1.77250であるため、
両凹形状の負レンズL34における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜101(表11参照)を用い、
両凸形状の正レンズL36における物体側のレンズ面に、
基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0224】
本願第1及び第2発明の第2実施例の光学系において、
第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の屈折率は、
表2に示すように、
nd=1.59319であるため、
両凹形状の負レンズL34における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜101(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0225】
本願第1及び第2発明の第3実施例の光学系において、
第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL15の屈折率は、
表3に示すように、
nd=1.49782であるため、
正メニスカスレンズL15における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.52に対応する反射防止膜101(表10参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0226】
本願第1及び第2発明の第4実施例の光学系において、
第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は、
表4に示すように、
nd=1.77250であるため、
負メニスカスレンズL21における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0227】
本願第1及び第2発明の第5実施例の光学系において、
第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の屈折率は、
表5に示すように、
nd=1.43385であり、
第1レンズ群G1の両凹形状の負レンズL13の屈折率は、
nd=1.61266であるため、
両凸形状の正レンズL12における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜101(表10参照)を用い、
両凹形状の負レンズL13における物体側のレンズ面に、
基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0228】
本願第1及び第2発明の第6実施例の光学系において、
第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22の屈折率は、
表6に示すように、
nd=1.80809であるため、
正メニスカスレンズL22における物体側のレンズ面に
基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜101(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0229】
本願第1及び第2発明の第7実施例の光学系において、
第3レンズ群G3の両凹形状の負レンズL34の屈折率は、
表7に示すように、
nd=1.59319であり、
第3レンズ群G3の両凸形状の正レンズL36の屈折率は、
nd=1.77250であるため、
両凹形状の負レンズL34における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜101(表11参照)を用い、
両凸形状の正レンズL36における物体側のレンズ面に、
基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0230】
本願第1及び第2発明の第8実施例の光学系において、
第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の屈折率は、
表8に示すように、
nd=1.43385であり、
第1レンズ群G1の両凹形状の負レンズL13の屈折率は、
nd=1.61266であるため、
両凸形状の正レンズL12における像面側のレンズ面に
基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜101(表10参照)を用い、
両凹形状の負レンズL13における物体側のレンズ面に、
基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0231】
本願第1及び第2発明の第9実施例の光学系において、
第2レンズ群G2の正メニスカスレンズL22の屈折率は、
表9に示すように、
nd=1.84666であるため、
正メニスカスレンズL22における物体側のレンズ面に
基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜101(表11参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0232】
上記第1発明の各実施例によれば、小型軽量で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有する光学系を実現することができる。特に、上記第1発明の各実施例に係る光学系は、4〜9度の画角を有し、レンズシフト時の光学性能の劣化を抑えることもできる。
また、上記第2発明の各実施例によれば、4〜9度の画角を有し、小型軽量で、諸収差を良好に補正し、かつレンズシフト時の光学性能の劣化を抑えた光学系を実現することができる。
なお、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下の内容は、本願の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0233】
本願の光学系の数値実施例として3群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、4群や5群等)の光学系を構成することもできる。具体的には、本願の光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、上記各実施例に係る光学系は、第1レンズ群中の最も物体側に保護フィルタガラスを備えているが、これを備えない構成としてもよい。
【0234】
また、本願の光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。特に、第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0235】
また、本願の光学系において、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、防振を行う構成とすることもできる。特に、本願の光学系では第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0236】
また、本願の光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0237】
また、本願の光学系において開口絞りは第3レンズ群の物体側の近傍に配置されることが好ましく、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
【0238】
また、本願の光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0239】
次に、本願第1又は第2発明の光学系を備えたカメラを
図28に基づいて説明する。
図28は、本願第1及又は第2発明の光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
本カメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係る光学系を備えたレンズ交換式のデジタル一眼レフカメラである。
本カメラ1において、被写体である不図示の物体からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
【0240】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0241】
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る光学系は、上述のように小型で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有している。即ち本カメラ1は、小型化と高性能化を実現することができる。なお、上記第2〜第9実施例に係る光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラー3を有しない構成のカメラに上記各実施例に係る光学系を搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0242】
次に、本願第1発明の光学系の製造方法の概略を
図29に基づいて説明する。
図29は、本願第1発明の光学系の製造方法の概略を示す図である。
図29に示す本願第1発明の光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する光学系の製造方法であって、以下のステップS1〜S5を含むものである。
【0243】
ステップS1:第1〜第3レンズ群を準備し、第1レンズ群、第2レンズ群及び第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むようにし、各レンズ群を鏡筒内に物体側から順に配置する。
【0244】
ステップS2:第3レンズ群が、物体側から順に、第3aレンズ群と、第3bレンズ群とを有するようにする。
【0245】
ステップS3:公知の移動機構を設けることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、第2レンズ群が光軸に沿って移動するようにする。
【0246】
ステップS4:公知の移動機構を設けることにより、第3bレンズ群がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようにする。
【0247】
ステップS5:光学系が以下の条件式(1−1)を満足するようにする。
(1−1) 1.70<|fR/fF|<5.00
ただし、
fR:無限遠物体合焦時の第1レンズ群から第3aレンズ群までの合成焦点距離
fF:無限遠物体合焦時の第3bレンズ群と第3bレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの合成焦点距離
【0248】
斯かる本願第1発明の光学系の製造方法によれば、小型で、諸収差を良好に補正し優れた光学性能を有する光学系を製造することができる。
【0249】
最後に、本願第2発明の光学系の製造方法の概略を
図37に基づいて説明する。
図37は、本願第2発明の光学系の製造方法の概略を示す図である。
図37に示す本願第2発明の光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを有する光学系の製造方法であって、以下のステップS1〜S4を含むものである。
【0250】
ステップS1:第1〜第3レンズ群を準備し、第1レンズ群、第2レンズ群及び第3レンズ群における光学面のうちの少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むようにし、各レンズ群を鏡筒内に物体側から順に配置する。
【0251】
ステップS2:公知の移動機構を設けることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、第2レンズ群が光軸に沿って移動するようにする。
【0252】
ステップS3:公知の移動機構を設けることにより、第3レンズ群の一部がシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動するようする。
【0253】
ステップS4:光学系が以下の条件式(2−1)を満足するようにする。
(2−1) −1.60<βr×(1−βs)<−0.85
ただし、
βs:シフトレンズ群の横倍率
βr:シフトレンズ群よりも像側に位置する全てのレンズの横倍率
【0254】
斯かる本願第2発明の光学系の製造方法によれば、諸収差を良好に補正し、かつレンズシフト時の光学性能の劣化を抑えた光学系を製造することができる。