(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)成分のブロックポリイソシアネートが、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートモノマーからなるポリイソシアネート化合物を含むブロックポリイソシアネートである請求項1又は2に記載のシリコーン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のシリコーン組成物は、(A)オルガノポリシロキサン、(B)ブロックポリイソシアネート、(C)触媒を含有する。
以下、これら成分について詳細に説明する。
【0012】
(A)オルガノポリシロキサン
(A)成分は、下記一般式(1)で表される基を有するオルガノポリシロキサンである。
【化12】
【0013】
該オルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が50〜50,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは200〜3,000mPa・s、更に好ましくは300〜2,000mPa・s、特に好ましくは400〜1,000mPa・sである。本発明において粘度は、BM型粘度計(東京計器社製)により25℃で測定した値である。
【0014】
該オルガノポリシロキサンは、直鎖構造、分岐構造、環状構造のいずれの構造でもよいが、好ましくは直鎖構造である。該オルガノポリシロキサン中、上記式(1)で表される基は、ポリシロキサン骨格のケイ素原子に結合しており、分子末端及び分子途中のいずれに存在してもよい。該オルガノポリシロキサンは1分子中に上記式(1)で表される基を少なくとも1個、好ましくは2個以上、特に好ましくは2〜10個有するのが良い。
【0015】
上記式(1)中、R
5は炭素数1〜8の2価炭化水素基である。該2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基等のアルキレン基が好ましく、中でもプロピレン基が好ましい。aは0〜4の整数であり、好ましくは1又は2である。R
6は互いに独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価炭化水素基もしくはアシル基、又は−CH
2−CH(OH)CH
2O−(C
2H
4O)
b−(C
3H
6O)
c−Zで示されるポリオキシアルキレン含有有機基であり、Zは水素原子、又は炭素数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基もしくはアシル基である。bは2〜30の整数であり、cは0〜20の整数であり、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位はブロック重合体を形成していてもランダム重合体を形成していてもよい。
【0016】
上記ポリオキシアルキレン含有有機基において、Zは水素原子、又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基もしくはアシル基である。該1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、及びエイコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、及びトリル基等のアリール基;ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基、及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が、塩素、フッ素等のハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基等が挙げられる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。中でも、Zは、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基等のアルキル基;アセチル基、及びベンゾイル基等のアシル基であることが好ましく、特には、メチル基、ブチル基、及びアセチル基が好ましい。
【0017】
(A)成分は、好ましくは、下記一般式(2)〜(4)で表されるオルガノポリシロキサンの少なくとも1種である。
【化13】
【化14】
【化15】
【0018】
上記式(2)〜(4)において、R
4は互いに独立に、上記式(1)で示される基である。
【0019】
上記式(2)〜(4)において、R
2は、互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、及びエイコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、及びトリル基等のアリール基;ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基、及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が、塩素、フッ素等のハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基等が挙げられる。中でも、工業的にメチル基が好ましい。
【0020】
上記式(2)〜(4)において、R
3は互いに独立に、−OXで示される基である。Xは水素原子又は上記R
2の選択肢の中から選ばれる基である。該Xは、好ましくは、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基である。中でもR
3(−OX)は、水酸基、メトキシ基、又はエトキシ基であるのがよい。
【0021】
上記式(2)〜(4)において、R
1は、互いに独立に、R
2又はR
3の選択肢の中から選ばれる基である。
【0022】
上記式(2)〜(4)において、qは互いに独立に0〜3の整数であり、rは互いに独立に0又は1であり、各末端においてq+rは0〜3である。但し、式(2)及び式(4)は少なくとも一方の末端にR
4を有する。上記式(2)〜(4)は、分子中に少なくとも1個のR
3を有するのが好ましく、qは1又は2、より好ましくは1であり、特には両末端においてq=1であるのがよい。式(2)において好ましくは両末端にあるrが1である。
【0023】
上記式(2)〜(4)において、nは10〜2,000の整数であり、好ましくは20〜1,000の整数である。nが上記下限値より小さいと、繊維に柔軟性又は平滑性を付与する効果が不十分となる。また、nが上記上限値より大きいと、オルガノポリシロキサンが高粘度となり、取扱いや乳化が難しくなるため好ましくない。mは1〜10の整数である。mが上記上限値より大きいと、黄変しやすくなるため好ましくない。
【0024】
上記式(2)〜(4)で示されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば下記のものが挙げられる。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
(上記式中、R
2、R
3、R
4、n及びmは上述の通りである。)
【0025】
中でも、下記式で表されるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
【化22】
(上記式中、R
2、R
3、R
4及びnは上述の通りである。)
【0026】
上記式(2)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、公知の合成方法により容易に得ることができる。例えば、無触媒下あるいはアルカリ金属水酸化物などの触媒存在下に、両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンと、3−アミノプロピルジメトキシメチルシランあるいはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシランとを脱メタノール反応することにより得られる。
【0027】
上記式(3)又は(4)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンも、公知の合成方法により容易に得ることができる。例えば、アルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの触媒存在下に、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンと、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランあるいはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、又はその加水分解物、及びその他の原料としてヘキサメチルジシロキサン等から選択される化合物とを平衡化反応することにより得られる。
【0028】
また、上記式(2)〜(4)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンのうち、ポリオキシアルキレン含有有機基を有するオルガノポリシロキサンは、下記一般式(5)〜(7)で表されるオルガノポリシロキサンと、下記一般式(8)で表されるポリオキシアルキレンモノグリシジルエーテルとの反応により容易に得ることができる。
【化23】
【化24】
【化25】
【0029】
上記式(5)〜(7)において、R
1、R
2、R
3、n、m、q及びrは上述の通りである。Yは−R
5(NHCH
2CH
2)
aNH
2で示される基である(R
5及びaは上述の通りである)。
【0030】
【化26】
上記式(8)中、b、c及びZは上述の通りである。
【0031】
上記式(5)〜(7)で示されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば下記のものが挙げられる。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
(上記式中、n及びmは上述の通りである。)
【0032】
上記式(8)で表されるポリオキシアルキレンモノグリシジルエーテルとしては、例えば下記のものが挙げられる。
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
(上記式中、b及びcは上述の通りである。)
【0033】
上記式(5)〜(7)で示されるオルガノポリシロキサンと、上記式(8)で示されるポリオキシアルキレンモノグリシジルエーテルとの反応は従来公知の方法に従えばよく、特に制限されない。例えば、無溶剤下又は低級アルコール、トルエン、キシレンなどの溶剤存在下にて、50〜100℃で1〜5時間反応させればよい。
【0034】
上記式(5)〜(7)で示されるオルガノポリシロキサンと、上記式(8)で示されるポリオキシアルキレンモノグリシジルエーテルを反応させて得られるオルガノポリシロキサンとしては、例えば下記のものが挙げられる。
【0035】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
(上記式中、n、m、b、c、Zは上述の通りである。)
【0036】
なお、(A)成分は、オルガノポリシロキサン骨格中に分岐を有しても良い。分岐構造を有するオルガノポリシロキサンとして、例えば下記一般式(9)で表されるようなものが挙げられる。
【化54】
【0037】
上記式(9)において、Uは下記一般式(10)で表される基であり、式(9)、(10)中、R
1、R
2、R
3、R
4、q、rは上述の通りである。e、iは互いに独立に10〜500の整数であり、e+iは10〜2,000、好ましくは20〜1,000である。f、jは互いに独立に0〜20の整数であり、f+jは1〜20、特に好ましくは2〜10である。gは1〜200の整数、hは0〜200の整数である。
【化55】
【0038】
なお、(A)成分は、2種類以上のオルガノポリシロキサンを同時に使用してもよい。
【0039】
(B)ブロックポリイソシアネート
(B)成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有し、イソシアネート基の50モル%以上が熱解離性ブロック剤で封鎖されたブロックポリイソシアネートである。本(B)成分には、公知の各種ブロックポリイソシアネートを使用することができる。ブロックポリイソシアネートは、公知の各種ポリイソシアネート化合物を公知の各種ブロック剤と反応せしめることにより調製することができる。
【0040】
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの各種ジイソシアネート類、更には、上記したような各種のジイソシアネート類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール等の各種のポリオール類を反応せしめて得られるポリイソシアネート類、ポリイソシアネート類と、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を有するポリイソシアネート類、上記したようなジイソシアネート類を環化三量化せしめて得られる、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート類などが挙げられる。また、上記したような各種ポリイソシアネート類と、上記したような各種ポリオール類とを反応せしめて得られるポリイソシアネート化合物を使用することもできる。また、上記したような各種ポリイソシアネート化合物を2種以上併用することもできる。
【0041】
ポリイソシアネート化合物として、好ましくは、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの炭素数4〜30の脂肪族、脂環族ジイソシアネート類からなるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物であり、耐候性、入手容易性などの点から、ヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0042】
本ポリイソシアネート化合物は、ビウレット基、尿素基、ウレトジオン基、ウレタン基、アロファネート基、オキサジアジントリオン基、イミノオキサジアジンジオン基等を同時に含むことができる。
【0043】
本発明に用いることができるブロック剤としては、活性水素を分子内に1個以上有する化合物であり、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性
メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミン系、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
【0044】
より具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール系化合物、
炭素数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ及びジアルキルフェノール類であって、例えばn−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、n−プロピルクレゾール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類、
フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等のフェノール類等のアルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性
メチレン系化合物、
ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系化合物、
アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系化合物、
コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系化合物、
イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、
尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素系化合物、
ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物、
ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等のアミン系化合物、
エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系化合物、
ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系化合物
等が挙げられる。
【0045】
中でも、活性
メチレン系、オキシム系、ピラゾール系化合物が好ましく、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールが特に好ましい。
これらのブロック剤は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0046】
ポリイソシアネートとブロック剤の反応は、公知の方法にて行えばよく、また、溶剤の存在の有無にかかわらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。ブロック化反応に際して、スズ、亜鉛、鉛等の有機金属塩、金属アルコラート及び3級アミン等を触媒として用いてもよい。ブロック化反応は、一般に−20〜150℃で行うことができるが、好ましくは0〜100℃である。150℃を超える温度では副反応を起こす可能性があり、他方、あまり低温になると反応速度が小さくなり不利である。本ブロックポリイソシアネートは、イソシアネート基の50モル%以上がブロックされていればよいが、75モル%以上ブロックされていることが好ましく、90モル%以上ブロックされていることが特に好ましい。
【0047】
(C)触媒
(C)成分は、(A)成分と(B)成分の架橋反応を促進して、硬化皮膜を形成するための触媒である。(C)成分の触媒は、(A)成分と(B)成分の反応の触媒となる有機塩基化合物及び/又は金属化合物であれば特に制限されるものではない。
【0048】
(C)成分の有機塩基化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族アミン類、アニリン、アルキルアニリン、ハロアニリン、ハロアルキルアニリン、アルコキシアニリン(メトキシアニリン、エトキシアニリン、イソプロポキシアニリン)、ベンジルアミン等の芳香族アミン類、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、インドール、ピリジン、ピコリン、エチルメチルピリジン、アミノピリジン、アミノトリアゾール、アミノイミダゾール、アミノチオフェン、アミノチアゾール、アミノフラン、アミノベンズイミダゾール、アキノキリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の複素環アミン類、アミノプロピル−トリメトキシシラン、アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメチルシラン、N−トリメチルシリルアセトアミド及びN−トリメチルシリルホルムアミド、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(トリメチルシリル)尿素、ジメチル−トリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン又はジビニル−テトラメチル−ジシラザン等のアミノシラン類が挙げられる。
【0049】
(C)成分の金属化合物としては、金属の種類に特に制限は無いが、亜鉛、チタン、鉄、スズ、鉛、ビスマス、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも一つの金属を含む化合物であることが好ましい。金属化合物としては上記金属イオンを中心元素とした塩及び/又は錯体であって、好ましくは、カウンターイオン及び/又は配位子として炭素数1〜30のアルキル基を有するカルボン酸、ケトン、エステルから選ばれる少なくとも1種を有する。前記においてアルキル基としてはメチル基、イソプロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソデシル基、イソステアリル基、デカニル基、セチル基等が挙げられる。
【0050】
金属化合物の具体例としては、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ、ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛、ビス(2−エチルヘキサン酸)鉄、トリス(2−エチルヘキサン酸)鉄、ビス(2−エチルヘキサン酸)ジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキサン酸)ジルコニウム、トリス(2−エチルヘキサン酸)ビスマス、バーサチック酸スズ等のカルボン酸金属塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズビス(メチルマレエート)、ジブチルスズビス(エチルマレエート)、ジブチルスズビス(ブチルマレエート)、ジブチルスズビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズビス(トリデシルマレエート)、ジブチルスズビス(ベンジルマレエート)、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズビス(エチルマレエート)、ジオクチルスズビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズビス(ノニルフェノキサイド)、ジブテニルスズオキサイド、ジブチルスズビス(アセチルアセトナート)、ジブチルスズビス(エチルアセトアセテート)、ジブチルスズオキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチルスズジラウレート等のジアルキルスズジカルボキシレートとシリケート化合物との反応物、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機スズ化合物、テトライソプロポキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウム、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)などの有機チタネート類、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。
【0051】
市販品の具体例としては、ナーセムアルミニウム、ナーセム銅、ナーセム第二鉄、ナーセム亜鉛、ナーセムジルコニウム、ナーセムチタン、ナフテックスZnシリーズ、ニッカオクチックスZnシリーズ、ニッカオクチックスBiシリーズ、ネオデカン酸Biシリーズ、ナフテックスZrシリーズ、ニッカオクチックスZrシリーズ、ナフテックスFeシリーズ、ニッカオクチックスFeシリーズ、ナフテックスCuシリーズ、(以上、日本化学産業社製商品名)、オルガチックスZA−40、オルガチックスZA−65、オルガチックスZC−150、オルガチックスZC−540、オルガチックスZC−570、オルガチックスZC−580、オルガチックスZC−700、オルガチックスZB−320、オルガチックスTA−10、オルガチックスTA−25、オルガチックスTA−22、オルガチックスTA−30、オルガチックスTC−100、オルガチックスTC−401、オルガチックスTC−200、オルガチックスTC−750、オルガチックスTPHS等(以上、マツモトファインケミカル社製商品名)、ネオスタU−28、ネオスタンU−50、ネオスタンU−100、ネオスタンU−810、ネオスタンU−820、ネオスタンU−600、ネオスタンU−660等(以上、日東化成社製商品名)、アルミニウムエトキサイド、AIPD、PADM、AMD、ASBD、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA、アルゴマー、アルゴマー800AF、アルゴマー1000SF、プレンアクトALM等(以上、川研ファインケミカル社製商品名)、オクトープシリーズ、ケロープシリーズ、オリープシリーズ、アセトープシリーズ、ケミホープシリーズ等(ホープ製薬社製商品名)等が挙げられる。
なお、(C)成分は、2種類以上の触媒を同時に使用してもよい。
【0052】
(C)成分の触媒は、(A)成分のオルガノポリシロキサン中のNH基及び/又は水酸基と、(B)成分のイソシアネート基の反応を促進し、低温硬化性を高めることができる。
【0053】
また、本組成物を基材に処理した場合、(B)成分のイソシアネート基と基材に含まれる反応性基との反応を促進し、基材への付着量を増加させることができる。例えば繊維製品に処理した場合には、繊維成分中の水酸基と(B)成分のイソシアネート基の反応を促進させ、本シリコーン組成物を繊維へより強固に付着させることができる。従来、繊維上にバインダーを加工する際には、高温での処理が必要とされることが課題であった。本発明のシリコーン組成物は低温処理条件においても高い硬化性を有しているため、この課題を解決することができる。
【0054】
本発明のシリコーン組成物は、(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、(A)オルガノポリシロキサン70〜98質量部と、(B)ブロックポリイソシアネート2〜30質量部と、(C)触媒0.01〜10質量部を含有する。(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、(A)オルガノポリシロキサン80〜95質量部と、(B)ブロックポリイソシアネート5〜20質量部と、(C)触媒0.1〜5質量部を含有することが好ましい。(A)成分が多すぎる、(B)成分が少なすぎる、(C)成分が少なすぎる場合は硬化性が低く、繊維処理剤として使用した場合の洗濯耐久性が不十分であり、(A)成分が少なすぎる、(B)成分が多すぎる、(C)成分が多すぎる場合は保存安定性が不十分である。
【0055】
本発明のシリコーン組成物は、必要に応じて各種溶剤を本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。
溶剤としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブ、ブタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
本発明のシリコーン組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、必要に応じて各種溶剤を均一に混合することにより製造することができる。(A)成分に含まれるヒドロキシル基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノ基のうち少なくとも1個が(B)成分のイソシアネート基と反応していることが好ましい。この場合、アルコキシ基、アシロキシ基はこれがヒドロキシ基に変換してイソシアネート基と反応する。反応方法は特に制限されず従来公知の方法に従えばよく、例えば混合時に加熱することにより反応させることができる。反応時の温度は特に制限されないが、0〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることが特に好ましい。
【0057】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、低温硬化性に優れ、良好な柔軟性を各種繊維又は繊維製品に付与することができる。更に、優れた洗濯耐久性を有している。従って、本発明のシリコーン組成物は繊維処理剤として有用である。本組成物は、綿、絹、麻、ウール、アンゴラ、モヘア等の天然繊維はもとより、ポリエステル、ナイロン、アクリル、スパンデックス等の合成繊維及びこれらを用いた繊維製品に対しても全て有効である。またその形態、形状にも制限はなく、ステープル、フィラメント、トウ、糸等の様な原材料形状に限らず、織物、編み物、詰め綿、不織布、混紡素材、紙、シート、フィルム等の多様な加工形態のものも本発明の繊維処理剤の処理可能な対象となる。
【0058】
本発明のシリコーン組成物を繊維処理剤として使用する際は、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ミネラルターペン等の有機溶剤に溶解させて繊維又は繊維製品に処理するか、あるいはノニオン系もしくはアニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤により水性媒体中に乳化させて繊維又は繊維製品に処理する。これらの乳化剤としては特に制限はないが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート等のノニオン性乳化剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン性乳化剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等のカチオン性乳化剤、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性乳化剤から選択することができる。これら乳化剤の使用量はオルガノポリシロキサン100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。また乳化の際の水の使用量は任意の量でよいが、オルガノポリシロキサン純分濃度が5〜60質量%となるような量が一般的であり、好ましくは10〜40質量%となるような量である。
【0059】
本発明の繊維処理剤を乳化するには、本発明におけるオルガノポリシロキサンと界面活性剤を混合し、これをホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサーなどの乳化機で乳化すればよい。
【0060】
本発明の繊維処理剤を用いて各種繊維又は繊維製品を処理する際は、この組成物の有機溶剤による溶解物又は乳化物として所望の濃度に調整し、浸漬、スプレー、ロールコート等の手段により繊維に付着させる。付着量は繊維の種類により異なり特に限定されないが、通常布に対してオルガノポリシロキサン純分換算で0.01〜10質量%の範囲とするのが一般的である。次いで熱風吹き付け、加熱処理等で乾燥させればよい。繊維の種類によっても異なるが、浸漬する場合の時間は1〜5分、乾燥温度、乾燥時間は各々100〜200℃、1〜15分の範囲で行えばよい。
【0061】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、繊維処理用途以外にも、塗料用、接着剤用、シーリング剤用、インク用、紙用等の含浸剤用並びに表面処理用等として、種々の用途に利用することができる。この際、必要に応じて、添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、防しわ剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱剤等の繊維用薬剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、金属粉顔料、レオロジーコントロール剤、硬化促進剤、消臭剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【実施例】
【0062】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記例で、部は質量部を示す。
【0063】
なお、下記の例において、数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
また、粘度は、BM型粘度計(東京計器社製)により25℃で測定した値である。
1H−NMRは、重クロロホルム溶媒中、400MHz FT−NMR装置(日本電子株式会社製)にて測定した。
【0064】
[合成例1]
温度計、撹拌装置、還流冷却器及び窒素ガス導入管のついたセパラブルフラスコに、下記式(A)で示されるアミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン100g(分子量4,066、アミン当量:1,010g/モル)、下記式(B)で示されるポリエチレングリコールモノブチルモノグリシジルエーテル(分子量349)52g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の窒素原子に結合する水素原子(−NH)の合計個数に対する、ポリエチレングリコールモノブチルモノグリシジルエーテルのグリシジル基の個数の比が1.0となる量)、及びイソプロピルアルコール7.4gを仕込み、窒素ガスを導入した後に密閉して、80℃で4時間付加反応を行った。反応終了後、10mmHgの減圧下、80℃で1時間、低沸点留分の除去を行い、下記式(C)で示されるオイル状化合物145gが得られた。該化合物外観は淡黄色半透明であり、粘度は490mPa・s、アミン当量は2,940g/モルであった。該化合物の
1H−NMRを測定したところ、オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に直接結合したメチレン基と、アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の窒素原子と反応したポリエチレングリコールモノブチルモノグリシジルエーテルのブチル基の末端メチル基の比率は1対3.01であり、アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の窒素原子がすべて、ポリエチレングリコールモノブチルモノグリシジルエーテルのグリシジル基と反応していることを確認した。未反応のグリシジル基は検出されなかった。
【0065】
【化56】
【化57】
【化58】
【0066】
[合成例2]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコ内を窒素雰囲気にし、ヘキサメチレンジイソシアネート600部を仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、反応率が40%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は2,500mPa・s、数平均分子量は680であった。
イソシアヌレート化の反応率は、前記GPC測定で得られる、未反応ヘキサメチレンジイソシアネート相当の分子量のピーク面積とイソシアヌレート相当の分子量相当のピーク面積との合計中の、イソシアヌレートの分子量相当のピーク面積の比率を、反応率として表した。
【0067】
[合成例3]
合成例2と同様な反応器に合成例2で得られたイソシアヌレート100部、ポリプロピレンジオール13部、溶剤として酢酸ブチルを最終ブロックポリイソシアネート成分濃度が90質量%になるように仕込み、窒素雰囲気下、70℃、3時間保持した。その後、3,5−ジメチルピラゾール50部を添加し、赤外スペクトルでイソシアネート基の特性吸収がなくなったことを確認した。得られたブロックポリイソシアネートの平均分子量は1,200であった。
【0068】
[
参考例1]
温度計、撹拌装置、還流冷却器及び窒素ガス導入管のついたセパラブルフラスコに、上記式(A)のオルガノポリシロキサン87.5部、合成例3で得られたブロックポリイソシアネート12.5部を仕込み、窒素雰囲気
下、120℃で4時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛を1部加え、10分間撹拌し、シリコーン組成物を得た。
【0069】
[実施例2]
上記式(A)のオルガノポリシロキサンを合成例1で得られたオルガノポリシロキサンに変更した他は
参考例1と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0070】
[実施例3]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛をトリス(2−エチルヘキサン酸)鉄に変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0071】
[実施例4]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛をジオクチルスズジラウレートに変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0072】
[実施例5]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛をジプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)に変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0073】
[実施例6]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛をジアザビシクロウンデセンに変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0074】
[実施例7]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛をN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0075】
[比較例1]
温度計、撹拌装置、還流冷却器及び窒素ガス導入管のついたセパラブルフラスコに、合成例1で得られたオルガノポリシロキサン87.5部、合成例3で得られたブロックポリイソシアネート12.5部を仕込み、窒素雰囲気下、120℃で4時間撹拌し、シリコーン組成物を得た。
【0076】
[比較例2]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛を1部から0.005部に変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0077】
[比較例3]
ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛を1部から20部に変更した他は実施例2と同じ方法にてシリコーン組成物を調製した。
【0078】
[評価試験]
1.硬化性
上記で得たシリコーン組成物を直径6cmのアルミシャーレに2g秤量し、130℃で10分間加熱した。組成物全体が硬化した場合をA、組成物の一部のみが硬化した場合をB、組成物全体が未硬化の場合をCとした。結果を表1に示す。
【0079】
2.保存安定性
シリコーン組成物5gを25mLガラス瓶に充填し、40℃で1日放置した後、外観を観察した。外観が良好なものを「良」、増粘又はゲル化しているものを「不良」とした。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
[
参考例8]
参考例1で得られたシリコーン組成物60g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲン1108:花王製)10gをホモミキサーを用いて2,000rpmで20分間混合し、20gの水中に乳化分散させた。その後、110gの水で希釈してエマルション組成物を得た。
【0082】
[実施例9]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例2で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0083】
[実施例10]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例3で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0084】
[実施例11]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例4で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0085】
[実施例12]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例5で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0086】
[実施例13]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例6で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0087】
[実施例14]
参考例1で得られたシリコーン組成物を実施例7で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0088】
[比較例4]
参考例1で得られたシリコーン組成物を比較例1で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0089】
[比較例5]
参考例1で得られたシリコーン組成物を比較例2で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0090】
[比較例6]
参考例1で得られたシリコーン組成物を比較例3で得られたシリコーン組成物に変更した他は
参考例8と同じ組成及び方法にてエマルション組成物を調製した。
【0091】
[評価試験]
各エマルション組成物について以下に示す評価試験を行った。結果を表2に示す。
3.柔軟性
上記で得たエマルション組成物にイオン交換水を加え、固形分0.5質量%に希釈して試験液を調製した。該試験液にポリエステル/綿ブロード布(65%/35%、谷頭商店社製)を1分間浸漬した後、絞り率100%の条件でロールを用いて絞り、100℃で2分間乾燥後、更に150℃で2分間加熱処理して柔軟性評価用の処理布を作製した。該処理布を三人のパネラーが手触りし、柔軟性を以下の基準により評価した。
A:触り心地が非常に良好である。
B:触り心地が良好である。
C:触り心地が悪い。
【0092】
4.吸水性
上記で得たエマルション組成物にイオン交換水を加え、固形分2質量%に希釈して試験液を調製した。該試験液にポリエステル/綿ブロード布(65%/35%、谷頭商店社製)を10秒間浸漬した後、絞り率100%の条件でロールを用いて絞り、130℃で2分間乾燥した。その後、本処理布にスポイトで水道水を一滴(25μL)滴下し、水滴が布に完全に吸収されるまでの時間(秒)を測定した。
【0093】
5.洗濯耐久性
上記で得たエマルション組成物にイオン交換水を加え、固形分2質量%に希釈して試験液を調製した。該試験液にポリエステル/綿ブロード布(65%/35%、谷頭商店社製)を10秒間浸漬した後、絞り率100%の条件でロールを用いて絞り、130℃で2分間乾燥した。その後、本処理布を、JIS L0217 103に準拠した手法により、洗濯機による洗濯を一回行った。洗濯一回後の繊維表面のシリコーン残存量を蛍光X線分析装置(Rigaku社製)にて測定し、洗濯を行っていない場合と比較し、残存率(%)を計算した。
【0094】
【表2】
【0095】
表1に示される通り、本発明のシリコーン組成物は、低温硬化性に優れている。また、表2に示される通り、本発明のシリコーン組成物を用いた繊維処理剤は、繊維に対して良好な柔軟性、吸水性を付与することができ、洗濯耐久性にも優れている。