(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いてパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
高エネルギー線による露光が、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、電子線(EB)又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明中、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれらの異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0013】
本発明
の化合物は、下記一般式(1a)で示されるものである。
【化6】
(式中、R
1は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R
2〜R
4は水素原子又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。X
1は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示し、2価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。環ZZ
は炭素数4〜20の非芳香族性の単環又は多環を示す。k
1は0又は1を示す。k
2は0〜3の整数を示す。)
【0014】
R
2〜R
4の炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基等のアルキル基を挙げることができる。
【0015】
X
1の炭素数1〜15、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基としては、アルキレン基が挙げられ、具体的には下記のものを例示できる。
【化7】
(式中、破線は結合手を示す。)
【0016】
環ZZ
で表される炭素数4〜20の非芳香族性の単環又は多環として、具体的には下記のものを例示できる。
【化8】
(式中、R
2、R
3は上記と同様である。)
【0017】
上記一般式(1a)で示され
る化合物としては、特に下記一般式(1b)〜(1d)で示され
る化合物であることが好ましい。
【化6】
(式中、R
1は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R
2〜R
4は水素原子又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。X
1は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示し、2価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。X
2は−CH
2−又は−O−を示す。k
1は0又は1を示す。k
2は0〜3の整数を示す。)
【0018】
上記一般式(1a)〜(1d)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化10】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0019】
【化11】
(式中、R
1は上記と同様である。)
【0020】
【化12】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0021】
【化13】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0022】
【化14】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0023】
【化15】
(式中、R
1は上記と同様である。)
【0024】
【化16】
(式中、R
1は上記と同様である。)
【0025】
【化17】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0026】
【化18】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0027】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0028】
【化19】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0029】
【化20】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0030】
【化21】
(式中、R
1は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0031】
上記一般式(1a)〜(1d)で表されるヘミアセタール化合物の合成法は特に限定されず、構造に応じて最適な方法を選択して合成することができるが、例えば、式(1a)中のR
2が水素原子である一般式(1aa)の場合は、下記のスキームに示す反応により合成できる。
【化22】
(式中、R
1、R
3、R
4、X
1、k
1、k
2及びZZは、上記と同様である。R
5はハロゲン原子、水酸基又は−OR
6を示す。R
6はメチル基、エチル基又は下記式(9)
【化23】
を示す。M
1はLi、Na、K、MgY、ZnYを示す。Yはハロゲン原子を示す。)
【0032】
第一の方法として、対応するラクトン化合物(5)に対する有機金属試薬(4)の求核付加反応により本発明のヘミアセタール化合物(1aa)を得ることができる。
【0033】
反応は、常法に従って行うことができるが、例えばラクトン化合物(5)をテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒に溶解し、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド等のGrignard試薬、メチルリチウム等のアルキルリチウム試薬等、置換基R
3に対応する有機金属試薬(4)を加えることで本発明のヘミアセタール化合物(1aa)を得ることができる。有機金属試薬(4)の使用量は、ラクトン化合物(5)1モルに対し0.5〜5.0モル、特に0.8〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では付加反応が完結しない場合があり、5.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。反応は必要に応じ冷却あるいは加熱するなどして行うことができるが、通常−30℃〜溶媒の沸点程度の範囲で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜24時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりヘミアセタール化合物(1aa)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー、再結晶などの常法に従って精製することができる。
【0034】
第二の方法として、対応するヒドロキシラクトン化合物(6)に対する有機金属試薬(4)の求核付加反応によりヒドロキシヘミアセタール化合物(7)を得た後、続くエステル化により本発明のヘミアセタール化合物(1aa)を得ることができる。
【0035】
第一段階は、ヒドロキシラクトン化合物(6)と有機金属試薬(4)との付加反応により、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)に導く工程である。
【0036】
反応は、常法に従って行うことができるが、例えばヒドロキシラクトン化合物(6)をテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒に溶解し、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド等のGrignard試薬、メチルリチウム等のアルキルリチウム試薬等、置換基R
3に対応する有機金属試薬(4)を加えることでヒドロキシヘミアセタール化合物(7)を得ることができる。有機金属試薬(4)の使用量は、ヒドロキシラクトン化合物(6)1モルに対し1.0〜6.0モル、特に1.5〜4.0モルとすることが好ましい。1.0モル未満の使用では付加反応が完結しない場合があり、6.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。反応は必要に応じ冷却あるいは加熱するなどして行うことができるが、通常−30℃〜溶媒の沸点程度の範囲で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜24時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりヒドロキシヘミアセタール化合物(7)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー、再結晶などの常法に従って精製することができる。
【0037】
第二段階は、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)の水酸基をエステル化し、ヘミアセタール化合物(1aa)に導く工程である。
【0038】
エステル化反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(8)としては、酸クロリド{式(8)において、R
5が塩素原子の場合}又はカルボン酸無水物{式(8)において、R
5が−OR
6で、R
6が下記式(9)の場合}
【化24】
が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶剤あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶剤中、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)、メタクリル酸クロリド等のカルボン酸
クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸無水物を用いる場合は、無溶剤あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶剤中、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)とメタクリル酸無水物等のカルボン酸無水物、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0039】
エステル化剤(8)の使用量は、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)1モルに対し1〜10モル、特に1〜5モルとすることが好ましい。1モル未満の使用では反応の進行は不十分であり、ヒドロキシヘミアセタール化合物(7)が残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0040】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により本発明のヘミアセタール化合物(1aa)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0041】
また、本発明のヘミアセタール化合物(1a)は、下記のスキームに示す通り、上記一般式(1aa)のヘミアセタール化合物と保護化剤(10)との反応によっても合成することができる。
【化25】
(式中、R
1〜R
4、X
1、k
1、k
2及びZZは、上記と同様である。X
5はハロゲン原子、水酸基又はスルホニル基を示す。)
【0042】
X
5のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。このうち取り扱いの容易さから、塩素原子が最も好ましい。
【0043】
反応は公知の方法により容易に進行するが、上記式(1a)中のR
2が、メトキシメチル基の場合、無溶媒あるいは溶媒中、ヘミアセタール化合物(1aa)、クロロメチルメチルエーテル等の保護化剤(10)、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0044】
保護化剤(10)の使用量は、ヘミアセタール化合物(1aa)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0045】
用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるヘミアセタール化合物(1aa)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では触媒費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0046】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によ
り化合物(1a)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0047】
保護化剤(10)中のX
5が水酸基の場合、無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、ヘミアセタール化合物(1aa)及びメタノール、エタノール等の対応するアルコールを酸触媒の存在下、反応温度0〜100℃にて反応を行うのがよい。用いる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸を挙げることができる。
【0048】
本発明の高分子化合物は、下記一般式(2a)〜(2d)で示されるいずれかの繰り返し単位を含有するものである。
【化7】
(式中、R
1は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R
2〜R
4は水素原子又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。X
1は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示し、2価炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。X
2は−CH
2−又は−O−を示す。環ZZ
は炭素数4〜20の非芳香族性の単環又は多環を示す。k
1は0又は1を示す。k
2は0〜3の整数を示す。)
【0049】
本発明の高分子化合物(2a)〜(2d)は、化学的に活性
な構造を有している。(2c)中のk
1とk
2が共に0である高分子化合物(2ca)を例として示すが、本単位をレジスト材料のベース樹脂成分として用いると、露光部で発生した酸の作用により、容易にアセタール交換を起こし、下記式(2cb)や(2cc)に示す高分子化合物を生成し、結果として露光後に系が著しく高分子量化すると考えられる。このため、特に、有機溶剤現像におけるポジネガ反転の画像形成において、現像液への溶解性が著しく低下し、コントラストを向上することができると考えられる。更に、このアセタール交換反応で失われるのはR
2OHのみであり、高い炭素密度、樹脂膜厚が維持できるため、従来の有機溶剤現像によるネガティブトーンレジストで問題となっているエッチング耐性にも優れるため、より微細なパターンの解像が可能となる。
【0050】
【化27】
(式中、R
1〜R
3及びX
2は前記と同様である。)
【0051】
また、本発明の高分子化合物は、上記一般式(2a)〜(2d)で示される化合物の繰り返し単位に加え、更に下記一般式(4A)〜(4E)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することが好ましい。
【化28】
(式中、R
1は上記と同様である。XAは酸不安定基を示す。XB、XCはそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基を示す。XDは炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基を示し、炭化水素基を構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。XEは酸不安定基を示す。YAはラクトン、スルトン又はカーボネート構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、又は炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。k
1Aは1〜3の整数を示す。k
1Bは1〜4の整数を示す。)
【0052】
上記一般式(4A)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基XAとしては種々用いることができるが、具体的には、下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【化29】
(式中、R
L01及びR
L02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
L03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたもの、エーテル酸素が介在したものを挙げることができる。R
L04は炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示す。R
L05は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
L06は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基である。R
L07〜R
L16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の1価の非置換又は置換炭化水素基を示す。yは0〜6の整数である。mは0又は1、nは0〜3の整数であり、2m+n=2又は3である。なお、破線は結合手を示す。)
【0053】
式(L1)において、R
L01及びR
L02の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。
【0054】
R
L03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたもの、エーテル酸素が介在したものを挙げることができ、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記R
L01、R
L02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
【0056】
R
L01とR
L02、R
L01とR
L03、R
L02とR
L03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L01、R
L02、R
L03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0057】
式(L2)において、R
L04の三級アルキル基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示できる。また、トリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基の具体例としては、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。
【0058】
式(L3)において、R
L05の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が例示できる。また、炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。
【0059】
式(L4)において、R
L06の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、R
L05と同様のもの等が例示できる。
【0060】
R
L07〜R
L16において、炭素数1〜15の1価炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。
【0061】
R
L07〜R
L16は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、R
L07とR
L08、R
L07とR
L09、R
L08とR
L10、R
L09とR
L10、R
L11とR
L12、R
L13とR
L14等)、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のアルキレン基等の2価炭化水素基を示し、具体的には上記1価炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、R
L07〜R
L16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、R
L07とR
L09、R
L09とR
L15、R
L13とR
L15等)。
【0062】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化31】
【0064】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0065】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0066】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0067】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化33】
(式中、R
L41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。破線は結合位置及び結合方向を示す。)
【0068】
上記式(L4−1)〜(L4−4)中、R
L41の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0069】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)には、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在しえるが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0070】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)と(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化34】
(式中、R
L41は前述と同様である。)
【0071】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化35】
(式中、R
L41は前述と同様である。)
【0072】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0073】
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する三級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50%以上であることが好ましく、exo比率が80%以上であることが更に好ましい。
【0074】
【化36】
(式中、R
L41は前述と同様である。)
【0075】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化37】
【0076】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはR
L04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0077】
上記一般式(4A)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【0088】
上記一般式(4B)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化48】
【0090】
上記一般式(4C)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化50】
【0094】
【化54】
(式中、Meはメチル基を示す。)
【0095】
【化55】
(式中、Meはメチル基を示す。)
【0096】
上記一般式(4D)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化56】
【0098】
上記一般式(4E)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してヒドロキシ基を発生し、種々の溶剤への溶解性に変化を与える。酸不安定基XEとしては種々用いることができるが、上記酸不安定基XAと同様、一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0099】
上記一般式(4E)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【0105】
更に、本発明の高分子化合物には、下記一般式で示されるスルホニウム塩の繰り返し単位(f1)〜(f3)のいずれかを共重合することもできる。
【化63】
(式中、R
112はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R
113は単結合、フェニレン基、−O−
R122−又は−C(=O)−Z
22−R
122−を示し、Z
22は酸素原子又はNHを示し、R
122は炭素数1〜6の直鎖
状又は炭素数3〜6の
分岐状もしくは環状のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基を示し、これらの基はカルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Lは単結合、又は−Z
33−C(=O)−O−を示し、Z
33は炭素数1〜20のヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は炭素数3〜20のヘテロ原子で置換されていてもよい環状の2価炭化水素基を示す。Z
11は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
123−又は−C(=O)−Z
44−R
123−を示し、Z
44は酸素原子又はNHを示し、R
123は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は炭素数3〜6の環状のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基を示し、これらの基はカルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを示す。R
114、R
115、R
116、R
117、R
118、R
119、R
120、R
121はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖
状又は炭素数3〜20の分岐状又は環状の炭化水素基を示す。)
【0106】
上記式中のR
114、R
115、R
116、R
117、R
118、R
119、R
120、R
121の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等のアリール基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられ、好ましくはアリール基である。また、これらの基の水素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子といったヘテロ原子と置き換わっているか、又は酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子が介在していてもよい。その結果ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を形成又は介在してもよい。また、R
114とR
115が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよく、又はR
116、R
117及びR
118のうちいずれか2つ以上、あるいはR
119、R
120及びR
121のうちいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0107】
上記式中、Lが−Z
33−C(=O)−O−である場合、Z
33で示される炭素数1〜20のヘテロ原子で置換されていても
ヘテロ原子が介在していてもよい直鎖
状又は炭素数3〜20の
分岐状もしくは環状の2価炭化水素基としては、具体的には以下のものを例示することができるが、これらに限定されない。
【化64】
(式中、破線は結合手を示す。)
【0108】
上記式中、R
114とR
115が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、又はR
116、R
117及びR
118のうちいずれか2つ以上、あるいはR
119、R
120及びR
121のうちいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、具体的には下記式で示されるものを例示できる。
【0109】
【化65】
(式中、R
50は、上記式中、R
113〜R
121として示した、ヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、又は炭素数3〜20の分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す基を示す。)
【0110】
上記一般式(f2)及び(f3)中のスルホニウムカチオンの具体的な構造としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化66】
【0111】
M
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0112】
更には、下記一般式(F−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(F−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化67】
【0113】
一般式(F−1)中、R
19は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(F−2)中、R
20は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0114】
更に本発明の高分子化合物は、上記以外に、オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位を共重合することもできる。オキシラン環又はオキセタン環を有する繰り返し単位を共重合することによって、露光部が架橋するため、本発明の高分子化合物をレジスト材料に用いた場合、有機溶剤現像液に対する不溶化能、ネガパターンのエッチング耐性の向上が期待できる。オキシラン環、オキセタン環を有する繰り返し単位は、具体的には下記に例示される。なお、下記例中、R
41は水素原子又はメチル基である。
【0117】
更に本発明の高分子化合物は、上記以外に、炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0118】
なお、本発明の高分子化合物の重量平均分子量はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した場合(溶媒;テトラヒドロフラン)、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。
【0119】
本発明の高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
(I)上記式(1a)〜(1d)の単量体に基づく式(2a)〜(2d)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%を超え100モル%、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%含有し、
(II)上記式(4A)〜(4E)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%以上、100モル%未満、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%含有し、必要に応じ、
(III)上記式(f1)〜(f3)で示される構成単位の1種又は2種以上を0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%、より好ましくは0〜10モル%含有する。なお、式(f1)〜(f3)の単位を含有する場合は、1モル%以上、特に2モル%以上とすることが好ましい。この場合、上記(I)の単位及び/又は(II)の単位の割合を上記(III)の単位を含有する割合に応じて減少させることができる。更に必要に応じ、
(IV)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
なお、これらの単位の割合の合計は100モル%であることが好ましい。
【0120】
本発明の高分子化合物の製造は、上記一般式(1a)〜(1d)で示される化合物を第1の単量体に、上記(4A)〜(4E)の繰り返し単位や(f1)〜(f3)の繰り返し単位等を与える重合性二重結合を含有する化合物を第2以降の単量体に用いた共重合反応により行う。
【0121】
本発明の高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0122】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0123】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78℃〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0124】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0125】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン又はヒドロキシビニルナフタレンと、その他共重合単位を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱重合を行うこともできるが、代わりにアセトキシスチレン又はアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後にアルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0126】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0127】
本発明に用いられる高分子化合物は、レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してレジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により
有機溶剤現像液に対する溶解速度が低下するので、極めて高感度のレジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり、極めて有用なものとなる。
【0128】
また、レジスト材料に溶解制御剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。更に、塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し、解像度を一層向上させることができるし、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0129】
本発明のレジスト材料は、特に化学増幅ポジ型又はネガ型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。
【0130】
光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わないが、好適な光酸発生剤としては特開2009−269953号公報に記載のスルホニウム塩及び同公報中に記載されている(F)成分の光酸発生剤、並びに特許第3995575号公報に記載の光酸発生剤が挙げられ、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤のいずれでもよい。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタールの場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位(f1)〜(f3)を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0131】
この場合、本発明のレジスト材料には、下記一般式(Z1)又は(Z2)で示される酸発生剤のZ成分を含むことができる。
【化70】
(式中、R
100は水素原子、フッ素原子、あるいはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜35の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。X
a、X
bはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示す。k’は1〜4の整数を示す。R
101、R
102及びR
103は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の、アルキル基、アルケニル基及びオキソアルキル基のいずれか、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18の、アリール基、アラルキル基及びアリールオキソアルキル基のいずれかを示す。あるいはR
101、R
102及びR
103のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R
104及びR
105はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R
106はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。また、R
104、R
105及びR
106のうちのいずれか2つ以上が互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。L
aは単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。)
【0132】
更に、上記Z成分としては、下記一般式(Z3)又は(Z4)で示される酸発生剤を含むことがより好ましい。
【化71】
(式中、Aは水素原子又はトリフルオロメチル基を示す。R
101、R
102及びR
103は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の、アルキル基、アルケニル基及びオキソアルキル基のいずれか、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18の、アリール基、アラルキル基及びアリールオキソアルキル基のいずれかを示す。あるいはR
101、R
102及びR
103のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R
107はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜35の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R
108、R
109及びR
110はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。m’、n’はそれぞれ0〜5の整数、pは0〜4の整数を示す。L
aは単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。)
【0133】
Z成分が、上記一般式(Z3)又は(Z4)で示される酸発生剤であること、好ましくは上記一般式(Z3)又は(Z4)においてAがトリフルオロメチル基を示す酸発生剤であることで、例えば、ラインアンドスペースパターンであれば低ラフネス(LWR)で酸拡散長制御が向上したパターンを、また、ホールパターンであれば真円性や寸法制御が向上したパターンを形成することが可能となる。
【0134】
上記Z成分の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化72】
(式中、Acはアセチル基、Phはフェニル基を示す。)
【0135】
【化73】
(式中、Phはフェニル基を示す。)
【0136】
【化74】
(式中、Phはフェニル基を示す。)
【0137】
【化75】
(式中、Aは水素原子又はトリフルオロメチル基を示す。Meはメチル基を示す。)
【0138】
【化76】
(式中、Aは水素原子又はトリフルオロメチル基を示す。)
【0139】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
【0140】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。
【0141】
塩基性化合物としては特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の一級、二級、三級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物、あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物を挙げることができる。
【0142】
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及び特開2013−37092号公報に記載されているカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして用いることもできる。このα位がフッ素化されていないスルホン酸塩、及びカルボン酸塩と、光酸発生剤から発生したα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸が共存すると、α位がフッ素化されていないスルホン酸、及びカルボン酸が塩交換により生じる。このα位がフッ素化されていないスルホン酸、及びカルボン酸の酸強度では、レジスト樹脂は脱保護反応を起こさないため、該スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩はクエンチャーとして機能する。特に、α位がフッ素化されていないスルホン酸、及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩は光分解性があるために、光強度が強い部分のクエンチ能が低下すると共に、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の濃度が増加する。これによって露光部分のコントラストが向上し、フォーカスマージン(DOF)が更に改善された、寸法制御のよいパターンを形成することが可能となる。
【0143】
ベース樹脂中の上記一般式(2a)〜(2d)、(4A)又は(4E)で示される極性変化単位が酸に対して鋭敏な反応性を持つ場合、脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。このときのクエンチャーとしてはスルホン酸のオニウム塩を用いることができないため、このような場合はカルボン酸のオニウム塩を単独で用いることが好ましい。
【0144】
α位がフッ素化されていないスルホン酸塩、及びカルボン酸塩の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0156】
界面活性剤としては特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0157】
この場合、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部の配合量とすることが好ましい。また、界面活性剤、アセチレンアルコール類の配合量は、その配合目的に応じて適宜選定し得る。
【0158】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この撥水性向上剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような撥水性向上剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報、特開2008−122932号公報、特開2012−128067号公報、特開2013−57836号公報に記載されている。
【0159】
更に、撥水性を向上させるための高分子化合物を具体的に説明すると、1種のフッ素含有単位からなる重合体、2種以上のフッ素含有単位からなる共重合体、又はフッ素含有単位とその他の単位からなる共重合体が好ましい。前記フッ素含有単位及びその他の単位としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
55は、水素原子又はメチル基である。
【0167】
レジスト材料に添加される撥水性向上剤は、有機溶剤を現像液として用い、ネガティブパターンを形成する場合、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、ポストエクスポージャベーク(PEB)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良やラインアンドスペースパターンのブリッジを防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト材料のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0168】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記の重合体、酸発生剤、有機溶剤及び含窒素有機化合物であるが、上記成分以外に任意成分として必要に応じて更に、溶解制御剤、酸性化合物、安定剤、色素などの他の成分を添加してもよい。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0169】
本発明のアルカリ水溶液を現像液として用い、ポジティブパターンを形成する方法については、特開2011−231312号公報の段落[0138]〜[0146]に記載の方法を参考に行うことができる。
【0170】
本発明の有機溶剤を現像液として用い、ネガティブパターンを形成する方法は、
図1に示される。この場合、
図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO
2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0171】
次いで、
図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUVが挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0172】
保護膜形成用材料にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジスト膜の露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報に記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報に記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0173】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0174】
このように、本発明においては、式(2a)〜(2d)で示される繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基等を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0175】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基等を有する繰り返し単位としては、具体的には、上記(段落[0158]〜[0165]に記載)の撥水性を向上させるための高分子化合物で説明した繰り返し単位を挙げることができる。
【0176】
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト材料に添加されるアミン化合物、具体的には特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のものを用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
【0177】
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルなどを挙げることができる。
【0178】
露光における露光量は1〜200mJ/cm
2程度、好ましくは10〜100mJ/cm
2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0179】
更に、
図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。この時の現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
【0180】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0181】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0182】
有機溶剤現像液を用いたネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明を用いて露光を行うことで、最もコントラストが高い光を用いることができる。また、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明にs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。これらのパターン形成方法は、特開2011−221513号公報に詳述されている。
【0183】
前記ホールパターンと同様、露光によってアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジティブトーン現像プロセスにおける孤立スペースパターンの形成では、孤立ラインパターンを形成する場合に比べ、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、露光部及び未露光部にそれぞれ入射する光の強度コントラストも小さい。そのため解像力などのパターン形成能に制限が生じ易く、高解像のレジストパターンを得ることが難しい。逆に露光によってアルカリ現像液に対する溶解性が減少するネガティブトーンプロセスにおいては、前記ポジティブトーンプロセスとは逆に、孤立スペースパターンの形成に有利と考えられる。同様に、有機溶剤現像液を用いたネガティブトーン現像プロセスによって孤立スペースパターンを形成する場合も有利だと考えられる。
【実施例】
【0184】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記式中、Meはメチル基を示す。
【0185】
[実施例1]
本発明
の化合物を以下に示す方法で合成した。
[実施例1−1]モノマー1の合成
【化95】
【0186】
[実施例1−1−1]ヒドロキシヘミアセタール1の合成
窒素雰囲気下、ラクトン1(107.9g)をTHF(1,000g)に溶解した溶液へ、1.0M塩化メチルマグネシウム−THF溶液(1,500mL)を−20〜0℃で滴下した。そのままの温度にて5時間撹拌した後、15質量%塩化アンモニウム水溶液(1,000g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った。酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、ヒドロキシヘミアセタール1(78.6g、収率66%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3354、3275、2998、2872、1470、1455、1417、1379,1341、1311、1293、1245、1173、1141、1122、1056、1008、965、953、893、851cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=5.35(1H、s)、4.60(1H、d)、3.70(1H、d)、3.16(1H、m)、2.93(1H、t)、1.91−1.95(2H、m)、1.78(1H、d)、1.45−1.51(1H、m)、1.31(1H、d)、1.26(3H、s)、1.07(1H、d)ppm。
【0187】
[実施例1−1−2]モノマー1の合成
上記で得られたヒドロキシヘミアセタール1(58.4g)、トリエチルアミン(48.6g)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2.1g)のTHF(240g)溶液を、内温40℃〜50℃へ加熱し、エステル化剤1(63.5g)を滴下した。50℃にて10時間撹拌後、反応溶液を氷冷し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)を行い、酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、モノマー1(67.8g、収率84%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3599、3512、2961、2873、1725、1480、1459、1397、1367、1285、1150、1032、995、970、937、845、772cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=5.98(1H、s)、5.64(1H、m)、5.58(1H、s)、4.23(1H、s)、3.91(1H、d)、3.07(1H、t)、2.17(1H、d)、2.01−2.04(1H、m)、1.84(3H、s)、1.73(1H、d)、1.58−1.63(1H、m)、1.48(1H、d)、1.33(3H、s)、1.24(1H、dt)ppm。
【0188】
[実施例1−2]モノマー1の合成
【化96】
窒素雰囲気下、ラクトンモノマー1(88.9g)をTHF(500g)に溶解した溶液へ、1.0M塩化メチルマグネシウム−THF溶液(420mL)を−20〜0℃で滴下した。そのままの温度にて5時間撹拌した後、15質量%塩化アンモニウム水溶液(300g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った。酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、モノマー1(50.5g、収率53%)を得た。このものの物性データは[実施例1−1−2]と良く一致した。
【0189】
[実施例1−3]モノマー2の合成
【化97】
エステル化剤1をエステル化剤2に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー2を得た(収率81%)。
【0190】
[実施例1−4]モノマー3の合成
【化98】
【0191】
[実施例1−4−1]ヒドロキシヘミアセタール2の合成
ラクトン1をラクトン2に変更した以外は、[実施例1−1−1]と同様な方法でヒドロキシヘミアセタール2(収率59%)を得た。
【0192】
[実施例1−4−2]モノマー3の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヒドロキシヘミアセタール2に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー3(収率81%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3369、3046、2994、1711、1633、1458、1405、1386、1303、1284、1164、1052、1022、997、976、962、937、918、880、840cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=5.99(1H、s)、5.95(1H、s)、5.67(1H、t)、5.24(1H、t)、4.41(1H、m)、4.01(1H、dt)、2.16−2.20(1H、m)、1.85(3H、s)、1.70−1.78(1H、m)、1.54(1H、dt)、1.36(3H、s)ppm。
【0193】
[実施例1−5]モノマー4の合成
【化99】
窒素雰囲気下、ラクトンモノマー2(170.2g)をTHF(800g)に溶解した溶液へ、1.0M塩化メチルマグネシウム−THF溶液(1100mL)を−20〜0℃で滴下した。そのままの温度にて5時間撹拌した後、15質量%塩化アンモニウム水溶液(1200g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った。減圧蒸留により精製を行い、モノマー4(89.4g、収率48%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3469、2961、2929、2895、1791、1717、1637、1452、1404、1381、1354、1317、1297、1161、1116、1087、1017、946、863、815、651、619、585、576、555cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=6.01(1H、s)、5.68(1H、s)、4.90(1H、dd)、4.68(1H、brs)、3.85(2H、m)、2.41(1H、dddd)、1.89(3H、s)、1.79(1H、dddd)、1.29(3H、s)ppm。
【0194】
[実施例1−6]モノマー5の合成
【化100】
ラクトンモノマー2をラクトンモノマー3に変更した以外は、[実施例1−5]と同様な方法でモノマー5(収率41%)を得た。
【0195】
[実施例1−7]モノマー6の合成
【化101】
【0196】
[実施例1−7−1]ヒドロキシヘミアセタール3の合成
ラクトン1をラクトン3に変更した以外は、[実施例1−1−1]と同様な方法でヒドロキシヘミアセタール3(収率61%)を得た。
【0197】
[実施例1−7−2]モノマー6の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヒドロキシヘミアセタール3に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー6(収率73%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3375、2977、2963、1728、1713、1639、1454、1438、1386、1322、1301、1279、1267、1176、1149、1093、1017、943、911、879、812cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=6.00(1H、s)、5.81(1H、s)、5.66(1H、t)、4.30(1H、s)、3.96(1H、d)、3.63(3H、s)、3.12(1H、t)、2.52(1H、s)、2.49(H
2Oピークと重なりあり、1H、m)、2.34(1H、t)、1.85(3H、s)、1.72(1H、d)、1.56(1H、d)、1.39(3H、s)ppm。
【0198】
[実施例1−8]モノマー7の合成
【化102】
ラクトンモノマー1をラクトンモノマー4に変更した以外は、[実施例1−2]と同様な方法でモノマー7(収率45%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3453、2973、2944、1704、1636、1384、1372、1334、1325、1303、1270、1178、1160、1132、1093、982、958、937、900cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=5.97(1H、m)、5.63(1H、t)、5.26(1H、s)、4.51(1H、dd)、2.21(2H、m)、2.11(1H、d)、1.90(1H、d)、1.84(3H、s)、1.65−1.71(1H、m)、1.29−1.35(6H、m)、1.22(3H、s)、1.07(3H、s)ppm。
【0199】
[実施例1−9]モノマー8の合成
【化103】
ラクトンモノマー2をラクトンモノマー5に変更した以外は、[実施例1−5]と同様な方法でモノマー8(収率51%)を得た。
【0200】
[実施例1−10]モノマー9の合成
【化104】
ラクトンモノマー2をラクトンモノマー6に変更した以外は、[実施例1−5]と同様な方法でモノマー9(収率44%)を得た。
【0201】
[実施例1−11]モノマー10の合成
【化105】
ラクトンモノマー1をラクトンモノマー7に変更した以外は、[実施例1−2]と同様な方法でモノマー10(収率40%)を得た。
【0202】
[実施例1−12]モノマー11の合成
【化106】
ラクトンモノマー1をラクトンモノマー8に変更した以外は、[実施例1−2]と同様な方法でモノマー11(収率54%)を得た。
【0203】
[実施例1−13]モノマー12の合成
【化107】
【0204】
[実施例1−13−1]ヒドロキシアセタール1の合成
[実施例1−1−1]で得られたヒドロキシヘミアセタール1(133.5g)のメタノール(871g)溶液にメタンスルホン酸(4.4g)を加え、室温にて8時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(8.8g)を滴下して反応を停止した。反応液を濃縮し、メタノールを留去した後、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った。酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合溶剤より再結晶を行い、ヒドロキシアセタール1(127.2g、収率88%)を得た。
IR(D−ATR):ν=3446、2991、2973、2941、2927、1466、1380、1322、1279、1178、1150、1126、1078、1063、1029、1002、939、854、826cm
-1。
1H−NMR(主異性体のみ記載、600MHz in DMSO−d
6):δ=4.67(1H、d)、3.72(1H、d)、3.22(1H、t様)、3.06(3H、s)、2.79−2.83(1H、m)、2.00−2.04(1H、m)、1.95(1H、d)、1.77(1H、dd)、1.48−1.54(1H、m)、1.32(1H、dd)、1.23(3H、s)、1.11−1.15(1H、m)ppm。
【0205】
[実施例1−13−2]モノマー12の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヒドロキシアセタール1に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー12(収率87%)を得た。
沸点:69℃/10Pa。
IR(D−ATR):ν=2962、2883、2827、1717、1637、1452、1380、1326、1307、1292、1163、1144、1122、1074、1029、1016、990、939、862、828cm
-1。
1H−NMR(主異性体のみ記載、600MHz in DMSO−d
6):δ=5.99(1H、s)、5.65(1H、m)、4.30(1H、s)、3.93(1H、d)、3.09(3H、s)、2.95(1H、t)、2.20(1H、d)、2.11(1H、m)、1.84(3H、s)、1.72(1H、d)、1.62−1.67(1H、m)、1.50(1H、d)、1.30(4H、m)ppm。
【0206】
[実施例1−14]モノマー13の合成
【化108】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー4に変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でモノマー13(収率87%)を得た。
沸点:50℃/20Pa。
IR(D−ATR):ν=2993、2955、2895、1721、1638、1442、1404、1380、1323、1295、1165、1102、1054、1018、944、863、814、652、
582cm
-1。
1H−NMR(主異性体のみ記載、600MHz in DMSO−d
6):δ=6.04(1H、s)、5.70(1H、s)、4.95(1H、dd)、3.95(1H、ddd)、3.70(1H、ddd)、3.12(3H、s)、2.39(1H、dddd)、1.87(3H、s)、1.82(1H、dddd)、1.25(3H、s)ppm。
【0207】
[実施例1−15]モノマー14の合成
【化109】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー5に変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でモノマー14(収率82%)を得た。
【0208】
[実施例1−16]モノマー15の合成
【化110】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー9に変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でモノマー15(収率90%)を得た。
【0209】
[実施例1−17]モノマー16の合成
【化111】
【0210】
[実施例1−17−1]ヒドロキシヘミアセタール4の合成
ラクトン1をラクトン4に変更した以外は、[実施例1−1−1]と同様な方法でヒドロキシヘミアセタール4(収率48%)を得た。
【0211】
[実施例1−17−2]モノマー16の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヒドロキシヘミアセタール4に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー16(収率83%)を得た。
【0212】
[実施例1−18]モノマー17の合成
【化112】
1.0M塩化メチルマグネシウム−THF溶液を1.0M塩化イソプロピルマグネシウム−THF溶液に変更した以外は、[実施例1−5]と同様な方法でモノマー17(収率42%)を得た。
【0213】
[実施例1−19]モノマー18の合成
【化113】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー4に、メタノールをイソプロピルアルコールに変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でモノマー18(収率77%)を得た。
【0214】
[実施例1−20]モノマー19の合成
【化114】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー1に、エステル化剤1をエステル化剤3に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー19(収率76%)を得た。
【0215】
[実施例1−21]モノマー20の合成
【化115】
1.0M塩化メチルマグネシウム−THF溶液を水素化ジイソブチルアルミニウムに変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー20(収率71%)を得た。
【0216】
[実施例1−22]モノマー21の合成
【化116】
【0217】
[実施例1−22−1]ヒドロキシヘミアセタール5の合成
ラクトン1をラクトン5に変更した以外は、[実施例1−1−1]と同様な方法でヒドロキシヘミアセタール5(収率54%)を得た。
【0218】
[実施例1−22−2]モノマー21の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヒドロキシヘミアセタール5に変更した以外は、[実施例1−1−2]と同様な方法でモノマー21(収率86%)を得た。
【0219】
[実施例1−23]モノマー13の合成
【化117】
[実施例1−23−1]ヘミアセタール1の合成
ラクトン1をラクトン6に変更した以外は、[実施例1−1−1]と同様な方法でヘミアセタール1(収率67%)を得た。
【0220】
[実施例1−23−2]アセタール1の合成
ヒドロキシヘミアセタール1をヘミアセタール1に変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でアセタール1(収率89%)を得た。
【0221】
[実施例1−23−3]モノマー13の合成
蒸留ヘッドを取り付けた反応器に[実施例1−23−2]で得られたアセタール1(17.4g)とチタン(IV)イソプロポキシド0.3gを加え、混合物を70℃に加熱しながら撹拌した。ここへメタノール(10g)を2時間かけて滴下し、その間に生じる酢酸メチルを系外へ留去した。3時間加熱撹拌還流した後、過剰のメタノールを留去した。残渣にメタクリル酸メチル(10.5g)を加え、還流しながら生じるメタノールを留去した。更に2時間撹拌を続けた後、そのまま混合物を減圧蒸留して、モノマー13(収率84%)を得た。このものの物性データは[実施例1−14]と良く一致した。
【0222】
[実施例1−24]モノマー22の合成
【化118】
ラクトンモノマー2をラクトンモノマー9に変更した以外は、[実施例1−5]と同様な方法でモノマー22(収率38%)を得た。
【0223】
[実施例1−25]モノマー23の合成
【化119】
ヒドロキシヘミアセタール1をモノマー8に変更した以外は、[実施例1−13−1]と同様な方法でモノマー23(収率92%)を得た。
沸点:42℃/7Pa。
IR(D−ATR):ν=2966、2877、2830、1723、1638、1466、1403、1380、1320、1297、1160、1100、1070、1030、944、864、814、650、614、576、553cm
-1。
1H−NMR(主異性体のみ記載、600MHz in DMSO−d
6):δ=6.09(1H、s)、5.73(1H、s)、4.77(1H、s)、3.57(1H、d)3.50(1H、d)、3.12(3H、s)、1.90(3H、s)、1.21(3H、s)、1.12(3H、s)、0.92(3H、s)ppm。
【0224】
【化120】
【0225】
[実施例2]
本発明の高分子化合物を以下に示す方法で合成した。
[実施例2−1]レジストポリマー1の合成
窒素雰囲気下、モノマー1(22.7g)、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル(5.6g)及びメタクリル酸1−エチルシクロペンチル(21.7g)と、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(2.7g)をメチルエチルケトン(120g)に溶解させ、溶液を調製した。その溶液を窒素雰囲気下80℃で撹拌したメチルエチルケトン(30g)に4時間かけて滴下した。滴下終了後80℃を保ったまま2時間撹拌し、室温まで冷却した後、重合液をn−ヘキサン(500g)に滴下した。析出した固形物を濾別し、50℃で20時間真空乾燥して、下記式レジストポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は46.4g、収率は93%であった。なお、Mwはポリスチレン換算でのGPCを用いて測定した重量平均分子量を表す。
【0226】
【化121】
【0227】
[実施例2−2〜18、比較例1−1〜4]レジストポリマー2〜18、比較ポリマー1〜4の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、実施例2−1と同様の手順により、レジストポリマー2〜18、及び比較例用の比較ポリマー1〜4を製造した。なお、導入比はモル比である。
【0228】
【化122】
【0229】
【化123】
【0230】
【化124】
【0231】
【化125】
【0232】
【化126】
【0233】
【化127】
【0234】
[実施例3−1〜26、比較例2−1〜4]
レジスト材料の調製
上記で製造した本発明の樹脂(レジストポリマー1〜18)及び比較例用の樹脂(比較ポリマー1〜4)をベース樹脂として用い、酸発生剤、クエンチャー、撥水性ポリマー及び溶剤を表1に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、本発明のレジスト材料(R−1〜26)及び比較例用のレジスト材料(R−27〜30)とした。なお、溶剤はすべて界面活性剤としてKH−20(旭硝子(株)製)を0.01質量%含むものを用いた。
表1中、略号で示した酸発生剤、クエンチャー、撥水性ポリマー及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
【0235】
酸発生剤:PAG−1〜3(下記構造式参照)
【化128】
【0236】
クエンチャー:Q−1〜3(下記構造式参照)
【化129】
【0237】
撥水性ポリマー:SF−1,2(下記構造式参照)
【化130】
【0238】
溶剤1:PGMEA(酢酸1−メチル−2−メトキシエチル)
溶剤2:GBL(γ−ブチロラクトン)
【0239】
【表1】
【0240】
[実施例4−1〜26、比較例3−1〜4]
ArF露光パターニング評価(ホールパターン評価)
上記表1に示す組成で調製した本発明のレジスト材料(R−1〜26)及び比較例用のレジスト材料(R−27〜30)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が100質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを90nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.9/0.72、クロスポール開口35度、Azimuthally偏光照明)により、縮小投影後のパターンが55nmホール、100nmピッチとなるマスクパターンを用いて露光量を変化させながら露光を行った。露光後、表2に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表2に示す現像液を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、4−メチル−2−ペンタノールでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させ、直径50nmのホールパターンを得た。
【0241】
MEF(Mask Error Factor)
上記で直径50nmのホールパターンを得たときの露光量にて、縮小投影後のホールパターンサイズを53nm、54nm、56nm、57nmとするマスクパターンをそれぞれ用い、形成したピッチ100nmのホールパターンを(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(CG−4000)で観察し、ホール直径を測定した。このとき、縮小投影後のホールパターンサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたホール直径を縦軸にプロットしたときの直線の傾きを求め、MEFとした。このようにして求められるMEFは、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。結果を表2に示す。
【0242】
【表2】
【0243】
表2の結果より、本発明のレジスト材料が、有機溶剤現像によるネガティブパターン形成においてMEEFに優れることがわかった。
【0244】
[実施例5−1〜4、比較例4−1,2]
耐エッチング性評価
HMDS(ヘキサメチルジシラザン)気相中で表面処理(90℃、60秒間)したシリコンウエハー上に、表1に示す組成で調製した本発明のレジスト材料(R−11,14〜16)及び比較例用のレジスト材料(R−29,30)をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベーク(PAB)し、レジスト膜の厚みを100nmにした。その後、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−307E、NA0.85)にてウエハー全面をオープンフレーム露光した。その際の露光量は、脱保護反応に十分な量の酸が光酸発生剤から生じるよう50mJ/cm
2とした。その後、120℃で60秒間ベーク(PEB)を施すことにより、レジスト膜を形成するベース樹脂を脱保護状態に変えた。ベース樹脂が脱保護された部分はネガ型現像における不溶部に相当する。露光・PEB処理によるレジスト膜厚減少量の処理前膜厚に対する比率を求めPEBシュリンク量(%)とした。更に、酢酸ブチルを現像液として30秒間現像を行い、その後にレジスト膜厚を測定し、PEB処理後膜厚と現像後膜厚の差分より溶解速度(nm/sec.)を求めた。PEBシュリンク量又は溶解速度が小さい方がドライエッチング加工時に必要とされる十分な膜厚を確保でき、あるいは初期膜厚を薄膜化できることで解像性において有利となることから好ましい。結果を表3に示す。
【0245】
【表3】
【0246】
表3の結果より、本発明のレジスト材料は、PEBシュリンク量が小さく、現像後のパターン膜厚が厚く残ることが示唆された。