(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
【0015】
本発明の光学フィルムの製造方法は、順次実行される下記工程A〜Dを含む。
工程A:凹形状のマイクロレンズ転写部が複数配置された外周面を有するロール型を回転させ、ロール型の外周面に沿ってロール型の回転方向に基材を走行させながら、ロール型の外周面に活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bを塗布し、マイクロレンズ転写部の一部を混合物Bで充填する工程
工程B:ロール型の外周面と基材との間に活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aを供給する工程
工程C:ロール型の外周面と基材との間に少なくとも混合物Aを挟持した状態で、ロール型の外周面と基材との間の領域に活性エネルギー線を照射する工程
工程D:工程Cで得られた硬化物をロール型から剥離する工程
【0016】
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる装置としては、例えば、
図1に示す装置50等が挙げられる。
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる装置は、光学フィルムを連続的に生産できることから、
図1に示す装置50が好ましい。
尚、
図1におけるロール型51や基材17等の回転方向や走行方向は、矢印の方向である。
【0017】
以下、
図1に示す装置50について説明する。
活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bを第1のノズル52から吐出し、第1のドクターブレード54により平坦化し、第1のコーティングロール53によりロール型51の外周面に塗布する。
活性エネルギー線硬化性組成物を含む混合物Aを第2のノズル52’ から吐出し、第2のドクターブレード54’により平坦化し、第2のコーティングロール53’により基材17に塗布する。
ロール型51とニップロール55の間隔を調整し、光学フィルム10のベース層15の厚さを設定する。
ロール型51を回転させながら、ロール型51の外周面と基材17との間の領域に活性エネルギー線照射装置56により活性エネルギー線を照射し硬化させる。得られた硬化物をロール型51から剥離することで、光学フィルム10が得られる。
【0018】
(工程A)
工程Aは、凹形状のマイクロレンズ転写部が複数配置された外周面を有するロール型51を回転させ、ロール型51の外周面に沿ってロール型51の回転方向に基材17を走行させながら、ロール型51の外周面に活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bを塗布し、マイクロレンズ転写部の一部を混合物Bで充填する工程である。
【0019】
活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bの粘度は、10mPa・s〜600mPa・sであり、20mPa・s〜450mPa・sが好ましく、30mPa・s〜300mPa・sがより好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bの粘度が10mPa・s以上であると、混合物Bの塗布量が不足することを抑制することができる。また、活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bの粘度が600mPa・s以下であると、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができる。
本明細書中の混合物の粘度は、ISO 2555に準拠して40℃でB型粘度計により測定した値とする。
【0020】
活性エネルギー線硬化性組成物Bのロール型との接触角は、30°〜80°が好ましく、32°〜78°がより好ましく、35°〜75°が更に好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物Bのロール型との接触角が30°以上であると、混合物Bの塗布量が不足することを抑制することができる。また、活性エネルギー線硬化性組成物Bのロール型との接触角が80°以下であると、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができる。
本明細書中の接触角は、JIS R 3257に準拠し、表面の材料が用いるロール型と同じである平板上に、活性エネルギー線硬化性組成物Bの液滴を形成させて測定した値とする。
【0021】
ロール型51としては、例えば、アルミニウム、黄銅、鋼等の金型;シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の樹脂型;樹脂にめっきを施した型;樹脂に各種金属粉を混合した材料で作製した型等が挙げられる。これらのロール型の中でも、耐熱性や機械強度に優れ、連続生産に適していることから、金型が好ましい。具体的には、金型は、重合発熱に対する耐久性に優れ、変形しにくい、傷が付きにくい、温度制御が可能である、精密成形に適している等の多くの点で好ましい。
【0022】
ロール型51は、光学フィルム10の凸形状のマイクロレンズ11を転写形成するため、前記凸形状に対応する凹形状の転写部を有する。
転写部の製造方法としては、例えば、ダイヤモンドバイトによる切削、国際公開2008/069324号パンフレットに記載されるようなエッチング等が挙げられる。これらの転写部の製造方法の中でも、球欠形状等の曲面を有する凹形状を形成する場合、ロール型51の生産性に優れることから、エッチングが好ましく、角錐形状等の曲面を有さない凹形状を形成する場合、ロール型51の生産性に優れることから、ダイヤモンドバイトによる切削が好ましい。
また、転写部の製造方法としては、転写部の窪みと反転した突起を有するマスター型から、電鋳法を用いて作製した金属薄膜をロール芯部材に巻きつけて、円筒形のロール型51を製造する方法を用いることができる。
【0023】
ロール型51の内部又は外部には、表面温度を維持するために、必要に応じて、シーズヒータや温水ジャケット等の熱源設備を設けてもよい。
【0024】
ロール型51の回転速度即ちロール型51外周面の走行速度は、光学フィルム10の成形性及び生産性に優れることから、0.1m/分〜50m/分が好ましく、0.3m/分〜40m/分がより好ましく、0.5m/分〜30m/分が更に好ましい。
【0025】
活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bをロール型51に塗布する際、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができることから、混合物Bを平坦化して塗布することが好ましい。
平坦化手段としては、例えば、ドクターブレード、エアブレード、エアナイフ、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。これらの平坦化手段は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの平坦化手段の中でも、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができることから、ドクターブレードが好ましい。
【0026】
活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bをロール型51に塗布する際、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができることから、混合物Bをロール型51の外周面の凹形状のマイクロレンズ転写部表面に追従させる塗布であることが好ましい。
混合物Bをマイクロレンズ転写部表面に追従させる塗布の方法としては、例えば、テーパ状の鋭利な先端を有するドクターブレード、ロールコーター又はバーコーターを回転するロール型の表面に押し付けながら、混合物Bのバンクを形成し、凹形状のマイクロレンズ転写部の周縁エッジ部とドクターブレード、ロールコーター又はバーコーターとにより混合物Bにせん断力を作用し、その結果、凹形状に倣った混合物Bの表面に表面張力が作用するようになる方法等が挙げられる。
【0027】
(工程B)
工程Bは、ロール型51の外周面と基材17との間に活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aを供給する工程である。
【0028】
活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aの粘度は、650mPa・s〜5000mPa・sが好ましく、750mPa・s〜4000mPa・sがより好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aの粘度が650mPa・s以上であると、光学フィルム10のヒケを抑制することができる。また、活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aの粘度が5000mPa・s以下であると、光学フィルム10の厚さの均一性に優れる。
【0029】
混合物Bの粘度は、混合物Aの粘度よりも、100mPa・s〜4500mPa・s小さいことが好ましく、300mPa・s〜3500mPa・s小さいことがより好ましい。混合物Bの粘度が混合物Aの粘度よりも100mPa・s以上小さいと、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができる。また、混合物Bの粘度が混合物Aの粘度よりも4500mPa・s以下小さいと、光学フィルム10のヒケを抑制することができる。
【0030】
活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aは、走行する基材17に塗布して供給してもよく、活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bが塗布されたロール型51に供給してもよいが、ベース層15の厚さを制御することができることから、走行する基材17に塗布して供給することが好ましい。
【0031】
活性エネルギー線硬化性組成物Aを含む混合物Aを基材17に塗布する際、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができることから、混合物Aを平坦化して塗布することが好ましい。
平坦化手段としては、例えば、ドクターブレード、エアブレード、エアナイフ、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。これらの平坦化手段は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの平坦化手段の中でも、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができることから、バーコーターが好ましい。
【0032】
(工程C)
工程Cは、ロール型51の外周面と基材17との間に少なくとも混合物Aを挟持した状態で、ロール型51の外周面と基材17との間の領域に活性エネルギー線を照射する工程である。
【0033】
工程Cの前に、活性エネルギー線硬化性組成物Bを含む混合物Bに活性エネルギー線を照射し硬化させる工程を含んでもよい。
前記工程を経ることで、後述する領域αが混合物Aの硬化物となり、後述する領域βが混合物Bの硬化物となり、領域αと領域βとの界面が明確となる。
一方、前記工程を経ないと、マイクロレンズ11内全体が混合物Aと混合物Bの混合物の硬化物となる、又は、後述する領域αと後述する領域βとの界面付近がグラデーション化される。
【0034】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、X線、赤外線、可視光線等が挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れ、光学フィルム10の劣化を抑制することができることから、紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
【0035】
活性エネルギー線の発光光源としては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極紫外線ランプ、可視光ハロゲンランプ、キセノンランプ等が挙げられる。
【0036】
活性エネルギー線の積算光量は、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れ、光学フィルム10の劣化を抑制することができることから、0.01J/cm
2〜10J/cm
2が好ましく、0.5J/cm
2〜8J/cm
2がより好ましい。
【0037】
(工程D)
工程Dは、工程Cで得られた硬化物をロール型から剥離する工程である。
【0038】
硬化物をロール型から剥離しやすくするため、ロール型に剥離処理をしてもよく、混合物A又は混合物Bに離型剤を含ませてもよい。
【0039】
本発明の光学フィルム10の製造方法について、他にも国際公開2013/080794号パンフレットの記載されることを参考にすることができる。
【0040】
(光学フィルム)
本発明の光学フィルム10は、本発明の光学フィルムの製造方法により得られる。
【0041】
(マイクロレンズ)
光学フィルム10は、例えば、
図2に示す光学フィルム10等が挙げられる。
図2に示す光学フィルム10は、マイクロレンズ11を有するマイクロレンズ層14、ベース層15及び基材17が順次積層されたもので、マイクロレンズ11内が符号12で示される領域α及び符号13で示される領域βで構成されている。
【0042】
マイクロレンズ11の形状としては、例えば、球欠形状、球欠台形状、楕円体球欠形状(回転楕円体を1つの平面で切り取った形状)、楕円体球欠台形状(回転楕円体を互いに平行な2つの平面で切り取った形状)、角錐形状、角錐台形状、円錐形状、円錐台形状、これらに関連する屋根型形状(球欠形状、球欠台形状、楕円体球欠形状、楕円体球欠台形状、角錐形状、角錐台形状、円錐形状又は円錐台形状が底面部に沿って伸長したような形状)等が挙げられる。これらのマイクロレンズ11の形状は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのマイクロレンズ11の形状の中でも、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、球欠形状、球欠台形状、楕円体球欠形状、楕円体球欠台形状、角錐形状、角錐台形状が好ましく、球欠形状、楕円体球欠形状、角錐形状がより好ましく、球欠形状、楕円体球欠形状が更に好ましい。
本明細書中の各形状は、厳密にその形状でなくてもよく、酷似した形状も含むものとする。
【0043】
マイクロレンズ11の配置例を、
図3に示す。
マイクロレンズ11の配置としては、例えば、六方配列(
図3(a))、矩形配列(
図3(b))、菱形配列(
図3(c))、直線状配列(
図3(d))、円状配列(
図3(e))、ランダム配置(
図3(f))等が挙げられる。これらのマイクロレンズ11の配置の中でも、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、六方配列、矩形配列、菱形配列が好ましく、六方配列、矩形配列がより好ましい。
【0044】
マイクロレンズ11の底面部16とは、マイクロレンズ11の底部(後述するベース層15を有する場合は、ベース層15との接面)の外周縁により囲まれる仮想的な面状部分をいう。
マイクロレンズ11の底面部16の最長径Lとは、マイクロレンズ11の底面部16における最も長い部分の長さをいい、マイクロレンズ11の底面部16の平均最長径L
aveは、光学フィルム10のマイクロレンズ11を有する表面を電子顕微鏡にて撮影し、マイクロレンズ11の底面部16の最長径Lを任意の5箇所測定し、その平均値とする。
【0045】
マイクロレンズ11の高さHとは、マイクロレンズ11の底面部16からマイクロレンズ11の最も高い部位までの高さをいい、マイクロレンズ11の平均高さH
aveは、光学フィルム10の断面を電子顕微鏡にて撮影し、マイクロレンズ11の高さHを任意の5箇所測定し、その平均値とする。
領域αの高さhとは、マイクロレンズ11の底面部16から領域αの最も高い部位までの高さをいい、領域αの平均高さh
aveは、光学フィルム10の断面を電子顕微鏡にて撮影し、領域αの高さhを任意の5箇所測定し、その平均値とする。
【0046】
マイクロレンズ11の底面部16の平均最長径L
aveは、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、2μm〜200μmが好ましく、6μm〜150μmがより好ましく、10μm〜100μmが更に好ましい。
【0047】
マイクロレンズ11の平均高さH
aveは、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、1μm〜100μmが好ましく、3μm〜75μmがより好ましく、5μm〜50μmが更に好ましい。
【0048】
マイクロレンズ11のアスペクト比は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、0.3〜1.4が好ましく、0.35〜1.3がより好ましく、0.4〜1.0が更に好ましい。
マイクロレンズ11のアスペクト比は、マイクロレンズ11の平均高さH
ave/マイクロレンズ11の底面部16の平均最長径L
aveから算出した値とする。
【0049】
マイクロレンズ11の底面部16の形状としては、例えば、三角形、四角形等の多角形;真円形、楕円形等の円形;不定形等が挙げられる。これらのマイクロレンズ11の底面部16の形状は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのマイクロレンズ11の底面部16の形状の中でも、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、多角形、円形が好ましく、円形がより好ましい。
【0050】
上方から見た光学フィルム10の一例を、
図4に示す。
光学フィルム10の面積(
図4でいう実線で囲まれた面積)に対するマイクロレンズ11の底面部16の面積(
図4でいう点線で囲まれた面積)の割合は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、20%〜100%が好ましく、25%〜97%がより好ましく、30%〜94%が更に好ましい。
【0051】
領域αの平均高さh
aveは、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、0.5μm〜80μmが好ましく、1.5μm〜60μmがより好ましく、2.5μm〜30μmが更に好ましい。
【0052】
マイクロレンズ11の平均高さH
aveに対する領域αの平均高さh
aveの比率(h
ave/H
ave)は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、0.05〜0.96が好ましく、0.1〜0.92がより好ましく、0.2〜0.88が更に好ましい。
【0053】
領域αの平均体積率は、マイクロレンズ100体積%中、光学フィルム10における領域αの役割を十分果たすことから、1体積%〜90体積%が好ましく、2体積%〜80体積%がより好ましく、3体積%〜70体積%が更に好ましい。
領域αの平均体積率は、マイクロレンズ中の、混合物Aの硬化物の体積率と同義とする。
領域βの平均体積率は、マイクロレンズ100体積%中、光学フィルム10における領域βの役割を十分果たすことから、10体積%〜99体積%が好ましく、20体積%〜98体積%がより好ましく、30体積%〜97体積%が更に好ましい。
領域βの平均体積率は、マイクロレンズ中の、混合物Bの硬化物の体積率と同義とする。
【0054】
マイクロレンズ11には、領域αと領域βとの間に、他の領域が存在してもよい。他の領域は、1層でもよく、複数の層でもよい。
他の領域としては、例えば、領域αを構成するマトリックス樹脂M
αの屈折率と領域βを構成するマトリックス樹脂M
βの屈折率との間の屈折率を有する中間領域が挙げられる。このような中間領域を設けることにより、フレネル反射損失がより低下するため、より光取り出し効率に優れる面発光体を得ることができる。
【0055】
(領域α)
領域αは、マトリックス樹脂M
α及び光拡散粒子P
αを含むことが好ましい。
【0056】
領域αを構成するマトリックス樹脂M
αは、可視光波長域(概ね400nm〜700nm)の光透過率が高い樹脂であれば特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン樹脂;塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらのマトリックス樹脂M
αは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのマトリックス樹脂M
αの中でも、可視光波長域の光透過率が高く、耐熱性、力学特性、成形加工性に優れることから、アクリル樹脂、スチレン樹脂が好ましく、アクリル樹脂が好ましい。
【0057】
マトリックス樹脂M
αの光透過率は、光学フィルム10の外観に優れ、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、50%〜95%が好ましく、60%〜90%がより好ましい。
本明細書中の各樹脂の光透過率は、ISO 13468に準拠して測定した値とする。
【0058】
マトリックス樹脂M
αの屈折率は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、1.40〜2.00が好ましく、1.43〜1.90がより好ましく、1.46〜1.80が更に好ましい。
本明細書中の各材料の屈折率は、20℃でナトリウムD線を用いて測定した値とする。
【0059】
マトリックス樹脂M
αは、光学フィルム10の生産性に優れることから、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた樹脂が好ましい。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、X線、赤外線、可視光線等が挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れ、光学フィルム10の劣化を抑制することができることから、紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
【0060】
活性エネルギー線硬化性組成物としては、活性エネルギー線により硬化できれば特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性組成物の取り扱い性や硬化性に優れ、光学フィルム10の柔軟性、耐熱性、耐擦傷性、耐溶剤性、光透過性等の諸物性に優れることから、非架橋性単量体(A)、架橋性単量体(B)及び重合開始剤(C)を含む活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。
【0061】
非架橋性単量体(A)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等)とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させた化合物等のエポキシ(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの非架橋性単量体(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの非架橋性単量体(A)の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の取り扱い性、硬化性に優れ、光学フィルム10の柔軟性、耐熱性、耐擦傷性、耐溶剤性、光透過性等の諸物性に優れることから、(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、オレフィン類が好ましく、(メタ)アクリレート類及びエポキシ(メタ)アクリレート類がより好ましい。
(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
【0062】
非架橋性単量体(A)の含有率は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%中、0.5質量%〜60質量%が好ましく、1質量%〜57質量%がより好ましく、2質量%〜55質量%が更に好ましい。非架橋性単量体(A)の含有率が0.5質量%以上であると、活性エネルギー線硬化性組成物の取り扱い性に優れ、光学フィルム10の基材との密着性に優れる。また、非架橋性単量体(A)の含有率が60質量%以下であると、活性エネルギー線硬化性組成物の架橋性及び硬化性に優れ、光学フィルム10の耐溶剤性に優れる。
【0063】
架橋性単量体(B)としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート類;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシ変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のジアリル類;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;メチレンビスアクリルアミド;多塩基酸(フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等)と、多価アルコール(エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られる化合物等のポリエステルジ(メタ)アクリレート類;ジイソシアネート化合物(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等)とを反応させた化合物、アルコール類(アルカンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、スピログリコール化合物等の1種又は2種以上)の水酸基にジイソシアネート化合物を付加し、残ったイソシアネート基に、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させた化合物等のウレタン多官能(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のジビニルエーテル類;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン類等が挙げられる。これらの架橋性単量体(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの架橋性単量体(B)の中でも、光学フィルム10の柔軟性、耐熱性、耐擦傷性、耐溶剤性、光透過性等の諸物性に優れ、屈折率を高くすることができることから、ヘキサ(メタ)アクリレート類、ペンタ(メタ)アクリレート類、テトラ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類、ジ(メタ)アクリレート類、ジアリル類、アリル(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ウレタン多官能(メタ)アクリレート類が好ましく、ヘキサ(メタ)アクリレート類、ペンタ(メタ)アクリレート類、テトラ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類、ジ(メタ)アクリレート類、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ウレタン多官能(メタ)アクリレート類がより好ましく、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ウレタン多官能(メタ)アクリレート類が更に好ましい。
【0064】
架橋性単量体(B)の含有率は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%中、30質量%〜98質量%が好ましく、35質量%〜97質量%がより好ましく、40質量%〜96質量%が更に好ましい。架橋性単量体(B)の含有率が30質量%以上であると、活性エネルギー線硬化性組成物の架橋性や硬化性に優れ、光学フィルム10の耐溶剤性に優れる。また、架橋性単量体(B)の含有率が98質量%以下であると、光学フィルム10の柔軟性に優れる。
【0065】
重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらの重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤(C)の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の取り扱い性や硬化性、光学フィルム10の光透過性に優れることから、カルボニル化合物、アシルフォスフィンオキサイド類が好ましく、カルボニル化合物がより好ましい。
【0066】
活性エネルギー線硬化性組成物中の重合開始剤(C)の含有率は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%中、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜8質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が更に好ましい。重合開始剤(C)の含有率が0.1質量%以上であると、活性エネルギー線硬化性組成物の取り扱い性や硬化性に優れる。また、重合開始剤(C)の含有率が10質量%以下であると、光学フィルム10の光透過性に優れる。
【0067】
領域αに含まれる微粒子P
αは、可視光波長域(概ね400nm〜700nm)の光拡散効果を有する粒子であれば特に限定されることはなく、公知の微粒子を用いることができる。微粒子P
αは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
光拡散微粒子P
αの材料としては、例えば、金、銀、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウム等の金属;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム等の金属炭酸化物;窒化ケイ素等の金属窒化物;アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの微粒子P
αの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの微粒子P
αの材料の中でも、光学フィルム10の製造時の取り扱い性に優れることから、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂の粒子がより好ましく、アクリル樹脂、シリコーン樹脂が更に好ましく、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0069】
微粒子P
αの屈折率は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、1.30〜2.00が好ましく、1.35〜1.90がより好ましく、1.40〜1.80が更に好ましい。
【0070】
微粒子P
αの体積平均粒子径は、0.5μm〜10μmが好ましく、1μm〜8μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。微粒子P
αの体積平均粒子径が0.5μm以上であると、可視波長域の光を効果的に散乱させることができる。また、微粒子P
αの体積平均粒子径が10μm以下であると、面発光体の出射光波長の出射角度依存性を抑制することができる。
本明細書中の各微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定した値とする。
【0071】
微粒子P
αの形状としては、例えば、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状、不定形状等が挙げられる。これらの微粒子P
αの形状は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの微粒子P
αの形状の中でも、可視波長域の光を効果的に散乱させることができることから、球状、立方体状、直方体状、角錐状、星型状が好ましく、球状がより好ましい。
【0072】
マトリックス樹脂M
αと微粒子P
αとは、屈折率差を有することで、微粒子P
αの効果が生じる。
マトリックス樹脂M
αと微粒子P
αとの屈折率差は、0.05〜0.30が好ましく、0.07〜0.27が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。マトリックス樹脂M
αと微粒子P
αとの屈折率差が0.05以上であると、面発光体の正面輝度に優れ、面発光体の出射光波長の出射角度依存性を抑制することができる。また、マトリックス樹脂M
αと微粒子P
αとの屈折率差が0.30以下であると、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れる。
微粒子P
αの屈折率は、面発光体の出射光波長の出射角度依存性を抑制することができることから、マトリックス樹脂M
αの屈折率よりも低いことが好ましい。
【0073】
マトリックス樹脂M
αと微粒子P
αとの組合せは、光学フィルム10の耐熱性、力学特性、成形加工性に優れ、屈折率差が前記好ましい範囲であり、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れ、面発光体の出射光波長の出射角度依存性を抑制することができることから、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αが酸化ケイ素微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αが酸化アルミニウム微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αが水酸化アルミニウム微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αが炭酸マグネシウム微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがアクリル樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがスチレン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがシリコーン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがウレタン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがメラミン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがエポキシ樹脂微粒子が好ましく、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがアクリル樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがスチレン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがシリコーン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがウレタン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがメラミン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがエポキシ樹脂微粒子がより好ましく、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがアクリル樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがシリコーン樹脂微粒子、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがメラミン樹脂微粒子が更に好ましく、マトリックス樹脂M
αがアクリル樹脂で微粒子P
αがシリコーン微粒子が特に好ましい。
【0074】
微粒子P
αの含有量は、マトリックス樹脂M
α100質量部に対し、40質量部〜200質量部が好ましく、50質量部〜100質量部がより好ましい。微粒子P
αの含有量が40質量部以上であると、面発光体の正面輝度に優れ、面発光体の出射光波長の出射角度依存性を抑制することができ、光学フィルム10のヒケを抑制することができる。また、微粒子P
αの含有量が200質量部以下であると、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れ、光学フィルム10の厚さの均一性に優れる。
【0075】
(領域β)
領域βは、マトリックス樹脂M
β及び必要に応じて光拡散粒子P
βを含むことが好ましい。
【0076】
領域βを構成するマトリックス樹脂M
βは、材料が領域αを構成するマトリックス樹脂M
αと同一であってもよく、異なってもよいが、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、同一であることが好ましい。
本明細書中の同一とは、厳密に同一でなくてもよく、僅かに異なるものも含むものとする。
【0077】
マトリックス樹脂M
βは、前述(領域α)と同様のものが挙げられ、同様の理由で同様の範囲が好ましい。
【0078】
マトリックス樹脂M
βは、光学フィルム10の生産性に優れることから、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた樹脂が好ましく、光学フィルム10の柔軟性、耐熱性、耐擦傷性、耐溶剤性、光透過性等の諸物性に優れることから、非架橋性単量体(A)、架橋性単量体(B)及び重合開始剤(C)を含む活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。
【0079】
マトリックス樹脂M
βを構成するための非架橋性単量体(A)、架橋性単量体(B)及び重合開始剤(C)の種類と含有率は、マトリックス樹脂M
αを構成するための非架橋性単量体(A)、架橋性単量体(B)及び重合開始剤(C)と同様のものが挙げられ、同様の理由で同様の範囲が好ましい。
【0080】
マトリックス樹脂M
βの光透過率、屈折率は、マトリックス樹脂M
αの光透過率、屈折率と同様の理由で同様の範囲が好ましい。
【0081】
微粒子P
βの含有量は、マトリックス樹脂M
β100質量部に対し、0質量部〜35質量部が好ましく、0質量部〜20質量部がより好ましい。微粒子P
βの含有量が35質量部以下であると、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れ、マイクロレンズ11内の気泡の混入を抑制することができる。
【0082】
領域βが微粒子P
βを含む場合、微粒子P
βの材料、形状について、前述(領域α)と同様のものが挙げられ、前述と同様の理由で前述と同様の範囲が好ましい。
領域βが微粒子P
βを含む場合、微粒子P
βの屈折率、体積平均粒子径について、前述(領域α)と同様の理由で前述と同様の範囲が好ましい。
【0083】
領域βが微粒子P
βを含む場合、マトリックス樹脂M
βと微粒子P
βとの組合せは、前述(領域α)と同様のものが挙げられ、前述と同様の理由で前述と同様の範囲が好ましい。
領域βが微粒子P
βを含む場合、マトリックス樹脂M
βと微粒子P
βとの屈折率差は、前述(領域α)と同様の理由で前述と同様の範囲が好ましい。
【0084】
領域α、領域βには、マトリックス樹脂、微粒子以外にも、光学フィルム10の性能を損なわない範囲で、他の添加剤を含んでもよい。
【0085】
他の添加剤としては、例えば、離型剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、レベリング剤、防汚性向上剤、分散安定剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0086】
他の添加剤の含有量は、光学フィルム10の性能を損なわずに他の添加剤が有する特性を向上させることができることから、領域α、領域βのいずれにおいても、マトリックス樹脂100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0087】
(ベース層)
光学フィルム10は、マイクロレンズ11の構造を支持することから、ベース層15を設けることが好ましく、例えば、
図2に示すような光学フィルム10等が挙げられる。
【0088】
ベース層15の厚さは、光学フィルム10の柔軟性、基材との密着性に優れることから、3μm〜60μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましい。
【0089】
領域αとベース層15とは、材料組成が同一であってもよく異なってもよいが、光学フィルム10の生産性に優れることから、材料組成が同一であることが好ましい。
【0090】
(基材)
光学フィルム10の光入射面側に、光学フィルム10の形状を保つために、基材を設けてもよい。
基材は、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れることから、活性エネルギー線を透過する基材が好ましい。
【0091】
基材の材料としては、例えば、アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン樹脂;塩化ビニル樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂;ポリイミド、ポリイミドアミド等のイミド樹脂;ガラス;金属が挙げられる。これらの基材の材料の中でも、柔軟性に優れ、活性エネルギー線の透過性に優れることから、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、イミド樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、イミド樹脂がより好ましく、ポリエステル樹脂が更に好ましい。
【0092】
基材の厚さは、光学フィルム10の取り扱い性に優れ、活性エネルギー線硬化組成物の硬化性に優れることから、10μm〜1000μmが好ましく、20μm〜500μmがより好ましく、25μm〜300μmが更に好ましい。
【0093】
基材は、光学フィルム10との密着性を向上させるため、必要に応じて、基材の表面に易接着処理を施してもよい。
易接着処理の方法としては、例えば、基材の表面にポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる易接着層を形成する方法、基材の表面を粗面化処理する方法等が挙げられる。
【0094】
基材は、易接着処理以外にも、必要に応じて、帯電防止、反射防止、基材同士の密着防止等の表面処理を施してもよい。
【0095】
基材の屈折率は、面発光体の光取り出し効率や正面輝度に優れることから、1.50〜2.00が好ましく、1.53〜1.90がより好ましく、1.56〜1.80が更に好ましい。
【0096】
(粘着層)
光学フィルム10の光入射面側に、EL素子へ接着するため、粘着層を設けてもよい。基材を有する場合には、基材の表面に粘着層を設ければよい。
粘着層としては、例えば、公知の粘着剤を用いた層等が挙げられる。
【0097】
(保護フィルム)
光学フィルム10の光入射面側や光出射面側に、光学フィルム10の取り扱い性を高めるため、保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムは、EL素子の表面に光学フィルム10等を貼ったり、面発光体として用いたりする際に、光学フィルム10等から剥がせばよい。
保護フィルムとしては、例えば、公知の保護フィルム等が挙げられる。
【0098】
(面発光体)
本発明の面発光体は、光学フィルム10及びEL素子30を含む。
本発明の面発光体としては、例えば、
図5に示す面発光体等が挙げられる。
図5に示す面発光体は、ガラス基板31、陽極32、発光層33、陰極34が順次積層されたEL素子30のガラス基板31の表面に、粘着層21、基材17を介して、光学フィルム10が積層されている。
【0099】
本発明の面発光体は、光学フィルムの気泡の混入が少ないため、光取り出し効率や正面輝度に優れ、例えば、照明、ディスプレイ、スクリーン等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】
(気泡含有率の測定)
実施例及び比較例で得られた光学フィルム(300mm×600mm)のうち、気泡を含む部分を目視で確認してその面積を算出し、気泡含有率(面積%)を以下の数式により算出した。
気泡含有率(面積%)=(気泡を含む部分の面積/光学フィルムの面積)×100(%)
【0102】
(材料)
活性エネルギー線硬化性組成物A:後述する製造例1で製造した活性エネルギー線硬化性組成物(硬化物の屈折率1.52、接触角35°)
微粒子A:シリコーン樹脂球状微粒子(商品名「TSR9000」、メンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、屈折率1.42、体積平均粒子径2μm)
【0103】
[製造例1]
(活性エネルギー線硬化性組成物Aの製造)
ガラス製のフラスコに、ジイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート117.6g(0.7モル)及びイソシアヌレート型のヘキサメチレンジイソシアネート3量体151.2g(0.3モル)、水酸基含有(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシプロピルアクリレート128.7g(0.99モル)及びペンタエリスリトールトリアクリレート693g(1.54モル)、触媒としてジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ22.1g、並びに重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.55gを供給し、75℃に昇温し、75℃に保ったまま攪拌を続け、フラスコ内の残存イソシアネート化合物の濃度が0.1モル/L以下になるまで反応させ、室温に冷却し、ウレタン多官能アクリレートを得た。
得られたウレタン多官能アクリレート35質量部、ポリブチレングリコールジメタクリレート(商品名「アクリエステルPBOM」、三菱レイヨン(株)製、数平均分子量650)20質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート(商品名「ニューフロンティアBPEM−10」、第一工業製薬(株)製)40質量部、フェノキシエチルアクリレート(商品名「ニューフロンティアPHE」、第一工業製薬(株)製)5質量部及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)1.2質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物Aを得た。
【0104】
(ロール型の製造)
外径200mm、軸方向の長さ320mmの鋼製のロールの外周面に、厚さ200μm、ビッカース硬度230Hvの銅めっきを施した。銅めっき層の表面に感光剤を塗布し、レーザ露光、現像及びエッチングを行い、防錆性及び耐久性を付与するため表面にクロムめっきを施し、直径50μm、深さ25μmの半球状の窪みが最小間隔3μmで六方配列に並んでいるマイクロレンズ転写部が形成されたロール型を得た。
【0105】
[実施例1]
製造例2で得られたロール型を回転させ、ロール型の外周面に沿ってロール型の回転方向にポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡(株)製)を走行させながら、ロール型の外周面に、表1に記載の混合物B(粘度150mPa・s)を38体積%塗布し、マイクロレンズ転写部の一部を混合物Bで充填させた。次いで、ロール型の外周面と走行している基材との間に、表1に記載の混合物A(粘度3000mPa・s)を62体積%塗布し、ロール型の外周面と基材との間の領域に混合物Aと混合物Bを挟持した状態で紫外線を照射し硬化させた。得られた硬化物をロール型から剥離し、光学フィルムを得た。
マイクロレンズ内の組成は、混合物Aの硬化物が44体積%、混合物Bの硬化物56体積%であった。また、ベース層の厚さは、20μmであった。更に、電子顕微鏡にて撮影した光学フィルムのマイクロレンズを有する表面の写真から、光学フィルムの面積に対するマイクロレンズの底面部の面積の割合は、73%であった。
得られた光学フィルムの評価結果を、表1に示す。
【0106】
[実施例2〜12、比較例1〜2]
表1に記載のように混合物の配合やベース層の厚さを変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、面発光体を得た。
得られた光学フィルムの評価結果を、表1に示す。
尚、いずれの実施例・比較例においても、マイクロレンズ内の組成について、領域αを構成する混合物の硬化物を44体積%、領域βを構成する混合物の硬化物を56体積%となるよう、混合物の塗布量を調整した。
【0107】
【表1】
【0108】
実施例1〜12で得られた光学フィルムは、気泡の混入を抑制することができた。
一方、比較例1〜2で得られた光学フィルムは、混合物の粘度を調製しなかったため、気泡の混入を抑制することができなかった。