(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御信号は、前記第1の信号電極端部から入力され前記第2の信号電極端部から出力される、もしくは前記制御信号は、前記第2の信号電極端部から入力され前記第1の信号電極端部から出力されることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る光デバイス1の概略図である。
光デバイス1は、筐体11、中継基板12、中継基板13、LN基板14、タップカプラ146、モニタPD(Photo Diode、フォトダイオード)17、及び中継基板18を含んで構成される。光デバイス1は、例えば、光源41から入射された光の位相を変調させる光変調器である。
【0022】
光デバイス1は、電気光学効果を有する第1の基板(例えば、LN基板14)と、前記第1の基板上に形成された光導波路と、データ信号により前記光導波路を伝搬する光を制御する信号電極(例えば、変調電極144−1、144−2)と、前記第1の基板の光導波路が形成された面の一辺の側に配置され前記データ信号を入力するデータ信号入力部(例えば、パッド25−1、25−2)と、前記第1の基板の一辺とは異なる辺の側に配置され前記データ信号入力部から入力されたデータ信号を終端する終端部(例えば、28−1、28−2)と、前記第1の基板の一辺の側に配置されバイアス信号を入力するバイアス信号入力部(例えば、パッド25−3、25−4)と、前記バイアス信号を前記データ信号とは逆の方向から前記信号電極に入力するためのバイアス信号供給電極(例えば、基板内配線31−3、31−4)とを備え、前記バイアス信号供給電極は前記第1の基板の光導波路が形成された面と異なる面、もしくは前記第1の基板とは異なる第2の基板に形成されている。
一辺の側とは、その一辺からの距離が他の辺からの距離よりも短い位置、つまり他の辺よりもその一辺に近い位置にあることを意味する。
【0023】
また、本実施形態に係る光デバイス1は、終端部は、第1の基板の一辺とは異なる辺として、その一辺に対向する辺の側に配置され、第1の基板の他方の面(例えば、裏面)の側に前記第1の基板とは異なる第2の基板(例えば、中継基板13)を備える。
また、本実施形態に係る光デバイス1は、前記第1の基板の一方の面に前記1つの入力部が入力した電気信号を供給する電極を備え、バイアス信号供給電極は前記第1の基板の他方の面の側に形成されていることを特徴とする。
【0024】
筐体11は、中継基板12、中継基板13、LN基板14、タップカプラ146、モニタPD17及び中継基板18を収容する。
筐体11の側面には、入射端19−1、出力端19−2、複数の入力ピン21−1〜21−5、及び出力ピン22が設置されている。入射端19−1は、光源41の出力端に接続され、光源41から入力された光波をLN基板14の入力導波路141に入射する。出力端19−2は、タップカプラ146の出力端に接続され、タップカプラ146から入力された光波を光デバイス1の外部に出力する。入力ピン21−1、21−2には、データ信号入力部43から各チャネルのデータ信号が入力され、入力されたデータ信号を中継基板12に出力する。入力ピン21−3、21−4、21−5は、バイアス信号制御部42から入力されたバイアス信号を中継基板12に出力する。
【0025】
なお、以下の説明では、データ信号、バイアス信号、及びディザ信号を制御信号と総称することがある。
データ信号は、例えば、無線周波数(RF:Radio Frequency)信号である。バイアス信号は、例えば、直流成分(DC)と既知の周波数成分を有する制御用電気信号(ディザー)とを合成したバイアス信号である。
出力ピン22は、中継基板18を介して入力されたPDモニタ信号(以下、モニタ信号と呼ぶ)をバイアス信号制御部42に出力する。
【0026】
筐体11の材料は、外部からの衝撃や振動への耐性が高い金属材料、例えば、SUS(Steinless Use Steel)材である。また、筐体11の材質は、金属材料の中でも線膨張係数が低い材料、例えば、コバールであってもよい。コバールの線膨張係数は、他の金属材料、例えば、SUS材よりもセラミックの線膨張係数に近い。
【0027】
中継基板12は、入力ピン21−1〜21−5と、中継基板13の厚み方向の一方の主面(表面)に配置されたパッド25−1〜25−5のそれぞれとの間の配線を中継する。中継基板12の厚み方向の他方の主面(裏面)は、筐体11に支持されている。中継基板12は、低誘電率の絶縁体材料、例えば、セラミック、ガラス、樹脂、等で形成された配線基板である。そのため、信号損失が少なくなるといった良好な高周波特性が得られる。
【0028】
中継基板13は、後述するように低誘電率の絶縁体材料で形成された配線基板である。中継基板13の厚み方向の一方の主面(表面)の一部は、LN基板14の厚み方向の他方の主面(裏面)に相対するように配置される。中継基板13の表面のうち、LN基板14で覆われていない部分には、複数のパッド25−1〜25−5、29−3〜29−5が配置される。パッド25−1〜25−5、29−3、29−4、29−5は、それぞれ導体の層(例えば、銅、金等の金属からなる金属箔)で形成される電極である。
【0029】
パッド25−1〜25−5は、LN基板14の一辺の側に配置される。
パッド25−1、25−2は、LN基板14の厚み方向の一方の主面(表面)に配置された一部のパッド26−1、26−2に電気的に接続される。
パッド25−3、25−4、25−5は、中継基板13の内部に形成された基板内配線31−3、31−4、31−5を介して、それぞれパッド29−3、29−4、29−5に電気的に接続されている。基板内配線31−3、31−4には、それぞれバイアス信号制御部42から供給されたバイアス信号が供給される。
【0030】
パッド29−3、29−4、29−5は、LN基板14の一辺とは異なる辺の側、つまり、パッド25−1〜25−5からLN基板14を挟んで対向する側に配置される。パッド29−3、29−4は、LN基板14の表面に配置された終端部28−1、28−2とそれぞれ電気的に接続される。
パッド29−3、29−4は、それぞれ終端部28−1、28−2に接続されている。終端部28−1、28−2は、それぞれ抵抗素子を含んで構成され、入力された信号の反射を防止する。終端部28−1、28−2は、さらにコンデンサを含んで構成されていてもよい。
【0031】
LN基板14は、LNからなる素子基板である。LN基板14は、例えば、LNの結晶光学軸のX方向に電界を印加するXカットLN基板である。XカットLN基板は、結晶光学軸のX方向に電界が印加されることにより最も効果的に入射光の位相が変調される。
LN基板14は、マッハツェンダー(MZ)型干渉計が入れ子状に分岐した(ネスト型)光導波路を有する。
【0032】
LN基板14には、入力導波路141、光導波路142A、142A−1、142A−2、142B、142B−1、142B−2、出力導波路143、変調電極(ホット電極ともいう)144−1、144−2及びバイアス電極144−5が形成されている。そのうち、入力導波路141、光導波路142A、142B、及び出力導波路143は、第1階層のMZ型干渉計を形成している。光導波路142A、142A−1、142A−2からなる組と、光導波路142B、142B−1、142B−2からなる組は、それぞれ第2階層のMZ型干渉計を形成している。
以下の説明では変調電極144−1、144−2及びバイアス電極144−5を信号電極と総称することがある。
【0033】
変調電極144−1、144−2は、それぞれ直角に折れ曲がった折曲部を2個有し、鉤型の形状を有する信号電極である。2つの折曲部で挟まれる部分を中間部と呼ぶ。
変調電極144−1の中間部は、光導波路142A−1、142A−2の間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。変調電極144−2の中間部は、光導波路142B−1、142B−2の間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。
これに対し、バイアス電極144−5は、直角に折れ曲がった折曲部を1個有する信号電極である。折曲部で区分される一方を一端部、他方を他端部と呼ぶ。
バイアス電極144−5の一端部は、光導波路142A、142Bの間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。
【0034】
LN基板14の厚み方向の一方の主面(表面)には、複数のパッド26−1、26−2、27−1、27−2、27−5が配置される。パッド26−1は、パッド25−1と変調電極144−1に電気的に接続される。パッド26−2は、パッド25−2と変調電極144−2に電気的に接続される。パッド27−1は、終端部28−1と変調電極144−1に電気的に接続される。パッド27−2は、終端部28−2と変調電極144−2に電気的に接続される。パッド27−5は、パッド29−5に電気的に接続される。
【0035】
そこで、パッド25−1、25−2にそれぞれ入力されたデータ信号は、パッド26−1、26−2を介してそれぞれ変調電極144−1、144−2に供給される。パッド25−3、25−4にそれぞれ入力されたバイアス信号は、基板内配線31−3、31−4、パッド29−3、29−4を介して、終端部28−1、28−2にそれぞれ供給される。そして、終端部28−1、28−2にそれぞれ供給されたバイアス信号は、パッド27−1、27−2を介して、それぞれ変調電極144−1、144−2に供給される。
従って、変調電極144−1、144−2には、バイアス信号とデータ信号とが互いに逆方向に入力される。つまり、変調電極144−1、144−2のそれぞれの一端であるパッド26−1、26−2からデータ信号が入力され、変調電極144−1、144−2のそれぞれの他端であるパッド27−1、27−2からバイアス信号が入力される。
【0036】
よって、変調電極144−1に供給されたデータ信号とバイアス信号が生じる電界によって光導波路142A−1、142A−2を伝搬する光の位相が変調する。変調電極144−2に供給されたデータ信号とバイアス信号が生じる電界によって光導波路142B−1、142B−2を伝搬する光の位相が変調する。バイアス電極144−5に供給されたバイアス信号が生じる電界によって光導波路142A、142Bを伝搬する光の位相が変調する。
これにより、入力導波路141から入射された光波が変調され、変調された光波は出力導波路143に出力される。
【0037】
ここで、パッド25−1〜25−5は、LN基板14の辺のうち光導波路142A、142Bに平行な一辺の側に、その辺の向きに配置される。
図1に示す例では、パッド29−3、29−4、29−5は、LN基板14の辺のうちパッド25−1〜25−5が配置されている側の辺と光導波路142A、142Bを挟んで対向する辺の側に配置される。
【0038】
また、
図1に示す例では、パッド26−1、26−2は、パッド25−1、25−2にそれぞれ対向する位置に配置され、終端部28−1、28−2は、パッド27−1、27−2にそれぞれ対向する位置に配置される。そのため、パッド25−1、26−1間、パッド25−2、26−2間、パッド27−1と終端部28−1との間、パッド27−2と終端部28−2との間でそれぞれなされるワイヤボンディングによる配線(ワイヤボンディング配線)を短尺化することができる。
なお、
図1に示す例では、パッド25−1〜25−5、パッド26−1、26−2、パッド27−1、27−2、終端部28−1、28−2、及びパッド29−3、29−4、29−5は互いに光導波路142A、142Bに対して平行に配置されているが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、パッド25−1〜25−5、パッド26−1、26−2、パッド27−1、27−2、及びパッド29−3、29−4、29−5は、互いに平行に配置されていなくてもよい。
【0039】
また、中継基板13は、LN基板14の厚み方向の他方の主面(裏面)の側に配置され、LN基板14を支持する。つまり、基板内配線31−3、31−4、31−5は、LN基板14の裏面の側に配置された中継基板13の内部に埋め込まれる。そのため、基板内配線31−3、31−4、31−5で伝搬する信号によって生じうる電磁波が中継基板13やLN基板14の表面に漏洩せず、中継基板13やLN基板14の表面における配線で伝搬する信号との干渉を回避することができる。
【0040】
中継基板12、中継基板13、LN基板14は、それぞれ平板状の形状を有する。中継基板12の寸法は、例えば、縦5〜20mm、横5〜20mm、厚さ0.1〜0.5mm程度である。中継基板13の寸法は、例えば、縦1.5〜3mm、横40〜80mm、厚さ0.3〜0.7mm程度である。LN基板14の寸法は、例えば、縦1.5〜3mm、横40〜80mm、厚さ3μm〜1mm程度である。LN基板14が薄い場合には、補強基板を組み合わせて使用することもある。裏面に中継基板13を配置することで、機械的な振動や衝撃に対する耐性が補強される。
【0041】
データ信号やバイアス信号には高周波成分が含まれることがある。データ信号、バイアス信号の周波数は、例えば、25GHz、1GHzであり、それぞれ対応する波長は3cm、1.2mmである。上述した寸法ではワイヤボンディング配線を伝搬する信号同士の干渉や損失などの特性の劣化が生じうる。しかし、本実施形態ではワイヤボンディング配線を短尺化することにより高周波特性を向上することができる。また、配線長が長くなることによる振動や衝撃に対する耐性の低下を避けることができるので、光デバイスとしての信頼性を向上することができる。
【0042】
タップカプラ146は、出力導波路143から入力された光波の一部(例えば、5%)を分岐してモニタPD17に出力し、入力された光波の残りの大部分(例えば、95%)を通過させて出力端19−2に出力する。分岐される光波のパワーを、通過される光波のパワーよりも小さくすることによって、分岐されることによるパワーの損失を低減する。
【0043】
モニタPD17の入力端は、タップカプラ146の出力端に接続され、タップカプラ146から光波が入力される。モニタPD17は、入力された光波のパワーをモニタし、このパワーに比例する電流値を有するモニタ信号を生成する受光素子である。モニタPD17は、例えば、ゲルマニウム、ガリウム等の半導体からなるダイオードである。モニタPD17は、中継基板18を介して生成したモニタ信号を出力ピン22に出力する。
中継基板18は、モニタPD17と出力ピン22との間の配線を中継する。中継基板18の厚み方向の他方の主面(裏面)は、筐体11に支持されている。中継基板18は、低誘電率の絶縁体材料、例えば、セラミック、ガラス、樹脂、等で形成された配線基板である。
【0044】
バイアス信号制御部42は、出力ピン22から入力されたモニタ信号に基づいて、予め定めた基準電圧との誤差が低減されるようにバイアス信号の電圧値を制御する。バイアス信号制御部42は、バイアス信号の電圧値を制御する際、例えば、基準電圧、モニタ信号の短時間平均電圧値を、それぞれ目標値、観測値としてPI(Proportional Integral)制御を実行してもよい。バイアス信号制御部42は、制御した電圧値を有するバイアス信号を入力ピン21−3、21−4、21−5に出力する。ここで、バイアス信号制御部42は、予め定めたバイアス電圧を有する直流信号と高周波成分を有するディザ信号を重畳してバイアス信号を生成する。
データ信号入力部43は、伝送対象となる情報を示すデータ信号を取得する。データ信号入力部43は、取得したデータ信号を入力ピン21−1、21−2に供給する。
【0045】
次に、中継基板12、13及びLN基板14の相互間でなされる配線、具体的には
図1のC領域について説明する。
図2は、本実施形態に係る光デバイス1の平面図である。
図2では、LN基板14の内部構成、タップカプラ146、モニタPD17、中継基板18、入射端19−1、出力端19−2、及び出力ピン22の図示が省略されている。
【0046】
図2において、X方向、Y方向は、それぞれLN基板14の厚み方向(Z方向)に直交する方向である。Y方向は、光導波路142A、142Bの長手方向、つまり、入力導波路141から出力導波路143の方向である。X方向は、Y方向及びZ方向に直交する方向である。
図2に示す例では、X方向は、入力ピン21−1〜21−5のセットから、中継基板12、中継基板13もしくはLN基板14への方向である。中継基板12、13の厚み方向もZ方向に向けられている。
【0047】
筐体11の側面、即ちX方向の主面のうち光デバイス1の外部に向いている面には、入力ピン21−1〜21−5の一端が、一定間隔でY方向にそれぞれ配置されている。入力ピン21−1〜21−5は、それぞれ銅、アルミニウム等の金属からなり、筐体11を貫通している電極である。入力ピン21−1〜21−5の他端は、筐体11の側面の裏側に突出している。
【0048】
中継基板12の表面には、5個のパッド23−1〜23−5と、5個のパッド24−1〜24−5が、それぞれY方向に沿って入力ピン21−1〜21−5とほぼ等間隔で配置されている。パッド23−1〜23〜5は、入力ピン21−1〜21−5の他端のそれぞれとワイヤボンディングで配線されている。パッド23−1〜23−5は、それぞれパッド24−1〜24−5とX方向にほぼ等しい距離で離間している。パッド23−1〜23−5は、それぞれパッド24−1〜24−5と中継基板12の表面に沿ってパターニングによって配線されている。パターニングとは、銅、金、等の金属箔で所定の形状を有する領域を形成することをいう。
【0049】
中継基板13の表面は、その一部がLN基板14の裏面と対向して覆われている。中継基板13の表面のうち、LN基板14で覆われる部分には、凹部16が形成されている。つまり、凹部16の表面にLN基板14が嵌めこまれる。上述したように、LN基板14は薄いが、凹部16に嵌めこまれることにより機械的な衝撃や外力による耐性が補強される。
図2に示す例では、中継基板13のX方向の長さ(幅)は、LN基板14のX方向の長さよりも長いので、中継基板13の表面のうち、LN基板14のY方向を向く2つの辺のそれぞれからX方向の両端にかけての部分には、LN基板14に覆われていない部分がある。その覆われていない部分を両側表面と呼ぶ。両側表面の高さは、LN基板14の表面の高さと等しい。両側表面のうち中継基板12が配置されている側には、5個のパッド25−1〜25−5が、Y方向に沿ってパッド24−1〜24−5とほぼ等間隔で配置されている。両側表面のうち中継基板12の側からLN基板14を挟んで対向する側には、2個のパッド29−3、29−4がY方向に沿ってパッド27−1、27−2と等間隔で配置されている。
【0050】
パッド25−1〜25−5は、それぞれ終端部30−1〜30−5を介して、パッド24−1〜24−5とワイヤボンディングで配線されている。パッド25−3とパッド29−3との間、パッド25−4とパッド29−4との間、パッド25−5とパッド29−5との間は、それぞれ基板内配線31−3、31−4、31−5により電気的に接続される。パッド25−1〜25−5は、上述した入力部に相当する。基板内配線31−3、31−4、31−5は、それぞれバイアス信号供給電極に相当する。基板内配線31−3、31−4、31−5は、平面視で互いに離れた位置に配置され、かつ筐体11に直に接触しないため、筐体11と基板内配線31−3、31−4、31−5の相互間でのショートが防止される。
【0051】
終端部28−1は、パッド29−3、27−1とそれぞれワイヤボンディングで配線されている。また、終端部28−2は、パッド29−4、27−2とそれぞれワイヤボンディングで配線されている。
従って、高周波特性への影響は、主に終端部で終端されている区間の配線に依存する。その影響は、例えば、入力ピン21−2への入力信号に対しては、パッド25−2からパッド26−2、変調電極144−2、パッド27−2を経て終端部28−2までの区間の配線に主に依存する。また、その影響は、入力ピン21−4への入力信号に対しては、パッド25−4から基板内配線31−4、パッド29−4を経て終端部28−2までの区間の配線に主に依存する。
【0052】
中継基板13の材料は、低誘電率の誘電体であって、線膨張係数がLN基板14と筐体11の主材料(例えば、SUS材)の間である材料、例えば、ガラスエポキシである。低誘電率の材料を用いることで、高周波信号に対するインピーダンスの低下を防止できるので、高周波特性を改善することができる。線膨張係数が、LN基板14と筐体11の主材料の間である材料を用いることで、熱膨張によって異なる材料が接合された各接合面で生じる応力を緩和することができる。そのため、熱膨張と冷却による収縮が繰り返されても中継基板13及びLN基板14は、筐体11内で安定して支持される。ひいては、脱落や破損が生じるリスクを低減することができる。
【0053】
LN基板14は、その裏面の全体が中継基板13の凹部16の表面に対向するように嵌めこまれている。LN基板14の表面のうち、中継基板12に近接する側に2個のパッド26−1、26−2がパッド25−1、25−2と等間隔でY方向に配置されている。パッド26−1、26−2は、それぞれパッド25−1、25−2とワイヤボンディングで配線されている。LN基板14の表面のうち、中継基板12から離れた側に3個のパッド27−1、27−2、27−5が、それぞれ終端部28−1、28−2、パッド29−5と等間隔でY方向に配置されている。パッド27−1、27−4、27−5は、それぞれ終端部28−1、28−2、パッド29−5とワイヤボンディングで配線されている。
【0054】
パッド26−1、27−1、終端部28−1、パッド29−3及び基板内配線31−3は、LN基板14に形成された変調電極144−1に、それぞれ電気的に接続されている。これにより、入力ピン21−1から入力されたデータ信号がパッド26−1から、入力ピン21−3から入力されたデータ信号がパッド26−1から、変調電極144−1に供給され、変調電極144−1と接地電極の間で電界が生じる。この電界によって光導波路142A−1、142A−2で伝搬する光波の位相が変調する。
【0055】
パッド26−2、27−2、終端部28−2、パッド29−4及び基板内配線31−4は、LN基板14に形成された変調電極144−2に、それぞれ電気的に接続されている。これにより、入力ピン21−2から入力されたデータ信号がパッド26−2から、入力ピン21−4から入力されたデータ信号がパッド26−2から、変調電極144−2に供給され、変調電極144−2と接地電極の間で電界が生じる。この電界によって光導波路142B―1、142B−2で伝搬する光波の位相が変調する。
【0056】
パッド27−5、29−5、基板内配線31−5は、LN基板14に形成されたバイアス電極144−5に、それぞれ電気的に接続されている。これにより、入力ピン21−5から入力されたバイアス信号が、パッド27−5からバイアス電極144−5に供給される。変調電極144−1、144−2、バイアス電極144−5には、バイアス信号が供給されることにより所定のバイアス電圧が動作点として印加される。
【0057】
図3は、本実施形態に係る光デバイス1の断面図である。
この断面図は、
図2のAA’線を通り、Z方向に平行な断面を示す。但し、
図3では、パッド26−2、27−1が破線で表示されている。
入力ピン21−3、パッド23−3、24−3、25−3、26−2、27−1、29−3及び終端部28−1の高さは、互いに等しい。従って、入力ピン21−1〜21−5、パッド23−1〜23−5、24−1〜24−5、25−1〜25−5、26−1、26−2、27−1、27−2、27−5、29−3〜29−5及び終端部28−1、28−2の高さは互いに等しい。
【0058】
基板内配線31−3は、LN基板14の裏面側に配置され、中継基板13の内部を通るバイアス信号供給電極を形成している。中継基板13は、例えば、同一の材料からなる複数の階層の薄板からなる基板であり、その中間層に配置された薄板の一部に導体箔を充填してバイアス信号供給電極が形成されてもよい。その場合、パッド25−3、29−3は、それぞれ形成したバイアス信号供給電極の一端と他端の間を、ビアを用いて電気的に接続される。ビアは、基板の厚み方向に穿った穴の内側にめっきによって形成した導体の層である。同様に、基板内配線31−4は、パッド25−4、29−4との間を、基板内配線31−5は、パッド25−5、29−5との間を電気的に接続する。
【0059】
ここで、入力ピン21−1に入力されたデータ信号は、入力ピン21−1の他端とパッド23−1との間、パッド24−1、25−1間ならびにパッド25−1、26−1間のワイヤボンディング配線を介して、パッド26−1に接続された変調電極144−1に印加される。変調電極144−1からの出力信号は、パッド27−1と終端部28−1との間のワイヤボンディング配線を介して終端部28−1で終端される。
【0060】
他方、入力ピン21−3に入力されたバイアス信号は、入力ピン21−3の他端とパッド23−3との間、パッド24−3、25−3間のワイヤボンディング配線、基板内配線31−3、パッド29−3と終端部28−1との間、終端部28−1とパッド27−1との間のワイヤボンディング配線を介して変調電極144−1に供給される。
そのため、これらのワイヤボンディング配線において、データ信号の反射を防止することができ、変調電極144−2には、データ信号とバイアス信号が互いに逆方向に有効に供給される。データ信号とバイアス信号とが供給される信号電極を別個に設けずに済むため、信号電極によって占有される空間を節約でき、機器の小型化に好都合である。
【0061】
光デバイスでは、実用性を確保するために入力ピン21−1〜21−5、出力ピン22のようなデータ信号、バイアス信号等の入出力に用いられる端子は、筐体11の特定の部位に集中して配置されることが多い。複数系統の配線を等尺化する要請を満たすために、入力された複数系統の信号がLN基板14の一つの辺の側からLN基板14に供給され、LN基板14から出力される信号がその辺とは対向する辺の側から出力されるように配線される。従来、中継基板13は、中継基板12からLN基板14を挟んで対向する側に設置されていたため、特にパッド25−3、24−3間、パッド25−4、24−4との間、パッド25−5、24−5との間でのワイヤボンディング配線の線路長が長くなり、高周波特性が劣化していた。また、この線路長の長いワイヤボンディング配線は、機械的な振動や衝撃への耐性が低かった。このワイヤボンディング配線は、中継基板12、13間でLN基板14上の空間を跨ぐため、この配線で生じる交流の電磁波が他の配線、特にワイヤボンディング配線で伝送される信号に干渉するおそれがある。
【0062】
これに対して、本実施形態によれば、別個の基板を追加しなくても主に基板間でなされるワイヤボンディング配線の線路長を等尺化の要請を満たし、短尺化することができる。そのため、信頼性及び高周波特性を経済的に向上することができる。また、本実施形態では、中継基板13に基板内配線31−3、31−4、31−5が設けられているため、基板内配線31−3、31−4、31−5が生じる電磁波による他の配線で伝送される信号への干渉を解消することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
図4は、本実施形態に係る光デバイス101の平面図である。
本実施形態に係る光デバイス101は、光デバイス1において筐体11(
図2)に代えて筐体111を備える。また、光デバイス101は、第1の基板(例えば、LN基板14)及び第2の基板(例えば、中継基板13)とは異なる第3の基板(例えば、中継基板15)をさらに備え、第3の基板は、第1の基板、第2の基板、第3の基板の順に配置されている。
図4に示される領域は、
図1のC領域に相当する領域である。
【0064】
筐体111の内部底面、即ち厚み方向(Z方向)の主面のうち中継基板13及びLN基板14が収容されている側を向いている面には、凹部116が形成されている。凹部116の表面には、中継基板12、13とは別個の中継基板15が嵌めこまれる。中継基板15が嵌めこまれた状態では、筐体111の内部表面のうち凹部116が形成されていない部分の高さと、中継基板15の厚み方向の主面の一方の面(表面)の高さは、ほぼ等しい。
凹部116に嵌めこまれる中継基板15のX方向の長さ(幅)は、LN基板14の幅よりも長い。中継基板15の幅は、例えば、
図2に示す中継基板13の幅と同一であってもよい。但し、本実施形態では、中継基板13の幅は、LN基板14の幅と同一であり、中継基板13の表面のほぼ全体が、LN基板14の裏面に対向するように覆われているため、
図4には、中継基板13が表れていない。中継基板13には、パッドが配置されていないが、中継基板13はLN基板14への機械的な衝撃や外力による耐性を補強する補強材として作用する。
【0065】
中継基板15の表面のうち、中継基板13ならびにLN基板14のY方向を向く2つの辺のそれぞれからX方向の両端にかけての部分には、中継基板13ならびにLN基板14に覆われていない部分(両側表面)がある。両側表面のうち中継基板12が配置されている側には、パッド25−1〜25−5(
図2)に代えてパッド125−1〜125−5が、Y方向に沿ってパッド24−1〜24−5と等しい間隔で配置される。パッド125−1〜125−5は、それぞれ終端部30−1〜30−5を介して、パッド24−1〜24−5とワイヤボンディングで配線される。
【0066】
両側表面のうち中継基板12の側から中継基板13ならびにLN基板14を挟んで対向する側には、パッド29−3、29−4、29−5(
図2)に代えてパッド129−3、129−4、129−5がY方向に沿ってパッド27−1、27−2、27−5と等間隔で配置される。パッド129−3、129−4は、それぞれ終端部28−1、28−2とワイヤボンディングで配線されている。また、パッド129−3、129−4、129−5は、それぞれパッド125−3、125−4、125−5との間で中継基板15の表面に沿ってパターニングによって配線される。パッド125−3、129−3間の配線、パッド125−4、129−4間の配線、パッド125−5、129−5間の配線を、それぞれパターニング配線131−3、131−4、131−5と呼ぶ。つまり、パターニング配線131−3、131−4、131−5は、中継基板15の表面に沿ってバイアス信号供給電極を形成している。
【0067】
中継基板15の材料は、低誘電率の絶縁体であって、線膨張係数がLNよりも筐体111の主材料(例えば、SUS材)に近い材料、例えば、アルミナである。低誘電率の材料を用いることで、高周波信号に対するインピーダンスが低くなる。そのため、信号損失が少なくなるので良好な高周波特性が得られる。
また、中継基板15は線膨張係数が低いため、熱膨張と冷却による収縮が繰り返されても筐体111に安定して支持され、中継基板13、LN基板14ともに安定して支持される。また、中継基板13の材料として、LN又は線膨張係数が筐体11の主材料よりもLNに近い材料を用いることが許容されるため、その材料を選択するうえでの自由度が高くなる。
【0068】
図5は、本実施形態に係る光デバイス101の断面図である。
この断面図は、
図4のAA’線を通り、Z方向に平行な断面を示す。但し、
図5では、パッド26−2、27−1が破線で表示されている。
中継基板15の表面のうち、両側表面を除いた部分は、中継基板13の裏面と対向するように覆われ、中継基板13を支持している。但し、その両側表面を除く部分のうち、パターニング配線131−3で覆われた部分には凹部が形成され、パターニング配線131−3の表面の高さが、中継基板13の裏面よりも低くなる。これにより、パターニング配線131−3の表面が中継基板13の裏面に接触しないように離間される。パターニング配線131−4、131−5についても同様に、その表面の高さが中継基板の裏面よりも低い位置に形成されることによって、パターニング配線131−4、131−5の表面が中継基板13の裏面に接触しないように離間される。よって、パターニング配線131−3、131−4、131−5と、中継基板13ならびに筐体111とが接触することによるショートを防止することができる。
【0069】
パッド125−1〜125−5は、中継基板15の表面に配置されるため、これらの高さは、パッド24−1〜24〜5、26−1、26−2の高さよりもそれぞれ低くなる。そのため、パッド125−2とパッド26−2の間のワイヤボンディング配線における線路長は、
図2に示すパッド25−2とパッド26−2の間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも長くなる。同様に、パッド125−1とパッド26−1の間のワイヤボンディング配線における線路長は、パッド25−1とパッド26−1の間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも長くなる。
同様に、パッド27−1と終端部28−1の間、パッド27−2と終端部28−2との間、パッド27−5、129−5間、それぞれのワイヤボンディング配線における線路長は、
図2に示すパッド27−1と終端部28−1の間、パッド27−2と終端部28−2との間、パッド27−5、29−5間、それぞれのワイヤボンディング配線における線路長よりも長くなる。
【0070】
しかしながら、本実施形態では、パッド125−1〜125−4は、LN基板14よりも中継基板12の側に配置されるため、LN基板14を跨いだワイヤボンディング配線が不要になるため、従来よりも線路長を短くすることができる。そのため、信頼性及び高周波特性を経済的に向上することができる。また、本実施形態では、上述した実施形態のようにビアを形成する必要がなく、ワイヤボンディングやパターニングといった表層のみの配線で足りるため、配線に係る工数、ひいては製造コストを低減することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
図6は、本実施形態に係る光デバイス201の平面図である。
本実施形態に係る光デバイス201は、光デバイス1において基板内配線31−3、31−4、31−5(
図2)に代えてパターニング配線231−3、231−4、231−5が形成されている。また、中継基板13の厚み方向の一方の主面(表面)では、凹部16が省略されている。
本実施形態に係る光デバイス201では、バイアス信号供給電極が、第2の基板(例えば、中継基板13)に形成され、第1の基板(例えば、LN基板14)の他方の面(例えば、裏面)から離間して配置されている。
図6に示される領域は、
図1のC領域に相当する領域である。
【0072】
パターニング配線231−3、231−4、231−5は、それぞれパッド25−3、29−3間、パッド25−4、29−4間、パッド25−5、29−5間を中継基板13の表面に沿ってパターニングによって形成されたバイアス信号供給電極である。
但し、中継基板13の表面のうち、パターニング配線231−3で覆われた部分には、周囲よりも凹んだ溝部213(
図8、9参照)が形成され、パターニング配線231−3の表面の高さがLN基板14の裏面よりも低くなる。但し、溝部213の深さは、凹部16よりも浅くてもよい。これにより、パターニング配線231−3の表面がLN基板14の裏面に接触しないように離間される。パターニング配線231−4、231−5についても、その表面の高さがLN基板14の裏面よりも低い位置に形成されることにより、LN基板14の裏面に接触しないように離間される。また、パターニング配線231−3、231−4、231−5は、中継基板13の表面に形成されるため、筐体111に接触することによるショートが防止される。このように、本実施形態でも、ワイヤボンディングやパターニングといった表層のみの配線で足りるため、配線に係る工数、ひいては製造コストを低減することができる。
【0073】
図7は、本実施形態に係る光デバイス201の断面図(AA’断面図)である。
この断面図は、
図6のAA’線を通り、Z方向に平行な断面を示す。但し、
図7では、パッド26−2、27−1が破線で表示されている。
上述したように、中継基板13の表面のうち、パターニング配線231−3が形成されている部分には、溝部213が形成される。また、LN基板14の表面の高さは、中継基板12の高さはほぼ等しい。そのため、パッド25−3、29−3の高さは、それぞれパッド24−3、26−2、27−1よりもLN基板14の厚みと溝部213の深さとの合計に相当する分だけ低い。しかしながら、LN基板14の厚みと溝部213の深さとの合計は、中継基板13の厚みよりも少ない。
【0074】
従って、パッド25−1、26−1の間でのワイヤボンディング配線における線路長は、
図4に示すパッド125−1、26−1間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも短くなる。また、パッド25−2、26−2間でのワイヤボンディング配線における線路長は、
図4に示すパッド125−2、26−2間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも短くなる。
同様に、パッド27−1と終端部28−1との間のワイヤボンディング配線における線路長は、
図4に示すパッド27−1と終端部28−1との間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも短くなる。パッド27−2と終端部28−2との間でのワイヤボンディング配線における線路長は、
図4に示すパッド27−2と終端部28−2との間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも短くなる。また、パッド27−5、29−5間でのワイヤボンディング配線における線路長は、
図4に示すパッド27−5、129−5の間でのワイヤボンディング配線における線路長よりも短くなる。
【0075】
従って、本実施形態は、従来技術よりもワイヤボンディング配線における線路長を短くすることができるため、信頼性及び高周波特性を経済的に向上することができる。
なお、本実施形態では、中継基板13の材料は、例えば、LNである。そのため、熱膨張と冷却による収縮が繰り返されてもLN基板14は、同一の材料からなる中継基板13に安定して支持される。
【0076】
図8は、本実施形態に係る光デバイス201の断面の一例を示す断面図(BB’断面図)である。
この断面図は、
図6のBB’線を通り、Z方向に平行な断面の一例を示す。
図8は、LN基板14、中継基板13、筐体11がZ方向に積層され、LN基板14の裏面と中継基板13の溝部213の表面が相対していることを示す。
【0077】
LN基板14の裏面と中継基板13の溝部213との間には、接地電極232が挟まれている。ここで、接地電極232の表面とLN基板14の裏面の一部が互いに接触され、接地電極232の裏面と中継基板13の溝部213のうちパターニング配線231−4を取り囲む周縁部とが互いに接触されている。接地電極232の面積を大きくとることができるので、LN基板14に形成された信号電極(即ち、変調電極144−2)が生じる電界の方向をZ方向に揃えることができる。このZ方向を、LN基板14を形成するLNの結晶光学軸の所定の方向(例えば、結晶光学軸のz方向)に合わせることで、LN基板14に入射された光を有効に変調させることができる。また、接地電極232は、パターニング配線231−4とは平面視で異なる位置に重ならないように配置される。これにより、接地電極232とパターニング配線231−4とのショートが防止される。
【0078】
図9は、本実施形態に係る光デバイス201の断面の他の例を示す断面図(BB’断面図)である。
この断面図は、
図6のBB’線を通り、Z方向に平行な断面の他の例を示す。
図9に示す例でも、LN基板14、中継基板13、筐体11がZ方向に積層され、LN基板14の厚み方向の他方の主面(裏面)と中継基板13の表面が相対している。
中継基板13の表面に設けられた溝部213の領域は、
図8に例示したものよりも小さい。中継基板13の表面の大部分はLN基板14の裏面に接触され、溝部213の表面はLN基板14の裏面から離間している。
【0079】
溝部213の表面には、パターニング配線231−4と接地電極332が形成されている。パターニング配線231−4の表面と、接地電極332の表面は、いずれもLN基板14の裏面から離間している。接地電極332は、パターニング配線231−4とは平面視で異なる位置に配置されることにより、接地電極332とパターニング配線231−4とのショートが防止される。また、接地電極332の表面がLN基板14の裏面から離間されているため、LN基板14において接地すべき部位を特定の部位に限定することができる。
【0080】
(変形例1)
上述では光デバイス1、101、201は、タップカプラ146を備える場合を例にとったが、これには限られない。光デバイス1、101、201は、次に説明する変形例のように、タップカプラ146を省略して構成されてもよい。
次の説明では、上述した実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
【0081】
図10は、本変形例に係る光デバイス1aの概略図である。
光デバイス1aは、光デバイス1(
図1)において、タップカプラ146が省略され、LN基板14上にモニタPD17が配置される。その他の点では、光デバイス1aは、光デバイス1と同様な構成を備える。
ここで、モニタPD17の入力端は、出力導波路143に接続され、モニタPD17は、出力導波路143から入力された光波に基づいてモニタ信号を生成する。モニタPD17で生成されたモニタ信号は、LN基板上に設けられたパッド26−6、中継基板上に設けられたパッド25−6を介して出力ピン22に出力される。
なお、光デバイス1aでは、モニタPD17は、LN基板14の端面に配置され、モニタPDの入力端に出力導波路143を伝搬する光波による放射光が入力されてもよい。
また、タップカプラ146の代わりに出力導波路143は、伝搬する光波の一部を取り出すことができる構造を有していてもよい。例えば、高屈折率膜などを介して、出力導波路143から光波が直接取り出されてもよいし、放射光が取り出すことができる構成を有していてもよい。
【0082】
(変形例2)
上述では変調電極144−1、144−2のそれぞれの一端からデータ信号が入力され、かつ、それぞれの他端からバイアス信号が入力される場合(一体型)を例にとったが、これには限られない。光デバイス1、101、201には、次に説明する変形例のように、変調電極144−1等、バイアス電極144−3等に、各チャネルのデータ信号、バイアス信号がそれぞれ独立に入力されてもよい(分離型)。
次の説明では、上述した変形例及び実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
【0083】
図11は、本変形例に係る光デバイス1bの概略図である。
光デバイス1bは、光デバイス1(
図1)において、さらにパッド27−3、27−4、パッド29−1、29−2及びバイアス電極144−3、144−4を備える。
パッド27−3、27−4は、LN基板14の表面に配置される。パッド27−3、27−4は、パッド27−2、27−5間を結ぶ線分上の、パッド29−3、29−4に対向する位置に配置される。パッド27−3、27−4は、それぞれパッド29−3、29−4とワイヤボンディング配線で電気的に接続され、バイアス電極144−3、144−4のそれぞれの一端に電気的に接続される。そのため、入力ピン21−3から入力されたバイアス信号は、基板内配線31−3、パッド29−3を介して、バイアス電極144−3に入力される。入力ピン21−4から入力されたバイアス信号は、基板内配線31−4、パッド29−4を介して、バイアス電極144−4に入力される。
【0084】
パッド29−1、29−2は、中継基板13の表面に配置される。パッド29−1、29−2は、パッド29−3、29−4間を結ぶ直線上の、パッド27−1、27−2に対向する位置に配置される。パッド29−1、29−2は、それぞれパッド27−1、27−2とワイヤボンディング配線で電気的に接続される。また、パッド29−1、29−2は、終端部28−1、28−2とワイヤボンディング配線で電気的に接続される。
パッド29−3、29−4は、それぞれ終端部28−1、28−2と絶縁されてもよいし、電気的に接続されてもよい。
【0085】
バイアス電極144−3、144−4は、バイアス電極144−5と同様に、それぞれ直角に折れ曲がった折曲部を1個有する。
バイアス電極144−3の一端部は、光導波路142A−1、142A−2の間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。バイアス電極144−4の一端部は、光導波路142B−1、142B−2の間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。
これにより、バイアス電極144−3に供給されたバイアス信号が生じる電界によって光導波路142A−1、142A−2を伝搬する光の位相が変調する。バイアス電極144−4に供給されたバイアス信号が生じる電界によって光導波路142B−1、142B−2を伝搬する光の位相が変調する。
【0086】
そこで、入力ピン21−1から入力されたデータ信号は、変調電極144−1の一端であるパッド26−1に入力され、他端であるパッド27−1から出力され、出力されたデータ信号は、パッド29−1を介して終端部28−1で終端される。入力ピン21−2から入力されたデータ信号は、変調電極144−2の一端であるパッド26−2に入力され、他端であるパッド27−2から出力され、出力されたデータ信号は、パッド29−2を介して終端部28−2で終端される。
【0087】
そのため、バイアス信号に含まれるディザ信号の影響を受けずに、変調電極144−1に供給されたデータ信号に応じて、光導波路142A−1、142A−2に入射された光波を変調させることができる。同様に、バイアス信号に含まれるディザ信号の影響を受けずに、変調電極144−2に供給されたデータ信号に応じて、光導波路142B−1、142B−2に入射された光波を変調させることができる。
【0088】
本変形例で施した変形は、光デバイス101(
図4)についても同様に施すことができる。光デバイス101において、さらにパッド27−3、27−4、パッド129−1、129−2及びバイアス電極144−3、144−4を備える。
パッド129−1、129−2は、中継基板15の表面に配置される。パッド129−1、129−2は、パッド129−3、129−4間を結ぶ直線上の、パッド27−1、27−2に対向する位置に配置される。パッド129−1、129−2は、それぞれパッド27−1、27−2とワイヤボンディング配線で電気的に接続される。また、パッド129−1、129−2は、終端部28−1、28−2とワイヤボンディング配線で電気的に接続される。
パッド129−3、129−4は、それぞれ終端部28−1、28−2と絶縁されてもよいし、電気的に接続されてもよい。
【0089】
本変形例で施した変形は、光デバイス201(
図6)についても同様に施すことができる。光デバイス201において、さらにパッド27−3、27−4、パッド29−1、29−2及びバイアス電極144−3、144−4を備えることで実現することができる。
【0090】
(変形例3)
上述では、LN基板14が、MZ型干渉計が2階層の入れ子状に分岐した(ネスト型)光導波路を有する場合を例にとって説明したが、これには限られない。LN基板14が有する、MZ型干渉計の階層数は、2階層よりも多くてもよいし1階層であってもよい。LN基板14は、少なくとも光導波路の分岐数と同じ数の信号電極を備えていればよい。
光デバイス1、101、201は、次に説明する変形例のように、LN基板14が1階層のMZ型干渉計を形成する光導波路を有してもよい。この変形例では、変調電極144−1の一端にデータ信号が入力され、他端にバイアス信号が入力される(一体型)。
次の説明では、上述した変形例及び実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
【0091】
図12は、本変形例に係る光デバイス1cの概略図である。
光デバイス1cは、光デバイス1(
図1)においてLN基板14に1階層のMZ型干渉計を有し、入力ピン21−1、21−3にそれぞれ1チャネルのデータ信号、バイアス信号が入力される構成である。LN基板14には、入力導波路141、光導波路142A、142B、出力導波路143が形成され、光導波路142A−1、142A−2、142B−1、142B−2(
図1)が省略されている。
光デバイス1cは、1個の変調電極144−1を備え、変調電極144−2、バイアス電極144−5(
図2)が省略されている。
【0092】
変調電極144−1には、その一端であるパッド26−1からデータ信号が入力され、他端であるパッド27−1からバイアス信号が入力される。
ここで、変調電極144−1の中間部は、光導波路142A、142Bの間に配置され、これらと同じ向きに向いている部分を有する。よって、変調電極144−1に供給されたデータ信号とバイアス信号が生じる電界によって光導波路142A、142Bを伝搬する光の位相が変調する。
【0093】
これに応じて、光デバイス1cでは、光デバイス1(
図1)において、入力ピン21−2、21−4、21−5、パッド23−2、23−4、23−5、24−2、24−4、24−5、25−2、25−4、25−5、26−2、27−2、27−5、29−4、29−5、終端部28−2、基板内配線31−4、31−5が省略される。
【0094】
本変形例で施した変形は、光デバイス101(
図4)についても同様に施すことができる。その場合、パッド25−2、25−4、29−4、29−5、基板内配線31−4、31−5に代え、パッド125−2、125−4、129−4、129−5、パターニング配線131−4、131−5が省略される。
また、本変形例で施した変形は、光デバイス201(
図6)についても同様に施すことができる。その場合、基板内配線31−4、31−5に代え、パターニング配線231−4、231−5が省略される。
また、本変形例でも、変形例1に示したようにタップカプラ146を省略した構成をとって実施することができる。
【0095】
(変形例4)
次に説明する変形例は、LN基板が1階層のMZ型干渉計を形成する光導波路を有する場合であるが、変形例2に示したように変調電極144−1、バイアス電極144−5にデータ信号、バイアス信号がそれぞれ独立に入力される(分離型)。
次の説明では、上述した変形例及び実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
【0096】
図13は、本変形例に係る光デバイス1dの概略図である。
光デバイス1dは、光デバイス1b(
図11)においてLN基板14に1階層のMZ型干渉計を有し、入力ピン21−1、21−5にそれぞれ1チャネルのデータ信号、バイアス信号が入力される構成である。LN基板14には、入力導波路141、光導波路142A、142B、出力導波路143が形成され、光導波路142A−1、142A−2、142B−1、142B−2(
図11)が省略されている。
光デバイス1dは、1個の変調電極144−1、1個のバイアス電極144−5を備え、変調電極144−2、バイアス電極144−3、144−4(
図11)が省略されている。
【0097】
変調電極144−1には、その一端であるパッド26−1からデータ信号が入力され、他端であるパッド27−1は、パッド29−1と電気的に接続される。パッド29−1は、終端部28−1に電気的に接続される。
変調電極144−1の中間部は、光導波路142A、142Bの間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。よって、変調電極144−1に供給されたデータ信号とバイアス信号が生じる電界によって光導波路142A、142Bを伝搬する光の位相が変調する。
【0098】
図13に示すバイアス電極144−5は、一端部の先端に垂直に交差している交差部を有する。交差部の中間に一端部の先端が交差している。
バイアス電極144−5には、その他端であるパッド27−5からバイアス信号が入力され、パッド27−5は、パッド29−5と電気的に接続される。基板内配線31−5の一端、他端には、それぞれパッド25−5、29−5が電気的に接続される。
バイアス電極144−5の一端部は、光導波路142A、142Bの間に配置され、これらと同じ向きに向けられている。バイアス電極144−5の交差部は、光導波路142A、142Bを横切る方向に向けられ、その交差部の両端は、それぞれ光導波路142A、142Bに近接している。これにより、バイアス電極144−5に供給されたバイアス信号による電界が光導波路142A、142Bに有効に与えることができる。よって、バイアス電極144−5に供給されたバイアス信号により、光導波路142A、142Bを伝搬する光の位相が有効に変調され、安定した動作点を与えるができる。
【0099】
これに応じて、光デバイス1dでは、光デバイス1b(
図11)において、入力ピン21−2、21−3、21−4、パッド23−2、23−3、23−4、24−2、24−3、24−4、25−2、25−3、25−4、26−2、27−2、27−3、27−4、29−2、29−3、29−4、終端部28−2、基板内配線31−3、31−4が省略される。
【0100】
本変形例で施した変形は、上述した光デバイス101(
図4)に基づく光デバイス1bの変形例についても同様に施すことができる。その場合、パッド25−2、25−3、25−4、29−2、29−4、基板内配線31−3、31−4に代え、パッド125−2、125−3、125−4、129−3、129−4、129−5、パターニング配線131−3、131−4が省略される。
また、本変形例で施した変形は、上述した光デバイス201(
図6)に基づく光デバイス1bの変形例についても同様に施すことができる。その場合、基板内配線31−3、31−4に代え、パターニング配線231−3、231−4が省略される。
【0101】
(変形例5)
上述では、出力導波路143からの光波からモニタPD17が生成したモニタ信号に基づいて生成されたバイアス信号を入力し、入力されたバイアス信号に基づいて光導波路を伝搬する光を制御する場合を例にとって説明したが、これには限られない。即ち、光デバイス1、1a、1b、1c、1d、101、201において、次に説明する変形例のように、タップカプラ146、モニタPD17、中継基板18、出力ピン22、及びバイアス信号制御部42が省略されてもよい。次の説明では、上述した変形例及び実施形態と同一の構成については、同一の番号を付して説明を援用する。
【0102】
図14は、本変形例に係る光デバイス1eの概略図である。
光デバイス1eは、光デバイス1c(
図12)と同様にLN基板14に1階層のMZ型干渉計を有し、入力ピン21−1に1チャネルのデータ信号が入力される構成である。LN基板14には、入力導波路141、光導波路142A、142B、出力導波路143が形成されている。また、光デバイス1eが備える変調電極144−1には、パッド25−1を介して、その一端であるパッド26−1からデータ信号が入力され、他端であるパッド27−1からパッド29−3を介して基板内配線31−3の一端に入力される。当該データ信号は、基板内配線31−3の他端であるパッド25−3を介して、入力ピン21−3から出力される。よって、変調電極144−1に供給されたデータ信号が生じる電界によって光導波路142A、142Bを伝搬する光の位相が変調する。従って、パッド25−1は、当該データ信号を入力するデータ信号入力部として機能し、パッド25−3は、当該データ信号を出力するデータ信号出力部として機能する。なお、入力ピン21−3からデータ信号を入力し、入力ピン21−1から当該データ信号を出力するようにすることで、パッド25−3、25−1が、それぞれ当該データ信号を入力するデータ信号入力部、当該データ信号を出力するデータ信号出力部として機能させてもよい。入力ピン21−3は、他の機器、例えば、データ信号入力部43の接地端子に接続されてもよい。
なお、上述した光デバイス1eは、入力ピン21−1にデータ信号が入力される場合を例にしたが、バイアス信号等の制御信号が入力されてもよい。
【0103】
上述した変形例及び実施形態では、電気光学効果を有する素子基板がLNを主材料として形成されたLN基板である場合を例にとって説明したが、これには限られない。素子基板は、その他の電気光学効果を有する物質を用いて形成された素子基板であってもよい。そのような物質は、例えば、タンタル酸リチウム(LT:Lithium Tantalate、(LiTaO
3))等の強誘電体結晶、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT:Lead Lanthanum Zirconate Titanate(Pb,La)(Zr,Ti)O
3)等のセラミクス、シリコン(Silicon(Si))半導体、等のIII−V族化合物半導体、等である。
【0104】
上述した変形例及び実施形態では、主に光デバイス1、1a、1b、1c、1d、1e、101、201が1個の素子基板(LN基板14)を備えた光変調器である場合を例にとって説明したが、これには限られない。光デバイス1、1a、1b、1c、1d、1e、101、201は、供給された制御信号に基づいて光の位相を変調させる機能を有するデバイスであれば、いかなるデバイス、例えば、光スイッチ、光パルス発生装置であってもよい。また、光デバイス1、1a、1b、1c、1d、1e、101、201は、複数(例えば、4)個の素子基板を備えた光デバイスであってもよく、それぞれ独立に供給された制御信号に基づいて、それぞれの素子基板内を伝搬する光波の位相が変調されてもよい。
【0105】
上述した実施形態では、入力部(例えば、パッド25−1〜25−5)が素子基板(LN基板14)の光導波路(光導波路142A、142B)に平行な1辺の側に配置され、終端部(例えば、終端部28−1、28−2)がその1辺とは対向する辺の側に配置されている場合を例にとって説明したが、これには限られない。終端部は、その1辺とは隣接する辺の側、例えば、出力導波路143の出力端を有する辺の側に配置されてもよい。また、終端部が複数ある場合には、全ての終端部が同一の辺の側に配置されなくてもよく、一部の終端部は、その他の終端部とは異なる辺の側に配置されてもよい。
【0106】
上述した実施形態では、一部の入力部(例えば、パッド25−1、25−2、25−3)について終端部(例えば、終端部28−1、28−2)とバイアス信号供給電極(例えば、基板内配線31−3、31−4、31−5、パターニング配線131−3、131−4、131−5又はパターニング配線231−3、231−4、231−5)が備えられる場合を例にとって説明したが、これには限られない。一部の入力部のうちの少なくとも1つ(例えば、パッド25−1)について、終端部(例えば、終端部28−1)とバイアス信号供給電極(例えば、基板内配線31−3、パターニング配線131−3又は231−3)が備えられていればよい。
また、信号電極(例えば、変調電極144−1)の両端がそれぞれ、その他の入力部(例えば、パッド25−1)とこれに対応する他の1つの入力部(例えば、パッド25−3)に電気的に接続されていれば、その他の入力部に対応する終端部(例えば、終端部28−2)とバイアス信号供給電極(例えば、基板内配線31−4、パターニング配線131−4又は231−4)は省略されてもよい。
【0107】
上述した実施形態では、出力部と終端部との間を接続するバイアス信号供給電極(例えば、基板内配線31−3〜31−5、パターニング配線131−3〜131−5、231−3〜231−5)が、いずれも素子基板(例えば、LN基板14)の裏面の側に形成されている場合を例にとって説明したが、これには限られない。バイアス信号供給電極は、素子基板の表面の側に形成されていてもよい。
【0108】
上述した実施形態では、光デバイス1、1a、1b、1c、1d、1e、101、201が中継基板12を備える場合を例にとって説明したが、これには限られない。入力ピン21−1〜21−5が、それぞれパッド25−1〜25−5に電気的に接続されていれば中継基板12は省略されてもよい。
上述した実施形態では、光デバイス1、1a、1b、1c、1d、1e、101、201がモニタPD17、中継基板18及び出力ピン22を備える場合を例にとって説明したが、これには限られない。入力ピン21−3、21−4、21−5にバイアス信号が供給されれば、モニタPD17、中継基板18及び出力ピン22は省略されてもよい。
【0109】
このように、上述した実施形態に係る光デバイス(例えば、光デバイス1e)は、電気光学効果を有する第1の基板(例えば、LN基板14)と、第1の基板上に形成された光導波路(例えば、光導波路142A、142B)と、制御信号により光導波路を伝搬する光を制御する第1の信号電極(例えば、変調電極144−1)と、第1の信号電極の一端であって第1の基板の光導波路が形成された面の一辺の側に配置される第1の信号電極端部(例えば、パッド25−1)と、第1の信号電極の他端と電気的に接続された一端を有する第2の信号電極(例えば、基板内配線31−3)と、第2の信号電極の他端に形成される第2の信号電極端部(例えば、パッド25−3)とを有する。また、第2の信号電極は第1の基板の信号電極が形成された面と異なる面、もしくは第1の基板とは異なる第2の基板に形成され、第2の信号電極端部はデータ信号入力部が形成された面の一辺の側に形成されている。
【0110】
また、制御信号は、第1の信号電極端部(例えば、パッド25−1)から入力され第2の信号電極端部(例えば、パッド25−3)から出力される、もしくは制御信号は、第2の信号電極端部から入力され第1の信号電極端部から出力されることを特徴とする。
【0111】
また、上述した実施形態に係る光デバイス(例えば、光デバイス1c)は、電気光学効果を有する第1の基板(例えば、LN基板14)と、第1の基板上に形成された光導波路(例えば、光導波路142A、142B)と、データ信号により光導波路を伝搬する光を制御する第1の信号電極(例えば、変調電極144−1)と、第1の基板の光導波路が形成された面の一辺の側に配置されデータ信号を入力するデータ信号入力部(例えば、パッド25−1)と、第1の基板の一辺とは異なる辺の側に配置されデータ信号入力部から入力されたデータ信号を終端する終端部(例えば、28−1)と、第1の基板の一辺の側に配置されバイアス信号を入力するバイアス信号入力部(例えば、パッド25−3)と、バイアス信号をデータ信号とは逆の方向から信号電極に入力するための第2の信号電極(例えば、基板内配線31−3)とを備え、第2の信号電極は第1の基板の光導波路が形成された面と異なる面、もしくは第1の基板とは異なる第2の基板(例えば、中継基板13)に形成されている。また、バイアス信号はデータ信号とは逆の方向から第1の信号電極に入力され、バイアス信号入力部はデータ信号入力部が形成された面の一辺の側に形成されている。
【0112】
また、第2の信号電極(例えば、パターニング配線231−4)は、第2の基板(例えば、中継基板13)に形成され、第1の基板(例えば、LN基板14)の他方の面から離間して配置されてもよい。
【0113】
また、上述した実施形態に係る光デバイス(例えば、光デバイス1、1a、1b、1d、101、201)は、電気光学効果を有する第1の基板(例えば、LN基板14)と、第1の基板上に形成された光導波路(例えば、光導波路142A、142A−1、142A−2、142B、142B−1、142B−2)と、データ信号により光導波路を伝搬する光を制御する第1の信号電極(例えば、変調電極144−1、144−2)と、バイアス信号により光導波路を伝搬する光を制御する第2の信号電極(例えば、バイアス電極144−3、144−4)と、第1の基板の光導波路が形成された面の一辺の側に配置されデータ信号を入力するデータ信号入力部(例えば、パッド25−1、25−2)と、第1の基板の一辺とは異なる辺の側に配置されデータ信号入力部から入力されたデータ信号を終端する終端部(例えば終端部28−1、28−2)と、一端が前記第2の信号電極の一端と電気的に接続されバイアス信号を第1の基板の一辺とは異なる辺の側から第2の信号電極に入力するための第3の信号電極(例えば、基板内配線31−3、31−4)と、第3の信号電極の他端かつ前記第1の基板の一辺の側に配置され前記バイアス信号を入力するバイアス信号入力部(例えば、パッド25−3、25−4)と、を備える。また、第3の信号電極は第1の基板の光導波路が形成された面と異なる面、もしくは第1の基板とは異なる第2の基板(例えば、中継基板13)に形成されている。また、バイアス信号入力部はデータ信号入力部が形成された面の一辺の側に形成されている。
【0114】
また、前記第3の信号電極(例えば、パターニング配線231−4)は、前記第2の基板(例えば、中継基板13)に形成され、前記第1の基板(例えば、LN基板14)の他方の面から離間して配置されてもよい。
【0115】
また、第1の基板(例えば、LN基板14)の一辺とは異なる辺は、当該一辺に対向する辺であってもよい。
【0116】
また、前記第1の基板(例えば、LN基板14)及び前記第2の基板(例えば、中継基板13)とは異なる第3の基板(例えば、中継基板15)を備え、前記第1の基板、前記第2の基板、前記第3の基板の順に配置されていてもよい。
【0117】
これらの構成により、第1の基板の一辺とは異なる辺の側に電気信号を中継する基板を設けることを要しないため、基板間を接続するワイヤボンディング配線による線路長を短くすることができる。そのため、光デバイスとしての信頼性及び高周波特性を経済的に向上することができる。これによる線路長の短尺化は、複数系統の制御信号のそれぞれについて配線する場合でも、それらの配線の等尺化と両立することができる。
【0118】
なお、上述した実施形態、変形例では、LN基板14の光導波路142が形成された面と異なる面、もしくはLN基板14とは異なる別の基板に形成された信号電極(例えば、基板内配線31−3〜31−5、パターニング配線231−3〜231−5)を伝搬する信号が、主にデータ信号や、バイアス信号等の制御信号である場合について説明した。本発明はこれらに限定されることはなく、例えば、
図15、
図16に示すようにモニタPD17から出力されるモニタ信号が、これらの信号電極と同様に形成された信号電極を伝搬されるように構成されてもよい。
【0119】
例えば、
図15に示す光デバイス1fは、光デバイス1c(
図12)のC領域内に示した構成を備え、さらにパッド25−6と、出力導波路143を挟んでパッド25−6と対向する位置にパッド29−6が中継基板13上に配置されている。パッド25−6とパッド29−6との間には、基板内配線31−6がさらに形成されている。
また、光導波路142A、142Bとの合波点を起点とする光導波路147が設けられる。光導波路147は、出力導波路143とは異なる方向としてLN基板14の一辺とは異なる辺の側に向けて形成される。当該一辺とは異なる辺における光導波路147の端部からは、光導波路142A、142Bとの合波点から放射される放射モード光が出力される。モニタPD17は、LN基板14の一辺とは異なる辺側に配置され、光導波路147の端部から出力された放射モード光が入射される。
【0120】
モニタPD17は、光導波路147から入射される放射モード光の強度に応じたモニタ信号を生成する。生成されたモニタ信号は、パッド29−6から入力され、基板内配線31−6を伝搬してパッド25−6から出力される。パッド25−6から出力されるモニタ信号は、出力ピン22を介してバイアス信号制御部42に入力される。
【0121】
このように、光デバイス1fは、電気光学効果を有する第1の基板(例えば、LN基板14)と、第1の基板上に形成された光導波路(例えば、光導波路147)を備える。また、光デバイス1fは、光導波路を伝搬する光を受光し、受光した光の強度に応じたモニタ信号を出力する受光素子(例えば、モニタPD17)と、一端が受光素子に接続されるモニタ信号電極(例えば、基板内配線31−6)を備える。また、モニタ信号電極の他端であって第1の基板の光導波路が形成された面の一辺の側に配置され、モニタ信号を出力するモニタ信号出力部(例えば、パッド25−6)を備える。この構成によって、モニタPD17がLN基板14上に配置されていない場合において、モニタPD17とモニタ信号出力部との間に長いワイヤボンディング配線を配置する必要がなくなる。そのため、信頼性及び高周波特性を向上することができる。
【0122】
図16に示す光デバイス1gは、光デバイス1e(
図13)のC領域内に示した構成を備え、さらにパッド25−6、29−6が中継基板13上に配置される。パッド25−6とパッド29−6との間には、基板内配線31−6がさらに形成され、光デバイス1f(
図15)と同様に光導波路147が設けられる。但し、光デバイス1gにおいて、光導波路147の端部は、LN基板14内において放射モード光がLN基板14の上面に出力されるように形成される。
光導波路147の端部にはモニタPD17が配置され、モニタPD17には、光導波路142A、142Bとの合波点から放射された放射モード光が入射される。
モニタPD17の出力端は、モニタ信号電極32−6の一端に接続され、その他端はパッド29−6に電気的に接続される。モニタ信号電極32−6は、LN基板14の面のうち出力導波路143が形成された面上において、例えば、パターニングにより形成される。なお、モニタPD17は、LN基板14上であって、LN基板14の一辺よりも当該一辺とは異なる辺に近い位置に配置される。モニタPD17から出力されるモニタ信号が、モニタ信号電極32−6と基板内配線31−6を伝搬してパッド25−6から出力される。
このモニタ信号を伝搬する基板内配線31−6も、モニタ信号電極と称することができる。
【0123】
このように、光デバイス1gにおいて、受光素子(例えば、モニタPD17)が第1の基板(例えば、LN基板14)上に配置される。また、モニタ信号電極は、一端が受光素子に接続され、第1の基板の光導波路(例えば、出力導波路143)が形成された面に形成された第1のモニタ信号電極(例えば、モニタ信号電極32−6)と、一端が第1のモニタ信号電極の他端と接続され、第1の基板の光導波路が形成された面とは異なる面、もしくは第1の基板とは異なる第2の基板(例えば、中継基板13)に形成された第2のモニタ信号電極(例えば、基板内配線31−6)とを備える。モニタ信号出力部は、モニタ信号電極の他端として、第2のモニタ信号電極の他端に配置されたことを特徴とする。この構成によって、モニタPD17がLN基板14上に配置されている場合においても、モニタPD17とモニタ信号出力部との間に長いワイヤボンディング配線を配置する必要がなくなり、信頼性及び高周波特性を向上することができる。
なお、本実施例においてモニタPDは放射モード光を受光する構成として説明したが、本発明は当該構成に限定されることはない、例えばモニタPDを出力導波路143の上方に配置して変調された光波の一部をモニタPDで受光する構成としてもよい。
このような構成は、LN基板14に複数のマッハツェンダー型干渉計が配置されるネスト型変調器に対して効果的であり、特にワイヤボンディングではモニタ信号の伝送品質を保証できない程度にモニタPDとモニタ信号出力部との間の距離が、長い場合は効果的である。
【0124】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。